EMANの物理学 過去ログ No.11790 〜

 ● 反物質スピン

  投稿者:fnbo - 2011/12/10(Sat) 18:36  No.11790 
こんばんは。また教えて頂きたいところがあるのですが。。
物質と反物質が出会うとエネルギーとなって消滅することはよく目にするのですが、物質スピン+1/2と反物質+1/2のペア、、それとも物質スピン+1/2と反物質-1/2のペアで消滅するのでしょうか?

  投稿者:ASA - 2011/12/11(Sun) 08:42  No.11792 
fnbo さん
スピンは、関係ないと思いますよ。
組み合わせは、uu,ud du,ddの4つで、トータルスピンがそれぞれS=1,0,-1であり、生成フォトンがそのトータルスピンをおいます。

  投稿者:fnbo - 2011/12/11(Sun) 10:11  No.11793 
ASAさん
>生成フォトンがそのトータルスピンをおいます。
ありがとうございます。痒いところに手が届いた気分です!

  投稿者:あもん - 2011/12/11(Sun) 21:11  No.11797  <Home>
fnbo さん:

ASAさんのおっしゃる通りですが、さらに細かいことをいうと、粒子と反粒子のヘリシティ(運動方向のスピン成分)が重心系において反平行な場合は2個の光子を放出して対消滅できますが、平行な場合は角運動量保存則からこれが許されなくなります。このためヘリシティが平行な場合は光子3個以上を放出する高次過程となり、断面積(対消滅の頻度)が反平行の場合のおよそ1/100程度になります。およそ1/100というのは微細構造定数(e^2/4π)がかかるためです。

  投稿者:fnbo - 2011/12/11(Sun) 21:47  No.11799 
あもんさん言及ありがとうございます。

  投稿者:ピーナッツ - 2011/12/13(Tue) 00:12  No.11806 
あもんさん、こんにちは。気になったので質問させてください。

>さらに細かいことをいうと、粒子と反粒子のヘリシティ(運動方向のスピン成分)が
>重心系において反平行な場合は2個の光子を放出して対消滅できますが、
>平行な場合は角運動量保存則からこれが許されなくなります。

反平行といっているのは角運動量がゼロになるということで、平行というは1
になる場合でしょうか? すると、角運動量が1の場合には2光子にいけない
というと理解しますが、そうなんでしたっけ。何か特別な仮定をおいていません
でしょうか。

こういった計算は昔に一応やりましたが,全て忘れていますので,私の
勘違いかもしれません理解出来なかったもので質問しました。

  投稿者:あもん - 2011/12/13(Tue) 00:40  No.11807  <Home>
ピーナッツさん:

>反平行といっているのは角運動量がゼロになるということで、
>平行というは1になる場合でしょうか?

その通りです。光子のスピン成分の取りうる値が±1だけで、0が存在しないことに注意してください。(ゲージ粒子の特殊性です)

文献は、例えば物理学辞典(培風館)で、「陽電子消滅」より引用:
対消滅に当っては電子対のスピンが反平行か平行かに応じ、2本または3本のγ線が放出される(二光子消滅と三光子消滅)。後者は前者より高次の過程であるからその断面積は2けた小さい。
引用終

  投稿者:ピーナッツ - 2011/12/13(Tue) 10:40  No.11809 
文献の引用ありがとうございます。

非相対論的な極限では平行スピンの状態は2光子にいけませんが、
そういった条件がなければどちらのスピン状態もありえるようです。
(昔の計算ノート確認しました。)
あもんさんがおしゃってるのは非相対論的な場合ですね?


  投稿者:あもん - 2011/12/14(Wed) 06:03  No.11819  <Home>
ピーナッツさん:

>あもんさんがおしゃってるのは非相対論的な場合ですね?

私自身は近似でなくいえることだと今まで思っていましたが、どうもそのようです。物理学辞典には、その後、ポジトロニウムや熱平衡状態など、物性的なことが書かれているので、おっしゃるように、非相対論的近似においてだけの事柄のようです。あまり確証はありませんが数値計算で確認しました。ご指摘ありがとうございます。

(計算を度々間違えてしまい、2度書き込みを削除しました。自分のノートの記事に書き間違えがあり、それをもとに計算してしまったため、混乱してしまったのです。(^^;)

※高エネルギー極限だと逆に反平行が抑制されるようですね。
http://www.geocities.jp/amon009tm/memo/2gamma.jpg

※断面積の数値計算をグラフにしてみました。式入力が多いので入力ミスのない確証はありませんが、ピーナッツさんのおっしゃるように非相対論的極限で平行スピン対消滅の断面積が消えるのが見てとれます。
http://www.geocities.jp/amon009tm/memo/2gamma-sigma.png

  投稿者:ASA - 2011/12/14(Wed) 07:24  No.11820 
あもんさんに突っ込もうと思っていたのにピーナッツさんに先を越されてしまいました。
出典:素粒子事典より
「電子に出会うと,低エネルギーでは一種の分子状態(ポジトロニウム)形成し2個又は3個の光子にこわれるが,エネルギーが高いと一気に消滅して2個の光子になる。」
 この境のエネルギーは、どの程度なのでしょうか?誰か具体的数値を知っていたら教えてください。
 
 

  投稿者:不識庵 - 2011/12/14(Wed) 22:22  No.11822 
各位

不勉強で申し訳ありませんが、ご教示下さい。

>※高エネルギー極限だと逆に反平行が抑制されるようですね。

>「電子に出会うと,低エネルギーでは一種の分子状態(ポジトロニウム)形成し2個又は3個の光子にこわれるが,エネルギーが高いと一気に消滅して2個の光子になる。」

高エネルギーでは、平行スピン対消滅で、2個の光子が発生するという事でしょうか?

仮に平行スピン対消滅で2個の光子が発生した場合、角運動量保存則はどうなるのでしょうか?

(平行スピンだから初期状態では1/2+1/2=1、2個の光子だから終状態では1+1=2 or 1-1=0)

角運動量保存則は、関与するエネルギーの大きさに関わらず成立すると思っていましたが誤解でしょうか?

よろしくお願い致します。

  投稿者:あもん - 2011/12/14(Wed) 23:56  No.11824  <Home>
不識庵さん:

>仮に平行スピン対消滅で2個の光子が発生した場合、角運動量保存則はどうなるのでしょうか?(平行スピンだから初期状態では1/2+1/2=1、2個の光子だから終状態では1+1=2 or 1-1=0)

軌道角運動量が介在しているんでしょうね。角運動量=スピン角運動量+軌道角運動量。EPR実験のような1粒子崩壊とは異なるようです。私の発言により混乱させてしまってすみません。

2スカラー粒子への消滅を計算してみると、低エネルギーで反平行の断面積が圧倒的に優勢、というような事は起こっていないので、光子でこのようなことが起こるのは、スピンの保存うんぬんではなく、ゲージ粒子のチャンネルの特殊性なのだと思います。要するにバーテックスにあるγ行列がそういういたずらをしているわけですが、古典的で直感的な説明はちょっとわかりません…(^^;


  投稿者:ピーナッツ - 2011/12/15(Thu) 00:39  No.11825 
おそらく非相対論的な場合には、衝突する電子陽電子がそもそも運動量を
持っていないので角運動量もゼロで、スピンが直接光子のスピンに転換
されるためにスピン0状態だけが2光子生成可能にする。電子陽電子の
衝突が運動量をもってくると、衝突する際の角運動量まで寄与するので
複雑になるということだと思われます。

  投稿者:kafuka - 2011/12/15(Thu) 00:42  No.11826 
全然関係ないですが、、、

K中間子も、2つのπと3つのπに崩壊する場合がありますね。
この場合は、パリティが保存されないということで、
片付けられていて、
電磁相互作用では、必ずパリティは保存されるとされます。
しかしながら、平行スピン対消滅の場合、3つの場合にパリティが保存されているとすると、
2つになる場合でも、
何故、パリティは保存されている といえるのでしょうか?

弱い相互作用とは違うと言えば、それまででしょうが、
不思議に思います。

  投稿者:ピーナッツ - 2011/12/15(Thu) 00:42  No.11827 
角運動量というは、軌道角運動量と読み替えて下さい。

修正できなかったの再投稿ですみません

  投稿者:あもん - 2011/12/15(Thu) 05:49  No.11829  <Home>
擬スカラー場だと簡単に解析的に断面積を導けるので、これとの整合性で数値計算プログラムのチェックをしました。前のは縦軸のスケールがずれていたことが判明(^^;。スカラー場、擬スカラー場もグラフ化しました↓
http://www.geocities.jp/amon009tm/memo/2gamma-sigma2.png

ピーナッツさん:

私もそう思ってたのですが、スカラー場の場合を見るとちょっとそれだけでは説明できないように感じています。

kafukaさん:

中性K中間子はCP非保存性の話ですね。電子陽電子の初期状態はヘリシティが逆(スピン平行)のときCP=+1で、そうでないときはCPの固有状態になりません。光子の多体状態は特別なときCP=+1になるでしょうが、いずれにせよCP=−1が全然登場しないので問題にならないのだと思います。

  投稿者:不識庵 - 2011/12/15(Thu) 06:42  No.11830 
あもんさん、 ピーナッツさん、

早速のご教示有難うございます。

場の理論の初歩的な摂動計算では、既知の運動量の粒子を入射させた時に、ある運動量の粒子が出て来る確率振幅の計算をしていると思います。

入射側も、検出側も平面波を想定していて、軌道角運動量はゼロではないかと思っていましたが、もう少し勉強してみます。

  投稿者:ASA - 2011/12/15(Thu) 07:34  No.11831 
ピーナッツ さん
 イメージ的には、発生する電磁波であるγ線の強度分布などの形態に依存してるのかなと考えてます。低エネルギーでは、広がりを持つ(極端なケースで全平面をカバーする球面波(円筒対称))ため、トータル角運動量0になるので平行は、抑止。
 逆に、高エネルギーでは、ビームライク(+半空間をカバーする平面波(S=1)と−半空間をカバーする平面波(S=1)との2つで全空間にわたる平面波と等価)で、2γ線でトータル角運動量1が実現され、平行も可能とイメージしてます。
 断面積に関しては、反平行だと磁気的引力で反応確率が増え、平行だと磁気的反発力で反応確率が減るのだと考えます(低エネルギー)。高エネルギーだと粒子自体の大きさが小さくなるので素通りしやすくなりますので反応確率が減ります。
 高エネルギーで平行だと磁気的反発力により、反応近傍での速度が減少し(存在確率が増す)と考えれば、あもんさんの数値計算により示された偽スカラーやベクトルでの挙動を定性的に説明できます。

  投稿者:不識庵 - 2011/12/15(Thu) 12:08  No.11834 
各位

本件少し調べてみました。

少し古い本ですが、ハイトラーの「輻射の量子論」第X章 第1近似の輻射過程 27.陽電子の消滅、に、非相対論的近似に言及している次の記載を見つけました。

「2個の光子はお互いに直角に偏光している事になる。この結果については以下でさらに論じる。E0>>μの高エネルギーではこの様に目立った偏りはなくなる。」

放出される光子の偏光は必ずしも円偏光ではない、という事が答えのような気がして来ました。

放出される光子の偏光を測定する事にすれば、(軌道角運動量を考慮しなくても)角運動量保存則を満たすような散乱断面積が得られるのかもしれません。

不勉強な私ですので、計算でその事を示すには時間がかかりそうですが・・・。

  投稿者:kafuka - 2011/12/15(Thu) 15:24  No.11836 
あもんさん

固有状態じゃなければ、関係なくなりまね。
よくわかりました。

  投稿者:ピーナッツ - 2011/12/16(Fri) 00:26  No.11838 

> 放出される光子の偏光は必ずしも円偏光ではない、という事が答えのような気がして来ました。

円偏光ではないというのは、そうかもしれませんが特に関係ないと思われます。
線偏光の場合は、円偏光の重ね合わせですから、変換可能です。角運動量を
どういう方向に量子化するかは人間の都合ですが、角運動量の保存則を議論
する場合には便利な方向を選んで議論してかまいません。

円偏光以外も議論したい場合には偏光ベクトルを導入して計算する必要があり
ますが、それはランダウリフシッツに詳しいです。計算面倒ですし。

  投稿者:ASA - 2011/12/16(Fri) 06:29  No.11839 
>円偏光ではないというのは、そうかもしれませんが特に関係ないと思われます。
 円偏光は、光子(A~)の角運動量の投影ですから、関係しますよ。
 ご存知かと思われますが、相互作用の形式からしてqA~が光子の持つ運動量相当であって、円偏光の場合は、E~=-∂tA~より、qA~が回転していることがわかります。つまり、粒子が無限小の円軌道を描いているときの運動量の様相とA~の回転が一致しているので、円偏光を光子の角運動量相当量としてみるのが自然です。
 低エネルギーのときは、主として直線偏光(S=0)が観測されますが、高エネルギーのときは、そのような偏りは見られなくなります。

 ps.ランダウ本に高エネルギーでは、対消滅は螺旋度(角運動量の進行方向への投影)の符号が異なるときのみ可能とあります(スピンの値でない点に注意:ただし重心系でみているのでスピン平行に対応)。 イメージはNo.11831に記述済み。
なお、ランダウ本には同一螺旋度の対消滅は、高エネルギーのとき、スピン平行と比べてm/εの振幅とあります。

  投稿者:あもん - 2011/12/16(Fri) 06:55  No.11840  <Home>
不識庵さん:

>入射側も、検出側も平面波を想定していて、
軌道角運動量はゼロではないかと思っていましたが

これですが、平面波の方向(運動量の方向)なら軌道角運動量は0です。
ですので、平行スピンの場合は始状態における電子対の運動方向には光子は
出ません(数値計算で確かめました)。角運動量保存からいえるのはこれですね。
少し詳しく説明しましょう。

電子対の運動方向をz方向として平行スピン(逆ヘリシティ)とします。
重心系においては、電子対の全運動量が0、全角運動量のz成分が1になります。
放出された光子の運動量を観測して、もし運動量がz方向だったなら、
光子のz方向の軌道角運動量成分は0で、また、z方向の光子のスピン成分
(ヘリシティ)も同時観測できます。それは2つの光子で足して1になることは
あり得ないので角運動量保存則と矛盾。よって光子の運動量がz方向である可能性は
ないわけです。

次に、放出された光子の運動量を観測してそれがz方向でない場合を考えます。
このとき、その方向の軌道角運動量成分は0で、ヘリシティは±1のどちらか
でしょうが、これはz方向ではないので角運動量保存則と矛盾しません。
z方向でない方向の角運動量成分は元から不確定であることに注意。
あるいはもし、運動量を観測せず、光子の角運動量z成分を観測したなら、
2光子合わせて1になるはずですが、これは軌道角運動量の成分を加味して
矛盾しません。この場合光子の運動量のx成分とy成分が不確定にならざるを
得ないので(どちらから飛んできたかわからないので)、光子が軌道角運動量
を持っていることを否定できないことに注意してください。

  投稿者:あもん - 2011/12/16(Fri) 07:27  No.11841  <Home>
不識庵さん:

>放出される光子の偏光を測定する事にすれば、(軌道角運動量を考慮しなくても)角運動量保存則を満たすような散乱断面積が得られるのかもしれません。

これですが、量子論においては偏光はスピンの重ね合わせです(逆も真)。すなわち、2つの偏光の固有状態を|1>、|2>として、ヘリシティの固有状態を|+>、|−>とすると、

|±>=(|1>±i|2>)/√2

です。ですから偏光を測定すれば保存則と矛盾しなくなると考えるのは、問題をあえて見なくするような行いに、結果としてなっているわけで、それをピーナッツさんは「特に関係ない」と表現したものと思われます。

もう1つの私の書き込みとあわせてお考えください。

  投稿者:ピーナッツ - 2011/12/16(Fri) 10:19  No.11842 
あもんさんが、補足してくれたとおりです。

終状態として線偏光の光子を考えることも可能です。
これは角運動量の固有状態にありませんが、物理的な状態が角運動量
の固有状態である必要もありませんから,これ自体は問題ないでしょう。
しかし、どんな偏光状態でもやはりスピンが+1と−1の重ね合わせな
わけです。よって、初期状態が全角運動量決まった状態なら、終状態も
角運動量が決まっています。それを線偏光として観測するひとは、
終状態は線偏光の重ね合わせ状態であると見るだけです。人の決めた
量子化軸など導入せずに、偏極度を考えようとすると、密度行列の
導入になりますが、これが以前に書いた偏極度を測る最も一般的な
方法です。参考書としては、ランダウのテキスト以外ではこの方法
を真面目に取り扱ったテキストは見たことがありません。レーザー
などを扱う分野では良く知られた方法だと思います。



  投稿者:ASA - 2011/12/16(Fri) 11:57  No.11844 
不識庵さんへのコメントとして、ピーナッツさんとあもんさんが説明されていますが、却って混乱してしまうのではと危惧します。といっても、うまい説明ができるわけではないですが。
1.自由状態の反応なら、重心系で考えれば、初期状態の電子対の軌道運動量は、0(ポジトロニウムのような束縛状態の場合は、軌道角運動量は相応の値をもつ)。
2.生成光子は、トータル角運動量で考える。光子では、粒子のようにスピンと軌道角運動量とに分けられない。ある部分で円偏光を観測したなら、その部分での|角運動量|=1である。トータル角運動量はその他の周辺部での観測結果を足し合わせることで得られる。
 少なくても、上記の2つを理解してないと通じない気がします。

  投稿者:あもん - 2011/12/17(Sat) 02:43  No.11855  <Home>
あと、わかったことを補足として…。

運動量の固有状態では運動量と同じ方向の軌道角運動量の成分が0であることに注意
すると、スピン反平行の対消滅から生じた光子対が元の電子対と同じ方向に運動して
いる場合、光子対のスピンが必ず反平行(同ヘリシティ)であることもわかります。
言い換えると、このような対消滅から生じる2光子が逆ヘリシティとなる微分断面積は
散乱角  $\theta=0$  において0です。これも数値計算で確認でき、EPR実験に似た
状況を実現しています。

さらに kafuka さんのおっしゃっていたCP不変性に注意すると、次の性質もわかります。
電子対がスピン平行(逆ヘリシティ)の状態  $|\psi\!>$  はCP=+1の固有状態です。
すなわち、

 $ CP|\psi\!>=|\psi\!> $ 

QEDは当然CP不変ですから散乱行列  $S$  に対し、

 $ CP \ S \ CP = S $ 

光子のヘリシティが±の消滅演算子を  $a_{\pm}(\vec k)$  と書くと、

 $ CP \ a_{\pm}(\vec k) \ CP = a_{\mp}(-\vec k) $ 

これらから、

 $ <\!0|a_{+}(\vec k) a_{+}(-\vec k) S |\psi\!> = <\!0|a_{-}(\vec k) a_{-}(-\vec k) S |\psi\!> $ 

がわかります。つまりスピン平行の電子対対消滅においては、光子のヘリシティが++と
なる散乱振幅と、−−となる散乱振幅は同一です。これも数値計算で確認できます
(数値計算ではどちらも恒等的に0のようです)。

(追記) 微分断面積の詳細をグラフ化しました↓
http://www.geocities.jp/amon009tm/memo/2gamma-sigma3.png


  投稿者:不識庵 - 2011/12/18(Sun) 17:57  No.11857 
あもん さん、ピーナッツ さん、

応答が遅くなりました。
不勉強な私のために、種々ご教示有難うございます。

No.11840>z方向でない方向の角運動量成分は元から不確定であることに注意。

仰る通りです。幾つかの点が私の頭の中から抜けておりました。

(1) 光子は最初考えた角運動量の方向とは全く縁のない方向へも放射され
  得る。
(2) 通常散乱断面積は、種々の方向へ放射される確率を足し合わせて計算
  される。
(3) 角運動量保存則が成立していたにせよ、初期状態の角運動量の方向と
  別の方向の角運動量の大きさが、初期状態の値に一致する必然性は無い。

私の頭の中にあった系に相当するのは、最初のスピンの方向と、放射される光子の運動量の方向が一致する場合であり、正しくあもんさんのご教示の通りと思います。
至れり尽くせり、という感じです。
重ねてお礼申し上げます。

No.11855>EPR実験に似た状況を実現しています。

こちらも大変に興味深いです。
直交する直線偏光(No.11834)について、運動量方向の角運動量を測定するとどうなるのだろうとは思っておりました。
2個の光子の角運動量が、各々が独立に確率1/2で±1になるのだとしたら、ある確率で角運動量保存則が成り立たない場合が出て来ます。
2個の光子の確率は独立ではない、という事なのですね。何とも不思議な状況です。

  投稿者:ASA - 2011/12/18(Sun) 20:22  No.11858 
>直交する直線偏光(No.11834)について、運動量方向の角運動量を測定するとどうなるのだろうとは思っておりました。
 直線偏光の1個の光子を観測するならば、その角運動量は0です。確率1/2うんたらということはありません(厳密には観測系によりますけど)。
 生成光子の様相は、粒子の運動量方向を軸とした円筒対称だから、直交することになります(低エネルギー極限では、球対称に近いので、角運動量0の条件がつくため)。そして、自然な基底では、右円偏光と左円偏光とで直交します。
 そして、直線偏光を右円偏光と左円偏光とに投影すると、それぞれの確率が1/2になります(期待値としての角運動量は0ですけど)。そして、そのような投影で2光子状態を見ると相関が生じてます(2光子状態での角運動量期待値が0なので、相関が生じるような観測系を構築するとこのようになる)。

  投稿者:不識庵 - 2011/12/18(Sun) 21:28  No.11859 
ASA さん、

>>直交する直線偏光(No.11834)について、運動量方向の角運動量を測定するとどうなるのだろうとは思っておりました。
> 直線偏光の1個の光子を観測するならば、その角運動量は0です。確率1/2うんたらということはありません(厳密には観測系によりますけど)。

さて、光子の運動量方向のスピン角運動量を測定して0という値が出て来る事があるのでしょうか?

直線偏光で角運動量を測定すれば、確率1/2で±1が出て来るものと思っておりましたが誤解でしょうか?

No.11841>の式を、|1>=・・・、|2>=・・・、等の形に変形すれば、そのように読み取れると思いますが・・・。

No.11858>の「そして、直線偏光を右円偏光と左円偏光とに投影すると、それぞれの確率が1/2になります(期待値としての角運動量は0ですけど)。」からも、そのように読み取れると思いますが・・・。

  投稿者:あもん - 2011/12/19(Mon) 03:28  No.11862  <Home>
>直交する直線偏光(No.11834)について、運動量方向の角運動量を測定するとどうなるのだろうとは思っておりました。2個の光子の角運動量が、各々が独立に確率1/2で±1になるのだとしたら、ある確率で角運動量保存則が成り立たない場合が出て来ます。2個の光子の確率は独立ではない、という事なのですね。何とも不思議な状況です。

これは量子論における「純粋状態」と「混合状態」に関連しているでしょう。ピーナッツさんが「密度行列」という言葉を使っていましたが、それと同様です。要するに、光子の偏光のあり方を測定してしまうと純粋状態から混合状態に変化し、外部(観測系)の影響が入ってしまうのです。だからもうその後光子のヘリシティを測定しても、もはや最初の角運動量が保存されている保証はないわけです。偏光とヘリシティが同時対角化可能でないことに注意。偏光の測定が系の角運動量を変化させてしまうわけです。

具体的には、最初の電子対の運動量がz方向で、ヘリシティが++で、放出された光子の運動量がz方向だったとします。終状態の状態ベクトルは次のようになります。

<tex> |\phi\!> = a|++\!> + b|--\!> = \frac{a+b}{2}\ |11\!> -\frac{a+b}{2}\ |22\!> +i\ \frac{a-b}{2}\ |12\!> -i\ \frac{a-b}{2}\ |21\!> </tex>

ここで、 $a=-2\sqrt{\frac{E-k}{E+k}}$ ,  $b=2\sqrt{\frac{E+k}{E-k}}$ ,  $E=\sqrt{k^2+m^2}$  で、 $k$  は電子対の運動量の大きさ、 $m$  は電子の質量です。規格化はしていません(散乱振幅を係数としています)。 $|++\!>$ ,  $|--\!>$  は光子のヘリシティがそれぞれ++と−−の状態で、 $|12\!>$  は偏光が2光子において1方向と2方向である状態を意味します。非相対論的極限では  $a+b=0$  なので、2光子の偏光は直交することになります(No.11834の陳述の通り)。

 $|\phi\!>$  においてヘリシティが+−(角運動量z成分が2)と観測される可能性は0ですが、偏光を観測してしまい、例えば  $|12\!>$  の状態に変化してしまうと、その後ヘリシティを観測すれば+−になる可能性も当然あるわけです。偏光を直接観測しなくても、それを原理的に知ることができる操作を行ってしまえば、やはり状態は純粋状態から混合状態へと変化してしまい、角運動量は最初の状態とは異なってしまう可能性があるわけです。これは観測装置が考えている系に角運動量を与えてしまったと考えてよいでしょう。

  投稿者:ASA - 2011/12/19(Mon) 07:04  No.11863 
不識庵 さん
 あもんさんも説明していますが、量子測定における反作用の影響とかがあるためです。No.11858 の測定においては、反作用なしで元の量子状態を変えない量子測定(非破壊検査に相当)を想定してます。元の量子状態を変える測定を投影と呼びました。なんども書くようですが、円偏光が角運動量を持つ状態とするのが自然です(古典電磁気との対応から)。直変偏光は、左右の円偏光の重ねあわせ状態です。直線偏光から左右どちらかの円偏光を投影したとすると、観測装置は、その投影と逆の円偏光が担う角運動量を吸収したことになります(測定器が観測系に角運動量を与えたとの解釈も可能)。
 
 ps.角運動量の固有状態は、直線偏光の固有状態ではないので、観測値は期待値である<S>=Tr(ρS)=0となるという説明のほうがわかりやすいですか(非理想測定の場合)?
 そもそも射影公準に従った理想測定が電磁波の偏光測定において可能と思えません。そのような装置は、測定器というよりむしろ偏光変換装置(偏光板などの光学機器の組み合わせによって実現)というべきものです(あらかじめ入射光の性質がわかってないと実現不能)。
 量子測定においては、測定系の構成によって結果が異なるので、測定系の構成も念頭におかないといけません。

  投稿者:不識庵 - 2011/12/24(Sat) 15:48  No.11919 
あもん さん、 ASA さん、

応答が遅くなりました。
不勉強な私のために、重ね重ねのご教示有難うございます。

ハイトラーの本の他、ランダウ・リフシッツにも、放射される光子の偏光方向の直交に関する記載がありました。
量子力学では、測定していない物理量に関する言及は(余り)意味が無いと認識しています。
「偏光方向が直交している。」と言及した時点で、偏光の測定が行われる事が暗黙の裡に仮定されている、と理解しました。

偏光を測定してしまえば、状態ベクトルは測定前とは必ずしも一致しないので、角運動量保存則は必ずしも満たされないとの、No.11862のご指摘に同意致します。

有難うございました。