EMANの物理学 過去ログ No.11406 〜

 ● 磁気量子数m

  投稿者:大学生E - 2011/11/02(Wed) 14:30  No.11406 
初歩的な質問です。

磁気量子数mは
   −l≦m≦l
の2l+1個の値しかとり得ないのは何故ですか。
シュレジンガー方程式だけから説明できますか。



  投稿者:kafuka - 2011/11/02(Wed) 19:05  No.11408 
もちろん、シュレーディンガー方程式だけから出てきます。
(境界条件と規格化条件を当てはめると、ですが)

ちょうど、Wikipedia にありました。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B0%B4%E7%B4%A0%E5%8E%9F%E5%AD%90%E3%81%AB%E3%81%8A%E3%81%91%E3%82%8B%E3%82%B7%E3%83%A5%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%83%87%E3%82%A3%E3%83%B3%E3%82%AC%E3%83%BC%E6%96%B9%E7%A8%8B%E5%BC%8F%E3%81%AE%E8%A7%A3
の、Φ(φ)の解が、
<tex>\Phi(\phi)=A\exp(\pm im\phi)</tex>
である(Aは定数)。また、波動関数はいたるところで連続であるので、Φ(φ+2π)=Φ(φ)が境界条件となり、
<tex>A\exp(\pm im\phi\pm 2im\pi)=A\exp(\pm im\phi)</tex>
すなわち
<tex>\exp(\pm 2im\pi)=1</tex>
が必要である。この式は、オイラーの公式より、
<tex>\cos(2m\pi)\pm i\sin(2m\pi)=1</tex>
と書けるので、m=0,±1,±2,… を得る。

一方、Θ(θ)を解くと、、、

Θ(θ)を規格化するために、
ルジャンドル陪関数は下記の関係を満たすことを用いる。
<tex>\begin{array}{lcl} \displaystyle \int_{-1}^{1} P_{l}^{m}(z) P_{l}^{m}(z) dz & = & \displaystyle \int_{0}^{\pi} P_{l}^{m}(\cos\theta) P_{l}^{m}(\cos\theta) \sin\theta d\theta\\ & = & \displaystyle \frac{2}{2l+1} \frac{(l+|m|)!}{(l-|m|)!}\\ \end{array}</tex>
よって、
<tex>\int \Theta(\theta)\Theta(\theta)\sin(\theta)d\theta = 1</tex>
とするためには、
<tex>\begin{array}{lcl} \displaystyle \Theta(\theta) & = & \displaystyle A P^{m}_{l}(z)\\ & = & \displaystyle \sqrt{l+\frac{1}{2}}\sqrt{\frac{(l-|m|)!}{(l+|m|)!}}P^{m}_{l}(z)\\ \end{array}</tex>
となることが解の条件である。
したがって、mは、
−l≦m≦l
の間でなければならない。
//

EMANさんへ
上の式は、Wikipediaの内容をコピペして、<tex>と</tex>とで 挟んだ
だけで、何の修正もせず表示できました。
EMANさんに、あらためて敬意を表します。

  投稿者:hirota - 2011/11/04(Fri) 10:02  No.11415 
ルジャンドル陪関数で表してる段階で既にmが所定の範囲内でなきゃならないのに・・・
証明するんなら、ルジャンドル陪関数で表す前でなきゃ。

  投稿者:kafuka - 2011/11/04(Fri) 14:17  No.11416 
>Hiroaさん

それは、そうですね。
手を抜きすぎました。
P_θ^m(z)の導出を調べてみます。

  投稿者:サンマヤ - 2011/11/05(Sat) 04:14  No.11421 
これはシュレーディンガー方程式を用いずに証明できたと思います。
ディラック方程式など、シュレーディンガー方程式以外の波動方程式に従う場合でも、
一般的に成り立つべき法則だからです。
角運動量演算子
<tex> \hat{l} = \hat{r} \times \hat{p} </tex>
を定義すると、具体的に位置表示
<tex> \hat{x} = x</tex>
<tex> \hat{p} = \frac{\partial}{\partial x} </tex>
などを用いれば、角運動量演算子間の交換関係
<tex> \{ \hat{l}_x,  \hat{l}_y \} = i \hbar \hat{l}_z </tex>
などが得られます。
スピン演算子も含め、この交換関係の方を一般的に角運動量演算子が満たすべき代数的関係と仮定します。
つまり一般的な角運動量演算子ベクトル<tex>\hat{J}</tex>
<tex> \{ \hat{J}_x,  \hat{J}_y \} = i \hbar \hat{J}_z </tex>
などを満たす3つの演算子とします。
すると、この演算子の絶対値の2乗、
<tex> \hat{J}^2 = \hat{J}^2_x + \hat{J}^2_y + \hat{J}^2_z </tex>
を考えると、この<tex>\hat{J}^2</tex>は各々の角運動量演算子と交換することが証明でき、
そこから、量子状態として、<tex>\hat{J}^2</tex>と、どれか一方向の角運動量演算子(たとえば<tex>\hat{J}_z</tex>)との同時固有状態がありえることになります。
そこからは、昇降演算子を定義して云々とやっていくと、
<tex>\hat{J}^2</tex>の固有値を<tex>j(j+1)</tex>
<tex>\hat{J}_z</tex>の固有値をmとしたとき、
jとmの間に質問にあるような「方向量子化」の関係がなければならないことが導かれます。
この辺は詳しめの教科書か演習書なら必ず乗ってると思うので計算の詳細は省きます。
(私の手元にある本では、共立出版「詳解量子力学演習」にありました)

言いたかったことは、角運動量演算子間の交換関係から導かれる、ということです。

ある性質が、演算子間の代数的関係から導かれるのか、
あるいは具体的な波動方程式(あるいは場の方程式)を指定したうえで導かれるのか、
ということをきちんと切り分けておくことは、
場の量子論以降にいったときに非常に大切になってくると思います。
角運動量・スピンの性質というのは量子論・素粒子論の根幹をなす概念であり、
量子論的な理論が必ず満たしていなければならない性質の一つではないでしょうか。
(ほかには、位置と運動量の交換関係から不確定性関係が導かれる、などがあります)
この関係から、全角運動量が半整数である状態も許されることになり、
スピンが1/2などの粒子が許されるということにもつながっていきます。

歴史的には量子論の初期に経験則(選択則)として認識され、
教科書的にも当たり前に最初の方に出てくる式なので、
「初歩的」と思われたかもしれませんが、かなり重要な論点かと思います。

  投稿者:不識庵 - 2011/11/05(Sat) 12:09  No.11425 
元々の質問は、

>シュレジンガー方程式だけから説明できますか。

だったと思います。

>これはシュレーディンガー方程式を用いずに証明できたと思います。

結局、シュレーディンガー方程式だけからは証明出来ないって事ですかね?

  投稿者:kafuka - 2011/11/05(Sat) 15:38  No.11427 
サンマヤさん

そうなのですか!!
目から鱗です。

不識庵さん
シュレーディンガー方程式は、サンマヤさんの証明から言って、必ずこの関係を満たします。
したがって、シュレーディンガー方程式から「も」証明できるはずです。
例えば、、、
数学で、定理を使って証明するのと、定理を使わず、公理を組み合わせて行って、
証明するのと、似た関係だと思います。

  投稿者:サンマヤ - 2011/11/06(Sun) 03:24  No.11431 
どうも舌足らずですいません。

方向量子化の法則は、シュレーディンガー方程式とは<独立>に成立します。
一般的に波動方程式からは「証明できない」性質のものです。

kafukaさんの議論も、結局はハミルトニアンを変数分離することによって角運動量演算子の性質に帰着するものです。

波動方程式はシュレーディンガー方程式だけではありませんから、
ある一つの方程式の解となった波動関数がその関係を満たしていても、
それで関係が証明できたというより、
「方向量子化と矛盾しないので方程式やその解は量子論的に妥当である」という
制限となっているというべきではないでしょうか。
(たとえば不確定性原理も同じ。
不確定性原理がシュレーディンガー方程式から証明されるのでなく、
シュレーディンガー方程式の解が不確定性原理と矛盾しないので、
量子論的な方程式として妥当だと判断される)

  投稿者:不識庵 - 2011/11/06(Sun) 12:19  No.11434 
サンマヤ 様

お考えに同意致します。

ご教示有難うございます。

  投稿者:kafuka - 2011/11/06(Sun) 13:35  No.11435 
サンマヤさん

なるほどです。
確かに、量子力学の1つの要請:
(シュレーディンガ描像のことでない)シュレーディンガ方程式 ih'd/dt |ψ>= H |ψ>
は、正準交換関係を前提とした要請ですから、シュレーディンガ描像のシュレーディンガ方程式から
証明する、というのは本末転倒ですね。

不識庵さん
すいませんでした。
僕の理解不足です。

  投稿者:サンマヤ - 2011/11/07(Mon) 07:57  No.11448 
質問主の大学生Eさんは、質問の内容から考えて大学2、3年生ぐらいで量子力学を学び始めて半年か1年ぐらいの方でしょうか?
背景も含めて書いていただけると解答する側としてもやりやすいです。

自分が、このような量子論の論理構成を意識したのは、
実は大学を卒業し、30歳をすぎてもう一度理解が不十分なところをやり直そうと思い、
ファインマンの教科書を読みなおしてみたところから始まっています。
学生のころはほとんどそんなことは意識していませんでしたが、
いま振り返ってみれば「演習」の授業構成はこういうことを踏まえたものになっていたように思うので、
それは当時の自分の理解力や意識の問題だと思っています。

普通の量子力学の教科書は、前期量子論に触れた後にすぐシュレーディンガー方程式が現れ、
そのあとは様々な場合にそれを解いていくような感じで進んでいくと思います。
ですが、ファインマンの量子力学の巻でシュレーディンガー方程式が出てくるのは、かなり終盤です。
そこには場の量子論を意識した行列力学的なフレバーもあるのですが、
波動方程式なしにどこまで量子力学を記述できるのか、
スピンや散乱、2状態分子の問題などを議論していくやり方は目からウロコでした。
これから量子力学(というか物理)を学んでいくならば、
そういう論理構成なども意識していくと面白いかもしれません。
(まあ最初は、計算やそれに必要な数学の習得でそんな余裕はないのも現実ですがw)

  投稿者:hirota - 2011/11/08(Tue) 09:38  No.11463 
>シュレーディンガー方程式とは<独立>に成立
これは一般のシュレディンガー方程式についてはそうです。
ただし、最初の質問は「水素原子のシュレディンガー方程式」に限った話ですから、「球対称=方向量子化と矛盾しない」という境界条件なので、このシュレディンガー方程式には含まれてます。

  投稿者:サンマヤ - 2011/11/10(Thu) 08:03  No.11493 
サンマヤです。

hirotaさま
元の質問には「水素原子」という言葉は一切なかったように思います。
ただ、「初歩的」という言い方をされているので、
水素原子の電子軌道に関する話なのではないかという予想はできます。
なのでNo.11448で「背景も書いていただけると」と書いたのです。
その場合、「シュレディンガー方程式と独立」という解答では的外れかなと思ったので。
(たとえば、物理系の学生なのか、化学系の学生なのかで、量子力学へのアプローチも関心の向け方も違ってくるでしょう)

質問主の方が「シュレジンガー方程式だけで説明できますか」という質問をされたときに、
<だけ>という部分で、ほかの要素があると考えられる場合にどういうことを想定されたのか、
教えていただけるとそれに沿った解答ができるかと思います。