EMANの物理学 過去ログ No.11038 〜

 ● 啓蒙的解説を是非

  投稿者:結構仮面 - 2011/06/25(Sat) 22:50  No.11038 
このサイトで物理学の勉強をさせていただきました。
そして「趣味で相対論」も購入、、、じゃなかった図書館で借りました。

正直難しい。でも「香り」は胸一杯吸い込みました。

ところで、放射性物質の汚染が問題になっていますが、「平凡な人でも解る放射線と放射能汚染への理解」てなタイトルで、世の民を啓蒙していただけないでしょうか。

政治的あるいは社会的批判という面は省いて、純粋に科学的に。

今後数十年色々な角度や立場から様々な論が渦巻くと思いますが、科学的基礎がないと、正しく対処できないと思いますので。


  投稿者:ASA - 2011/06/30(Thu) 07:38  No.11041 
結構仮面 さん
>政治的あるいは社会的批判という面は省いて、純粋に科学的に。
"放射能汚染への理解"という点では、「純粋に科学的に」は不可能です。

既に、EMANさんはブログで放射線関連項目の容易な解説を試みています。手始めにこれを参考になさるのがよろしいでしょう。
しかし、
http://eman-science.cocolog-nifty.com/blog/2011/04/post-880c.html
>>純粋に物理学的な意味の量ではなくて、
>>医療系の経験を元にして決められた量だと言える。
内部被曝については、医療系の研究が不足してます。
医療系の経験ということなので、水俣病の例にもあるように書き換えられる可能性があります(大規模な放射能汚染が現在進行中です)。

>>アルファ線やベータ線は、防護服で簡単に防げるから、
>>作業員の人体への影響は
>>ガンマ線のみに注目してればいいということらしい。
 一般人は、防護服で過ごしていませんから、原発事故のように大気や土壌等の自然環境が汚染され、内部被曝が不可避の場合の影響評価尺度としては適切でありません。よくみられるベクレル<->シーベルトの換算には、疑念が付きまといます。
 このように、方射能汚染の影響は、客観的科学として記述できません(影響評価尺度の恣意性)。
"放射能汚染への理解"という点では、リスク管理の知見が必須です。しかし、リスク許容量に関して「政治的あるいは社会的な合意」が得られていない現在、非常に注意が必要です(その一例として、癌リスクのみを取り上げて、他の要因、例として寿命への影響が考慮されてないことをEMANさんブログへのコメントでも書きましたけど)。 

  投稿者:結構仮面 - 2011/07/02(Sat) 23:42  No.11043  <Home>
ESA様

早速、「EMANの科学ニュース」拝読いたしました。
「EMANの物理学」が全てだと思っていましたので、こういうブログもあったのを知りませんでした。
ありがとうございます。

医学的方面は、これも科学だと思っていますが、EMANさんのテリトリーではないのだろうな、とは思っておりました。
短い要望の文章で、僕のお願いしたかったことのイメージが掴みにくかったことと思います。失礼いたしました。

○ 原子の構造、なぜ核分裂が起こるのか、核分裂の種類(α、β、γ)、放射線が人体に影響を与えるとは、物理的にどういうことか(電離作用から分子結合を切断する等)、放射性物質の種類(福島から飛び散ったと放射性物質はどのような物が多いか。 特に半減期が長く量が多い物)、
○ 環境にばらまかれた放射性物質はどんな振る舞いをするのか(仲間同士でくっついて大きな分子になる、特定の物質と強い親和性がある等)、簡易線量計の数値の意味するところ、シーベルトとベクレルの数値が意味すること、等等

僕は「EMANの物理学」を拝読したり、その他の本を読んだりして、中途半端な知識はあるのですが、理解するのに随分苦労しました。
世間の一般の人は、話しを聞いているとあまりにも基礎知識がないこと、一方新聞やテレビの解説はあまりにも大雑把で、その妥当性を一般の人が判断するのがとても難しいと思います。

僕はEMAN氏の「相対性理論」や「素粒子論」を読んで、難しいことを、分かりやすくかつ系統的に表現する文章力に惚れてしまいました。
こういう人が、僕が上記したような内容で、少々長めの解説を書いて下さったら、御用学者のインチキ解説や、マスコミのやっつけ記事に踊らせることなく、一般の方々が、今後とも玉石混交で流される、放射線に関する情報を適切に活用できるのではないかと考え、提案させていただいた次第です。

  投稿者:ASA - 2011/07/03(Sun) 08:51  No.11044 
>放射性物質の種類(福島から飛び散ったと放射性物質はどのような物が多いか。
放射性物質に限らず核分裂生成毒物(対生態)を問題にすべきと考えてます。
参考 http://www.rist.or.jp/atomica/data/pict/03/03060304/03.gif
セシウム137などは6%、下限の砒素75(有名な毒物)辺りで0.01%程度、質量数95と140を中心に広く分布してます。

>○ 環境にばらまかれた放射性物質はどんな振る舞いをするのか
 Now on goingですね。環境汚染の先例である水俣病では、無機水銀が自然環境中で有機化し神経中毒が起きることが長い時間たってからわかってきました。
原発事故の先例として、チェルノブイリ事故を参照するのが適切ですが、政治的理由等により十分な調査がなされていないのが現状でしょう(旧ソ連に限らず、この日本でも汚染調査は速やかになされてません)
 しかし、不十分な調査でも子児甲状腺癌の有意な増加が疫学的に認められてます。これは、放射性ヨウ素が甲状腺ホルモンを作成する甲状腺に濃縮されるため起きるとされます。このような、生態内での微量元素の役割とその生成器官は、医学的によく分かっていないのが現状でしょう。生態化学物質で微量元素を使用する各種の生態器官が放射性物質で損壊した場合、どのような症状が発症するのかもまたわかってません(原発ぶらぶら病は、免疫関連器官や生体物質の変質や変調だと考えますけど)。
 自然環境がことなるのでチェルノブイリの事故も相応程度の参考にしかなりません(福島はチェルノブイリより悪い可能性もあります、予見は非常に難しいです)。子児甲状腺癌の増加は、確実視できます。

>簡易線量計の数値の意味するところ
 空間放射線量の目安にはなりますが、内部被曝量の指標にはならないですね。

>シーベルトとベクレルの数値が意味すること、等等
 シーベルトは被曝の影響量、ベクレルは物質の放射率(放射能)を示すものですね。先に述べたようにシーベルトとか、ベクレルからシーベルト換算には疑問があります。

>その妥当性を一般の人が判断するのがとても難しいと思います。
 だからこそ、放射線に係わる詳細項目の知識より、マクロなリスク管理の知見のほうが一般人には必要です。

>放射線に関する情報を適切に活用できるのではないかと考え、提案させていただいた次第です。
 EMANさんには、庶民目線でのリスク管理の知見をベースにした解説を期待します。

  投稿者:T_NAKA - 2011/07/03(Sun) 09:18  No.11045  <Home>

TO: 結構仮面さん。

横レスで失礼します。
結構仮面さんのご希望を満足するものかどうかは分かりませんが、

学習院大学理学部 田崎晴明先生の書かれた「放射線と原子力発電所事故についてのできるだけ短くてわかりやすくて正確な解説」http://www.gakushuin.ac.jp/~881791/housha/

というのがあります。ご参考までに。
(これはあくまで参考ですので、どうしても読んで欲しいというわけではありません。あしからず)

  投稿者:ASA - 2011/07/03(Sun) 10:58  No.11046 
>田崎晴明先生の書かれた「放射線と原子力発電所事故についてのできるだけ短くてわかりやすくて正確な解説」
 ざっとみましたが、リスク管理の知見からすると注意を要する文献です。

田崎>「放射性物質や放射線は、自然にはなく、人がつくった不自然なものだから危険だ」というのはまちがい。人がつくる前からもともとあった。
 これは、明白な間違いです(「正確な解説」と題しているので、学者としての資質を疑ってしまいます)。
 特に半減期が短く天然に存在しない放射性物質が、生態内部に取り込まれたときの挙動は不明です(人体実験そのものが倫理的問題が有るし、トレース自体が困難)。不明なものですから、リスク管理の知見からすると危険(リスクが大きい)なのです。
 人工放射性物質は、放射毒性だけでなく、化学毒性を持ちえることを考慮してません(内部被曝時の影響評価を勝手に無視しているという問題があります)。例:プロメチウム wikiより"物理的、化学的性質は不明な部分が多い。"
 
 医学的知見に詳しくないのでしょうけども、だからこそ、わからないことは、わからないとちゃんと書くことが求められます(また、わからないことが最大のリスクであることも)。
 つまり、仮に、叙述が前段部分のみ「放射性物質や放射線は、自然にはなく」だけなら、間違いとの指摘はOKです。しかし、叙述は、後段の「危険だ」というリスク評価がからんでいる複合叙述になっているので、これを間違いとするのは明らかなミステークになってます。

 原発事故に適応されるべきリスク管理の手法は、予防原則と考えられます。
 参考:http://www.mri.co.jp/NEWS/magazine/journal/44/__icsFiles/afieldfile/2009/06/19/jm05013106.pdf 4.3 リスク管理の包括的整理

 初めにコメントしましたが、「放射能汚染への理解」政治性(社会的リスクに関する合意形成)抜きに語ることは出来ません。
 
 家伝社の「放射能汚染──どう対処するか」宮川彰、日野川静枝、松井英介 編著が総合的観点からお勧めです。内部被曝による影響を(各種事例で)ちゃんと示している点がポイントです。
 例としてトロトラスト http://www.rist.or.jp/atomica/data/dat_detail.php?Title_Key=09-03-01-11
 では、トリウム化合物での晩発障害が明らかになってます。"がん抑制遺伝子P53に突然変異を起こしてがんを発生するといわれている。また、精巣にも沈着し、父親の精子の遺伝子を傷つけた影響が子供たちに伝わる恐れも指摘されているが、今後の課題であろう。"と癌による寿命短縮という被害に加えて遺伝障害の危険性も指摘されてます。
 リスク管理の観点からは、死の灰を構成する全ての元素で、その化合物が引き起こす被害が、調査し尽くされているわけでないことに留意しておくべきでしょう。