EMANの物理学 過去ログ No.10801 〜

 ● 円運動の運動方程式の適用について

  投稿者:ケプラー - 2011/04/29(Fri) 21:48  No.10801 
どなたか教えてください。
高校物理を独学で勉強しています。
半径rの等速円運動をする質量mの物体は運動方程式がこうなっています。
<tex>m \frac{v ^{2} }{r}  = F</tex>
つまり物体には向心力が常に働いて、物体に加速度 <tex> \frac{v ^{2} }{r} </tex> をもたらす。だから運動方程式が立てられます。

ですが、よく問題集でジェットコースターの例のように、鉛直に立てた円の面の中もしくは他端を固定したひもがついた物体が鉛直の円面にて円運動するような場合、最下点で初速度V0として、角度がθの時の速度をVθとしたら、物体の位置が高くなるほど重力の影響で V0 > Vθ となるようです。
つまり等速ではないのに、上記のような等速円運動の運動方程式を立てて、答えを導いたりしています。
等速でないことは問題の前提でも書かれたりしているのに、どうして解法には「等速」の式を使うのでしょうか?
そもそも上記の運動方程式は等速でなく、中心への「等加速度」と考えればよいのでしょうか? しかし、中心向きに対して重力加速度の向きは常に変わっていると思うので、やはり等加速度でもないように思います。
むしろ、円運動の中心と加速度のベクトルの向きが集まる点(焦点)が一致しないような運動なのでしょうか。惑星や彗星の楕円運動は、恒星に近づくと速度が大きくなると思いますが、これを完全な円運動になるよう長軸を縮小させたような運動です。なんと表現したらよいか分からないですが。
なにかコメントいただけると勉強の励みになります。
よろしくお願いします。

  投稿者:甘泉法師 - 2011/04/30(Sat) 08:52  No.10802 
こんにちは。


軌道が半径r(定数)の円周上に束縛されていれば、自由度は円の中心から見た角度θだけです。
速度は rdθ/dt 加速度は rd^2θ/dt^2 ですから
ニュートンの運動方程式は m rd^2θ/dt^2 = F_θ 周方向の力  です。


>ジェットコースターの例のように、鉛直に立てた円の面の中もしくは他端を固定したひもがついた物体が鉛直の円面にて円運動するような場合、最>下点で初速度V0として、角度がθの時の速度をVθとしたら

運動方程式は
 m rd^2θ/dt^2 = F_θ = −mg sin θ
で 解は楕円関数と呼ばれる関数になります。

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rもかわりうるならちゃんと極座標表示で運動方程式をあらわす必要があります。
たとえば東工大の http://www.th.phys.titech.ac.jp/~muto/lectures/Gmech08/chap05.pdf が参考になるでしょう。

=甘泉法師=

  投稿者:yuya - 2011/05/02(Mon) 10:32  No.10808 
ケプラーさん、はじめまして。

ケプラーさんのおっしゃるとおり、等速でない円運動の加速度は中心方向を向いておらず、
したがって加速度ベクトルは中心方向成分に加えて接線方向にも成分を持っています。
このうち中心方向成分に関しては、等速のときと同じ式で表わされる、というだけです。

この問題は、「動点の位置 $\vec{z}$ が $t$ の関数として与えられたときに、
速度 $\vec{v} = \D \vec{z}(t) / \D t$ や加速度 $\vec{a} = \D \vec{v}(t) / \D t = \D ^2 \vec{z}(t) / \D t^2$ がどうなるか」という問題ですから、
運動方程式に乗せて力学的に議論する以前の、純粋に数学の(せいぜい運動学の)範囲で
決着をつけることができます。

円運動する点の座標が
 $x(t) = r \cos \theta (t)$ 
 $y(t) = r \sin \theta (t)$ 
で表わされるとします。

もしも等速円運動であれば $\theta (t) = \omega t$ ( $\omega$ は一定)ですが、
いま、そうとは限らない一般の場合(ただし $r$ は一定)について、
速度ベクトルや加速度ベクトルの成分がどうなるか、計算してみましょう。

以降、 $t$ の関数であることを表す $(t)$ は省略し、 $t$ による微分をドットで表わすことにします。

まず、速度。

 $\dot x = - r (\sin \theta) \dot{\theta}$ 
 $\dot y = r (\cos \theta) \dot{\theta}$ 

これらの成分を持つベクトルを、接線方向と半径方向に分解しなおすと
(機械的には $- \theta$ 回転の行列をかけてやればよい)、
接線方向に  $r \dot \theta$ という成分を持つことが分かります(半径方向はゼロ)。
 $r \dot \theta = \dot{(r \theta)}$ であり、 $r\theta$ は動点の足跡(円弧)の長さですから、
その時間変化率が円運動の速さを表わすことは、容易に理解できるでしょう。
これは円運動が等速であろうとなかろうと同じことですね。

次に加速度。

 $\ddot x = -r (\cos \theta) (\dot{\theta})^2 - r(\sin \theta) \ddot \theta$ 
 $\ddot y = -r (\sin \theta) (\dot{\theta})^2 + r(\cos \theta) \ddot \theta$ 

これも $x, y$ 方向で書くとややこしいですが、同様に分解しなおすと、
接線方向に $r \ddot \theta$ 、中心方向に $r(\dot{\theta})^2$ の成分を持つことが分かります。

先ほどの速度についての考察により、(等速かどうかに関わらず)
接線方向にしか成分を持たない速度ベクトルの大きさは $v = r \dot \theta$ から、
 $\dot \theta = v / r$ 、これを用いれば加速度ベクトルの中心方向成分は $r (v / r)^2 = v^2 / r$ と書けます。

等速円運動の場合に限っては、たまたま  $\ddot \theta =  0$  のため、
加速度ベクトルは接線方向の成分を持たず、つねに中心方向を向いています。

  投稿者:ASA - 2011/05/02(Mon) 15:35  No.10811 
>このうち中心方向成分に関しては、等速のときと同じ式で表わされる、というだけです。

 おまけですが、極表示の複素数Z=rexp(iθ)を時間で2階微分します。Z''=Rexp(iθ)、この動径Rの実部、Re(R)=r''-r(θ'^2)がrを曲率半径とする法線方向の加速度を示してます。また、虚部は接線方向の加速度成分を示します。
 これらの関係式は、等速運動円運動、つまりv=rθ'が定数でなくても成立してます。

>ジェットコースターの例のように、鉛直に立てた円の面の中
 だと、半径が変らないのでr'=0より、
 f.=mr(θ'^2)、f_=mrθ''として
法線成分は、F.=f.+mgsinθ,接線成分F_=f_+mgcosθ
絶対値はF=√(f.^2+f_^2+(mg)^2+2mg(f.sinθ+f_cosθ)
となってます(θは時間の関数,接条件|f.|>mgを満たすとき)。

  投稿者:ケプラー - 2011/05/02(Mon) 21:11  No.10814 
みなさんありがとうございました。
ほんとに基本的なことを丁寧に教えていただいて、物理をやる人の優しさを感じました。
さきにも書いたように、高校物理を独学で勉を強しているため、関数や微分の基礎的知識も十分に勉強できていません。

高校物理の問題集は皆さんにとって、ぜんぜん難しくないのでしょうか?
大学物理にすぐ進みたいところですが、高校レベルを完璧に解答できるようにしたほうがよさそうで勉強してます。
ちなみに、高校物理の後は、どんなテキストを使うとよいのでしょうか?
あと、EMANさんの物理サイトは面白くて、目標にしています。
高校物理後の上級物理への橋渡しについて情報をたっぷり掲載していただけるとうれしいです。

  投稿者:yuya - 2011/05/07(Sat) 10:18  No.10834 
>高校物理の問題集は皆さんにとって、ぜんぜん難しくないのでしょうか?
>大学物理にすぐ進みたいところですが、高校レベルを完璧に解答できるようにしたほうがよさそうで勉強してます。

私にとって高校物理の問題集は、問題を解くこと自体はできても、
「ここはよく理解していないな」と気付かされることが多く、あなどれない存在です。

その一方で、高校物理は独特の制約に縛られて記述せざるを得ない面がありますから、
大学生向けの教科書を読むことで、かえってスンナリ分かるということも多いです。

>ちなみに、高校物理の後は、どんなテキストを使うとよいのでしょうか?

「どの教科書が良いか」というのは頻繁になされる質問ですが、書きづらい面もあるかもしれません。
このサイトの「参考文献」や「書店」のページはご覧になったでしょうか?

私が読了した範囲で良書だと感じたのは、

砂川重信「物理の考え方」シリーズ(岩波書店)
長沼伸一郎「物理数学の直感的方法」(通商産業研究社)
芦田正巳「熱力学を学ぶ人のために」「統計力学を学ぶ人のために」(オーム社)
ランダウ「相対性理論入門」(東京図書)(絶版?中古で入手できそう)
原島鮮「力学」(裳華房)

などです。

まだ読んでいる途中ですが、

前野昌弘「よくわかる電磁気学」「よくわかる量子力学」(東京図書)

も分かりやすいです。

もちろん「趣味で物理学」「趣味で相対論」も強く薦めますが、
EMANさんの本だけで勉強することはEMANさん自身も薦めないことでしょう。

  投稿者:甘泉法師 - 2011/05/07(Sat) 13:13  No.10840 
こんにちは。

>原島鮮「力学」(裳華房)

をご存知なら 裳華房 基礎物理学選書 シリーズhttp://www.shokabo.co.jp/series/310_kisobutu.html はどうでしょう。
原島先生の力学ならこちらのほうが好きです。自分も高校当時これで勉強しました。電磁気学や量子力学も高校生でも斜め読みできると思います。

=甘泉法師=


  投稿者:甘泉法師 - 2011/05/07(Sat) 13:24  No.10841 
 こんにちは。

>芦田正巳「熱力学を学ぶ人のために」「統計力学を学ぶ人のために」(オーム社)

 山口大学の芦田先生を存じあげていますが、基礎の基礎からよくお考えになっているかたです。
 わたしもわからなくなると http://collie.low-temp.sci.yamaguchi-u.ac.jp/~ashida/index.html におじゃまして熱力学、複素関数論を復習させていただいています。 先生、本は買わずにすみません。 

=甘泉法師=

  投稿者:style - 2011/05/11(Wed) 23:44  No.10875 
熱力学で、とても丁寧に書かれているなと思った本は

熱力学の基礎  (清水 明)

ですね。

意外と曖昧にされがちな部分(ネットとかでみるといつも思う。エントロピーの変数とか、そしてそういった変数を選ぶわけ)に関しての記述が半端無く丁寧に書いてあります。

なんというか、熱力学に限らず学問的に大事な考え方のコツなんかが自然と読んでる内にわかるような本です。