EMANの物理学 過去ログ No.10471 〜

 ● 熱力学の仕事の意味がわかりません

  投稿者:JH - 2011/02/15(Tue) 20:40  No.10471 
JH ともうします。初めて投稿します。

50を過ぎて熱力学を勉強し(昔学校で習ったけど理解できなかった)、その難しさに苦しんでいます。そのような状況にあるときに EMAN さんの HP にたどり着き、EMAN さんのわかりやすい説明に感心しております。それでも私の頭の悪さから理解できないことがあり、この場を借りてどなたかに教えていただきたく投稿する次第です。前置きが長くなりました。

シリンダー内部に気体(理想気体とします)を閉じ込めてピストンを動かし、気体の内部エネルギーの変化を考えます(よくある問題設定です)。シリンダー内部の気体を「系」とします。そしてシリンダーとピストンは完璧な断熱材でできているとします。シリンダーとピストンは「系」にも「外部」にも含まれない中立地帯と考えて、シリンダーとピストンの外側を「外部」とします。系と外部の温度は任意とします。またピストンとシリンダーの間には摩擦はなく、系内で気体が撹拌されて発熱することもないと仮定します。

系の圧力を P(in) とし、外部の圧力を P(out) とします。また、系の圧力は均一であり(系内のすべての場所で P(in) である)、外部の圧力も均一である(外部のすべての場所で P(out) である)とします。

ここでピストンが移動し「系」の体積が dV だけ変化したとします。このとき「系」の内部エネルギーの変化(dU = dW)は - P(in) dV なのでしょうか、それとも - P(out) dV なのでしょうか?また、外部の内部エネルギーの変化 (dU' = - dW) は P(out) dV なのでしょうか、それとも P(in) dV なのでしょうか?

エネルギー保存則は(熱力学第二法則のあるなしに関わらず)正しいので
dU + dU' = 0
が成り立つ気がします。
しかし、dW = - PdV の式の中の P を P(in) とするか P(out) とするかで
dU + dU' = 0 が成り立たなくなることもあるように見えます。

(もちろん、系と外部の間で圧力の平衡が成り立っていれば、P(in) = P(out) なので、dU + dU' = 0 が成り立つのは、私でも分かります)

もうすこし説明します。ゲイリュサック=ジュールの実験結果に従えば、系の内部エネルギーの変化は、
dU = - P(out) dV
と考えれば良いような気がします。しかし、そうすると、外部の内部エネルギーの変化を
dU' = P(in) dV
としなければならないように感じます。結果、P(in) と P(out) が等しくなければ dU + dU' = 0 が成り立たなくなってしまいます。

この世では dU + dU' = 0 が成り立たないなんてあり得ないでしょうから、私は何を勘違いしているのでしょうか?例えばピストンの運動まで考慮すればエネルギー保存が成り立つのでしょうか。または、非平衡では dW = - PdV が成り立たないのでしょうか?圧力の均一性がそもそもおかしな仮定だったのでしょうか?熱力学は私にとって複雑すぎます。

どなたか教えていただけますでしょうか。
よろしくお願いいたします。

  投稿者:yuya - 2011/02/15(Tue) 22:37  No.10472  <Home>
>例えばピストンの運動まで考慮すればエネルギー保存が成り立つのでしょうか。

そのとおりですね。

P_in ≠ P_out ということは、ピストンの裏表で圧力が違うわけですから、
ピストンにかかる力は釣り合っておらず、ピストンは仕事 (p_in - p_out)dV を受け取ります。
(圧力の高いほうから低いほうへ動けば正の仕事を、逆なら負の仕事を受け取ることになります。)
この分だけピストンの運動エネルギーが変化するので、これを勘案すればエネルギー保存が成り立ちます。

  投稿者:メカトロ - 2011/02/15(Tue) 23:03  No.10473 
>「系」の内部エネルギーの変化(dU = dW)は - P(in) dV なのでしょうか、それとも - P(out) dV なのでしょうか?

dU=dW+dQ
dW=-pdV

dWにはマイナスがついています。これは系の気体がピストンにした仕事分だけ
内部エネルギーが変化する(dV>0ならdU<0、dV<0ならdU>0)という意味です。
dw=-p(in)dV
の方ではないかな?

  投稿者:JH - 2011/02/16(Wed) 00:12  No.10474 
yuya 様、メカトロ 様:

お返事大変ありがとうございます。
やはり質問してよかったです。大変勉強になります。

エネルギー保存が厳密に成り立っているのは分かりました。ピストンは、周期運動をすることになりますね。直感的にもしっくりきます。
(摩擦なしという非現実的な仮定をつけたので、永遠に周期運動をしてしまいますが)

このとき、気体の内部エネルギー変化を - P(in) dV としても - P(out) dV としても(つまりどちらの圧力を使っても)、エネルギー保存は成り立つようです。ですので、エネルギー保存は解決しました。
ありがとうございました。

メカトロさんのコメント(気体の内部エネルギーの変化は - P(in) dV である)は、私もそう思っており、直感的にもすっきりするのですが、ゲイリュサック=ジュールの実験結果は
dU = -P(out) dV
であるように思えるのです。(ここで、圧力は常に正であるとしています)

P(out) = 0 という特殊な状況を考えると、それは外部が真空であることを意味します。そしてもし壁の質量がゼロであれば、それはゲイリュサック=ジュールの実験と同じ状況になるような気がします。そのとき、気体は急激に膨張しますが、気体の温度は下降しないそうです(お二人はゲイリュサック=ジュールの実験をご存知だろうと思いますが、私は最近知ったので偉そうなことはいえません)。この実験結果は「気体は外部に対して仕事をしない」を意味します。

膨張している最中はその気体はゼロでない圧力を持っているはずです(つまり、P(in) はゼロでない)。急激な膨張によって、気体は非平衡状態になっているかもしれませんが、近似的に、
dU = - P(in) dV
としても良さそうな気がします(この近似式はそれほど正確でなくても良いと思います)。すると気体は外部に対して(とにかく正の)仕事をしますので、内部エネルギーは減り、それにあわせてその温度が下がるような気がします。しかし、実験では温度の下降は起きないので、
dU = - P(out) dV = 0
としないと、私には実験結果に説明がつきません。これは直感的にはとても奇妙なことで、どう考えて良いのか分かりません。

何度も質問して申し訳ありませんが、私は何か勘違いをしているのでしょうか?どなたかお教えくださると幸いです。

(追伸:歳なのでもう寝ます。ごめんなさい)

  投稿者:yuya - 2011/02/16(Wed) 20:48  No.10488  <Home>
>このとき、気体の内部エネルギー変化を - P(in) dV としても - P(out) dV としても
>(つまりどちらの圧力を使っても)、エネルギー保存は成り立つようです。

 $V$  を内部気体の体積とする限り、 $\D V$ は内部気体の膨張方向が正となり、
ピストンが受け取る仕事は  $(p_{\rm in} - p_{\rm out})\D V$  であって、 $(p_{\rm out} - p_{\rm in})\D V$  ではありません。

ですから  $\D U = - p_{\rm in} \D V$  、  $\D U' = p_{\rm out} \D V$  でなければならず、
逆ではエネルギー保存の勘定が合いません。

したがって、ゲイリュサック・ジュールの実験との対応でJHさんが類推した議論の
どこが間違っているか検討する必要があります。

この実験では(内部)気体は仕事をしないと考えざるをえませんが(そして実際にそうですが)、
仕事をしようにも相手がどこにもいません。

ところがピストンがある場合、ピストンがどれだけ軽かろうと、内部気体に押されて動く限り、
「(内部気体がピストンに及ぼす力)・(ピストンの変位)」の分だけの仕事のやり取りが生じます。

なんとかしてゲイリュサック・ジュールの実験と対応させて考えるとするならば、
( $p_{\rm out} = 0$  のときに)力を及ぼしあっていないもの同士の間に境界を引くべきであって、
ピストンは内部気体の系に含めて考えると良いです。

内部気体は  $\D U_{\rm in} = - p_{\rm in} \D V$ 、
ピストンは  $\D U_{\rm pis} = (p_{\rm in} - p_{\rm out})\D V$ 、
外部気体は  $\D U_{\rm out} = p_{\rm out} \D V$ 、

で、合計するとゼロになってエネルギー保存が成り立つわけですが、
ここで上二者をまとめた系を考えると、

(内部気体 + ピストン)  $\D U_{\rm in + pis} = - p_{\rm out} \D V$ 、
外部気体  $\D U_{\rm out} = p_{\rm out} \D V$ 

となります。ここで  $p_{\rm out} = 0$  の場合がゲイリュサック・ジュールの実験に対応し、
内外のエネルギー変化が共にゼロとなるわけです。

  投稿者:sym - 2011/02/17(Thu) 13:08  No.10490 
JHさんはじめまして。

私は、非平衡状態である今回のケースでは $\D W=P\D V$ と定義できないと思っています。ただ例えばピストンの上に重りを置いた場合、系が外界にする仕事は $mgl$ だとはいえると思います。

>ピストンは、周期運動をすることになりますね。
熱力学的な系は最終的に平衡状態へと落ち着かなくてはいけないと思います。
どう考えられたか教えて頂ければ何か答えられるかもしれません。

ゲイリュサック・ジュールの実験については、すこし反則的ですが、気体分子の速度を考えると納得しやすいかもしれません。この実験では気体分子はどの段階においても減速しませんよね。しかし仕事をする場合はピストンにぶつかったときに減速します。気体分子の速度が下がるということは系のエネルギーが下がり、また同時に温度も下がります。直観的な説明ができたでしょうか。まあ熱力学的には断熱で外部との仕事もないのでエネルギーの変化はないというだけなんですよね。

  投稿者:JH - 2011/02/17(Thu) 22:53  No.10493 
Yuya さん、sym さん:

お返事大変ありがとうございます。熱力学を勉強し始めてすぐに第一法則でつまずき、情けない気持ちでいます。お二人 + メカトロさんのコメントはとてもためになりました。私一人ではとてもここまで考えられなかったと思います。

Yuya さんのコメントは(Yuya さんのコメントの繰り返しになり申し訳ないですが)、気体内部、ピストン、外部のエネルギー変化を、それぞれ
dU(in) = -P(in)dV、 (1)
dU(pis) = (P(in) – P(out) )dV、 (2)
dU(out) = P(out) dV (3)
で与えておき、系の定義をやりなおす(「系」=内部の気体 + ピストン)と
dU(in + pis) = -P(out) dV
dU(out) = P(out) dV
となる。系の定義をやり直す理由は、力を及ぼしあっていないもの同士の間(つまりピストンと外部の間)に境界を引くべきあるから、ということですね。こう考えると、系の内部エネルギー変化の式にも P(out) が現れて、私の疑問も解決します。

三つの式 (1), (2), (3) は、外部の圧力がゼロでない場合も成り立ちますね。ただそうすると、「力を及ぼしあっていないもの同士の間に境界を引くべきある」という基準が壊れてしまいます。ピストンと外部の境界をどこに置くかで、異なる結果が得られます。ピストンと外部を新たに「外部」と定義し直すと
dU(in) = -P(in) dV
dU(pis + out) = P(in) dV
となってしまいます。頭が混乱してしまいます。

sym さんのコメント「私は、非平衡状態である今回のケースでは dW = - PdV と定義できないと思っています。ただ例えばピストンの上に重りを置いた場合、系が外界にする仕事は mgl だとはいえると思います」というのは、全くその通りだと思います。
こう考えると、やはり系の内部エネルギーの変化は
dU(in) = -P(out) dV   (4)
であるように思います(重りやピストンの重さは圧力に置き換えてある)。系は気体部分だけであり、ピストンは外部である(このときピストンの重さも m に加える)としても (4) 式が成り立ちます。また、ピストンや重りが運動していたら、その運動エネルギーの増加分(dK)を足し込んで
dU(in) = -P(out) dV - dK
として、気体の内部エネルギーの変化が定義できますね。さらに、この式は、気体が理想気体である必要もありません。もう一つ付け加えると、系や外部が平衡状態なのかどうかという(私にとってもう一つ厄介な)問題も考える必要がありません。結局、
dU(in) = -P(out) dV
dU(pis + out) = P(out)dV
となります(運動エネルギーを省略して)。系(気体部分だけ)の内部エネルギー変化は、-P(out)を使って書くべきだと結論されます。sym さんのかなりもっともらしいコメントから出発するかぎりは、こう考えるしかないような気がしてきました。

納得できたのですが、心の中ではもやもやは消えません。sym さんの合理的な説明の一方で、心情的にはメカトロさんや Yuya さんの説明(dU(in) は - P(in) で与えられる)も、正しいように思えるのです。ただ、これ以上ゴチャゴチャ言って、皆さんの貴重な時間を奪うのも良くないと思います。熱力学は私にとって不思議です。

なお、sym さんの私への質問、「>ピストンは、周期運動をすることになりますね。熱力学的な系は最終的に平衡状態へと落ち着かなくてはいけないと思います。どう考えられたか教えて頂ければ何か答えられるかもしれません。」
は、私の独り言としてさせてください。そもそもどこにも摩擦がないという非現実な系ですので、これは熱力学ではないですね。摩擦のない状況ではバネは永遠に周期運動するという力学の問題です。

皆様、ありがとうございました。とても感謝いたします。やはり人に教えてもらうのは有益です。

  投稿者:yuya - 2011/02/19(Sat) 09:58  No.10495  <Home>
JHさん:

私は、「できるだけ相手の考えに沿って、最小限の修正で考えるとこうなりますよ、という説明」をする癖があって、
それが功を奏することもあるのですが、かえって混乱させてしまったかもしれません。

そもそもピストン(というか薄い隔壁)が存在するモデルを考える限り、
ゲイリュサック・ジュールの実験と完全に辻褄を合わせることは不可能だとは思いますが、
せめて内部気体が他と仕事をやり取りする窓口の有無くらいは一致させておかないと、
当実験とは全然違う結論が出てしまう、ということで、苦肉の策として提示したのが前回の考え方です。
系の内外の境界をあそこに引くことに、何か普遍的な意味合いがあるわけではありまんし、
そうしたからといって他にもいろいろ食い違いが出てくることは避けられないでしょう。

>sym さんのコメント
(中略)
>こう考えると、やはり系の内部エネルギーの変化は
>dU(in) = -P(out) dV   (4)
>であるように思います

その場合に内部気体が外に対してする仕事がmglになる理由は、
mgとちょうど釣り合う力で気体がピストンを押しているからです。
p_in ≠ p_out の場合にはピストンにかかる力が釣り合っていないことに注意が必要です。

内部気体← →ピストン← →外部気体 or おもり

4つの矢印で示した力を、順に(1)(2)(3)(4)とし、ピストンの断面積をS、右向きを正とします。

(1)ピストンが内部気体を押す力(- p_in・S)
(2)内部気体がピストンを押す力(p_in・S)
(3)外部気体またはおもりがピストンを押す力(- p_out・S または - mg)
(4)ピストンが外部気体またはおもりを押す力(p_out・S または mg)

(1)と(2)は作用・反作用の関係にありますから、逆向きで大きさが等しく、
同様に、(3)と(4)も作用・反作用の関係にあります。

しかし(2)と(3)の大きさは等しいとは限らず、
たまたま等しい場合を「釣り合っている」と表現します。

内部気体が他(直接にはピストン)に対して与える仕事を計算するには、
その定義から(2)を用いるべきであって、代わりに(1)(の符号をひっくり返したもの)を
用いても害はありませんが、(3)や(4)を用いるのは一般には誤りです。

>dU(in) = -P(out) dV - dK
(中略)
>結局、dU(in) = -P(out) dV
>dU(pis + out) = P(out)dV
>となります(運動エネルギーを省略して)。

とありますが、省略する前の - p_out dV - dK こそが p_in dV に等しいわけです。

symさん:
>私は、非平衡状態である今回のケースでは dW = - PdV と定義できないと思っています。

JHさんのモデルについて言えば、
各瞬間において、各々の気体が(自身の中で)平衡状態になるための時間がとれるくらい、
ピストンの移動がゆっくりならば、じゅうぶん熱力学の範疇ではないでしょうか。
ゲイリュサック・ジュールの実験の途中過程のほうは、
確かに熱力学的に「素性の知れない」ケースだと思いますが。

>>ピストンは、周期運動をすることになりますね。
>熱力学的な系は最終的に平衡状態へと落ち着かなくてはいけないと思います。

内部気体から見れば、(ピストン+外部気体)は、自分に力を及ぼしてくる「機械」であり、
たまたま他の気体(外部気体)を使って実装されている、と考えるとどうでしょう。
内部気体が自身を常に熱平衡状態に保ちつつ、「機械」との仕事のやりとりを行うのは、
ちょうどpVグラフ上を準静的に行ったり来たりするのと同じではないでしょうか?
(このケースでは、一本の断熱線上を往復することになりますね。)

  投稿者:甘泉法師 - 2011/02/19(Sat) 11:50  No.10497 
こんにちは。

>心情的にはメカトロさんや Yuya さんの説明(dU(in) は - P(in) で与えられる)も、正しいように思えるのです。

変形する容器。容積V。材質密度一定。  
外の圧力P 内の圧力p

■■■■■■■
■容積V□□■
■□□□□□■
■□□□→p■P←
■□□□□□■
■■■■■■■

容積変化dVについて
 外が容器にする仕事 −PdV
 気体が容器にする仕事 pdV 
 容器の得る仕事の合計  (p − P)dV
 気体が得る仕事   −pdV  

例1 真空容器 中が真空  
容積変化dVについて
 外が容器にする仕事  −PdV
 気体が容器にする仕事  0 
 容器の得る仕事の合計 −PdV
 気体が得る仕事     0  

例2 宇宙船 外が真空  
 外が容器にする仕事   0
 気体が容器にする仕事  pdV 
 容器の得る仕事の合計  pdV
 気体が得る仕事    −pdV  

解決済みでしたら無視ください。失礼しました。

=甘泉法師=

  投稿者:JH - 2011/02/19(Sat) 17:56  No.10501 
皆さん、考察ありがとうございます。

私の記述が不正確だったり、理解が不十分なために、皆さんに不快感を与えたのかもしれません。もしそうならおわびします。ごめんなさい。

例えば、私ははじめの投稿(No 10471)で、
「系の圧力を P(in) とし、外部の圧力を P(out) とします。また、系の圧力は均一であり(系内のすべての場所で P(in) である)、外部の圧力も均一である(外部のすべての場所で P(out) である)とします。」
と仮定しています。Yuya さんも(そして、甘泉法師さんも)その問題設定に従って考えておられます。

私は、もともと系内が非平衡であることも含めて一般的な熱力学第一法則の理解をしたくて、ここに質問を投稿しました。ですので symさんの説明で納得してしまい、自分が設けた P(in)一様の仮定を自分から放り投げています。そして放り投げたことに気づいてもいませんでした。一般的な理解をしたいのなら P(in)一様という仮定を持ち出すべきではありません。しかし、その段階では私の頭はもやもやしていて、そのことには気づいていませんでした。

さらに、私は投稿 No. 10493 で
「sym さんの合理的な説明の一方で、心情的にはメカトロさんや Yuya さんの説明(dU(in) は - P(in) で与えられる)も、正しいように思えるのです。」
と書いています。つまり、私は、メカトロさんや Yuya さんの意見が正しくないと宣言しています。今は皆さんの説明(甘泉法師さんも含めて)が、どれも正しいと思っています。系(気体)内で P(in) 一様という私の設定した条件のもとで、メカトロさんや Yuya さんの解説は正しいです。そもそも、仕事は力学の問題ですので、メカトロさんや Yuya さんの意見が間違っているはずはありません。でないと古典力学が根本からひっくり返ります。私の理解不足です。

繰り返しになりますが、私は、投稿 No. 10493 の段階で、自分が設けた仮定を自分で放り投げていることに明確に気がついていませんでした。非平衡を含んだ一般の過程で dU(in) = - P(out) dV が成り立ち、それは見た目では dU(in) = - P(in) dV という式とは異なる。よってメカトロさんや Yuya さんは間違っているという論旨です。浅い考えです。

という訳で、かなりすっきりした気持ちで、今は happy です。理解を深めていただいた皆さんには感謝します。

  投稿者:yuya - 2011/02/20(Sun) 10:09  No.10510  <Home>
>私は、もともと系内が非平衡であることも含めて一般的な熱力学第一法則の理解を
>したくて、ここに質問を投稿しました。ですので symさんの説明で納得してしまい、
>自分が設けた P(in)一様の仮定を自分から放り投げています。そして放り投げたこ
>とに気づいてもいませんでした。

内部が熱平衡でない場合は、p_inが何を指すのか、定義するところから始めないといけませんね。
もしも「ピストンの内側壁にかかる単位面積当たりの力」(追記:壁面にかかる圧力は均一とは限らないですね。正確にはその平均値?)
と定義するならば、
内部気体が行なった仕事はやはり p_in ・dV と書いて良いと思います。
(↑ここ、もし間違ってましたらどなたでもご指摘ください。)

>私の記述が不正確だったり、理解が不十分なために、皆さんに不快感を与えたのかもしれません。
>もしそうならおわびします。ごめんなさい。

私はそんなことは全く感じてないです。いろいろ勉強できるので楽しいです。

  投稿者:sym - 2011/02/21(Mon) 19:53  No.10532 
>そもそもどこにも摩擦がないという非現実な系ですので、これは熱力学ではないですね。

この文の前に、独り言とさせてください、とあったので言及しようか迷ったんですが、気になってしまいました。力学では摩擦がないと止まらないというのはその通りですが、熱力学の体系の中には摩擦はないと思います。まあ止まるものしか説明しないのですが、現実はよく見ると止まるものばかりなわけです。
取り下げるという旨なのに言及してすみません。

>各瞬間において、各々の気体が(自身の中で)平衡状態になるための時間がとれるくらい、ピストンの移動がゆっくりならば、じゅうぶん熱力学の範疇ではないでしょうか。

ピストンが動いてる時点で正確には圧力を定義できないと思います。圧力は容器とつりあっている気体の外への力を測って定義されます。もしピストンが動いているときの圧力が定義できたとしても、それはピストンの速度を変数として持っていて扱いづらいものになりそうです。すると、圧力だけじゃなくエネルギーもそうなりますね。また、すべての変数が時間tに依存しそうなので、もうそれは熱力学とは別ものなんじゃないかと私には思えます。
ピストンが止まったら、それで熱力学を適用するという感じだと思います。

>私の記述が不正確だったり、理解が不十分なために、皆さんに不快感を与えたのかもしれません。もしそうならおわびします。ごめんなさい。

私も答えることで勉強になるので。JHさんには感謝しています。私の発言がJHさんのためになれば幸いです。

  投稿者:yuya - 2011/02/22(Tue) 08:13  No.10552  <Home>
symさん:

http://oshiete.goo.ne.jp/qa/3410214.html
たとえばこの問題のようなものはそんなに珍しくはないと思うのですが、どうでしょうか。

ピストンが加速している場合はともかく、少なくとも、
ピストンの速度が(じゅうぶんゆっくりで)一定の場合は、
ピストンは動いているにも関わらず、力は釣り合っているので、
その場合まで熱力学の考察対象から除外するのはかなり勿体ない気がします。

  投稿者:sym - 2011/02/22(Tue) 18:46  No.10558 
>たとえばこの問題のようなものはそんなに珍しくはないと思うのですが、どうでしょうか。

ピストンに重さを与えている本ってあるんですね。意外でした。ただ、この問題は熱力学というより、もはや力学の問題のような気がします。しかし主観の問題ですし、この問題は熱力学だといわれても、異論はないです。
では、今回のような場合、熱力学で扱う問題とはどういうものかと言えば、例えばすぐ思いつくものでは、変分原理をつかって平衡点を見つけ出す問題があると思います。他には・・・思いつきません。すみません。

>ピストンの速度が(じゅうぶんゆっくりで)一定の場合
えーと、どう何を考察するのでしょうか?準静的な操作であれば、速度を指定する必要などないし、速度を指定すれば何かいえることがあるのでしょうか?

もちろん、この操作が熱力学で考える操作に入らないとは言いません。でも特別な操作だとも思いません。

以上の文にyuyaさんの気分を害す意図はありません。もし気分を害すようなことがあれば謝ります。
念のため。

  投稿者:yuya - 2011/02/22(Tue) 23:37  No.10563  <Home>
>ただ、この問題は熱力学というより、もはや力学の問題のような気がします。
>しかし主観の問題ですし、この問題は熱力学だといわれても、異論はないです。
確かにそうですね。こういう風に力学系に接続されているときに、
そちらのほうで速度だの加速度だのを考えている場合であっても、
気体が熱平衡状態を保ちながら推移することを仮定して、その圧力を定義することも
あながち無意味ではない、ということになるかと思います。

>>ピストンの速度が(じゅうぶんゆっくりで)一定の場合
>えーと、どう何を考察するのでしょうか?準静的な操作であれば、速度を指定する必要などないし、
>速度を指定すれば何かいえることがあるのでしょうか?

あいや、速度を使ってどうこうしようというのではなく、
「ピストンが動いているかどうか」と、
「熱平衡を仮定できるかどうか」「気体の圧力を定義できるか」は別問題では?
ということ(上で述べたこと)が言いたかっただけで、
いきなりピストンが加速度を持っている場合の話をしても受け入れ難いのではないかと思い、
ピストンが等速の場合を「少なくとも」と付けて例に挙げたまでです。
等速のときに何か特別性を見出そうとしているわけではありません。

これは
>ピストンが動いてる時点で正確には圧力を定義できないと思います。
>圧力は容器とつりあっている気体の外への力を測って定義されます。
と書かれていたことを念頭に置いて述べたのですが、
>もちろん、この操作が熱力学で考える操作に入らないとは言いません。
とのことですので、特に見解の相違はなさそうですね。

>以上の文にyuyaさんの気分を害す意図はありません。もし気分を害すようなことがあれば謝ります。
いえいえ、以前からじっくり考えてみたいと思っていた話題でしたので、
議論に付き合ってくださることに感謝しています。ありがとうございます。

  投稿者:sym - 2011/02/23(Wed) 07:59  No.10565 
>ピストンの速度が(じゅうぶんゆっくりで)一定の場合

>>もちろん、この操作が熱力学で考える操作に入らないとは言いません。
>とのことですので、特に見解の相違はなさそうですね。
上で言っている「熱力学で考える操作」は一般的に考える平衡状態から平衡状態へ移る操作のことです。
圧力が定義できるかどうか、私は、微妙な問題だと思います。十分ゆっくりとは何に対してどれくらいゆっくりなのか、圧力は測定できるのか、ピストンの速度に対する圧力の依存性はどうなのか、また温度を即座に測定できるのか、等々、疑問がつきません。私の理解が浅いだけかもしれませんが、yuyaさんの意見に同意することはまだできそうにないです。
楽観的に熱平衡状態を期待していればいいのかもしれませんが、私は慎重な立場をとっておきます。

  投稿者:yuya - 2011/02/23(Wed) 08:57  No.10566  <Home>
>上で言っている「熱力学で考える操作」は一般的に考える平衡状態から平衡状態へ移る操作のことです。

そうでしたか。了解しました。

>圧力が定義できるかどうか、私は、微妙な問題だと思います。十分ゆっくりとは何に対してどれくらいゆっくりなのか、
>圧力は測定できるのか、ピストンの速度に対する圧力の依存性はどうなのか、また温度を即座に測定できるのか、等々、
>疑問がつきません。

おっしゃるとおりですね。そういった問題を吟味しながら実験と照らし合わせてこそ、
理想化が意味を持つかどうかが定まるのですね。
ご意見、納得できました。ありがとうございます。