EMANの物理学 過去ログ No.10232 〜

 ● ステファン・ボルツマンの法則

  投稿者:ken - 2010/12/31(Fri) 00:16  No.10232 
高校生ではないのですが、量子力学をちゃんと理解しようと思って、前期量子論の歴史(黒体輻射論)を調べていたら、ここにたどりつきました。

さて、今でこそ正解(1900年 プランクの公式)を知っている我々は、ちょっとした定積分の問題としてステファン・ボルツマンの法則を導き出せるのですが、ボルツマン自身は、1884年に量子の概念なしに(古典論だけで)どうして正しい導出ができたのでしょうか?
「古典論を正しく適用したレイリー・ジーンズの式には紫外発散の困難があったからこそ量子力学が必要だった」と、よく書かれているのですが、この場合は、なぜ発散を逃れ得たのでしょう?

EMAN の物理学/統計力学では、輻射のエネルギー密度とか輻射の運動量を前提にしていて、量子とは直接関係ないかのようにも見えたのですが、「電磁波を多数の光の粒子だと考える別のやり方」などと書いてあると、既に何だかプランク的なものが忍び込んでいるようにも思えます。

頭のところでつまづいてしまっています。どなたか解説していただけないでしょうか。

  投稿者:TOSHI - 2010/12/31(Fri) 06:02  No.10233 
 お久しぶりTOSHIです。

>kenさん

>頭のところでつまづいてしまっています。どなたか解説していただけないでしょうか。

 熱力学によると系の内部エネルギーをU,エントロピーをS,絶対温度をTとすると「エネルギー保存則=熱力学第一法則」からdU=TdS−PdVが成立します。

 そこで(∂U/∂V)_T=T(∂S/∂V)_T−P=T(∂P/∂T)_V−Pが成立します.


 一方,気体分子運動論から普通の気体分子では体積Vの中にN個あればエネルギーはU=N<mv^2/2>であり圧力は運動量をp=mvとしてP=(N/V)<pv/3>ですからPV=2U/3ですが,光速cで運動するmがゼロのN個の粒子ならエネルギーはU=N<cp>,P=(N/V)<pv/3>=(N/V)<cp/3>によってPV=U/3です。

 そこでPが「光=電磁波の輻射圧」の場合,単位体積あたりのエネルギーをu=U/VとすればP=u/3で,(∂U/∂V)_T=T(∂P/∂T)_V−Pよりu=T(du/dT)/3−u/3,つまりdu/u=4dT/Tとなります。

 これを積分するとaをある比例係数(積分定数)として,u=aT^4なる式が得られます。

 これが,熱力学と気体運動論だけから求められるテファン・ボルツマンの法則です。

 歴史的には量子統計以前の導出はこうではなかったのでしょうか?ですから前期量子論ではこれを使用していたと思います。             

                      TOSHI

 あ,宣伝を忘れた(汗)。

 私のブログ「TOSHIの宇宙」2006年11月21日に書いた記事「地球の平均気温とステファン・ボルツマンの法則」http://maldoror-ducasse.cocolog-nifty.com/blog/2006/11/post_d99b.html から引用しました。


  投稿者:ken - 2010/12/31(Fri) 10:08  No.10234 
TOSHIさん、さっそくありがとうございます。

なるほど、気体分子運動論から持ってきた、ということは、やはり「本当は無限大の自由度を持っているはずの輻射」であるにもかかわらず「いくら多くてもせいぜい有限の数の分子」にアナロジーを求めたこと自体が、怪我の功名なのでしょうかね。
知らず知らずのうちに、エネルギーのアトミズムを持ちこんだボルツマンは正解を得て、一方、素直に無限大を直視したレイリーは発散してしまった...

なんとなくわかったような気がします。
光の粒子性概念の復活に関しては、ひょっとしたら、ここまで遡れるのかもしれないとも思いました。