EMANの物理学 過去ログ No.10113 〜

 ● リウビユの定理の「代表点を一様にばら撒く」l効果について

  投稿者:B2 - 2010/11/19(Fri) 21:35  No.10113 
http://homepage2.nifty.com/eman/statistic/liouville.html のページの
>代表点を一様にばら撒くというのは、式で書くと次のように表される。
の後、式が示されていますが、どうしてこれが成立するのかが分かりません。

代表点を一様にばら撒くというのは、t=0の時に行う事であり、従って式がt=0で成立するのは分かりますが、その時ρが一様だったとしても、その後時間とともにρのスカラー場が変化してgradρが0でなくなる事もありえるのでは無いでしょうか?

とんちんかんな勘違いしているだけかも知れませんが、どうしても分からないのでよろしくお願いします。

  投稿者:EMAN - 2010/11/23(Tue) 01:51  No.10126 
 お待たせしてすみません。(もう待ってないかなぁ。)

 疑問の核心がどこにあるのかよく分からないので、
どう答えたら役に立てるのか分かりません。

(1)式、(2)式に納得いただいているのであれば、
後の話は数式に頼らなくても、当然かな、と思える内容だと思うのです。

 代表点の進む先々で代表点の密度がずっと変わらないなら、
最初に全体の密度が同じになっていれば、
どの点がどこへ進もうとも密度は同じ。
 すなわち、全体の密度はどこも変化しない、と。

 最初に代表点をばらまいた時間を 0 と置いてもいいですが、
(1)式、(2)式は、時間に関係なくいつも成り立つ話ですし、
あまり意味ないかな、とも思います。

<tex>\pdif{\rho}{p_i} = 0 \ \ \ \ ,\ \ \ \ \pdif{\rho}{q_i} = 0</tex>

の意味としては、この相空間内では、 $ p_i $ や $ q_i $ が位置を表す座標みたいなもんですから、
「場所が変わっても密度 $ \rho $ は変化しないよ」つまり、
「どこであろうと $ \rho $ は一定だよ」という状況を表してます。

 以上、あれこれ書いたもののどれかが、
うまく質問内容に引っ掛かるといいのですが・・・。

  投稿者:ASA - 2010/11/23(Tue) 08:06  No.10127 
B2さんの疑問は、至極当然な気がします。
 普通、密度ρといえば、系内粒子数Nとしてその体積をVとするとき、
 ρ=N/Vで定義されるものですよね。
 極端な場合として、1粒子が、空間容積L^3に閉じ込められている場合を考えます。長さLは、位置の変化幅なので、同様に容器内の粒子の運動量変化幅をPmとして、位相空間体積V=L^3*Pm^3と定義します。
 ρ=1/V(Vは一定)なので、dρ/dt=0が成立しているときがあるのは、OKです。
 しかし、今、系の自由膨張のようなことを考えます。そこで、(粒子が壁面と接触していない)ある時刻(t=0)に容積長をLからL+v冲に拡張します。また、この容積拡張に冲かかるとします(この間も、粒子が壁面と接触しないとする)。
 すると、t=0〜冲の間での密度変化は
dρ/dt={(1/Pm^3)*(1/(L+v冲)^3 -1/(L)^3)}/冲
となり
 明らかに、dρ/dt=0でありません(この例は、代表点のばら撒き方とと別問題、ハミルトニアンHの成立条件が時間変化する場合)。
 このことから、粒子間相互作用やら境界とかが一定条件のまま変わらない場合は、dρ/dt=0が成立しそうですが、一般的には成立しないと考えるべきと思います。
 このように密度定義をするとdρ/dt=0が一般的に成立しないのですが、EMANさんの当該ページでの定義方法だと、上のケースでの密度は、どのように表わされるのか興味あるところです。(それと、そのときのばら撒き方との関係ですね。密度定義でイメージが湧かないので、∂p(密度)=∂q(密度)=0で、配置するといっても、それがどのような妥当性を持っているかもまたイメージし難いので疑問が湧いて当然と思います)

ps.久保演習書5章演習問題[5]では、ゆっくり壁を動かす時、位相空間体積Γ(E)が断熱不変量であることをしめしています。

  投稿者:nomercy - 2010/11/23(Tue) 19:11  No.10128 
> 代表点の進む先々で代表点の密度がずっと変わらないなら、
最初に全体の密度が同じになっていれば、
どの点がどこへ進もうとも密度は同じ。
 すなわち、全体の密度はどこも変化しない、と。

は確かにそうかなと思えるのですが、
本当だとすると
∂ρ/∂t|_{t=0} = 0
を初期条件として
∂ρ/∂t|_{t=t} = 0
が簡単に数式で示せるはずと思いますが、どうでしょうか?


∂ρ/∂t = 0
は熱平衡状態を意味しますが、
普通の統計力学の範囲ではこれは仮定かと思っていたのですが。

  投稿者:hirota - 2010/11/24(Wed) 10:46  No.10129 
EMAN さんが書いてる「代表点」は自由膨張の粒子と対応しないですよ。
自由膨張の粒子全部のパラメーターを座標とした1点が代表点ですから、自由膨張は代表点1つの運動に過ぎません。

  投稿者:ASA - 2010/11/24(Wed) 11:51  No.10130 
hirota さん
 一つの粒子のみで構成される系の場合ですから、代表点と対応しないわけないです。
 より簡単にするため、分子運動論による圧力計算と同様に1次元モデルで考えます。すると、位相空間体積が(q,p)面積になりより分かりやすくなります。 ちなみに、代表点の位置は、粒子の初期条件(初期位置,初期速度)で位相空間上の色々な配置を選択できます(一定以下のエネルギー,容器外に出ないとの条件で、色々な代表点によるトラジェクトリが(q,p)面積を塗りつぶします)。
 統計力学の説明体系上、重要なのは、断熱準静的過程で位相空間体積Γが変らず、自由膨張でで位相空間体積Γが増加することです。
つまり、微視的情報から構築される位相空間体積Γを用いてマクロ的な熱力学的エントロピーを記述できることですね。
 もっとも、この場合相互作用ハミルトニアンがH(q,p,t)によるとみれるので、EMANさんのリウヴユの話と完全にマッチしてませんけど。
 なお、久保演習書でのリウヴユ関連の話は、分子運動論の項目として1粒子分布fでの式を挙げているだけで、位相空間体積と関連付けて説明してません(筆者としては、その必要がないと考えているのでしょう)。
 EMANさんの記述では、この話題が唐突で体系内での位置づけが不明なことも、説明内容と共に疑問を招く原因となっていると感じました。
 (微小体積不変とか、速度場(q',p')が非圧縮場とかの話なら、解析力学で説明しておくという手もありますよね)。

  投稿者:B2 - 2010/11/25(Thu) 02:28  No.10131 
>EMAN
反応して戴きありがとうございます。

>最初に全体の密度が同じになっていれば、
>どの点がどこへ進もうとも密度は同じ。
>すなわち、全体の密度はどこも変化しない、と。

これは自分も考えたのですが、これは時間tで座標pに来るような代表点が時間t_0(=ばら撒いた時間)で、どこか、つまりp_0に存在すればいいんですけど、必ずしもそれがどの点pでも成り立つかという所に疑問があったのです。
例えば、代表点が絶対に近づかない空洞があった場合、というのはつまり、その時間でその代表点を初期値としたら、t=t_0で解が発散するとかで、t_0での座標p_0が存在しない場合は、今分かってる事となんら矛盾しない、つまり全く代表点が近づかない空洞がある(発生する)可能性を排除出来ないのでは?と考えた訳です。

しかし、ここでその位相空間が積分可能で体積をVとするなら、任意の時間で代表点の総数=ρVは変わらないはずなので、(体積を持つ)空洞は発生しえないとかごちゃごちゃ考えてたんですが、、、

よく考えたら、力学的な運動というのは一般に可逆で、t:=-tとしても問題なく、つまり時間の負の方向へも問題なく代表点の軌道を追跡出来るという事を考えれば、t_0で解が発散なんてのはありえないケースでしたね、お騒がせしてすいません><

  投稿者:hirota - 2010/11/25(Thu) 09:41  No.10132 
1粒子の場合は初期分布をどう考えるかが問題ですね。
1粒子であることをそのまま使ってデルタ分布を考えれば密度変化はありませんし、1粒子であっても全空間に一様な分布と考えればやっぱり密度変化はありません。(前者は実際の粒子分布を相空間の分布に対応、後者は対応なし)
密度変化があるのは他に何らかの情報量を持った分布を考えた場合で、情報の減少はエントロピー増大です。

  投稿者:ASA - 2010/11/25(Thu) 10:37  No.10133 
hirota さん
 ちょっと意味が通じないです。
>1粒子であることをそのまま使ってデルタ分布を考えれば密度変化はありませんし、
 密度をどのように定義するかをはっきりさせてください。
 EMANさんの論法だと特定の関係を満たすものを密度と定義しているので、代表点のとの関係が見え難いです。
 あと、問題なのは、dρ/dt=0(代表点近傍のいわゆる流れに乗った視点)じゃなくて∂ρ(q,p,t)/∂t=0(q,pを固定した視点)ですよね。
 この時は、当然初期分布が∂ρ/∂qi=0,∂ρ/∂pi=0の条件を満たすはずとの論法(説明では、初期条件を満たすようなρを考える)なのですよね。

>全空間に一様な分布と考えればやっぱり密度変化はありません。
 空間領域に制約があるのに"全空間に一様な分布と考え"るというのが、論理破綻しているように思えて理解できません。

>情報量を持った分布を考えた場合で、情報の減少はエントロピー増大です。
情報量という物理量と関係ない話が出てくるので分かり難いです。
 着目系が取りえる空間領域(状態量V)が増えれば、エネルギー一定条件(平均運動量なり、温度Tが一定)での着目系の熱力学的エントロピーが増えるという、至極当然のことを述べたにすぎませんけど。
 
nomercy さん
>∂ρ/∂t = 0は熱平衡状態を意味しますが、
 密度ρが系の熱力学的エントロピーと関係する時、孤立系を考えると熱平衡状態に漸近するので、ρが時間発展しているはずで、EMANさんのリウヴユの話と齟齬があるように感じます。
 ちなみに教科書を見てみると、H定理との関連を述べてますね。
 久保演習書では、kinetic entropyという余談が記載されてます。
「仮定」として受け入れる立場もあると思いますが、その妥当性がどの程度あるのか気になってしまいます。
 後細かいことなのですが、多体系のハミルトニアンで全エネルギーが特定値であっても(マクロ的に内部エネルギーによる状態記述が可能)、その軌道が有界でなく粒子が有る運動量を無限遠方に運び去るような場合どのなのかとも気になります(体積V=番付不能無限、代表点数=番付可能無限→ρ=0で常に成立、このときρの物理的意味は? 物理的意味あるρを定義可能なの?、平衡状態との関連は?とかとか)。
 個人的には、統計力学の基本原理に関する難しい部類の話と思っているので、中途半端な説明で終わるなら章立ての項目として不適切と考えてます(付録とか余談の話ならOK)。

  投稿者:nomercy - 2010/11/26(Fri) 05:30  No.10135 
話を見ていると、ASAさんとhirotaさんの間で言葉の定義が食い違っているのでは?と懸念します。
誤解を防ぐ為に、実空間における粒子密度分布ρ(x,t)と分布関数f(q,p,t)というように異なる記号と言葉を用いては?

>EMANさんの論法だと特定の関係を満たすものを密度と定義しているので、代表点のとの関係が見え難いです。

これは同感です。
単純に、時刻tで(q,p)が実現する確率密度がf(q,p,t)というだけで良い気がします。一つの見方として、流体の密度分布とみなせるわけです。
(場の理論だと、むしろ密度が最初に明確に定義されていて、連続の方程式から電流を定義する(こともできる)、というのが普通の順序ですよね)

>∂ρ/∂t = 0は熱平衡状態を意味しますが、
 密度ρが系の熱力学的エントロピーと関係する時、孤立系を考えると熱平衡状態に漸近するので、ρが時間発展しているはずで、EMANさんのリウヴユの話と齟齬があるように感じます。

これはまさに最初に感じた疑問です。
どのような初期分布f(q,p,0)でも最終的には(例えば)ボルツマン分布に収束する、というのが統計力学・熱力学の出発点のはず。

>「仮定」として受け入れる立場もあると思いますが、その妥当性がどの程度あるのか気になってしまいます。

もちろん非自明で重要な問題です。
力学・量子力学からどのように、どのような条件の下で熱平衡に至るか、というのは基礎的な未解決の問題ではないでしょうか。
難しい問題です。

>後細かいことなのですが、・・・・・

例えば簡単な例として、二粒子散乱みたいなことを言っているのでしょうか?
平衡状態ではない、というのが答えかな?
ただし、線形応答の意味で温度Tにおける散乱断面積を議論したりはできます。

>個人的には、統計力学の基本原理に関する難しい部類の話と思っているので、中途半端な説明で終わるなら章立ての項目として不適切と考えてます(付録とか余談の話ならOK)。

いまさら思うと、なんで統計力学の本にはリウヴユの定理がでてくるんでしたっけね・・?

  投稿者:ASA - 2010/11/26(Fri) 08:11  No.10136 
nomercyさん

>誤解を防ぐ為に、実空間における粒子密度分布ρ(x,t)と分布関数f(q,p,t)というように異なる記号と言葉を用いては?
 これは、いい方法ですね。

>例えば簡単な例として、二粒子散乱みたいなことを言っているのでしょうか?
 斥力相互作用の系(簡単な例は、二粒子)が浮かびました。
古典的扱いで状態数=位相空間体積ですよね。
 E=0でもトラジェクトリは全空間ですから、E>0なら、位相空間体積=無限ですよね。
 また、斥力相互作用の量子系で考えると束縛系でないので確率密度がψが規格化できないので、古典と量子の対応がうまくいかないような気がしました(もし、連続固有値もつなら状態数無限ですよね)。
 なので、状態数がらみの話をする時、H(q,p)という前提条件のみでほんとに良いのかなと思った次第です。

hirota さん
 話がずれますが、物理的エントロピーは平均化の指標(有る物理量に対する他の物理量の割り当てにおいて)と捉えてます。
 熱力学的エントロピーは、熱移動に対する温度の割り当てですから、異なる温度のものがあったとき、同じ熱を与えるなら温度の低いものに熱を与えれば、均一度がより増大するってことですね(温度差が少なくなる)。
 統計力学では、状態数と結び付けられることになってます。
 (うまく、状態数を選べば熱力学的エントロピーと一致する。しかし、全ての系で対応する状態数がうまく選べるとは限らないことには留意しておくべきかと)