EMANの物理学 過去ログ No.10059 〜

 ● 磁化の時間変化

  投稿者:じーつー - 2010/11/11(Thu) 21:32  No.10059 
ご無沙汰しております。磁化の時間変化について質問があります。
磁場により磁化にトルクが作用した時の運動の方程式は
<tex>{d {\bf{M}} \over dt} = \gamma (\bf{M} \times \bf{H})</tex>
と表されます。しかし、距離 <tex>\bf{d}</tex> 離して磁気単極子 <tex>\pm q_m</tex> を設置した磁気モーメント
<tex>{\bf{M}} = q_m\bf{d}</tex>
に磁場をかけると、それにより発生する力のモーメントは
<tex>{\bf{N}} = {d {\bf{L}} \over dt} = {\bf{M}} \times {\bf{H}}</tex>
となり、γとMが出てきません。角運動量<tex>{\bf{L}}</tex>
「磁気モーメントを作り出している円電流を作り出している電子の角運動量」と
解釈するとMもγも出てきますが、この式に表れている角運動量は磁気モーメントの
角運動量であって電子の角運動量ではないと思います。
どのようにして冒頭の式は導かれるのでしょうか。

  投稿者:甘泉法師 - 2010/11/11(Thu) 22:26  No.10060 
こんにちは。

M=γL としてはいけませんか。

>磁気単極子 <tex>\pm q_m</tex> を設置した磁気モーメント
>この式に表れている角運動量は磁気モーメントの角運動量であって

磁気単極子 <tex>\pm q_m</tex> を設置した磁気モーメントの角運動量とは?

+◯-----◯− がぐるぐる回るということですか? 質量の値はいりませんか?

=甘泉法師=

  投稿者:じーつー - 2010/11/11(Thu) 23:26  No.10061 
甘泉法師様
ご回答ありがとうございます。説明を省きすぎてわかりにくくなってしまい申し訳ありません。
+◯-----◯− がぐるぐる回るということで間違いありません。

以下の状況を考えます。
    H
↓↓↓↓↓↓↓↓↓
+qm◯-----◯−qm

時期単極子間の中心を原点に取り、<tex>\pm q_m</tex> の位置を <tex>\pm \bf r</tex> 、運動量を <tex>\pm \bf p</tex> とすると、
+◯-----◯− の角運動量 <tex>\bf L</tex>

<tex>{\bf{L}} = {\bf{r}} \times {\bf{p}} + (-{\bf{r}}) \times (-{\bf{p}}) = 2{\bf{r}} \times {\bf{p}}</tex>

となります(最近勉強を怠っていたため、違うかもしれませんので、そのときはご指摘ください)。
両辺を時間で微分します。

(左辺)
<tex>{d{\bf{L}} \over dt} = {\bf{N}}</tex>

(右辺)
<tex>2{d{\bf{r}} \over dt} \times {\bf{p}} + 2{\bf{r}} \times {\bf{p}} = 2{\bf{r}} \times {\bf{F}}</tex>

となります。今は外力として<tex>{\bf F} = q_m \bf H</tex>が働いているため

<tex>2{\bf{r}} \times {\bf{F}} = 2{\bf{r}} \times (q_m {\bf{H}}) =  (2q_m {\bf{r}}) \times \bf{H}</tex>

<tex>2q_m \bf{r}</tex> は磁化(磁気モーメント) <tex> \bf M </tex> なので、結局

<tex>{d{\bf{L}} \over dt} = {\bf{M}} \times {\bf{H}} &&(1)</tex>

となります。この考え方では <tex> \bf L </tex> は +◯-----◯− の角運動量です。


一方、電子が円に沿って運動し円形電流となり、磁気モーメントを作っているとすると、
http://homepage2.nifty.com/eman/quantum/angular.html
に示されている通り磁気回転比γを用いて

<tex>{\bf{M}} = \gamma {\bf{L}} &&(2)</tex>となっています。 <tex> \bf L </tex> は電子の角運動量です。
これを(1)に代入すると所望の式

<tex>{{d\bf{M}} \over dt} = \gamma {\bf{M}} \times {\bf{H}} &&(3)</tex>

となります。しかし、(1)式の <tex> \bf L </tex> と(2)式の <tex> \bf L </tex> は異なる意味なので代入することはできないと思います。(そもそも方向が異なる)

M=γL とできる根拠がわかりませんでした。

  投稿者:甘泉法師 - 2010/11/11(Thu) 23:40  No.10062 
こんにちは。

>(右辺)
><tex>2{d\bf{r} \over dt} \times \bf{p} + 2\bf{r} \times \bf{p} = 2\bf{r} \times \bf{F}</tex>
>となります。

<tex>2{d\bf{r} \over dt} \times \bf{p} + 2\bf{r} \times {d\bf{p} \over dt}</tex> ではないでしょうか。

=甘泉法師=

  投稿者:じーつー - 2010/11/11(Thu) 23:46  No.10063 
甘泉法師様

その通りです。微分を書き忘れていました。
このモデルでは磁気単極子の質量が定義できていないため
運動量も定義できず、全て破綻する気がしてきましたが。。。

  投稿者:甘泉法師 - 2010/11/12(Fri) 07:35  No.10064 
こんにちは。

>その通りです。微分を書き忘れていました。

第一項は 2/m pXp= 0 なので 都合 2rX F であっています。

>しかし、(1)式の <tex> \bf L </tex> と(2)式の <tex> \bf L </tex> は異なる意味なので代入することはできないと思います。(そもそも方向が異なる)

(1)式は、トルクの一般式で、(2)はそれに円電流というMとLの向きが同じという関係を加えた応用と思います。 
磁荷の棒はMとHの張る平面内で回転します。モーターのローターも同じです。
円電流の回転は一定の平面内ではありえず、みそすり運動をします。

=甘泉法師=

  投稿者:じーつー - 2010/11/14(Sun) 21:27  No.10081 
甘泉法師様

ご回答どうもありがとうございます。

>円電流というMとLの向きが同じという関係を加えた応用と思います。

MとLの向きが同じとできる理由がよくわかりません。先に述べた通り、
"(1)式のL" と "Mと同じ向きのL" は別物だと思います。

  投稿者:甘泉法師 - 2010/11/14(Sun) 23:05  No.10082 
こんにちは。
 
>MとLの向きが同じとできる理由がよくわかりません。
 
電子がまわっている(スピンなら自転、軌道運動なら公転)とみれば
回転の角運動量とできる磁場は同じ向きです...よね。

=甘泉法師=

  投稿者:じーつー - 2010/11/14(Sun) 23:43  No.10083 
甘泉法師様

    H
↓↓↓↓↓↓↓↓↓
+qm◯-----◯−qm

を考えると、磁気双極子の角運動量は画面手前向き、磁化の方向は9時の方向から
時計周りに時間変化します。明らかに方向が異なります。
電子がまわっている(スピンなら自転、軌道運動なら公転)とみれば
回転の角運動量とできる磁場は同じ向きですが、(1)式

<tex>{d{\bf{L}} \over dt} = {\bf{M}} \times {\bf{H}} &&(1)</tex>

は電子の角運動量ではなく磁気双極子の回転の角運動量から導かれました。
従って、MとLの向きが同じとはできないように思うのです。
私にはLを磁気モーメントの角運動量から電子の角運動量にするところに
ギャップがあるように感じます。

>円電流の回転は一定の平面内ではありえず、
Mの回転に伴い、円電流のある平面も回転するのでたしかにそうなのですが、
歳差運動にはなるのでしょうか。歳差運動になるためには、t=0の時点でMとHで
張られる平面に垂直な方向に初速度があることが必要だと思いますが、それを仮定して
このように書かれたのでしょうか。

  投稿者:甘泉法師 - 2010/11/16(Tue) 19:44  No.10101 
こんにちは。


磁荷双極子の解説ありがとうございます。円電流からもアプローチしてみましょう。
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http://www.th.phys.titech.ac.jp/~muto/lectures/Gelmg06/Gem_chap07.pdf
例題7.4 半径がa の円形のコイルに定常電流I が流れている。このコイルを磁束密度が
B の一様な磁場の中につるす。コイルの面がB に平行であるとき,コイルにはたらく偶力の
モーメントを求めよ。
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例題は「コイルの面がB に平行であるとき」としてますが、コイルの面と垂直なBは偶力0であることがわかるのでBのうちコイルの面に平行な成分だけが偶力に寄与します。するとコイルは 下記動画の50円コインの回転の向きの偶力をうけます。偶力のかかる向きはMとHで一致するように、です。
http://www.youtube.com/watch?v=rwasIezcie0
この偶力で角運動量ベクトルの(動画で見て)上向き成分が生まれます。
磁気モーメントは 磁荷双極子 M=qm d  円電流 M=I S Sはループの面積 と対応し、じーつーさんの磁荷双極子のふるまいと全く一致します。
どちらも トルク dL/dt=M X H ですね。
磁荷双極子が回れば磁荷が運動し’磁流’が生じます。電荷が動くと電流が生じるように。磁流の電磁場に及ぼす効果は(少なくともわたしには)わからないので安全をとって磁荷双極子でなく円電流で考えましょう。上記のように両者対応しますから。

2.
 マクロの円電流から電子のスピン、軌道運動のつくるミクロの円電流に移ります。トルクが MXH = IS nXH であることはかわりません nはコイン面に垂直な単位ベクトル、符合は右ねじの規則で。 
 ミクロの円電流での新たな構造は、Mの源がLだということです。 M=γLがトルクの方程式と連立になります。
するとそれまで nとHが一定平面内に保たれていたのが、そうはいかなくなります。
 50円硬貨の回転にもうひとつ穴のまわりのレコードやCDの回転も加わるわけです。もっと考えやすく回転するコマに傾きのトルクを考えればいかがでしょう。
 動画 http://www.youtube.com/watch?v=feOtcwfejMU&feature=related
コマには軸と重心にひっくりかえす偶力がずっと働き、歳差運動、みそすり運動します。もっと正しくわかりやすい説明は、
 EMANさん http://homepage2.nifty.com/eman/dynamics/precession.html

>歳差運動になるためには、t=0の時点でMとHで
>張られる平面に垂直な方向に初速度があることが必要だと思いますが、
 初速度とは並進速度ですか? それなら関係ないと思います。みそすりの周期はラーモア振動数 γB で決まります。

Wiki>ラーモア歳差運動
レフ・ランダウとエフゲニー・リフシッツによる1935年の有名な論文はラーモア歳差運動による強磁気共鳴の存在を予言した。それは1946年、J. H. E. Griffiths(イギリス)とE. K. Zavoiskij(ソ連)によってそれぞれ独立に実験的に確かめられた。

=甘泉法師=

  投稿者:じーつー - 2010/11/21(Sun) 18:16  No.10125 
甘泉法師様

返信遅くなってしまい申し訳ありません。

参考文献どうもありがとうございます。円電流からアプローチすれば
もしかしたら?なんて思っていたところなので、とても助かります。
少し考えてみます。どうもありがとうございます。