EMANの物理学 過去ログ No.9895 〜

 ● 「運動エネルギーが合わない」

  投稿者:きわむ - 2010/09/13(Mon) 23:32  No.9895 
EMANさま

はじめて書き込み致します。
出版物たのしく読まさせていただいております。
ありがとうございます。

サイト内の「力学」 第4部「応用編」 「運動エネルギーが合わない」
の記事ですが、「質問」をストレートに読むと、
(正しいエネルギーを加えてあげれば、おもりを岸からみて2vの速さに
することは当然可能だとして)質問内容で間違っているポイントは、
"岸からみたときに"mv^2/2のエネルギーでvから2vにすることができる、と
考えている部分なのではないかと思います。

船の反動は本質的には関係ないのではないでしょうか?

mがvで走っていて、それを2vにするのに必要なエネルギーが
単に3(mv^2/2)ということではないのでしょうか?

間違っていたらすみません。

(9/16に、誤解がないように、詳しい記載に一部修正しました)

  投稿者:きわむ - 2010/09/14(Tue) 00:11  No.9896 
つまり、岸から見てmがvで走っていて、それを2vにするのに必要なエネルギーは3(mv^2/2)でそこについてはまちがいはないよ、という内容も書いてあった方が親切なのではないか、と思うということが書きたかったのです。

実際、船の上の人が適切にがんばれば、どんなに重い船でも軽い船(人)に乗っていても岸から見ておもりを2vにすることは可能なわけで、実際2vにするためには、"岸から見て"船の上の人がおもりに与えるエネルギーが3mv^2/2で、"重心系で"船の上の人がおもりに与えるエネルギーはmv^2/2だというポイントだけ、ちゃんと直してしてあげれば他の部分にまちがいはないわけだから、"質問"の答えとしてはその方がシンプルに見えるとおもうということがいいたかったのです。

船が無限に重たければ話はここでおわりですが、その先の話題として、船が軽ければ軽いほど2vにするのに反動の分だけ(小さい船の上にいるんだから)余分なエネルギーがいるんだよ、という展開の方が話がすっきりするのではないかな、と思ったという意味で書きました。

まちがっていたらすみませんm(_ _)m

(9/16に、誤解がないように、詳しい記載に一部修正しました)

  投稿者:EMAN - 2010/09/14(Tue) 00:13  No.9897 
きわむさん、こんばんは。

> 出版物たのしく読まさせていただいております。

 こちらこそ、ありがとうございます。

 このエネルギーの問題は割りと典型的な疑問で、
多くの人がたまに違和感を持ったりするものの、
なかなか自力では検証できずに何となくごまかしてしまうのではないかと
私は思います。

 この質問者はなかなか授業の内容は分かっていて、
速度が v ならエネルギーは (1/2)mv^2、
速度が 2v ならエネルギーは (1/2) m(4v^2) = 2mv^2 であることを
把握しているようです。

 ところがすでに v の速度があるものを、
どういう手段で 2v に出来るのかが理解しにくい。
 岸にいる人が直接手を出すことも考えにくいし、
もし出来たとしても、なぜ割り増しのエネルギーが必要なのかも不思議。

 そこで、船にいる人が代わりに加速してやることを考えたのでしょう。

 しかしそれを考えると、エネルギーが全く合わなくなる!

 大半の「探究心はあっても自信のない」人が、
そこで思考停止するのではないでしょうか。

 この複雑な事情を説明してみたのが昔の私です。

 書きながら思いましたが、ひょっとして過去ログがあったかも。

  投稿者:EMAN - 2010/09/14(Tue) 00:19  No.9898 
 投稿がすれ違いましたね。

 理解しました。
 それでもいいと思いますよ。

 当時の私は質問者のつまずきに共感しましたので、
勝手に、当時の私自身のモヤモヤもすっきりさせるべく
書いたのだったと思います。

 質問者の意図を汲みとって、核心を狙うのはなかなか難しいです。

  投稿者:きわむ - 2010/09/14(Tue) 01:12  No.9899 
EMANさま

早々のお返事ありがとうございましたm(_ _)m

わたしもこの質問を読んであれっ?と思ってしまい、何年かぶりに手を動かしてみることになりました。

ただ、その質問者と私の引っ掛かったポイントが違ったわけですね。了解です。

今回私は、速いものを加速するときには、遅いものを同じだけ加速するときよりも、たくさんエネルギーがいるという、当たり前のことに、改めて気付くことができました。そっちばかり気になってしまっていました。速い方が、ある時間での移動距離が長い分、加速するための力が長い距離に渡ってかかるわけだから、かかった仕事が増えるのは当然ですよね。船がじゅうぶんおおきかったとしても、なんで同じエネルギーで同じだけ加速しないんだろう、なんてことの方が気になってしまったわけです。

てっきりそういうテーマの話なのかと思って読んでしまいました。

久し振りに手を動かしてなんかわかった気がして面白かったです。物理はやっぱり、わかった!というときが一番面白いですね。

ありがとうございました。

今後もご活躍楽しみにしておりますo(^o^)o

  投稿者:きわむ - 2010/09/15(Wed) 20:25  No.9907 
数式エディタというものがあるんですね!
これを使うと私の主張が分かりやすく表現できると思うので、書いてきたことと同じことなのですが、数式で表現してみようと思います。

---------

この質問「なぜエネルギー保存の法則がなりたっていないようにみえるのか?」のポイントは「運動エネルギーの保存は速度の同じ系でしか成り立たないから、違う系同士では保存しない」ということだと思います。

(つまり、おもりに与えた運動エネルギーという意味では質問文のmv^2/2と3mv^2/2の二つは同じなのですが、mv^2/2は無限に重い船からみたときのもの、3mv^2/2は岸からみたときのもの、という区別があいまいになっており、この二つは(比較はしてもいいが)保存を考えていいものではないんだよ、ということだと思います。)




質量 m のおもりに対して、運動エネルギー
<tex>T _{0} = \frac{1}{2} mv _{0}  ^{2} </tex>

<tex>v _{0} \rightarrow v _{0} + \Delta v = v _{1}</tex>
の変化(状態0から状態1に変化するもの。以下0や1の指標は状態を指定しています。)で
<tex>T _{0}  \rightarrow T _{1} </tex>
になるとして、
<tex>T _{1} = \frac{1}{2} mv _{1}  ^{2} = T _{0} +mv _{0}  \Delta v+ \frac{1}{2} m \Delta v ^{2}  \cdots  \cdots  \left(1\right) </tex>
となります。(式変形わかりやすいように少し追加しました。9/18 14:20)

(私の考えた各項の意味)
第1項:もともとの系での運動エネルギー
第2項:もともとv0で運動していたせいで、この状態変化で余分に必要になるエネルギー
    (最初おもりがv0で運動しているとき、v0+Δvになるまでの距離の移動において、最低限必要になる仕事)
第3項:Δvの増加分に対して直接対応する運動エネルギーの増加分




これを今回の"質問"に適用すると、
<tex>v _{0} =v,  \Delta v=v</tex>
なので、
<tex>T _{0} = \frac{1}{2} mv ^{2} </tex>
(1)より
<tex>T _{1} = T _{0} + mv ^{2} + \frac{1}{2} mv ^{2}   \cdots  \cdots  \left(2\right)</tex>
<tex>T _{1} -T _{0} = \frac{3}{2} mv ^{2} </tex>

となります。これが"質問"にでてくる(岸からみたときの)おもりの運動エネルギーの増加であり、ここにまちがいはないです。上記の(2)の各項の意味を考えると、この増加分の内訳は(1)の第2項と第3項。
第3項は船の上からみて船の上の人がおもりに与えた運動エネルギーに相当する(mv^2/2)。
第2項はその運動エネルギーを与えはじめてから終わるまでの(仕事をしていた)時間に船が岸からみて移動しているせいで発生するもの(mv^2)(この余剰分は反動ではないと私は思っています)。

ここまでが"質問"に対しての説明になると思います。(ここまでの説明に反動は出てきません。ここまでは船が反動を受けない状況、つまり、船が無限に重いときの話です。重心系は常に船とともにあります。終状態で船はvおもりは2vの速度で運動しているので、船(重心)に対しておもりはvで運動しており、重心系での内部エネルギーの増分はmv^2/2になります。)



ここから、追加として、船が有限の重さMであるとき(以下船についての量は'を指標とします)、
反動(重心系で速度V')について考えてみると、重心系で、

<tex>MV'+mv=0</tex>
より
<tex>V'=- \frac{m}{M} v</tex>
なので、
(1)に
<tex>v _{0} =v , \Delta v=V'=- \frac{m}{M} v,m=M </tex>
を代入して、
<tex>T _{1} '= T _{0} ' -mv ^{2} + \frac{1}{2} mv ^{2}  \frac{m}{M}    \cdots  \cdots  \left(3\right)</tex>
ここで
<tex>T _{0} ' = \frac{1}{2} Mv ^{2}</tex>
(3)も(1)と同様の意味で、第2項は0から1へ状態変化の途中において、”最初にvで移動しているために”どうしても必要になってくる最低限の仕事、第3項が反動、ということになると思います。


最後にエネルギーの確認を行ってみると、
全エネルギーは
<tex>E _{0} =T _{0} +T _{0} '</tex>

<tex>E _{1} =T _{1} +T _{1} '</tex>
(2)(3)を代入するとそれぞれの第2項(状態変化の途中で必要になる仕事)が船とおもりについて相殺して、
<tex>=T _{0} + \frac{1}{2} mv ^{2} + T _{0} ' + \frac{1}{2} mv ^{2}  \frac{m}{M} </tex>

また、全エネルギーの始状態と終状態の差であるEは、

<tex>E=E _{1} -E _{0} = \frac{1}{2} mv ^{2} + \frac{1}{2} mv ^{2}  \frac{m}{M}  </tex>

となり、これは、状態変化の途中で船の上の人がおもりを(岸からみてvだけ)加速するために使った(内部)エネルギーに相当すると思います。

つまり、反動を考えにいれるのであれば、船の上の人がおもりを(岸からみてvだけ)加速するために必要な(内部)エネルギーは反動がないときにくらべて、Eについての式の第2項のmv^2(m/M)/2だけ余分に必要になります。この項が船についての反動の項だと思います。この第1項はおもりの運動についての項です。(また、内部エネルギーは速度が違う系でも保存します。)

ここで、もし船が無限に大きくて反動が無視できるとすると、m/M→0 となるので、船の上の人がおもりを(岸からみてvだけ)加速するためには
<tex>E \rightarrow  \frac{1}{2} mv ^{2} </tex>
のエネルギーが必要となります。これは、"質問" の中に出てくる "(反動を考えに入れなかったときの)船に乗っている人がおもりに与えた運動エネルギー"に相当します。(この極限で残ったのは上記E1についての式でいうところの第2項です。さらにさかのぼれば(2)の第3項です。)これは最初に反動を考えなかったときの重心系でのおもりの運動エネルギーの増分と等しいので、これで、この反動を考えた式の極限が最初のものと一致している確認がとれました。


だから各項の意味を考えると、今回の"質問"に対しては反動はあまり関係ないのでは??とおもうのです。
----------------------------------------

↑これが、これまでに言葉で書き込んできた内容を式を使って表現してみたものです。こういう流れで書いた方が、わかりやすいのではないかと思うのです。

(ただ、mv^2や-mv^2の項については私がそう思うと書いただけで、ここで説明していないので、さらなる説明が必要になると思っています。個人的には、加速にあたって、船の上からみて等加速度運動で速度を0からvにする運動の方程式を計算して、その仕事を計算してみて、この場合はずりずりと力が無駄に横滑りしていくような仕事の項なんだな、と思ったのです。等加速度でないどんな経路(船の上でおもりを手に持って自由に踊りをおどってからvで投げるような状況)でもそうなるのか、3次元でもそうなのか、など、一般的にはどうなるかやっていないのであまり自信がなく、「私の考え」という表現にしてあります。)


数式はこういう内容を表現するのにはとても便利ですね。
数式エディタの装備や数式が表示できる掲示板いいですね!
ありがとうございます。
今後ともよろしくおねがいします。。

  投稿者:EMAN - 2010/09/16(Thu) 19:00  No.9912 
 きわむさん、
数式エディタ、面白いでしょ?
 楽しんでもらえて嬉しいです。

 きわむさんの説明はまだじっくり読んではいませんが、
時々、読み返して少しずつ考えてます。
(急いで結論を出すのが苦手でして・・・)

 コメントしたいことが出てきましたら書きますね。

  投稿者:きわむ - 2010/09/16(Thu) 21:48  No.9913 
はい、面白いです!

(見ていただいているとわかったので、自分の書き込みを読み直しました。記載ミスや、変な言葉や説明不足の部分がかなりあったので、書き込みを一部修正しました。ご容赦ください m(_ _)m9/17 0時20分ごろ訂正と追記を終了しました。だいぶ主張がわかりやすくなったとおもいます。 )

(式変形がおかしかったので、また訂正しました。すみません。でも言いたい内容は同じです。9/18 15:15)

  投稿者:yuya - 2010/09/18(Sat) 09:20  No.9923  <Home>
私はこの問題の核心は、同じように力を加えても、
そのときにやりとりされる「仕事」からして、
座標系によって異なるのだ、という点だと考えています。

きわむさんのおっしゃるように、おもりに仕事をする主体が船(にいる人)ではなく、
第三者が外力として力を加えた場合でも、同じ疑問が残ります。
すなわち、「全く同じように仕事を加えているのに、
どうして座標系によっておもりの運動エネルギーの増加量が異なるの?」
という疑問です。

仕事は「力×距離」であり、一瞬で仕事をやりとりしたように見えても、
力の加わっている微小時間におもりが動いた距離を考えることで、
仕事量を計算することができます。

立ち返って、質量 $m$ の物体が $0$ から $v$ まで加速されたとき、なぜ運動エネルギーが
 $mv^2/2$ だけ増加するのかを直感的に考えます。

 $\Delta t$ の微小時間に加わった力 $F$ (一様とします)を用いて、
仕事 $W$ は $W = Fx = F \bar{v} \Delta t$  と書けます。
ここで $x$ はおもりの移動距離、 $\bar{v}$ はおもりの「平均の速さ」です。
 $0$ から $v$ まで一様に加速された場合には平均の速さは $v/2$ でしょうから、
 $W = F(v/2)\Delta t$ 
さらに運動方程式 $F = ma$ ( $a$ は加速度)から
 $W = ma(v/2)\Delta t = m(v/2)(a\Delta t) = m(v/2)v = mv^2 / 2$ 
となります。

すなわち、同じ力を同じ時間だけ加えても、その間の物体の平均の速さが異なれば、
移動距離も異なり、したがって与えられた仕事量も異なることになります。

元の質問の設定でも、静止系でのおもりの平均の速さが $3v/2$ であるのに対し、
船の上での平均の速さは $v/2$ になり、座標系が異なるだけなのに
(物体の移動距離が異なるために)仕事量も異なる、ということになります。

  投稿者:サンマヤ - 2010/09/18(Sat) 13:01  No.9924 
みなさん、とくにyuyaさんに説明はとても分かりやすかったですが、
力を基準に考えずにエネルギーを基準とするとどうなるか、いまいち分からないなあと思い計算してみました。

たとえば、大砲の弾を打ち出すように、
一定のエネルギーE(爆薬の爆発など)が船と弾丸の運動エネルギーに分配されるとします。

1)重心系でみた場合
弾丸、船の質量を $m,M$ 、最初静止(外からみれば、いっしょに動いている)していて、発射後の弾丸の速度を $v$ 、船の速度を $-V$ とします。
運動量保存則
<tex>mv = MV</tex>
と、エネルギー保存則
<tex>\frac{1}{2}mv^2 + \frac{1}{2}MV^2 = E</tex>
これを解くと、 $v:V = M:m$ にエネルギーが分配されて、
<tex>V = \frac{2E}{(m+M)M}, v = \frac{2E}{(m+M)m}</tex>
というのは、高校物理でもよく出る問題。

2)これを外からみた場合
最初、初速 $v_0$ をもっていたとします。 $v$ と $-V$ は速度の増分と解釈します。
運動量保存則、
<tex>m(v_0+v) + M(vo-V) = mv_0 + Mv_0</tex>
と、エネルギー保存則
<tex>\frac{1}{2}m(v_0+v)^2 + \frac{1}{2}M(v_0-V)^2 = \frac{1}{2}mv_0^2 + \frac{1}{2}Mv_0^2 + E</tex>
となります。運動量保存則を変形すれば、
<tex>mv = MV</tex>
です。これは同じですね。
エネルギー保存則左辺は
<tex>\frac{1}{2}mv_0^2 + mv_0v + \frac{1}{2}mv^2 + \frac{1}{2}Mv_0^2 - Mv_0V + \frac{1}{2}MV^2 = \frac{1}{2}mv_0^2 + \frac{1}{2}Mv_0^2 + (mv-MV)v_0 + \frac{1}{2}mv^2 + \frac{1}{2}MV^2</tex>
第1項、第2項は右辺と打ち消し、第3項は運動量保存から0になりますので、
<tex>\frac{1}{2}mv^2 + \frac{1}{2}MV^2 = E</tex>
なんだ・・・同じかw
というわけで、速度がおかしくなるとかの矛盾はないわけですね。
ただし、それぞれが得たエネルギーは弾丸が $mvv_0$ だけ多く、船は $MVv_0$ だけ少ない。これは運動量保存から収支が合うと。

結論:
1:速度が合うのには運動量保存がきいている。つまり反動がきいている。
2:エネルギーは見た目変わる。これはyuyaさんの説明で説明できる。収支についてはこれも運動量保存から。
ということになるでしょうか。
というわけで、反動と見た目の仕事の違い、両方がきいているようです。

<余談その1>
数式エディタはTeXというシステムでできています。これができると数式入りのPDFが作れたり便利です。

<余談その2>
海上の船は摩擦や傾くことによる浮力で支えるわけですが、宇宙だとどうなるんでしょう。
「スタートレック」や「トップをねらえ!」に出てくる光子魚雷のような自走するものはともかく、
銀英伝にでてくる中性子ビームとか、イデオンのイデオンソード、
挙げたらきりがないですが、ビーム・レーザー系はみな反動がくるはずです。
打つ順番まちがうと船体が回転してしまったり、(「右舷弾幕薄い!何やってんの?船体が回転しているぞ」みたいな)
「波動砲」レベルになると反動で相当後退してしまうのではないでしょうか・・・
そこはやはりエーテルの摩擦がきくんでしょうかw(イナーシャルキャンセラーが実用化されているという設定のものもありますが)
考えると仕事も手につきません・・・

  投稿者:yuya - 2010/09/20(Mon) 13:43  No.9930  <Home>
きわむさんの投稿を詳細に読み返して気になったので、確認させてください。
船が無限に重いために、反動を受けないとみなせる状況であっても、
【静止系での】船の運動エネルギー変化はゼロとはみなせない、
ということに同意してもらえるでしょうか?

  投稿者:きわむ - 2010/09/20(Mon) 23:46  No.9932 
yuyaさん

はじめまして。よろしくおねがいします。

>船が無限に重いために、反動を受けないとみなせる状況であっても、
>【静止系での】船の運動エネルギー変化はゼロとはみなせない、
>ということに同意してもらえるでしょうか?

はい。それは -mv^2 ですよね。私の書き込みの(3)の式と次の式の引き算をして、
Mをmに比べてはるかに大きくしたときですね。(3)の第2項です。


-----以下蛇足かもしれません。すみません。-----

この項を私は反動とあまり呼びたくないのです。"反"対に"動"くという文字なので
違和感があるのです。

船が無限に重いなら反対側に速度が変化しない(V'→0、MV'→有限値)という
極限になるわけだから違和感があります。

純粋に反対の動きに対応するのは第3項だと思うのです。反動ならば、mとMの関数(たとえば
mとMの質量比の関数)であって欲しいという想いからこの話題をはじめています。
おもりについての式(2)にはMは必要ないから、反動を考えなくてもよいのでは、
というあたりから考えをスタートしています。

この場合、(3)の第2項は反作用に対応する運動エネルギーではあるとは思うのです。
第2項はv0がかかっているので単純に反作用でもない、"反作用分の力積"と"初速度"との内積に
あたる量をどういう言葉で表すか、という問題なんだろうな、と今日
思いました。これを反動と呼ばずに、もっと誤解のないわかりやすい言い方で表現
できないものかな、と考えています。単に言葉の使い方("反動"の定義)の問題に
ひっかかっていただけなのかもしれないな、と思う今日このごろです。

(今日は、v0からv0+Δvに変化するときに必要な仕事を、"変化しないv0についての分"と
"それ以外の速度変化分"の足し算として分離して計算しました。その結果を見て、上記のように
おもったわけです。)

-----------------

あと、EMANさんがおっしゃっていた過去ログとは
↓のことでしょうか??
http://eman.hobby-site.com/bbs/past/log03400.html
このスレッドのtakaさんと同じようなことを考えているのかなと
思って読んでいました。

  投稿者:yuya - 2010/09/21(Tue) 23:23  No.9934  <Home>
きわむさん

お返事ありがとうございます。こちらこそよろしく。

確かにEMANさんの説明は、「反動のせいで期待通りの速度変化は得られない」ということに
必要以上に重点が置かれているように見えるかもしれません。

しかし、一番大事なことは冒頭に書かれています。

>そりゃあ確かに速度変化はわずかかも知れませんが、船が大きい分だけ、速
>度変化によるエネルギーは大きく効いて来るのです。 船の上の人がおもり
>を投げる作用が船自体の減速にも使われてしまって、岸から船とおもりの両
>方を見ることでようやくエネルギー保存が成り立っているという具合になっ
>ていそうです。

静止系で見たときに船は運動エネルギーを失ないます。

これは「反動のある場合」だけでなく、
船の質量が無限大で、反動が目に見えない場合でも、
船は有限の量の運動エネルギーを失います。
(実際のところ、質量無限大のとき、船の運動エネルギー喪失は最大になります。)

質問者が「エネルギーが合わない」と感じるのは、
この「(静止系における)船の運動エネルギー喪失」を忘れているから、
というのがEMANさんの指摘です。

EMANさんはそれに続いて船の質量が有限の場合について計算して見せていますが、
無限大の場合はその計算の特別なケースとして含まれています。

きわむさんに同意してもらえたとおり、
船の質量が無限大で、おもりを $v$ だけ速度変化させたとき、
静止系における船の運動エネルギー変化は $- mv^2$ です。
つまり、船から $mv^2$ だけのエネルギーを奪って、
それに人がもたらすエネルギー $mv^2/2$ を加えた、
合計 $3mv^2/2$ のエネルギーがおもりに与えられるわけで、
ちゃんとエネルギー収支は合っています。

このように考えることができるので、[9907]の

>この質問「なぜエネルギー保存の法則がなりたっていないようにみえるのか?」のポイントは
>「運動エネルギーの保存は速度の同じ系でしか成り立たないから、違う系同士では保存しない」
>ということだと思います。
>(つまり、おもりに与えた運動エネルギーという意味では質問文のmv^2/2と3mv^2/2の二つは同じなのですが、
>mv^2/2は無限に重い船からみたときのもの、3mv^2/2は岸からみたときのもの、という区別があいまいになっており、
>この二つは(比較はしてもいいが)保存を考えていいものではないんだよ、ということだと思います。)

という発言が気になったわけです。

「おもりが受け取る仕事」が慣性系によって異なる( $mv^2/2$ と $3mv^2/2$ )のは、確かに何の不思議もありません。
きわむさんの初めのほうの投稿や、私が[9923]で書いたとおりです。

しかし、エネルギー収支が重心系と静止系で喰い違ってよいとするならば、
人が「おもり&船の系」に与える仕事 $E$ が慣性系によって異なることになってしまいます。

実際にはこのような状況では $E$ は共通であり、ただその行方が慣性系によってずいぶん違って見えます。

重心系では、 $E$ が単純におもりと船に分配されて両者が左右に遠ざかっていく
(このとき、質量の逆比にしたがって分配され、船の質量が無限大ならおもりだけに行く)
のに対し、
静止系では、船の運動エネルギーが減少し、それで浮いたエネルギーに $E$ が上乗せされて、
おもりに与えられるように見えるのです。

ここまで、いかがでしょうか?

  投稿者:きわむ - 2010/09/22(Wed) 04:55  No.9935 
yuyaさん

>しかし、エネルギー収支が重心系と静止系で喰い違ってよいとするならば、
>人が「おもり&船の系」に与える仕事 が慣性系によって異なることになってしまいます。

私が「運動エネルギーの保存は速度の同じ系でしか成り立たないから、違う系同士では保存しない」と
書いたのは、「重心系では全エネルギーは保存し、静止系では全エネルギーは保存しない」
という意味ではありません。

「重心系でのおもりの加速後の運動エネルギー」と「静止系でのおもりのもともとの
運動エネルギー」を足して、「静止系での加速後の運動エネルギー」と考える(エネルギーが保存するから!)
というのは間違っている、という意味です。質問者はそこを間違えているのではないか、と
思ったのです。つまり、「あれっ??と思った瞬間の私」は、そこをまちがえていました。
その指摘が記事にほしかったという意味です。

また、「エネルギー収支」とは全エネルギーの保存のことだと思いますが、重心系と静止系では全エネルギーの
大きさが異なってはいるが、それぞれ保存されていると思っています。エネルギーの収支については、私は
あまり問題視していなかったので触れてはいませんでした。。。反動つまりMをあからさまに議論に持ち出さなくても(Mを議論に
持ち出さないほうがわかりやすいのかどうかは別としてですが、)この問題は説明することができるのではないか、
という意見を中心として書いているからです。

人が「おもり&船の系」に与える仕事とは私がNo.9907で書いた内部エネルギーEと同じものだと思いますが、
そこにも記載したように、これはどの慣性系でも同じ大きさのEであり、内部エネルギーは
速度の異なる慣性系間でも(大きさが)保存していると思っています。

他の点については、ざっと読んだ限り、だいたい異論反論はありません。

物理的な意味については、yuyaさんとだいたい同じ理解なのではないかな、と思っています。

これでお返事になっていますでしょうか??



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質問者はもしかしたら、私とおなじように、mv^2についての物理的解釈とイメージをEMANさんに
求めていたのではないかな、と思い、そうだとすると、記事の内容はその答えに
ストレートにこたえてはいないのではないかな、と思いました。

書き込んでみたら、No.9897 のEMANさんの書き込みの、もともとの質問者の意図

>ところがすでに v の速度があるものを、
>どういう手段で 2v に出来るのかが理解しにくい。

と、私の勝手な興味とは、異なるものだったみたいだとわかり、これは仕方ない話なんだな、
と思い、興味の赴くまま、これをきっかけに考えたことを書いてみた、という状況です。


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誤解のないように、私にとっての経緯をもう少し詳しく記載しておこうとおもいます。

私にとっては、この質問者の質問は、「vで運動している無限に重い船におもりmが乗っていて、その船からみて
mv^2/2の仕事をすれば、おもりはvの速さになる。つまり元の系からみておもりはvから2vに加速されたことになる。
もともと系でのおもりの運動エネルギーmv^2/2に、さきほど加速のためにつかった仕事mv^2/2を足したらmv^2。
これがもともとの系での、加速後の運動エネルギーになりそうだが、本当はもっと大きくて加速後の
運動エネルギーは2mv^2。この差mv^2は何? 0からvにするのにmv^2/2の仕事でOKなのに、vから2vにする同じvの
加速には、それでは足りないのはなぜ? 何が余分に必要なの?」という質問でした。私も同様にあれ?なんで
だろう?考えたこともなかったな、面白いな、と思いました。

EMANさんの記事で、「この差mv^2は何?」「この量の物理的な意味やイメージは何?」「この量の大きさはどんな
理由で決まってきているものなの?」という、私にとっての一番大事な疑問にたいしてのすっきりとした
答えを、(全エネルギーの収支が成り立っているというのは分かったけども)私は得ることが
できなかったので、せっかく面白そうなのだから自分で考えてみようと思ったわけです。

まず、船の重さがいくらであろうともvから2vにすることはできるわけで、船の重さにかかわらず3mv^2/2と
いう量は出てくるので、反動を考えなくても「この差mv^2は何?」を説明
できないとおかしいような気がする、とぼんやり思って書き込みを始めました。
この答えがわかってしまえば、加速方法にはよらないわけだから反動、つまりMについての考察は、私の疑問に
関しては、おまけということになるのではないかな、と思ったわけです。これが私にとって第1のポイントでした。


次に、速度の異なる系でのエネルギーと仕事を私が何の注意もなく足して加速後の運動エネルギーだと思っていた
ことに問題があります。("作用についての力積と初速度との内積"にも注意して足せば全エネルギー保存の
法則は成り立つわけですが、そんな量に注意すればエネルギー保存の法則を使ってよいなんて習った
記憶がありませんし、そのときの私は知りませんでした。。。)速度の異なる系間で保存するエネルギーは
運動エネルギーでなく内部エネルギーですが、それと混同していました。たとえば静止している質量mの
運動エネルギー0とそれを速度vで走った人からみた運動エネルギーmv^2/2が違うのはなんで?と言う
のに似てたな、と思いました。運動エネルギーと同様、速度の異なる系間で全エネルギー(の大きさ)は保存しませんが、
全エネルギーの保存は(エネルギーの収支は)同じ速度の系についてなら成り立ちます。
私は法則の適用範囲(対象)を間違えており混同していたわけです。よい勉強になりました。
これが私にとって第2のポイントでした。

ここまで考えてから書き込みをしました。そのあと、このイメージをちゃんと計算してみようと思い、
数式で表現したものも書き込んだわけです。(じぶんなりに理解するために
等加速度運動でvまで加速してあげて、なんとなく「この差mv^2は何?」のイメージを
つかんでから書き込んでいます。)

それから、過去ログを探して読んでみて、力積と初速度との内積なんだなと思って、仕事をその形で
分離して計算してみてもうちょっとわかった気になったぞ、というのが今の段階です。


『質問者が「エネルギーが合わない」と感じるのは、
この「(静止系における)船の運動エネルギー喪失」を忘れているから』というのも全エネルギーの保存
(エネルギーの収支)に関して、ごもっともで、見落としがちな点ではあると思うのですが、
私の疑問「この差mv^2は何?」「この量の物理的な意味やイメージは何?」「この量の大きさはどんな
理由で決まってきているものなの?」についての答えを、私は記事からストレートに得ることができなかったのです。
「じゃあ、船の運動エネルギーの損失の大きさはどんな物理的意味で決まってきているものなの?」と
思ってしまうわけです。


私はただそれを伝えたかっただけです。


EMANさんが間違っていると言いたいわけではありません。
そのあたり、ご了承いただけたら幸いです。
(もちろん自分の説明の方が分かりやすいぞなどとも思っていません。)

(計算したら「力積と初速度との内積」になりました!では私にとってまだわかりにくくて、力積を力の積分で表して、
微小時間ごとにこの内積をイメージして、さらに時間についてその足し合わせをイメージした方がいいだろうな、
とは思っています。
計算した手元の紙には↓のように書いてある項です。
<tex> \vec{v _{0} }  \cdot  \int_{t _{0} }^{t _{1} }  \vec{f}  \left(t\right) dt= \vec{v _{0} }  \cdot  \vec{ \Delta p } </tex>

「力が加わっても速度が初速度のままの仕事」という量なので、たとえば、
消しゴムみたいな重さのものがゆっくり動いていてたとしたら、軽いはずなのになぜかいくらそれを押しても
引いても速度がかわらない(これは実はめちゃくちゃ重いんじゃないのか??という疑問を抱きかねない)運動を
表している量なんだろうな、と今はイメージしています。がんばったけど速度は変わらなかったから
軽いはずなのに無駄に疲れたな、という感覚をこの量に抱いています。)

  投稿者:yuya - 2010/09/22(Wed) 07:31  No.9936  <Home>
きわむさん:

詳細にお返事をいただきありがとうございます。

>私が「運動エネルギーの保存は速度の同じ系でしか成り立たないから、違う系同士では保存しない」と
>書いたのは、「重心系では全エネルギーは保存し、静止系では全エネルギーは保存しない」
>という意味ではありません。

了解です。まさにそのように誤読していました。

>「重心系でのおもりの加速後の運動エネルギー」と「静止系でのおもりのもともとの運動エネルギー」を足して、
>「静止系での加速後の運動エネルギー」と考える(エネルギーが保存するから!)
>というのは間違っている、という意味です。

途中を端折らずに書くと、前者は「【重心系で】おもりが受け取った仕事」ですから、

|「重心系でおもりが受け取った仕事」と「静止系でのおもりのもともとの運動エネルギー」を足して、
|「静止系での加速後の運動エネルギー」と考える(エネルギーが保存するから!)
|というのは間違っている

ということですね。つまり「ある瞬間における運動エネルギー」だけでなく、その変化(受け取る仕事)も、
慣性系によって異なる、という点を見落としていると。
既に述べたとおり、全く同意見です。
(あ、後ろのほうで同じことをお書きになっていますね)

もはやきわむさんにとっては蛇足ですが、おもりが力を受けているときだけ光るようにして、
闇の中で実験すれば、光るおもりの残像の長さは慣性系によって異なり、これが「受け取る仕事の違い」を裏付けています。

もとの質問には2段階の指摘をするのがベストかもしれません。

すなわち、
(1)おもりの受け取る仕事が慣性系によって違って見えるのは珍しいことでもなんでもない

ということについて、まず念を押す。しかるのち、

(2)じゃあ全エネルギーが慣性系によって保存したりしなかったりしてしまうのでは?と思うかも知れないが、
全エネルギーは慣性系ごとに「それぞれのやり方」で保存されている。
それに気づきにくいのは、この問題の場合は「船の運動エネルギー変化」を見落としているからだ。

と指摘して計算して見せる、という手順です。
きわむさんのご指摘は、(2)の具体的な計算に入る前に、もっと(1)を強調したほうがよいのではないか、
という意見だと言い換えられるかもしれません(違ってたらすみません)。

>『質問者が「エネルギーが合わない」と感じるのは、
>この「(静止系における)船の運動エネルギー喪失」を忘れているから』というのも
>全エネルギーの保存(エネルギーの収支)に関して、ごもっともで、見落としがちな点ではあると思うのですが、
>私の疑問「この差mv^2は何?」「この量の物理的な意味やイメージは何?」「この量の大きさはどんな
>理由で決まってきているものなの?」についての答えを、私は記事からストレートに得ることができなかったのです。
>「じゃあ、船の運動エネルギーの損失の大きさはどんな物理的意味で決まってきているものなの?」と
>思ってしまうわけです。

なるほど。

船の運動エネルギー損失を見落とす原因は、船の質量を初めから無限大と考えて、
「ゼロ×無限大」の不定形をうっかりゼロと決め付けてしまうことにあると思います。

>「じゃあ、船の運動エネルギーの損失の大きさはどんな物理的意味で決まってきているものなの?」

という疑問に対して、「まず質量有限(反動がある)と考えて極限をとる」以外のアプローチを私は知らないので、
自分が説明するとしても、((1)の説明の間はよいが)(2)に入ると結局「反動」という言葉が出てきそうな気がするなぁ(笑)。

>EMANさんが間違っていると言いたいわけではありません。
>そのあたり、ご了承いただけたら幸いです。
>(もちろん自分の説明の方が分かりやすいぞなどとも思っていません。)

その点については当初から誤解しておりませんので、ご心配に及びません(^^)

おかげで私の理解も格段に深まっています。感謝しています。

  投稿者:きわむ - 2010/09/27(Mon) 00:45  No.9943 
yuyaさん

こちらこそありがとうございます。

>(1)おもりの受け取る仕事が慣性系によって違って見えるのは珍しいことでもなんでもない

>ということについて、まず念を押す。しかるのち、

>(2)じゃあ全エネルギーが慣性系によって保存したりしなかったりしてしまうのでは?と思うかも知れないが、
>全エネルギーは慣性系ごとに「それぞれのやり方」で保存されている。
>それに気づきにくいのは、この問題の場合は「船の運動エネルギー変化」を見落としているからだ。

の間に、(1.5) を追加して「mv^2の項を仕事から計算して、この項の意味を考える。」
という説明プロセスがほしいところです。そのあとにyuyaさんのおっしゃる(2)がくる、という展開が
いいな、とおもいます。

だから、yuyaさんの言葉をお借りすると、
私の希望は(1)と(1.5)をもっと強調して、私の計算よりも分かりやすく説明してほしい、ということになります。



>>「じゃあ、船の運動エネルギーの損失の大きさはどんな物理的意味で決まってきているものなの?」
>という疑問に対して、「まず質量有限(反動がある)と考えて極限をとる」以外のアプローチを私は知らないので、
>自分が説明するとしても、((1)の説明の間はよいが)(2)に入ると結局「反動」という言葉が出てきそうな気がするなぁ(笑)。

↑について、「この差mv^2は何?」「この量の物理的な意味やイメージは何?」「この量の大きさはどんな
理由で決まってきているものなの?」に対する答えですが、船の反動を持ち出さなくてすむように計算してみた
私のメモを↓に掲載します。こんな流れがいいのでは、と思っています。
計算おかしかったらごめんなさい m(_ _)m

------------------

質量 m のおもりについて
時間が
<tex>t:t _{0}  \rightarrow t _{1} </tex>
と変化するとき(添え字0は始状態、添え字1は終状態。「_X」は添え字がXだという意味です。)、
速度が
<tex> \vec{v}  \left(t\right) : \vec{v} (t _{0} )= \vec{v _{0} }  \rightarrow  \vec{v} (t _{1} )= \vec{v _{0} } + \vec{ \Delta v} = \vec{v _{1} } </tex>
と変化し、位置が、
<tex> \vec{x}  \left(t\right) : \vec{x} (t _{0} )= \vec{x _{0} }  \rightarrow  \vec{x} (t _{1} )= \vec{x _{1} } </tex>
と変化するとする。
もとの系に対して、v0で動いている系Sへのガリレイ変換を考えるとき、系Sでのこのおもりの速度をv_Sとする(以下、添え字Sは系を指定する)と
<tex> \vec{v}  \left(t\right) = \vec{v _{0} } + \vec{v _{S} }  \left(t\right) </tex>
この関係式がなりたつ。v_Sは始状態0から終状態1に
<tex> \vec{v _{S} }  \left(t\right) : \vec{v _{S} }  \left(t _{0} \right) =0 \rightarrow  \vec{v _{S} }  \left(t _{1} \right) = \vec{ \Delta v} </tex>
のように変化することになる。
ここでt0からt1の間に、速度が上記のようにv0からv1=v0+Δvに変化するのに必要な仕事をW、そのときに作用した力をfとする。
そのときのWを計算する。仕事の定義より、
<tex>W= \int_{ \vec{x _{0} } }^{ \vec{x _{1} } }  \vec{f}  \left(x\right)  \cdot d \vec{x} </tex>
<tex>= \int_{t _{o} }^{t _{1} }  \vec{f}  \left(t\right)  \cdot  \frac{d \vec{x} }{dt} dt= \int_{t _{0} }^{t _{1} }  \vec{f}  \left(t\right)  \cdot  \vec{v}  \left(t\right) dt</tex>
<tex>= \int_{t _{0} }^{t _{1} }  \vec{f}  \left(t\right)  \cdot  \left( \vec{v _{0} } + \vec{v _{S} }  \left(t\right) \right) dt</tex>
<tex>= \vec{v _{0} }  \cdot  \int_{t _{0} }^{t _{1} }  \vec{f}  \left(t\right) dt+ \int_{t _{0} }^{t _{1} }  \vec{f}  \left(t\right)  \cdot  \vec{v _{S} }  \left(t\right) dt=W _{T} +W _{S} \cdots  \left(4\right) </tex>
と変形できる。(ここで添え字Tは系Tという意味ではありません。)
ここでfはもとの系でも系Sでも、tについての依存性は向きも大きさも同じ。つまり、
<tex> \vec{f}  \left(t\right) = \vec{f _{S} }  \left(t\right) </tex>
は恒等式なのでW_Sについては
<tex> \vec{f}  \left(t\right) = \vec{f _{S} }  \left(t\right) =m \frac{d \vec{v _{S} } }{dt} </tex>
を、W_Tについては
<tex> \vec{f}  \left(t\right) =m \frac{d \vec{v } }{dt} </tex>
を代入する。

<tex>W _{T} = \vec{v _{0} }  \cdot  \int_{t0}^{t1} m \frac{d \vec{v} }{dt} dt= \vec{v _{0} }  \cdot  \int_{ \vec{v _{0} } }^{ \vec{v _{0} } + \vec{ \Delta v} } md \vec{v} = \left[m \vec{v} \right]_{ \vec{v _{0} } }^{ \vec{v _{0} } + \vec{ \Delta v} } = \vec{v _{0} }  \cdot  \left(m \vec{ \Delta v} \right) </tex>

<tex>W _{S} = \int_{t _{0} }^{t _{1} } m \frac{d \vec{v _{S} } }{dt}  \cdot  \vec{v _{S} }  \left(t\right) dt=m \int_{0}^{ \vec{ \Delta v} }  \vec{v _{S} }  \left(t\right)  \cdot d \vec{v _{S} } =m \int_{0}^{ \Delta v} v _{S}  \left(t\right) dv _{S} =m \left[ \frac{1}{2} v _{S}  ^{2} \right]_{0}^{ \Delta v} = \frac{1}{2} m \Delta v ^{2} </tex>


ここで、fによるおもりへの力積をΔpで表すと、
<tex>m \vec{ \Delta v} = \vec{ \Delta p} = \vec{p _{1} } - \vec{p _{0} } =m \vec{v _{1} } -m \vec{v _{0} } </tex>
なので、

<tex>W _{T} = \vec{v _{0} }  \cdot  \vec{ \Delta p}  \cdots  \left(5\right) </tex>

<tex>W _{S} = \frac{1}{2}  \Delta v \Delta p \cdots  \left(6\right) </tex>

(4)に代入して、
<tex>W = \vec{v _{0} }  \cdot  \vec{ \Delta p} + \frac{1}{2}  \Delta v \Delta p \cdots  \left(7\right) </tex>



ここで、(1)の第2項が(7)の第1項、(1)の第3項が(7)の第2項に相当している。
(7)の第1項は初速度v0で力fが加わっても初速度v0のままの場合のfがした仕事で、(4)式の第1項に相当するもの。
(7)の第2項はもともとの系からみて初速度v0と同じ速度で動いている系Sから見たときにおもりに与えられた仕事で、(4)式の第2項に相当するもの。

これで、船を持ち出さずに、(1)の第2項を説明できると思います。

----------

(補足として、ここでm→∞、Δv→0、Δp=mΔvが有限値の極限では、(6)は、
<tex>W _{S}  \rightarrow 0</tex>
となり、(5)W_Tはそのまま。これは船に反動(速度変化)がない状況に相当し、
船についてはfがわかればおもりと関係なく、船だけ独立でWについて式を立てることができる。ただ、船に働くWを実際に求めるには、結局、運動量の保存を使って、おもりに加えられた力積の向きが反対のもの、ということにはなるけれども。。。)

  投稿者:yuya - 2010/09/27(Mon) 13:13  No.9945  <Home>
きわむさん:

私なりにきわむさんの計算のエッセンスを抽出すると、

<tex>F \cdot \D x = F \cdot (v\D t) = v \cdot (F\D t) = v \cdot \D p</tex>

と書き換えられるので、図の色を塗った部分の面積に相当するわけですね。
http://www.geocities.jp/abreverse/kinetic.png

> (7)の第1項は初速度v0で力fが加わっても初速度v0のままの場合のfがした仕事で、(4)式の第1項に相当するもの。

教わる人によっては、「力が加わっても加速しない」という、実際に起こっていない状況を仮想することに抵抗が生じるかもしれません。

おもりの移動距離を、
「力が加わらなくても移動していたはずの距離」と「力が加わったおかげで余分に移動した距離」とに【便宜的に】分けたとき、
慣性系によらず共通なのは後者であり、前者分の仕事が $W_T$ 、後者分の仕事が $W_S$ ということですね。

この議論は「説明のしかた」を問題としているので、
物理学的には同じ話の繰り返しに付き合わせてしまって申し訳ありませんでしたが、
少し物理学的なことに話を移そうと思います。

ここまで、「内部エネルギー」についてはどの慣性系でも共通ということを信じて疑いませんでしたが、
どういう場合に共通になるのか?を考えてみたいのです。

船上でおもりを投げる人や爆薬は系の内部から湧き出てきているイメージを持つのが正しいのでしょうが、
「おもり&船」という系を考えれば、人や爆薬からの力は外力であり、
これによる仕事の分だけ「おもり&船」の全エネルギーが増加する、と見ることもできます。

このように一般化したとき、「おもり&船」に対して、系外の主体がどのような力を加えても、
その仕事は慣性系によらず共通かというと、答えはNoになると思います。

すでにサンマヤさんが[9924]で計算してくださっているとおり、
重心系と静止系とで「おもり&船」のエネルギーの増加が共通になるためには、
運動量保存が利いています。

すなわち、慣性系によらず外力からの仕事が等しくなるためには、
その外力が系の総運動量を変えないようなものでなければならない、ということが分かります。

逆に言えば、そのような力の加え方であれば、たとえ船上の人や爆薬によらずに
まったくの第三者が外力を加えた場合であっても、
結果として仕事は慣性系によらず共通とみなせることになります。

この考えは正しいでしょうか?
おもりと船の2体を考える限り、どうやら正しそうなのですが、
3体以上ではどうなのか、など、識者のかたご教示ください。