EMANの物理学 過去ログ No.9715 〜

 ● 等速運動する点電荷について

  投稿者:naga_tossy - 2010/07/10(Sat) 01:19  No.9715 
初めて投稿いたします。
最近こちらのWEBを見始めました。エンジニアですが理論物理は専門外で勉強中です。

さて、電磁気学のページを見て思ったのですが、
「等速運動する点電荷の作る電界は、進行方向につぶれた楕円になる」
というのは、まさにローレンツ収縮のことに思えるのですが、そうなのでしょうか?

また、
「等速運動をする点電荷に新たなエネルギーは変わらないが、速度を変えた場合は電磁波を発しエネルギーが減るため、新たなエネルギーが必要」
というのは、質量と力の関係=いわゆる運動方程式と等価のように思えますがいかがでしょうか?
電磁場と同様に重力場の概念を用いることで、慣性質量と重力質量が等しいことの説明ができそうなのですがどうでしょうか?

  投稿者:サンマヤ - 2010/07/10(Sat) 18:36  No.9716 
はじめまして、サンマヤともうします。
私も最近ここに出入りするようになった新参者ですがw

>「等速運動する点電荷の作る電界は、進行方向につぶれた楕円になる」
正確には「電界」でなく「電磁場のスカラーポテンシャル」(いわゆる電気力ポテンシャル)です。
これをローレンツ収縮といってもいいですが、四元電磁ポテンシャルがローレンツ変換を受けた結果、というほうがより正確です。
EMANさんの相対論のページを読んでいけばそのうち出てきます。
電場のほうは単純なローレンツ変換でなく、磁場とともに2階のテンソルとして変換しますので、形としては複雑です。

>「等速運動をする点電荷に新たなエネルギーは変わらないが、速度を変えた場合は電磁波を発しエネルギーが減るため、新たなエネルギーが必要」
>というのは、質量と力の関係=いわゆる運動方程式と等価のように思えますがいかがでしょうか?
こちらは誤解があるようです。
惑星の運動はずっと太陽の周りを運動し続けます。
一方、点電荷の「速度が変わる」というのはベクトルとしての速度変化を表しますから、
等速円運動であっても電磁波を放出することになります。
この辺はEMANさんの記事でいうと「点電荷から発する電磁波」の項目で「シンクロトロン放射」のあたりで書かれていることです。
(速度と直交する加速ですから、円運動になります)

つまり、太陽と惑星のように、陽子の周りを電子が円運動しているとすると、
そこからは電磁波が放出されて電子は陽子へと落ちていくことになります。
それでは、「原子はどうして安定した形を保つことができるのか?」、
という疑問は量子力学による原子模型の説明へとつながっていくところです。

>慣性質量と重力質量が等しいことの説明ができそうなのですがどうでしょうか?
どういうことをおっしゃりたいのかよく分からないですが、これは等価原理のことだとおもうのですが、
物理学で「○○原理」とされたものは、そう簡単に説明できないから「原理」なのです。
ユークリッド幾何学の「平行線の公理」みたいなものです。(というのは言いすぎか)
そこはそれ以上掘るのはいまのところやめておきましょう、ということなので最初のうちは近づかないのが無難ですw
何を「原理」として最小限採用すべきか、ということは常に理論構築の上で問題になることではありますが。

とりあえず、こんな解答でいかがでしょうか。

  投稿者:naga_tossy - 2010/07/19(Mon) 23:54  No.9732 
サンマヤさん、レスありがとうございます。
ローレンツ収縮についてはもう少し読み進めてます。
慣性質量と重力質量については、そうですね…、質量に加速度を与えるのに力が必要なことと、電荷に加速度を与えるのにエネルギーが必要なことを対比して考えられないか、ということです。質量に加速度を与えられたとき、力と同次元の何かを放出すると考えればよいのかと思います。まあ思い付きの域を出ないですけど。

  投稿者:hirota - 2010/07/23(Fri) 15:12  No.9736 
以前
http://www.gakushuin.ac.jp/~881791/d/
にあったネタ (今は載ってない) ですが、電磁場を持つ物体を加速すると「加速による電磁場の変化」が物体の加速に抵抗し、この抵抗を質量と解釈すると「電磁場による加速抵抗の換算質量=電磁場エネルギーの換算質量」となってるはず。ということでコンデンサの電場を加速したときの計算をやってました。
その計算を再録します。
なお、電磁場の表記は「場の古典論」の方式を使い、さらに c=1 とします。
( SI 単位系から $\epsilon_0=\frac{1}{4\pi},\,\mu_0=4\pi$ として、Maxwell 方程式は
 $\nabla\bullet E=4\pi\rho,\,\nabla\bullet H=0,\,\nabla\times H=4\pi J+\frac{\partial E}{\partial t},\,\nabla\times E=-\frac{\partial H}{\partial t}$ )
コンデンサは z=0 と z=L 平面に極版があり、z=0 極版は面密度σ, z=L 極版は面密度−σ に帯電してる。
すると電荷密度はデルタ関数を使って $\rho(z)=\sigma\delta(z)-\sigma\delta(z-L)$ と表わされる。
 $\frac{\partial}{\partial z}\frac{z}{|z|}=2\delta(z)$ だから、静止状態の初期電場は
 $E_0=2\pi\sigma(\frac{z}{|z|}-\frac{z-L}{|z-L|})\begin{pmatrix}0\\0\\1\end{pmatrix}$ 
となり、極版面積 S あたりの電場エネルギー (質量) は
 $M=\frac{E_0^2}{8\pi}S L=2\pi\sigma^2S L$ 
これを t ≧ 0 で加速度
 $\boldsymbol{a}=a\begin{pmatrix}1\\0\\0\end{pmatrix}$ 
を加えると、速度は
 $\boldsymbol{v}(t)=v(t)\begin{pmatrix}1\\0\\0\end{pmatrix},\,v(t)=a\,\mathrm{Max}(t,0)$ 
電流密度は
 $J=\rho(z)\boldsymbol{v}(t)$ 
電流から遅延を考慮して磁場を求めると
 $H_1=-2\pi\sigma(\frac{z}{|z|}v(t-|z|)-\frac{z-L}{|z-L|}v(t-|z-L|))\begin{pmatrix}0\\1\\0\end{pmatrix}$ 
 $=2\pi\sigma a(\frac{z}{|z|}\mathrm{min}(|z|-t,0)-\frac{z-L}{|z-L|}\mathrm{min}(|z-L|-t,0))\begin{pmatrix}0\\1\\0\end{pmatrix}$ 
さらに、この磁場から誘導される電場を求めると
 $\nabla\times E_1=-\frac{\partial H_1}{\partial t}$ 
 $=\pi\sigma a(\frac{z}{|z|}(\frac{z+t}{|z+t|}-\frac{z-t}{|z-t|})-\frac{z-L}{|z-L|}(\frac{z-L+t}{|z-L+t|}-\frac{z-L-t}{|z-L-t|}))\begin{pmatrix}0\\1\\0\end{pmatrix}$ 
 $\frac{\partial}{\partial z}\mathrm{min}(|z|-t,0)=\frac{z}{2|z|}(\frac{z+t}{|z+t|}-\frac{z-t}{|z-t|})$ だから
 $E_1=2\pi\sigma(\mathrm{min}(|z|-t,0)-\mathrm{min}(|z-L|-t,0))\boldsymbol{a}$ 
となり、t ≧ L なら
 $E_1(z=0)=-2\pi\sigma L\boldsymbol{a},\,E_1(z=L)=2\pi\sigma L\boldsymbol{a}$ 
すると、この電場が面積 S あたりの極版電荷に及ぼす力は
 $F=\sigma S E_1(z=0)-\sigma S E_1(z=L)=-4\pi\sigma^2S L\boldsymbol{a}=-2M\boldsymbol{a}$ 
つまり、加速度 a で動かすためには 2Ma の力が必要なわけで、これは質量が 2M ということを意味する。
質量 M のはずが倍になってしまった。パラドックスだ!

誘導電場が更に磁場を誘導し、さらに・・と続けると、相対論効果による質量増大も出るかと思ったら、最初の段階でパラドックスですねー。

  投稿者:サンマヤ - 2010/07/28(Wed) 21:34  No.9740 
hirotaさんが何を意図されて投稿されたのかは分かりませんが、
物理学を学び始めた人にとっては不親切な内容な気がしますw

パラドックスというか、
>「電磁場による加速抵抗の換算質量=電磁場エネルギーの換算質量」となってるはず
という前提が間違っているわけですが・・・

詳しく説明すれば最初の質問と非常に関連する内容ということは分かるのですが、
できればhirotaさんからの「解説」が聞きたいところですw

  投稿者:ASA - 2010/07/29(Thu) 07:52  No.9741 
サンマヤ さんNo.9716
>惑星の運動はずっと太陽の周りを運動し続けます。
これってホントですか?
相対論には、詳しくないですが、質量分布が時間的に変化するので重力波がでるのでは?
 重力波がエネルギーやら運動量を運ぶとすると、惑星は太陽にいつか落ち込むことになるはずです。
 スレ主が、電磁場と重力場を対比させているので詳しい説明が必要な気がします。

  投稿者:hirota - 2010/07/29(Thu) 10:16  No.9742 
現在の物理学では「場との相互作用により、加速に対して抵抗が生じる」が「質量」の起源とされています。(コピー元にあった説明)
電磁場などの知られている場では説明の付かない部分がヒッグス場との相互作用による質量ということになっていて、このヒッグス機構が標準理論のキモですが、ヒッグス粒子はまだ発見されてないので証明されてはいません。
naga_tossy さんの書いてることは大体このことだと思いますが、意味を明確にするために電磁場の例をコピーしました。(パラドックスになってるけど、これが一筋縄でいかない事の例でもある)

  投稿者:サンマヤ - 2010/07/29(Thu) 19:17  No.9743 
>>惑星の運動はずっと太陽の周りを運動し続けます。
>これってホントですか?
>相対論には、詳しくないですが、質量分布が時間的に変化するので重力波がでるのでは?
> 重力波がエネルギーやら運動量を運ぶとすると、惑星は太陽にいつか落ち込むことになるはずです。
> スレ主が、電磁場と重力場を対比させているので詳しい説明が必要な気がします。
ASAさんがご指摘のとおり、重力波を考慮するならば、惑星も太陽へ落ち込むのかもしれません。
重力波がどのように放射されるのかもきちんと説明できないので定量的なことは書けないのですが、
おそらく、重力波は非常に弱いので問題にならないぐらい長い時間がかかると思いまして、
書こうか迷った末に話題が増えてしまうのでやめました。
(ネット上の記述によると、地球が太陽に落ちるまで10の23乗年かかるらしいです)
どなたか、この辺の計算が分かる方がいらしたら、教えていただきたいです。

古典電磁気学ではラザフォード型原子模型をとると10の-11乗秒程度で原子は崩壊してしまいます。
このことについてはhirotaさんの書き込みと関連してレスをつけるつもりですので少々お待ちください。

  投稿者:サンマヤ - 2010/07/30(Fri) 02:18  No.9744 
細かい計算については電磁気学の教科書か演習書を見てください。
砂川重信氏の岩波のシリーズ(テキスト・演習書)がコンパクトかつ十分かと思います。
このサイトに限らず、Web上の情報は不正確なことが多いですから、
勉強は教科書と演習書を使ってきちんとされることをお勧めしますw
もちろん、Webサイトの記事が理解の助けになるということは120%認めた上でいっているわけですが。

1)まずは古典的な理論での自己場の取り扱いについて。

電子が1つあったとして、そこから生じる電場のエネルギー $\frac{1}{2}\epsilon_0 E^2$ を全空間に渡って積分すると、
もし電子が点だとすると無限大に発散してしまいます(電場は $\frac{1}{r^2}$ に比例するので $r=0$ まで積分すると無限大になる)。
そこで電子は有限の半径 $a$ を持つと仮定して、この積分が有限で止まるようにします。
で、この半径をどうやって決めるかというと、電子の質量を $m_e$ として
<tex>  m_e c^2 = \int_a^{\infty} \frac{1}{2} \epsilon_0 E^2 \D\Vec{x}</tex>
となるようにします。つまり電子の慣性質量は周りの場を引きずる(慣性的な意味での)重さだ、という解釈をするわけです。
これによって決まる半径 $a$ を「古典的電子半径」といいます。
これはあくまで慣性質量へ静電場のエネルギーを「くりこんだ」結果です。

自己力(自分の生み出した場による自分への相互作用)を考慮したときには別の現象がみられます。
とりあえず、上の「古典的電子半径」は忘れて、電子の半径 $a$ を未知のままにしておきます。
その上で電子に加速度を与えるために必要な力を計算してみます。
自己場 $\Vec{E},\Vec{B}$ を用いると、電子(電荷密度 $\rho$ 、速度 $\Vec{v}$ )に働く力は、
<tex> \Vec{F} = \int_{V} \left( \rho \Vec{E} + \rho \Vec{v} \times \Vec{B} \right) \D\Vec{x}</tex>
です(積分領域 $V$ は電子の体積)。
速度が光速に比べて十分小さければ、磁場からの力は電場からの力に比べて十分小さいので無視できます。
そこで自己電場を求める方法ですが、ポテンシャルを用いる方が取り扱いとしては楽で、
<tex> \Vec{E} = -\mathbf{grad} \phi - \frac{\partial \Vec{A}}{\partial t}</tex>
ここで、 $R = |\Vec{x}-\Vec{x'}|$ とおいて、
<tex> \phi(\Vec{x},t) = \frac{1}{4 \pi \epsilon_0} \int_{V}  \frac{\rho(\Vec{x'}, t-\frac{R}{c})}{R} \D\Vec{x'}</tex>
<tex> A(\Vec{x},t) = \frac{1}{c^2} \int_{V}  \frac{\Vec{i}(\Vec{x'}, t-\frac{R}{c})}{R} \D\Vec{x'}</tex>
です。ここで、ポテンシャルの積分を実行するために、電荷密度 $\rho(\Vec{x'},t-\frac{R}{c})$ 、電流密度 $\Vec{i}(\Vec{x'},t-\frac{R}{c})=\rho(\Vec{x'},t-\frac{R}{c}) \Vec{v}(t-\frac{R}{c})$ を、
 $R$ でテーラー展開し、積分が0にならない項のうち最初の2つを計算します。
(ここは掲示板に書くには長すぎるので適当な教科書などで調べて下さい・・・)
長い長い積分計算の結果、スカラーポテンシャルからもベクトルポテンシャルからも、
最初の項は加速度に比例し、次の項は加速度の時間微分に比例した項になります。
両方の寄与を足すと、加速度に比例する項の係数は電子の運動によって生じる変位電流による抵抗として説明され、これは電磁質量と呼ばれます。
もう一つの加速度の時間微分に比例した項は電磁波放射によるエネルギーの流出量と等しくなります。
式を書けば、
<tex> F = -\frac{1}{4 \pi \epsilon_0} \frac{2e^2}{3a} \frac{\D\Vec{v}}{\D t} + \frac{e^2}{6 \pi \epsilon_0 c^3} \frac{\D^2\Vec{v}}{\D t^2}</tex>

というわけで、自己力による抵抗は慣性質量とは違った意味をもつ現象です。
電磁波放射のエネルギー損失により古典的な原子模型は崩壊の問題を抱えることになったわけです。

hirotaさんの言葉に合わせるならば、
「電磁場による加速抵抗の換算質量=電磁質量+電磁波放射のエネルギー」
となるわけですね。
そして、電磁放射によるエネルギー損失を差し引いても「電子の見かけの質量=静電場エネルギー由来の慣性質量+電磁質量(変位電流由来)」となるように、電子の半径を定めてやればよい、ということになります。
あくまで、古典論的な「解釈」であって、発散の問題を電子の半径と慣性質量に押し込めてしまっただけの話なのですが。
つまり、静電場を引きずっているだとか、自分の作った変位電流と相互作用するだとか、
よく分からないことは全部慣性質量に入れ込んでしまおうと。
外から見て分かるのは、慣性質量と電子から放射される電磁波なのだから、
それだけを使って式を組み立てようということなんだと思います。

2)量子論的な質量の扱いについて、
これ以降はかなり先の話になってしまうので、
電磁気学を勉強している段階でしたら、「そういう話もあるのね」という程度に聞き流した方がいいですが・・・
古典論では「電子の半径」というものを考えましたが、場の量子論では電子は点電荷ということになっています。
これはそうしないと相対論的な因果律に反するからです。
その代わり、真空の分極とかくりこみとかやっかいな問題が浮上してきます。
この辺はいまの物理理論の限界ですね。
質量の起源は「対称性の自発的破れ」(場の方程式が対称性を持っていてもその解が対称性を破っている状態)とゲージ場との結合によって説明されます。
(ヒッグス機構)
では、その質量が重力とどう関係しているのか。
これについては量子重力理論ができていない以上、いまのところ何もいえません。
もしかすると、等価原理がもっと別の対称性などから説明されるときがくるかもしれません。
これは私見ですが、物理学の最終目標は「質量とは何か」ということになるでしょう。(そういう題名のブルーバックスがありましたがw)
質量の起源と重力場の量子化ということが明らかにならないと、等価原理については説明がつかないでしょう。
そういう意味では、それを原理として出発点においたアインシュタインはうまくやった、といえるのかも知れませんw

##なんか説明不足な感があるのですが、ここまで書くので疲れました・・・
##あとで何か気づいたら書き足します
##これについて意見・補足などありましたら、どなたかお願いします
##7/30 5:00 早速3箇所ぐらい間違いを発見し修正・・・
##砂川氏の名前が黒川氏に・・・それじゃゼータ関数研究者じゃん・・・

  投稿者:TOSHI - 2010/08/01(Sun) 10:33  No.9746 
 毎度,TOSHIです。

>重力波がエネルギーやら運動量を運ぶとすると、惑星は太陽にいつか落ち込むことになるはずです。

 私のブログ「TOSHIの宇宙」2006年6/28の記事「重力波」 
 http://maldoror-ducasse.cocolog-nifty.com/blog/2006/06/post_d61f.html で重力波放出のために落ち込むまでの時間のオーダーを計算しています。

 1000年間で1ミリ落下とか宇宙が生まれて今までが何万回あるよりもはるかに長い時間で落ち込みます。おじゃましました。。

                      TOSHI

  投稿者:TOSHI - 2010/08/01(Sun) 10:49  No.9747 
PS:どうもTOSHIです。

 ついでにラザフォード模型,古典原子模型によって電子が核に落ち込むまでの時間は同じブログの2010年4/9の記事「電磁波の放射(5)(点電荷による電磁波2)」 http://maldoror-ducasse.cocolog-nifty.com/blog/2010/04/5-f9e1.html で計算しています。よろしく。。

 宣伝ですが2006年3月のブログ開始から4年もたつうちに,大抵の基礎物理の話題や計算がどこかのバックナンバーにあるようになりました。EMANさんのところとはそれほど競合してないようですが。。

                         TOSHI

  投稿者:サンマヤ - 2010/08/10(Tue) 07:43  No.9753 
>TOSHIさん
かなりつっこんだ話題もあり、おいおいじっくり拝見させていただきます。
重力波の計算は電磁場との類推からオーダーを見積もられているようですので、
一般相対性理論での計算では違う結果にはなると思いますが、
やはり相当長い時間がかかるようですね。


ところで、自己レスですが、前の記述に誤りがあることがわかりました。
>「電子の見かけの質量=静電場エネルギー由来の慣性質量+電磁質量(変位電流由来)」
と書いたのですが、
いわゆる「電子の古典的半径」は、電子の質量エネルギー=電子の作る電場のエネルギー、ということを仮定していたわけですが、
こちらは力学的な裏づけのないものです。
いっぽう、電磁質量のほうは、電荷に加速度を与えたときに生じる電磁場からの「抵抗」を慣性の原因であると考えます。、
こちらは「慣性質量」を電荷と電磁場の相互作用から説明しようと試みるものであり、
そこに生じる抵抗力を計算することができるという意味で、より具体的なものです。
電磁質量をJ.J.トムソンが考えたときには、電磁質量=慣性質量というように考えたようです。
これは、発散を繰り込もうというような方便的な発想ではなく、
すべての力学的現象や物性を、電子と電磁場の相互作用から説明しようとする試みからでてきたもののようです。

もともとのご質問の趣旨に照らして言えば、
慣性質量を電磁質量で説明したとしても、電磁波放射によるエネルギー損失によって加速運動する電子はエネルギーを失う
ということになると思います。

繰り返しになりますが、結局電子に大きさがあるとすると破綻が起きますので、
この議論は後々成立しなくなるわけですが。

今回の記述は、朝永振一郎編/高林武彦・中村誠太郎著の「物理の歴史」(ちくま学芸文庫)を参照しました。
ちくま学芸文庫、これ以外にも物理のよいテキストをたくさん出しています。
いい仕事してますね。

それでは。

  投稿者:凡人 - 2010/08/21(Sat) 11:54  No.9758 
サンヤマさん
>電磁波放射によるエネルギー損失によって加速運動する電子はエネルギーを失う
>ということになると思います。
http://www.kek.jp/kids/class/particle/class01-07.html
↑の中で説明されている、↓の内容をご存知でしたか?
>電荷を持った粒子は、目に見えない光子(仮想光子)をお手玉しながら走っています。言い換えれば、電荷粒子は光子の衣を着ています。
>電子が電磁石などで急に向きを変えられると、光子の衣が引きちぎられて飛び出します。これが放射光です。

そういえば、No.9697における↓の内容ついては、いかがでしょうか?
>マックスウェルの電磁方程式から光速度不変性を導出出来る事をご存知ですか?
<<追伸>>
「マックスウェルの電磁方程式から光速度不変性を導出出来る事」については、『全体性と内蔵秩序』(青土社)の翻訳者の一人である、佐野正博博士が記した↓の解説が分かり易いと思いますので、どうかご確認下さい。
http://www.sanosemi.com/htst/Theory_of_Science/Light_Speed01.html
注:μ0ε0=1/c^2なので、c=(μ0ε0)^(1/2)ではなく、c=(μ0ε0)^(-1/2)が正解です。

  投稿者:サンマヤ - 2010/08/22(Sun) 23:09  No.9759 
凡人さん
>http://www.kek.jp/kids/class/particle/class01-07.html
>↑の中で説明されている、↓の内容をご存知でしたか?
これを見せてなにをおっしゃりたいのか分かりませんが、
子供向けの説明を引っ張られても返答に困ってしまいます。
放射光は電子の周りの仮想光子がはがれてくるものであるので、
エネルギーを電子から奪うわけではない、とでもいいたいのでしょうか?
これがどういう意味なのかについては場の量子論の教科書でも読んで勉強していただきたいですが、
簡単にいえば、仮想光子は不確定性原理の許す範囲で電子の周囲に光子が生成・消滅しているとみるわけですが、
それがひとたび放射として外に出てしまえば元に戻ることはできませんから、
その分、電子からエネルギーをもっていきます。
ウェブに書かれていることをすべて鵜呑みするのはどうかと思いますが、
それが子供向けの簡単な解説であるならなおさらです。
そもそも、これも真空の描像のひとつにすぎません。

>マックスウェルの電磁方程式から光速度不変性を導出出来る事をご存知ですか?
あえて返答しなかったんですが、
凡人さんは物理学史の本のようなものを読んだことがないのでしょうか。
そこまでいかなくても、たいていの入門書(ブルーバックスなど)でも、
相対性理論や量子力学が、どのような背景で出てきたのかということについて書いてあると思います。

マクスウェル方程式が光速度の不変を要求するのは知っています。
ですが、それが即「光速度不変の原理」になるわけではありません。
実験と理論のキャッチボールの中で、何を原理として採用するかということが決定するわけであり、
マックスウェルの理論が正しいという保証もないわけですから。
もし、マイケルソン・モーリーの実験が異なる結果を出していたなら、マックスウェル理論のほうを修正しなければならなかったでしょう。
アインシュタインの相対性理論はそれ以上の哲学的な洞察を含んでいたと思いますが、
20世紀初頭前後のさまざまな実験事実の上に「光速度不変」が原理として採用されるわけです。
凡人さんも「光速度不変性」と書かれているように、不変の要求と、それを理論の原理として採用することの差については理解されているとは思いますが。

凡人さんの書き込みをみていつも気になることで、「ご存知ですか」というかかれ方をしますが、
物理学(を含めた科学)は完成されたものではありません。
ある理論からの帰結があったとして、それが正しいかどうかは別問題です。
今回の例で言えば、マックスウェルの理論は19世紀の物理学理論のいわば「完成」とみなされたものでした。
しかし、その理論が完成した瞬間に、それが導き出す自然像が崩壊し始めてしまうわけです。
その一つが光速度の問題(ガリレイ変換が成り立たない問題)であり、
もう一つが光の放射に関する問題(原子の崩壊、黒体輻射の問題)であるわけで、
その中から新しい物理学としての相対性理論や量子力学がでてきたのです。
そして、それらが一定の成果を挙げたものの、相対論と量子力学を併せて考えると、
これまた発散(くりこみ)の問題や重力の量子化の問題といった矛盾がでてきてしまう。
こういうことの繰り返しの中で、我々はいまだ完成された自然像へ到達してはいません。
そこに到達可能かすら分からないわけで、
もし最終理論が可能であったとして、そこで何が「原理」として採用されるべきか、ということはまだ分からないのです。

凡人さんの「ご存知ですか?」という書き方には、なにか、知識が不変の真理であるかのようなニュアンスを感じざるを得ません。
しかし、残念ながら我々はいまだ少したりとも「これが真理だ」ということをいえる段階に到達できていないのです。
勉強熱心なのは分かりますが、科学に対して向き合う態度が根本的に間違っているように思います。
知っている・知らない、が問題なのではありません。
理論はあくまで自然のモデル化の1つにすぎないのです。
こうみたら、これが説明できる、こういうことがいえる、という限定つきの言明すぎません。
ある立場、ある見方を紹介されるのはいいのですが、その上で、そこから何がいえるのか、何を言いたいのか、ということがないと、
掲示板上の議論として成立しません(今回の前半部分もそうです、それで何をいいたいのか、がないと議論になりません)。
現在の科学がつねに発展途上にあり、論争的であるというところにこそ、
おもしろみがあると思うのですがどうでしょうか。

長くなってしまいましたのでここら辺で終わりますが、
私がいいたいことがちゃんと伝わったでしょうか・・・

  投稿者:凡人 - 2010/08/23(Mon) 23:43  No.9760 
サンヤマさん
>これを見せてなにをおっしゃりたいのか分かりませんが、
済みませんが、
>電磁波放射によるエネルギー損失によって加速運動する電子はエネルギーを失う
>ということになると思います。
というサンヤマさんの表現が量子論的では無い事と、サンヤマさんが把握している電子が「電磁放射」する理由が、サンヤマさんのコメントから読み取れなかった為、サンヤマさんの把握内容についてお伺いしたまでです。

>放射光は電子の周りの仮想光子がはがれてくるものであるので、
>エネルギーを電子から奪うわけではない、とでもいいたいのでしょうか?
私だったら、電子を加速する為に投入したエネルギーの一部が、電子や仮想電子や仮想陽電子が放出した仮想光子や、その様な仮想光子から分化した仮想電子や仮想陽電子が放出した仮想光子の一部が、電子や仮想電子や仮想陽電子に吸収される事から免れる実光子に転化する為のエネルギーに投入されるので、加速エネルギーの全てが電子の加速に投入される訳ではない、といいたいです。(←大変申し訳ありませんが、表現をかなり改善しました。)

>マクスウェル方程式が光速度の不変を要求するのは知っています。
>ですが、それが即「光速度不変の原理」になるわけではありません。
それでは済みませんが、私の主張を「マックスウェルの電磁方程式と相対性原理から、光速度不変の原理を導出出来る。」と改めさせていただきます。
注:「原理を導出出来る」という形式の命題と「原理が正しい」という形式の命題は、形式的に異なる命題である事にご注意下さい。
<<追伸>>
hirotaさん
>つまり、加速度 a で動かすためには 2Ma の力が必要なわけで、これは質量が 2M ということを意味する。
数式の内容を確認しないで言って大変申し訳ないのですが、荷電粒子が電場が掛かっている所で静止する為にはMaの力が必要で、電場に抗して加速度aで運動するためには更にMaの力が必要となるので、結局2Maの力が必要になるというような事はないのでしょうか?

  投稿者:サンマヤ - 2010/08/27(Fri) 21:22  No.9767 
凡人さん
>というサンヤマさんの表現が量子論的では無い事と、サンヤマさんが把握している電子が「電磁放射」する理由が、サンヤマさんのコメントから読み取れなかった為、サンヤマさんの把握内容についてお伺いしたまでです。
趣旨は了解しました。
しかし、もとの質問者の方が勉強を始めたばかりであり、
質問内容も古典的な電磁気学に関するものでしたので、量子論的な説明が必要とは思いません。
とりあえず、古典論の栄光と挫折をしゃぶりつくしてから、量子論や相対論へ進んでもらいたいと思いますw
それと、仮想光子や真空の分極という話は図式的には分かりやすいかもしれませんが、
電磁放射の問題は量子論の誕生以来ずっと問題になってきたことであり、
そんなかんたんじゃないと思います。

>それでは済みませんが、私の主張を「マックスウェルの電磁方程式と相対性原理から、光速度不変の原理を導出出来る。」と改めさせていただきます。
>注:「原理を導出出来る」という形式の命題と「原理が正しい」という形式の命題は、形式的に異なる命題である事にご注意下さい。
「原理」の意味が分かっていらっしゃるのでしょうか?
導出できたら原理ではありません。
これは「光速度不変の原理」には原理としての資格はない、という主張と理解してよろしいのでしょうか?
私が「光速度不変の<要求>」と書いたことの意味をよく考えていただきたいと思います。

  投稿者:凡人 - 2010/08/28(Sat) 00:55  No.9769 
サンヤマさん
>それと、仮想光子や真空の分極という話は図式的には分かりやすいかもしれませんが、
>電磁放射の問題は量子論の誕生以来ずっと問題になってきたことであり、
>そんなかんたんじゃないと思います。
電子の電磁相互作用に関わる現象論は、遠の昔にファインマン博士や朝永博士等がQEDを構築して、高い精度で展開が可能となっているはずですが、この事をサンヤマさんはご存知でしたでしょうか?

>「原理」の意味が分かっていらっしゃるのでしょうか?
>導出できたら原理ではありません。
私は、No.9758で「マックスウェルの電磁方程式と相対性原理から、光速度不変の原理を導出出来る。」事を具体的に論証しましたが、私は、「原理」という言葉は、今の世の中ではそんなに厳密に使用されている訳ではないと思っています。
私が最初に「光速度不変性」という用語を使用したのは、用語を厳密化する為だったのですが、そうすると話が分かりにくくなると思ったので、敢えて「光速度不変の原理」といいかえさせて頂きました。
ところで、No.9694で私が主張した話に戻りますが、「不確定性関係」についても、私はシュレーディンガー方程式から導出可能だと思っています。
もしサンヤマさんが、今の世の中で「不確定性関係」が「不確定性原理」とも呼ばれているので、「不確定性原理」、または「不確定性関係」が、別な法則から導出出来ないと考えられているとすれば、それは違うと私は思っています。

  投稿者:サンマヤ - 2010/08/28(Sat) 04:57  No.9771 
凡人さん
>電子の電磁相互作用に関わる現象論は、遠の昔にファインマン博士や朝永博士等がQEDを構築して、高い精度でを展開可能となっているはずですが、この事をサンヤマさんはご存知でしたでしょうか?
QEDのようにくりこみを使うことに満足されるならそれでいいですが、
私はくりこみなどをしなければならないことは、とりあえずの回避策だと思っています。

以下、順番が前後しますが、
>私が最初に「光速度不変性」という用語を使用したのは、用語を厳密化する為だったのですが、そうすると話が分かりにくくなると思ったので、敢えて「光速度不変の原理」といいかえさせて頂きました。
むしろ「光速度不変性」のままのほうがよかったと思います・・・

>私は、「原理」という言葉は、今の世の中ではそんなに厳密に使用されている訳ではないと思っています。
場の量子論を公理論的に構成しようと試みもあります。
そこにおいて、「原理」はユークリッド幾何学の「公理」のようなものとして設定されます。
もうちょっと一般的にいっても、「原理」は新しい理論を作るときに、最低限守らなければならないルールとして特別な意味を持ちます。

凡人さんの主張は、論理的にすべて顛倒していると思います。
「マックスウェル理論から光速度不変の原理が導出できる」といった場合、
論理的には「マクスウェルの理論が正しければ、光速度不変の原理は正しい」ということになります。
しかし、実際の物理学における思考では、「どうやら光速度が不変であるということは自然を構成する基本原理のようだ」と考え、
「マックスウェルの理論はこれを満たしているので採用しよう」となるのだと思います。(歴史的にはもちろん逆です)
「不確定性原理」についても同様です。
このあたりは場の量子論の教科書の論理展開を追えば理解していただけるかと思います。
光速度不変性(もっと進めると作用の局所性)や不確定性(時間・空間とエネルギー・運動量の相補性)が、
新しい理論を取捨選択するときのフィルターとして機能しているのがよく分かると思います。

あるいは絶版になっていて私も古本屋で買ったのですが、
ちくま学芸文庫「量子論の発展史」あたりを読んでいただければ、分かりやすいかと思います。

#ちなみにサンマヤです。サンヤマではないので今後はお間違えないよう・・・

  投稿者:EMAN - 2010/08/28(Sat) 08:47  No.9772 
> あるいは絶版になっていて私も古本屋で買ったのですが、
> ちくま学芸文庫「量子論の発展史」あたりを読んでいただければ、分かりやすいかと思います。

 ウソ!? 絶版なの? 
 ほんとだ・・・。 あんなに役に立つ本が。

 こういうのこそ電子出版すればいいんじゃないかな?

  投稿者:凡人 - 2010/08/28(Sat) 10:56  No.9775 
サンマヤさん
お名前を間違いまして、大変申し訳ありませんでした。

>QEDのようにくりこみを使うことに満足されるならそれでいいですが、
>私はくりこみなどをしなければならないことは、とりあえずの回避策だと思っています。
No.9767では、サンマヤさんは、
>電磁放射の問題は量子論の誕生以来ずっと問題になってきたことであり、
といわれていますが、紫外発散が問題になったのは、ヨルダン、パウリ、ハイゼンベルク等が、場の量子論を構築した後ではなかったですか。
電磁放射の問題=紫外発散の問題だとすると、サンマヤさんの「電磁放射の問題は量子論の誕生以来ずっと問題になってきた」という主張の意図が理解出来ないですね。

>凡人さんの主張は、論理的にすべて顛倒していると思います。
私の「マックスウェルの電磁方程式と相対性原理から、光速度不変の原理を導出出来る。」という主張が「顛倒している」といわれるならば、私が依拠している、以下の内容も「顛倒している」という事ですよね。(←表現を正確化しました。)
http://www.sanosemi.com/htst/Theory_of_Science/Light_Speed01.html
注:μ0ε0=1/c^2なので、c=(μ0ε0)^(1/2)ではなく、c=(μ0ε0)^(-1/2)が正解です。
だとすれば、この解説のどの部分がどのように「顛倒している」のか、具体的にご指摘頂けないでしょうか?(←表現を正確化しました。)
<<追伸>>
「不確定性原理」が他の法則から導出出来るかどうかについては、EMANさんの↓をご確認下さい。
http://homepage2.nifty.com/eman/quantum/uncertainty.html
↑の「不確定性原理の導出」の部分については、以前も紹介しましたが、↓のP16-17の「・不確定性原理」の箇所をご覧下さい。
http://members3.jcom.home.ne.jp/nososnd/ryosi/base.pdf
<<さらに追伸>>
EMANさんの「交換関係」の箇所を補足させていただきますが、シュレーディンガー方程式では運動量演算子はhbar/i・∂/∂xとなりますが、波動関数が定義域内で微分可能であれば、[x^,p^]=x^p^-p^x^=ihbarは普遍的に成立します。
以上の内容に基づいて、私はシュレーディンガー方程式から不確定性原理が導出出来ると主張しているのです。

  投稿者:凡人 - 2010/08/29(Sun) 11:46  No.9780 
hirotaさん
念のためお伺いしますが、No.9736の↓の主張は、まさか「トンデモ」ではないですよね?
>つまり、加速度 a で動かすためには 2Ma の力が必要なわけで、これは質量が 2M ということを意味する。
>質量 M のはずが倍になってしまった。パラドックスだ!
>誘導電場が更に磁場を誘導し、さらに・・と続けると、相対論効果による質量増大も出るかと思ったら、最初の段階でパラドックスですねー。

  投稿者:サンマヤ - 2010/08/29(Sun) 18:36  No.9782 
凡人さん
もうちょっと事実関係をよく調べてから発言していただきたいところです。
ここで議論されている内容は、どちらも現在の物理学理論の中で未解決のことがらに関するものであり、
私の理解も限定的であるということをお断りした上で、できる限りの解答をしたいと思います。

>>電磁放射の問題は量子論の誕生以来ずっと問題になってきたことであり、
>といわれていますが、紫外発散が問題になったのは、ヨルダン、パウリ、ハイゼンベルク等が、場の量子論を構築した後ではなかったですか。
レイリー・ジーンズの公式が紫外発散することをご存知ないとは思いませんが、
プランクの公式が出た時点でこの問題が解決したと思われているなら大きな誤解です。
むしろ、それが始まりであって、なぜそうなるのか、ということを突き詰めていくには20年以上の歳月がかかっています。
電磁放射というのは場と物質の相互作用の結果ですから、簡単なものではありません。
たとえば、原子スペクトルの $h \nu = E_n - E_m$ という式一つとっても、
もっとも古典的(非相対論的という意味で)な量子力学においても、電磁場の第2量子化を使わなければ説明できません。
(説明というのはスペクトルの幅や強度分布も含めて、という意味です)
場の量子論のくりこみについては前述したとおりです。
古典論において自己エネルギーの発散は電子の半径という切断を導入することによって回避されましたが、
現在の点粒子という描像はこれを回避することができていません。
仮想光子の雲や真空の分極というのは一つの説明形式ではあっても、最終的な結論ではないと思います。

>だとすれば、この解説のどの部分がどのように「顛倒している」のか、具体的にご指摘頂けないでしょうか?(←表現を正確化しました。)
ご指摘のページでは、マクスウェルの電磁方程式から導かれる電磁波の波動方程式と、
一般的な波動方程式を比較することによって光速度が不変なことを示そうとされています。
しかし、これは議論の半分でしかありません。
それはマクスウェル方程式の変換性に関する議論が抜けているからです。
もしガリレイ変換を採用するのであれば、速度をもった慣性系における(これが光を追いかけることに相当します)
マクスウェル方程式は形を変えてしまいます。
これによって電磁波の方程式も変わってしまい、光の速度に当たる式が $c  = \frac{1}{\sqrt{\epsilon_0 \mu_0}}$ からずれてしまいます。
ところが、ここに出てくる真空の誘電率・透磁率は真空(当初の見方でいえばエーテル)の性質であって、
観測者の速度によらないはずですから、おかしいことになります。
これを説明するために、エーテルが引きずられるといった議論や、ローレンツ変換などが考え出されたわけで、
さまざまな実験と理論的な思考を経て、最終的には特殊相対性理論へと至るわけです。
ですから、このページの記述だけで光速度の不変性をいうことはできません。
慣性系間の変換がローレンツ変換になることと、
ローレンツ変換によってマクスウェル方程式が不変であること、
この2点があってはじめて、光速度不変性がいえるのです。

不確定性原理についていえば、ご指摘の部分は交換関係と不確定性関係が同値であるということを言っているにすぎません。
これは粒子(波動関数あるいは場と言い換えてもいいですが)がシュレーディンガー方程式に従うか、ほかの方程式に従うかとは独立に成立することです。

私の主張は、「○○原理」というものは、物理学において特別な位置を与えられたものであり、
あたらしい理論の発見・構築において、指導的な役割やチェックの機能を果たすものである、ということです。
これは何か論理的に導かれることがらではありません。
科学の思考方法において、そのように「扱っている」という、ルールのようなものですから。
つまり、物理学において、「シュレーディンガー方程式(ここはディラック方程式などと置き換えても同様)は、不確定性関係を満足する。だから正しい」
と考えはしても、逆の思考はしない、ということです。

もう一度言いますが、場の量子論の教科書を最初の数章でもいいのでよく読んでいただきたいと思います。
数式の細かい計算なんかは飛ばしてしまってかまいません。
そこでの論理的な構成をたどれば、私がいわんとしていることを理解していただけると思います。
#光速の式でルートが抜けていましたね。凡人さん、ご指摘ありがとうございます。

  投稿者:凡人 - 2010/08/29(Sun) 20:25  No.9783 
サンマヤさん
>レイリー・ジーンズの公式が紫外発散することをご存知ないとは思いませんが、
そういう事でしたか。
ただし、電子の自己エネルギーによる紫外発散の問題とレイリー・ジーンズの公式から導かれる紫外発散の問題とでは、レベルと質が異なるので、問題を同列化して貰いたくなかったですね。

>電磁放射というのは場と物質の相互作用の結果ですから、簡単なものではありません。
私は、No.9769にて↓のようにいいましたが、これらの事を「簡単なもの」だとはいっていないですよ。
>電子の電磁相互作用に関わる現象論は、遠の昔にファインマン博士や朝永博士等がQEDを構築して、高い精度で展開が可能となっているはずですが、この事をサンマヤさんはご存知でしたでしょうか?
それと、「電磁場の第2量子化」という言葉を使われている割には、「電磁放射というのは場と物質の相互作用の結果」という、大変古典論的な表現をされてますね。

>しかし、これは議論の半分でしかありません。
「論理的にすべて顛倒していると思います。」から、どういう論理で「これは議論の半分でしかありません。」になってしまったのでしょう。

>それはマクスウェル方程式の変換性に関する議論が抜けているからです。
>もしガリレイ変換を採用するのであれば、速度をもった慣性系における(これが光を追いかけることに相当します)
>マクスウェル方程式は形を変えてしまいます。
「ガリレイ変換を採用」した「マクスウェル方程式」というものは、私は見た事も聞いた事も無いですね。

>光の速度に当たる式が
間違ってますよ。

>これは何か論理的に導かれることがらではありません。
http://homepage2.nifty.com/eman/quantum/uncertainty.html
と私の説明内容をご理解頂けないようですね。

  投稿者:サンマヤ - 2010/08/30(Mon) 01:46  No.9785 
凡人さん
>ただし、電子の自己エネルギーによる紫外発散の問題とレイリー・ジーンズの公式から導かれる紫外発散の問題とでは、レベルと質が異なるので、問題を同列化して貰いたくなかったですね。
確かにこれは別の問題ですが、このスレで問題になっていたのは物質からどのように電磁波が放射されるのかということだったはずです。
自己エネルギーの話は私が古典電磁気学での放射の扱いについて書いたときに、落とせない話と思って入れただけですね。
結局、荷電粒子の周囲で何が起きているか、ということなので切り離せない問題だと思いますが。

>それと、「電磁場の第2量子化」という言葉を使われている割には、「電磁放射というのは場と物質の相互作用の結果」という、大変古典論的な表現をされてますね。
これは量子論でもいっしょだと思います。
相互作用項がないのにエネルギーが物質から場に移ったりしません。

>>しかし、これは議論の半分でしかありません。
>「論理的にすべて顛倒していると思います。」から、どういう論理で「これは議論の半分でしかありません。」になってしまったのでしょう。
顛倒しているといったのは、ここだけでなく、不確定性原理についても同様です。
マクスウェル方程式やシュレーディンガー方程式と、光速度不変の原理や不確定性原理と、どちらがより基本的な法則と考えられるでしょうか。
そういう意味で顛倒しているといったのです。
「半分」といったのは、参照されているページの説明では、導出にもなってない、といいたかったのです。
(ページの内容の不十分さについて触れると論旨が拡散するので最初のレスで触れなかっただけです)

>「ガリレイ変換を採用」した「マクスウェル方程式」というものは、私は見た事も聞いた事も無いですね。
まさにその点に先のページも書かなかった理由があるのでしょうが、
現在の視点から見れば、ローレンツ変換を使い、マクスウェル方程式が不変であることは常識です。
ですが、19世紀から20世紀初頭にかけての理論が出来上がる段階では、
みなガリレイ変換を使っていたのですよ。
それでいろいろおかしなことがおきるので、ローレンツ変換が考え出されたのです。
いま手元にないので詳しく書けないのですが、
たぶんアインシュタイン選集1の「運動している物体の電気力学について」でそのあたりのガリレイ変換下における変換性について議論していたと思います。

>>光の速度に当たる式が
>間違ってますよ。
数式のタイプミスってことですね。失礼しました。
以下の元の記述は、内容について突っ込まれていると思ったものです。
#これについても選集の上記論文にあったように思います。
#数式的にはそんなにむずかしくないので、お望みならば展開してもいいですが・・・

>http://homepage2.nifty.com/eman/quantum/uncertainty.html
繰り返しになりますが、これは交換関係から不確定性関係が導ける、ということにすぎません。
不確定性原理の数学的な表現として、位置とそれに共役な運動量の交換関係(あるいは反交換関係)があると思っています。(EMANさんの説明でもそのあたりの連関が書かれていると思いますが)

  投稿者:サンマヤ - 2010/08/30(Mon) 05:46  No.9787 
ほかのネタにもレスをつけます。

EMANさん
>ウソ!? 絶版なの? 
> ほんとだ・・・。 あんなに役に立つ本が。
> こういうのこそ電子出版すればいいんじゃないかな?
量子力学を学びなおす上で、いろいろな疑問がこの本で解決されました。
衝動買いでしたが、これはよかったと思っていますw
文庫版の前書きによると、吉田武氏が全文打ち込んで復刻したらしいですから、
その努力と情熱を埋もれさせないためにも電子化してほしいですね。

hirotaさん、凡人さん
>念のためお伺いしますが、No.9736の↓の主張は、まさか「トンデモ」ではないですよね?
>>つまり、加速度 a で動かすためには 2Ma の力が必要なわけで、これは質量が 2M ということを意味する。
>>質量 M のはずが倍になってしまった。パラドックスだ!
>>誘導電場が更に磁場を誘導し、さらに・・と続けると、相対論効果による質量増大も出るかと思ったら、最初の段階でパラドックスですねー。
このレスの内容は、電磁気学を学びなおしたり、ローレンツの電子論の内容を調べたりと、
自分にとっても有意義なきっかけになってくれたと思いますが、
結局、「静電場のエネルギーを慣性質量とみなす」というアイデア(古典的電子半径の話を含めて)がボツというのが私の結論です。
コンデンサーの場合、放電させたらこのエネルギーは全部電流として電子の運動エネルギーになってしまいますから。
場のエネルギーを電子の質量などに帰着させることに無理があり、
場のエネルギーはあくまで場がもっている、ということなんだと思います。

ちなみに、運動による質量増大は相対論以前に発見されていたことも、このレスをきっかけに知りました。
ローレンツはそこからローレンツ収縮を考えたようです。
(No.9744の電磁質量の式で電子が運動方向に $\sqrt{1-\frac{v^2}{c^2}}$ 倍になってつぶれれば、それに反比例して増大を説明できるってわけですね)

  投稿者:凡人 - 2010/08/30(Mon) 23:57  No.9792 
T_NAKAさん(、サンマヤさん)
>ヘルツがマックスウェル方程式をガリレイ変換していたのは有名な史実です。
ご教示有難うございました。

 (以下、あまりにくだらないので管理人が削除しました。)

  投稿者:凡人 - 2010/09/01(Wed) 10:17  No.9796 
サンマヤさん
No.9782の↓の件ですが、
>ご指摘のページでは、マクスウェルの電磁方程式から導かれる電磁波の波動方程式と、
>一般的な波動方程式を比較することによって光速度が不変なことを示そうとされています。
>しかし、これは議論の半分でしかありません。
>それはマクスウェル方程式の変換性に関する議論が抜けているからです。
>もしガリレイ変換を採用するのであれば、速度をもった慣性系における(これが光を追いかけることに相当します)
>マクスウェル方程式は形を変えてしまいます。
ローレンツ変換は、光速度不変の原理と相対原理を前提にしています。
だから、光速度不変の原理が導出が可能かどうかを判定する為の論議で、物理法則の変換性の論議を行うのは間違いだと思います。
したがって私は、↓によって、「マクスウェルの電磁方程式と相対性原理から、光速度不変の原理を導出出来る。」事が示されていると思っています。
http://www.sanosemi.com/htst/Theory_of_Science/Light_Speed01.html
尚、他の方のご意見も伺えますと、非常に助かります。

  投稿者:hasida - 2010/09/01(Wed) 11:34  No.9798 
凡人さんの論理を追う気にもなれないのですが、
http://www005.upp.so-net.ne.jp/yoshida_n/kairo09.htm
こちらの頁はいかがですか。
#この掲示板でも数年前に(もっとまともに)やっていた
#話題だったように思いますが、勘違いかな?

  投稿者:EMAN - 2010/09/01(Wed) 11:47  No.9799 
 凡人さんがわざわざ引用しているので、
何か変わったことを主張しているページだろうと思ってたら、
ちょっと表現の仕方にクセがあるだけで、普通の内容だった。

 凡人さんが何にそんなにこだわっているのか、
面倒くさいけれど、
ちょっとこれから過去の議論の流れを読み直さないといけない。

  投稿者:EMAN - 2010/09/01(Wed) 12:04  No.9800 
 別に大した議論じゃなかったな。

>「マクスウェルの電磁方程式と相対性原理から、光速度不変の原理を導出出来る。」事が示されていると思っています。

 前提
  ・マクスウェル方程式は正しい。
  ・相対性原理(どの慣性系でも物理法則の形は同じ)

 ここから始めて、
「これを満たすためには
慣性系の間の変換はローレンツ変換でなければならない。」とか、
「光速度は不変である」ということは導ける。

=====================================================

 ここまではサンマヤさんもはっきり認めているし、
凡人さんも同じ内容のことを言ってるわけだから、
凡人さんが食って掛かる要素は何も無い。

 問題になってるのは、
こうして導かれた「光速度不変」のことを、
「原理」と呼ぶことは実はふさわしくない(私もそう思う)、という
サンマヤさんの指摘に対して、
凡人さんがあたかも真っ向から否定されたかのような
おかしな応答をしているというところにありそうだ。

  投稿者:凡人 - 2010/09/01(Wed) 18:55  No.9801 
EMANさん
>ここまではサンマヤさんもはっきり認めているし、凡人さんも同じ内容のことを言ってるわけだから、凡人さんが食って掛かる要素は何も無い。
私は、以下の経緯から、サンマヤさんが「マクスウェルの電磁方程式と相対性原理から、光速度不変の原理を導出出来る。」事をお認め頂いていないと思っておりました。

投稿者:凡人 - 2010/06/24(Thu) 22:25 No.9694
>そういえば、量子力学では、xp-px=ihbarを満たしているシュレーディンガー方程式の解を採用すべしという原則があったはずだという事を今頃思い出しましたが、そうであれば、上述の方針により、xp-px=ihbarを満たしているシュレーディンガー方程式の解から、不確定性関係を一応導出出来たと思ったのですが、いかがでしょうか?

投稿者:サンマヤ - 2010/06/25(Fri) 04:10 No.9696
>ですが、パウリの排他原理(粒子の統計性)にしろ、不確定性原理にしろ、理論の構造がそれを満たさなければならない、という要請であって、数式がそれを表しているからといって「導出」というのは本末転倒ではないでしょうか。
>むしろ、その理論が物理的な条件をきちんを記述できていることの証明として必要なことなんだと思います。(ちょっと最初の自分の発言と趣旨が変わってますが)
>たとえば、ローレンツ変換において光速度は変わらないわけですが、これで「光速度不変の原理が導出された」とは言わないでしょう。

投稿者:凡人 - 2010/06/25(Fri) 06:37 No.9697
>マクスウェルの電磁方程式から光速度不変性を導出出来る事をご存知ですか?

投稿者:凡人 - 2010/08/21(Sat) 11:54 No.9758
>「マクスウェルの電磁方程式から光速度不変性を導出出来る事」については、『全体性と内蔵秩序』(青土社)の翻訳者の一人である、佐野正博博士が記した↓の解説が分かり易いと思いますので、どうかご確認下さい。
>http://www.sanosemi.com/htst/Theory_of_Science/Light_Speed01.html

投稿者:サンマヤ - 2010/08/22(Sun) 23:09 No.9759
>マクスウェル方程式が光速度の不変を要求するのは知っています。
>ですが、それが即「光速度不変の原理」になるわけではありません。

(↓重要な経緯を追加しました。)
投稿者:凡人 - 2010/08/23(Mon) 23:43 No.9760
それでは済みませんが、私の主張を「マクスウェルの電磁方程式と相対性原理から、光速度不変の原理を導出出来る。」と改めさせていただきます。
注:「原理を導出出来る」という形式の命題と「原理が正しい」という形式の命題は、形式的に異なる命題である事にご注意下さい。

投稿者:サンマヤ - 2010/08/28(Sat) 04:57 No.9771
>凡人さんの主張は、論理的にすべて顛倒していると思います。
>「マクスウェル理論から光速度不変の原理が導出できる」といった場合、論理的には「マクスウェルの理論が正しければ、光速度不変の原理は正しい」ということになります。
>しかし、実際の物理学における思考では、「どうやら光速度が不変であるということは自然を構成する基本原理のようだ」と考え、「マクスウェルの理論はこれを満たしているので採用しよう」となるのだと思います。(歴史的にはもちろん逆です)
>「不確定性原理」についても同様です。

投稿者:サンマヤ - 2010/08/29(Sun) 18:36 No.9782
>>だとすれば、この解説のどの部分がどのように「顛倒している」のか、具体的にご指摘頂けないでしょうか?(←表現を正確化しました。)
>ご指摘のページでは、マクスウェルの電磁方程式から導かれる電磁波の波動方程式と、一般的な波動方程式を比較することによって光速度が不変なことを示そうとされています。
>しかし、これは議論の半分でしかありません。
>それはマクスウェル方程式の変換性に関する議論が抜けているからです。
>もしガリレイ変換を採用するのであれば、速度をもった慣性系における(これが光を追いかけることに相当します)マクスウェル方程式は形を変えてしまいます。

  投稿者:平原の旅人 - 2010/09/01(Wed) 20:01  No.9802 
えと、サンマヤさんに直接聞いてみればよいのでは・・・?

  投稿者:EMAN - 2010/09/01(Wed) 21:03  No.9803 
 読むの面倒くさい。
 自分の言葉で要点をまとめてほしい。

 自分の認識に誤りがあったかも知れないので、
もう一度、議論の流れを読み直してみますけどね。

  投稿者:EMAN - 2010/09/01(Wed) 22:11  No.9804 
 サンマヤさんがすでに丁寧に説明されているものを、
私が出てきて説明し直すのもサンマヤさんに申し訳ない気はしますが・・・。


 まず、サンマヤさんが、
「マクスウェル方程式が光速度の不変を要求するのは知っています。」
と書かれていますよね。

 この言葉で凡人さんはなぜ納得がいかなかったのか。
 多分、望んでいた答えと違ったのでしょう。
 どう違っていたのかを調べながら続きを読んでみます。

 サンマヤさんは、この後で、
この辺りの歴史的な流れに触れながら、
「原理」という言葉に込められた意味の重要性を説明しているわけです。

 それに対する凡人さんの反応はどうか?

> それでは済みませんが、私の主張を「マックスウェルの電磁方程式と相対性原理から、光速度不変の原理を導出出来る。」と改めさせていただきます。

 この返事が実に奇妙。
 サンマヤさんが「原理」という言葉の重要性を強調した後なのに、
まるでそれを否定するかのような、サンマヤさんへの挑戦状のよう。

 しかしその後の注を読むと、凡人さんの言いたい内容も分からなくもない。

 「光速度不変が『原理として正しい』ことが導かれる」という
強すぎたかも知れない主張を引き下げたわけで、
実はサンマヤさんの話を受けて少し譲歩していることが伺える。
 それでも、「原理」という言葉の使い方に対しては無頓着。

 凡人さんは、「光速度不変性」と「光速度不変の原理」を同義語として使うことに
なんらこだわりを持っておらず、(まぁその気持ちは理解できますよ。)
一方、サンマヤさんには強めのこだわりがある。

 多分、サンマヤさんはそこでもう「原理」という言い方を使って欲しくなかったと推測します。
 だから、凡人さんが主張を改めたことで、
むしろ凡人さんの理解が後退しているような印象を強く受けたはずです。


 さあ、この後、どうなるか。

  投稿者:EMAN - 2010/09/01(Wed) 22:35  No.9805 
(つづき)

 ああ、やっぱり言わんこっちゃない。
 サンマヤさんはこの後で、

> 「原理」の意味が分かっていらっしゃるのでしょうか?

と、凡人さんに強い不満を表しています。
 果たして凡人さんは、サンマヤさんの意図に気付けるのか?

 凡人さん、この辺りで、

> 「マックスウェルの電磁方程式と相対性原理から、光速度不変性を導出できる。」

と書いておけば、こんなにこじれなくて済んだのですよ。 きっと。
 だって、歴史的な流れとか、思想とかは無視することにして、
理論上は導出はできるのですから。

 まぁ、サンマヤさんはすでに
「マクスウェル方程式が光速度の不変を要求するのは知っています。」
の一言でこの話を片付けていますし、今さらの内容なんですけど。

 これは「歴史を無視してる」ということをちゃんと自覚した上ですべき話です。
 凡人さんはこの辺りを非常に軽視していそうですから、
ついつい、軽々しく凡人さんの話を肯定するのが危ない気がしてしまうのです。


 まだまだ続くな。 どうなって現在に至るんだろう?

  投稿者:EMAN - 2010/09/01(Wed) 22:49  No.9806 
(つづき)

 おお、面白い展開になった。

 凡人さんの主張の要点はちゃんと書いてありましたね。

> 私は、「原理」という言葉は、今の世の中ではそんなに厳密に使用されている訳ではないと思っています。

 これだよ、きっと。 論争(?)の核心は。
 そんなこと言ったって、物理をやる人は、結構、「原理」という言葉の意味を気にしてるんだから。


> 話が分かりにくくなると思ったので、敢えて「光速度不変の原理」といいかえさせて頂きました。

 だからそれが神経を逆撫でするからまずいんだって。
 なぜ敢えてそうしちゃったかなぁ。
 「話、聞いてませんでした」って言ってるようなもんだと思うよ。

 あ、ほら、サンマヤさんが次の書き込みで、

> むしろ「光速度不変性」のままのほうがよかったと思います・・・

って書いてるし。

 ここでまた、量子力学に話が戻るのか。
 なんだかやっぱり面倒な議論だなぁ。

 この時点で まだ 8月28日なのか!

 もう続きは書かなくても、これで凡人さん、分かってくれるかなぁ。
 もう、俺、2時間近くもこんなことしてるし。

  投稿者:サンマヤ - 2010/09/01(Wed) 23:55  No.9808 
EMANさん
> サンマヤさんがすでに丁寧に説明されているものを、
>私が出てきて説明し直すのもサンマヤさんに申し訳ない気はしますが・・・。
こちらこそ、きちんと議論をかみ合わせられず、申し訳ないです・・・
というわけで、凡人さんの依拠されているサイトを参照しつつ議論を組み立てたいと思います。

凡人さん
>http://www.sanosemi.com/htst/Theory_of_Science/
この方のサイト、全部読まれましたでしょうか?
科学論(Theory of Science)として、科学の理論的な内的発展に焦点を当てて研究されている方のようですね。
History of ScienceでもScience StudiesでもPhilosophy of Scienceでもないところに佐野氏のこだわりがあるようです。
凡人さんはここで最初に書かれている「パラダイム」とか「理論の通訳不可能性」といったことを理解されているでしょうか。

この方は、別のページ
http://www.sanosemi.com/htst/Theory_of_Science/TS14_02.htm
において、こんなことをかかれてます。
>4.先行理論を素材としての新しい科学理論の形成
>(中略)
>ex.2 特殊相対性理論の光速度一定の原理はマックスウェル電磁気学からの帰結である←c=1/√εμ
これを見ると、一見、マクスウェル理論から光速度一定の原理が導出できると主張されているように見えます。
しかし、ここは先行理論を<素材>とした「新しい科学理論」の形成の例なわけです。
このページの最後には次のようなことが書かれています。
>(2) 複数の理論間の相互矛盾
>  ex.1 運動法則の基準となる等速度運動に関して、ニュートン力学的相対性(運動相互間のガリレイ変換)と、「電磁気学的相対性」(運動相互間のローレンツ変換)との矛盾
>  荷電粒子の運動を取り扱う際には、力学と電磁気学を同時に用いる必要がある。したがって、アインシュタインの時代においては、ニュートン力学と電磁気学における相対性の矛盾を解決することが要請されていた。
>  このことに関しては、アインシュタインの自伝、ワイル『空間、時間、物質』p.293、ポアンカレの1899-1904のサン−ルイ講義(ref.ファイヤアーベント「専門バカへの慰め」『批判と知識の成長』訳p.293)などを参照のこと
つまり、数式的に導かれることと、それが原理とされることの間には思考の上での飛躍があるのです。
矛盾がある、さあこれをどう解決するか?ということが問題になったわけです。
光速度不変の原理には、特殊相対性理論以前の物理学には吸収できない「通訳不可能」な要素があります。
(特殊相対性原理、局所的因果律、同時性の概念など)
それは実験事実からだけでも、数式的な演繹からだけでも導かれない、
科学理論に関する思考と信念に基づく飛躍なわけです。
佐野氏の書き方は列挙であって文章になってないので、どのような主張かを完全に読み解くことはできませんが、
おそらく、そういった純粋に思考的な要素を強調したいのでしょう。
(これはまったく推測ですが、昨今の科学史にある「科学の社会史」あるいは「Externalな科学史」と呼ばれる潮流への反発が感じられます。あくまで印象ですが)
これは凡人さんのおっしゃるような「数式的に導出できる」という主張ではありません。
それでは、あまりにも思考的な内容を捨ててしまっていて、むしろ佐野氏の主張したい内容をないがしろにしているように思えますがどうでしょうか?

  投稿者:凡人 - 2010/09/02(Thu) 11:00  No.9809 
EMANさん
>まず、サンマヤさんが、「マクスウェル方程式が光速度の不変を要求するのは知っています。」と書かれていますよね。
私は、サンマヤさんは、マクスウェル方程式は光速度不変性を要求(=要請)しているだけであって、光速度不変性を導出出来る訳ではない、と主張されていたと理解しました。

>あ、ほら、サンマヤさんが次の書き込みで、
>> むしろ「光速度不変性」のままのほうがよかったと思います・・・
>って書いてるし。
サンマヤさんはNo.9759でそう書かれていますが、それより前の部分で、私のNo.9697での「マクスウェルの電磁方程式から光速度不変性を導出出来る事をご存知ですか?」という問いかけに対して、↓の様に、「光速度不変性」を「光速度不変の原理」に置き換えられたのです。
>マクスウェル方程式が光速度の不変を要求するのは知っています。
>ですが、それが即「光速度不変の原理」になるわけではありません。
だから私は、「光速度不変性」と「光速度不変の原理」の関係の話題に発散して行く事を恐れ、敢えてサンマヤさんのこの「論理の置き換え」を受け入れたのです。

>ここでまた、量子力学に話が戻るのか。
ここでの論議は、↓の続きだと思っていただけますと助かります。
http://hpcgi2.nifty.com/eman/bbs090406/yybbs.cgi?mode=topic&no=9627

>もう続きは書かなくても、これで凡人さん、分かってくれるかなぁ。
お手数を煩わせて申し訳ございません。

サンマヤさん
>>http://www.sanosemi.com/htst/Theory_of_Science/
>この方のサイト、全部読まれましたでしょうか?
読んでいません。

>それでは、あまりにも思考的な内容を捨ててしまっていて、むしろ佐野氏の主張したい内容をないがしろにしているように思えますがどうでしょうか?
この返答については、少々お時間を下さる様お願いします。

  投稿者:hasida - 2010/09/02(Thu) 12:32  No.9811 
マックスウェルの方程式はアインシュタインの時代には既に修正が必要であることが自明だったのです。だって「原子は存在し得ない」という結論しか得られないのですから。
その、どこかに修正を要するマックスウェルの式から一定の光速が得られるとしても、それが後の修正で吹っ飛ぶかもしれないのです。
マックスウェルの式から得られる数多の玉といくばくかの石の中から、実験的にも間違い無さそうな、そして相対性原理と組み合わせることで特殊相対性理論を構築することが可能な、演繹のための「公理」として光速不変を選択した、というのはマックスウェルの式を解いてみたら出てきました、というのとは全然スタンスが違うのです。

・・このくらいで分る人ならとっくに分ってるだろうな、とも思いますが。

  投稿者:サンマヤ - 2010/09/02(Thu) 16:31  No.9812 
凡人さん
>だから私は、「光速度不変性」と「光速度不変の原理」の関係の話題に発散して行く事を恐れ
むしろ、私が強調したいのは、「光速度不変性」が<原理>に昇格するという、思考的なジャンプが存在する、ということなのです。
数式の上では、光速を無限大とみなす極限として相対論的力学は、ニュートン力学に漸近します。
しかし、その提示する「世界観」はまったく異なるものです。
そういった思考のジャンプが、理論の発展期(クーン流にいえば「科学革命」)において重要な役割を果たしているということをいいたいのです。
そういう世界観・認識論的な問題が相対論・量子力学において重要なファクターとなったということは、
ボームの著作に興味のある方なら分かっていただけると思うのですが。

>>>http://www.sanosemi.com/htst/Theory_of_Science/
>>この方のサイト、全部読まれましたでしょうか?
>読んでいません。
科学論(Science Studies)の本を読んだことがないと、箇条書きのようなこの
サイトの内容は非常に分かりにくいと思います。
お勧めの本としては、
チャルマーズ「科学論の展開―科学と呼ばれているのは何なのか?」
でしょうか。
論理実証主義・反証主義から始まり、クーン・ラカトシュ、ファイヤアーベントといった科学論の内容をコンパクトにまとめたいい本です。
しかも、相対主義に陥りそうになる科学論を、なんとか相対主義から救い出そうという最後の章はかなり勉強になります。
老婆心ながら、ご参考までに。

  投稿者:凡人 - 2010/09/02(Thu) 18:18  No.9813 
サンマヤさん
>むしろ、私が強調したいのは、「光速度不変性」が<原理>に昇格するという、思考的なジャンプが存在する、ということなのです。
で、↓の主張もそうですが、私の主張内容や論理を置き換えて、私の主張内容や論理の否定を試みられたのでしょうか?
投稿者:サンマヤ - 2010/06/25(Fri) 04:10 No.9696
>ですが、パウリの排他原理(粒子の統計性)にしろ、不確定性原理にしろ、理論の構造がそれを満たさなければならない、という要請であって、数式がそれを表しているからといって「導出」というのは本末転倒ではないでしょうか。
>むしろ、その理論が物理的な条件をきちんを記述できていることの証明として必要なことなんだと思います。(ちょっと最初の自分の発言と趣旨が変わってますが)
>たとえば、ローレンツ変換において光速度は変わらないわけですが、これで「光速度不変の原理が導出された」とは言わないでしょう。

>数式の上では、光速を無限大とみなす極限として相対論的力学は、ニュートン力学に漸近します。
↓では、c->∞=>E->∞になりますが、いかがでしょうか?
http://homepage2.nifty.com/eman/relativity/4momentum.html

  投稿者:サンマヤ - 2010/09/02(Thu) 21:21  No.9814 
hasidaさん
>http://www005.upp.so-net.ne.jp/yoshida_n/kairo09.htm
かなり具体的に論じられているので勉強になりました。

凡人さん
>で、↓の主張もそうですが、私の主張内容や論理を置き換えて、私の主張内容や論理の否定を試みられたのでしょうか?
なんか、前提が共有されてないのでは、という不安におそわれているのですが、
「AからBが導出できる」という場合、「Aが正しければ、Bはそこから帰結される」という意味ですよね?
そしてそこには「BよりAのほうがより根源的な法則である」ということが前提されていると思うのですが。
そのような形の命題の例として出しただけです。
私は一般に「AからBが導出できる」という命題のBに「○○原理」がくるのは、「原理」に与えられた性質上おかしいのではないか、ということがいいたいのです。
EMANさんのご指摘のように、
> 私は、「原理」という言葉は、今の世の中ではそんなに厳密に使用されている訳ではないと思っています。
ここが一番の相違点なのかもしれませんね。
私としては、理論体系にはその出発点として何かを前提しなければならず、その前提を「原理」と呼んでいる以上、
それが別の何かから導きだされる、という主張は認めがたいです。

  投稿者:凡人 - 2010/09/02(Thu) 21:54  No.9816 
サンマヤさん
>私としては、理論体系にはその出発点として何かを前提しなければならず、その前提を「原理」と呼んでいる以上、それが別の何かから導きだされる、という主張は認めがたいです。
それでは伺いますが、不確定性原理の内容は、凅冪>=hbar/2という不等式で表現されますが、この不等式がどんな法則からも導き出される事は無いと主張されているのでしょうか?
だとすると、この不等式は一体何処から出て来たのでしょうか?

  投稿者:EMAN - 2010/09/02(Thu) 23:14  No.9819 
 凡人さん、

 不確定性原理が、実際のところの原理ではないという話は有名で、
熱心な啓蒙書読みの凡人さんがそれくらいのことを知らないとは思えません。

 凡人さんの好きなWikipediaにもそのことは書いてあるはずです。

 相手の知識を試すような程度の低い質問は不快です。 やめて下さい。

  投稿者:ASA - 2010/09/03(Fri) 14:43  No.9825 
凡人さんNo.9816
 
サンマヤさんではないですが、コメントをさせていただきます。
>この不等式がどんな法則からも導き出される事は無いと主張されているのでしょうか?
 量子的状態での物理法則を示すシュレディンガー方程式から、導けるものではないことは、いつぞやのASAとの議論で決着済みと思いますが。原理的式は、他の物理法則から導出されるものではありません。

>この不等式は一体何処から出て来たのでしょうか
原理的要請の一表現として与えられるものとして考えればよろしいと思います。
 標準的な正準量子化でも、確率過程量子化でも量子系の物理法則を記述するために使用するその数学的枠組みが不確定性原理(不確定性関係)を満足していることが理論体系上要請されます。
 したがって、採用している数学的枠組が不確定性関係を満足していることを示すことができます。

  投稿者:サンマヤ - 2010/09/03(Fri) 15:31  No.9826 
凡人さん
>それでは伺いますが、不確定性原理の内容は、凅冪>=hbar/2という不等式で表現されますが、この不等式がどんな法則からも導き出される事は無いと主張されているのでしょうか?
>だとすると、この不等式は一体何処から出て来たのでしょうか?
この件はすでに議論済みと思ったのですが。
No.9785の私の発言で
>>http://homepage2.nifty.com/eman/quantum/uncertainty.html
>繰り返しになりますが、これは交換関係から不確定性関係が導ける、ということにすぎません。
>不確定性原理の数学的な表現として、位置とそれに共役な運動量の交換関係(あるいは反交換関係)があると思っています。(EMANさんの説明でもそのあたりの連関が書かれていると思いますが)
と書いています。
(ついでにいうと、凡人さんの最初の主張は「シュレーディンガー方程式から不確定性原理が導出される」であり、これは原理を関係に置き換えたとしても誤りです)
交換関係は、位置と運動量の「同時観測の不可能性」を表し、
不確定性関係は、位置と運動量の「観測精度の限界」を表しています。
この二つは論理的にも連関することがらであり、
ハイゼンベルグも「不確定性原理」というときに、この両方を意識しているはずです。
場の量子論では交換関係のほうがより基本的な式として採用されていることもどこかに書きました。
原理や法則というのは歴史的に限定されたものであり、
その意味からも、(普遍的な言明形式である)数式変形から原理が導出される、という言い方はおかしいでしょう。
なんどもいいますが、そこには数式の<解釈>の問題が存在するからです。
そういう部分を捨象してしまったら、コペンハーゲン解釈とかボーム量子力学とかを問題にする意味が分からなくなってしまいます。

  投稿者:甘泉法師 - 2010/09/03(Fri) 17:55  No.9829 
こんにちは。

閑話休題。

3つの式の当否。
 分散の積の不等式...○
 ハイゼンベルクの不確定関係式...X
 小澤の不等式...○ 
と、日本人としては理解したいのですが...どうなんでしょう。

=甘泉法師=

参考にしたWeb
http://www005.upp.so-net.ne.jp/yoshida_n/qa_a102.htm
ハイゼンベルグの不確定性原理を、より精密に拡張したとされる小澤の不等式について、どうお考えですか? 小澤の不等式は、観測や誤差を正しく扱うものになっているのでしょうか?

  投稿者:サンマヤ - 2010/09/03(Fri) 20:02  No.9830 
甘泉法師さん

小沢の不等式というのは知りませんでしたが、
>参考にしたWeb
>http://www005.upp.so-net.ne.jp/yoshida_n/qa_a102.htm
を読む限り、
>ハイゼンベルグの不確定性原理を、より精密に拡張したとされる小澤の不等式
というのはちょっと違うようです。
ハイゼンベルグが不確定性原理を説明したときに用いた「ガンマ線顕微鏡の思考実験」は、
測定という行為が「測定誤差」をどうしても生んでしまう、という論法だったわけですが、
人間が測定するか否かに関わらず不確定であるとするのが「不確定性原理」なわけですから、説明としては不十分なわけです。
観測の非可換性と同種粒子の区別不能性から、位相空間(phase space)において面積h内に含まれる2点は区別不能、と言い換えるのが一番正確かもしれません。
一方の「小沢の不等式」のほうは、ハイゼンベルグの思考実験の部分をより精密化したものといえると思います。
ネットで検索した範囲ですが、一部では「不確定性原理を破る」といわれていますが、
コメントはまだ控えさせていただきます。

  投稿者:甘泉法師 - 2010/09/04(Sat) 08:17  No.9832 
こんにちは。
閑話におつきあいいただきありがとうございます。

>人間が測定するか否かに関わらず不確定であるとするのが「不確定性原理」なわけですから、

不確定関係とか不確定性原理という言葉は
 標準偏差についてのケナードやロバートソンの不等式 を指すか
 測定誤差、擾乱についてのハイゼンベルクやこれを修正した小澤の不等式 を指すか
 その両方を指すか
 使わないですむので使わないか 
 その他..
をあらかじめ約束して議論する必要がある、と考えました。

参考
小澤さんご自身の解説を http://ci.nii.ac.jp/naid/110002069559/ に見つけました。

=甘泉法師=

  投稿者:kafuka - 2010/09/04(Sat) 12:27  No.9833 
>サンマヤさん

「ハイゼンベルクの不等式」
「ケナードやロバートソンの不等式」
「小澤の不等式」
これらの関係については、数理科学2009年2月号に、よい記事があります。
「干渉と識別の相補性」〜不確定性関係との関わりを巡る論争小史〜

また、量子力学の最近の進展も載っています。
ご一読をお勧めします。

場の理論のある本を見ると、正準交換関係を原理のように扱っているように思えますが、
量子力学では、それではマズイのが不思議です。
正準量子化では、[x, p] = ih' を原理?として、Hの中のpを -ih'∂/∂x に置き換えるように思えますが、
しかし、px−xp=ih' からは pは -ih'∂/∂x+ f(x) の形であるとしか言えません(符合はあやしいです)
一般に -ih'∂/∂x+ f(x) ≠-ih'∂/∂x ですから、
[x, p] = ih' を原理とするだけでは、不十分です。

シュレーデンガ方程式を、
古典論の H=p^2/2m + V に、p=-ih'∂/∂x を組み込んだものと仮定して、
それを原理(要請)とするなら、
p=-ih'∂/∂x から、px−xp=ih' が導かれ、
「物理量の分散の不確定性関係」は、出てきます。
(px−xp=ih' から分散の不確定性関係を求められることは、清水明「新版量子論の基礎」p82 参照)

  投稿者:サンマヤ - 2010/09/04(Sat) 17:22  No.9834 
甘泉法師さん、kafukaさん、情報提供ありがとうございます。
私がここで「不確定性原理」と呼んでいるのは、
「ケナード・ロバートソンの不等式」だと理解してください。

>小澤さんご自身の解説を http://ci.nii.ac.jp/naid/110002069559/ に見つけました。
はざっと読んでみました。
測定装置をうまく設定すれば、測定をいくらでも精密にすることはできそうですね。
しかし、これは「不確定性原理」とは次元の異なることだとも言っています。
前に引用されていた「質問集」の記事でも、この記事でも言われているような、
不確定性原理とハイゼンベルグの説明が混同されているところに問題がありそうです。
私も違うことは認識していても、はっきり区別してませんでした。
今後は気をつけたいと思います。

数理科学は・・・バックナンバーみると面白そうですねえ。
学生時代は図書館で読んでましたが、すっかり遠ざかってます。
面白そうなのだけでも注文してみますか・・・

>場の理論のある本を見ると、正準交換関係を原理のように扱っているように思えますが、
>量子力学では、それではマズイのが不思議です。
>正準量子化では、[x, p] = ih' を原理?として、Hの中のpを -ih'∂/∂x に置き換えるように思えますが、
>しかし、px−xp=ih' からは pは -ih'∂/∂x+ f(x) の形であるとしか言えません(符合はあやしいです)
>一般に -ih'∂/∂x+ f(x) ≠-ih'∂/∂x ですから、
>[x, p] = ih' を原理とするだけでは、不十分です。
これはまた、私に対する挑戦だろうか・・・(冗談ですw)
物理量の演算子がエルミート性をもつことを仮定すればこの不定性はなくなります。
それは場の量子論でも同じことです。
演習書の類を調べれば、このような細かい隙間を埋めるような問題が載っていると思います。

  投稿者:hirota - 2010/09/04(Sat) 18:43  No.9836 
TOSHIさんの所で、このへんの不定性は実質的には存在しないという記事があったような気がするけど、探せなかった。
エルミート性だけじゃ p と x がエルミートなら p+x もエルミートだと思うけど。

  投稿者:TOSHI - 2010/09/04(Sat) 19:28  No.9837 
 ども恐縮です。TOSHIです。

 呼ばれたようなので出てきました。

 2007年5/13の「TOSHIの宇宙」の記事「運動量演算子のシュレーディンガー表現」

 http://maldoror-ducasse.cocolog-nifty.com/blog/2007/05/post_0064.html

 のことでしょうか?>hirotaさん。。

  投稿者:kafuka - 2010/09/04(Sat) 19:50  No.9838 
数理科学2009年2月号は、、、
特集「発展する量子力学」と題して、量子力学の最近の進展が載っています。
「量子力学の最近の進展? 量子力学は、大昔に確立されてんじゃない?」
と思われている方は、是非、ご一読をお勧めします。

>物理量の演算子がエルミート性をもつことを仮定すればこの不定性はなくなります。
あっ なるほど、確かに「新版量子論の基礎」の正準量子化の節には、
「自己共役演算子をとる」と書いてありました。

と書き込んだら、Hirotaさんのコメがありました。
ψの位相を調整して、p=-ih'∂/∂x にできるのですね。
お手数をお掛けしてすみません。

面白そうなので、
p=-ih'∂/∂x+ f(x) において、f(x) =Aexp(kx) とおいた場合や
f(x) =δ(xーx0) とおいた場合の固有関数と固有値がどうなるか、
計算してみます。

で、f(x) =Aexp(kx) の場合を計算すると、
<tex> \psi =c exp \left(Px/i \hbar -Aexp \left(kx\right) /ik \hbar \right) </tex>
になってしまいました。
仮に、これが正しいとすると、どう位相を調整するのかわかりません。
計算間違いなら、ご指摘頂ければ幸いです。

  投稿者:kafuka - 2010/09/04(Sat) 20:22  No.9839 
それから、
[x, p] = ih' は、原理ではないようです。
アイシャム「量子論」p139 では、
空間の等方性とウイグナーの定理、ストーンの定理
から正準交換関係を導いていますし、(抜粋:http://blogs.yahoo.co.jp/kafukanoochan/55883912.html
TOSHIさんによると、ネーターの定理からも導出できる
というコメを読んだ覚えがあります。

  投稿者:サンマヤ - 2010/09/05(Sun) 02:03  No.9840 
hirotaさん、TOSHIさん、kafukaさん、いろいろありがとうございます。

>それから、
>[x, p] = ih' は、原理ではないようです。
>アイシャム「量子論」p139 では、
>空間の等方性とウイグナーの定理、ストーンの定理
>から正準交換関係を導いていますし、(抜粋:http://blogs.yahoo.co.jp/kafukanoochan/55883912.html
>TOSHIさんによると、ネーターの定理からも導出できる
>というコメを読んだ覚えがあります。
量子論を数学的につきつめていく中で、どのような仮定を設定すればより一般的か、という議論をしているのだと思います。
あるいは時空にどのような数学的な構造を与えればいいのか、ということだと思います。
これまでも「原理」とは歴史的に限定的なものだと書いてきたつもりです。
こういった議論は不確定性原理にどのような数学的な表現を与えるか、という議論なんだと捉えているのですが、どうでしょうか。

>エルミート性だけじゃ p と x がエルミートなら p+x もエルミートだと思うけど。
交換関係とエルミート性っていう意味です。
そして、「不定性がなくなる」と表現したのは、項そのものがなくなるのではなく、以下のような意味です。

一般化座標 $q=\{q_j\}(j=1,2,3)$ (デカルト座標とか極座標という意味です)を考えたとき、
位置で表示された波動関数 $\phi(q),\psi(q)$ について、内積が、
<tex>(\phi, \psi) = \int \phi^{*}(q) \psi(q) J dq</tex>
で与えられているとします。( $J$ はヤコビアン、 $dq=dq_1 dq_2 dq_3$ )

運動量演算子 $p_j$ のエルミート性は $(\phi,p_j \psi)=(p_j \phi, \psi)$ と書けます。

運動量演算子を
<tex>p_j = \frac{\hbar}{i} \big(\frac{\partial}{\partial q_j} + f_j(q) \big)</tex>
としましょう。(微分演算子と関係するということはネーターの定理から)
これが交換関係を満たすことはkafukaさんのおっしゃるとおりです。

計算は省略しますが、これを上のエルミート性のところにいれて部分積分すれば、
<tex>(f_j + f_j^*) J = \frac{\partial J}{\partial q_j} </tex>
ここで、 $f_j(q)$ が実数だと仮定すれば
(これが一般性を失わないかは自信なし。運動エネルギー演算子に出てくる $p_j^2$ が実数にならないからダメとか考えましたが、 $p_j$ がエルミートなら2回移動すれば $p_j^2$ も自動的にエルミート。TOSHIさんのところの話が使えるかと思いましたが確認できていません)
<tex> f_j(q) = \frac{1}{2J}\frac{\partial J}{\partial q_j}</tex>
と、 $f_j(q)$ を一意に決めることができます。

デカルト座標ならば $J=1$ なのでこれは0になりますし、
極座標ならば、 $J=r^2 \sin \theta$ なので、たとえば、
 $p_r = \frac{\hbar}{i}\big(\frac{\partial}{\partial r} + \frac{1}{r} \big) $ 
となり、
http://homepage2.nifty.com/eman/quantum/atom.html
にでてくる3次元極座標のハミルトニアンも少し楽に導くことができます。

(この計算は、後藤憲一ほか共編「詳解 量子力学演習」(共立出版)のp.73-p.74を参考にしました)

  投稿者:kafuka - 2010/09/05(Sun) 09:49  No.9841 
サンマヤさん

>こういった議論は不確定性原理にどのような数学的な表現を与えるか、という議論なんだと捉えている

物理の原理一般についてですが、僕は、、、
数学のように「無定義用語」と「物理の公理」に還元できると考えています。(頭が単純ですから ^^;
ただ、数学と違うのは、「公理」の肯定・否定を、自然が選択している
つまり、「この宇宙では(たまたま)ある物理の公理は否定で、別の物理の公理は肯定」というふうに です。
もちろん「たまたま」でなく「この宇宙が存在できるためには必須」の場合も
あるでしょうが、
「公理」が他の公理で証明できたら、それは「公理」では、ありません。
したがって、「無定義用語」と「公理」に還元できる わけです。
もう1つ、数学の公理との大きな違いは、
数学では、公理と公理の関係は直交しています(そのように選ばれる)
しかし、物理では、この保証はないでしょう。
また、「無定義用語」が、どんどん増えていくような気もします。

とは書きましたが、量子論の定式化には、デルタ関数の積が出てくる
数学では、「超関数の積は定義されない(らしい)」ので、
これは、どう扱ったらいいのでしょう?

>不確定性原理にどのような数学的な表現を与えるか
ですが、
ユークリッドの第5公理に、いろいろな言い換えがあるように、
いろいろあっていいと思います。
もちろん、シュレーディンガ方程式から、その前提のp=-ih'∂/∂x を取り出して、
それから、[x p]=ih' を証明して、「物理量の分散の不確定性関係」を導出
なんてするのはナンセンスと思います。

シュレーディンガ方程式は、エネルギー演算子とp^2の関係を規定しているので、p=-ih'∂/∂xは前提ではありますが、公理として必須です。
(p=-ih'∂/∂xしたがって[x p]=ih' を前提としているので、数学の公理のようには見えませんが)
「公理なら否定した理論も可能だろう」と言われそうですが、
そんな理論に従う宇宙は、この宇宙ではない それだけにすぎない
と僕は解釈します。

以上、トンデモかもしれませんが ^^;

  投稿者:hirota - 2010/09/05(Sun) 11:34  No.9842 
エルミートだけで一意に決まるならTOSHIさんの書いた問題は始めから存在しませんから、サンヤマさんのエルミートは条件が厳しいようですね。
過去の議論でもエルミートの定義が色々で混乱しましたねー。

  投稿者:サンマヤ - 2010/09/05(Sun) 16:28  No.9843 
めちゃくちゃ長いスレッドになっている(その張本人ですが・・・)ので分けたほうがいいのかと思いつつ・・・

kafukaさん
アイシャムの本、古本屋で注文してしまいましたw

>ただ、数学と違うのは、「公理」の肯定・否定を、自然が選択している
自然が選択しているというか、人間が自然を見て選択しているというか・・・
おっしゃりたいことは分かります。

もう一つ異なる点は、今回の不確定性原理の話を例にすれば、
時空にある数学的構造を設定すると、それが交換関係を再現する、ということについて、
論理的には、数学構造→物理の原理だとしても、
その数学構造の方をより基本的な物理の原理として設定できるかというと、そうではないと思います。
それは物理的な言葉から離れすぎているように思いますし、ほかの数学構造が同じ物理の原理を再現する可能性もあるからです。
原理を満たすような数学構造を選択している、と言ってもいいかもしれません。
物理の原理というのは、物理現象の本質をあらわしていそうな、十分小さい粒度(つぶど)のもので、
数学と物理の狭間にあるようなもの、という感じに捉えています。

hirotaさん
>エルミートだけで一意に決まるならTOSHIさんの書いた問題は始めから存在しませんから、サンヤマさんのエルミートは条件が厳しいようですね。
不定性はなくなるとか大見得切っておいて恥ずかしいのですが、
エルミート性だけでは $f_j(x)$ の虚部について何もいえません。
私の式では $i$ でくくった中に入っているので、これは $p_j$ の実部ということになります。
これがエルミート性から条件付けられないのは当然ですね・・・
なので、これがTOSHIさんの記事における不定性の吸収で消えるのかなと思っています。

>過去の議論でもエルミートの定義が色々で混乱しましたねー。
過去の議論は分かりませんが、
最近もASAさんのNo.9708のような書き込みもありましたし、
たとえば、水素原子型の波動関数をデカルト座標で書いたとして、
これは実関数なので、 $p_x=\frac{\hbar}{i}\frac{\partial}{\partial x}$ をかけると純虚数になります。
じゃあ、原子軌道中の電子はいたるところ虚数の運動量をもっているのか、というと、
これは期待値(内積)で考えれば0になっておかしくなくなるというか、
そもそも各点での運動量が出たらそれは不確定性原理からいっておかしいので、
むしろ、虚数でいいのであって、
運動量について知りたければ運動量表示を使いなさい、という話で・・・
何が言いたいかというと、内積(波動関数で考えれば積分)で考えないと演算子の性質は見えないってことです。
こんなの常識なのかもしれませんが、物理学科にいたころは気にもしていませんでした。
最近、勉強しなおす中で、気になって調べて理解したので、「混乱」というのはこういうことなのかな、と。

それと関連しそうな話で、kafukaさんの
>とは書きましたが、量子論の定式化には、デルタ関数の積が出てくる
>数学では、「超関数の積は定義されない(らしい)」ので、
>これは、どう扱ったらいいのでしょう?
デルタ関数は、かならず積分の中に入っているものとして考えますから、
2つの積であれば、積分が2つあることになります。
物理の式の場合、たいていそうなっているか、積分があらわには書いてないけれども実際は積分するか、のどちらかだと思います。
数学的にいうと、それが積分の順序に関係なく一意になっているか、とかの問題はあるかもしれません。

(また長くなりました・・・)

  投稿者:甘泉法師 - 2010/09/06(Mon) 08:01  No.9846 
こんにちは。

>Re: 等速運動する点電荷について 甘泉法師 - 2010/09/04(Sat) 08:17 No.9832

PS

標準偏差についてのケナード、ロバートソンの式 σp σq ≧ hbar/2
測定の誤差、擾乱についての小澤の式   Δp σq + Δq σp + Δp Δq ≧ hbar/2
両辺を足せば (Δp+σp)(Δq+σq)≧ hbar 
対象本来の標準偏差と測定誤差擾乱の標準偏差の和についての式。

=甘泉法師=