EMANの物理学 過去ログ No.9533 〜

 ● 質問: 電子のスピンのなす空間は、ヒルベルト空間ですか?

  投稿者:kafuka - 2010/06/03(Thu) 11:04  No.9533  <Home>
電子のスピンのなす空間は、ヒルベルト空間ですか?

電子のスピンは、↑か↓しかない、例えば(1, 0)と(0, 1)で、
それと、その線形結合ですが、線形結合の係数を0にして、零ベクトル(0,0)は、数学上は作れますが、
電子のスピンは(0,0)を含んでいない
のじゃないか と思うのです。
で、
ヒルベルト空間であるためには、完備でないといけない。
つまり、任意のコーシー列の極限 ∈(電子のスピンのなす空間)でないといけない 
ですが、
(0,0)に向かうコーシー列は、簡単に作れます。
例えば、
Lim An→∞{ 1/An(1, 0)}  An≧1 で An∈R

尚、「新版 量子論の基礎」p38 に、電子のパウリ行列(SU2)を、
ヒルベルト空間C^2 の空間にたいする演算子として議論してあるので、
電子のスピンは、ヒルベルト空間C^2 かなぁ って思った次第です。
(C^2には、当然 零ベクトル(0, 0)が存在しますが)

  投稿者:nabeyang - 2010/06/03(Thu) 12:07  No.9536 
(1,0),(0,1)というのは、基底で、その係数が複素数ならC^2ってことで良いと思います。j=1/2は、m=1/2,-1/2をとるので2次元の表現になっていて、2つの基底でかけるって感じだと思いますよ。

  投稿者:のま - 2010/06/03(Thu) 13:41  No.9537  <Home>
kafukaさん

波動関数には0を除く複素数倍の不定性があるので、スピン1/2系の状態空間は (C^2-{0})/(C-{0}) = C∪{∞} になります。要するに複素数に"無限遠点" を付加した位相空間で、数学ではリーマン面と呼ばれるものです。S^2(2次元球面) と同相なのでリーマン球面とも呼ばれます。これは完備でしょう。

ちなみに S^2 と同相になるのは、スピン1/2においては、どの方向の角運動量の固有状態になっているかということだけで状態が決定してしまうことから容易に想像できます。

商空間の理屈は簡単で、状態空間の元 (c_1, c_2) ≠0 に対して、0を除く複素数倍の不定性があるので、c_1≠0 のときはこれを1に規格化します。そうすると (1,c) で c は(0を含む)複素数です。一方、c_1=0 のときは c_2≠0のはずだから (0,1) と規格化し、これが無限遠点に相当しています。だから C∪{∞} ということです。

  投稿者:kafuka - 2010/06/03(Thu) 14:24  No.9538 
nabeyangさん、のまさん
ありがとうございます。

>スピン1/2系の状態空間は C^2/(C-{0}) = C∪{∞}
そうなのですか、僕は単純にC^2と思いこんでいました。

>j=1/2は、m=1/2,-1/2をとる、、、2つの基底で書ける
のはわかります。

僕の愚問は、、、
電子のスピンの状態を、仮に、左回りを(1,0)、右回りを(0,1)とすると、
任意の状態は、この線形結合で表される。
したがって、
C^2 でも C∪{∞} でも、零ベクトルが含まれる。
しかし、
左回りを(1,0)、右回りを(0,1)とすると、
(0,0)つまり、電子のスピンの状態に「回っていない状態?」
があるなんて、聞いたことがない(そもそも、j=1/2は、m=1/2,-1/2をとり、0はとらない)
だから、C^2−{ (0,0) }ではないか?
という素朴なものです。

尚、左回りと右回りの半々の重ね合わせが、1/√2{(1,0)+(0,1)}=1/√2(1,1)
というのは、理解しています。

  投稿者:kafuka - 2010/06/03(Thu) 14:35  No.9539 
のまさん

コメ、レスが入れ子になるかも知れませんが、、、

商空間ときたら、完備化を思いつくのですが、
状態空間の元 (c_1, c_2) ≠(0,0)を、完備化したら、
C∪{∞} になる
ということでしょうか?
(ハズレかなぁ)


  投稿者:kafuka - 2010/06/03(Thu) 15:06  No.9540 
すいません。
No.9539 は、どハズレなので、無視して下さい。
それで、この質問の答えは、Hirotaさんが、僕のブログに書いてくれました。
http://blogs.yahoo.co.jp/kafukanoochan/63299571.html

>零ベクトル
状態空間をヒルベルト空間そのものと思っちゃいけません。
状態はヒルベルト空間で定数倍を同一視した同値類です。(この同値類を射線と言う)
零ベクトルは全ベクトルの定数倍なので、射線から除かれてます。

状態空間には、零ベクトルが入っていない、ということで納得しました。
(数学的には、状態空間は ベクトル空間でさえない)

のまさんの提示した スピン1/2系の状態空間: (C^2-{0})/(C-{0}) = C∪{∞}
これは、ヒルベルト空間C^2を「複素数倍を同値とした同値関係」で割った商集合
ということでしょうか?

C^2において、上記の同値関係を考えると、
零ベクトルは全ベクトルの定数倍(0倍)なので、(0,0)はなくて、
スピンの任意の状態=Aexp(iθ)(1,0)+Bexp(iφ)(0,1)
となり、
スピンの状態には、「ある方向」と「その逆方向」しかないことが、
出てくる
と思います。
(あたりまえ と言えば それまでですが)

  投稿者:のま - 2010/06/04(Fri) 04:32  No.9542  <Home>
kafukaさん

C^2 を「複素数倍(0倍を除く)を同値とした同値関係」で割った商集合がリーマン面 C∪{∞} である、という認識でOKです。(この板コピペができなくなってる?)

一般に規格化されたスピンの波動関数は、

ψ= exp(iα) ( cos(θ/2) exp(-iφ/2), sin(θ/2) exp(iφ/2) )

と書くことができますが、これはスピンが方位(θ,φ)の方向に確定した状態になっています。exp(iα) は不定の位相因子です。

θ=0, φ=任意   → +z方向
θ=π/2, φ=0   → +x方向
θ=π/2, φ=π/2 → +y方向
θ=π, φ=任意   → −z方向

などに注意。この表示によれば、商空間(物理的ヒルベルト空間)が2次元球面と同相なのが明らかでしょう。

追記:

上の波動関数は、スピン演算子 σ_i/2 (i=1,2,3) が実空間の回転の生成子になっていることに注意し、

ψ= exp(-iφσ_z/2) exp(-iθσ_y/2) (exp(iα), 0)

で導出しています。これがノルム1の C^2 全体を覆うというわけです。

  投稿者:kafuka - 2010/06/04(Fri) 10:54  No.9543 
のまさん

>商空間(物理的ヒルベルト空間)が2次元球面と同相なのが明らか
商空間であるリーマン面 C∪{∞} が2次元球面と同相 というのはよくわかりました。

ところで、
商空間=物理的ヒルベルト空間 は、=「状態」が成す空間  ということで
いいでしょうか。というのは、
「新版 量子論の基礎」p36に
(量子論の)要請1:量子系の純粋状態は、あるヒルベルト空間の規格化された射線で表される
とあり、これは、No9540で引用したHirotaさんのコメントと同じこと と思います。
つまり、「状態空間」は、同値類のつくる集合=商空間
だと思います。

この文章、最初は おっきな勘違いをして書いたのですが、
> ψ= exp(-iφσ_z/2) exp(-iθσ_y/2) (exp(iα), 0)
>で導出しています。これがノルム1の C^2 全体を覆う
は、わかりますが、
個々の状態が、(exp(iα), 0)や(0、exp(iα))とかいうC^2なのに
その状態空間が、C^1 U {∞}というのは驚きでした。

尚、状態空間(商空間)の方の零ベクトル つまり、只の0 は、
上記の ψ=、、、の方ではどうなるのでしょう?
exp(-iφσ_z/2) exp(-iθσ_y/2) =0
を解けばいいですか?

  投稿者:のま - 2010/06/04(Fri) 12:53  No.9544  <Home>
kafukaさん

状態空間という用語がもとのベクトル空間の方か商空間(同値類のつくる集合)の方を意味するかについては、多分、曖昧なんじゃないかなあ。物理と数学によっても違う可能性があると思います。物理的ヒルベルト空間という用語は、少なくともゲージ場の量子論においては商空間の方の意味で使います。

もとの C^2 における(0, 0)は同値類においては代表元がありません。これは仲間はずれにされます。もとの C^2 における(1,0)は同値類においては原点になります。リーマン面の1つの極です(θ=0)。もとの C^2 における(0,1)は同値類においては {∞} という元になります。リーマン面のもう1つの極です(θ=π)。

あと、ψ=、、、は規格化された波動関数です。ノルムが1のものに限られるので、当然、(0,0)は含まれません。

  投稿者:kafuka - 2010/06/04(Fri) 15:52  No.9546  <Home>
>のまさん
ていねいな説明、ありがとうございます。

ノルム1の C^2 が完備なのは、明らかと思います。
(ノルム1の Cで、exp(iθ)上のどこにコーシー列をとっても極限の点は、∈exp(iθ)だから)
しかし、この集合には 零ベクトル0とみなせる点は、ないようです。
点(1,0)は同値類の方においては原点ですが、(1,0)では∀a∈ノルム1のC^2 において 0a=0
が成り立ちません

> C^2 における(0, 0)は同値類においては代表元がありません。これは仲間はずれ
でいいのだとは思いますが、、、
集合に 零ベクトルを含まないと、
数学的に、ベクトル空間の要件を満たさないというのは、置いても
量子力学のいろいろな定理で「 |a>-|b>=零ベクトル ならば |a>=|b> 」 
という性質が使えなかったり、
「|a>=|b> ならば、|a>-|b>の答えは無い(その集合には無い)」ということになる
と思うのす。

  投稿者:のま - 2010/06/04(Fri) 17:07  No.9547  <Home>
kafuka さん

完備性が要求されるとしたら、それは物理的ヒルベルト空間(同値類)の方でしょうから、その話をしたわけです。もとの C^2-{0} が完備である必要性はどこにもないでしょう? 別に C^2 や C^2-{0} が必要ないといっているのではないです。それは量子論の演算に必要。でもそれが完備である必要はないでしょう。

  投稿者:hirota - 2010/06/04(Fri) 17:10  No.9548 
量子力学で、射線の状態空間よりヒルベルト空間の方を主に使うのは、計算が便利だから。(状態として使えるかは最後に確認すれば良い)

  投稿者:kafuka - 2010/06/04(Fri) 23:11  No.9550  <Home>
Hirotaさん、のまさん

計算に使うヒルベルト空間は、部分集合でもよく(したがって完備でない場合もある)
結果(射線の状態空間=物理的ヒルベルト空間)が完備なら
それでいいということですね。(もちろん、実験と合うのが前提)

「計算に使うヒルベルト空間」に零ベクトルが含まれていない場合
(例えば ノルム1のC^2 )
では、No9546の理由で、計算に信憑性がない と思ったのですが、
よく考えると、どうせ完備でなくていいのなら、
零ベクトルを追加した空間にしてしまえば、自由に計算していい
ということに気づきました。

  投稿者:TOSHI - 2010/06/05(Sat) 07:46  No.9551 
 零ベクトルがなければ線型空間じゃないですよ。。。

            酔っ払いのTOSHI

  投稿者:kafuka - 2010/06/05(Sat) 10:57  No.9552 
そうなんです。僕の言いたいことは、そこです。

ノルムが1に規格化されたC^2 には、零ベクトルが存在しないと、理解しています。
(只のC^2 にはある)
たぶんですが、教科書によくある 規格化された状態ベクトル=ノルムが1のC^∞ にも、
零ベクトルが存在しない と思います。
そうであれば、線型空間じゃない ので、
線型代数による計算は、無意味
ということになってしまいます。
(線型空間⊃内積空間⊃ヒルベルト空間 なので)

尚、a-a a∈ノルムが1のC^2 で定義されるじゃないか と言われると思いますが、
a-aの値は、ノルムが1になり得ないので、ノルムが1のC^2 には、含まれません
勘違いかも知れません。
ご指摘頂ければ、幸いです。

勘違いの上に勘違いを重ねるかも知れませんが、、、

規格化された状態ベクトル=ノルムが1のC^∞ で数式展開している場合は、
暗黙に「ノルムが1のC^∞ U {0}」を仮定しているのでは
と思っています。

  投稿者:のま - 2010/06/05(Sat) 14:51  No.9553  <Home>
一番最初に書いたように、リーマン面は「位相空間」です。だから空間と言ってるだけです。当然、線形空間ではないです。商空間や物理的ヒルベルト空間という用語も同様です。

  投稿者:kafuka - 2010/06/06(Sun) 10:50  No.9554  <Home>
>のまさん
ありがとうございます。
TOSHIさんの言われたのは、そういうことだったんですね。

僕の持っている入門書には、
状態ベクトルの長さを1にして、例えば|↑>と|↓> が半々(確率50%づつ)なら、
1/√2(|↑>+|↓>)で表す
なんて書いてあり、そのあと、完全性条件などを計算しているので、勘違いしたわけです。
この本の記述の場合、状態ベクトルには、あるノルムの値(固定)があることが前提で、
決して、
C^2 全体から「ノルム1のC^2」へ射影した空間で計算している わけではない
という理解でいいでしょうか?

  投稿者:のま - 2010/06/06(Sun) 12:06  No.9555 
kafukaさん

>この本の記述の場合、状態ベクトルには、あるノルムの値(固定)があることが前提で、決して、C^2 全体から「ノルム1のC^2」へ射影した空間で計算しているわけではない

はい。そうでしょう。入門書などでは、射影とか完備とか、重箱の隅をつつくような事はあまりしないと思います。完備を気にされていたので、私はそういう細かい話だと思っていました。基本的に、量子論における時間発展はユニタリなので、ノルムを変えないわけです。ですからノルム1の状態から出発すればずっとノルム1なわけで、そこに特異点がなければ問題ないわけです。

  投稿者:TOSHI - 2010/06/06(Sun) 12:16  No.9556 
>TOSHIさんの言われたのは、そういうことだったんですね。

 いや私はそういうことというのがよくわかりませんが,通常は量子論の状態区間はヒルベルト空間の部分空間とされています。

 ヒルベルト空間というのはバナッハ空間の一種でそれはもちろんノルム線型空間です。

 線型空間の部分空間ももちろん線型空間ですから零ベクトルも元として含むのは必須です。

 線型空間というのは重ね合わせの原理が成立する空間なので量子論の状態を問題にするなら,状態の空間は線型空間であり零をも当然含みます。

 例えば1次元調和振動子ならエネルギー固有状態に昇降演算子を掛けてエネルギー状態を上げ下げします。調和振動子の集まりによって量子場の理論に拡張されて生成消滅演算子になります。

 固有状態に昇降演算子の降ろす方の演算子aを掛けてエネルギー状態を下げていくと,「最低エネルギーの基底状態=真空」:|0>があってa|0>=0でこれ以上は下がりませんす。

 こうでないとa|0>=|−1>となって|0>が最低エネルギー状態ということに矛盾します。下手をすると負エネルギーの海状態になるかもです。

 調和振動子の状態空間はもちろん線型空間ですからこの零を含みます。

 例えば|ψ>=c|0>+d|1>という純粋状態でc=d=0なら|ψ>=0ですが,これは確率測度がゼロの確率振幅を持つ状態を示すだけです。

 1電子のスピンでも,観測すればそれはアップかダウンのどちらかの固有状態の値ですが,観測前には普通は重ね合わせです。状態が零ベクトルであってもそれは電子がないという意味だけでしょう。

 散乱などで,ある方向に散乱された粒子のスピンが零だと観測されればスピンゼロのs状態でないならそこに粒子が存在しないだけです。

                      TOSHI

 

  投稿者:kafuka - 2010/06/06(Sun) 14:21  No.9557 
>TOSHIさん

僕は、てっきり
「物理的ヒルベルト空間=状態空間 は、位相空間ではあるが、線形空間ではない」
だから、「零ベクトルを含まなくていい」
と言われたと思ってしまいました。

>状態空間はヒルベルト空間の部分空間
これで、すっきりしました。

電子のスピンのなす空間は、
あえて書けば「ノルム1のC^2 U {0} 」ですが、超当たり前なので、
こう書かないでしょうし、
物理学的には、電子が1個あって始めて意味を持つので、
(0,0)は、電子がない状態 に対応する
したがって(0,0)は、議論に入れない。
物理学上は、
(1個の)電子のスピンのなす空間=ノルム1のC^2
でいいってわけですね。

  投稿者:TOSHI - 2010/06/06(Sun) 20:41  No.9558 
 いちいちkafukaさんに修正コメントするのは私の趣味ではないのですが,

 同値類=射線(ray)表現を取るのが「グチャと線になる」という感覚は私の感覚の逆ですね。

 ゼロでない複素係数の違いを除く全ての平行なベクトルが同じ状態を表わす塊(かたまり)に膨れるという感覚です。

 その塊(集合)の中からどの代表元を取って来てもいいけれど,その元を規格化するとそのノルムの平方が確率または確率密度になるという量子論の手法に過ぎないと思っています。

 どこまでが数学でどこからが物理的定式化かを線引きする必要があるという気がします。位相空間とかまでを追求するなら数理物理として究極的なところまで行くと思います。

 老婆心ながら普通に大学初年級で習うやさしい入門レベルの概念は全てクリアしたのでしょうか?少し心配です。

 量子論は他の物理と違ってある意味で数学そのものなので,いきなり基礎論のようなところから入るのもアリとは思いますが。。

 射線という概念は量子論では長さが違っても同じ状態という意味ですが,実は高校で習う運動学や力学のベクトルでもやってることです。

 束縛ベクトルでなければ始点,終点が違っても平行かつ長さが等しい有向線分は同値であるというのが初等幾何学概念での同値類条件です。

 線型空間の数ベクトルのようにベクトルを成分表示すれば,同値類別の必要はなくなります。

 こうしたことは,物理量と幾何学量を同値関係で対応させるときには大体無意識でやってることで数理物理として掘下げる必要ないならふつうは意識しません。

 おおげさですが,例えば力学の幾何学化をするには空間の点の座標に線型空間のベクトルを対応させて点(位置ベクトル)にベクトル(同値類)を同型対応させるのが出発点です。

 しかし,別に初めてニュートン力学を習ったときそんなこと意識しましたか?                    TOSHI

  投稿者:凡人 - 2010/06/07(Mon) 21:26  No.9559 
TOSHIさん
>射線という概念は量子論では長さが違っても同じ状態という意味ですが,
|ψ>の射線の定義が、{e^iθ|ψ>|θ∈R}ならば、射線の長さ(=ノルム?)は全て等しいのではないのでしょうか?

  投稿者:kafuka - 2010/06/08(Tue) 02:34  No.9560  <Home>
TOSHIさん
お気遣い、ありがとうございます。

>ゼロでない複素係数の違いを除く全ての平行なベクトルが同じ状態を表わす塊に膨れるという感覚です。
>その塊(集合)の中からどの代表元を取って来てもいいけれど,
>その元を規格化するとそのノルムの平方が確率または確率密度になるという量子論の手法に過ぎない
なるほど!! そう考えるのですね。

>束縛ベクトルでなければ始点,終点が違っても平行かつ長さが等しい有向線分は同値であるというのが初等幾何学概念での同値類条件です
>初めてニュートン力学を習ったときそんなこと意識しましたか?
当然というのも変ですが、全く意識しませんでした。
だから、今、四苦八苦しているわけで、
数学でいう同値類と物理のそれが、頭の中で結びついていないのです。

>普通に大学初年級で習うやさしい入門レベルの概念
学校(高専)では「計算問題が解ければ それで終わり」という感じでした。
そんなわけで、かなり あやしいです。
今回、引っかかった「零ベクトル」と、量子力学で粒子が無い状態=「Ψ=0は意味を持たないので議論しない」
というのが、頭の中で結びついていません でした。

今、ブログでヒルベルト空間を云々しているのは、ただ、それ自体に興味があるだけで、
決して、ヒルベルト空間を理解してから量子力学にかかろう というつもりは毛頭ありません。
ヒルベルト空間については、あと、ベクトル空間としての次元と、何たらでの次元が異なる
ということがわかれば、僕としては、終わらすつもりです。
そのために、今、位相空間の本を勉強しています。

その後は、量子力学の理解のために、解析力学をやるつもりです。
あと 興味があるのは、解析接続で、これも、平行してやるつもりです。

どうも、量子力学を学ぶ本筋から ずれているので、
「50才からの量子力学」というカンバンは、降ろした方がいいかも知れません。

  投稿者:hirota - 2010/06/08(Tue) 15:30  No.9561 
どうやら、何らかの思い込みを持ってるため、説明のたびに誤解をしてるようです。(しかも、何度か書くうちに間違いが追加されてる)
そこで、まとめてコメントしてみますと、

1. 物理的な状態空間は、ヒルベルト空間から 0 を除いて「定数倍を同一視する」同値関係で類別した同値類の空間であり、これはベクトル空間ではない。

2. しかし、「状態の重ね合わせ」はベクトル空間で定義された線形結合であり、ヒルベルト空間に戻って考えなければならない。(ベクトル空間には当然 0 があるが、計算結果が 0 になったら物理的に意味のない結果)

3. 完備性はヒルベルト空間で計算に必要な要求条件であり、物理的状態空間には本来関係ない。

4. 物理的状態空間はヒルベルト空間の「ノルム 1 の部分集合」ではない。(ノルム 1 だけでは複素数の位相の自由度が残ってるから、同一視が不十分)

5. スピン空間が、いつのまにか「ノルム 1 の C^2 U {0} 」になってるが、これじゃ無意味。
のま さんが書いたのは
(C^2−{0})/〜 = C ∪{∞} = リーマン球面 (複素球面)
で、その意味は (a, b) ∈ C^2 の比 a/b の集合。( 0/0 は除く)
a/b は両方に同じ複素数を掛けても同値で、b ≠ 0 なら普通の複素数と同じだが b = 0 なら ∞ を意味するので、C ∪{∞} となる。

といった所ですが、無意識の思い込みとの差に気付きましたか?

なお、状態空間とヒルベルト空間の区別はあまり意識しません。
これは分数を扱うときの感覚と同じで、有理数は通分で同じになる分数表現を同値とした同値類ですが、計算のときは
1/2 + 1/3 = 3/6 + 2/6 = (3 + 2)/6 = 5/6
のように個々の分数表現を扱い、同値類を考えてるなら無意味なはずの通分操作も計算だと意識してます。
つまり、同値類ではなく個々の分数表現を使わないと計算できません。
でも、最終結果は約分して同値類の代表元にしますから、同値類での計算でもあります。
こういう計算を無意識にやってる高校生に、個々の分数表現と同値類としての有理数は別物だといっても納得しないでしょう。

  投稿者:凡人 - 2010/06/09(Wed) 00:09  No.9562 
>1. 物理的な状態空間は、ヒルベルト空間から 0 を除いて「定数倍を同一視する」同値関係で類別した同値類の空間であり、これはベクトル空間ではない。
状態ベクトル|ψ>を定数倍しても同一状態であるという事なのでしょうか?

>a/b は両方に同じ複素数を掛けても同値で、b ≠ 0 なら普通の複素数と同じだが b = 0 なら ∞ を意味するので、C ∪{∞} となる。
a/0=∞としてしまうと、a=0×∞としなければならいので、矛盾するのではないでしょうか?

  投稿者:kafuka - 2010/06/09(Wed) 04:47  No.9563  <Home>
凡人さん
>状態ベクトル|ψ>を定数倍しても同一状態であるという事なのでしょうか?
そうです。だから、ノルムが∞でない限り、自由に規格化できる=していい のだと思っています。
ここの「定数倍」というのは、複素数の定数も含みますので、絶対値だけじゃなく、位相も違っても
同一状態 です。
当然、e^iθ|ψ>  θ∈R  は、|ψ>と同一状態です。

>a/0=∞としてしまうと、、、、
この∞は、リーマン球の北極点?のことですが、
北極点からの複素平面(a+ib)へ引いた線が、リーマン球と交わる点で、
a+ibが極限の∞となる水平な線とリーマン球が 交わる極限の点が北極点です。
そもそも、∞は数じゃないので、a=0×∞ に変形できない と僕は理解しています。

  投稿者:kafuka - 2010/06/09(Wed) 05:44  No.9564  <Home>
Hirotaさん
1、3は、TOSHIさんの書かれたことを読み違えてしまったため
元々の誤解を ますます誤解してしまいました。
2は、E|Ψ> =H|Ψ> が、|Ψ>=0も 算数的には正しいですが、
固有値方程式の解(固有値とその固有値ベクトル)としては、
|Ψ>=0はナンセンス ということで了解です。

4、5の ノルム1のC^2 ∪{0} というのは、ヒルベルト空間の方のつもりでした。
本にはよく、状態ベクトルのノルムが「確率1」とみなせるよう規格化すると書いてあります。
そうすれば、ノルムが1になり、それじゃベクトル空間にならないので、{0}を追加しないといけない
と考えました。
電子のスピンの状態ベクトルが入る空間を ヒルベルト空間の部分集合とした、
ノルム1のC^2 ∪{0} 
は間違いなのでしょうか?
大元のヒルベルト空間C^2には{0}が含まれているから、部分集合で考える時は、
{0}はいらないと言われそうですが、部分集合でもベクトル空間である必要がある と思います。
アドバイス頂ければ幸いです。
もちろん、物理学としては{0}はいらないのは わかっています。整合性だけの話です。
(振り出しに戻ったようですが、状態空間とのゴッチャは、↓のように解決しました)

状態空間の方:
スピン行列の対象となるベクトルは、2次元で、これが、C ∪{∞} というスカラーと同値と言われるのが、
どうしてもわからなかったので、C ∪{∞} は 別の何かだと思っていました。
でも (a, b)をβ倍としたβ(a, b) は、βb(a/b, 1) で、確かに独立なのは、a/b という数(複素数)だけですね。 
(βbの違いも同一視になるので)

  投稿者:hirota - 2010/06/10(Thu) 10:11  No.9568 
「ノルム1のC^2」に 0 を追加したところでベクトル空間にはならない。
(自分で判断するのに充分な知識はあるはず)

ノルム 1 に規格化するのは同じ状態を意味するベクトルの自由度を減らすためだが、4. に書いたように、ノルム 1 だけでは複素数の位相の自由度が残ってるから同一視が不十分だし、0 が状態ベクトルに入るはずもない。

間違いかどうかを判定する以前に、「状態ベクトルが入る空間」という発想自体が何らかの思い込みかも。
(ノルム 1 に限定した段階でベクトル空間ではないし、もちろん「状態=射線」はベクトルではない)

  投稿者:凡人 - 2010/06/10(Thu) 22:31  No.9572 
>間違いかどうかを判定する以前に、「状態ベクトルが入る空間」という発想自体が何らかの思い込みかも。
>(ノルム 1 に限定した段階でベクトル空間ではないし、もちろん「状態=射線」はベクトルではない)
つまり、状態ベクトルは、ベクトル空間を構成しないと主張されているのでしょうか?
(ここでは、連続固有値の固有ベクトルがヒルベルト空間の元では無い事については考慮しない事とする。)

  投稿者:kafuka - 2010/06/11(Fri) 08:33  No.9575 
>Hirotaさん
すいません。
ベクトル空間の要件を見ると、確かに おっしゃる通りでした。
∀u,v∈Vにおいて、例えば u+v∈Vの条件について、u+v がノルム1を満たすようにすると、
∀u,vに違反してしまいます。

> 「状態=射線」はベクトルではない
定数倍を同一視したら、それはもう、ベクトル空間を成すことはできなりますね。
(∀v∈V、a≠1 において、av≠v が、ベクトル空間の元)

> 「状態ベクトルが入る空間」という発想
「新版 量子論の基礎」p38で、∀(ξ;η)∈C^2 に対して、
パウリ行列を論じていました。
それで、例えば|↑>=(1;0)と書けば、∈C^2 なので、
飛躍して、状態ベクトルは、ヒルベルト空間に入る と思いこんでいました。

>凡人さん
状態ベクトルは、ベクトル空間を構成しない
↑ を読まれるとわかるように、
定数倍を同一視したら、それはもう、ベクトル空間を成すことはできなくなります。

追伸:
ベクトル空間では、∀v∈V、a≠1 において、av≠v となると書きましたが、
集合V={1,0}に和と定数倍を導入して、それが a=a Mod 2 の関係をもつと、
Vは、ベクトル空間になります(と習いました)
この場合、常にa≠1 なら、av≠v である とは言えません。

  投稿者:凡人 - 2010/06/12(Sat) 02:37  No.9581 
kafukaさん
>定数倍を同一視したら、それはもう、ベクトル空間を成すことはできなくなります。
この件については私が間違っていました。
大変申し訳ございませんでした。

  投稿者:kafuka - 2010/06/14(Mon) 09:08  No.9588  <Home>
同値関係、同値類 についての質問ですが、、、

定数λ倍を同値とする同値関係 ∀a,b∈Cで(a,b)〜λ(1、b/a)において
b/aの値、1つ1つについて、それぞれ同値類がある と思っています。
例えば、λを定数∈Cとして、
b=0の時、(1、b/a)〜λ(1,0) で (1、0)を代表元とする同値類
b/a=1の時、(1、b/a)〜λ(1,1) で (1、1)を代表元とする同値類
b/a=2の時、(1、b/a)〜λ(1,2) で (1、2)を代表元とする同値類
Lim b→∞(a,b)〜(a/b、1)〜(0,1)なので、
b→∞の時、(1、b/a)〜λ(0,1) で (0、1)を代表元とする同値類

こういう理解で合ってますでしょうか?
また、表記は、合ってますでしょうか?

  投稿者:hirota - 2010/06/15(Tue) 11:09  No.9592 
最後の「Lim b→∞」の部分を除けば正しい。
∞ は、(0, b)〜(0, 1) で (0, 1) を代表元とする同値類です。

「Lim b→∞」が「間違い」かどうかは極限の定義をどう理解してるかの問題ですが、(0, 1) 同値類の定義には直接関係ありません。

(C^2−{0})/〜 = C ∪{∞} は、ここの距離を定義しない限り距離空間ではありませんから、kafuka さんの知ってる極限は定義できません。
もちろん、C ∪{∞} = リーマン球面 の意味が分かれば距離空間になります。

  投稿者:kafuka - 2010/06/15(Tue) 15:38  No.9593 
前に教えて頂いた距離空間での同値類の考え方が役に立ちました。
ありがとうございます。

Cでの∞の点は、「見えない」ので、Limで表すしかないですが、
リーマン球面の∞の点(Cの∞に対応)は、北極点なので「明確」ですね。
普通、∞は数じゃない とするのに、リーマン球面では、
他の点と同相(球上の一つの点にすぎない)ように思えて、不思議です。