EMANの物理学 過去ログ No.9086 〜

 ● 量子条件とド・ブロイ波

  投稿者:T_NAKA - 2010/05/03(Mon) 20:10  No.9086  <Home>
ボーアの量子条件、ボーア−ゾンマーフェルトの量子条件 というのは本当にド・ブロイ波を基礎としているのでしょうか?
私の知る限りではド・ブロイ波で再解釈したというのが実情と思います。
歴史をみても、ド・ブロイが物質波を提唱したのはボーア−ゾンマーフェルトの量子条件より後のことですね。

量子力学の歴史(オヤオヤ文庫)http://homepage3.nifty.com/oya2/physics/qed/qed.htm
からの抜粋

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1913 ニールス・ボーア(Niels Henrik David Bohr デンマーク)
     原子中の量子論:水素原子のバルマー系列を説明→1922年 ノーベル賞
     一連の水素スペクトルを説明/予言→発見へ
     三部の論文:「原子及び分子の構成について」
      N.Bohr, Philosophical Magazine 26,p1/p476/p857(1913)
:物理学古典論文(0)書(10)原子構造論(東海大学出版会)に第一論文収録
      2つの制限条件による原子の量子論の創始[8]
      1)量子条件 :電子軌道に沿った作用積分はhの整数倍である。
        量子化による水素原子のラザフォードモデルの説明

1915 ゾンマーフェルト(Arnold Johannes Sommerfeld 独 ミュンヘン大 理論物理学教授)
     ボーア−ゾンマーフェルトの量子条件:pdrの積分=nh
     ボーアモデルの力学部分の一般化、非水素原子への拡張へ。

1923 ドゥ・ブローイ(ド・ブロイ Louis−Vector de Broglie 仏)[5]では1925年
     物質波の提案→1929年 ノーベル賞
     ・運動量pの物質にはλ=h/pの不可分の波動が付随すること
      相対論的な量子原理:hν=mc^2
    ・原子内電子の波長λが軌道長で定在波となる条件は、ボーアの量子条件に一致する。
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  投稿者: - 2010/05/03(Mon) 20:32  No.9088 
ところで、
シュレディンガー方程式をHamilton-Jacobiから出してきたのは、
何時でしたっけ。

  投稿者:凡人 - 2010/05/03(Mon) 21:10  No.9091 
T_NAKAさん
お久しぶりです。
>ボーアの量子条件、ボーア−ゾンマーフェルトの量子条件 というのは本当にド・ブロイ波を基礎としているのでしょうか?
歴史的には、ド・ブロイ波が提唱されたのは後ですから、この表現は違和感があるかも知れませんが、理論的には、ド・ブロイ波からボーア−ゾンマーフェルトの量子条件を導く事が可能なので、この表現も強ち間違いとは言い切れないと思っております。
尚、もっと良い表現があれば、ご教示いただけますようお願いいたします。
http://www.pp.teen.setsunan.ac.jp/lecture/quantum.html
>私の知る限りではド・ブロイ波で再解釈したというのが実情と思います。
という表現については依存はありません。

  投稿者:T_NAKA - 2010/05/03(Mon) 21:14  No.9092  <Home>
>あ さん

「シュレディンガー方程式HΨ=EΨは、どのような式を経て導出されたのですか??」
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1410981074
における回答の中にハミルトニアン・ヤコビ方程式の記述があるので、シュレディンガー方程式導出の初めからHamilton-Jacobiが織り込まれているのでしょう。
よって、シュレディンガーがこの方程式を導出した年を示せば良いので、1926年ということだと思います。


量子力学の歴史(オヤオヤ文庫)http://homepage3.nifty.com/oya2/physics/qed/qed.htm からの抜粋


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1926 シュレディンガー(Erwin Schrodinger オーストリア)→1933年ノーベル賞受賞
     波動力学の4編の論文
     物質波の従う波動方程式の発見:シュレディンガー方程式
     視覚化と、従来物理学との整合性で、多くの支持者を得る
     ボルンも「古典物理学への回帰」と高く評価[15]
      ===========================================================================
      =============== 歴史的4論文の概要 [18] ============================
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     第一報 1月末:固有値問題としての量子化 Annalen der Physik 79,361(1926)[18]
         時間に依存しないシュレディンガー方程式
          離散的な固有値は、関数の有界性と1値性からででくる→数学的必然としての量子化
          (;定在波ができるためには、エネルギーは飛び飛びでなければならない)
     第二報 2月 :ハミルトニアン表記 Annalen der Physik 79,489(1926)
         幾何光学−波動光学の対応にそくして、ニュートン力学のハミルトニアンを、波動理論に仕立てる。
         (ドゥ・ブロイが光量子との類推で、物質波を得たのと同様に、ハミルトン形式を応用し、波動と整合)
         波のかたまり(後の波束)の群速度が、物体の速度に一致すること
         Plank振動子の固有関数として、エルミート多項式を得、固有値として(n+1/2)hνを得る
         :行列力学の結果と一致
     プレ第三報 3月 :ハイゼンベルクらの量子力学とわたしのそれについて。Annalen der Physik 79,734(1926)
         行列力学との形式的同等性
         (波動関数の組み合わせから作った行列が、ハイゼンベルクの交換関係を満たすこと)
            行列力学との同等性はパウリの証明の方が先で厳密だった(?)[15]
            後にノイマンにより行列と波動力学はヒルベルト空間理論の特定の表示形式であることが示される
     第三報 5月 :摂動論の手法  Annalen der Physik 80,437(1926)
         Strum=Liouville型微分方程式(固有値問題)に摂動をかけ,エネルギー補正を得る
         縮退がある場合に一般化,永年方程式の手法。
         摂動論を水素原子のStark効果に適用。
         「波動力学(Wellenmechanik)」という言葉を使用:自説の展開に自信を持った事。
     第四報 6月 :時間を含む波動方程式とその摂動 Annalen der Physik 81,109(1926)
         固有値は,本来関数の中にあらわれるべきではない→Ψ=ψ(q)exp(2πi(E/h)t)   
         を用いてEを消去
         −(h^2/8π^2m)ΔΨ+UΨ=(h/2πi)∂Ψ/∂tのポテンシャルUが時間的に変化しても
         成立すると仮定。
            Uを周期的摂動として1次近似 →バルマー系列とその強度を説明→行列力学に打撃
         虚数の拡散係数を持つ拡散方程式の形 → 「力学的な場のスカラー量Ψ」が実数でなく複素数
         ψψ*の(配位空間内での)重み関数解釈:「ゆらぎ全体がどうなっているか」わからせるもので
         「実在の3次元空間の関数ではない」。eψψ*が電子の電荷密度を示すこと
     その後 7月 :微視的物理学と巨視的物理学の関係 Dir Naturwissenschaften 14,664(1926)
         1次元調和振動子の現象論的振る舞いは波束を用いて表されることを主張
         後に波束では粒子の安定性が説明できないことが示され、誤りであることがわかる。
      
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  投稿者: - 2010/05/03(Mon) 21:18  No.9093 
T_NAKA さん、ありがとうございます。
シュレディンガー方程式が古典力学のHJ方程式から
導出できることは知っていたのですが、
果たしてそれが最初であったかどうかに自信がありませんでした。
おかげですっきりしました。

  投稿者:T_NAKA - 2010/05/04(Tue) 08:09  No.9101  <Home>
「シュレディンガー方程式HΨ=EΨは、どのような式を経て導出されたのですか??」
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1410981074
における回答の初めに

「シュレーディンガーは(その前に、何回か試行錯誤があったのでしょうが、)、まさにいきなりある微分方程式を思いつきます。
それを、球面座標系で解くと、離散的な解を持つことがわかり、それが水素の電子の離散的エネルギー順位とぴたりと合うことを発見します。
つまり、シュレーディンガー方程式は何か基本原理から演繹的に導かれたものではなく、いきなり見つかってしまったのです。」

とあります。こういう見解は、「Excel で学ぶ量子力学」(保江邦夫著・講談社ブルーバックス)の

P38
「まさに薄皮1枚を隔てて狂気に相対する意識の中で、シュレディンガーは神の旋律を聞き、水素原子のエネルギーを解として再現する波動方程式が、全く理屈抜きに閃いたのだ。」

にもありますね。また、同書で

P40
「そして、ほぼ1ヵ月をかけて、自分が閃いた波動方程式をまことしやかに導き出す理屈を作り上げた。この理屈こそが謎の中の謎になって、その後半世紀にわたって世の数理物理学者たちの頭を悩ませ続けるのだが、」

ともあります。
(この「謎の中の謎」というのはEMANさんの「シュレーディンガー方程式_ド・ブロイ波と古典力学を直接結びつけた賢い方法とは・・・。」 という記事にも現れていると思います。)

つまり、ド・ブロイ波モデルから演繹的にシュレーディンガー方程式が出てきた訳ではないことになりますね。ですから、その導出に拘ることも、根拠にド・ブロイ波を絶対視することもあまり必要がなくなると思います。
まあ、これらの記述が歴史的に正しいのか?は私判断できないのですが。。

  投稿者:凡人 - 2010/05/04(Tue) 12:02  No.9105 
hirotaさん
>(自分の書いた事を修正するのは良いけど、時間を遡って応答するのは反則です)
以下の内容は、2010/05/03(Mon) 21:48 No.9097に対して、昨晩、私がコメントしていた内容です
>>是非、具体的に指摘してください。
>この間ずっと指摘してきましたし、このコメントでも、あさんの論理の矛盾を指摘しているつもりです。
それで分らなければ、身近にいる人にでも聞いてみてください。
>>ログに矛盾した議論が残るのはいやなので。
>いっぱい残っていると思いますから、このメッセージの右上にある"返信"ボタンをクリックして良くご確認下さい。
(論議の経緯は以下で確認出来ます。)
http://hpcgi2.nifty.com/eman/bbs090406/yybbs.cgi?mode=res&no=9052

そして、2010/05/03(Mon) 21:48の後にあさんが
>是非、具体的に指摘してください。
>ログに矛盾した議論が残るのはいやなので。
という箇所に消されたので、私も本日の朝になって上記の内容を一旦消したのですが、あさんの事を慮って、
>それと以下は、No.9097の21:48時点に存在していたコメントに対する回答です。
>このコメントに対する回答は、あさんの為になると思いますので、敢えて提示させていただきます。
というコメントを添えて、直ぐに復活させたのです。
これがルール違反となる根拠を教えてください。

それと、
Re: 物理初級者です。 hirota - 2010/05/04(Tue) 00:12 No.9100
>そもそも凡人さんのコメントに反応しなかったのは、何のことを言ってるのか分からなかったためで、話が通じてる あ さんは偉いなーと思ってましたが、どうやら違ってたようですね。
というコメントと、
Re: 量子条件とド・ブロイ波 hirota - 2010/05/04(Tue) 11:20 No.9103
>あ さんとのやりとりで何のことを言ってたのか分かったし、昔の事だから忘れました。
というコメントは、内容的に矛盾していると思いますが、いかがでしょうか?

  投稿者:yuya - 2010/05/04(Tue) 12:52  No.9107  <Home>
ねぇ凡人さん。

正しいことを直球で教えてくれる人もありがたいけど、
「かつて間違った理解をしていた」という経験を、
恥じることなく後輩の初心者に教えてくれる人も貴重だと思いませんか。

例えば「宇宙飛行士と角運動量」の話のときなんて、
http://hpcgi2.nifty.com/eman/bbs090406/yybbs.cgi?mode=topic&no=8482
凡人さんが「有用な間違い」をしてくれたおかげで、
同じことで悩む人(たくさん出てくると思います)がいても、
このスレッドのログを読むだけでかなりの人が救われるでしょう。

それは回答した私の文章に価値があるのではなくて、
凡人さんが納得するまで【建設的に】喰い下がったところを読めるから価値があるんです。

我らがEMANさんの記事だって、自分が間違ったり、理解するのに物凄い時間が掛かったりした経験を
全く隠さずにさらけ出してくれているから分かりやすい訳でしょう。

大事なのは【建設的に】というところで、凡人さんにとっては心外かもしれませんが、
このスレッドでの喰い下がりかたは、(あくまで私の主観ですが)建設的には見えないのです。

例えば、de Broglie 波の波長が  $\lambda = h / p$ で与えられるなんてのは高校の教科書にも載ってますが、
 $p$ が運動量の大きさ( $|\vec{p}|$ )なのか、あるいは符号も込みで「負の波長」に意味づけができるのか、
なんて疑問は、その後の量子力学の発展まで学んでいる人にとっては取るに足りないことであっても、
気になって仕方がない初心者もたくさんいることでしょう。

「納得できないな」と思ったら、そんなに攻撃的にならずに、
とりあえず「教えてもらう」つもりで気楽に行きましょうよ。

「すでに自分はそうしている」とおっしゃるなら、もう何も言いませんが……。

  投稿者:T_NAKA - 2010/05/04(Tue) 15:02  No.9108  <Home>
このスレを建てた目的は初期量子論の話題が歴史的に正しいのだろうか?という疑問からです。
特定の人を説得するためではありませんので、私自身は説得のためのレスはしないつもりです。

さて、ドブロイ氏が物質波を考えたときは、「新理論は相対論に合致しないといけない」という雰囲気がありましたので、それに沿って考察されたと聞いております。随伴波の振動はどの時計で測ったものなのか?という問題で当初は二つ振動が想定されていたほどです。
シュレディンガーはこのドブロイ波を方程式化するにあたって、物質波の由来から、その方程式は相対論的なものと考え、今日「クライン=ゴルドン方程式」と呼ばれているものを導いたということが言われており、この方程式を水素原子に適用しても上手くいかなかったので、このアイディアを棄てたことになっています。

これは本当かどうか?どういう計算をしてどうダメだったのか?という資料を見たことがないので、かなり疑わしいものだと考えています。(EMANさんも同様なことをおっしゃっていたと記憶しています。)

シュレディンガー方程式は、ドブロイ波をヒントにしているが、それを根拠にせず、シュレディンガー氏が突然閃いたものというのが本当のところではないかと考えています。
もちろん、それはシュレディンガー氏を貶めるものではありません。

  投稿者:凡人 - 2010/05/04(Tue) 16:29  No.9110 
T_NAKAさん
>シュレディンガー方程式は、ドブロイ波をヒントにしているが、それを根拠にせず、シュレディンガー氏が突然閃いたものというのが本当のところではないかと考えています。
そうですね。本質的なものは、大抵見つかりにくいところにありますから、後で見つかる場合が多いですよね?←(表現を改善しました。)
そういう意味では、スピンも同じで、ディラックが量子力学の相対論化を成功させた事によって、スピンの存在の必然性が解き明かされましたよね?

  投稿者:T_NAKA - 2010/05/04(Tue) 18:07  No.9116  <Home>
シュレディンガー方程式はそのままではスピンは表せませんが、状態関数をスピノルと考えて、理論付けしたのがパウリだと思います。
http://teenaka.at.webry.info/201002/article_25.html
(この場合は2成分スピノル)

ディラックはこのパウリ理論をよく勉強して、自分の研究の方法論としたのです。
だから、最初からスピンは込みこみということで、相対論化したことでスピンが出てきたというのは間違いだと思っています。
最初からスピノルを前提として変形すれば、非相対論的シュレディンガー方程式からでもスピンが出てくることは、TOSHIさんのブログやEMANさんの「非相対論的にスピンを導く_シュレーディンガー方程式の線形化」という記事で明らかですね。

つまり、相対論的であることがスピンを説明する根拠ではないでしょう。