EMANの物理学 過去ログ No.8787 〜

 ● 反粒子の波動関数の解釈について

  投稿者:凡人 - 2010/04/16(Fri) 17:20  No.8787 
http://takaosuda.hp.infoseek.co.jp/homepage/relate/ap7.html
にて示されている、反粒子の波動関数e^iEt/hbarを変形してe^-iE(-t)/hbarとすると、反粒子の波動方程式は、正粒子の波動方程式e^-iEtを時間方向に逆転した形と見做せるので、反粒子は正のエネルギーを持つと共に、ファインマンが提唱した「時間を逆行する粒子」と見做せると思うのですが、この解釈は正しいでしょうか。
上記の解釈が正しいとすると、正物質の立場から反物質を見た場合、反物質が時間を逆行する姿を見る事になると思いますが、反物質から正物質を見た場合も同様でしょうか?
もしそうだとすると、反物質人間というものが仮に存在した場合、反物質人間が我々を見た場合、我々が時間を逆行して行く姿を見る事になるのでしょうか?
それとも、ディラックが発見した負のエネルギー解を素直に認めて、反粒子の波動関数をe^-i(-E)t/hbarとして、反粒子は実は負のエネルギーを持っているけれども、反粒子自体にエネルギー準位が負の方向に無限に落ちこんで行かない仕組みが備わっていると共に、正粒子と対消滅した場合に、負のエネルギーが正のエネルギーに転化するような仕組みも備わっていると解釈した方が良いのでしょうか?
お暇が有る方は、ご意見をいただけますと助かります。

  投稿者:のま - 2010/04/24(Sat) 18:57  No.8932 
>反粒子は正のエネルギーを持つと共に、ファインマンが提唱した「時間を逆行する粒子」と見做せると思うのですが、この解釈は正しいでしょうか。

そう見なしても別に構わないですが、必然性はありません。素粒子の固有時間の向きは知りようがありません。素粒子に時計を仕込むことはできないので。ちなみにこのアイディアの提唱者はファインマンの教官、ホイーラーだったと思います。

>上記の解釈が正しいとすると、正物質の立場から反物質を見た場合、反物質が時間を逆行する姿を見る事になると思いますが、

素粒子の固有時間の向きは知りようがないので、そうとは言えません。貴方の身体を構成する素粒子のいくつかは、その固有時間が我々の(統計力学的)時間と反対向きに進んでいるということも、理論からは否定できないのです(肯定もできない)。

>それとも、ディラックが発見した負のエネルギー解を素直に認めて、

ディラックの空孔理論は歴史的意義はあるものの、理論上あまり綺麗ではないですね。場の量子論においてはフェルミオンの生成消滅演算子を逆に定義するだけという、極めて簡潔な話です。だから、いにしえの空孔理論をあまり真面目に受け取っても素粒子論に関して得るところは少ないです。

>反物質人間というものが仮に存在した場合、反物質人間が我々を見た場合、我々が時間を逆行して行く姿を見る事になるのでしょうか?

なぜ我々の時間が今の向きであり、反対ではあり得ないのかという問題は素粒子論の問題というより宇宙論と統計力学の問題と考えるべきでしょう。素粒子論は時間を逆行する生命体を否定できません(CPT定理があるため)が、宇宙論と統計力学からそれは否定されるかもしれません。

  投稿者:凡人 - 2010/04/24(Sat) 19:45  No.8934 
のまさん
私のような一般人にも分りやすいご回答をいただき、大変ありがとう御座いました。
私が考えた、
>反粒子は実は負のエネルギーを持っているけれども、反粒子自体にエネルギー準位が負の方向に無限に落ちこんで行かない仕組みが備わっていると共に、正粒子と対消滅した場合に、負のエネルギーが正のエネルギーに転化するような仕組みも備わっていると解釈した方が良いのでしょうか?
というのは、数学的には結局、反物質を「時間を逆行する粒子」と見做す事と同じ事ではないかと思いました。
また、
>なぜ我々の時間が今の向きであり、反対ではあり得ないのかという問題は素粒子論の問題というより宇宙論と統計力学の問題と考えるべきでしょう。
>素粒子論は時間を逆行する生命体を否定できません(CPT定理があるため)が、宇宙論と統計力学からそれは否定されるかもしれません。
についてですが、反粒子自体が時間を逆行したとしても、反粒子は集団としては時間を順行しているのと同じ振る舞いをすると仮定すれば、問題は起きないのではないかと思いました。
お忙しい中コメントを頂きまして、大変ありがとう御座いました。