EMANの物理学 過去ログ No.8571 〜

 ● トリチェリの定理

  投稿者:M.W. - 2010/03/24(Wed) 14:27  No.8571 
お久しぶりです。話題提供をかねて、質問でも。

トリチェリの定理というものがあります。大きな容器に水を入れて穴を開けると、水面までの高さをh とすれば、水の速さが、

<tex>v= \sqrt{2gh} </tex>

となるというものです。gは重力加速度です。穴を開けた瞬間その速度で出てくるはずはありません。水の加速度はどうなるでしょうか?ただし、水槽は、底に半径dの円形の穴が開いた、半径Dの円筒形水槽とします。できれば、高さh_0からの経時変化を。解けない方程式が出てくれば、t≒0での加速度を一定とした近似と、h_0>>1での、t→∞での関数形をお願いします。丸投げですみません。僕もいろいろ考えましたが、考えれば考えるほどごちゃごちゃの泥沼にはまったので…。

ああ、ところで、目薬の容器を下に向けても、目薬が落ちてこないのはどうしてだろう?圧力と表面張力の兼ね合いかなぁ?それなら上と同じ設定で、流れ落ちるための穴の大きさとかがわかりそうですねぇ。(独り言みたいですみません。)

  投稿者:明男 - 2010/03/24(Wed) 23:14  No.8573 
M.W.さん、こんばんは。

早かろう拙かろう、かも知れませんが(笑)。

単純な問題で考えます。液体は非圧縮、粘性なしとします。気圧差も無視です。まあ、自分に計算できる都合ですね、とどのつまり。

水面の底からの高さh(t),密度ρ、流速v(t)とします。
(連続式)-ρπD^2冑=ρπd^2v冲
(エネルギー保存)-ρπD^2冑gh=1/2・ρπd^2v冲v^2
整理して、
 -h'=λ^2v  (λ=d/D)
 hh'=λ^2/2g・v^3
これらから、
 h'=-λ^2√(2gh)
ここまでで、v(t)=-h'/λ^2=√(2gh)、つまり半径によらず、公式が成立していることが分かる。
微分方程式を解くと
 h(t)=(√h0-2λ^2√(2g)t)^2
 v(t)=√(2g)(√h0-2λ^2√(2g)t)
となる。したがって、加速度a=dv/dt=-4λ^2g、となる。

これをみると、噴出速度は水面高のみで決まり、だんだん低くなるので、当然流速が小さくなるということですね。

まあ、高校生レベルの話でしかないので、実際はもっと複雑でしょうが、もちろん、私にそんな能力は無いので他の人に任せます。

また、速度が初めから0でないのは、このモデルが過渡的なディテールを記述できないのと、液体を剛体近似(力伝達速度が無限大)しているからだと思われます。






  投稿者:M.W. - 2010/03/25(Thu) 12:23  No.8575 
こんにちは!

なるほど。過渡現象が記述できないからトリチェリはいけないのか。楽しめる物理200題という本に似たような問題があったので参照したところ、 $\varDelta t$  までの間、エネルギーが変化しない条件から答えが導いてありました。なんでも、流出口で、加速度が、
 $\dfrac{D^2}{d^2}g$ 
となるそうです。これはかなり大きいから、t=0での速度が、0なのは無視しているんでしょうね。

  投稿者:明男 - 2010/03/25(Thu) 14:06  No.8576 
へえ〜。
大気圧(差)を無視し、ごく瞬間的に水槽全体の圧力が穴をくりぬいた円柱状の部分にかかると考えれば、
  ρπD^2gh=ρπd^2h・a(aは加速度)
  a=gD^2/d^2
と考えられますね。ところてん抜き方式か(^^)。
だけど、本当かな?直観的にはありそうだけど、もっともらしい説明があるのだろうか。

  投稿者:hirota - 2010/03/25(Thu) 19:44  No.8578 
水槽全体の広い範囲から小さな穴まで連続的に流れる水を考えると、広い範囲ではゆっくり、穴に近づくにつれて収束して速くなる流れになりますから、加速は全体的に連続です。

  投稿者:明男 - 2010/03/25(Thu) 19:59  No.8579 
>hirotaさん

流線でイメージすればそうなんでしょうが、ひとつ疑問があります。時間が十分経ち、定常的に流れが生じている場合、流線が連続的に水槽から穴(を出た外部のある領域)まで一様な流れになりそうですが、穴を開けた瞬間の外部は流体で無いため、そこで不連続となります。そのため水槽内部とは異なる境界条件が必要な気がします。
どちらにしても、定量的に示す方法が(ナビエストークスを解かないで)あるのでしょうか。

  投稿者:kara - 2010/03/25(Thu) 22:29  No.8580 
こんばんは。

以下のように考えてみました。いかがでしょうか。

小孔dを開けた瞬間、圧力がゼロになるので、感じる力が重力だけになり、上面が重力加速度gで落ち始める。体積の保存から小孔dでは加速度がそのD^2/d^2倍になる。これははじめの瞬間だけで、後は小孔から出た部分の運動エネルギーが引かれてすぐ上面は重力加速度より遅い加速度になる。

あまりもっともらしいかんじはしませんが。。。

  投稿者:凡人 - 2010/03/26(Fri) 00:22  No.8581 
M.W.さん
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BD%8D%E7%BD%AE%E3%82%A8%E3%83%8D%E3%83%AB%E3%82%AE%E3%83%BC
によると、位置エネルギーはmghですが、非相対論的な運動エネルギーの式であるmv^2/2のvに√(2gh)を代入するとmghになるので、位置エネルギー=運動エネルギーとなります。
したがって、この物質的状況でエネルギーの収支を合わせるためには、水の速度は√(2gh)になるしかないという事でしょうか?

また、水の出口部分の加速度の方は、D=dの場合はa=gになるという事と、水の圧力が一定の場合、水の流動抵抗や慣性抵抗等を無視すれば、水の速度や加速度は水の流路の面積変化比に逆比例するので、a=(D/d)^2gとなるという事でしょうか?
(↑この部分を大訂正しました。)

ところで、D=dの場合は明らかに水の速度は√(2gh)に収束して行かないので、dはDに比して十分小さい値でなければならないと思われます。
この点については、以下の解説をご確認下さい。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A8%E3%83%B4%E3%82%A1%E3%83%B3%E3%82%B8%E3%82%A7%E3%83%AA%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%83%BB%E3%83%88%E3%83%AA%E3%83%81%E3%82%A7%E3%83%AA

尚、dがDに比して十分小さい場合の「高さh_0からの経時変化の関数」は、流動抵抗や渦流の発生等を一切考慮しないで、上述の内容を基準として微分方程式を立てる事により、近似的に解く事が出来るのではないでしょうか?
(↑明男さんのコメントを読み飛ばして申し訳御座いませんでした。)

  投稿者:明男 - 2010/03/26(Fri) 01:25  No.8583 
>karaさん

M.W.さんが「エネルギーが変化しない条件」と書かれているので、質量保存だけ考えて、解答は単純にそう考えているだけかも知れませんね。
考えすぎかあ。

  投稿者:ASA - 2010/03/26(Fri) 07:16  No.8584 
karaさんNo.8580

 難しい問題ですね。
穴をあけた時刻t=0からのダイナミクスを考えるには、分子間力を考える必要があります。
具体的には、水の表面エネルギーについて、つまり平面時(t=0)の表面張力に圧力が打ち勝って、水の表面を広げる時に要する仕事と、穴の周辺の材質と水との親和性から、境界条件として、境界に接合しているか、ある一定の仕事をして境界から離れるとかの条件などを考慮しなければなりません。

 非常に微小な穴だと、表面張力や境界からの束縛力に圧力が打ち勝てず水が流出することはありません。非常に細かいセラミックスの壷(気体は通す)に水を入れた場合がその実例です。

  投稿者:M.W. - 2010/03/26(Fri) 12:27  No.8589 
みなさん,ご返事ありがとうございます!表面張力から考えることもできるのですか.微小変化 $\varDelta x$ において,エネルギー変化と表面張力の仕事を比べるんですよね.ちょっとやってみます.

  投稿者:yuya - 2010/03/27(Sat) 02:29  No.8593  <Home>
明男さん:

[8573]と[8576]でどうして結果が変わるかな、と思って計算してみました。

[8573]
>微分方程式を解くと
> h(t)=(√h0-2λ^2√(2g)t)^2
> v(t)=√(2g)(√h0-2λ^2√(2g)t)

<tex>h(t) = \left(\sqrt{h_0} - \lambda^2 \sqrt{\frac{g}{2}} \cdot t\right)^2</tex>
<tex>v(t) = \sqrt{2g}\left(\sqrt{h_0} - \lambda^2 \sqrt{\frac{g}{2}} \cdot t\right) = \sqrt{2gh_0} - \lambda^2 gt</tex>

ではないでしょうか。これなら
 $a = dv / dt = - \lambda^2 g$ となって、[8576]と一致しますね。
(追記:この計算自体は合っているようですが、[8576]との関連は誤っていました。失礼しました。)

凡人さん:

>によると、位置エネルギーはmghですが、非相対論的な運動エネルギーの式である>mv^2/2の
>vに√(2gh)を代入するとmghになるので、位置エネルギー=運動エネルギーとなります。
>したがって、この物質的状況でエネルギーの収支を合わせるためには、水の速度は√(2gh)
>になるしかないという事でしょうか?

明男さんの式を、ズボラをかまして変形すると、その関係がよく見えますね。
すなわち、
(連続式)<tex>- \rho \pi D^2 \Delta h = \rho \pi d^2 v \Delta t</tex>
(エネルギー保存)<tex>-\rho \pi D^2 \Delta h gh = (1 / 2) \rho \pi d^2 v \Delta t \cdot v^2</tex>

連続式の両辺は、 $\Delta t$ の間に流れた水の質量であり、これを $m$ と置きます。
で、下のエネルギー保存の等式をよく見ると、 $m$ は両辺にそのまま現れていて、
そっくり書き換えることができ、<tex> mgh = (1 / 2) m v^2 </tex>という見慣れた等式になります。
 $v = \sqrt{2gh}$ を得るだけなら、微分方程式の知識が無くとも可能ですね。

圧縮されない流体の体積を $V$ とすれば $m = \rho V$ で、これを用いれば
<tex> \rho V gh = (1 / 2) \rho V v^2</tex>
となり、両辺を $V$ で割れば
<tex> \rho gh = (1 / 2) \rho v^2</tex>
というBernoulliの定理の形になります。

Torricelliの定理がBernoulliの定理から導かれる、というのはこういうことですね。

これを見ると、凡人さん引用のWikipediaにもあるとおり、
水面の薄い層をダルマオトシのように横にスライドさせて、
穴の高さまで自由落下させたときと同じだけの運動エネルギーを得ることになります。

これは、穴を空けた直後であれば納得しやすいですが、
順調に流れ始めたら、水面は下降していて「初速」を持っているにもかかわらず、
同じように初速ゼロのように扱ってダルマオトシをして良いものか?と首を傾げたくなりますよね。

そこで重要なのが

>ところで、D=dの場合は明らかに水の速度は√(2gh)に収束して行かないので、
>dはDに比して十分小さい値でなければならないと思われます。

という指摘で、まさにそのとおりであり、
これによって水面の下降速度は限りなくゼロに近い、という仮定がなされています。

ということで、Torricelliの定理は、
Bernoulliの定理における仮定、プラス、 $D >> d$ で水面下降が充分遅い、
という仮定のもとで成り立つわけですね。

  投稿者:明男 - 2010/03/27(Sat) 13:11  No.8598 
>yuyaさん

うはは、ご指摘どおり単純な計算ミスでした。みなさん、申し訳ない。
それはともかく、[8576]では逆数かつ逆符号です。
それで、疑問があったわけです。

  投稿者:yuya - 2010/03/27(Sat) 13:24  No.8599  <Home>
明男さん:

>それはともかく、[8576]では逆数かつ逆符号です。
>それで、疑問があったわけです。

あれ、本当だ……[8576]をよく読んでませんでした(汗)。
ちょっと考え直します。

  投稿者:凡人 - 2010/03/27(Sat) 21:41  No.8604 
yuyaさん
この度もお世話になりまして大変申し訳御座いません。

皆さん
私のNo.8581の、a=(D/d)^2gについての説明が激しく間違っていたので大訂正させていただきました。
もし良かったらNo.8581を見てやって下さいますようお願いいたします。

  投稿者:yuya - 2010/03/30(Tue) 18:12  No.8643  <Home>
前回、明男さんに失礼を働いてしまったので、お詫びを兼ねて、
書店で「楽しめる物理問題200選」(朝倉書店)を立ち読みしてきました。

Torricelliの定理は、凡人さんの指摘に沿って私が説明したとおり、
水面の下降が充分遅い、という仮定のもとで成り立つものでした。

これはすなわち、水面の下降によって失われた、最上層の水の位置エネルギーが、
流出口を出たばかりの水の運動エネルギーにそっくり転化された、という仮定です。

しかし実際には、栓を抜いた直後、
最上層の位置エネルギーは、まず【水槽内の】水の運動エネルギーに変わるはずです。
これをきちんと考慮することによって、Torricelliの定理では扱えなかった
「過渡期」を扱うことができます。

すなわち、最上層(高さ $h$ )の水が $ - \Delta m$ だけ失われたとき、
その位置エネルギー $(- \Delta m) gh$ が、
水槽内の水の運動エネルギー $m (\Delta v)^2 / 2$ に変わる、と考えます。

<tex> (- \Delta m)gh = m (\Delta v)^2 / 2 </tex>

水の密度を $\rho$ 、水槽の底面積を $S$ 、
栓を抜いた直後の水面の加速度を $a$ とすると(下向き正)、
 $\Delta t$ の時間ののち、水面は $- \Delta h = a(\Delta t)^2 / 2$ だけ下降し、
下降速度は $a\Delta t$ となっているはずです。

すなわち  $- \Delta m = \rho S (- \Delta h) = \rho S [a(\Delta t)^2 / 2]$ 、
 $m = \rho S h$ 、 $\Delta v = a \Delta t$ ですから、
これらをエネルギー保存の式に反映すると

<tex>\rho S [a(\Delta t)^2 / 2] gh = \rho S h (a\Delta t)^2 / 2</tex>

これは両辺のほとんどの項がサクサクっと約せて、
 $g = a$ だけが残っちゃうのですなぁ。

かくして、karaさんの直感的説明が計算で裏付けられるわけですね。
一応注目しておいて欲しいのは、この $g = a$ を得るまでの計算には、
栓の面積は関係しない、ということです(当たり前ですが)。
凡人さんの記述にもありますが、
たまたま $D = d$ なら(つまり底が抜けていれば) $g = a$ は受け入れやすいのに、
栓が小さいと「どうなんだろう!?」となりますね。

結局、流出口の加速度については、上記の計算に続いて質量保存から求めていました。

この本、タイトルだけ聞いたときはブルーバックスか何かかな、と思っていましたが、
気合の入った洋書の訳で、なんと4,900円もします。
でも、他にも面白そうな問題がたくさん載っているので、
いずれ買ってしまうことになりそうです(笑)。

  投稿者:明男 - 2010/03/30(Tue) 19:55  No.8646 
>yuyaさん

いいえ、別に失礼なことは何も無いです。
それにしても、高いなあ。立ち読み正解!(って言って良いのか>自分)。
余り大きな声では言えませんが、昔私たちの時代には専門書は学生にとっては高価過ぎて買えず、教官は暗黙の了解の内、青焼き(湿式コピー)で講義を行っていました。質の高い教科書が洋書にしかなかったという事情もありますが、版権意識の進んだ現代でなくとも褒められたことではありませんでした。
でも、そのようにして学び、与えられた知識ですから大事に、少しでも社会に返さねばならないという意識もまた持てた気がします。
隔世の感はありますが、学書の価値は金額ではないですね。

  投稿者:M.W. - 2010/03/30(Tue) 20:14  No.8647 
またもやながらくoffしてしまってすみません.「楽しめる…」を読んでくださったとは!かなりいい本だと思うので,お買いになっても損はしないのでは?(宣伝ちゃいますよ.)

僕は四月から大学生ですが,みなさんに一歩でも追いついて日本を背負える人間になるようにがんばりたいと思います.(大きいこと言い過ぎてます?)

議論にほとんど貢献してなくてすみませんが,また戻ってきたときは,よろしくお願いします.