EMANの物理学 過去ログ No.8495 〜

 ● はじめまして&質問です

  投稿者:kiroko - 2010/03/16(Tue) 20:48  No.8495 
 はじめまして、電磁気学という項目で検索していて流れ着いたkirikoと申します。実は当方文系の学校に通った人間なのですが、ひょんなことから素粒子学に興味を持ち学ばせてもらっているしだいです。
 このたび力学のページを閲覧させていただいたのですが、第一部の「運動方程式」の項目においてニュートンの運動方程式を呼んでいてわからなくなっってしまったため書き込ませていただきました。
 失礼ながらお尋ねしますが、方程式に出てくる「d」とはいったい何なのでしょうか?
 最初に出てきたdは説明文を読んでいてΔtなどがdtなどと書かれていることからΔ(デルタ)の略なのだろうとは思い、

dt=Δt=流れていく時間の中におけるΔという時点
dx=Δx=ある物体がdtという時点に動く距離
dp=Δp=ある物体のdtという時点での運動量

という風に理解していたので、v= dx/dt及びF= dp/dtというところまでは納得できたのですが、F=m・dv/dtのvにv=dx/dtを代入してニュートンの運動方程式というのが成り立つのがどうも納得できません。
dvというのは、ある物体のdtの時点での速さであり、d×vではないのでvだけに代入することはできないのではないでしょうか?
よろしければご返信お願いいたします

追伸
力学を学ぼうと思ったのは、素粒子物理学においては力というのは、電磁力、重力、強い相互作用、弱い相互作用に四種類しかないと知ったときに、それではボールを投げるといった行為はこの四つの力でどう説明できるだろうと思ったのがきっかけです。よろしければこちらもどのように説明できるのか教えていただければ幸いです。

  投稿者:甘泉法師 - 2010/03/16(Tue) 22:36  No.8498 
こんにちは。
物理の力学と数学の微分積分は一心同体なので微積分学を知る必要があります。ここではそのさわりだけ書きます。

Δt は時間変化。 Δtをどんどん小さくする、Δt→0で無限小の時間 dt
Δx は物の位置の変化。 Δxをどんどん小さくする、Δx→0で無限小の距離 dx
Δv は物の速度の変化。 Δvをどんどん小さくする、Δv→0で無限小の速度 dv
無限小なら0と書けばいいようなものですが、これらの間の比を考えるのが眼目です。

時間
----------|-Δt-|-------------------→時間
       t t+Δt

位置
----------|-Δx-|--------------------→位置
       x x+Δx

速度     平均 Δx/Δt 瞬間Δt→0  dx/dt=v 無限小どうしの分数:1階微分


----------|-Δv-|--------------------→速度
       v v+Δv

加速度    平均 Δv/Δt 瞬間Δt→0  dv/dt=a  1階微分

速度を仲介して加速度と位置の関係は
  a=dv/dt=d(dx/dt)/dt= d^2 x / (d t)^2   1階微分したものをまた微分:2階微分  
 
{x(t+2Δt)- x(t+Δt)}− {x(t+Δt)- x(t)}
------------------------------------------------ の分数でΔt→0にする。
(Δt)*(Δt)

x(t+2Δt) 時刻t+2Δt での物の位置
x(t+Δt)  時刻t+Δt での物の位置
x(t)     時刻t での物の位置 のことです。

コレハムズカシイノデカクダケデス。  


Δpは物の運動量の変化。 Δpをどんどん小さくする Δp→0  無限小の運動量 dp。

運動量    平均 Δp/Δt 瞬間Δt→0  dp/dt=F  1階微分
----------|-Δp-|--------------------
       p p+Δp
 
p=mv なので 以上まとめるとFのいろいろなあらわしかたは 


F=dp/dt=mdv/dt=ma=md^2 x / (d t)^2

お粗末でした。

=甘泉法師=



  投稿者:じーつー - 2010/03/16(Tue) 23:20  No.8499 
甘泉法師さんの説明に、おせっかいながら補足させていただきます。

質問の「d×vではないのでvだけに代入することはできないのではないでしょうか?」
ですが、騙すような書き方をしますが、簡単には次のようなものです。

<tex>a = {dv \over dt} = {d \over dt}v</tex>

と書いても良いです。むしろ、一番右の表式が基本で、真ん中の書き方はスペース省略のために書き換えだ、と思っても良いかもしれません。

「 <tex>{d \over dt}</tex> がある関数(今回は v )の左から掛けられると、その関数の t での1階微分を表す」
という約束ごとがあるのです。そして

<tex>v = {dx \over dt}</tex>   から  <tex>a = {d \over dt}\left( {dx \over dt} \right) </tex>

と書くことができます。一度微分したものをもう一度微分しています。これを2階微分といいます。
分子部分はまるで「d」が2つ掛けられたように、分母部分はまるで「dt」が2つ掛けられたように見えます。そこで、

<tex>{d \over dt}\left( {dx \over dt} \right) \ \ \Rightarrow \ \  {d^2x \over \left(dt \right)^2}</tex>

と書きたくなります。が、毎回毎回「()」を書くのは非常に煩わしいので実際は

<tex>{d \over dt}\left( {dx \over dt} \right) = {d^2x \over dt^2}</tex>

と書かれます。甘泉法師さんの

a=dv/dt=d(dx/dt)/dt= d^2 x / (d t)^2

部分の補足のつもりです。理解の助けになれば幸いです。詳しいことは高等学校の
数学UやVの教科書や学参を参照してください。

なお、この「d」を使って表す方法は「ライプニッツの記法」と呼ばれます。
ライプニッツは微分の発見者の一人です。
物理、特に力学ではこの記法の他にも上に・を付けた<tex>\dot{x}</tex>なども
微分の記法としてしばしば使用されます。この書き方は「ニュートンの記法」と呼ばれています。
高校でよく使われる f'(x) のように、'をつける記法は「ラグランジュの記法」と呼ばれます。
ラグランジュも物理や数学での大御所です。
物理では'は別の用途で使われることが多いので、微分の意味ではあまり使われないように思います。
EMANさんはライプニッツの記法で統一されていらっしゃいますが、教科書などでは
別の記法が使われていることもありますので、ご注意ください。

  投稿者:じーつー - 2010/03/17(Wed) 02:26  No.8503 
Δは大きさにこだわらないただの変化量で、dは無限に小さい変化量です。
これらは後ろの文字に意味を付加するものだと考えてください。
「可愛い犬」の「犬」を「ワンちゃん」と言っても意味は変わりません。
同じように、v を dx/dt という文字で置き換えても問題ない、というイメージです。

この辺りの説明は高校と大学の狭間にあるので手薄になりがちです。
この辺りの話は駿台の山本義孝先生の参考書が手厚かった気がします。よかったら書店で立ち読みでもしてみてください。
http://www.amazon.co.jp/%E6%96%B0%E3%83%BB%E7%89%A9%E7%90%86%E5%85%A5%E9%96%80-%E9%A7%BF%E5%8F%B0%E5%8F%97%E9%A8%93%E3%82%B7%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%82%BA-%E5%B1%B1%E6%9C%AC-%E7%BE%A9%E9%9A%86/dp/4796116184

  投稿者:hirota - 2010/03/17(Wed) 13:54  No.8506 
Δ とか d は演算子 (operator) というもので、その仲間には符号の −(マイナス) などがあります。
これを x の前に付けると x とは別のもの (ただし無関係ではない) Δx , dx , −x などになり、Δx は「x の変化量」の意味です。(掛け算ではなく、修飾)
dx は Δx とほとんど同じ意味の「x の無限小変化量」だったり「x の変化方向」の意味だったりします。
dx を示す言葉としては「x の微分」とか「x の全微分」とも言います。

ボールを投げる行為は、重力が働いてる環境で筋肉の力がボールに伝わるものですが、筋肉の力は化学変化のエネルギーであり、化学変化は分子の電場内で電子が移動するときのエネルギー変化ですから電磁力ということになります。
もっとも、働いてるのは重力と電磁力だけであっても、それを支えてる物質基盤には強弱相互作用が働いてますがね。

  投稿者:bibun - 2010/03/17(Wed) 15:42  No.8507 
私もkirokoさんと同じ疑問の持ち主です。

じーつーさんの説明は非常にわかりやすいのですが、数学UやVの教科書の教科書が手に入らないのでぜひ教えて頂きたいのですが、
a=dv/dt=d(dx/dt)/dt= d^2 x / (d t)^2は表記上で2階微分を行うということを表しているだけ、と言う意味でしょうか?実際の計算はどうなるのでしょうか?

つまり(d t)^2は時間を2剰すると解釈していいわけですよね?
ではd^2 x のデルタを2剰とはどういうことになるのでしょうか。

微分初心者に救いの手をお願いします。


  投稿者:じーつー - 2010/03/17(Wed) 17:30  No.8508 
>bibun さん

No.8499の説明で不適切な部分があり、そのために誤解させてしまいました。すみません。
私は2階微分の表記が甘泉法師さんの説明では少々見にくい(といっても慣れの問題ですが)気がしたので
その部分の補足をするとともに、なんでそんな書き方をするのかの説明をしました。

>分子部分はまるで「d」が2つ掛けられたように、分母部分はまるで「dt」が2つ掛けられたように見えます。

と書きましたが、実際に掛け算をしているわけではありません。なので、
「(d t)^2は時間を2剰する」訳ではなく、「そう見えるから、そう書いた」だけです。
(d t)の2乗ではありません。「d」も同じです。「そう見えるから、そう書いた」だけです。

っと最初のうちは思っておくのが吉なように思います。



堅苦しい書き方をします。一直線上をボールが転がっています。原点(観測者、あなたの位置)からの
現在の距離(位置と言います)を表す関数を、時刻 t (観測開始してからの経過時間)を変数として、
x(t) と書くとします。
それの一階微分は、微分の定義より

<tex>\lim_{\Delta t \rightarrow 0} {x(t + \Delta t) - x(t) \over \Delta t} = \lim_{\Delta t \rightarrow 0}{\Delta x(t)\over \Delta t} = {\Delta x\over \Delta t} = {dx \over dt}</tex>

となります。これを時刻 t での瞬間の速度 v(t) とします。つまり、

<tex>v(t) = {dx \over dt}</tex>

とするのです。さて、これのそのまた微分は(二階微分は)、

<tex>{d^2x \over dt^2}</tex>

と書きます。数学の、というよりライプニッツの記法のルールです。なんでこんな紛らわしいルールにしたのかの説明は
No.8499 を参照してください。

さて、x(t) の二階微分は <tex>{d^2x \over dt^2}</tex> です。そして、x(t) の一階微分は v(t) でした。

では、その v(t) の一階微分はどう書けるでしょうか。<tex>{dv \over dt}</tex>ですね。これを加速度 a(t) といいます。

<tex>a(t) = {dv \over dt}</tex>

です。以上をまとめますと

x(t) ―1回微分→ v(t) ―1回微分→ a(t)

x(t) ―1回微分→ v(t) ―1回微分→ <tex>{dv \over dt}</tex>

x(t) ―1回微分→ <tex>{dx \over dt}</tex> ―1回微分→ <tex>{d^2x \over dt^2}</tex>

というたくさんの書き方があることが見えてきます。x(t) からの微分の回数が同じなら、書き方が違うだけで(←超重要)
全く同じものを表しています。なので、

<tex>a(t) = {dv \over dt} = {d^2x \over dt^2}</tex>

となります。


>実際の計算はどうなるのでしょうか?

すみません。質問の意図をうまく読み取ることができなかったため、適切な回答でないかもしれませんが・・・

高等学校の物理ですと、一定の加速度 a 、初速度<tex>v_0</tex>、初期位置<tex>x_0</tex>
で一直線上を運動する物体の位置 x(t) と速度 v(t) は

<tex>x(t) = x_0 + v_0t + {1 \over 2}at^2 </tex>
<tex>v(t) = v_0 + at </tex>

という公式で表されます。それぞれを t で微分してみてください。

なお、普通は運動方程式から加速度のみが分かるので、そこから速度や位置を計算します。
高等学校では、そのために等加速度運動の公式があります。
大学レベルでは公式は使いません。微分方程式というものを解きます。
上の公式も微分方程式の解です。高等学校の物理の教科書では見かけ上微分方程式を使わずに導いています。
私が今回出した問題は、数学Vの参考書の後ろの方のおまけ問題です。


ちなみに、数学UやVの教科書は書店で注文できた気がします。
学習参考書なら売っていますし、立ち読みもできます。
山本先生の本はオススメというわけではありません。昔少し立ち読みしただけです。

  投稿者:甘泉法師 - 2010/03/17(Wed) 21:13  No.8509 
こんにちは。

bibunさん - 2010/03/17(Wed) 15:42 No.8507
>つまり(d t)^2は時間を2剰すると解釈していいわけですよね?
>ではd^2 x のデルタを2剰とはどういうことになるのでしょうか。

乱暴な議論ですがおつきあいください。dは、それをつけたものの無限小変化を表す役割(写像)です。 具体的には関数F(t)の左にdをつけたものは dF=F(t+dt)−F(t)。 この約束で進みます。

時刻tの位置を表す関数x(t)についてxの微小変化は
 dx = x(t+dt)−x(t)
dxもtの関数 dx(t)なので、dxの微小変化は同じ規則で、
 d(dx)= d^2 x ={x(t+2dt)−x(t+dt)}− {x(t+dt)−x(t)}
(dt)^2 で割ると
 d^2 x/(dt)^2 =[{x(t+2dt)−x(t+dt)}/dt− {x(t+dt)−x(t)}/dt]/dt
           =[ v(t+dt)− v(t) ] /dt  速度 v=dx/dt の1階微分
           =dv/dt=a(t) 加速度
           =d^2 x/(dt)^2 (t) tの関数であることをはっきり書いてみました。
お粗末でした。

=甘泉法師=

PS 乱暴さが和らぐ分、煩雑になりますが
 dF=F(t+dt)−F(t)
 δF=F(t+δt)−F(t)  と無限小時間を区別したふたつの微分演算子をかきわければ

時刻tの位置を表す関数x(t)についてxの微小変化は
 dx = x(t+dt)−x(t)
dxもtの関数 dx(t)なので、dxの微小変化は同じ規則で、
 δ(dx)= δd x ={x(t+dt+δt)−x(t+δt)}− {x(t+dt)−x(t)}
(dt)(δt) で割ると
 δd x/{(δt)(dt)}=[{x(t+dt+δt)−x(t+dt)}/δt]/dt − {x(t+δt)−x(t)}/δt]/δt
           =[v(t+dt) − v(t)]/dt  
 
 以下同じ。




  投稿者:bibun - 2010/03/18(Thu) 01:35  No.8514 
じーつー様、甘泉法師様
大変親切な説明で感激しております。

微分に興味があり、いろいろ悩んでいましたが、根本的な微分の解釈を理解出来そうです。
取り急ぎ感謝の意で投稿しました。

本当にありがとうございました。