EMANの物理学 過去ログ No.8482 〜

 ● 角運動量保存とエネルギー保存

  投稿者:yuya - 2010/03/15(Mon) 23:33  No.8482  <Home>
http://eman.hobby-site.com/dynamics/angular2.html#1
凡人さん:
>回転半径が1/2に減少した場合、角運動量の公式を使うと角速度は4倍、
>回転運動量の運動エネルギーの公式を使うと角速度は2倍に増加しますが、

確かにそれはその通りですね。いっけん、矛盾しているように見えます。

「角運動量の(単位時間あたりの)変化は、もらったトルクに等しい。」
「エネルギーの変化は、もらった仕事に等しい。」

上の両者で、【たまたま】トルクがゼロのときが角運動量保存、
【たまたま】仕事がゼロのときがエネルギー保存ですよね。

凡人さんの考察から分かることは、r が変化する状況において、
角運動量とエネルギーが「両方とも不変」にはなり得ない、ということですが、
これは言い換えれば、
「トルクも仕事も加えることなく、r を変化させる方法はない」ということですね。

角運動量を保つべく、トルクに頼らずに r を変えたかったら、仕事を加える必要がある。
回転エネルギーを保つべく、仕事に頼らずに r を変えたかったら、トルクを加える必要がある。

で実際、EMANさんの記事で扱っているのは前者の状況ですが、
角運動量を保ちながら半径を縮めるためには、
現在の半径で等速円運動を実現するだけの向心力よりもちょびっとだけ大きな力で
ぐいと引っ張ってやる必要があり、この力が物体に正の仕事をして、エネルギーを増加させます。

しかし、なにもそれが全てではなくて、回転エネルギーのほうが保存するように半径を変えることだってもちろん可能です。
ただ、そのときはどうしてもトルクを加えざるを得ないので、角運動量は変化する。
トルクが加わったときに角運動量が保存されないのは当たり前、というわけです。

なんというか、今回の凡人さんの疑問は、初心者にとっても非常に有用なものだと思います。

  投稿者:凡人 - 2010/03/16(Tue) 00:45  No.8483 
EMANさん
http://eman.hobby-site.com/dynamics/angular2.html#1
での、
>回転半径を小さくするときに遠心力に逆らって仕事をしなくちゃいけないのだけど、その分のエネルギーをちゃんと計算に入れる必要がありますよ。
の件ですが、まだ計算していないのですが、宇宙飛行士が命綱を手繰り寄せる為に消費したエネルギーは、全て遠心力を増加させる事に寄与するのであって、回転運動のエネルギーを増加させる事には寄与しないのではないかと予想しておりますが、間違っていますでしょうか?

youyaさん
>回転エネルギーのほうが保存するように半径を変えることだってもちろん可能です。
>ただ、そのときはどうしてもトルクを加えざるを得ないので、角運動量は変化する。
「回転エネルギーのほうが保存するように半径を変える」場合は、どのようにトルクが加わるのでしょうか?
具体例を示した上でご教示いただけますと、非常に助かります。

>なんというか、今回の凡人さんの疑問は、初心者にとっても非常に有用なものだと思います。
今回の件で、この場で少しはお役に立てたようなので、非常に嬉しゅう御座います。

  投稿者:yuya - 2010/03/16(Tue) 07:30  No.8484  <Home>
凡人さん:

>「回転エネルギーのほうが保存するように半径を変える」場合は、どのようにトルクが加わるのでしょうか?
>具体例を示した上でご教示いただけますと、非常に助かります。

当然、そこに行き着きますよねぇ。それを書かずに投稿しちゃったので、あとで追加しようか迷ってました。

例えば、初めにちょこっと中心方向に引っ張って、少しだけ内側の軌道に移動させたとします。
このまま新しい軌道で円運動してしまうと回転エネルギーが微増してしまうので、
それを打ち消すために即座に、ちょこっとだけ接線方向にブレーキを掛け、回転エネルギーを元に戻します。

これを繰り返せば、回転エネルギーを保ったまま半径を減少させてゆくことができます。
初めと終わりを比較すると、
この「接線方向のブレーキ」によるトルク(を時間で積分したもの)の分だけ、角運動量が変化します。

  投稿者:凡人 - 2010/03/16(Tue) 21:46  No.8497 
youyaさん
>例えば、初めにちょこっと中心方向に引っ張って、少しだけ内側の軌道に移動させたとします。
>このまま新しい軌道で円運動してしまうと回転エネルギーが微増してしまうので、
「ちょこっと中心方向に引っ張って」という事を行うと、なぜ回転エネルギーが微増しなければならないのかという事が理解出来ません。

また、EMANさんの
http://eman.hobby-site.com/dynamics/angular2.html#1
中の、
>実際にこういう場合には運動量は元の 2 倍になるし、回転数(角速度)は 4 倍になる。加速の仕組みは一体どこにあるというのだろうか。
というのが真実であれば、宇宙飛行士が命綱を手繰り寄せた時に、回転軌道の接線方向に力が加わって宇宙飛行士が加速しなければならなくなりますが、接線方向に力が加わるメカニズムを私は一切見出せません。 私の頭が悪いからなのでしょうか???

  投稿者:yuya - 2010/03/16(Tue) 23:23  No.8500  <Home>
凡人さん:
>というのが真実であれば、宇宙飛行士が命綱を手繰り寄せた時に、回転軌道の
>接線方向に力が加わって宇宙飛行士が加速しなければならなくなりますが、接
>線方向に力が加わるメカニズムが一切見出せません。

まさにまさに!私もそこで何日も悩みました。
しかし、この記事はまさにその「矛盾感」を解消するために書かれていると言ってよいと思います。

この状況は、初めも終わりも速度が(それぞれの半径の軌道における)接線方向を向いていますが、
実際に接線方向に力を加えていないにもかかわらず、速さが変化するのです。不思議ですね。

トルクと角運動量で考えるなら、

(1)中心方向の力はトルクにならないので、角運動量が保存される。
角運動量の大きさを保ったまま回転半径を半分にすれば、接線方向を向いた速度の大きさは2倍になる(角速度は4倍)。

という説明になるでしょうし、仕事とエネルギーで考えるなら

(2)飛行士は半径の小さい軌道に乗り換えるため、その変位には中心方向の成分があり、
したがって中心方向の力による仕事を受け取る。このため運動エネルギーが増加する、つまり速さが大きくなる。

と説明できます。しかし、たとえ(1)(2)を納得してもなお、直感的に
なんで中心方向にしか引っ張ってないのに接線方向を向いた速度の大きさが変わるのか、やっぱり受け入れがたいです。

それに対する説明が、EMANさんの記事の後半にある

>緑色の矢印の運動量を得るために使った力は回転方向への加速には寄与しないものだと思われたが、
>前より大きくなった合計の運動量(赤い矢印)はそっくりそのまま、到達地点での円運動の接線方向
>の運動量としての意味を持つことになる。

という部分です。この文章と図をよく見比べることで、私は納得できたのですが、かなり時間がかかりました。

凡人さんも一度じっくり取り組んでみませんか。

  投稿者:凡人 - 2010/03/17(Wed) 00:13  No.8501 
yuyaさん
私のNo.8483の、
>まだ計算していないのですが、宇宙飛行士が命綱を手繰り寄せる為に消費したエネルギーは、全て遠心力を増加させる事に寄与するのであって、回転運動のエネルギーを増加させる事には寄与しないのではないかと予想しておりますが、間違っていますでしょうか?
という箇所はお読みになられたでしょうか?
私の予想では、遠心力ポテンシャルを考慮しなければ、角速度は4倍になるかもしれませんが、遠心力ポテンシャルを考慮すれば、角速度は2倍にしかならないと思います。
遠心力ポテンシャルを考慮して計算してみていただけますと助かります。
図を見て直感的に判断しただけでは、間違いを犯している可能性があると思います。
計算によって示さなくて申し訳ありませんが、今回の問題で角運動量が保存しないのは、宇宙飛行士が遠心力に抗して命綱を手繰り寄せる為、宇宙飛行士に外力が加わってしまうからだと思います。
因みに、外力やトルクが一切加わらない天体運動では、角運動量も運動エネルギーも保存するようです。

  投稿者:yuya - 2010/03/17(Wed) 01:22  No.8502  <Home>
凡人さん:
>まだ計算していないのですが、宇宙飛行士が命綱を手繰り寄せる為に消費したエネルギーは、
>全て遠心力を増加させる事に寄与するのであって、回転運動のエネルギーを増加させる事に
>は寄与しないのではないかと予想しておりますが、間違っていますでしょうか?

遠心力は回転系における慣性力ですから、回転系で考えれば、そういう感じの話になるのかも知れません。
外向きの遠心力による下り坂を、中心に向かって遡っていくイメージですよね。
どういう回転系で見ているかによって、飛行士の角速度も回転エネルギーも全く異なってきますから、
凡人さんのおっしゃるような話になってもおかしくありません。

だから、それはそれでいいと思いますが、それとは別に、もっぱら慣性系で考えた場合の議論が、もとの記事です。

その意味で、EMANさんの初めの回答の

>回転半径を小さくするときに遠心力に逆らって仕事をしなくちゃいけないのだけど、

という文章の中の「遠心力」という語が、ちょっと混乱を招いているかも知れません。

慣性系で考えるなら遠心力の出る幕はなく、
要するに中心方向の力でもって引き寄せて飛行士に仕事をする必要がある、
ただし、単に等速円運動させるにも向心力が必要なので、
それを下回る力で引っ張っても、飛行士は逆に遠ざかってしまう、ということです。

遠心ポテンシャルの計算は私には難しくてできないのですが、まず慣性系での理解を極めてみてはいかがでしょう。

>今回の問題で角運動量が保存しないのは、宇宙飛行士が遠心力に抗して命綱を手繰り寄せる為、
>宇宙飛行士に外力が加わってしまうからだと思います。

宇宙飛行士が命綱を手繰り寄せることで、その反作用として宇宙飛行士は力を受けます。それはその通りです。

しかし、角運動量が変化するかどうかを規定するのは、「外力が働いているかどうか」ではなく、
「その外力によってトルクが生じているかどうか」です。
もちろん外力 $\vec{F}$ がゼロならトルク $\vec{r} \times \vec{F}$ もゼロですが、
たとえ外力が働いていても、その方向が中心方向(つまり位置ベクトルの基準点の方向)を向いている場合、
 $\vec{r} \ \ // \ \ \vec{F}$  なので、やはりトルク $\vec{r} \times \vec{F}$ はゼロになり、角運動量は保存されます。

この宇宙飛行士の場合も、確かに外力は働きますが、トルクはゼロなので、角運動量が保存されるのです。

>因みに、外力やトルクが一切加わらない天体運動では、角運動量も運動エネルギーも保存するようです。

そうですね。外力によるトルクや仕事によって角運動量やエネルギーが変化しても、
その外力の源まで系に含み込んでしまって、外からのトルクや仕事がないような新たな系を考えれば、
全体としての角運動量やエネルギーはもちろん保存されます。

  投稿者:明男 - 2010/03/17(Wed) 11:57  No.8504 
お邪魔します。
結論はEMANさんの図で説明されているとおりという気がしますが、私はこう理解しています。
宇宙飛行士が糸を手繰って回転半径を縮めるケースです。
まず静止系から見てみます。(大文字をベクトル、小文字をスカラーとする)
内力であるこの仕事は角運動量を保存します。勿論その(力の)方向は動径ベクトルと”常に“逆方向です。この力Fはベクトルであり、動径と同じく回転している、つまり方向を変えていますから、”ベクトルを変化”させます。ではFの時間微分はどうなるかというと、R=(rcos(ωt),rsin(ωt))とすれば、F=(-fcos(ωt),-fsin(ωt))となりますが、dF/dt=(fsin(ωt),-fcos(ωt))となって、Fの変化はFと垂直で速度ベクトルの方向と一致します。
つまり、F'(変化後のF)=F+凾eとすると、凾eはFの大きさを変えないで方向のみを変えます。なぜなら、
 F'^2〜F^2+F・凾e=F^2 だからです。
これによって接線速度が増加し、角速度も増加します。つまり、トルクが働いています。角運動量も当然増加します。しかし、この力で半径が縮み、慣性モーメントが小さくなるので、結局角運動量はちょうど元に戻り、保存されます。また、速度増加による回転エネルギーは慣性モーメントの減少とキャンセルしませんので、仕事分だけ増加します。
次に回転系では、
何も回転していないので、遠心力があたかも重力のように下方(後方)へ働いているのみで、半径を縮めるにはそれに逆らって仕事をする必要があります。これを外部から見ると、回転エネルギーが増した、と見えるわけです。回転系では角運動量の話はどこにも出てくる必要が無い(どんな角速度になろうと、系上の観測者には同じことだから)です。
かなり端折りましたが、どうでしょうか。

  投稿者:yuya - 2010/03/17(Wed) 13:24  No.8505  <Home>
明男さん、こんにちは。ご参加ありがとうございます。

>凾eはFの大きさを変えないで方向のみを変えます。
(中略)
>これによって接線速度が増加し、角速度も増加します。

まず、ここのところが理解できません。もしそうだとしたら、
等速円運動のときでもトルクがかかっていることになってしまいませんか?

  投稿者:凡人 - 2010/03/17(Wed) 22:11  No.8510 
yuyaさん、EMANさん、明男さん
やはり私の頭が馬鹿でした。
某書店にて原康夫大先生の著作で「答え」を「カンニング」させていただきました。
物体の回転半径が2分の1になった場合に角速度は4倍になるというのは、直感的には受け入れがたいですが、原康夫大先生をはじめ、皆様が仰られているので、真実として受け入れた上で、力学の勉強を行うべきだと思いました。
またしても、良く確認しないで間違った事を述べてしまいまして、大変申し訳御座いませんでした。

  投稿者:yuya - 2010/03/17(Wed) 22:50  No.8511  <Home>
あの状況で角運動量が保存される(角速度が4倍になる)ということを、
記事に書かれているからといって、自分でよく考えもせずに信じきってしまうより、
凡人さんのように「あれ?エネルギーで考えると2倍になるぞ?」とか
「接線方向に力が働いてないのに、なぜ?」とか、
納得できるまで食い下がるほうがはるかに素晴らしいと思います。
というか、そういう疑問をはさまずに結論だけ憶えるなんてのは、物理の勉強でも何でもない。

今回、凡人さんにとって信頼のおける文献にも同じことが書かれていたようなので、
既存の理論が間違っているという可能性のほうを心配する必要はほとんど無くなったとすれば、
精神衛生的にも楽になったと思います。
それならばせっかくですから、
まだ残っている「直感的な受け入れがたさ」を解消することに注力してみてはどうでしょう。

凡人さんがここで考えることをやめずに、さらに深く探究されることを願っています。
また何か考えが浮かびましたら教えてください。

  投稿者:明男 - 2010/03/18(Thu) 00:31  No.8512 
>yuyaさん

どうもアイデアのもととなる計算が間違ってました(涙)。
勿論、トルクは実際には発生せず、仮想的な運動でキャンセレーションするというものだったのですが・・・。

簡単な例で考えてみます。最初x軸上(r,0)に動径ベクトルRがあり、角速度ω,無限小角度θ(ほんとは刄ニの方がいいが、面倒なので)回転したとします。このとき、F=(-f,0)であり、回転後は前記事通りです。
このとき、
凾q=R'-R=(r'cosθ-r,r'sinθ)、凾e=F'-F=(-f(cosθ-1),-fsinθ)
となります。トルクは角運動量の変化分
 凾k=R'×F'-R×F
   =(R+凾q)×(F+凾e)-R×F
   =凾q×F+R×凾e+凾q×凾e
   =r'fsinθ-rfsinθ-(r'cosθ-r)fsinθ+r'fsinθ(cosθ-1)
=0
きれいさっぱり無くなっちゃった。
まあ、実際は半径も角速度も時間の関数なので、もっと厳密に計算すべきですが、もう疲れ果てた(笑)。ほんとにお邪魔でした。

  投稿者:yuya - 2010/03/18(Thu) 00:46  No.8513  <Home>
明男さん:

お邪魔なんて、とんでもない(^^)

>トルクは角運動量の変化分
>ΔL=R'×F'-R×F

ここが誤っていると思うんです。
角運動量の変化量ΔL(正確にはその時間微分 dL / dt)は、
Δ(R×F)に等しいのではなく、R×Fそのものに等しいのではないでしょうか。

  投稿者:明男 - 2010/03/18(Thu) 10:29  No.8520 
>yuyaさん

書き方がまずかったですね。導出しようとしていたのはトルクの変化分でした。トルクが一定であると、有る瞬間に0ならずっと0なので、その時間変化を見ようと思ったのですが、0でなくても定数なら時間微分は0なので、意味が無かったのです。勿論トルクが0以外なら角運動量の時間微分が0でないはずですが。
今更ですが、直観的にはこのケースでは螺旋でしかも(角)速度を増しながら半径を縮めて行きますよね。糸に付けたおもりが棒に巻きつくイメージでしょう。(私には)簡単なようで難しいです。でも極座標で考えれば、角運動量保存は当たり前なので、うまく説明できないかな、っと思っています。別のアプローチを考えます。

  投稿者:yuya - 2010/03/18(Thu) 12:00  No.8521  <Home>
>トルクが一定であると、有る瞬間に0ならずっと0なので、その時間変化を見ようと思った

そういう意図でしたか。ΔL ではなく、Δ(ΔL) ってことですね。

もう一点、原理的なことで気にかかっていたのですが、

[8504]
>内力であるこの仕事は角運動量を保存します。

この状況で角運動量が保存されるのは、宇宙飛行士にかかる力が「内力だから」では
ない、という点を(凡人さんをミスリードしないために)強調しておきたいと思います。

この力を内力とするなら、内力の主である綱やアンテナも系に含めて考えないといけません。
アンテナが動かないなら、アンテナを固定している力も考慮する必要があり、
結局この固定力を外力と考えるか、固定の主をさらに系に含める必要が生じます。
アンテナが固定されていなければ、アンテナ自体の角運動量も含めて保存則が成り立ちます。

……ってな感じでキリが無くなるので、ここでは系に飛行士だけを含めて、
飛行士にかかる力は外力だけれども常に中心方向なのでトルクはゼロであり、
だから角運動量が変化しないと考えるのが最もシンプルだと思います。

  投稿者:hirota - 2010/03/18(Thu) 16:40  No.8523 
回転系で考えるとコリオリの力が働きますから、中心に移動すると回転方向に加速されます。
これをまた慣性系に戻すと、回転による進行方向のズレが加速として働くことになります。

  投稿者:yuya - 2010/03/18(Thu) 18:05  No.8525  <Home>
hirotaさん:

うーむ、簡にして要。
そのとおりですね。

  投稿者:明男 - 2010/03/18(Thu) 19:35  No.8526 
少しまとめたので御笑覧ください。

おっと、その前に。yuyaさんの疑問はごもっともですが、本来、アンテナを固定する質量M,宇宙飛行士質量mとして、これらすべてを含めた系で孤立系として内力ととらえるのが正しいのですが、その場合結局質量中心周りに相対運動として互いの周りを回転し、系の全角運動量が保存されますね。しかし、これはM→∞として、結局アンテナを固定した結果として近似(剛体)できますから、その意味です。宇宙飛行士を外力とするほうが私には考えにくいです。

さて、上の意味で極座標でこの問題を解くのは(合っていればですが。オイオイ>自分)そう難しくありませんでした。
 基本方程式(以下質量mは1、綱を引く力は一定でfとする)
   r''-rθ'^2=-T-f(Tは張力であるが束縛条件としてrθ'^2に等しい)
    1/r・d/dt(r^2θ')=0
これを初期条件(r(0)=r0,r'(0)=v(0)=0)を与えて解くと、
   r(t)=r0-1/2・ft^2
   θ'(t)=h/r^2
となります。ただし、h=r^2θ'=定数(角運動量)です。
この解のθ(t)は複雑ですが、
   θ(t)=-√2h/(r0√fr0)[log(|(ξ+1)/(ξ-1)|)/4-ξ/2(ξ^2-1)]
で与えられます。(ξ=√(f/(2r0))t)
図形(r,θ)は螺旋のような縮閉線を描きますが、極形式のシンプルな式にはできないようです(なにかあるかも)。

さて、本題はここからです。
当たり前ですが、角運動量h=r^2θ'は各時間点で保存しています。
ここで、角運動量Lの変化を考えます。L=L(r,ω) =r^2ω(ωはθ'です)として、
  凾k=∂L/∂r・决+∂L/∂ω・刄ヨより
  凾k/冲=2rωr'+r^2ω'
ですが、ω=θ'=L/r^2より、ω'=-2Lr'/r^3
よって、凾k=2r'L/r-2r'L/r=0 でキャンセル。
同様に、凾d(エネルギー)=-r'L^2/r^3>0(∵r'<0)で増加。
これがもともと言いたかったことです。
つまり、凾kは動径方向の変化による増分と角度方向による増分がキャンセルしているのではないかという直観があったわけです。結論からすると、これは結局、角運動量保存から導かれているので、トルク云々は余計な事でしたが。

やっとすっきりした(笑)。

  投稿者:凡人 - 2010/03/18(Thu) 21:11  No.8527 
yuyaさん、hirotaさん、明男さん、EMANさん
原康夫大先生と皆様のお陰で、愚鈍な私でも今回の問題を理解出来るようになったので、私の今回の問題に対する理解内容を書いてみました。
宇宙飛行士は回転の中心であるアンテナに向かって命綱を手繰り寄せているので、宇宙飛行士の運動軌道はアンテナに向かう螺旋軌道となる。
宇宙飛行士が命綱を手繰り寄せた為に発生した中心力の方向と宇宙飛行士の運動軌道方向の相対角度は、螺旋の度合いに応じて直角からズレる。
この螺旋軌道による角度のズレによって、宇宙飛行士が発生させた中心力の一部が、宇宙飛行士の運動を加速させる力に転化する事になる。
(当然であるが、単純な円運動ではこの角度のズレは発生しない。)
よって、宇宙飛行士は命綱を手繰り寄せる為に力を発生させればさせるほど、宇宙飛行士の運動エネルギーは増加する事になる。
この事は、例えば球状の物質が重力によって鉛直方向に力が加わっても、勾配の度合いに応じて、勾配の下り方向に向かって加速するのと同じ原理である。
また、宇宙飛行士が発生させる力は中心力のみであり、宇宙飛行士に一切トルクは加わらないため、宇宙飛行士の角運動量は保存する。
だから、宇宙飛行士の角運動量を保存したまま、宇宙飛行士の運動エネルギーが増加しても何も矛盾はない。
という事でいかがでしょうか?
因みに、宇宙空間で本当にこういう事態になったら、えらい事になるという事が、この歳になってやっと分かりました。
愚鈍なんで、角運動を甘く見ていました。

  投稿者:明男 - 2010/03/18(Thu) 23:18  No.8528 
>凡人さん

螺旋ではないですが、螺旋みたいですね。

http://www.asahi-net.or.jp/~ka3y-ssk/akio/image001.jpg

  投稿者:凡人 - 2010/03/19(Fri) 00:05  No.8529 
明男さん
http://www.asahi-net.or.jp/~ka3y-ssk/akio/image001.jpg
は、
>図形(r,θ)は螺旋のような縮閉線を描きますが、極形式のシンプルな式にはできないようです(なにかあるかも)。
の事ですよね?
先の私の説明の「螺旋」は、「螺旋のような」にすべきでした。
誤りをご指摘いただいて申し訳御座いませんでした。
ところで、明男さんは「(対数)螺旋」のプロでしたですよね?
そういえば、逆に宇宙飛行士の運動軌道を対数螺旋に固定した場合に、中心力や角速度、運動エネルギー等がどのように変化をするのかというのをシミュレートすると何か面白い事が分るという事はないのでしょうか?

  投稿者:明男 - 2010/03/19(Fri) 00:26  No.8530 
>凡人さん

あははは、「『螺旋』のプロ」って?
確かに、いっとき色んな螺旋を描いて遊んでましたが。。。

人生は螺旋のような気もしますが、この図形では時間が後になるほど速度が増すので、最後は一瞬です。ブラックホールに回転しながら吸い込まれる宇宙船はこんな感じかも。思わず、南無阿弥陀仏。では、また。

  投稿者:yuya - 2010/03/19(Fri) 10:08  No.8533  <Home>
凡人さん:

バッチリだと思います。

>このズレによって、宇宙飛行士が発生させた中心力の一部が、宇宙飛行士の運動を加速させる力に転化する事になる。

>この事は、物質が重力によって鉛直方向に力が加わっても、勾配の度合いに応じて、勾配の下り方向に加速するのと同じ理屈である。

特にこのあたり、力 $\vec{F}$ と変位 $\Delta\vec{x}$ が垂直でない限り、いくばくかの仕事 $\vec{F} \cdot \Delta{\vec x} = F\Delta x \cos \theta$  がなされる( $\cos \theta \neq 0$ )、
ということを表しているわけですよね。

>そういえば、逆に宇宙飛行士の運動軌道を対数螺旋に固定した場合に、中心力や角速度、運動エネルギー等が
>どのように変化をするのかというのをシミュレートすると何か面白い事が分るという事はないのでしょうか?

これは面白そう。なんか直感的な説明が付けられそうな予感。
まぁ、それ以前に結果が分からないのでまず計算すべきだな。ゆっくり考えてみます。

  投稿者:yuya - 2010/03/19(Fri) 10:10  No.8534  <Home>
明男さん:

にゃるほど〜。
ある量を2つに分解したとき、それがどんな分け方であったとしても、
トータルが保存されているならば、一方の変化分と他方の変化分がキャンセルし合いますね。

 $L = r^2 \omega$ の両辺を時間で微分すると
<tex> \dot L = 2r \dot r \omega + r^2 \dot \omega</tex> ……(1)
一方、いったん $\omega = L / r^2$ としてから微分すると
<tex>\dot \omega = - \frac{2\dot r}{r^3}L + \frac{\dot L}{r^2}</tex> ……(2)
 $\dot L = $ の形に戻すと
<tex>\dot L = \frac{2\dot r}{r}L + r^2 \dot \omega</tex> ……(2)*

そもそも $L = r^2 \omega$ であったことを忘れずに(1)と(2)*を見比べれば、
同じ等式であることが一目瞭然ですが、それもそのはず、
同じ式を二通りの方法で微分したというだけです。

明男さんは(2)で早速 $L$ 一定、すなわち $\dot L = 0$ を用いて
<tex>\dot \omega = - \frac{2\dot r}{r^3}L</tex>として(1)に代入しているわけですが、
(2)で $\dot L = 0$ とするのは、(2)*で $\dot L = 0$ とすることにほかならず、
これを(1)に反映させれば、(同じ等式なので)(1)の左辺もゼロになることが無理なく頷けますね。

だから、数学的に当然と言われてしまえばそれまでなのですが、
こうやって計算がぴったり合うと気持ちがいいです。

さて、「外力」「内力」の話ですが……。

>本来、アンテナを固定する質量M,宇宙飛行士質量mとして、これらすべてを含めた系で孤立系と
>して内力ととらえるのが正しいのですが、その場合結局質量中心周りに相対運動として互いの周り
>を回転し、系の全角運動量が保存されますね。

おっしゃるとおりですね。

>しかし、これはM→∞として、結局アンテナを固定した結果として近似(剛体)できますから、

ここの意味を、初心者が取り違えないように補足させてください。

内力が全角運動量を変えないというのは、
内力によって系内の構成要素同士の間にだけ角運動量のやりとりが生じる、ということですね。
ここできわめて重要なことは、
この事実は「位置ベクトルの始点をどこにとろうとも(質量中心でなくとも)成り立つ」ということです。

 $M \to \infty$ とした上でも、巨大質量と飛行士との間には
(無視できない、普通の大きさの)角運動量のやりとりが生じていることに変わりはなく、
ただその様子を、巨大質量のほうだけ見ていても気づきにくい
( $\Delta \vec{L} = M \Delta(\vec{R} \times \vec{V})$ で、 $M$ がものすごく大きいために $\Delta(\vec{R} \times \vec{V})$ が見えにくい)
というだけです。 $\Delta L$ 自体が無視できるようになるわけではありません。

このままで飛行士だけを切り離して考えても、角運動量は保存されません。
実際、位置ベクトルの始点をアンテナと異なる点にとれば、飛行士単独の角運動量は全く保存されません。

ここで飛行士単独でも角運動量が保存されるようにするには、
さらに位置ベクトルの始点を巨大質量の存在位置に設定することを強制して、
巨大質量の側の角運動量変化をゼロとみなせるようにする、という【定義上の】工夫が必要になります。

この時点で、「内力によるトルクは、すべて勘定すれば【どこに始点を置いても】全角運動量に影響しない」という、
「内力」のきわめて重要な性質は失われてしまっています。

これから学ぼうとする人には、その点をしっかり理解しておいて欲しいので、
ここを誤解させるくらいなら、初めから宇宙飛行士だけの系で説明したほうが、
位置ベクトルの始点が任意でない理由も明確になるかなぁ、と思いました。

たぶん明男さんは分かった上で表現を端折っているだけなので、揚げ足をとっているみたいで恐縮ですが、
ちょうどつまづき易いポイントを説明できる良い機会なので、それに乗っからせてもらってます。

  投稿者:明男 - 2010/03/19(Fri) 11:02  No.8535 
>yuyaさん

全く、その通りですね。結局、トートロジーのようなことをやっていたわけですが。。。

で、以下は学習初期に、当たり前なのにわりと気付かない点と感想です。

運動量、エネルギー、角運動量の保存について、孤立系という意味をよく考えなければいけないという事と孤立系内であっても、一旦、座標系(視点)を定めたら、計算途中で座標系を変えた数値を紛れ込ませてはいけない、ということですね。
近年、全宇宙での全角運動量とか全エネルギーが保存するかどうかという議論があります。この実宇宙が果たして孤立系なのかどうかという点、そして孤立系だとしても上の保存則が成り立たねばならないのかどうか、という議論です。観測宇宙よりさらに巨大な熱浴を仮定すべきなのか、ダークエネルギーの正体と宇宙膨張の真の理由、生きているうちに解決されて欲しいもんです。無理でしょうけど(笑)。では、また。

  投稿者:yuya - 2010/03/19(Fri) 12:26  No.8536  <Home>
>孤立系内であっても、一旦、座標系(視点)を定めたら、計算途中で座標系を変えた数値を紛れ込ませてはいけない

そうなんですよねー。
私もこの掲示板で2回ほどEMANさんに指摘していただいて、やっと身に付き始めたことです。
http://eman.hobby-site.com/bbs/past/log05678.html
ここの[5951]とか。懐かしいなぁ。

全宇宙の保存量の話は、ほんとに興味深いですね。
といっても、私が論点を理解できるようになるのは、まだまだ先のことですが。

ありがとうございました。

  投稿者:hirota - 2010/03/19(Fri) 14:21  No.8537 
対数螺旋の場合は
 $r=a\,\exp(-k\,\theta)\rightarrow\overset{\cdot}{r}=-k\,r\,\overset{\cdot}{\theta}$ 
角運動量保存より
 $r^2\,\overset{\cdot}{\theta}=L\rightarrow\overset{\cdot}{\theta}=\frac{L}{r^2}$ 
∴  $\overset{\cdot}{r}=-\frac{k\,L}{r}\rightarrow r\,dr=-k\,L\,dt\rightarrow\frac{r^2}{2}=\frac{r_0^2}{2}-k\,L\,t\rightarrow r=\sqrt{r_0^2-2\,k\,L\,t}$ 
 $\rightarrow\overset{\cdot}{r}=-\frac{k\,L}{\sqrt{r_0^2-2\,k\,L\,t}}$ 
 $\overset{\cdot}{\theta}=\frac{L}{r_0^2-2\,k\,L\,t}\rightarrow\theta=\theta_0+\frac{1}{2k}\ln(\frac{r_0^2}{r_0^2-2\,k\,L\,t})=\theta_0-\frac{1}{2k}\ln(1-\frac{2\,k\,L\,t}{r_0^2})$ 
となる。
ついでに速度を求めると、
 $v=\sqrt{(\overset{\cdot}{r})^2+(r\,\overset{\cdot}{\theta})^2}=L\sqrt{\frac{1+k^2}{r_0^2-2\,k\,L\,t}}=\frac{L}{r}\sqrt{1+k^2}$ 
運動エネルギーは
 $E=\frac{v^2}{2}=\frac{L^2(1+k^2)}{2\,r^2}$ 
加える力は
 $F=\frac{dE}{dr}=-\frac{L^2(1+k^2)}{r^3}$ 
半径方向の加速度は $\overset{\cdot\cdot}{r}=-\frac{k^2\,L^2}{r^3}$ なので、力は $F=\overset{\cdot\cdot}{r}-r(\overset{\cdot}{\theta})^2$ :半径加速度+遠心力 とも書ける。

  投稿者:yuya - 2010/03/19(Fri) 18:23  No.8539  <Home>
hirotaさん:

早速計算してくださり、ありがとうございます。

宇宙飛行士に対数螺旋を描かせたければ、 $L^2 (1 + k^2) / m r^3$ 
の力で引っ張ってやればよいわけですね。
つまり、 $r^3$ に反比例する力で引けばよい、と。

どこかで見たことのある結果だな、と思ったら、
http://eman.hobby-site.com/bbs/past/log06532.html
の[6655]の計算結果の定数倍になっています。

ここで計算したのは、ある大きさ $L$ の角運動量を先に指定おいて、
その角運動量を持つように物体を等速円運動させろと言われたとき、
半径 $r$ の選び方によって、どれだけの向心力をかける必要があるか、というものでした。

ここにあるとおり、必要な向心力は  $F = L^2 / mr^3$  と、やはり $r^3$ に反比例します。
各軌道での定常的な回転を実現するために必要な力に対して、
常に $(1 + k^2)$ という定数倍の大きさの力を加えてやれば、対数螺旋が実現される。
もちろん、円運動は $k = 0$ の場合として対数螺旋に含まれます。

非常に納得の行く、美しい結果だと思います。

  投稿者:凡人 - 2010/03/19(Fri) 20:52  No.8541 
hirotaさん、yuyaさん
対数螺旋運動の美しさをご教示頂き、大変ありがとう御座います。
ところで、
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AF%BE%E6%95%B0%E8%9E%BA%E6%97%8B
を見ると、対数螺旋の形をした「モノ」はいろんなところにあるんですね。
<<オマケ>>
こんなものまで対数螺旋だったそうです。
http://snnantn.blog115.fc2.com/blog-entry-1844.html

  投稿者:yuya - 2010/03/20(Sat) 02:44  No.8543  <Home>
>こんなものまで対数螺旋だったそうです。

ぎゃはは。残念ながら、描き込まれている長方形が全然黄金分割になってないなぁ。
どうせなら、もうちょっと巧妙にやって欲しい気もする。
ジョークとして楽しむべき物だと思いますが、それにしても曲線自体は綺麗ですね。