EMANの物理学 過去ログ No.8075 〜

 ● プランクの式と光子に区別がある・なしの関係

  投稿者:kafuka - 2009/12/11(Fri) 07:08  No.8075 
学校の宿題で、
「E=nhνとボルツマンの原理:粒子がEをとる確率Pが、
<tex>P={{exp \left(-E/kT\right)} \over {\sum_{n=0}^{ \infty } exp \left(-E/kT\right) }}</tex>
とから プランクの式を導け」
というのが出て、Eの期待値<E>の計算結果は確かにプランクの式から8π何とかをとったものに一致したのですが、
1.ここのボルツマンの原理の式は、古典統計だと思いますので、
  「粒子に区別がある」としている式ではないのでしょうか?
2.だとしたら、「光子に区別がない」からくる影響は、どこにもないようなので、
  計算結果が、ウイーンの式にならないとおかしいように思われます。
  (少なくともプランクの式になるはずがない)
愚問かも知れませんが、どなたかお教え下さい。

  投稿者:TOSHI - 2009/12/11(Fri) 08:37  No.8076 
 お久しぶりです。TOSHIです。

 EMANさんのボードで私のブログを紹介するのは僭越ですがてっとりばやいので「TOSHIの宇宙」の2007年2/8の記事「量子統計とグランドカノニカル分布」 http://maldoror-ducasse.cocolog-nifty.com/blog/2007/02/post_62f3.html

 をご参照ください。>kafukaさん。。。

 早く言えば個々の光子だと区別できないのですがミクロ集団ではない(グランド)カノニカル・アンサンブル((大)正準集団))では系=物理系の集団の分布を想定していて「個々の系=巨大粒子」は区別できる粒子なので古典統計(M・B分布)に従うのですね。。。

                          TOSHI

  投稿者:yuya - 2009/12/11(Fri) 10:54  No.8077  <Home>
面白い質問なので、TOSHIさんの記事を読めば充分なのに、
つい初等的な説明に焼き直したくなりますね。

5個の球を3個の箱に入れる方法を数えるとします(空の箱があってもよい)。

このとき、「球を区別するか」と「箱を区別するか」の違いが重要です。

(ア)球も箱も区別することにすれば、入れる方法は 3^5 = 243 通りです。
それぞれの球について、どの箱に入れるかという選択肢が3通りありますから。
「重複順列」って奴ですね。

(イ)次に、箱は区別したままで、球の区別だけをやめることにします。
すると、入れ方は以下の21通りになります。

(5, 0, 0)
(4, 1, 0)
(4, 0, 1)
(3, 2, 0)
(3, 1, 1)
(3, 0, 2)
(2, 3, 0)
(2, 2, 1)
(2, 1, 2)
(2, 0, 3)
(1, 4, 0)
(1, 3, 1)
(1, 2, 2)
(1, 1, 3)
(1, 0, 4)
(0, 5, 0)
(0, 4, 1)
(0, 3, 2)
(0, 2, 3)
(0, 1, 4)
(0, 0, 5)

これは5個の「○」と2個の「|」(仕切り棒)を並べる方法に相当します。
例えば上の(2, 2, 1)は、「○○|○○|○」に対応します。
したがって (7!)/(5!・2!) = 21 と計算できます。いわゆる「重複組合せ」です。

(ウ)さらに、球だけでなく箱の区別もやめてしまうとどうなるでしょうか。
例えば上で別々に書いた(3, 1, 1)・(1, 3, 1)・(1, 1, 3)は全て同じになるので、

(5, 0, 0)
(4, 1, 0)
(3, 2, 0)
(3, 1, 1)
(2, 2, 1)

の、たった5通りになります(ここまで高校数学)。

で、TOSHIさんご指摘の「個々の光子は区別しないが、個々の『系』(=巨大粒子)は区別する」という立場は、
「球は区別しないが、箱は区別する」という、上の(イ)に相当するわけですね。

(ア)か(ウ)かの二者択一で考えてしまうと、
「Boltzmannの原理(古典統計)を適用する=個々の光子を区別する」ということになってしまいますが、
その間にある(イ)の立場で「ええとこ取り」をしているわけです。

  投稿者:EMAN - 2009/12/11(Fri) 13:11  No.8078 
 量子統計か古典統計かの違いは、個々の粒子を区別して状態を数えるかどうかという点だけですから、Pについての式は古典かどうかに関係なく使えます。
 ただ、上に書かれた式の場合、分母に $ \sum_{n=0}^{ \infty } $ というのが入ってますから、すでに粒子を区別していない数え方をしていることが入ってしまってます。
 ですから、「ここのボルツマンの原理の式は、古典統計だと思いますので」という部分に第一の誤解があるのではないでしょうか。

  投稿者:kafuka - 2009/12/11(Fri) 18:53  No.8080 
皆様、ありがとうございます。
自分でも調べていたのですが、
http://www.bio.sci.osaka-u.ac.jp/~arata/SB/seimeibuturi13-16+Extr.pdf
と、Yuyaさんのアドバイス「ええとこ取り」で納得しました。

第一の誤解は、
分母の  $ \sum_{n=0}^{ \infty } $  というのを、単なる規格化のためと、
軽く考えていたためでした。
これって、「分配関数」といわれるものなのですね。

  投稿者:TOSHI - 2009/12/11(Fri) 19:28  No.8081 
どもTOSHIです。

>第一の誤解は分母の(Σ_n)というのを単なる規格化のためと、
軽く考えていたためでした。
これって「分配関数」といわれるものなのですね。

 誤解ではなくて,分配関数は平たく言えば単なる規格化のための因子です。統計物理での規格化係数は定数ではなく温度Tなどの関数でそれなりに利用価値があるから分配関数と称されるだけだと思います。

 系がエネルギーEをとる確率が単純にボルツマン因子,あるいはギブス因子:exp(−E/kBT)に比例するのは古典統計に従う場合だけです。

 量子統計でも莫大な個数の系(区別できるもの)の確率は古典統計に従います。

 ただミクロカノニカル集団に基づく分布は量子のときはフェルミ分布やボーズ分布であってexp(−E/kBT)に比例しないのが古典分布と異なるだけです。

 こうした分布をグランドカノニカル集団に頼って求めるときにはexp(−E/kBT)に比例する分布から求めることができます。

 プランクは当然古典分布の知識しかなかったけれど偶然正しい方法になっていただけだと思います。何かを発見するときにはそうしたものでしょう。

                         TOSHI

  投稿者:yuya - 2009/12/12(Sat) 00:58  No.8083 
kafukaさん、TOSHIさん:

すみません、初等的説明を書いたつもりでしたが、
どうも全然違うことを自分が説明してるような気がしてきました。

私が書いた「箱の区別」は、TOSHIさんの説明で言えば、
「1つの細胞N_iに含まれる量子状態の違い」に対応するのであって、
「巨大粒子の区別」とはまた別の話のようですね。

kafukaさんに納得させておいて撤回するのはヒドい話ですが、
ちょっと再考させてください。

  投稿者:kafuka - 2009/12/12(Sat) 15:06  No.8087 
TOSHIさん:
御記事 http://maldoror-ducasse.cocolog-nifty.com/blog/2007/02/post_62f3.html
で、
>分布はnr=1/{exp(α+βεr)±1}になります。
>expα>>1のとき,これらはnr=exp(−α−βεr)と近似されます。
なので、
粒子がEnをとる確率Pが、
<tex>P={{exp \left(-E_n/kT\right)-1} \over {\sum_{n=0}^{ \infty } exp \left(-E_n/kT\right)-1 }}</tex>
とか、
<tex>P={{exp \left(-E_n/kT\right)+1} \over {\sum_{n=0}^{ \infty } exp \left(-E_n/kT\right)+1 }}</tex>
として計算してみます。(分母は、単なる規格化のための因子)

この結果が、プランクの式での<E>になれば、いいわけですね?
(でも、分母が∞だなぁ)

  投稿者:yuya - 2009/12/13(Sun) 23:51  No.8095 
自分がアヤフヤなことを書いておきながら言うのも気が引けますが、
EMANさんの[8078]はかなり誤解を招くのではないかと思います。

>Pについての式は古典かどうかに関係なく使えます。

「P(E) = (Eをとる相対確率) / (Σ相対確率)」という式自体は使えますが、
「相対確率がBoltzmann因子に従う」という定理は、
粒子を区別して数えた「場合の数」からエントロピーを計算することで導くことができますから、
古典統計でなければ使えないと思います。

>分母に  $ \sum_{n=0}^{ \infty } $  というのが入ってますから、すでに粒子を区別していない数え方をしていることが入ってしまってます。

(インテグラルでなく) $ \sum_{n=0}^{ \infty } $  が入っていることから言えることは、
「粒子の区別がないこと」ではなく、「エネルギーの値がとびとびであること」であり、
よく考えると別の話ではないでしょうか。

EMANさんの記事「プランクの理論」で述べられているとおり、Planck自身は「共鳴子」というものを仮定して、
そこにエネルギーを分配する方法を数えてスペクトルの式を得ています。
このとき、エネルギーに最小単位εを仮定して共鳴子という「箱」に分配する話が出てきます。
これを何気なく読むと、「εごとに分割された、区別のない『エネルギーのカケラ』」のようなものがイメージされるので、
「粒子を区別しない」という発想が盛り込まれているかのように見えますが、
エネルギーを担う粒子は「共鳴子」のほうであって、こちらはばっちり区別されています。
(私はこの点をよく吟味せずに[8077]を書いてしまいました。)

共鳴子に(最小単位のある)エネルギーを分配する方法を数えることは、
結局、区別のある粒子を(最小単位のある)エネルギーレベルに配置することと等価ですから、
kafukaさんの式で同じ結果が出るわけですね。

いずれにしてもPlanckは首尾一貫して古典統計に基づいて(粒子を区別して)あの式を導いており、
違うのは「エネルギーに最小単位があること」を仮定した点である、ということになります。

だから、その後に現れた量子統計(粒子を区別しない)から得られる結果が、
Planckの式と一致することは全然当たり前ではなく、それに対する答えがTOSHIさんのご指摘なのでしょう。

  投稿者:EMAN - 2009/12/14(Mon) 09:28  No.8096 
 yuyaさん、弁明の機会を与えてくださってありがとうございます。

 確かに誤解を与える書き込みをしてしまったと思っていました。
 ただ、誰からも指摘がなかったもので、
いい風に理解してくださってるか、無視されてるかのどっちかで、
まぁ、どっちかならいいか、と。(勝手に判断)

 最初の質問を読むと、kafukaさんはすでにプランクの式を導くのに
成功していらっしゃるようですから、多分、エネルギーを掛けた上で
平均エネルギーを計算されたのではないかと推測しました。
 すると、その辺りの意味と使い方はおおよそは理解していらっしゃるはず。
(と、考えてました。)

 その上で、量子的な結果が出るのはどこからだ、
という疑問だと思ったので、その原因はPの式にあるのではなくて、
だとすればもう、各状態を粒子を区別せずに、
(この場合、粒子というのは共鳴子ではなく光子のことですが)
E = nhν の区別だけで捉えている部分にしかないでしょう、という
意味のことを言いたかったのであります。

 どういう誤解を与えるのか、とかいうことは
すでに指摘がありますし、同じことを繰り返すだけややこしいか、
と思うので、とりあえず書かないでおきます。
(実は書いてみたのですが、見苦しいほどに長くなったので削除しました。)

  投稿者:EMAN - 2009/12/14(Mon) 10:01  No.8097 
 うーん、今読み返してみても、
kafukaさんは「Eの期待値<E>の計算結果は」と書いてらっしゃるし、
「「光子に区別がない」からくる影響は」というふうに、
光子を意識した書き方になってるし、
そんなに的外れのことを書いた気もしていないのだけどなぁ。

 ただ、kafukaさんの返信を見て、自分は的外れなことを書いたと
思ってしまっていたけれど。

  投稿者:yuya - 2009/12/14(Mon) 11:16  No.8098 
>そんなに的外れのことを書いた気もしていないのだけどなぁ。
>
> ただ、kafukaさんの返信を見て、自分は的外れなことを書いたと
>思ってしまっていたけれど。

相手の質問から、「どこでつまづいているのか」「どんな回答が有用か」
推測しようと努めるからこそ生じる悩みですなぁ。

そこをすっ飛ばして、関係しそうなところの事実だけ一方的に書くのもアリだろうけれど、
それだとあんまり面白くないんですよねぇ、こっちが(笑)。
こうやって回答者の側が悩みながらいろんなところを突っつくこと自体が、
質問者にとっても「自分は何が分からないのか」をクリアにする手助けになりそうですね。

  投稿者:kafuka - 2009/12/14(Mon) 16:06  No.8099 
EMANさん:
無視していたわけではありません。
EMANさんの回答に、説得力のある疑義を唱える程の力がないのです。

「自分は何が分からないのか」をわかろうとして、
もっとわからない「グランドカノニカル集団」が出てきて、、、
TOSHIさんの記事やNo.8081を理解しようとして、いろいろ調べていました。
グランドカノニカル集団というのが、やっと見当がついたので、書きます。
http://www.sci.u-hyogo.ac.jp/material/theory2/takahash/StatMech/part-3.pdf
最初の疑問は、
1.ミクロカノニカル集団とグランドカノニカル集団は違う
2.プランクの式の導出は偶然そうなるだけ
ということでわかったのですが、、、

TOSHIさん:
>量子統計でも莫大な個数の系(区別できるもの)の確率は古典統計に従います。
>こうした分布をグランドカノニカル集団に頼って求めるときにはexp(−E/kBT)に比例する分布から求めることができます
についてですが、TOSHIさんの記事を読んで、
@孤立系:
 フェルミ・ディラック分布とボーズ・アインシュタイン分布 nr=1/[exp{(εr−μ)/(kBT)}±1]
A熱の流出入があるためエネルギーは可変ですが,温度Tと体積Vが一定で,粒子数も一定の系:
 古典統計のボルツマン分布 Nr/N=(1/Z)exp{−Er/(kBT)}
 ただし、Z≡Σr exp{−Er/(kBT)}
B温度T,体積V,μ(?)が一定ですが,粒子数が一定ではない系:
 フェルミ・ディラック分布,およびボーズ・アインシュタイン分布
と理解しています。
で、「空洞輻射では、E=nhνなので、エネルギーが飛び飛び、粒子数(=光子の数)が一定ではない」
ので、Bだと思うのです。
それがNo.8087で、これで計算したら
http://blogs.yahoo.co.jp/kafukanoochan/62616532.html
の変な答え!!

僕の疑問をまとめると、
 空洞輻射が、Aなら、何故、光子の数が一定なのかわからない
 空洞輻射が、Bなら、何故、No.8087で計算したら、<E>が変な式になるのがわからない

  投稿者:TOSHI - 2009/12/15(Tue) 06:54  No.8101 
 どもTOSHIです。

 kafukaさんがなんとなく誤解されているようなので別の2007年8/14のブログ記事「プランクの法則と零点エネルギー」 http://maldoror-ducasse.cocolog-nifty.com/blog/2007/08/post_6ef0.html も紹介させてもらいます。

 別にグランドカノニカル分布やカノニカル分布=ギブス因子のマクスウェル分布は粒子数が莫大のときの量子統計の近似式ではなく区別できるものの正確な統計分布です。

 たとえば,カノニカル分布というのは対象としているのが箱の中の1モルの気体(10の23乗個くらいの莫大気体分子の集まり)とすると,それを定温Tに保ち,少々の熱の出入りくらいでは自身の温度がビクともしないような系よりもはるかに巨大恒温槽と接触している状態です。

 この接触している温度Tの巨大恒温槽を全て同じ箱の中の1モルの気体のさらに10の23乗個?程度の莫大な集まりと仮想するのがカノニカル集団の技法です。

 そして(系+恒温槽)を孤立系と考えることができて莫大個数の個々の箱の中の1モルの気体はもちろん箱の壁にでも番号付けて区別できる「巨大粒子」なので近似でなく正しくギブス因子exp(−E/kBT)を持つのマクスウェル分布に従うはずです。

 さらに巨大粒子槽があればグランドカノニカル集団の技法になります。

 光子気体の系では個々の光子は区別できませんが,同じ温度の莫大な光子を閉じ込めた同等な箱の集まりの分布でのそれぞれの箱は区別できます。

 量子統計を知らなかったからプランクの考察は近似式という解釈は誤りでしょう。プランクは量子統計を知らなかったけれど古典近似ではなく正しい考察であったと解釈すべきでしょう。

 一応このくらいで失礼します。

 統計物理というのは昔からえらく敷居の高いものだとは思っています。私自身最初に触れてから数十年経ってもまだわからない部分が多いですね。

                       TOSHI

  投稿者:kafuka - 2009/12/15(Tue) 08:37  No.8102 
空洞輻射は、
http://maldoror-ducasse.cocolog-nifty.com/blog/2007/08/post_6ef0.html
を見ると、僕が最初思っていた通り、
B温度T,体積V,μが一定ですが,粒子数が一定ではない系
ということですね。

そうか!!
http://maldoror-ducasse.cocolog-nifty.com/blog/2007/02/post_62f3.html
の読み違えに気づきました。
@孤立系:
 フェルミ・ディラック分布とボーズ・アインシュタイン分布 nr=1/[exp{(εr−μ)/(kBT)}±1]
 exp{−μ/(kBT)}>>1 なら、古典統計のボルツマン分布
A熱の流出入があるためエネルギーは可変ですが,温度Tと体積Vが一定で,粒子数も一定の系:
 古典統計のボルツマン分布 Nr/N=(1/Z)exp{−Er/(kBT)}
 ただし、Z≡Σr exp{−Er/(kBT)}
B温度T,体積V,μが一定ですが,粒子数が一定ではない系:
 フェルミ・ディラック分布,およびボーズ・アインシュタイン分布
 exp{−μ/(kBT)}>>1 なら、古典統計のボルツマン分布
そして、
「古典統計近似ができるための条件:exp{−μ/(kBT)}>>1が成り立つ」

お手数かけてすみません。