EMANの物理学 過去ログ No.7862 〜

 ● 結晶の格子振動について

  投稿者:ヴィダル - 2009/11/05(Thu) 22:45  No.7862 
以前はお世話になりました。
今回も皆様の教えを乞いたいと思います><

基本格子内に等価ではない2つの原子がある場合、それぞれの運動方程式を解くと光学的分岐と音響的分岐の2つが求まることが知られています。
音響的分岐は、長波長近似ができるときに弾性波と同じK=ωV(K;波数、ω;角振動数、V;波動ベクトルの伝播する速さ)という式で表現できるので
この名前が付いていると理解しているのですが、光学的分岐の方はよく理由が分かりません。

2種類の原子が互いに反対符号の電荷を持つならば、この形の運動は光波の電場によって励起されるので、この分岐は光学的分岐と呼ばれる。

とキッテルの固体物理学の教科書には書いてあるのですが・・・

どなたかご教授願います。

  投稿者:じーつー - 2009/11/06(Fri) 16:37  No.7863 
ヴィダルさん
はじめまして。じーつーと申します。
インターネット検索したら教えてgooがヒットしたので、こちらを参考にされてはいかがでしょうか。
http://oshiete1.goo.ne.jp/qa2188901.html
参考ページ
http://cl.rikkyo.ne.jp/cl/2004/internet/kouki/rigaku/hirayama/041222/12_22.html

交互に異符号の電荷を持った粒子が並んでいるとき、電場がかかる、つまり光が当たると
光学的モードのような振動が励起され得ます。しかし、電場では音響的モードのように
電荷の符号を無視した振動は励起できません。
光で励起できるから光学的モードと呼ばれるのではないでしょうか。

音波と似ているから「音響」になっていますが、「光学」となっているからといって
光波と似ているとは限らないのですね。

位置変化がsin型の電場が発生しているところに、このような粒子鎖を置けば
光学的分岐の振動が励起されます。電場に沿った形になるので、光と
似ているといえば似ていますが。

  投稿者:せいたかのっぽ - 2009/11/08(Sun) 17:05  No.7871 
ヴィダルさんへ。こんにちは。
じーつーさんの回答に付け足すこともないのですが、キッテルは分かりにくいな〜と思っているので、キッテルの本の解読という意味で少しだけ・・・。

p.107の(26)式u/v=-M1/M2から、隣同士の原子が逆位相で振動している。
NaClなどのように、+と−の原子が交互に並んだ結晶では、
+方向の電界がかかれば+原子は+方向に、−原子は−方向に力を受け、
−方向の電界がかかれば+原子は−方向に、−原子は+方向に力を受けるので、
隣同士の原子がお互いに逆位相で振動する。
電磁波で格子振動するという意味で、『光学的分岐』という。
これは、電子レンジによる加熱と原理的にはよく似てると思います。
電子レンジは10^9Hzオーダーのマイクロ波で水分子を振動させ、
光学的分岐では10^12オーダーの遠赤外線での格子振動の励起と思われますけれど。

一方、『音響的分岐』は、
そのまま、縦振動なら空気を伝わる音波の疎密波と(波のモデルとしては)全く同じということで、
この名前になったのだと思います。
交互に並んだ男女がサッカーの応援などで手をつないで、
ウェーブするイメージを連想した方がいいです。私には・・・(笑)。

p.107の下の図は、それが言いたいのだと思います。


<以下、キッテルを読んでの参考になればの雑記です>----------------------------

・p.106の(21)式の行列式、右上の項はexpの中の−が抜けてます。
・式(22)から、(23),(24)の結果を導くには、cosKaをテーラー展開した後、さらに1/2べき乗を
 テーラー展開して近似する必要あり。私にとってはそこそこ悩む計算が省略されていました。
・p.107の(25)式は、(22)式にK=π/aを入れた時の根ですが、
 ω^2=2C/M1が音響的分岐で、ω^2=2C/M2が光学的分岐ですので、
 すぐ上の(23)(24)と逆になっていて紛らわしい表現となっています。
・基本格子は、p.6と合わせれば基本単位格子と訳するべきかな〜。
 基本単位格子は単位格子(単位胞)の中で体積最小の格子のことであって、
 じーつーさんの引用先のgooの回答で単位胞とあるのは、厳密には正しくないので、
 少し混乱してしまいました。

他、データについて、
・Geはダイヤモンド構造なので、基本単位格子は2原子。p.105のデータでも光学的分岐を示しています。
 ただし、同一原子から成るので、電磁波で振動は励起しないのではと思います。
・一方KBrは+−2種類の原子からなる。光学的分岐は文字通り、電磁波で励起すると思います。
・p.110はNa単原子格子の例。bcc構造なので、単位胞では2原子ですが、基本単位格子では1原子。
 よって、音響的分岐のみで光学的分岐が出ていないデータ例です。

・バネでつないだモデルから、バネを伸縮するより、曲げた方が楽です。
 よって、一般的には縦波より横波を起こす方がエネルギーが低い。
 p.110のNaのデータで縦波より横波の振動数が低くなっているのはこのためかなと思います。
 kBrも同じですが、Geでは、光学的分岐で横波の方が振動数が高くなっています。
 Geはダイヤモンド構造で、原点000のfccに、1/4 1/4 1/4のfccを差し込んだ構造です。
 間に原子層が差し込まれた、縦方向[111]方向の原子間の力の方が、横方向(最密面)の原子間力より
 弱く、縦波の方が振動数がよわくなっているのかなーと思います。

・最後に、p.107の(25)式から、Geでは、M1=M2から、
 K=π/a(ブルリアンゾーンの境界)では、光学的分岐と音響的分岐が重なるはずですが、
 p.105のGeのデータでは、光学的分岐LOと音響的分岐LAが重ならずに隙間(エネルギーギャップ)があります。
 p.104で、隣接原子面の力が等しいと仮定しているため、原子面の右側と左側で同じ力の定数Cを
 使っているためかなーと思います。
 Geは、原点000のfccが、[111]方向にABCABC・・・の層に、
 原点1/4 1/4 1/4のfccの層A'B'C'A'B'C'・・・の層を差し込んだ構造なので、
 [111]方向に、AA'BB'CC'・・・の層となっていて、例えば、A'の層に対し、右B層と左A層とでは、
 最密原子面が[111]方向と垂直面で配置がずれているため、原子面の力に同じ定数Cを仮定したモデルが
 現実には粗いものということかなと思います。

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ここまで書いて、自分でも読む気がしない記事になってしまったような・・・。
大学で友達と談話するようにはいかないですね。
後、余談ですが、大学時代も今も、自分には理解不能なキッテルの本を見ながら、
p.111の写真を見て、いつもこのおじさん楽しいのかなと思ったものです。失礼しました(^-^;