EMANの物理学 過去ログ No.7779 〜

 ● ガウス関数のフーリエ変換

  投稿者:むーん - 2009/10/19(Mon) 00:34  No.7779 
初めて投稿させていただきます。むーんと言います。
過去ログからこちらのサイトを見つけたのですが、宿題や教科書では理解できなかったことを復習するのに利用させていただいています。

質問なのですが、ガウス積分のフーリエ変換についてです。
http://www.geocities.jp/the_cloudy_heaven/laboratory/fouriertrans/fouriertrans.html
のサイトを参考にさせていただいたのですが、
「ガウス積分が複素平面で中心を動かしても値を変えないと言う性質」
はなぜ生まれるのでしょうか?
今回の場合なら、
 ${x}+\frac{ik}{2a}={t}$ 
などと変数変換して、積分範囲が
 $x:{-\infty}{\rightarrow}{\infty}$ 
 $t:{-\infty}+{\frac{ik}{2a}}{\rightarrow}{\infty}+{\frac{ik}{2a}}$ 
のように変わっても、ガウス積分は変わらないということですよね?
これはなぜなのでしょうか?
よろしくお願いします。

  投稿者:じーつー - 2009/10/19(Mon) 11:33  No.7781 
はじめまして。じーつーといいます。私は教わる側になってばかりなのですが、答えてみます。

ネット検索すると、以下のpdfファイルがヒットします。そこに書いてあります。

http://fujimac.t.u-tokyo.ac.jp/fujiwara/Mathematics-2/Sec6.pdf

こちらは、複素平面上の周回積分をして説明しています。とてもオーソドックスな方法です。
ただ、なぜか積分経路の図が化けています。表記が異なるかもしれませんが、次の4つの直線でできています。
実軸を<tex>x</tex>軸、虚軸を<tex>y</tex>軸にして式を書くと

<tex>C_1:y=0(-R \leq x \leq R)</tex>
<tex>C_2:x=R(0 \leq y \leq b)</tex>
<tex>C_3:y=b(R \geq x \geq -R)</tex>
<tex>C_4:x=-R(b \geq y \geq 0)</tex>

です。縦<tex>b</tex>、横<tex>2R</tex>の長方形ですね。

別の方法の紹介です。

http://www.oit.ac.jp/bme/~akazawa/eq114gaus.pdf

こちらは私も知らなかったのですが、微分方程式を使ってもできるみたいです。

なぜか長くなったので、記事を一旦切ります。

  投稿者:甘泉法師 - 2009/10/19(Mon) 18:06  No.7783 
こんにちは。

じーつーさんの説明と同じですが、こんな感じと存じます。

1.
複素数 z=r e^i θ について exp(-z^2) = exp(r^2( -cos2θ - isin2θ))
r→∞で発散するのは cos2θ<0 つまり π/4<θ<3π/4、5/4π<θ<7/4π
よって極はr=∞でこのθの範囲のところにしかない。

2.
閉じた積分路を、1 実軸上(-∞、∞)→ 2 iaだけ虚軸上に→ 3 直線Imz=a 上をRez=∞〜ー∞に → 4 -iaだけ虚軸下に ととれば内部に極はないので積分は0。 2,3の積分は0だから、1 と 3の逆路 の積分は等しい。

もっと直観的な説明があればいいのですが

=甘泉法師=

おまけ
同じようにして以下の積分計算がわかります。
exp(-z^2) z=r e^i θ を、極に抵触しない 0<θ<π/4 か 7π/4<θ<2π のどちらかの範囲にとり r[0,∞)の積分路で積分すれば√π/2。
 

  投稿者:じーつー - 2009/10/19(Mon) 20:29  No.7784 
前の書き込みですが、正しくは「直線」ではなく「線分」ですね。混乱してしまったらすみません。
実は昼間に直観的な理解の方法を考えて書き込んだのですが、間違いだらけだったので消しました。(「一旦切ります」の正体)
ちょっとまた考えたので、書いてみます。

本筋の証明の方は教科書やいろんなサイトで紹介されているので、少し直観的な理解を目指してみることにします。
ちなみに、さっき考え付いた上に、参考文献も何もないので、本当に「イメージ」だと思ってください。

まず、微分方程式の方法で、ガウス関数のフーリエ変換を求めます。
===========================================================================
むーん さんの今知りたいことは、おそらく「ガウス関数のフーリエ変換の計算方法」でしょう。
なので、少し逆回り的な説明になってしまいます。
===========================================================================
ガウス関数として<tex>\exp(-ax^2)</tex>を考えます。これのフーリエ変換は

<tex>\int_{- \infty}^{\infty}\exp(-ax^2) \cdot \exp(-ikx)dx = \sqrt{{\pi \over a}} \exp \left(-{k^2 \over 4a} \right)</tex>

です。これを踏まえて、複素平面上で虚軸方向に<tex>y</tex>移動したガウス関数

<tex>f(x)=\exp[-a(x-iy)^2]</tex>

の、[-∞,∞]の区間での積分を考えてみましょう。

<tex>I &= \int_{- \infty}^{\infty}f(x)dx \\       &= \exp(ay^2) \int_{- \infty}^{\infty} \exp(-ax^2) \cdot \exp(-2iayx) dx</tex>

ここで、<tex>k = 2ay</tex> とおくと

<tex>I &= \exp \left({ky \over 2} \right) \int_{- \infty}^{\infty} \exp \left(- {k \over 2y}x^2 \right) \cdot \exp(-ikx) dx</tex>

となります。ちなみに、ここで先ほどのフーリエ変換の結果を使えば積分は計算されたことになり、
ガウス積分と同じ結果<tex>\sqrt{{\pi \over a}}</tex>になることがわかります。

<tex>I = \exp \left({ky \over 2} \right) \int_{- \infty}^{\infty} \exp \left(- {k \over 2y}x^2 \right) \cdot \exp(-ikx) dx = \sqrt{{\pi \over a}}</tex>

さて、ここで次の計算をしてみます。

<tex>J &= \int_{- \infty}^{\infty} | f(x) | dx \\       &= \exp(ay^2) \int_{- \infty}^{\infty} \exp(-ax^2) dx \\       &= \exp (a y^2) \cdot I </tex>

よって、次のことが言えるでしょう。

<tex>&I = J \exp (-ay^2) \\&\Leftrightarrow \int_{- \infty}^{\infty}f(x)dx = \int_{- \infty}^{\infty} | f(x) | \exp (-ay^2) dx</tex>

左辺は複素関数の積分ですが、右辺は実関数の積分です。
今は積分値だけを問題にしているので、関数

<tex> z = | f(x) | \exp (-ay^2) </tex>

に注目しましょう。

ここで、大きな小細工・・・大きな細工を使います。ここからは嘘っぱちです。与太話です。

<tex>a \Rightarrow {1 \over 2\sigma^2(y)} </tex> として、を分散を導入します。ただし、<tex>\sigma(y)</tex>には、次の条件を満たしてもらいます。

@<tex>\sigma(y) \geq 0 </tex>(標準偏差は必ず正)
A<tex>\sigma(0) = { 1 \over \sqrt{2a} }</tex>(y=0の時の整合性)

こうなると<tex>\sigma(y)</tex>は指数関数のような気がしてきますが、それはわかりません。次の積分を計算します

<tex>\int_{- \infty}^{\infty} \exp \left(- {x^2 \over 2 \sigma^2(y)} \right) dx = \sqrt{2 \pi} \sigma(y) </tex>

より、次のようになります。

<tex> I = \sqrt{\pi \over a} &= { 1 \over \sqrt{2a} \sigma(y) } \int_{- \infty}^{\infty} \exp \left(- {x^2 \over 2 \sigma^2(y)} \right) dx</tex>

ということで、3次元空間の曲面

<tex> z = g(x,y) = { 1 \over \sqrt{2a} \sigma(y) } \exp \left(- {x^2 \over 2 \sigma^2(y)} \right) </tex>

があり、z-x平面に平行な平面<tex>y = b</tex>で切断した断面積を計算することが、
虚軸方向に移動したガウス関数を積分することに対応するのではないでしょうか。


言いたかった結論は「虚軸方向にずれても積分値が変わらないのは、ズレによって「高く、とんがった関数」、
または「低く、広がった関数」になるから」というものだったんですが・・・、力不足です。

例えば、<tex> z = | f(x) | \exp (-ay^2) </tex>と比較のようなものをして

<tex> \sigma(y) = {1 \over \sqrt{2a} } \exp (ay^2) </tex>

と仮定したものを想像してみてください。y軸上で0から離れる方向に動くと、急激に低く、広がっていく曲面ができます。
本当はgnuplotなどで描いて張りたいのですが、それは掲示板の容量もありますので、控えさせていただきます。

っとはいったものの、おそらくgnuplot収束判定のせいか、上手い曲線が描けませんでした。
<tex>\sigma(y) = {1 \over \sqrt{2a} } (by^2+1)</tex>
で、<tex>a=0.03,b=0.03</tex>くらいのが見やすいと思います。
splot exp(-0.03*x*x/((0.03*y*y+1)*(0.03*y*y+1)))/(0.03*y*y+1)

  投稿者:hirota - 2009/10/20(Tue) 10:08  No.7787 
基本的なところで、コーシーの積分定理(正則関数を閉じた経路で積分すると0になる) は理解してるのでしょうか?

  投稿者:凡人 - 2009/10/21(Wed) 00:33  No.7789 
間違っていたら申し訳ありませんが、
∫[-∞->+∞]e^-a(x+ik/2a)^2dxを求めるために、t=x+ik/2aとすると、置換積分法を使えば、∫[-∞->+∞]e^-at^2dx/dt*dtを求めればよい事になる。
x=t-ik/2aである為、dx/dt=1となり、これを上の式に代入すれば、∫[-∞->+∞]e^-at^2dtとなる。
変数tをxに変えても同じことなので、∫[-∞->+∞]e^-a(x+ik/2a)^2dx=∫[-∞->+∞]e^-ax^2dxが成立つ。
という事では如何でしょうか?

  投稿者:じーつー - 2009/10/21(Wed) 23:12  No.7790 
凡人さん

私も複素関数に精通しているわけではありませんが、次のようなことを考えてみたらどうでしょうか。

@ 実関数<tex>f(x)</tex>に対しての積分
  <tex>\int_{\alpha}^{\beta} f(x)dx</tex>
  を考える(この「を考える」は嫌いですが、いい表現を知りません・・・)。

A変数変換 <tex>t = x + b</tex> は、<tex>\int_{\alpha}^{\beta} f(x)dx</tex> を、積分区間ごと「右」(<tex>x</tex> 軸正方向)に<tex>b</tex>動かすことに相当する。
つまり、<tex>t</tex>軸を<tex>x</tex>軸と重ねると、<tex>t</tex>軸は<tex>x</tex>軸よりも相対的に<tex>b</tex>だけ左にずれて目盛りが振られている。。

B変数変換 <tex>t = ax</tex> は、<tex>t=0</tex>を中心に、積分区間ごと <tex>1/a</tex> に均等に圧縮することに相当する。
つまり、<tex>t</tex>軸を<tex>x</tex>軸と重ねると、<tex>t</tex>軸は<tex>x</tex>軸の<tex>1/a</tex>の間隔で目盛りが振られている。

C変数変換 <tex>t = ax +b</tex> は、ABの組み合わせで表現できる。
つまり、<tex>x</tex>軸のスケールで<tex>b</tex>左にずらした後、ずらした軸の0を中心に
<tex>1/a</tex>に均等に圧縮したものが<tex>t</tex>軸になる。

D今回の話では余談になるけど、一般の変数変換では圧縮が均等ではない。
 余談なので例示計算はしませんが、片対数のグラフ用紙をご覧ください。
 一般の変数変換ではその目盛りの振り方のように不均一な圧縮・伸張が行われます。

Eここまでの話は、複素平面では、実軸に沿ってしか行われていません。
 (ふつう、実軸を横軸にするので)左右にずらしたり、伸び縮みさせただけです。
 ここで抑えておいて欲しいことは、今のところは「積分も移動・伸縮も左右でやってる」ということです。

Fさて、変数変換<tex>t=x+ik/2a</tex>は、複素平面上での上下(虚軸方向)の移動を意味します。
 それでも、既存の方法は通用するのでしょうか。積分経路(※)も一緒に移動するのではないでしょうか。

・・・ということで、むーんさんが最初の質問で書いたような積分区間に変形します。
上下方向にも積分経路を動かすのですね。実数と虚数は別物です。
(※)複素関数では、複素平面上の経路で積分する、という考えをします。
今までの実関数に対して「積分区間」と読んでいたものは実軸上の経路と解釈されます。


イメージしにくいかもしれませんが、次のようなことをしている、と思ってください。

3次元右手系上の平面 <tex>z=y+a</tex> があります。<tex>x</tex>は任意です。
さて、これを<tex>y=0</tex>で、<tex>x</tex>で、<tex>[\alpha,\beta]</tex>で積分すると<tex>(\beta-\alpha)a</tex>になります。
平面を<tex>y</tex>方向に<tex>b</tex>ずらしても積分の結果を同じにするには、積分区間(経路)も
一緒に<tex>b</tex>ずらさなきゃいけませんよね。

  投稿者:凡人 - 2009/10/22(Thu) 00:51  No.7791 
じーつーさん
やはり私は間違っていました。誤りをご指摘いただいて有難う御座いました。
∫[-∞->+∞]e^-at^2dtは、∫[(-∞+ik/2a)->(+∞+ik/2a)]e^-at^2dtとしなければならない事をすっかり忘れていました。
やはり、∫[(-∞+ik/2a)->(+∞+ik/2a)]e^-at^2dtについて、下の記事の「極限による導出」に基いて真面目に計算しないと、「ガウス積分が複素平面で中心を動かしても値を変えないと言う性質」の証明にならないと思いました。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AC%E3%82%A6%E3%82%B9%E7%A9%8D%E5%88%86

  投稿者:凡人 - 2009/10/23(Fri) 00:55  No.7795 
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AC%E3%82%A6%E3%82%B9%E7%A9%8D%E5%88%86
のπ(1-e^-a^2)の1-e^-a^2に対応する部分は、1-e^-(t+ik/2)^2=1-e^-(t^2+ik-k^2/4)となり、極限値はlim[t->∞]{1-e^-(t^2+ik-k^2/4)}=1となる?(<=訂正しました。)
π(1-e^-2a^2)の1-e^-2a^2に対応する部分は、1-e^-2(t+ik/2)^2=1-e^-2(t^2+ik-k^2/4)となるので、この極限値もlim[t->∞]{1-e^-2(t^2+ik-k^2/4)}=1となる?(<=訂正しました。)
そして、挟み撃ちの原理から、∫[(-∞+ik/2)->(+∞+ik/2)]e^-t^2dt=∫[-∞->+∞]e^-t^2dtとなる事が分るので、「ガウス積分が複素平面で中心を動かしても値を変えない」事が分る。
というような気がするのですが、いかがでしょうか?