EMANの物理学 過去ログ No.7285 〜

 ● 結晶格子の選択

  投稿者:ワーキングプア - 2009/08/05(Wed) 18:16  No.7285 
化学の結晶格子の例を見てみると、体心立方の例の中にNa が、六方最密構造の例の中にMg がいます。
基底状態の似通った両者の代表的な結晶構造が、充填率に差のある物になる理由が分かりません。3s 軌道が埋まっているか否かが、影響するのでしょうか?
ご教授、ご意見頂けるとありがたいです。よろしくお願いします。

  投稿者:ASA - 2009/08/05(Wed) 19:21  No.7287 
 金属の結晶構造についての理論は、余り見たことないです。

 全くの素人意見で参考にならないかもしれませんが、 六方最密構造の例をみると、Be,Mg,Znと内部シェルが完全であるときのようです。
 原子がスピン不対電子であると、自由電子がトラップされやすいので、単位時間あたりにたくさんの原子を渡り歩くことができず、結果として結合力が弱くなるのではないかと考えます。

  投稿者:kafuka - 2009/08/05(Wed) 23:05  No.7290 
僕は、この前、固体物理で結晶構造を習ったばかりなのですが、
坂田亮「物性科学」のp15によると、Naは、体心立方構造でもありますが、
温度によっては、Mgと同じ六方最密構造にもなります。
結晶構造は、完全に固定的なものではなく、
原子の熱運動のエネルギーと原子間の結合エネルギーの兼ね合いで決まる
と思います。
尚、Caは、体心立方構造、面心立方構造をとります。

  投稿者:ASA - 2009/08/06(Thu) 05:47  No.7292 
kafukaさん
 
 金属の相転移ですか。Naの相転移温度は、何℃と記載されていたでしょうか?それと圧力は、1気圧でしょうか?ちなみに、相転移で重要な役割を果たす電子について記載されていたら紹介してください。


  投稿者:kafuka - 2009/08/06(Thu) 10:20  No.7294 
Naの相転移は、
http://www.tulips.tsukuba.ac.jp/dspace/bitstream/2241/3216/1/A1374.pdf
によると、
>金属ナトリウムの相転移:室温でbcc構造を持つ金属ナトリウムは
>Ms=36Kでマルテンサイト変態する
とあります。

  投稿者:ASA - 2009/08/06(Thu) 11:54  No.7295 
kafukaさん

 坂田亮「物性科学」には、書かれていなかったのしょうか。
わざわざ調べていただいて有難うございました。
 教科書みると、Tc=36Kは記載されているのですが、圧力に関しては記載されてないので、圧力に関してや、メカニズムについて載っていたら教えて欲しかったわけです。
 測定環境を考えると、36Kは1気圧の元でということでしょう。

ちなみに、キッテルには、51K以下で変形させると部分的に六方最密構造に転移するとあります。

  投稿者:ワーキングプア - 2009/08/06(Thu) 15:48  No.7296 
ASAさん kafukaさん ご意見ありがとうございます。
確かに
>原子の熱運動のエネルギーと原子間の結合エネルギーの兼ね合いで決まる
というのは自然なことですから、特定の格子にこだわっていてもナンセンスという意見もあると思います。ですが、
代表的な格子というものを「標準状態」のように、観測しやすい環境下での”普段の格子”とすると(勝手に仮定してすいません)、”同じ環境下でも選択する格子が異なる”ということになります。
この点を掘り下げていくと、金属結合というものが良く見えてくると思うのです。

そこでまたお聞きしたいのですが、
ASAさんの
>自由電子がトラップされやすいので、単位時間あたりにたくさんの原子を渡り歩くことができず、結果として結合力が弱くなるのではないか
という考えは大変わかりやすいと思います(ありがとうございます)。この方向で考えると、基底状態から自由電子化する(エネルギーギャップを越える)電子の数は重要な情報です。
この個数判定について何か情報をお持ちでしたら、教えていただきたく思います。変な質問ですいませんが、よろしくお願いします。

  投稿者:kafuka - 2009/08/06(Thu) 19:58  No.7301 
ワーキングプアさん

>特定の格子にこだわっていてもナンセンス
とは思っていませんです。
「原子間の結合エネルギー」と言っても源泉は、電子(雲)で、s軌道やp軌道が関係しますから。
また、結合エネルギーといっても、引力ばかりではないです(近づきすぎれば斥力)

それから、電気伝導については、NaとMgの差は明確です。
金属の結晶構造についての理論じゃないので、参考にはならないと思いますが、、、
http://www.keirinkan.com/kori/kori_chemistry/kori_chemistry_2_kaitei/contents/ch-2/1-bu/1-1-3.htm
によると、

ナトリウムでは,3s軌道から構成されるエネルギー帯の半分が空なので,
電圧を掛けると電子は容易くエネルギーを得て移動し,電流が流れる。
Mgは3s軌道に2個の電子をもち,3s軌道から構成されるエネルギー帯に電子が充満するので,
Naとは電気伝導の仕組みが異なる。
この場合は,3p軌道から構成されるエネルギー帯の一部が3s軌道によるものと一部重なり,
電子は空の3p軌道を使って移動でき,電気が流れる。

とのことです。

  投稿者:kafuka - 2009/08/06(Thu) 20:13  No.7302 
ASAさん

坂田亮「物性科学」は、量子力学の初歩しか知らない学生が対象のようで、
内容は、半古典近似(というか前期量子力学で結晶を扱ったような感じ)です。
ブロッホ関数も載っていませんし、相転移は、バイスの分子場近似だけが、ちょっと
書いてあるだけです。


  投稿者:ASA - 2009/08/06(Thu) 21:38  No.7303 
ワーキングプアさん

 素人意見なのであまり信用しないように。

 金属結合の説明は、原子が孤立でいる(局在電子)より、ある程度集まった方が、全体をカバーする電子(非局在)が存在できて(波長が大きいほど、運動エネルギーが小さい)、このためトータルエネルギーが小さくなり安定するというものがありますけど、金属結晶構造に関しては、いい説明を見たことがないですね。
 
 アルカリ金属類は、全てbcc構造ですからこれを基準にするというのは一つの手かもしれません。でもd電子等が共有的結合に関与するので、一般化はなかなか難しいと思います。

  投稿者:ワーキングプア - 2009/08/09(Sun) 07:11  No.7341 
ASAさん kafukaさん ありがとうございました。
お礼が遅れてすいません。
分子軌道を金属結晶内部全体に広げる考え方は、初めて知ったので新鮮でした。
ありがとうございました。