EMANの物理学 過去ログ No.7181 〜

 ● 湿った空気は重いか、軽いか?

  投稿者:メグにゃん - 2009/07/22(Wed) 23:46  No.7181 
はじめまして

初歩的な疑問ですが、どなたかご存じないでしょうか?
気象学の勉強中に、空気は湿ると(水蒸気を多く含むと)軽くなるとの説明がありました。 理由としては、水蒸気を含んだ空気では、軽い水の分子(分子量18)が重い空気分子(酸素分子32×20%+窒素分子28×80%)を押しのけ入れ替わるので、同じ体積では、水蒸気を含んだ空気の方が軽いとのことです。

私は、以下の推測より、逆に重くなると思っておりました。
液体と気体との違いはありますが、水が食塩を含む(溶ける)場合には、食塩が水分子を押しのけるのではなく、水分子の隙間に入り込みます。 結果、同じ体積では食塩水は水よりも重くなります。

水蒸気の場合、空気を押しのけるのではなく、食塩のように隙間に入り込むのではないかという疑問が解けません。

なぜかといいますと、食塩を水に溶かすときには、飽和量というそれ以上溶かすことのできない上限値がありますが、水蒸気の場合も、気温と飽和水蒸気量の関係で、空気が含むことのできる水蒸気量の上限がありますので、類似性より食塩が溶けるときと同じように、空気の隙間に水蒸気が入り込むのではないかと思えます。

水分子が、空気の分子を押しのけるのであれば、飽和量という上限なしに水蒸気が空気にいくらでも溶けていく(含まれる)ように思えるのですがいかがでしょうか?

  投稿者:せいたかのっぽ - 2009/07/23(Thu) 00:37  No.7182 
こんばんは。

『液体と気体との違い』が大きな違いで、水蒸気は液体の結合を切って、
水分子一個一個が別々ばらばらに離れた状態で大気中を激しく自由に
運動している状態です。
1気圧ならほとんど理想気体の法則PV=nRTに従います。
つまり、0℃、1気圧で、「どんな」気体1molでも同じ体積22.4リットル
になりますから、軽い分子が混ざれば同じ体積で重さが軽くなります。
つまり、一個一個の分子の形は問題がないぐらい激しく分子運動していて、
結局、空間(同じ体積)の中に何個の分子があるかという個数だけの
問題になったのが気体の状態です。

大気というのは、とても広く開放系なので、水が目の前で大量に蒸発しても、
1気圧のままで圧力が上がることはありません。
このため、飽和水蒸気圧というのが理解しにくいのだろうとは思いますが、
極端にいえば、1気圧で気温が水の沸点の100℃以上の世界なら、
水が結露することはありません。
空気が液体空気に結露しないのは、空気の沸点が1気圧では非常に低い温度
(−190℃)で、常に沸騰した気体の状態だからで、
水が理解しにくいのは、1気圧常温で液体の水と飽和水蒸気圧までの水蒸気が
共存した状態になるから、かなと思います。
(すみません、ついでにややこしくなってしまったでしょうか)

  投稿者:ASA - 2009/07/23(Thu) 10:34  No.7187 
非単分子状態の水を含んだ空気も湿った空気(大気)といえますね。
相の共存と熱のやり取りがあるので、案外複雑です。
元の問題ですが、気象で室温湿度0%なんて想定は、非現実的です。
非現実的想定で重量比較しても意味ないと思います。
一気圧1000℃とかの地球外大気の話なら良いですが、そのような状況なら湿ったとかの表現は適切でないです。

  投稿者:yuya - 2009/07/23(Thu) 12:53  No.7190  <Home>
メグにゃんさん、はじめまして。

飽和水蒸気圧は「他の気体(空気など)に水蒸気が飛び込んでいくときの限界」を示しているのではありません。

例えば、水と空気の入った密閉容器があり、容器内の水の一部が蒸発して、飽和水蒸気圧に達しているとします。
ここで、容器に空気を注入して追加したとしても、蒸発が進むわけではないのです。
食塩水だったら、底に溶け残っている食塩を溶かしたければ、水を足せばいいですけどね。

極端な話、容器内に水しかない場合であっても、飽和水蒸気圧は効いてきます。
というか、まず水しかない場合を考えるほうが基本であって、
他の気体が併存しているかどうかは、
水蒸気が飽和水蒸気圧に従う際のふるまいに関係ありません
(高度な話になると関係あるのかも知れないけれど)。

密閉容器の底に水を溜めて放置しておくと、やがて水が蒸発します。
このとき、たとえ空気が存在しなくとも蒸発がおこり、かつ、限界があります。
蒸発が進むほど、水蒸気の圧力が高まっていきますが、限界に達したときの圧力が
「飽和水蒸気圧」であり、この圧力を上回ることができないわけです。

「飽和水蒸気圧を超えることができない」と聞いて、
ちょっと意地悪をして、容器の天井をピストンのように押し下げてやれば、
圧力が上がりそうなものです。
しかし実際には圧力は上昇せずに、代わりに液化が起こって、
減少した水蒸気のみで同じ水蒸気圧を保つことになります。

>水蒸気の場合も、気温と飽和水蒸気量の関係で、空気が含むことのできる水蒸気量の上限がありますので、

この記述に、誤解の原因が見て取れます。

上で述べた「圧力の上限値」は温度によって異なりますが、
ここでいう「温度」とは、まわりの温度ではなく、水蒸気そのものの温度です。
実際には気象の話では、水蒸気と空気が混じり合っているわけですから、
両者の温度は等しい、というだけの話です。

  投稿者:メグにゃん - 2009/07/24(Fri) 00:59  No.7195 
皆さんいろいろ回答ありがとうございます。

yuyaさんの説明
食塩水と水蒸気の違いよくわかりました。

『例えば、水と空気の入った密閉容器があり、容器内の水の一部が蒸発して、飽和水蒸気圧に達しているとします。
ここで、容器に空気を注入して追加したとしても、蒸発が進むわけではないのです。食塩水だったら、底に溶け残っている食塩を溶かしたければ、水を足せばいいですけどね。』

せいたかのっぽさんの説明
『1気圧ならほとんど理想気体の法則PV=nRTに従います。
つまり、0℃、1気圧で、「どんな」気体1molでも同じ体積22.4リットル
になりますから、軽い分子が混ざれば同じ体積で重さが軽くなります。』

ということは、冬の北風が日本海を渡ってくる中で湿り、海を渡る前に比べ相対的に比重が小さくなり、上昇気流を助長する方向に作用する。ということですね。 なっとく。


 




  投稿者:メグにゃん - 2009/07/25(Sat) 00:44  No.7201 
おまけ

空気の軽さ加減が、冬の低気圧の発達にどのくらい効くのか気になりましたので、湿った空気がどのくらい浮力を受けるのか計算してみました。

1気圧、10℃で 湿度50%と湿度100%の空気の重量比を計算

●準備計算
 水蒸気1molの重さ 18g
 空気1molの重さ 28g×80%+32g×20%=28.8g

 10℃、湿度100%の時の水蒸気分圧(飽和水蒸気圧) 12hPa
 10℃、湿度50%の時の水蒸気分圧 6hPa

 1気圧=1013hPa

 湿った空気1molの重量 = 空気1molの重量×空気分圧比+水蒸気1molの重量×水蒸気分圧比

●重量比計算
 (a)湿度100%の空気1molの重さ = 28.8g×(1013hPa-12hPa)/1013hPa+18g×12hPa/1013hPa = 28.67206318g
 (b)湿度50%の空気1molの重さ  = 28.8g×(1013hPa-6hPa)/1013hPa+18g×6hPa/1013hPa = 28.73603159g

 (a)/(b) = 99.7774%

でほとんど効果がありませんでした。

  投稿者:ASA - 2009/07/25(Sat) 07:29  No.7203 
 気象の問題としては、不適切との指摘をしたASAです。
このように具体的に計算し確認することが重要です。
実際は、空気隗やら地表,海面との温度差の方が影響が大きいですね。

  投稿者:せいたかのっぽ - 2009/08/02(Sun) 09:59  No.7264 
こんにちは。今日も朝から雨ですね。

このスレッドも、もともとは水蒸気を含む空気が軽いかということだけが質問と受け取りましたが、途中から冬の北風の上昇気流にまで発展しました。

空気の上昇については、地面の暖められた空気が周りの空気より軽くなって上昇し、そこへまた周りから空気が流れ込んで上昇する。水分を含んで軽くなって浮きあがる訳ではない(あるいはその効果はほとんどない)、そのとおりと思います。

もともと、先生が言いたかったのは「湿った空気と言うと、言葉のイメージから重いと思うかもしれないが、むしろ軽くなる。だから、一緒に周りの空気と上昇する」ということが言いたかったのではないでしょうか。もし、授業後に教官室に寄って質問できるなら、先生とも親近感がわいてまた面白いんじゃないかなと思いました。

メグにゃんさんが、「上昇気流を助長する方向に作用」するとした後、実際に計算しその効果が小さいことを示したことは、なるほどと、私も具体的イメージを教えられました。元の問題にも、気象で室温湿度0%なんて想定はどこにも書かれていませんね。冬場の平均的な湿度50%で湿ってないという事です。

ただ、湿度50%と80%で重量比が99.7774%だから、ほとんど効果がないというのはどうでしょうか。
今日の天気図は、日本海側に1010hPaの高気圧が、太平洋側に1008hPaの低気圧があります。比率では、99.80%です。ビミョーな差で、高気圧とか低気圧とか言ってますよね。99.7774%だから気象とは関係ないとは思えません。

PS. あのー、激論が繰り返されてますけど、誰かに反論したいとか言う訳ではないですよ。ここでの話題から、例えば、今日の天気とか、普通なら見過ごす日常的なことに、物理的なことを考える刺激をもられて、いろんな考え方があるな〜と、むしろ、とっても面白いと思っています。
今日の天気予報を見ながら、ぼんやり思ったので、ほじくり返してしまいました。

  投稿者:yuya - 2009/08/02(Sun) 11:07  No.7265  <Home>
>ここでの話題から、例えば、今日の天気とか、普通なら見過ごす日常的なことに、
>物理的なことを考える刺激をもられて、いろんな考え方があるな〜と、むしろ、とっても面白いと思っています。

同感ですねー。一人で何でも気づければいいのですが、
こんなふうに誰かが疑問を投げかけてくれないとなかなか。

あたしゃもう(私はもう)、蒸発の飽和を、溶解の飽和と結びつけて
「おかしいのではないか」と疑問を感じるという、
その姿勢(というか能力だな)にえらく感心してしまいました。

メグにゃんさんの計算を見て、「なるほど。ほとんど関係ないなぁ」と納得し、
せいたかのっぽさんの書き込みをみて「なるほど。『だから関係ない』とは言えないなぁ」
と納得するという……批判的精神はいつになったら身に付くのだろうか(汗)。

  投稿者:メグにゃん - 2009/08/10(Mon) 19:10  No.7367 
メグにゃんです。

このスレッド、既に終わったと思っていましたので、その後、投稿いただいたのを見逃していました。

その後ですが、私の試算をせんせ(といっても学っこの先生ではなく山岳会の気象部の方です)に見せたところ、数字の小ささが意外だったようで現役プロの気象予報士のせんせに聞いてみるとのことですので、コメントがいただけましたら、ご紹介したいと思います。 実は、私も試算してみて意外でした。

せいたかのっぽさんのご指摘のように、ひょっとしたらわずかな差異ですが気象への影響がある数字かもしれません。


  投稿者:ASA - 2009/08/10(Mon) 19:59  No.7368 
>せいたかのっぽさんのご指摘
で、おかしい点について指摘しておきます。
駆動力である圧力値の直接比較と、駆動力に影響するあまたの因子のうちある特定の因子である水蒸気量(温度とか浮遊ミスト量を無視)のみを取り上げた場合の比較を同列にしている点です。

 細かいことを言えば、CO2濃度の違いも影響するでしょう。つまり、緑地帯では、日中は光合成のためCO2→O2に変換され、比重が軽くなるので上昇気流が発生するとか、工場地帯では酸素消費O2→COのため、比重が重くなり下降気流が発生するとか等々。

 普通の気象シミュレーションなり計算では、この辺りのことはネグりますよ。