EMANの物理学 過去ログ No.7167 〜

 ● 光子のスピンについて

  投稿者:凡人 - 2009/07/20(Mon) 21:32  No.7167 
本談話室での論議『スピンと相対論的量子力学の関係について』
http://hpcgi2.nifty.com/eman/bbs090406/yybbs.cgi?mode=topic&no=7024
の続きですが、光子のスピンについて、EMANさんの
http://homepage2.nifty.com/eman/quantum/spin.html
とその他の資料を読んで、以下のようなイメージを私なりに掴んだのですが、間違い等がありましたら、何方かご指摘等を頂けませんでしょうか?

@ 光子の場がベクトルポテンシャルを量子化した場(ゲージ場)で表現出来ると仮定すると、光子の空間的な内部状態がxyz軸の3成分の波動関数で表現出来るので、光子の空間的な内部自由度は3となる。
A 電子のスピンに対する考察から導かれた、内部自由度とスピン量子数の関係(内部自由度=2*スピン量子数+1)を光子に当てはめると、光子のスピン量子数は1となる。
B 光の進行方向をz軸方向とした場合、ゲージ不変性の要請からz軸方向の自由度の成分は0となり、光子の空間的内部自由度は3から2に減少する。
C 光子の偏光面が右巻き(ヘリシティー=+1)と左巻き(ヘリシティー=-1)に旋回することが実験事実として確認されている為、これらの旋回が光子のスピンによるものだと理解すれば、電子のスピンに対する見地と矛盾しない。

  投稿者:あもん - 2009/07/21(Tue) 01:02  No.7168 
凡人さん、おひさしぶり。

イメージ的にはそれで良いと思います。ただゲージ場の理論は拘束系と呼ばれる特殊な力学系なので(自由度が無駄に多い系)、量子化の際にいくつかの異なった方法があります。クーロンゲージ、共変ゲージ(BRS処方)、経路積分法など。それら方法によって描像は変わってきます。もちろんどれでも観測可能な結果は同じになるわけですが、「どのような理由で」ということを考えると、その理由は方法によって異なるわけです。凡人さんの書いた説明はクーロンゲージのそれに近いと思います。

  投稿者:あもん - 2009/07/21(Tue) 01:48  No.7169 
ちなみに共変ゲージでは、ゲージ理論のゲージ群の次元をDとして、(D×2)個のゴーストモードが出てきて、これらのモードは自由度−1と勘定されます。電磁理論は U(1) のゲージ理論で、U(1) の次元は1なので、

4(4成分ベクトルポテンシャル)−2(ゴースト2個)=2

の内部自由度(粒子の種類)を持つというわけです。これが光子のヘリシティ+1と−1に相当しています。

電弱統一理論だと、ゲージ群は U(1)×SU(2) でその次元は4だから、

16(4つの4成分ベクトルポテンシャル)+4(複素2成分ヒッグス)
−8(ゴースト8個)=12

となります。これが、光子(2)、W^+(3)、W^-(3)、Z^0(3)、ヒッグス粒子(1)に相当しています。

ただ、運動方程式が時間に関して2階でなく、1階のときは、内部自由度は半分とみなされるので注意。例えばディラック場の場合、複素4成分だから実8自由度あるようだけど、1階だから実際の内部自由度は4となります。これが、電子↑、電子↓、反電子↑、反電子↓に相当しています。

シュレーディンガー場にしても、成分が1つなら、複素1成分で実2自由度、1階だからその半分で内部自由度は1、つまり1種類の粒子しか出てこないわけです。もし2成分あれば内部自由度は2になって、スピン 1/2 を意味する可能性があるわけです。実際、シュレーディンガー場の2成分が、空間回転に伴ってしかるべく法則(SO(3)〜SU(2)の関係)で混ざるようなものなら、確かにスピン 1/2 の粒子が出てくるのです。

  投稿者:凡人 - 2009/07/22(Wed) 22:50  No.7179 
あもんさん、この度も高度なご教示をいただきまして、大変有難う御座いました。谢谢了!