EMANの物理学 過去ログ No.7133 〜

 ● 偏微分の計算(?)

  投稿者:ポチ - 2009/07/08(Wed) 22:57  No.7133 
熱容量の差、Cp-Cvの値を求めるところです。
Cp=(∂U/∂T)p + P(∂V/∂T)p


ここで、内部エネルギーの全微分dUをTとVの関数として求めると、
@: dU=(∂U/∂T)v dT + (∂U/∂V)t dV となり、

A: (∂U/∂T)p = (∂U/∂T)v + (∂U/∂V)t(∂V/∂T)p
と変形しています。
※v,t,p は一定を表す添え字です。

質問
・@式で(∂U/∂T)などは偏微分を表すと思いますが、後ろのdTは微分という意味ですか?それとも、微少量という意味ですか?
・A式においては、@でUを微分しているのをさらに微分しているのですよね?A式の途中式をもう少し詳細に書くことは出来ないですか?
お手数ですが、ご回答お願いいたします。わからず屋ですみません。

  投稿者:EMAN - 2009/07/09(Thu) 10:10  No.7142 
 熱力学の式変形は、
言い訳を差し挟みながらやっていくようなところがありますからねぇ。

「この場合はこの変数を一定と考えているのだから、
常微分だけど実は偏微分と同じだ」とか言って書き換えてしまうとか。

 頭の固い式変形だけでは何ともならんというか、
背景(現象)の把握が大事だったりするのです。
 感覚に頼ってでたらめやっていいという意味ではないですが、
これでちょっと気が楽になりますかね?

  投稿者:EMAN - 2009/07/09(Thu) 10:47  No.7144 
 具体的にやった方がすぐ理解できると思うので、
仕事の息抜きに書いちゃいますね。

 私の場合、脳内の途中式として、まず、(1) 式を次のように変形します。

<tex>\dif{U}{T}\ &=\ \left(\pdif{U}{T}\right)_V \dif{T}{T} \ +\ \left(\pdif{U}{V}\right)_T \dif{V}{T} \\\dif{U}{T}\ &=\ \left(\pdif{U}{T}\right)_V\ \ \ \ \  \ +\ \left(\pdif{U}{V}\right)_T \dif{V}{T}</tex>

 ええ、常微分ってのは、物理屋に言わせればただの割り算ですよーだ。(偏微分は違うよ。)

 これは定圧比熱ということで $ p $ を一定とした条件下での変化を考えているつもりだけれども、この式にはその条件が入っているってことが全く表されていない。
 左辺の $ \dif{U}{T} $ なんて、このままじゃまずい。 何も知らない人がここだけ見たら誤解されて悪くすれば誤用されちまうぞ。 こんな式を一時的とは言え世間の目にさらすわけにはいかないな。

 だけれども、今 $ U $ は $ (V, T) $ の関数ってことになっている。 ああどうしよう。

 そうだ、どうせ2変数で状態が定まるのだから、一つの変数を固定したまままで $ T $ の変化を考える常微分ってのは要するに偏微分と同じだわな。  $ U(p,T) $ ってことにして、偏微分で置き換えちゃえ。 右辺の $ \dif{V}{T} $ も、 $ V $ が $ V(p,T) $ と表せるってことにして、置き換えちゃえ。

 かくして、かっこ悪い部分は隠したまま、(2)式が突然出現するわけです。

  投稿者:hirota - 2009/07/09(Thu) 13:49  No.7146 
dU, dT, dV, dP は全微分ですが、微少量と思ってもかまいません。
@ dU=A dT+B dV , A=(∂U/∂T)v, B=(∂U/∂V)t

A E=A+B F , E=(∂U/∂T)p, F=(∂V/∂T)p
の間に入れるべきなのは、
@' dV=F dT+G dP , G=(∂V/∂P)t
A' dU=E dT+H dP , H=(∂U/∂P)t
ですね。

@ に @' を代入して
dU=A dT+B ( F dT+G dP )=( A+B F ) dT+B G dP
これと A' を比較して
E=A+B F & H=B G
∴ A となります。

なお、元の文を見てないので、どう書かれてるか分かりませんが、
dU が dT, dV, dP の3つで表わされないのは、T, V, P 間に依存関係 @' があって dT, dV, dP を自由に与えることが出来ないからでしょう。

  投稿者:EMAN - 2009/07/09(Thu) 16:42  No.7147 
> 頭の固い式変形だけでは何ともならんというか、

 この一文、取り消しときます。
 hirotaさんのようにやればきっちり導出されますね。

  投稿者:ポチ - 2009/07/09(Thu) 17:39  No.7148 
ご回答ありがとうございました。
計算を進めることが出来ました。答えて頂いた方々、本当にありがとうございます。

ところで、再び疑問が・・・・。
理想気体において、内部エネルギーUは、温度のみに依存すると学習しました。しかし、「UをTとVの関数」としているのは、どうしてですか?VはUには絡んでこないと思うのですが・・・。
すいませんが、これに関しても、回答お願いいたします。

  投稿者:yuya - 2009/07/09(Thu) 21:54  No.7149  <Home>
>「UをTとVの関数」としているのは、どうしてですか?

これは単に、理想気体でなくても成り立つ議論をするためではないでしょうか。

ところで、話を戻して恐縮ですが、

<tex>\D U = \left( \frac{\partial U}{\partial T} \right)_V \D T + \left( \frac{\partial U}{\partial V} \right)_T \D V</tex>

において、状態  $(V, T)$ から $(V + \D V, T + \D T)$ になったとき、
 $p$ が変化しないという保証はどこにもないのに、
そんなに都合よく偏微分にしていいのか、という違和感があるかもしれません。
http://www.geocities.jp/abreverse/partial.png
(図では理想気体に準じて等圧線を書き入れてみました。)

ただ、この等式は $\D T$ と $\D V$ が充分小さければ成り立つわけだから、
図で言えば $\D V$ をもっと短くして、
 $p$ が変化しないように $\D T, \D V$ をとることだってできるだろう、
と楽観的に構えて変形したのがEMANさんの変形です。
http://www.geocities.jp/abreverse/partial2.png

【 $p$ が一定となるように $\D T, \D V$ をとったときに限り】
<tex>\D V = \left( \frac{\partial V}{\partial T} \right) _p \D T</tex>
が成り立つので、これを元の等式に代入すると

<tex>\D U = \left( \frac{\partial U}{\partial T} \right)_V \D T + \left( \frac{\partial U}{\partial V} \right)_T \left( \frac{\partial V}{\partial T} \right) _p \D T</tex>

 $\D T$ をくくり出して

<tex>\D U = \left[ \left( \frac{\partial U}{\partial T} \right)_V + \left( \frac{\partial U}{\partial V} \right)_T \left( \frac{\partial V}{\partial T} \right) _p \right] \D T</tex>

ここでの $\D U, \D T$ は $p$ を一定に保ったうえでの変化なので、それらの比である[]内は
<tex>\left( \frac{\partial U}{\partial T} \right)_p</tex>と書くことができ、

<tex> \left( \frac{\partial U}{\partial T} \right)_p =  \left( \frac{\partial U}{\partial T} \right)_V + \left( \frac{\partial U}{\partial V} \right)_T \left( \frac{\partial V}{\partial T} \right) _p</tex>

が成り立つわけです。

 $\D V, \D T$ の取り方にそういう制約をつけるのが気持ち悪ければ、
下図の青い矢印の部分まで式変形に盛り込む必要があります。
http://www.geocities.jp/abreverse/partial3.png

これがhirotaさんの計算に相当しますが、 $\D T$ と $\D p$ に分けて係数比較すれば
同じ結果が得られますね。