EMANの物理学 過去ログ No.6456 〜

 ● ウィーンの変位則

  投稿者:EMAN - 2009/03/03(Tue) 12:41  No.6456 
 今取り組んでいる書きかけの記事に関連して皆さんに質問があります。
 日記にも書いたのですが、ウィーンの変位則についてのウィーン自身の考え方についての資料が探し当てられずに困っています。

 私の持っている幾つかの教科書や、図書館で探した資料では「彼は熱力学と電磁気学によって理論的に証明した」とか書いてあるだけで、それ以上詳しく書かれていないのです。

 それらの資料によるとウィーンは古典論で説明したはずなのに、戸塚洋二さんは「古典論では説明できない」と言い切っちゃってますし。
http://kenbunden.net/totsuka/04/02.html

 ネットで調べると、どれもプランクの式を元に導いているものばかりです。

 大体のことはすでに分かっています。
1.容器の壁は無視して、その中の電磁場についてだけ考える。
2.ピストンを押し込むと内部の電磁波の波長がドップラー効果で短くなる。
3.電磁場の圧力に抗してピストンを押すので、内部エネルギー増加。
4.ステファンボルツマンの法則を組み合わせると、温度上昇を計算できる。
5.体積変化を介して、温度上昇と波長の変化を説明できる。

 と、まぁ、ピストンを押すことで、全ての周波数の波長がそれぞれにスライドするからこそ「変位則」と呼ばれていると思うのですがその点を強調した説明をしているものがまるでありません。

 ひとつだけ、パワーポイントで書かれた資料をネットで見つけましたが、その式を解読していくと、これが本当に証明になり得るのか疑問です。
http://ocw.kyoto-u.ac.jp/ocw-archives-jp/introduction-to-statistical-physics/problems/kelvin.ppt

 長くなったので、数式についての私の疑問はあとで書くことにします。

 とりあえず、何か有用な情報をお持ちの方、いらっしゃいませんでしょうか?

 ウィーンはこの件でノーベル賞をもらっているけれども、その理論は今ではまるで擁護できるようなものではないとか? 少なくともウィーンの放射法則に関してはそんな扱いですよね。 その上、変位則の方まで根拠を失ってるとしたら・・・。

  投稿者:EMAN - 2009/03/03(Tue) 13:24  No.6457 
 今、仕事に待ち時間が発生しているので、慌てて書いちゃいます。
 先ほどのパワーポイントの資料は興味深い内容なんですが、見れない人もいると思うので、肝心のウィーンの変位則の部分だけ以下に引用します。


(引用開始)

断熱圧縮におけるドップラー効果:ピストンを速さ $ v $ でゆっくりと押し込むとき,ドップラー効果により

<tex>&\frac{\Delta \lambda}{\lambda} \approx -\frac{2v}{c} \tag{1}\\&\frac{\D \lambda}{\lambda} = - \frac{c \D t}{2L} \times \frac{2v}{c} = \frac{-v \D t}{L} = \frac{\D L}{L} = \frac{\D V}{3V} \tag{2} </tex>

<tex>&U = uV \rightarrow \D U = V \D u + u \D V = - p \D V = - \frac{u}{3} \D V \tag{3}\\&u = \alpha T^4 \rightarrow \frac{\D u}{u} = \frac{4 \D T}{T} = - \frac{4 \D V}{3V} \tag{4}</tex>

以上より 『ウイーンの変位則』 が得られる:

<tex>\frac{\D \lambda}{\lambda} + \frac{\D T}{T} \rightarrow \lambda T = \text{const.} \tag{5}</tex>

(引用終わり)

となっております。 (式番号は私が追加しています。)
 もう少し解説を入れないと、これだけじゃ分かりにくいですよね。

 とりあえず仕事の確認してきます。 またあとで。

  投稿者:甘泉法師 - 2009/03/03(Tue) 14:16  No.6458 
EMANさん

天野清 物理学者ウィーンの回想記
http://redshift.hp.infoseek.co.jp/index.html
(抜粋)
物体の温度が高くなると(摂氏600 度近くで)先ず暗赤色となり赤色となり明
るさを増すと共に橙から黄色(1000 度|1200 度)遂には眩しい白熱となって青
みさえ帯びた光を放つことは高温作業をした者でなくとも経験している。つ
まり温度が上昇すれば波長の短かい光が著しく増して来るのである。これは
古くから知られて居た事実であったが,これを厳密な数量的関係として巧妙
な思考上の実験で証明したのがウィーンの変位則である。更に一歩をすすめ
て任意の温度,波長に対して発射するエネルギーの強さを規定する 
いわゆる所謂熱輻射の分布式に対してもウィーンは大胆な仮定を用いて簡単
な式を導き出し,これが長波長,高温で実験と喰い違うことが機縁となって
プランクの量子論が生れたのであるが,ウィーンの式も可視光線の範囲では
充分正確であるから今日でも製鋼業等で必要な光学的な高温度測定には基本的
なものとなって居る。

ご参考になるか...とりあえず

=甘泉法師=



=甘泉法師=



  投稿者:EMAN - 2009/03/03(Tue) 14:41  No.6459 
> これを厳密な数量的関係として巧妙な思考上の実験で証明したのがウィーンの変位則である。

 ってありますよね。
 その「巧妙な思考実験による証明」の内容を記事にしたいと思っているのですが、科学史上において輝かしいはずのその証明法について、触れている資料があまりに少ないので困っているのです。

 みんな、文章ではウィーンの業績を称えるけれども、肝心の内容について誰も触れたくない様子。


> 所謂熱輻射の分布式に対してもウィーンは大胆な仮定を用いて

 この大胆な仮定というのは、大胆すぎて、今では「論理の飛躍を含む、説得力の弱い推論(東京大学出版会「熱学入門」p.171より)」などのように評されることが多いです。

  投稿者:QIT - 2009/03/03(Tue) 16:45  No.6461 
EMANさん

きっと確認済みだと思いますが、wikiのページ:

http://en.wikipedia.org/wiki/Wien%27s_displacement_law

では、文献として

Mehra, J. and Rechenberg, H, "The Historical Development of Quantum Theory", Volume 1 Chapter 1, Springer, 1982

http://www.amazon.co.jp/Mehra-Rechenberg-Historical-Development-Quantum/dp/3540963774

を挙げています。この本は読んだことがないので、内容も確認できていないのですが、もしかしたらなんか情報があるかもしれませんので念のため書いておきます。

  投稿者:EMAN - 2009/03/03(Tue) 16:56  No.6463 
確実に載ってる、って感じじゃないと、こんな高価な本には手が出せませんな。
ここは田舎だし、立派な図書館なんて近くにないんですよ。
読んだ内容を噛み砕いて教えてもらえればさらに助かります。(笑

でも幾つかの科学史的な本は、一か八かで
購入してみようと狙いを定めてるところです。

しかし、紹介して下さったwikipediaも(もちろん以前にチェック済みだが)、
この本を参考文献に挙げておきながら、
ウィーンの思考過程には一切触れてないところをみると、望み薄ですな。

(ああ、いかんいかん、仕事から逃避しちゃってるわ)

  投稿者:甘泉法師 - 2009/03/03(Tue) 17:09  No.6464 
EMANさん

>ウィーンの思考過程には一切触れてないところをみると

http://en.wikipedia.org/wiki/Wien's_displacement_law を見ました。

Explanation and familiar approximate applications
The law is named for Wilhelm Wien, who formulated the relationship in 1893 based on a thermodynamic argument. Wien considered adiabatic expansion of a cavity containing waves of light in thermal equilibrium. He showed that under adiabatic expansion or contraction, the energy of light changes in the exact same way as the frequency. This means that the peak frequency should change with temperature as the energy goes.

Derivation
Wilhelm Wien first derived this law in 1893 by applying the laws of thermodynamics to electromagnetic radiation[1]. As is typically the case with thermodynamic arguments, Wien's derivation determines the functional form of the relationship but does not specify the values of the constants b (in the temperature form) or α (in the frequency form.)

[1] Mehra, J. and Rechenberg, H, "The Historical Development of Quantum Theory", Volume 1 Chapter 1, Springer, 1982

熱力学、断熱過程、エネルギーと振動数の変化具合が同じ という説明がありますね。
E=hνにアインシュタインよりもウィーンが先に気づいていたということでしょうか。
これに気づけば 正準分布exp(-E/kT)に当てはめるだけでょう。

あと、熱統計で困ったときの定番 大学演習 熱学・統計力学 久保 亮五 (著) にはどう書いてあるでしょうか。今手元にないので。

=甘泉法師=





  投稿者:EMAN - 2009/03/03(Tue) 17:35  No.6465 
> ウィーンの思考過程には一切触れてないところをみると

 一切っていうのは言い過ぎでしたね。
 Wien considered adiabatic expansion of a cavity containing waves of light in thermal equilibrium.
 とかって書いてありますから。 でもこういう定性的な話はどこにでも書いてあるので無視してました。

> E=hνにアインシュタインよりもウィーンが先に気づいていたということでしょうか。

 これについては、前に紹介した戸塚洋二さんの続きの記事にこう書いてありますね。

(引用開始)
http://kenbunden.net/totsuka/04/03.html
後知恵ですが、ウィルヘルム・ウィーンは、なぜ、光のエネルギーが振動数に比例するということを深く考えなかったのでしょうか。E=hfという式は、当時の理論では全く理解できなかったのですから。1900年にウィーンはまだ36歳の若さでしたが、当時の考えから抜け出せなかったことを示しています。科学のブレークスルーを導くのがいかに難しいかがわかると思います。
(引用終わり)


 おや、戸塚洋二さんの記事の後の方に、ウィーンの思考過程がちゃんと載ってますね。

(引用開始)
http://kenbunden.net/totsuka/04/02.html
1911年にノーベル物理学賞を受賞したヴィルヘルム・ヴィーン(またはウィルヘルム・ウィーン)は、違う考え方をして、レーリー・ジーンズの法則とは別の式を導き出しました。考え方は、るつぼをピストンのついたシリンダーにして加熱し、ピストンを押し込んだ時にどうなるかを考えたものです。ピストンを押し込むと中の光は圧縮されて温度が上がります。同時にピストンの動きは、ピストンに当たって跳ね返る光の振動数をちょっと大きくする効果を与えます(これは、ドップラー効果によるものです)。このピストンを押し込む作業は、ピストンは動かさずにシリンダーを加熱して同じ温度上昇があった状態と同じだろうと予想するのです。温度を上げると、(ドップラー効果で)振動数が大きくなる、という波の特徴を入れるところがみそです。これから、ウィーンの変位則が出てきます。
(引用終わり)

 一応、偉い先生も、ウィーンの変位則についてのウィーンの考え方を支持しているということなのかな。 あとは数式が合うかどうかだけれど。

  投稿者:甘泉法師 - 2009/03/03(Tue) 17:44  No.6466 
EMANさん 戸塚さんの記事を紹介いただきありがとうございました。

T-NAKAさんの考察
http://teenaka.at.webry.info/200809/article_16.html
も見つけました。

=甘泉法師=

  投稿者:EMAN - 2009/03/03(Tue) 17:49  No.6467 
> T-NAKAさんの考察も見つけました。

 T_NAKAさんが詳しく書かれてるのは「ウィーンの放射法則」なんですよね。
 これはこれで役に立つ記事ですけれど、
探しているのとはちょっと違います。
 ウィーンの放射法則の方は割と数式で説明している人が多いのです。

  投稿者:yuya - 2009/03/03(Tue) 18:50  No.6471 
ほとんど役に立たないかも知れませんが、私が現時点で調べたことをまとめておきます。

■原論文について
・Wienの原論文は1893年に出たらしい。
・ドイツ語(原文)・英語訳は(まだ)発見できず。
・日本語訳は下記の本に収録されているようだが、絶版。
 http://webcat.nii.ac.jp/cgi-bin/shsproc?id=BN0095811X
・当該論文のタイトルの日本語訳は「黒体輻射と熱理論の第二主則との新しい関係」。

……まぁ「図書館で出会ったときに見過ごさないようにしてもらう」程度の役には立つかも知れません。

■Wannierの教科書について
・Wikipedia(英語)に
>A modern variant of Wien's derivation can be found in the textbook by Wannier.
とあるとおり、Wienのオリジナルではないが、Planckの式から導くよりはオリジナルに近い(はずの)導出方法が、
Wannierの教科書(Wikipediaの参考文献[2])に載っているらしい。
http://www.amazon.com/Statistical-Physics-Dover-Books-Chemistry/dp/048665401X/
を見ると、原書はお手頃価格のよう。

http://galileo.phys.virginia.edu/classes/252/BB_Radiation_Details.htm
には、``Thermodynamic Derivation of Stefan's Law''に続いて、
``Thermodynamic Derivation of Wien's Displacement Law''というセクションがあり、
``this argument is from Wannier’s book.''という断り書きのもと、導出過程が書いてある。

■朝永振一郎「量子力学」では……
・変位則のことを「ずれ法則」と呼んでおり、
「温度をいろいろ変化させたとき、空洞のスペクトルがいかにずれるか、
特にスペクトル中の強度最大の場所がいかにずれるか、という法則が得られたことになる。」
という記述がある。

……まぁ、そんなことを言ってたら、
関数の形で書かれた法則は何でも「ずれ法則」になってしまうような気もしますが(^^;)

  投稿者:EMAN - 2009/03/04(Wed) 07:54  No.6477 
yuyaさん、この情報は役に立ちます。

> ・http://galileo.phys.virginia.edu/classes/252/BB_Radiation_Details.htm
> には、``Thermodynamic Derivation of Stefan's Law''に続いて、
> ``Thermodynamic Derivation of Wien's Displacement Law''というセクションがあり、
> ``this argument is from Wannier’s book.''という断り書きのもと、導出過程が書いてある。

 私が[6457]で引用したやり方とは違う感じなので、これが唯一、ウィーンの思想を反映した方法だと考えなくて良さそうです。
 [6457]のやり方には幾つか納得できない部分があるのです。

 まず、(1)式の正当性については確認済み。 壁に対して角度を持っている電磁波の場合でも $ \cos \theta $ がうまく打ち消し合ってくれて、すべてこの形になる。

 ところが、(2)式の $ \D L/L = \D V/3V $ という変形部分が私には解釈不能。
 ピストンの断面積は不変なんだから、分子分母に断面積 $ S $ をかけたら、 $ \D L/L = S \D L/SL = \D V/V $ となるべきではないか?
 それとも $ \D \lambda/\lambda = \D L/L $ から $ \lambda \propto L $ となって、この両辺を3乗することで $ \lambda^3 \propto V $ の意味か? しかしピストンは一方向を考えるだけで十分なはず。

 (4) 式では放射エネルギーの密度だけから温度を推定しているが、スペクトルの形が正しい分布から崩れるかも知れないことについては考慮していないように見える。 壁の存在を考えずにこんな推論をしてもいいだろうか? この計算法は現代においても正当性を持つ解釈だといえるだろうか。

  投稿者:EMAN - 2009/03/04(Wed) 08:11  No.6478 
> この両辺を3乗することで  $ \lambda^3 \propto V $  の意味か? しかしピストンは一方向だけで十分なはず。

 ・・・って、あれ? yuyaさんに紹介してもらった方でもいきなり $ \lambda^3 \propto V $ ってなってるな。
 それに良く見たらどちらも本質的には同じ計算だ。
 どういうこっちゃ?


> この計算法は現代においても正当性を持つ解釈だといえるだろうか。

 とはいうものの、宇宙の背景放射の変化はドップラー効果の考えで説明されてて、実際、観測されてるスペクトルの形も理論どおりなんだよね。 はて?

  投稿者:EMAN - 2009/03/04(Wed) 10:59  No.6482 
> スペクトルの形が正しい分布から崩れるかも知れないことについては考慮していないように見える。

 これについては yuyaさん紹介の資料の方に書いてありますね。
 まだ詳しくは確認していないけど、大丈夫そう。

 残る疑問はなぜ $ \lambda^3 \propto V $ なのかってとこだけになりました。

(仕事やれ > 俺)

  投稿者:甘泉法師 - 2009/03/04(Wed) 11:50  No.6483 
V=L^3 ならば dV/V=3dL/L
V=abL ならば dV/V=dL/L
Vの定義に前者を採用している。ひとつの壁のピストンの動きでは光の一方向の波長にしか影響が与えられないので。
後付け屁理屈御免。

=甘泉法師=

  投稿者:EMAN - 2009/03/04(Wed) 12:44  No.6484 
 そういうことのようですね。
 等方的であることを重視して、
立方体形状を保ったまま体積を変化させている、と。

 反射を周波数変化だけで考えていたので、
等方性が崩れることを見逃していたようです。

 これで先へ進めそうです。ありがとうございます。
 あとは今夜考えることにします。
(いいかげん、本業の方の進み具合が危なくなってきた)

  投稿者:yuya - 2009/03/04(Wed) 13:02  No.6485 
>等方的であることを重視して、
>立方体形状を保ったまま体積を変化させている、と。

朝永『量子力学I』第2版§5(ii)第3段落(手元の本ではp.21)には、
「ただし、計算を簡単にするために、空洞の形はいつも立方体になっているようにするものと考えよう。」
という記述がありますね。
もっと早く見つけてれば良かったのですが……まぁ、ダメ押しということで(^^;)。

  投稿者:yuya - 2009/03/07(Sat) 21:55  No.6531 
Wienの変位則導出の論理構造を整理してみると、

(1)古典電磁気学から導かれる放射圧
(2)Stefan-Boltzmann則
(3)断熱変化におけるDoppler効果の仮定

によって導かれるわけですよね。

(1) $dU = -pdV = (- u / 3)dV$ (断熱変化)において、 $u \equiv U / V$ を用いて
 $dU = (- U / 3V)dV$ 
 $dU / U = (- 1 / 3)(dV / V)$ 
すなわち  $ U \propto V^{- 1 / 3}$ 
これを(2)Stefan-Boltzmann則に加味すると
 $T^4 \propto u \equiv U / V \propto V^{-4/3}$ 
ゆえに $T \propto V^{- 1 / 3}$ 

……ここまではWienが新たな仮定を置かなくとも導かれるはずです。
これに加えて(3) $\lambda \propto V^{1 / 3}$ という仮定を置くことにより、
 $\lambda T = \mbox{const.}$ という変位則が導かれます。

ということは、変位則におけるWienのオリジナリティは
(3)のDoppler効果だけ、ということになるのでしょうか。

なお、上の導出やPowerPointの資料における $\lambda$ は、
個々の固有振動の波長を指していると思います。
一般に「Wienの変位則」と呼ばれているのは、
スペクトルにおいて強度最大となる波長 $\lambda_{\mbox{max}}$ が $T$ に反比例する、というものなので、
導出にはもう1ステップ必要なのかなぁ、と思いつつ勉強中です……。

  投稿者:EMAN - 2009/03/08(Sun) 15:24  No.6538 
> 導出にはもう1ステップ必要なのかなぁ、と思いつつ勉強中です……。

 そうなんですよねぇ。
 「ステファンボルツマンの法則は各波長成分ごとに成り立っているから」という仮定で、ピークの波長は変化後もピークへ移動すると説明しているようなんですけど、私はまだこの仮定の正当性に納得が行ってません。 考え中です。

  投稿者:EMAN - 2009/03/11(Wed) 21:41  No.6574 
> 私はまだこの仮定の正当性に納得が行ってません。

 「ステファンボルツマンの法則は各波長成分ごとに成り立っているから」というのは多分、本当に仮定に過ぎず、そこから論理を進めた結果が実験結果と合うから正しいだろう、というような論理になっているのではないかと思うようになりました。

 しかしだとしたら、完全な意味での理論的証明にはなっていないのではないかなぁ。 そもそも変位則にしたって、理論の前に実験で分かっていたことなのだし。

  投稿者:yuya - 2009/03/12(Thu) 13:00  No.6579 
EMANさん[6574]:
>「ステファンボルツマンの法則は各波長成分ごとに成り立っているから」と
>いうのは多分、本当に仮定に過ぎず、そこから論理を進めた結果が実験結果
>と合うから正しいだろう、というような論理になっているのではないかと思
>うようになりました。

確かに、前に引用した
http://galileo.phys.virginia.edu/classes/252/BB_Radiation_Details.htm
にも、

>Wien argued that Boltzmann’s thermodynamic analysis (previous section) could be
>applied to just the radiation in a small frequency interval,

とありますね。英語のことはよく分かりませんが、`argue'を辞書で引くと、
「議論する」という意味のほかに、「主張する」という意味も載っています。
``Wien argued that ...'' というのは、
「Wienが議論・推論のすえ(that以下の内容)に到達した」という意味ではなく、
「Wienは単に(that以下の内容)を主張した・仮定した」という意味なのかも知れません。
それ以上のことは原論文かWannierの教科書を読まないと分かりませんね。

Stefan-Boltzmann則と結びつけると大胆な仮定のように見えますが、
突き詰めて考えれば、断熱変化でDoppler効果が起こるという仮定と同時に、
「振幅の増え方が元の振動数によって異なることはなく、平等に増幅される」……(*)
という仮定を置くことで、「ピークは変化後もピーク」という結論自体は導出されますね。
(*)であっても、あくまで仮定であることに違いないとは思いますが、
どれくらい無茶な仮定なのかは、あまり知識のない私には判断できません。
実際、どうなのでしょうねぇ。

ついでですが、
http://homepage2.nifty.com/eman/statistic/stefan.html
の「理論的導出」のセクションで、数式が登場する直前に
>力というのは 1 秒あたりの圧力変化のことであり、
とありますが、「圧力変化」ではなく「運動量変化」ではありませんか?

  投稿者:EMAN - 2009/03/12(Thu) 13:24  No.6580 
> 「振幅の増え方が元の振動数によって異なることはなく、平等に増幅される」

 この「平等に増幅される」って表現、分かりやすくていいですね。 まさにそういうこと!
 とりあえず、この線で記事を書いてみて、読者の反論があるかどうかを待ってみることにします。

> 「圧力変化」ではなく「運動量変化」ではありませんか?

 ほんとだ。 後で直しておきます。 ありがとうございます。

  投稿者:甘泉法師 - 2009/03/12(Thu) 16:08  No.6583 
EMANさん 

波長は等倍変化   λ’= βλ    
強度不変  i(λ)dλ = I(λ’)dλ’  i、Iは増幅の前、後 
ln i(λ)= ln β + ln I(λβ)
∂/∂λ ln i(λ)= ∂/∂λ ln I(λβ)
= β ∂/∂x ln I (x)|x=λβ
∂/∂λ ln i(λ)|λ=λmax = 0 ならば
∂/∂x ln I (x)|x=βλmax = 0
すなわち λ’max = βλmax

すでによくおわかりのところの自問自答、ご容赦ください。
=甘泉法師=


  投稿者:yuya - 2009/03/12(Thu) 17:24  No.6585 
甘泉法師さん[6583]:
>強度不変  i(λ)dλ = I(λ’)dλ’  i、Iは増幅の前、後 

Stefan-Boltzmann則から、 $i(\lambda)\D\lambda = \beta^4 I(\lambda')\D\lambda'$ 
が正しいのではないでしょうか?
ここで $\lambda' = \beta\lambda$ 、 $\D\lambda' = \beta\D\lambda$ より $i(\lambda) = \beta^5 I(\beta\lambda)$ 、
以後は甘泉法師さんの書かれたのと同じ議論ができますね。
ただし係数の $\beta$ が $\beta^5$ に変わりますが、とにかく $\lambda$ に影響されない、
温度比だけで定まる定数が掛かっている(平等増幅)ところがミソですね。

  投稿者:甘泉法師 - 2009/03/12(Thu) 18:08  No.6588 
>が正しいのではないでしょうか?

ドップラー効果で波の振幅はかわらない、というのが眼目のつもりです。
ここで強度とは振幅 または 振幅^2 の意味で使っていますが、ウィーンの法則の原義とあっているでしょうか。間違いご指摘いただければ感謝します。

=甘泉法師=


  投稿者:yuya - 2009/03/12(Thu) 19:15  No.6590 
甘泉法師さん[6588]:
>ドップラー効果で波の振幅はかわらない、というのが眼目のつもりです。

なるほど。確かに、Doppler効果の仮定だけでは振幅が変わる理由がありませんが、
「振幅不変」だと実験事実に反してしまうところが問題かな、と思いました。

気になるのは、この仮定でも変位則がちゃんと導かれているということは、
「平等増幅」(振幅不変でもよい)の仮定さえあれば、Stefan-Boltzmann則は不要なのか??ということです。
しかし、よく考えるとこれは早とちりでした。
 $\lambda'_{\mbox{max}} = \beta \cdot \lambda_{\mbox{max}}$ を導くまでは確かに不要ですが、そこから $\lambda_{\mbox{max}} \cdot T = \mbox{const.}$ を言うためには、
 $\beta = \lambda' / \lambda = (V' / V)^{1/3}$ が $T / T'$ に等しいことを用いなければならず、
ここでStefan-Boltzmann則が効いてくるわけですね。

論理構造を深く掘り下げるきっかけになりました。ありがとうございます。

  投稿者:EMAN - 2009/03/23(Mon) 08:56  No.6625 
まだ図が出来てなくて未完成ですが、ご報告まで。

こんな感じに仕上がりつつあります。
http://homepage2.nifty.com/eman/statistic/wien.html

ありがとうございました。

  投稿者:yuya - 2009/03/24(Tue) 00:59  No.6633 
おぉ〜、力作になりましたねぇ!
EMAN先生、ご苦労さまです(と、日記に賛同してあえて使ってみる)。

このスレッドの議論には深く参加させてもらったので、もはや新たに学ぶことは少ないかな、と思っていましたが、
いざEMANさんの記事を読むと、自分の考慮していなかった点がたくさんあり、勉強になりました。

>さあ、この条件から、 $R(\nu, T)$ がどんな形の関数であるべきか、類推せよ!

からの部分の説明が、必要以上に複雑に考えすぎているように見えます。

Stefan-Boltzmann則のインテグラルを取り去った等式は、
 $\nu / T = \nu' / T'$ を満たす任意の2組の $(\nu, T)$ 、 $(\nu', T')$ に対してのみ成り立つことに注意し、
いま、 $T'$ として【たまたま】 $1$ を選べば、 $\nu' = \nu / T$ であり、
<tex>R(\nu, T) = T^3 R\left(\frac{\nu}{T}, 1\right)</tex>
が成り立ちます。これは、 $R(\nu, T)$ の値が欲しいとき、
 $T$ ごとにいちいちスペクトルのグラフを描かなくとも、
基準となる「1ケルビンのときのスペクトル」だけを描いておけば、
そこでの $R(\nu / T, 1)$ を読みとって $T^3$ 倍することで、
任意の $R(\nu, T)$ が得られることを意味します。
もはや $R(\nu / T, 1)$ は $\nu / T$ についての1変数関数ですから、これを $f(\nu / T)$ と置けば、
<tex>R(\nu, T) = T^3 f\left(\frac{\nu}{T}\right)</tex>
と書くことができます。これでも全く問題ありませんが、あえて $\nu$ が目立つように
<tex>R(\nu, T) = \nu^3 \cdot \frac{R(\nu / T, 1)}{(\nu / T)^3}</tex>
と変形すれば、右辺の分数部の分子だけでなく分母もひっくるめて $f(\nu / T)$ と置くことができ、
(係数の $a$ は別にして)EMANさんの記事と同じ結果が得られます。

追記:
<tex>R(\nu, T) = T^3 R\left(\frac{\nu}{T}, 1\right)</tex>から、
「 $T$ ケルビンのスペクトル図は、 $1$ ケルビンのスペクトル図を、
ヨコに $T$ 倍、タテに $T^3$ 倍に拡大したもの」と言うことができます。
だから面積は $T^4$ 倍、つまりStefan-Boltzmann則が成り立つわけですね。
あぁ、すっきり(笑)。


  投稿者:EMAN - 2009/03/24(Tue) 11:56  No.6636 
> おぉ〜、力作になりましたねぇ!

 おお、分かってくれますか、この苦労。
 まぁ、楽しみながら作ってるので苦痛ではないのだが。
 図なんかは作り始めて気が付くと、3,4時間過ぎてたりする。

> EMAN先生、ご苦労さまです(と、日記に賛同してあえて使ってみる)。

 いや、先生と呼ばれるほど偉くはないですよ。
(と敢えて返しつつ、身を引き締める。)
 おお、ダブルで来てたのか。 気付かなかった。(笑

> 必要以上に複雑に考えすぎているように見えます。

 ああ、なるほど。 やっとすっきりした。
 ちょっと書き換えますね。 今日じゃないけど。

  投稿者:甘泉法師 - 2009/03/26(Thu) 17:53  No.6646 
EMANさん 労作拝読させていただきました。


ウィーンの思考実験は、
温度Tで熱平衡にある真空中の電磁場をきりだして完全反射断熱壁の容器にいれてみて体積を変化させる実験
と理解します。体積変化に対するエネルギー密度の変化を考えることによりu(λ,T)、エネルギー密度のうち波長λのになう分のこと、のλーVひいてはλーT関数形についてわかることがある、というのが骨子と理解します。

ドップラー効果による箱の中の波の(山谷のペアの)数の増を考えてuの満たすべき方程式は
∂/∂V (λ^2 u V) = - λ/3V ∂/∂λ (λ^2 u V)    参考(14.66)式

解はφ,fを任意の関数として λ^2 u V = φ(V/λ^3)= V/λ^3 f(V/λ^3)
と書ける。 御Web記事(2)式 T^3 V = const から  V/λ^3 ∽ (1/λT)^3 から fを定義しなおして、ウィーンの法則    

u(λ,T)=1/λ^5 f(λT)          参考(14.59)式

この式をλについて微分して0とする関係式は
5f(λT)−λTf’(λT)= 0
この方程式の解 λmT は温度に依存しない(ウィーンの変位則)。

(参考)
丸善物理学基礎コース
電磁気学II 太田浩一著 2000年10月
14.6 ヴィーンの法則


>容器の内壁が鏡のような完全反射体になっていて、しかも外部の熱を完全に遮断しているという特殊素材を>想定したら良いだろうか。
>それでも困るのだ。 一体、壁と熱平衡にない状態での電磁波の温度とは何だろう。 

完全反射断熱体の容器と中身は、熱の出=熱の入(=0)なので熱平衡の語義とあうのでないでしょうか。例えば外気が20℃で理想的断熱ポットの中のお湯が90℃なら全空間で熱平衡になっている、といって誤りでしょうか。

(参考)
Wikipedia 熱力学的平衡
熱力学では、接している二つの系の間にみかけ上熱の移動がなくなったとき、熱平衡に達したという。

 なお(14.66)式は上述のドップラー効果をうけた後の状態が熱平衡状態なのかそうでないのかと関係ないものと理解しています。いかがでしょうか。

ご参考になる点があれば幸いです。

=甘泉法師=

  投稿者:甘泉法師 - 2009/04/09(Thu) 16:35  No.6745 
Re: ウィーンの変位則 甘泉法師 - 2009/03/26(Thu) 17:53 No.6646

図書館でもっとていねいに読んだので報告します。

熱放射が充満した容器の一方にとりつけたピストン。外向きを正に、断熱的に一定速度vで時間Δtだけ動か

す。単位面積のピストンの壁に入射角θでぶつかる波長λ、幅dλの放射エネルギー

ΔP=cu dλdΩ/4π cos θΔt   (14.60) 
放射の運動量 ΔP/c  力 (2ΔP/cΔt)cosθ
放射がピストンに行う仕事 FvΔt=2βcosθΔP β≡v/c
反射後の放射エネルギー (1−2βcosθ)ΔP。 減少。
ドップラー効果  λ(反射)≒(1+2βcosθ)λ βの一次で

反射すれば 「波長がλ、幅dλ」になる放射は 反射する前は
波長が λ/(1+2βcosθ) 幅が dλ/(1+2βcosθ) 
エネルギーが u(λ/(1+2βcosθ))dλ/(1+2βcosθ) (14.62)
(14.62)に (1−2βcosθ)をかければ反射後のエネルギーになる。
よって容器中の放射エネルギーの変化は

Δ(uV)=cΔt ∫dΩ/4π {(1−2βcosθ)/(1+2βcosθ)u(λ/(1+2βcosθ)

) −u(λ)}cosθ   (14.64)
  
βでテーラー展開して一次は 
Δ(uV)=cΔt ∫dΩ/4π {−4βu(λ)−2βλ∂u(λ)/∂λ}cos^2θ (14.64



角度積分をする。 
∫dΩ/4π cos^2θ = 1/2 ∫sin θ cos^2θ dθ[0,π/2] = 1/6 

よって

Δ(uV)= −1/3 λ∂u/∂λ ΔV −2/3 uΔV (14.64)
     = −1/(3λ) ∂(λ^2u)/∂λ ΔV   
両辺に λ^2/ΔV をかけ、さらに右辺にはV/Vをかけ∂の内外に配すると
∂(λ^2 uV)/∂V = −λ/3V ∂(λ^2uV)/∂λ  (14.66)
以上。


<感想>
・壁ピストンは一方だけで数字「3」があらわれました。  
・太田のように
  u(λ、T)=1/λ^5 f(λT)   (14.59) 
 をヴィーンの法則と称すれば、これはプランクの式も場合のひとつとして含むので、成り立つ。
 f(λT)にマクスェル分布の式をいれたものをヴィーンの法則と称するなら法則は成り立たない。

=甘泉法師=




  投稿者:甘泉法師 - 2009/04/10(Fri) 16:00  No.6749 
追記

感想3
(14.64)の右辺はボルツマン方程式のボルツマンの衝突項に似ている。
第1項はピストンとの衝突によって波長λの反射光が生まれる過程を、第2項はピストンとの衝突によって波長λの入射光が失われる過程を表す。

=甘泉法師=

  投稿者:甘泉法師 - 2009/04/13(Mon) 18:28  No.6756 
Re: 投稿者:甘泉法師 - 2009/03/12(Thu) 16:08 No.6583

>強度不変  i(λ)dλ = I(λ’)dλ’  i、Iは増幅の前、後

反射の前後でエネルギーは不変でないので前提は間違いでした。発言内容を取り消します。

=甘泉法師=
 


  投稿者:甘泉法師 - 2009/04/16(Thu) 16:59  No.6777 
Re:投稿者:甘泉法師 - 2009/03/26(Thu) 17:53 No.6646

>なお(14.66)式は上述のドップラー効果をうけた後の状態が熱平衡状態なのかそうでないのかと関係ないものと理解しています。いかがでしょうか。

自発言の訂正です。

ピストンの動きによるドップラー効果をうけた後の状態は熱平衡状態です。

ウィーンが変位則を導くために発見した関係式 u(λ,V)= λ^−5 Φ(V/λ^3) は 断熱圧縮の式

 電磁場の単位体積あたりのエネルギー u と圧力pの関係
 p=u/3
 と熱力学の関係式を使うと空洞放射のエネルギー密度
 u=aT^4  シュテファン=ボルツマンの法則
 空洞放射のエントロピーは
 S=4/3 aT^3 V
 温度Tの光を断熱完全反射の内壁の容器にいれ断熱圧縮すると
 凾r=0 から T^3 V = 定数

から、ひいては Tの関数になるので。

なお光どうしは衝突しないので、全部の光に波長変化をおこさせ熱平衡を保つには3方のピストンをいっしょに動かす必要があります。

Re:投稿者:甘泉法師 - 2009/03/04(Wed) 11:50 No.6483

>V=L^3 ならば dV/V=3dL/L
>V=abL ならば dV/V=dL/L
>Vの定義に前者を採用している。ひとつの壁のピストンの動きでは光の一方向の波長にしか影響が与えられないので。

これも訂正です。
数字「3」は一方のピストンの動きだけでもでてきます。 三方のピストンを動かしても係数は3のままかわりません。

=甘泉法師=

  投稿者:甘泉法師 - 2009/04/16(Thu) 18:50  No.6778 
EMANさん ウィーンの御記事で


>νL=一定

>ν∝T

νとL、νとTはそれぞれ独立変数なので、この式(だけ)を見るとおかしいです。
表現を改良できないでしょうか?



シュテファンボルツマンの法則
∫R(ν、T)dν /T^4 = 一定

>νとν’ と の関係は、既に導いた (5) 式の関係によって、

積分の式でν’は積分パラメターにすぎず、「関係」は設定できないのではないでしょうか?

シュテファンボルツマンの法則
∫R(ν、T)dν /T^4 = 一定
  ↑
∫R(ν、T)/T^3 d(ν/T)= 一定
  ↑
ウィーンの関係式
R(ν、T)/T^3=F(ν/T)
R(ν、T)=T^3 F(ν/T) 

下から上は言えますが、上から下は言えるのでしょうか?

=甘泉法師=



  投稿者:甘泉法師 - 2009/04/16(Thu) 19:11  No.6779 
PS
昔A≠今B の場合、昔Aと今Bにアイディティの継続が認められれば
「変わった」 といい そうでなければ単に「違う」という。
 変わらないもの(アイデンティティ)があるから変わる と言葉遊びができますが、
このνの変化を「シフト」「変わった」と言える光のアイデンティティ、他との区別のつけかた、保存量があるのでしょうか?

駄文失礼

=甘泉法師=

  投稿者:yuya - 2009/04/16(Thu) 23:21  No.6780 
私が先に意見を書くのも気が引けますが……。

>νとL、νとTはそれぞれ独立変数なので、この式(だけ)を見るとおかしいです。
>表現を改良できないでしょうか?

さまざまな振動数の波が混在しており、それぞれが独立に $L$ と反比例( $T$ と比例)し、
その比例定数も波ごとに異なる、というわけですね。

波に番号を振り、各波の振動数が $\nu_i$ から ${\nu_i}'$ に変化したとすれば、 $i$ ごとに
 $\nu_i / T = {\nu_i}' / T'$ が成り立つ、と。

>>νとν’ と の関係は、既に導いた (5) 式の関係によって、
>
>積分の式でν’は積分パラメターにすぎず、「関係」は設定できないのではないでしょうか?

私も初め引っ掛かりました。
「インテグラルを取り去っても成り立つと仮定する」と言っても、
もちろん勝手な区間同士で等しくなるわけではなくて、
上記の同じ番号( $i$ )同士についてのみ成り立つ、という仮定であることに注意が必要です。
(このことは[6633]でも注意喚起しました。)
すなわち、まさに(5)式のもとで特別にインテグラルを外すことができる(と仮定している)わけで、
 $i$ を指定したことにより、 $\nu'$ すなわち ${\nu_i}'$ はもはや単なるパラメータではなく、
対応する $\nu_i$ と(5)式で結ばれる実体になる、ということですね。

>下から上は言えますが、上から下は言えるのでしょうか?

「上から下は言えないよ、だからあくまでWienによる仮定だよ」ということは
EMANさんの記事で充分に強調されているように思われるのですが……。

>このνの変化を「シフト」「変わった」と言える光のアイデンティティ、
>他との区別のつけかた、保存量があるのでしょうか?

なるほど〜。この問いかけに対する答えはともかくとして、
確かに、Wienの議論はもとの振動数ごとの波のアイデンティティを強烈に意識しないと理解できないですね。
難しさの原因はここにあったのか、という感じです。

  投稿者:EMAN - 2009/04/17(Fri) 14:59  No.6784 
>νとL、νとTはそれぞれ独立変数なので、この式(だけ)を見るとおかしいです。
>表現を改良できないでしょうか?

 甘泉法師さんのご指摘の内容は yuya さんの助けもあって分かったつもりですが、今のところは、こりゃ直さなきゃ、という気は起きない状態です。(私も書いているときに多少の違和感はあったけれど。)

 どっちにしてもここは読者に頭をひねってもらわないといけないところなんで、話に付いてきてれば数式が多少正確でなくても意味は通じるだろう、といった感じでおります。

 ここで躓く人があまりに多い、という感じなら見直しますけど。 ちょっと時間を置いて、自分で客観的に読み直してみて考えようと思ってます。

  投稿者:甘泉法師 - 2009/04/21(Tue) 08:04  No.6790 
yuyaさん EMANさん 
了解いたしました。 ありがとうございます。

PS
http://worldscibooks.com/phy_etextbook/4683/vol_1/4683_chap1_1.pdf
のP.8〜11に 「Wien's first paper」 の説明を見つけました。
P.12 の最初に、Planckが角度をもって衝突する場合へ一般化した、
とあるのが、先に書いた高橋の教科書の記述と思われます。

=甘泉法師=

  投稿者:EMAN - 2009/04/21(Tue) 09:36  No.6792 
> 了解いたしました。 ありがとうございます。

 こちらこそ。
 指摘いただいたことはもっともなんで、
この数日も頭の片隅で幾つかの考えを練ってます。
 いつか書き直すときに思い出して参考にしようと思います。

> Planckが角度をもって衝突する場合へ一般化した、とあるのが、

 ほんとうだ。 ありますねー。

 色んな人が寄ってたかって理論に手を加えてたり、
十年くらいあとになって本人が理論をまとめ直したりしてるんで、
アイデアの原点を追いかけるのは大変ですね。

 調べていくと、キルヒホッフやらウィーン以前にも
ヒントとなるような意見を提案した人がいるようで、
その流行の上に彼らの理論があったりしますし。
(図書館でちらっと読んだだけで、
どんな話だったか今はちょっと思い出せませんが。)