EMANの物理学 過去ログ No.6358 〜

 ● 重心系からみた衝突運動

  投稿者:ksk - 2009/02/11(Wed) 18:25  No.6358 
こんにちは。

一応自分で解けたのですが、解釈等ご指摘お願いします。


同一鉛直面内にある等しい長さの2本の糸のそれぞれに、質量の等しい質点A、Bをつるす。
Bは鉛直にたらして静止させ、Aは糸を張ったまま少し持ち上げて静かに放す。
初めAがBに衝突する直前のAの速度をV、はね返り係数をeとし、
n回目の衝突直後のA、Bの速度Va.n、Vb.nを求めよ。(AはBの左側にあって、右向きを正とします)

という問題でして、
結論から言うと、この問題では重心速度は一定ではないですよね?一定だとすると重心がどっか遠くへ行ってしまいます。
しかし、はじめぶつかる瞬間の重心速度はVG=V/2となります。
重心系でみれば、ABは等質量なので重心に向かう速度はVaG=V/2,VbG=-V/2であり、衝突後はそれぞれ速度が-e倍され、
Va.1=-e VaG +VG=(1-e)V/2 
Vb.1=-e VbG +VG=(1+e)V/2という風に求められます。

その後2回目にぶつかるときは対称性からVG= -1 V/2になるかな〜、と思い、そのようにして解いたところ正解にはたどり着きました。
( 詳しくは 1回目の衝突後〜2回目の衝突直前でそれぞれの速度が入れ替わるから、VG = (-Va.1 -Vb.1)V/2 = -1 V/2 とやりました)

Va.n=VaG.n + (-1)'n-1 VG = ((-1)'n-1 -e'n)V/2
Vb.n=VbG.n + (-1)'n-1 VG = ((-1)'n-1 +e'n)V/2


で、この重心速度が変わるのは、水平成分の外力 すなわち張力の水平成分によるということで良いのですか? 
しかし張力はABそれぞれには仕事をしないから、仕事をする重力が原因か!? 
しかし重力は鉛直成分のみだから、それだったら水平成分の運動量は保存されるからVG = 一定 だよな〜。
というか衝突後は糸の張力による水平成分の外力があるから運動量が保存しないじゃないか。

とかいろいろ考えていると頭が混乱してしましました。
ご回答お願いします


それと、皆さんだったらどう解きますか?


  投稿者:yuya - 2009/02/11(Wed) 20:24  No.6359 
kskさん、こんにちは。

>とかいろいろ考えていると頭が混乱してしましました。

この問題では質点が2個登場していますが、
kskさんの疑問の核心は、質点が1個であっても同じことなのでは?という気がします。

単一の振り子を考えたとき、重心の速度すなわち質点の速度は、
あっちに行っては引き返し、こっちに来ては引き返し、を繰り返すわけで、
引き返す瞬間は速度ゼロ、また最下点ではスピードが最大になりますよね。
つまり、まぎれもなく重心速度が変化しているわけですが、
これが「なぜなのか」納得することができれば、もとの疑問も解決するのではないでしょうか。

>それと、皆さんだったらどう解きますか?

私だったら、わざわざ「重心から見た速度」といった難しい考え方をせずに、
単純に求めようとすると思います。

衝突前に $-V_{a_{n - 1}}$ および $-V_{b_{n - 1}}$ であった速度が、
衝突により $V_{a_n}$ および $V_{b_n}$ になったと考れば、
 $V_{a_0} = - V$ 、 $V_{b_0} = 0$ とするのが自然です( $V_{a_0} = V$ としていないことに注意)。

運動量保存則より
 $V_{a_n} + V_{b_n} = - (V_{a_{n - 1}} + V_{b_{n - 1}}) = \cdots = (-1)^n(V_{a_0} + V_{b_0}) = (- 1)^n \cdot (- V)$  ……(ア)
跳ね返り係数の定義より
 $V_{a_n} - V_{b_n} = e(V_{a_{n - 1}} - V_{b_{n - 1}}) = \cdots = e^n (V_{a_0} - V_{b_0}) = e^n \cdot (- V)$  ……(イ)

(ア + イ) ÷ 2 から  $V_{a_n} = \{ (-1)^n + e^n \} \cdot (- V / 2)$ 
(ア − イ) ÷ 2 から  $V_{b_n} = \{ (-1)^n - e^n \} \cdot (- V / 2)$ 

となり、kskさんの答えと一致しました。

  投稿者:ksk - 2009/02/11(Wed) 21:10  No.6360 
yuyaさん、ありがとうございます。

同じことなんですか。つまり巨視的に見るってことですか?
ここでは2つの質点(1つの質量m)ですが、その2つの質点の重心の位置に質点(2m)があると考えれば、結局単振り子であるということで良いというわけですか!

>単純に求めようとすると思います
重心系で見れると計算だけに埋もれないで、楽に解けることもあるので練習として解いてみたのですが、やはりこの問題では普通に解いた方が良さそうですね(^^;

  投稿者:yuya - 2009/02/12(Thu) 19:49  No.6361 
kskさん:

>同じことなんですか。つまり巨視的に見るってことですか?

そこまで深い意味で書いたわけではなかったんですが、少なくともkskさんの書かれた

>で、この重心速度が変わるのは、水平成分の外力 すなわち張力の水平成分によるということで良いのですか? 
>しかし張力はABそれぞれには仕事をしないから、仕事をする重力が原因か!? 
>しかし重力は鉛直成分のみだから、それだったら水平成分の運動量は保存されるからVG = 一定 だよな〜。
>というか衝突後は糸の張力による水平成分の外力があるから運動量が保存しないじゃないか。

といった疑問・考察に関しては、単一の振り子にも共通するところが多いので、
まずはこちらでじっくり考えてから、2個の場合に移行したほうがいいのでは、と思いました。

(再掲)
>で、この重心速度が変わるのは、水平成分の外力 すなわち張力の水平成分によるということで良いのですか? 

物体の運動は、物体にかかる全ての力の合計によって定まるのであり、
どの変化がどの力に起因するか、というのは無意味とも言えるのですが、それは承知の上で、
「速度の水平成分に変化が見られるのは、張力が水平成分を有しているからこそである」
と言うことはできると思います。

>しかし張力はABそれぞれには仕事をしないから、仕事をする重力が原因か!? 

確かに(ここでの)張力は物体に仕事をしませんが、そこから言えることは
「張力だけでは物体の速度の【大きさ】を変えることはできない」
ということです。しかし、このような力は速度の【方向】を変えることができるため、
成分ごとに見たときに変化があっても何も不思議はありません。

具体的に、振り子が左から中央(最下点)に向かっているときを考えてみましょう。
このとき、物体は右下向きの速度を持ち、これに垂直に張力が右上向きにかかっています。
したがって、張力は物体の水平右向きの成分を増大させると同時に、鉛直下向きの成分を減少させます。
この結果、(仮に張力単独なら)速度ベクトルの大きさはそのままで、方向だけが変化します。
水平方向に関してはこれだけで速度成分の変化が定まり、
鉛直方向に関しては、上記の作用に重力を加味して決定されます。

>ここでは2つの質点(1つの質量m)ですが、その2つの質点の重心の位置に質点(2m)があると考えれば、
>結局単振り子であるということで良いというわけですか!

重心の運動(直接には見ることができませんが)を考える限りにおいては、
運動のはじめから単一の振り子と同一視することができます。
すなわち、弾性/非弾性衝突にかかわらず、振幅が変わることなく永遠に往復することになります。

特に非弾性衝突( $e < 1$ )の場合、衝突のたびにエネルギーが失われますが、
重心の運動エネルギーは変化せず、いわゆる「相対運動のエネルギー」の部分が減少していきます。
これにより、重心を取り巻くA・Bの「散らばり具合」が小ぶりになってゆき、
無限の時間がたてば両者は一体となって、ほんとうに(?)単一の振り子として振る舞うことになります。

実際、 $V_{A_n}$ ・ $V_{B_n}$ の計算結果に対して、 $n \to \infty$ の極限を考えると、
 $n$ が奇数のとき $\lim V_{A_n} = \lim V_{B_n} = V / 2$ 
 $n$ が偶数のとき $\lim V_{A_n} = \lim V_{B_n} = - V / 2$ 
となり、最終的には両者が一体となって、最下点を $\pm V / 2$ の速度で通過しながら往復することが分かります。


  投稿者:hirota - 2009/02/13(Fri) 11:30  No.6363 
混乱するのは、余計な思い込みがあるのでは?
(直接の力と仕事をする根本原因の混同とか、拘束系でも運動量保存が成り立つと思ってるとか)
重力がなければ張力もないから、重力が根本原因で仕事をしてる。
糸(拘束の結果が張力)は重力が働く向きを変えてるだけ。

>皆さんだったらどう解きますか?
周期一定の近似をしないと、とても解けません。
(サイクロイド振り子なら周期一定なんだがなー)

  投稿者:ksk - 2009/02/13(Fri) 20:48  No.6365 
yuyaさん

丁寧なご説明ありがとうございます。
よく理解できました。
結局、K.Eの変化量と仕事の関係から考えれば、
張力は仕事をしないので張力によっては運動の向きが変えられるだけで速さは変化しないわけですね。
最下点通過後は重力の仕事によりいずれ速度が0になり、
再び最下点に戻ったときは、その前に通過したときと比べ重力によるP.Eの変化はないので、
結局、向きが逆転して速さは等しいというわけですね。


hirotaさん
>周期一定の近似をしないと、とても解けません。
「Aは糸を張ったまま少し持ち上げて静かに放す。」
というところで微小振動の振り子として扱い周期は一定と近似していると思います。
一応高校範囲の出題ですのでご了承ください。