EMANの物理学 過去ログ No.6256 〜

 ● 超伝導のギャップとU(1)対称性の破れについて質問

  投稿者:TAK - 2009/01/09(Fri) 01:29  No.6256 
こんにちは。
超伝導のギャップとU(1)対称性の破れについて質問があります。

超伝導はU(1)対称性を破るかと思います。
しかし、基底状態が自発的にU(1)対称性を破っているとするとGoldstoneの定理からmasslessの励起が存在するはずであるのに、
オーダパラメタは超伝導ギャップというギャップの存在であるというのが矛盾しているように感じるのですが、
どういうことなのでしょうか?

ちょっと考えていて疑問に思ったので質問させていただいました。
ご教授いただければ幸いです。

  投稿者:TAK - 2009/01/09(Fri) 01:32  No.6257 
肝心の南部先生を入れていませんでした…。
南部-Goldstoneの定理です。
失礼しました。

  投稿者:nomercy - 2009/01/09(Fri) 08:53  No.6259 
この問題は超伝導において大事なものだと思います。
ややアドバンストなテキスト
(例えば、シュリーファー)
には必ず説明があります。


>超伝導はU(1)対称性を破るかと思います。

そうだと思います。
ゲージ対称性が破れて、光子が質量を獲得します。
(マイスナー効果)


>基底状態が自発的にU(1)対称性を破っているとするとGoldstoneの定理からmasslessの励起が存在するはずであるのに、

南部・ゴールドストーンの定理には条件があります。
それは
 1.破れる対称性が連続対称性であること
 2.相互作用が短距離であること
です。超伝導体中ではクーロン相互作用がありますが、この長距離性の為に南部・ゴールドストーンモードにはギャップがあいてしまいます。
実はこのモードは通常金属中でのプラズマ振動と同じものになってしまいます。


>超伝導ギャップというギャップの存在

このギャップはクーパー対が壊れる、という個別励起に対するものであり、集団励起である南部・ゴールドストーンモードとは関係がありません。従ってこれ自体は矛盾ではありません。

補足ですが、超伝導であっても、クーロン相互作用の長距離性を考えないと南部・ゴールドストーンモードが存在します。その音速は(フェルミ速度)/√3となります。つまり、
 ・超伝導ギャップが存在し
 ・かつ、南部・ゴールドストーンモードが存在する
が可能になります。


>肝心の南部先生を入れていませんでした…。

南部先生を忘れてはいけませんよね(笑
(去年からは)
しかし、単に「ゴールドストーンの定理」とだけ書いてあることが多いですね。けしからん(笑

  投稿者:TAK - 2009/01/09(Fri) 22:15  No.6262 
nomercyさん有難うございます!

> 2.相互作用が短距離であること
>超伝導体中ではクーロン相互作用がありますが、この長距離性の為に南部・ゴールドストーンモードにはギャップがあいてしまいます。
実はこのモードは通常金属中でのプラズマ振動と同じものになってしまいます。

なるほど。忘れていました。
そもそもクーロン相互作用自体がゲージ場ですからね。U(1)のゲージ対称性を破ったところでゲージ場が質量を持つだけですよね。

プラズマ振動というのは、この場合はヒッグス機構でクーロン相互作用の遮蔽が起こると言うことと同値でしょうか…?

>このギャップはクーパー対が壊れる、という個別励起に対するものであり、集団励起である南部・ゴールドストーンモードとは関係がありません。従ってこれ自体は矛盾ではありません。

なるほど!
自由エネルギーの表式に出てくる場ψは電子の波動関数でなくクーパー対の波動関数であり、
クーパー対に対する南部ゴールドストーンモードを考えると、
磁場がない状況で、クーパー対にはクーロン相互作用が働かない(ゲージ場が入らない、間違い?)と考えるとギャップレスだと言うことですね。

その一方で元々の電子の作用に対して議論するとゲージ場があるのでギャップが開くと。

何か間違っている気もしますが正しいでしょうか…?

>しかし、単に「ゴールドストーンの定理」とだけ書いてあることが多いですね。けしからん(笑

自分もうっかりでしたが全くです(笑)

  投稿者:nomercy - 2009/01/09(Fri) 23:35  No.6263 
>プラズマ振動というのは、この場合はヒッグス機構でクーロン相互作用の遮蔽が起こると言うことと同値でしょうか…?

同値と言ってしまってもいいのかな・・?
その辺は理解してないです。
ただ、プラズマ振動自体は超伝導とは直接関係ないです。
超伝導でなく、通常金属中でも生じるので。


>クーパー対にはクーロン相互作用が働かない(ゲージ場が入らない、間違い?)と考えるとギャップレスだと言うことですね。

更に言えば、短距離な相互作用が働いていてもギャップレスであり続けます。

  投稿者:TAK - 2009/01/10(Sat) 00:32  No.6264 
>南部・ゴールドストーンモードにギャップがあいてしまいます

というのは遮蔽によるプラズモン励起のギャップと対応するのでしょうか?
きっとこれ自体は超伝導ギャップとは関係ないですよね?

>更に言えば、短距離な相互作用が働いていてもギャップレスであり続けます。

これはきっとこの定理の凄いところですね。

まだ自分が怪しい事を言っている気もしますが
なんとなく雰囲気がわかってきたように思います。
有難うございます。

  投稿者:nomercy - 2009/01/10(Sat) 04:33  No.6265 
>きっとこれ自体は超伝導ギャップとは関係ないですよね?

直接は関係ないですね。それは
「短距離な相互作用であれば、超伝導であり(超伝導ギャップが開き)かつギャップレスの南部・ゴールドストーンモードが存在できる」
からです。