EMANの物理学 過去ログ No.6180 〜

 ● ペンチの回転運動

  投稿者:甘泉法師 - 2008/12/24(Wed) 09:46  No.6180 
【ペンチの回転運動】 無重力空間で、ペンチのように形が複雑なものを回転させると、向きを変えながら回転する様子が観察できる。(映像提供 NASA/NASDA)
http://material.miyazaki-c.ed.jp/ipa/rika_tikyuutoutyuu/mourimamoru/mujyuuryokurikajikken/IPA-etu130.htm

記憶違いでなければNHK教育テレビの番組ではこの画像に司会の先生がなぜなのかわかっていないとコメントしていました。説明できないはずはないと思うのですが...
=甘泉法師=



  投稿者:lele - 2008/12/24(Wed) 11:45  No.6181 
私も覚えてます。確かに、解明できていない。。という類のことを言っていたので、とてもビックリしました。こんな剛体の回転で判らないことがあるとは。。。
スプリング付きのペンチで、開き角度が、遠心力の加減で変化するのが、原因かな。。。と推測してましたが、画像を見ると違うようですね。

  投稿者:hirota - 2008/12/24(Wed) 17:57  No.6183 
剛体には3本の直交する慣性主軸があり、それぞれの慣性主軸まわりの慣性能率があります。
そのうち最大および最小の慣性能率を持つ軸まわりに回転してる場合は安定な回転をしますが、中間の慣性能率を持つ軸に近い角速度ベクトルで回転すると大きなニューテーションを起こし、180 度近い姿勢反転を起こします。
映像のペンチ回転は、その現象だと思います。
(すべて数式だと丸わかり、ぜひとも計算して下さい。どっかにニューテーション経路の図はないかなー)

  投稿者:yuya - 2008/12/25(Thu) 09:51  No.6185 
hirotaさん[6183]:
>大きなニューテーションを起こし、180 度近い姿勢反転を起こします。
>映像のペンチ回転は、その現象だと思います。

なるほどー!
このペンチの運動は、決して不規則な運動ではないのですね。

そういう眼でこの映像を何十回も見ていると、確かに規則的な動きをしていますね。
そう感じるまで見続けて良かったなぁ、と思います(笑)。
ペンチの形状に惑わされて、単純なみそすり運動をしているようには見えないですが、
実際にはみそすりの回転軸(角運動量ベクトル)は「ほぼ真横」を向いていて、
自転軸(角速度ベクトル)が「ほぼ真上」と「ほぼ真下」を交互に繰り返しているのでしょうね。

「この映像を見て、重心の位置、角速度ベクトルの軌跡、角運動量ベクトルを(おおまかに)描き入れよ」
なんて試験があったらスゴい。物理のプロの人たちには見えてるんだなぁ……。

  投稿者:大学生A - 2008/12/25(Thu) 10:41  No.6186 
>「この映像を見て、重心の位置、角速度ベクトルの軌跡、
> 角運動量ベクトルを(おおまかに)描き入れよ」
>なんて試験があったらスゴい。

もはや、IQ試験ですな。

  投稿者:hirota - 2008/12/25(Thu) 12:36  No.6187 
角運動量ベクトルも角速度ベクトルもほぼ鉛直方向ですよ。
物体の姿勢が上下に反転してます。
中間の慣性能率を持つ軸と角運動量ベクトルが接近するとニューテーションが遅くなりますから、その間は安定して回転してるように見え、軸と角運動量ベクトルが離れると急速な反転を起こすように見えます。

  投稿者:yuya - 2008/12/25(Thu) 14:24  No.6190 
hirotaさん[6188]:
>角運動量ベクトルも角速度ベクトルもほぼ鉛直方向ですよ。
>物体の姿勢が上下に反転してます。

はぅ、自分で作ったIQ試験に落第した(^^;)
[6175]における $\vec{\alpha}$ と $\vec{\omega}$ の区別が、
いまだに付いていなかったようです。ご指摘ありがとうございます。

極端な話、グリップの先端(2箇所)の位置が変わることなく
ぐるんとペンチが回ったとき、 $\vec{\alpha}$ は大きく変化しますが、
 $\vec{\omega}$ の向きは全く変わりませんね。
映像でペンチが大きく姿勢を変えているように見える期間も、
 $\vec{\omega}$ は鉛直方向に近い $\vec{L}$ のまわりを小振りにみそすり回転しているだけなのですね。

>中間の慣性能率を持つ軸と角運動量ベクトルが接近するとニューテーションが
>遅くなりますから、その間は安定して回転してるように見え、軸と角運動量ベ
>クトルが離れると急速な反転を起こすように見えます。

まさにその点が、次にしようと思っていた質問でした。
重ね重ね、ありがとうございます。

  投稿者:甘泉法師 - 2008/12/25(Thu) 16:46  No.6192 
hirotaさん N0.6183
>(すべて数式だと丸わかり

ありがとうございます。ランダウの力学§37非対称こま の図31
主軸まわりの角運動量を座標とみたてた等エネルギー楕円体面と等角運動量球面の交線の具合を見て、わかりました。 オイラーの運動方程式を見て3成分のうちωiωjの前の係数は 1成分でマイナス、他の2成分でプラスになることも関係があると推測します。

慣性主軸は角運動量ベクトルに対して交線の上を楕円関数であらわされる周期運動をします。オイラーの角はふたつの楕円関数の項の和で表され、周期が通約できないことから、静止座標系に対する位置は二度と同じ状態に戻ることはないとのこと。TVのコメントはこのことをいいたかったのかも知れません。

=甘泉法師=




  投稿者:甘泉法師 - 2008/12/25(Thu) 18:16  No.6193 
PS そのほか参考にしたWeb資料

http://www6.ocn.ne.jp/~simuphys/daen1-anime4.html
楕円体の自由回転アニメーション

http://www.cmt.phys.kyushu-u.ac.jp/~J.Matsui/kaisekirikigaku/docs/e5.pdf
問3,4 テニスラケットの問題

http://www.ph.sophia.ac.jp/~tomi/kougi_note/mechanics.pdf
(7.56)式 微小ω下で線型近似した安定性の判定

ポワンソーの楕円体  Wikipedia

以上