EMANの物理学 過去ログ No.5010 〜

 ● |x>の直交性

  投稿者:三銀杏 - 2008/08/17(Sun) 01:55  No.5010 
EMAN先生、皆様、こんにちは。
日々大変お世話になっております。
今日はちょっとした指摘をさせていただきに参りました。
量子力学のページの「座標表示」のところで、|x>の直交関係の所で少々理解しかねる変形をなさっています。

∫<x'|x>dx = {1 x=x' または 0 x≠x'

とされていますが、xで積分したのに結果がxを含むというのはどうにも解せません。
私もよく理解していないのですが、自分なりに弄りまわして至った結論と言うのは

むしろ
<x'|x>dx = {1 x=x' または 0 x≠x'

ということではないか、ということでした。この場合、∫を左端につけることはシグマ記号をつけることと変わらず、実際にそう表記しますと

Σ<x'|x>dx =…+0+0+0+…+0+1+0+…+0+0+0+…
      =1
となり(もちろん、足す項の数は不加算無限個、アレフ1の世界)、

<x'|x> = δ(x-x')

というデルタ関数による表式とも整合性が取れるのではないか、と思われます。

ということは、δ関数の幅はdxで、高さが1/dxであり、積分をするときにδ関数の極限も連動して取られる、ということなのではないか、とも推測されます(差分系で考えたら、差分を凅とすると、δ関数は幅凅、高さ1/凅の関数として表されるのではないかと考えられます)。

どう思われますか。EMAN先生、皆様、どうかご意見をお聞かせください。

  投稿者:kafuka - 2008/08/17(Sun) 08:07  No.5011  <Home>
横から失礼します。

僕は、
Σ[N=1to∞] <x'|xN>
として、
積分の定義(微小面積の和の極限)から、
=∫<x'|x>dx
というふうに思っております。
尚、
∫[-∞to+∞] δ(x-x') dx=1
ということを、認められるのでしたら、
<x'|x> = δ(x-x')
の両辺を積分すれば、
∫<x'|x>dx =1
ですよね。

  投稿者:三銀杏 - 2008/08/18(Mon) 00:16  No.5013 
kafuka様、お返事ありがとうございます。

<私の疑問点(後半へのレス)>
デルタ関数の積分は1で、それを平行移動した
δ(x-x')
の積分が1になるのも納得しています。同様に、<x|x'>の全区間x積分が1になるのも当然納得です。

というか、
「必ず1になるはずなのに、そうなっていない」
のが問題なのです。問題は、
「または = 0 x≠x'」
と書いてあるところにあります。まるで、積分が0になることがあり、しかも、それを決めるのがxの値だ、ということになり、まるで
∫δ(x-x')dx がxの関数である
というような内容とも取れたのが疑問のもとです。xとx'の関数をxで積分して、xとx'の関数になるわけありませんよね?x'だけの関数になるはずですよね?
これについてご意見お聞かせいただければ幸いです。

<直交関係(前半へのレス)>
私は、ベクトルの内積を関数の内積に拡張したように、
連続ベクトルの内積は積分で書けるのだと考えており、
結局のところ|x>の直交関係が
<x'|x> = δ(x-x')
なのだと考えています。これは
<Ψn|Ψm>=δnm
と対応関係にありますね。同様に
Σ(nに関する)<Ψn|Ψm>=1
に対して、
∫dx<x|x'>=1
が対応していて、これが成り立つように考えれば<x|x'>はデルタ関数以外にありえない、と考えています。

ではまた。

  投稿者:冷蔵庫 - 2008/08/18(Mon) 00:54  No.5014 
No.5013の三銀杏さんには同意です。
蛇足かもしれませんが、

∫[(x-ε)to(x+ε)] δ(x''-x') dx'' = 1(x=x')
                 0 (x≠x')

というように積分範囲を修正すれば正しい式になります。
εは正の無限小量です。

EMANさんがこのようなつもりで書かれたのかはわかりませんが。

  投稿者:sym - 2008/08/18(Mon) 09:41  No.5015 
はじめまして、三銀杏さん。

たとえば x'=x-2(≠x)だとすれば、
積分結果は0ですよね?

わかりにくい説明ですが、とりあえず。。

  投稿者:kafuka - 2008/08/18(Mon) 15:41  No.5017 
>私の疑問点(後半)
>ご意見お聞かせいただければ幸いです.
う〜ん。
国語的な解釈なので、数学的には誤っているかもしれませんが、、、
∫<x'|x>dx = {1 x=x' または 0 x≠x'
を以下のように書き換えれば、
∫<x'|x>dx = 1  (x=x')
∫<x'|x>dx = 0  (x≠x')
()の中は、式についての「単なる条件」です。
「単なる条件」なら、積分した後の関数の変数だけで表現しなければならない
わけではないでしょ。
この場合は、積分した後は、0か1ですから、
0か1になる条件は、x=何とか で表すしかないです。

以上は、僕の思いつきにしかすぎません。
ちゃんとした所は、Sym様、TOSHI様、お願いします。

  投稿者:TOSHI - 2008/08/18(Mon) 17:59  No.5018 
 TOSHIです。

 おーいkafukaさん。。積分変数を勝手に固定しちゃだめですよ。。。

 三銀杏さん,本やウェブの方が(EMANさんでも)うっかり間違ってることはよくあります。名選手でもエラーします。

 お久しぶり,某所のベルヌーイ以来ですね。
                    TOSHI

             

  投稿者:三銀杏 - 2008/08/18(Mon) 19:03  No.5019 
みなさま、沢山のレスありがとうございます。

sym様
xとx'は独立であってもよいはずです。
なぜx'がxによるとしなければならないのかが分かりません。
また、よるとしたら被積分関数は
δ(-2)=0=定数
となって、積分結果もゼロとなります。
いいんですが、そういう計算をするのにどういう意味があるのか僕には分かりません。
しいて言うなら、|x>と|x'>の成分番号(のようなもの)を2だけずらして、一つでも直交でないものがあるならカウントしろ、という演算だと思われますが、ゼロになるに決まっています。{|x>}は(正規直交)完全系なのだから、各基底が成分番号がいくつずれようと(ズレがゼロの時を除きます)、直交しないものが存在するわけありません。だから、カウントの結果である積分も当然ゼロです。

冷蔵庫様とkafuka様
積分領域を変更すると言うことは、完全系によって張られる空間のうち、ある特定の空間をないことにしてしまうことなので、私は積分領域は-∞から+∞で考えなければ無意味だろうと考えています。

冷蔵庫様
ある成分だけ取り出したいとするなら、冷蔵庫様のおっしゃる方法が最も的確かと思われます。その上で冷蔵庫様の式を見直すと、ようするに「ある成分があるかないか」ということを判断するための式(つまり一種の直交関係)だと考えられました。


kafuka様
ちなみに、
「原始関数」として、積分結果がxによるとするなら、
δ(x-x')
の不定積分は、xの立場で見ると、x'を境に突然値が1になるシータ関数です。
 ∫δ(x-x')dx(ただし不定積分)
 = θ(x-x')
 ≡{0 x<x' または 1 x'<x
当然これは、xとx'の2変数関数で、縦軸がx'で横軸がx、高さがθを表す三次元グラフを書くと、傾き1の線のところで、縦軸の方向を向いたとき向かって右側が、高さ1のガケを挟んでどこまでも平らな台地になっているようなイメージになります(そこから範囲無限の定積分に切り替えると、結果は落差そのものである1になることが分かると思います)。

TOSHI様
それにしてもお久しぶりですね。
レスしてくださって、ありがとうございます。

今回は、自分がとんでもない思い違いをしていたのではないかと疑問に思い、あるいは、間違いなら間違いを指摘してEMAN先生の一助となれば幸いであると考え、確認するためにあえて書き込みをさせていただきました。

間違いであるらしい、ということが確認できれて、大変助かりました。ありがとうございます。

それでは、また。

  投稿者:sym - 2008/08/18(Mon) 20:16  No.5020 
>なぜx'がxによるとしなければならないのかが分かりません。

私は以下のように考えています。

|x >は粒子が確実に座標 x に存在する状態
|x'>は粒子が確実に座標 x' に存在する状態
を表す。

2つの状態を表す座標の間には、
x - x' = Const
という関係がある。

言い換えると、
|x'>は位置xから距離Constだけ離れた位置に
粒子が存在する状態を意味する。

-------------------------------------------
どう思われます?

  投稿者:kafuka - 2008/08/18(Mon) 20:54  No.5021 
TOSHI様
>積分変数を勝手に固定しちゃだめですよ
そんなつもりじゃなかったのに、確かにそうなってますね。

三銀杏様
>δ(x-x')の不定積分は、xの立場で見ると、x'を境に突然値が1になるシータ関数です。
ありがとうございます。それは理解していたのですが、、、
><x'|x> = δ(x-x')、、、とも整合性が取れるのではないか
と言われたわけが、やっとわかりました。

皆様、ありがとうございます。

  投稿者:phoebus - 2008/08/18(Mon) 21:02  No.5022 
はじめまして、phoebusといいます。
正規直交基底の表現は次のようになります。

離散型 <i|j>=δ_ij and Σ_i <i|j>=1

連続型 <x|x'>=δ(x-x') and ∫_x dx<x|x'>=1

注意としてここではjはiに依存せず、同様にx'はxに依存しないというここです。
ぼくの意見としては問題になっている量子力学のページの「座標表示」あたりの表現はとりあえず数学的には誤解を招くと思います。
三銀杏さんの言うとおり、xについて積分したのならその結果はxの関数であってはおかしいです。むしろ、積分範囲とパラメータの(汎)関数であるはずです。

  投稿者:EMAN - 2008/08/18(Mon) 21:20  No.5023 
 皆さん、ありがとうございます。
 なるべく早く勉強し直して修正したいと思います。
 電磁気学の件といい、宿題が増える一方ですな。

 今日、妻の実家の稲刈りが終わったので、
明日、本来の仕事場へ戻ります。

  投稿者:三銀杏 - 2008/08/18(Mon) 22:18  No.5024 
EMAN先生
お返事ありがとうございます。

sym様
おっしゃる通り|x>はxのみに粒子が存在する状態ベクトル
とすると、ディラック先生の
・∫|x><x|dx=1が完全系を定める
という主張は
・任意の波動関数は、
 粒子が各点にいる状態の重ねあわせで完全に表せる
という主張と同等だと考えられますね。凄いことを言ったものです。

そう考えるとおっしゃっている意味が分からなくなりました。
|x>は無限に沢山あって互いに直交な「基底」です。
二つの基底の成分番号がいくつ離れているか、
なんてことに意味はないとおもいます。
|x>に対して、成分番号が2はなれた
|x'>≡|x-2>
を考えても結構ですが、そういう前提を置いて何がおもしろいのか僕にはさっぱり分かりません。

  投稿者:sym - 2008/08/18(Mon) 23:31  No.5025 
頑張って、ちゃんと書いてみようと思います。

座標表示の状態ベクトルの直交性は、ふつう、
<x|x'>=δ(x-x')
と簡単に書かれます。しかし、数学的に少し厳密に考えると、
デルタ関数を裸のままにしておくのは、気持ち悪いし、
なかなか不安なものでもあります。

したがって、
<x|x'>=∫δ(x-x') dx
と、きちんと書いたほうが良いでしょう。

このように書き換えると、ただのパラメータだと考えていたxが
とつぜん積分変数に姿を変えます。

あれっ。なにか変ですね。
じつを言うと、これは最初から、おかしかったんです。
つまり、
<x|x'>=δ(x-x')
と表すことに、小さなごまかしが混じっているのです。

<x|x'>
これは、何を表すものでしょうか。
2変数のデルタ関数?
デルタ関数とデルタ関数の内積?
どれも違う、よくわからない、というのが私の正直なところです。

でも、
その意味は簡単に読み取ることができます。
これは2つの状態ベクトルを引数に取り、値を返す関数です。
その意味を読み解くと、
∫δ(x-x') dx = 1  (x=x')
∫δ(x-x') dx = 0  (x≠x')
と書くことに間違いはないと思います。

---------------------------------------------------------
えらそうな雰囲気で書きましたが、あまり自信はないです。。
もし間違っていたら指摘していただけると助かります。

  投稿者:phoebus - 2008/08/19(Tue) 01:57  No.5026 
> <x|x'>これは、何を表すものでしょうか。2変数のデルタ関数?デルタ関数とデルタ関数の内積?
どれも違う、よくわからない、というのが私の正直なところです。

基本的なことですが<x|x'>とはただ単に内積という意味ではなく、|x'>という状態をxの関数として現すという意味です。(状態すなわち'ket'を双対ベクトルすなわち'bra'で評価すること)
たとえば波動関数の座標表示ψ(x)とは<x|ψ>のことです。これを用いれば波動関数の正規直交性はもし
<ψ_i|ψ_j>=δ_ij
ならば
∫dxψ_i^*(x)ψ_j(x) = <ψ_i|∫dx|x><x||ψ_j>=<ψ_i|1|ψ_j>=<ψ_i|ψ_j>=δ_ij
というように表現できます。ここではψを離散型の状態(たとえば原子のエネルギー固有状態)としました。

したがって、|x'>自体はδ関数ではなくて'抽象的な位置固有状態'であってあくまでこれを<x|で評価し、xの関数にした際にδ関数という'表現'を得ます。ここのHPの説明を読む限りおそらくEMANさんもこの誤解をしていると思われます。
以上のことはなぜか日本語のテキストでは触れられていなくてむしろ海外のテキストでは当然のごとく書いてあります。たとえばThe Assayerというサイトに無料だけどかなりがっしりしたオンラインテキストがたくさんあるので参照してみてください。

また、Bornの確率解釈によれば<ψ|φ>は確率(連続型ならば確率密度)を与えるので<x|x'>の物理的意味はx'という位置に必ず存在する粒子が座標xに見出される確率分布を現します。当然、x'で確定しているので分布は分散が0であるδ関数になります。(超関数は英語ではgeneralized functionかdistributionです。すなわち関数の一般化であると同時に分布でもあるわけです。)

∫dx<x|x'>=∫dxδ(x-x')=1
とは数学的には確率の公理(全確率は1)であり、物理的には'全区間'にある確率が1であるという当たり前のことです。もちろん分散0の分布ですので'xの期待値'は
∫dx<x|x^{hat}|x'>=∫dx xδ(x-x')=x'
というこれもあたりまえな結果を得ます。これは|x'>の定義
x^{hat}|x'>=x'|x>
に由来します。

以上、間違いがありましたら訂正してくださると助かります。

  投稿者:TOSHI - 2008/08/19(Tue) 02:05  No.5027 
 どもTOSHIです。

 <x|x'>=δ(x-x') はこれでよくて<x|x'>=∫δ(x-x') dxは間違いでしょう。

 |x'>というのは位置座標がxであるということを示すディラック流の状態ベクトル(ノルムが無限大ですが。。)で,これの波動関数(x表示)をΨ_x'と書くとΨ_x'(x)=<x|x'>=δ(x-x')です。

 そして|x">と|x'>の内積は<x"|x'>=∫{Ψ_x"*(x)Ψ_x'(x)}dx=∫δ(x-x")δ(x-x')dx=δ(x"-x')です。

 <x|x'>=∫δ(x-x') dxだと左辺はx,x'に依存しますが右辺は積分範囲がx,x'と関係しない限り0や1の定数なので普通は矛盾します。

 あくまで書いてある式が正しいという前提でそれを正当化しようと無理につじつま合わせることを考えると,そうでない場合には論理がおかしくなりますよ。。。
                 TOSHI

  投稿者:sym - 2008/08/19(Tue) 04:15  No.5028 
phoebusさん、TOSHIさん、レスありがとうございます。
識者の3人を相手にして、恐縮ですが、まだ、我を通させて頂きます。

どこから手を付けたら良いのか、わからないので手当たり次第に。。

> <x|x'>これは、何を表すものでしょうか。2変数のデルタ関数?デルタ関数とデルタ関数の内積?
どれも違う、よくわからない、というのが私の正直なところです。

この文は、|x>を安易にデルタ関数と考えてはいけない、という意味で書きました。つい、言葉が足りなかったり書き方を間違えてニュアンスを違えてしまいます。(反省です)

>|x'>自体はδ関数ではなくて'抽象的な位置固有状態'
これについては賛成です。しかし、上記の文は、その「表現」が不明だ、という意味でもあります。あと、EMANさんの場合は確信犯に間違いない!でしょ?たぶん。。(だんだん弱く、、、)

>∫dx<x|x'>=∫dxδ(x-x')=1
これは、
∫dx<x|x'>=∫dx∫dxδ(x-x')=∫dx()=1
ここで、括弧の中身、つまり、()=
∫δ(x-x') dx = 1  (x=x')
∫δ(x-x') dx = 0  (x≠x')
です。あいだを飛ばして、
∫dx<x|x'>=1
ただし、
<x|x'>=1  (x=x')
<x|x'>=0  (x≠x')
と書けば、納得しやすいと思います。

>∫dxδ(x-x')=1
デルタ関数を良く使う人ほど、この式に違和感がなくなるのだろうと思います。しかし、x'がパラメータを表すという前置きなしで、この式が正しい式だと、はっきりとは言えないと思います。

>∫dx<x|x^{hat}|x'>=∫dx xδ(x-x')=x'
 ∫dx<x|x^{hat}|x'>=∫dx x'δ(x-x')=x'
の間違えですよね。。

あと蛇足ですが、distribution の訳は分配かなと思っていました。うーん、自信はないですが、分布はちょっと違うかなと思います。

>あくまで書いてある式が正しいという前提でそれを正当化しようと無理につじつま合わせることを考えると,そうでない場合には論理がおかしくなりますよ。。。

私も(計算の必要に迫られたことがなく)無理につじつまを合わせることはなかったのですが、これを機会にベターな書き方を考えようと思っています。私の場合、シュワルツの超関数や佐藤の超関数の勉強が必要かもしれませんが、良い機会だと思われるので。。。

  投稿者:phoebus - 2008/08/19(Tue) 09:07  No.5030 
おはようございます。

> ∫dx<x|x'>=∫dx∫dxδ(x-x')=∫dx()=1
ここで、括弧の中身、つまり、()=
∫δ(x-x') dx = 1  (x=x')
∫δ(x-x') dx = 0  (x≠x')

積分の範囲が特に書いてないのである程度大きさのある範囲(0ではないこと)とみなすとx=x'のときは
∫dxδ(x-x')=∫dx∞ =?
というように意味の解らないことになってしまいますよ?

> したがって、|x'>自体はδ関数ではなくて'抽象的な位置固有状態'であってあくまでこれを<x|で評価し、xの関数にした際にδ関数という'表現'を得ます。

表現とはたとえば運動量演算子の座標表現、運動量表現などと同じ意味です。
<x|p^{hat}|ψ>=ih^{bar}∂/∂x ψ(x)
<p|p^{hat}|ψ>=pψ(p)
といった感じで抽象的なketをbraで評価して関数として表現するという意味です。線型代数などで習った写像の表現行列なども同じです。量子力学で言えばたとえば角運動量演算子行列などを参照してください。

> >∫dxδ(x-x')=1
デルタ関数を良く使う人ほど、この式に違和感がなくなるのだろうと思います。しかし、x'がパラメータを表すという前置きなしで、この式が正しい式だと、はっきりとは言えないと思います。

確かにそうですが<x|で評価することの目的はある量の測定期待値 <ψ|A^{hat}|ψ> を ∫dxψ*(x)A^{hat}ψ(x) のように関数の積分として計算することにあると僕は考えています。すなわち|x'>のx成分である<x|x'>をまず計算して、重みをかけて足し合わせることです。ですので<x|のxは任意に取るのです。
ほぼ同じことですが、|ψ>を|x>で展開することを考えると ∫dx|x><x|ψ>=∫dx|x>ψ(x) となるのでやはりxは任意に取る必要があると思います。



> >∫dx<x|x^{hat}|x'>=∫dx xδ(x-x')=x'
 ∫dx<x|x^{hat}|x'>=∫dx x'δ(x-x')=x'
の間違えですよね。。
 
<x|x^{hat}|x'>において真ん中の演算子が左にかかるとみなせばx'(本当はx'*ですがエルミート演算子の固有値は実数なのでx'でもよい)が、右にかかると考えればxが定数として飛び出します。よってx<x|x'>=x'<x|x'>です。
また、δ関数の性質としてf(x)δ(x-x')=f(x')δ(x-x')というのもあり、上と同じ結果を与えます。



  投稿者:三銀杏 - 2008/08/19(Tue) 14:02  No.5032 
sym様
何か根本的なところで思い違いをされていませんか?
δ関数を裸のまま書いておいたからと言って、
数学的に居心地が悪い、ということは決してないでしょう。

高校生でも分かるかもしれないようなレベルで私なりの理解を説明してみます。

成分番号をnとすると離散完全系では{Ψn}が基底となるわけですが、
これはn-0.5からn+0.5の間に一つの密度で基底が存在しているという状態ですよね。幅1のなかに、長さ1のベクトルが1つ含まれています。
というわけで、本来はそういうことはないものの
「ベクトルの矢印が太さを持っていて、離散系では幅が1である。これを横に並べるとn軸は隙間なく覆い尽くされる」
というふうに考えてみましょう。積分を説明する時に、領域を等間隔な短冊状に切るのと似た発想です。

この考え方でさらに、あるベクトルの長さとは
「幅のある矢印の面積である」
ということになるとします
(直感的な議論であって数学的にちゃんと定式化してはいませんが、やろうと思えばできる話です。TOSHI様、こうすればノルムが無限大になることの意味が説明できます!)


これを連続系に拡張します。
|x>という基底は、幅が無限に小さいベクトルだと考えられますね。これを無数に並べて、x軸を覆い尽くすことができます。同時に、xの値を連続的に変化させることも可能です。
それで、先ほど矢印の面積がベクトルの長さだと考えたのですから、長さ1に規格化された基底は、幅が無限小であるため高さは無限大です。これって、δ関数ですよね。そして実際に|x>を扱う時は縦の長さにしか注目していない、というふうに考えるのです。

これが基底|x>と基底|x'>の内積が
δ(x-x')
となって無限大を取りうる理由です。δ関数は高さが∞になりますが、実は含んでいる情報はそれだけではなくて、
∞を取っている区間幅が無限小であり、一つの基底を矢印として書いたときの面積が1である(つまり長さ1に規格化されている)、ということも言っています。

分かりにくい書き方でごめんなさい。

なお、
∫δ(x-x') dx
と書いた場合、普通は範囲無限の積分を表すものだと私は考えています。これがゼロになるためには
「ただし積分区間としてx=x'を除く」という但し書きが必要です。とすれば
∫δ(x-x') dx = 1  (x=x')
∫δ(x-x') dx = 0  (x≠x')
と書いたとき、最後のカッコが積分区間の指定なら、上は範囲無限小の積分として確かに1だし、下も範囲無限大だがデルタ関数が0以外になるところを除いているので0となるので、何の問題もないのです。

いかがでしょうか。

  投稿者:murak - 2008/08/20(Wed) 09:18  No.5039 
このスレッドの主題については以前からもたびたび議論になっており、今回も議論は大体出尽くしていると思うので、これ以上書いても蛇足になるだけですが、一応私なりのコメント(多分以前のものと同じ)を述べておきます。

まず、問題となっている|x>の直交性に関する記述の部分については、当該ページの記述の流れを尊重し、なおかつ数式として辻褄が合うように書くなら積分範囲を明示的に表示する

   ∫_Ω <x|x'>dx = { 1 : x'∈Ω, 0 : x'&#8713;Ω }    (*)

という書き方をする(あるいは冷蔵庫さんの#5014の様に書く)のが適切だと考えます。このことは数学的には(三銀杏さん自身がスレッドの冒頭で少し触れておられるように)上の積分(あるいは<x|x'>dx)が「一点 x' に荷重のあるデイラック測度による積分」と解釈されねばならない事を示唆しているわけですが、物理(特に量子力学)の慣習では、そのことを(測度という言葉を表に出さずに)単に

   <x|x'> = δ(x-x')          (**)

であると表現してしまいます。(これはつまり、ディラック測度による積分(あるいは <x|x'>dx)を、密度関数f(x)を用いて f(x)dx の様に表そうとするとf(x)は普通の関数ではなくディラックのデルタ関数という超関数になってしまうという事を言っており、それがシュワルツの超関数(distribution)のそもそもの意味である)

なので、量子力学の位置演算子の固有ベクトル|x>の直交性の表現としては、上記(*)と(**)は、実質的に事を言っている(更には、測度という言葉を用いることを厭わなければ、「<x|x'>dx(=dμを満たす測度μ)がディラック測度になる」と言ってもよい)事になる。(文脈上は、EMANさんの当該部分の記述は、その同等性を伝えるために存在している。)

なお、ディラックの教科書におけるデルタ関数の導入は、上記のように|x>の直交性の表現とのかかわりで導入されるわけですが、状態ベクトル|ψ>を位置演算子のスペクトル表現を用いて|ψ>=∫dxψ(x)|x>と表示し、波動関数ψ(x)を状態ベクトル|ψ>と同一視する(つまり状態空間を具体的なある関数空間として表現する)のであれば、|x'>自体はδ(x-x')と同一視されるので、|x>自体がデルタ関数であるという見方も出来ます。(ただ、状態空間を L^2(R)のようなヒルベルト空間であると考えようとすると、デルタ関数と同一視される|x>はそのヒルベルト空間の元ではないことになるので数学的には色々面倒なことになりますが、それはまた別の話というか、当該ページの後半につながる話。)