EMANの物理学 過去ログ No.4905 〜

 ● 磁荷と円電流(3)

  投稿者:yuya - 2008/08/06(Wed) 13:20  No.4905 
うう、一日で過去ログに沈むとは(汗)。
EMAN様、いちいち新スレッドを立ててご迷惑でしたらおっしゃってください。
(これまでの議論は[4657]〜および[4854]〜参照)

少しずつ勉強して、kousiさんの[4769]のご説明を理解しようとしています。

とりあえず円筒外部に作る磁場の源としての等価性に話を絞ります。
議論には次の3つの状態が登場します。

(1)円筒側面を定常電流が流れる
(2)円筒の上・下面に正負の面磁荷が存在する
(3)円筒が一様に磁化されている

目標となる結論は「(1)と(2)が等価」ということだと思いますが、その議論の中で(3)も出てきています。
どのような論理順序で(1)と(2)の等価性を結論されていますでしょうか?
例えば、「(1)と(3)が等価なのは自明」とか、
「(2)と(3)が等価なのは自明」といった前提は用いられていますでしょうか?

  投稿者:kousi - 2008/08/06(Wed) 14:08  No.4906 
yuyaさん:
前回の回答を考えているうちに過去ログになってしまい戸惑っていたところでした。

>(1)円筒側面を定常電流が流れる
>(2)円筒の上・下面に正負の面磁荷が存在する
>(3)円筒が一様に磁化されている

私が前提にしているのは(3)です。
一様に磁化した円筒磁石の作る磁場を解くことを考えると、(1)(2)の二通りの方法があるということをいいたいのです。
一つは、マックスウェルの方程式
rot(B/mu0)=rotM
を解く。
二つ目は、divB=0から得られる、
divH=-divM
を解く。
円筒内の磁化Mは一様なのでrotMは円筒側面にしか存在しません。
また-divMは円筒の上面と下面にしか存在しません。
これら二つの式は真空中では簡単になります。一つ目の式からは、
B=rotAとしてクーロンゲージdivA=0をとると、
△A=-mu0*rotM
とポアソン方程式となります。
二つ目の式は、H=-gragVとおけば、
△V=divM
これらの式は一様に磁化した円筒磁石にマックスウェルの方程式を適用して作られた式なのでどちらも正しい式です。
したがってこれらの式の解は真空中では一致しなければ、マックスウェルの方程式が矛盾していることになります。
とりあえずここまでは如何でしょうか。

  投稿者:yuya - 2008/08/07(Thu) 12:17  No.4914 
kousiさん:
>>(1)円筒側面を定常電流が流れる
>>(2)円筒の上・下面に正負の面磁荷が存在する
>>(3)円筒が一様に磁化されている
>
>私が前提にしているのは(3)です。
>一様に磁化した円筒磁石の作る磁場を解くことを考えると、(1)(2)の二通りの方法があるということをいいたいのです。

分かりました。自分の頭の整理のために、
まずモデル(電流か磁荷か)に依存しない、共通して成り立つ部分をできるだけ書いてみます。
伝導電流がないときのMaxwell方程式は、磁化をMとすれば、

(ア)divB = 0
(イ)rotB = rotM

となります。ここで磁場Hを(モデルに関わらず)H = (B/μ0) - M と定義し、(ア)(イ)をHで書き直すと

(あ)divH = -divM
(い)rotH = 0

となります。(ア)(イ)と(あ)(い)は見た目が違うだけで同じものであり、モデルとは関係ありません。
BとHの一方が求まれば、Hの定義式から他方が求まります。
(円筒外部に関してはM=0なので、両者は比例します。)

(ア)(イ)からBを求める場合、(ア)という特別な状況(Bには湧き出しが無い)から、
B = rotA とおくことができ、これを(イ)に代入して求めます。

(あ)(い)からHを求める場合、(い)という特別な状況(Hには回転が無い)から、
H = -gradV とおくことができ、これを(あ)に代入して求めます。

このように、どちらの方法もMaxwell方程式のうちの片方だけを使っているように見えますが、
「ポテンシャルを導入する」という形で、もう1本の方程式を陰に用いています。
2つの方法は、極端に言えば「同じ連立方程式をどのような手順で解くかの違い」に過ぎませんから、
当然、同じ答えが出るはずです。

(あ)(い)からHを求める方法の中で、(あ)自体は円筒の上面・下面のみならず全ての位置で成り立つ方程式であり、
実際には上面・下面以外ではdivM=0となることを知らなくても、正しい答えが求まります。
しかし、結果として得られるHは、「上面・下面のみに面磁荷が存在すると仮定して求めたとき」と全く同じ形になることから、
磁荷モデルで考えても等価となることが示されるわけですね。

ここまでの理解は合ってますでしょうか?

  投稿者:kousi - 2008/08/07(Thu) 14:33  No.4915 
yuyaさん:
はい、私もそのように考えています。

  投稿者:yuya - 2008/08/07(Thu) 18:08  No.4917 
ご確認ありがとうございます。安心しました。
まだ磁力の受け手としての等価性の議論を吟味していませんが、
この段階で既に、次のような疑問が湧きます。

微小円電流の議論において、磁場の発生源のしての磁荷との等価性は
「充分遠方であれば成り立つ」はずだったのに、
もっとマクロな円筒電流では遠方でなくとも成り立つ、というのはどうしてでしょうか?
それならば、わざわざ「微小」円電流だの「遠方」の磁場だのを考える必要がなくなってしまうのではないでしょうか。

  投稿者:kousi - 2008/08/08(Fri) 09:43  No.4921 
yuyaさん:
>微小円電流の議論において、磁場の発生源のしての磁荷との等価性は
>「充分遠方であれば成り立つ」はずだったのに、
>もっとマクロな円筒電流では遠方でなくとも成り立つ、というのはどうしてでしょうか?
>それならば、わざわざ「微小」円電流だの「遠方」の磁場だのを考える必要がなくなってしまうのではないでしょうか。

私は、微小円電流とか充分遠方とかの条件設定は最初から置いていません。マクロな円筒磁石についてはこのような条件をつけなくともマックスウェルの方程式から二つの見方、すなわち磁化電流の作る磁場と、磁荷の作る磁場が完全に等価であることが先の議論から明らかであることを言いたかったのです。

  投稿者:ASA - 2008/08/08(Fri) 10:45  No.4922 
横からすいません。

yuya さん
磁化と点磁荷は、きちんと区別した方がよいです。
>(ア)divB = 0
点磁荷の場合は
 divB = ρm(係数無視)
なので(ア)式が成立しません。

2つの点磁荷、ρmと-ρmを含む閉領域で考える(十分遠方と看做せる)なら、(ア)式が成立。

磁化電流の作る磁場と、2つの磁荷の作る磁場が等価なのは、場の強度を問題とする位置|r|で2つの磁荷(ρmと-ρm)間の距離dが十分小さい(d<<|r|)という条件が満足されるときです。
 このような理由があるので、教科書には"「遠方」の磁場で"とかの条件が記述されているわけです。
 (磁化は、磁性体が磁場を持つこと。また、磁性体からは単独磁荷を分離できない。磁化を考えるときは、磁気双極子集合体が前提で、「遠方」条件がクリアされているケース)

  投稿者:TOSHI - 2008/08/08(Fri) 11:23  No.4923 
 どうも,TOSHIと申します。

 ASAさんと同じく横レスです

 ここはEMANさんのボードで,彼の書かれたものを読まれれば十分でしょうが,少し切り口も違うしこのテーマにふさわしいとか思うので久しぶりにブログの宣伝も兼ねて,老婆心で拙ブログ「TOSHIの宇宙」の2008年4月21日からのシリーズ記事「電場と電束密度,磁場と磁束密度(1)〜(4)」http://maldoror-ducasse.cocolog-nifty.com/blog/24008/04/index.html
が何か参考になるかもしれないと思ったので紹介しておきます。

  投稿者:TOSHI - 2008/08/08(Fri) 11:29  No.4924 
 TOSHIです。

PS:前の投稿のurlでは行けないようです。「TOSHIの宇宙」
http://maldoror-ducasse.cocolog-nifty.com/ からバックナンバーで行くしかないのかな。。。

                        TOSHI

 

  投稿者:yuya - 2008/08/08(Fri) 12:08  No.4926 
kousiさん:

>私は、微小円電流とか充分遠方とかの条件設定は最初から置いていません。

そうですよね。kousiさんの議論にはどこにもおかしなところは見当たらないし、
私が初めてkousiさんから磁荷のことを習ったのであれば、
そもそも「微小」とか「遠方」とか、発想すらしなかったと思います。
にもかかわらず、教科書にはどうしてそんな断わり書きがしてあるのだろう?と思いました。

で、教科書をよく読むと、「微小」や「遠方」が要求される議論の対象となっているのは、
「円電流と【磁荷】の等価性」だと私は思っていましたが、
正確に言うと「円電流と【磁気双極子】の等価性」なんですね。
そして、磁気双極子はもちろん、正負の【点】磁荷のペアです。
要するに、【点】磁荷(のペア)に置き換えたければ、「微小・遠方」の制約がいるというだけで、
kousiさんの議論の主幹をなす「【面】磁荷との等価性」では(磁性体外部に関しては)不必要なわけですね。

ASAさん、はじめまして。

上記の理解に達したところで、ASAさんから

>磁化と点磁荷は、きちんと区別した方がよいです。

というご指摘をいただき、「おぉ!やっぱりそういうことか!」と思いました。
一様な磁化に対応する「面磁荷」と、「磁気双極子/点磁荷」とを自分は混同していた、と理解しています。
この理解自体がおかしければ、ぜひ再度ご指摘ください。

TOSHIさん、はじめまして。

ご教示ありがとうございます。早速読ませていただきます。
リンクされなかった原因はスペルミスのようです(2008が24008になってました)。
http://maldoror-ducasse.cocolog-nifty.com/blog/2008/04/index.html

  投稿者:kousi - 2008/08/08(Fri) 13:15  No.4928 
yuyaさん:
>要するに、【点】磁荷(のペア)に置き換えたければ、「微小・遠方」の制約がいるというだけで、
>kousiさんの議論の主幹をなす「【面】磁荷との等価性」では(磁性体外部に関しては)不必要なわけですね。

そのとおりだと思います。この共通認識ではじめてyuyaさんの最初の問題[No.4657]を議論する準備が出来たと思います。
蛇足ですが、円筒磁石の断面積をゼロにした極限では点磁荷双極子と、半径無限小の側面電流の作る磁場は等価になります。
したがって、有限の半径を持つ円電流と、点磁荷双極子はおっしゃられている近似なしには一致しません。

  投稿者:yuya - 2008/08/08(Fri) 20:27  No.4931 
kousiさん:
>yuyaさん:
>>要するに、【点】磁荷(のペア)に置き換えたければ、「微小・遠方」の制約がいるというだけで、
>>kousiさんの議論の主幹をなす「【面】磁荷との等価性」では(磁性体外部に関しては)不必要なわけですね。

>そのとおりだと思います。この共通認識ではじめてyuyaさんの最初の問題[No.4657]を議論する準備が出来たと思います。

[4657]を再掲します。

>時計の文字盤にそって、反時計回りの円電流があるとします。
>時計の文字盤と垂直で、かつ12時と6時のところを通るような円形の磁界があり、
>文字盤の手前では下向き、奥では上向き(つまり、3時のほうからみて反時計回り)とします。
>この円電流が磁場から受ける力を考えると、たとえば12時のところでは
>電流が向かって左向き、磁場は手前向きなので、力は上向きになります。
>6時のところを考えてもやはり上向きの力を受けます。
>一方、この円電流を磁荷とみなすと、手前がN極、奥がS極になると思います。
>そうすると磁場から下向きの力を受けることになってしまうと思うのです。
>どこかが間違っているのでしょうか?すみませんが教えていただけないでしょうか。

で、改めて[4703]を読んでみました。
>問題にされているのは、この電流が円筒の内部を通っていることです。実際に磁化した物質の内部に電流を通して力をうんぬんするにはこの磁性体に穴をあけその穴の中を通る電流が受ける力を考えてやる必要があります。そうしないと円筒と電流が受ける力を区別できなくなります。
>このような穴をあけると、穴の表面には磁極が発生し穴内部の磁場はZ方向を向きますのでこの電流にはやはり下向きの力が働き結果として穴の空いた円筒磁性体は上向きに力を受け矛盾しません。

おぉ、前と全然「理解感」が違う。よく分かります。
円筒には z>0側の底面にN極、z<0側の底面にS極があります。
磁石に穴をあける前は、Hはzの負方向を向き、Bは逆に正方向を向いています。
穴をあけると、穴の中はHもBも正方向を向きます。
ここを電流がxの正方向に走ると、電流は下向きの力を受け、その反作用として円筒は上方向に力を受けるわけですね。
等価性は磁性体の外部のみで成り立つため、穴をあける前のHで考えると、結論が逆になってしまうんですね。

立ち返って考えてみると、Hで考えるから矛盾が生じるのであって、
Bに関しては磁性体に穴をあけてもあけなくてもzの正方向を向いています。
ローレンツ力はBに依存するのだから、初めからBで考えれば何の問題も生じなかったように感じます。
磁性体内で等価性が崩れるのはHに関してだけで、Bに関しては等価である、と考えてよいでしょうか?
また、いざ他に及ぼす力を考えるときには穴をあけて考えるのであれば、
磁性体内をNからSに向かうHというものを、そもそも電磁気学で扱う意義はどこにあるのでしょうか?

  投稿者:kousi - 2008/08/09(Sat) 09:35  No.4939 
yuyaさん:

やっと話が佳境に入ってきましたね。

>立ち返って考えてみると、Hで考えるから矛盾が生じるのであって、
>Bに関しては磁性体に穴をあけてもあけなくてもzの正方向を向いています。
>ローレンツ力はBに依存するのだから、初めからBで考えれば何の問題も生じなかったように感じます。

そうでしょうか。Bで考えれば確かに電流に働く力は正しく評価できますが、
磁荷に働く力は当初のお話のように逆になってしまいます。
この問題の本質は、磁性体内部に電流を通したことにあると思います。
そのために磁性体に穴を開け、電流が真空中を通るようにしたのです。すなわち電流が磁性体の外部であれば問題ないわけです。
ここで、円筒内部が真空であり、円筒磁石と同じ場所に磁極N、Sがある場合を考えると、今回の場合と円筒内部のBが逆になりますので電流に働く力も磁荷に働く力も矛盾しません。
このような状況は次のようにして実現できます。
断面が円形のドーナツ状の磁石を考えます。この磁石は周方向、穴を周るようにに着磁されているとします。
このドーナツの一部を取り除きギャップを作ります。このギャップが今まで議論していた円筒と一致するようにします。
すなわち、C型磁気回路のギャップを考えれば両断面に磁極が出来ますので先ほどの設定と一致します。このギャップ間に電流を流すと何の矛盾も起こしません。

>磁性体内で等価性が崩れるのはHに関してだけで、Bに関しては等価である、と考えてよいでしょうか?

磁性体内部のBだけでなくHも磁化電流から計算しても磁荷から計算しても同じになると思います。
すなわち、磁場の発生源としての等価性は円筒内部でも成り立ちます。
しかし、力の受けてとして考えるなら磁性体内部でこの等価性は崩れます。
磁化電流に働く力は、rotMXBに対して磁荷に働く力は、
-divM*H となりますが異なった場所に働くので分布力として考えれば明らかに異なります。
ただ、この場合も磁石全体に働く力は両者で一致します。


  投稿者:kousi - 2008/08/09(Sat) 10:21  No.4942 
TOSHIさんはじめまして、子牛といいます。

記事読ませていただきました。
今回の問題とは関係ないのですが、(3)でいわれているのは、
磁気双極子の作る磁場とローレンツ力から、アンペールの法則が導出されるということでしょうか?

  投稿者:Stromdorf - 2008/08/09(Sat) 11:38  No.4943 
> 磁化電流に働く力は、rotMXBに対して磁荷に働く力は、
> -divM*H となりますが異なった場所に働くので分布力として考えれば明らかに異なります。
> ただ、この場合も磁石全体に働く力は両者で一致します。

 磁荷に働く力は -divM*H ではなくて -divM*B ですね。
 この F = rotM × B と F' = -(divM)B は、空間積分が一致する、すなわち

∫FdV = ∫F'dV

が成り立つことが証明できますが、それだけでなく、力のモーメントも一致する、すなわち

∫r×FdV = ∫r×F'dV

が成り立つことも証明できます。
 磁石に働く力のモーメントを計算するとき、あたかも磁石の両端に磁荷があるものとして計算しても正しい答が得られるのはこのためです。

P.S. 上記の積分の等価性を証明している参考書はあまり見かけないですが、私のサイト( http://home.p07.itscom.net/strmdrf/maxwell04.htm )に解説してあります。

  投稿者:kousi - 2008/08/09(Sat) 13:10  No.4946 
Stromdorfさんはじめまして子牛といいます。

私に対するコメントだと思いますので回答させていただきます。

>磁荷に働く力は -divM*H ではなくて -divM*B ですね。
>この F = rotM × B と F' = -(divM)B は、空間積分が一致する、すなわち

>∫FdV = ∫F'dV

>が成り立つことが証明できますが、それだけでなく、力のモーメントも一致する、すなわち

>∫r×FdV = ∫r×F'dV

>が成り立つことも証明できます。

私の言いたいことを代弁していただいているようで有難うございます。まさにそのとおりだと思います。
今回の議論ではトルクまで問題にする必要がなかったのであえて触れなかったのです。
ただこだわるようですが、磁荷に働く力は -divM*Bではなくて -divM*μ0*H です。この式はrotMXBを磁性体を完全に取り囲む領域で空間積分することによって得られますが、この式を部分積分し、B=μ0*(H+M)でかきなおしておきます。
このMの部分は表面積分になりますが、領域境界ではM=0となりますので境界積分は全て消えます。さらにrotH=0を使うと先の式が得られます。

  投稿者:yuya - 2008/08/09(Sat) 15:44  No.4950 
kousiさん:

うぐぐ……、分かったつもりになっていましたが、また分からなくなりました。

>この問題の本質は、磁性体内部に電流を通したことにあると思います。
(略)
>磁性体内部のBだけでなくHも磁化電流から計算しても磁荷から計算しても同じになると思います。
>すなわち、磁場の発生源としての等価性は円筒内部でも成り立ちます。

磁場の発生源として、内部でも完全に等価なら、磁性体の中に電流を通したって構わないはずではないのですか??

  投稿者:kousi - 2008/08/09(Sat) 19:29  No.4953 
yuyaさん:

>磁場の発生源として、内部でも完全に等価なら、磁性体の中に電流を通したって構わないはずではないのですか??

もう一度、
(1)磁場の発生源としての磁化電流と磁荷の等価性
(2)電磁力の受け手としての磁化電流と磁荷の等価性
について整理したいと思います。
ここでの対象は有限の断面積と高さをもち一様に磁化した磁石です。この磁石は側面にrotMの磁化電流が流れていると考えられるので、この電流を芯電流で置き換えた空芯コイルと円筒外部には同じB、Hを作りますが円筒内部ではBは同じですがHは磁化Mだけ異なります。
しかし今問題にしているのは円筒磁石と空芯コイルの比較でなく、円筒磁石の磁化電流と磁荷の作る磁場の等価性です。
(1)先の議論から磁場の方程式はどちらを発生源と考えても作ることが出来ます。どちらの方程式を解いても同じB、Hが得られます。どちらも磁石内部では同じ磁化Mを持つからです。
(2)電磁力の受け手としての等価性は、磁化電流に働く力は rotHXB の領域積分、磁荷に働く力は -divM*μ0*H の領域積分が等しいということです。ここでこの積分領域ですが、磁石を含む領域での積分となります。
磁性体内部に電流が通っている場合この領域をどうとるかが問題です。普通に磁石を取り囲む領域で積分すると電流に働く力も加算されてしまいます。磁石だけが受ける力を求めるには電流を除いた領域で積分する必要があります。そのために磁性体に穴を開けて電流を通し磁石を含む領域だけで積分することになりますが、このときは必ず穴をあけたことによる磁荷が発生します。つま磁石のみに働く力を求めるには電流を積分領域から除く必要があるわけです。

  投稿者:Stromdorf - 2008/08/10(Sun) 10:07  No.4955 
kousiさん、どうも失礼しました。

>ただこだわるようですが、磁荷に働く力は -divM*Bではなくて -divM*μ0*H です。

 おっしゃるとおりですね。B としてよいのは外部磁場の場合でした。自己場も含めると、確かに B ではなく μ0*H にしなければ間違いでした。

 ところで以上は実電流が流れていない場合( rot H = 0)の式ですが、同じ考え方の下では、一般に実電荷密度 ρ = div D や実電流 i = rot H が 0 でない場合は、ρ や i に乗じる場が E や B ではなく D/ε0 と μ0*H となり、

F = ∫(ρ*D/ε0 + i×μ0*H) dV + ∫(ρm*H - im×D) dV

という表示式になるんでしたね(ただし ρm = - μ0*divM , im = - rotD/ε0)。

  投稿者:yuya - 2008/08/10(Sun) 12:07  No.4956 
>しかし今問題にしているのは円筒磁石と空芯コイルの比較でなく、円筒磁石の磁化電
>流と磁荷の作る磁場の等価性です。

よく考えてみました。
「穴をあけて考えるかどうか」と、「磁化電流で考えるか、磁荷で考えるか」は全く別
問題ということですね。この両者を混同していました。

磁化電流で考えても磁荷で考えても、HとBは磁性体内部を含めて全く同じ結果になり、
そして、自分を貫く電流に及ぼす力について、穴をあけずに考えてしまうと、
【どちらのモデルでも間違える】ということですね。

>(2)電磁力の受け手としての等価性は、磁化電流に働く力は rotHXB の領域積分、
>磁荷に働く力は -divM*μ0*H の領域積分が等しいということです。ここでこの積分
>領域ですが、磁石を含む領域での積分となります。
>磁性体内部に電流が通っている場合この領域をどうとるかが問題です。普通に磁石を
>取り囲む領域で積分すると電流に働く力も加算されてしまいます。磁石だけが受ける
>力を求めるには電流を除いた領域で積分する必要があります。そのために磁性体に穴
>を開けて電流を通し磁石を含む領域だけで積分することになりますが、このときは必
>ず穴をあけたことによる磁荷が発生します。つま磁石のみに働く力を求めるには電流
>を積分領域から除く必要があるわけです。

この話も、磁化電流/磁荷モデルにかかわらず成り立つ話ですよね。

あれ?

ということは、「磁石と、磁石を貫く電流との間に働く力」の問題は、
「磁化電流と磁荷との等価性」とは独立に議論できる話ということになりませんか?
どちらのモデルで考えても、穴をあけて考えれば正しくなるし、
穴をあけずに考えれば間違えるということならば。

  投稿者:kousi - 2008/08/10(Sun) 15:54  No.4957 
Stromdorfさん:

>F = ∫(ρ*D/ε0 + i×μ0*H) dV + ∫(ρm*H - im×D) dV

>という表示式になるんでしたね(ただし ρm = - μ0*divM , im = - rotD/ε0)。

私はこの形の式を始めて見ました。確かめると正しい式なので勉強になりました。
私は大抵この式をマックスウェルの応力の形にして扱っています。


  投稿者:kousi - 2008/08/10(Sun) 17:35  No.4958 
yuyaさん:

>磁化電流で考えても磁荷で考えても、HとBは磁性体内部を含めて全く同じ結果になり、
>そして、自分を貫く電流に及ぼす力について、穴をあけずに考えてしまうと、
>【どちらのモデルでも間違える】ということですね。

はい、そのように考えてもよいと思います。

>ということは、「磁石と、磁石を貫く電流との間に働く力」の問題は、
>「磁化電流と磁荷との等価性」とは独立に議論できる話ということになりませんか?

おっしゃる通りです。

ここで電磁力の受け手としての等価性についてもう少し正確に定義しようと思います。
「磁化電流や磁荷が磁性体内部に分布しており、それぞれの場所で局所的にrotMXB または -divM*μ0*Hに電磁力が働く。
このように考えて磁性体全体に働く力を評価しても両者は同じ結果になる。」
もちろん分布力として考えれば両者が異なるのは明らかです。

直線電流が磁石外部にあるときはこの等価性が成り立つことは今までの議論で同意事項であると考えてもよろしいですね。

yuyaさんの最初の問題提起[4657]において磁化電流が受ける力として考えた場合と、磁荷の受ける力と考えた場合とで結果が逆になりました。
これは先の等価性が成り立っていないことを意味しています。
この原因として、「磁石と、磁石を貫く電流との間に働く力」
を問題にしているのです。
なかなか回りくどい表現しかできませんが如何ですか。





  投稿者:TOSHI - 2008/08/11(Mon) 07:16  No.4959 
 ども子牛さん。はじめましてTOSHIです。

 9,10日と夏休みの旅行でアクセスできない環境でしたのでお返事おそくなりました。

>今回の問題とは関係ないのですが、(3)でいわれているの
は磁気双極子の作る磁場とローレンツ力から、アンペールの法則が導出されるということでしょうか?

 基本的に,永久磁石の磁荷(磁極)NとSの間に働くクーロンの法則による定式化と環状電流間のアンペールの力が環状電流の電流かける面積=NとSの双極子能率としたら全く同じであること,すなわちどちらから出発しても電流と磁石の関係を上のように決めたらどちらから出発してもお互い同じ理論になることを述べています。

                    TOSHI

  投稿者:yuya - 2008/08/11(Mon) 11:25  No.4961 
kousiさん:
>ここで電磁力の受け手としての等価性についてもう少し正確に定義しようと思います。
>「磁化電流や磁荷が磁性体内部に分布しており、それぞれの場所で局所的にrotMXB また
>は -divM*μ0*Hに電磁力が働く。
>このように考えて磁性体全体に働く力を評価しても両者は同じ結果になる。」
>もちろん分布力として考えれば両者が異なるのは明らかです。

了解しました。

>直線電流が磁石外部にあるときはこの等価性が成り立つことは今までの議論で同意事項で
>あると考えてもよろしいですね。

はい、異論ありません。

>yuyaさんの最初の問題提起[4657]において磁化電流が受ける力として考えた場合と、磁荷
>の受ける力と考えた場合とで結果が逆になりました。
>これは先の等価性が成り立っていないことを意味しています。

改めて、なぜこのような喰い違いが生じたのかを、
「モデルの違い」「穴をあけるかどうか」の両面から再検討する必要があると思います。

(1)穴をあけずに考えた場合(誤り)
(1-a)磁化電流モデル
(1-b)磁荷モデル
(2)穴をあけて考えた場合(正しい)
(2-a)磁化電流モデル
(2-b)磁荷モデル

円筒が受ける力の向きを考えると、
初めの問題提起では(もちろん私は穴をあける必要があることなど全く知らなかったので)
(1-a):上向き、(1-b):下向き、という喰い違いが生じました。

しかし、これはそもそも「穴をあけない」という誤った考え方で生じた結果ですから、
その結果の(1-a)と(1-b)を比較して電流/磁荷モデルの等価性を判定するのはおかしいのではないでしょうか。

正しく考えれば等価であるはずのものでも、誤った考え方をしたときには何が起こるか分かりません。
両モデルとも仲良く結論を間違えるかも知れないし、片方だけが影響を受けるかもしれないし、
両方とも無傷かもしれません。

本当に等価かどうかを調べるには、(1-a)と(1-b)の比較ではなく、
(2-a)と(2-b)を比較する必要があると思うのですが、この点には同意いただけますでしょうか。

  投稿者:kousi - 2008/08/11(Mon) 12:58  No.4962 
yuyaさん:

>本当に等価かどうかを調べるには、(1-a)と(1-b)の比較ではなく、
>(2-a)と(2-b)を比較する必要があると思うのですが、この点には同意いただけますでしょうか。

もちろん同意します。ここまで一致しているならばあと少しと思うのですが。
蛇足ですが、穴をあけるという行為はこの問題を測定可能な問題(思考実験も含めて)とする上で必要なことだと思っています。

  投稿者:kousi - 2008/08/11(Mon) 13:11  No.4963 
TOSHIさん:

>基本的に,永久磁石の磁荷(磁極)NとSの間に働くクーロンの法則による定式化と環状電流間のアンペールの力が環状電流の電流かける面積=NとSの双極子能率としたら全く同じであること,すなわちどちらから出発しても電流と磁石の関係を上のように決めたらどちらから出発してもお互い同じ理論になることを述べています。

環状電流の作る磁場と、それを境界線とする閉曲面状の磁気双極子が同じ磁場を作るということは、これが等価な概念であり、このような等価性の裏には基礎方程式に由来する何かがあるということでしょうか?
今回の問題では磁化電流と磁荷との等価性が問題になっておりますが、このような観点で考えたことはありません。
これについても考えたいと思っています。

  投稿者:yuya - 2008/08/11(Mon) 13:42  No.4964 
>>本当に等価かどうかを調べるには、(1-a)と(1-b)の比較ではなく、
>>(2-a)と(2-b)を比較する必要があると思うのですが、この点には同意いただけますでしょうか。

>もちろん同意します。ここまで一致しているならばあと少しと思うのですが。

kousiさんに導いていただき、出口が見えてきました。
さっそく(2-a)と(2-b)を比較してみます。

まず、
[4703](by kousiさん)
>このような穴をあけると、穴の表面には磁極が発生し穴内部の磁場はZ方向を向きますのでこの電流
>にはやはり下向きの力が働き結果として穴の空いた円筒磁性体は上向きに力を受け矛盾しません。

から、「(2-b):上向き」が言えますね。
あとは、(2-a)が上向きなら等価、下向きになれば等価でない、ということになります。
というか、(2-a)が一番正しいはずなのに、ずっとほったらかしてました(汗)。

電流のあるx軸付近を取り除くと、その周囲には依然としてz軸の正方向に一様な磁化Mがありますから、
境界付近にはrotMが生じます。
このrotMの向きを考えると、xy平面上の、x軸より少しだけy>0の側を、xの正方向に磁化電流が走り、
反対にx軸より少しだけy<0の側を、xの負方向に磁化電流が走っているような状態になると思います。
xy平面の断面で考えると、ちょうど円形ループを2つの半円ループに分けたように磁化電流が走っている状態です。
ここまでのところは合ってますでしょうか?

  投稿者:kousi - 2008/08/11(Mon) 17:24  No.4965 
yuyaさん:

>まず、
>[4703](by kousiさん)
>>このような穴をあけると、穴の表面には磁極が発生し穴内部の磁場はZ方向を向きますのでこの電流
>>にはやはり下向きの力が働き結果として穴の空いた円筒磁性体は上向きに力を受け矛盾しません。

>から、「(2-b):上向き」が言えますね。
>あとは、(2-a)が上向きなら等価、下向きになれば等価でない、ということになります。

おっしゃるようにここでの私の議論は少々乱暴でした。
ここでは直線電流が磁石から受ける力について述べているだけで、
正確に等価性の議論するなら(2-a)と(2-b)を比較しなければなりません。その結果両者の力が一致し、電流の受ける力がその逆になることを示して等価性が成り立つことがいえます。

>このrotMの向きを考えると、xy平面上の、x軸より少しだけy>0の側を、xの正方向に磁化電流が走り、
>反対にx軸より少しだけy<0の側を、xの負方向に磁化電流が走っているような状態になると思います。
>xy平面の断面で考えると、ちょうど円形ループを2つの半円ループに分けたように磁化電流が走っている状態です。
>ここまでのところは合ってますでしょうか?

このように穴内部に磁化電流が流れることは間違いないでしょう。

ちょっと先走りますが、穴をあけたことによって発生した磁化電流と磁荷を加えて直接計算によって(2-a)と(2-b)を定量的に比較するのは大変だと思います。(円筒磁石の変わりに立方体磁石を考え、そこに正方形断面の穴をあければ少しはましだと思いますが)

私の議論の根拠はこのような計算ではなく、
(1)電流が、磁性体の外にあるとき一般的に等価性が成り立っている。
(2)穴内部は、磁性体の外部である。
ということです。

  投稿者:Stromdorf - 2008/08/12(Tue) 07:01  No.4970 
>環状電流の作る磁場と、それを境界線とする閉曲面状の磁気双極子が同じ磁場を作るということは、これが等価な概念であり、このような等価性の裏には基礎方程式に由来する何かがあるということでしょうか?

 これは基礎方程式というより、純粋に数学における微分幾何の問題だと思います。

 空間に有限な大きさの曲面 S があり、その境界は閉曲線 C で囲まれているものとします。このとき、曲面 S 上の磁気二重層に相当する概念は、数学においては次の性質を持つ超関数(あるいはカレント) σ_S で表わされます:

(a) ∫(V・σ_S) dV = ∫_S V・n dS

 ただし V は任意のベクトル値関数、n は面 S の法線ベクトルです。そこで σ_S の rot を取ると、部分積分とストークスの定理によって

(b) ∫(V・rot σ_S) dV = ∫(rot V ・σ_S) dV

           = ∫_S rot V・n dS

           = ∫_C V・t ds

           = ∫(V・γ_C) dV

 ただし、t は境界線 C に沿った単位ベクトルで、γ_C は

(c) ∫(V・γ_C) dV = ∫_C V・t ds

で定義される超関数(カレント)です。この (b) の両辺を比較し、V が任意のベクトル場であることに注意すれば、

(d) rot σ_S = γ_C

が成り立つことがわかります。つまり「磁気二重層を表わすカレントの rot を取ると、境界線を流れる電流を表わすカレントが得られる」わけです。
 実際、この「等価電流」の大きさを I とすると、この磁気二重層の作る磁化ベクトル M と電流密度 i は

(e) M = I rot σ_S

(f) i = I γ_C

と表わすことができるので、

(g) i = rot M

という磁化電流を磁化の rot で表わす一般の式が成り立ちます。以上が磁気二重層と等価電流の同等性を数学的に表現したものです。

  投稿者:yuya - 2008/08/12(Tue) 08:20  No.4971 
kousiさん:
>>[4703](by kousiさん)
>>>このような穴をあけると、穴の表面には磁極が発生し穴内部の磁場はZ方向を向きますのでこの電流
>>>にはやはり下向きの力が働き結果として穴の空いた円筒磁性体は上向きに力を受け矛盾しません。

>>から、「(2-b):上向き」が言えますね。
>>あとは、(2-a)が上向きなら等価、下向きになれば等価でない、ということになります。

>おっしゃるようにここでの私の議論は少々乱暴でした。
>ここでは直線電流が磁石から受ける力について述べているだけで、

あ、確かに、ここを引用して「(2-b):上向き」と済ましたのは私もズボラでした。

>正確に等価性の議論するなら(2-a)と(2-b)を比較しなければなりません。その結果両者の力が一致し、
>電流の受ける力がその逆になることを示して等価性が成り立つことがいえます。

>ちょっと先走りますが、穴をあけたことによって発生した磁化電流と磁荷を加えて直接計算によって
>(2-a)と(2-b)を定量的に比較するのは大変だと思います。(円筒磁石の変わりに立方体磁石を考え、
>そこに正方形断面の穴をあければ少しはましだと思いますが)
>私の議論の根拠はこのような計算ではなく、
>(1)電流が、磁性体の外にあるとき一般的に等価性が成り立っている。
>(2)穴内部は、磁性体の外部である。
>ということです。

「穴をあければ磁性体の外部だから、等価性が成り立つはず……(#)」ということは
もちろん信じることができるようになってはいるのですが、
では、この例に対して、穴をあけて生じた-divMやrotMのおおまかな分布から、
せめて定性的にでも等価性を納得する(大きさはともかく、どちらも上向きの力を受けることが分かる)ことは
できないものかなぁ、と思っています。
それができれば、(#)に対して、もっと確信を持って納得できると思うのです。
ちょっと考えてみますが、なかなか難しいでしょうか。

  投稿者:kousi - 2008/08/12(Tue) 13:06  No.4975 
Stromdorfさん:

子牛ですコメント有難うございました。
ここでの質問は、TOSHIさんのコメント[No.4923]の記事の中に、アンペールの法則が他の法則から演繹されるということが書かれていたのでその真意を問うためのものです。

>これは基礎方程式というより、純粋に数学における微分幾何の問題だと思います。

従いまして物理を問題にしたいと思っています。
確かにおっしゃられるように、磁気二重層においてσ_Sの回転がγ_Cに対応していることは数学的に言えることだと思います。
しかし、磁荷(磁気双極子)の作る磁場はdivB=0から計算できますし、磁化電流の作る磁場はアンペールの法則から計算できます。
この二つの式は独立な法則ですがこの両者が一致するのはこれらが独立な法則でないということを言われているのかなと思ったのです。

些細なことですが、
(e) M = I σ_S
ですね。

  投稿者:kousi - 2008/08/12(Tue) 13:29  No.4976 
yuyaさん:

>では、この例に対して、穴をあけて生じた-divMやrotMのおおまかな分布から、
>せめて定性的にでも等価性を納得する(大きさはともかく、どちらも上向きの力を受けることが分かる)ことは
>できないものかなぁ、と思っています。
>それができれば、(#)に対して、もっと確信を持って納得できると思うのです。

次のように考えるのは如何でしょうか。
今回磁性体の磁化は一様だと考えました。また形状も円柱と限定しましたが、これとトポロジー的に同じな形状であれば、一般の磁化分布においても磁性体外部の電流に対して磁化電流で考えても磁荷で考えてもこの磁性体の受ける力は同じになります。もちろん、この場合は磁化電流や磁荷は表面だけでなく磁性体内部にも分布します。
ここで円柱磁性体に穴をあけるのではなく例えばN極にx方向の細い溝を掘りその中を電流を通すとこの電流は磁性体外部といえますね。
穴をあけるのはトポロジーが変化するため外部であるというのが容認しにくいのではないでしょうか。
今度は穴をあけた円柱磁性体の穴の上からN極まで薄いスリットを設けます。このスリットが入ることによって溝と同じトポロジーとなります。このスリットの幅を小さくしていきます。
このスリット表面には磁化電流と磁荷がありますがスリットの幅を無限に小さくしていくとこれらの影響は無視できます。(対向面に発生するこれらの量は大きさが等しく符号が逆だから)
最終的にスリットを塞いでも状況は変わりません。
かえってややこしくなったらすみません。

  投稿者:yuya - 2008/08/12(Tue) 14:03  No.4977 
kousiさん:
なるほど!丁寧にありがとうございました。
そう考えれば「穴の空間は外部である」ことへの抵抗は減じられますね。
「胃の中は体の外である」というのとよく似た話ですね。

具体的に磁化円筒について、(2-a)すなわち「穴あき・磁化電流モデル」で考えた場合、
腑に落ちない点が一つあります。

磁化電流モデルでは

>このrotMの向きを考えると、xy平面上の、x軸より少しだけy>0の側を、xの正方向に磁化電流が走り、
>反対にx軸より少しだけy<0の側を、xの負方向に磁化電流が走っているような状態になると思います。
>xy平面の断面で考えると、ちょうど円形ループを2つの半円ループに分けたように磁化電流が走って
>いる状態です。

となるのでした。
この、x軸の上下に生まれた磁化電流が受ける力は、ともに下向きになります。
しかも、x軸にきわめて近いところを走るので、円筒周囲に比べて磁場は強く、
したがってかなり強い下向きの力を受けるはずです。
ということは、円筒が薄ければ薄いほど、
この穴周囲に生じた磁化電流の受ける力(下向き)の影響が無視できなくなり、
円筒周囲の磁化電流が受ける力(上向き)を凌駕するようになります。
すると、ある程度薄い磁化円筒は下向きに力を受けることになります。

そもそも、[4764]で私が円電流(厚さゼロ)の受ける力を磁化電流モデルで考えたとき、
12時の位置と6時の位置で受ける力がともに上向き、というだけで結論を出してしまいましたが、
きちんと穴をあけて考えた場合と結果が喰いちがってしまいます。

この矛盾さえ解消できれば、kousiさんの等価性の議論を完全に理解できたことになると思うのですが、
いま一度お力を貸していただけないでしょうか。

  投稿者:kousi - 2008/08/12(Tue) 17:25  No.4980 
yuyaさん:

>ということは、円筒が薄ければ薄いほど、
>この穴周囲に生じた磁化電流の受ける力(下向き)の影響が無視できなくなり、
>円筒周囲の磁化電流が受ける力(上向き)を凌駕するようになります。
>すると、ある程度薄い磁化円筒は下向きに力を受けることになります。

その通りです。これまで穴の中の磁場Bは常に上向きと考えて議論をしてきました。これは円柱磁石の厚みがある程度厚いことを仮定していたことになります。
おっしゃるように磁石の厚みをだんだん薄くしていくと穴側面の磁化電流の影響がだんだん大きくなり、穴の中のBの方向が逆転します。これは薄い磁石ほど反磁場の影響が大きく中心付近の磁場が小さくなることと同じことだと思います。
極端な場合として穴の高さと磁石の厚みが同じになれば、磁石は二つに分離されます。このとき穴(とはいえないのですが)の中では磁石のなかと逆向きのBとなります。このとき、磁化電流の受ける力は下向きになりますが、直線電流の受ける力もそれとは逆向きになります。後は磁荷の受ける力が磁化電流と同じになることが分かれば全て定性的に納得できます。
逆に、この状態から磁石の厚みを増やしていきます。電流は再び穴の中を通ることになるのですが、穴の上の磁性体が薄い場合は上と同じことが言えます。
どこかの地点で穴の内部のBが逆転するのですが、そのときが穴側面の磁化電流の影響が側面電流より小さくなったときであると考えられます。それ以降は今までの議論が通用します。
ここで問題点が二つ。
(1)磁石の厚みが薄いとき磁化電流で計算した力の方向と、磁荷で計算した方向が一致するのか。
(2)穴内部の磁場Bが逆転する厚みで、ちょうど磁化電流に働く力と磁化に働く力が逆転するといえるのか。
これについては先の一般論で考えたほうが分かりやすいのではないでしょうか。


  投稿者:TOSHI - 2008/08/12(Tue) 17:56  No.4982 
 ども子牛さん。。TOSHIです。

 物理の話ですが,特に数理物理でもかまわないし内容はStromdorfさんの書かれているものと同じだと思いましたが。。

 古典論の電磁気の法則は真空中のマクスウェル方程式とそれを電子の基礎方程式とした電子論によって物質構造の内部を扱う現象論的な物質中のマクスウェル方程式,およびオームの法則くらいしかなくてそのほかに独立な法則などないと思っていたのですが,何度も質問されているところをみると違うお考えなのでしょうか?
                  TOSHI

  投稿者:yuya - 2008/08/12(Tue) 18:13  No.4983 
>極端な場合として穴の高さと磁石の厚みが同じになれば、磁石は二つに分離されます。
>このとき穴(とはいえないのですが)の中では磁石のなかと逆向きのBとなります。こ
>のとき、磁化電流の受ける力は下向きになりますが、直線電流の受ける力もそれとは逆
>向きになります。

ひょえ〜。

ということは、初めに考えた円電流(を含む、充分に薄い磁化円筒)の受ける力は、
「下向き」が正解だったわけですね。
(2-a)が下向きなら、(2-b)も考え直さないと。あ、だから

>後は磁荷の受ける力が磁化電流と同じになることが分かれば全て定性的に納得できます。

ということですね。さっそく磁荷で考えると、

……(絶句)。

円筒が真っ2つに分かれたときは、どこにも新たなdivMは現れない……
そりゃ下向きに決まってますな……等価だ……。

しかし、不思議なもんですね。
円電流の代わりに、原点を中心とした正方形のループ電流で考えます。
電流は A(r, r, 0)→B(-r, r, 0)→C(-r, -r, 0)→D(r, -r, 0)→Aの順に流れるとします。
ループが直線電流と交わる(-r, 0, 0)および(r, 0, 0)では、Bが無限大になるので、
積分領域から除かなければならないのは初等的にも納得できます。
しかし、辺BCと辺DAとにかかる力は、(上の両点を除いては)x成分しかなく、全体として相殺されるのに、
両点を含めて考えるかどうかでy成分が劇的に変わるのが、すごく不思議です。

このことに気付かせるために、kousiさんは粘り強く誘導してくださったんですね。
ほんと感謝です(涙)。

  投稿者:kousi - 2008/08/13(Wed) 07:09  No.4987 
TOSHIさんおはようございます。

>物理の話ですが,特に数理物理でもかまわないし内容はStromdorfさんの書かれているものと同じだと思いましたが。

TOSHIさんがこういわれるなら私の完全な勘繰りでした。
Stromdorfさんすみません。

私は、マックスウェルの方程式は、その後の相対論、量子論とも整合がよく、ゲージ場としても綺麗な形なので古典論としては完成された基礎方程式と考えていました。
そこで、TOSHIさんの記事に「アンペールの法則が他の法則から演繹される」というようなことが書かれていたのでこのような質問をしたのです。
どうも、おさがわせしました。


  投稿者:kousi - 2008/08/13(Wed) 07:15  No.4988 
yuyaさん:

おはようございます。
今回の件では私もずいぶん勉強になりました。
感謝しています。

  投稿者:TOSHI - 2008/08/13(Wed) 10:19  No.4989 
 どもTOSHIです。

 アンペールによって発見されたとされる静磁場のアンペールの法則rotH=i は基本方程式であるマクスウェルの方程式のうちのrotH=i+∂D/∂tの式に寄与するものですが,

 これがなにも法則がないところから独立に発見された法則ではなく,磁荷のクーロンの法則で定式化した古典静磁気学とローレンツの力,あるいはアンペールの力を組み合わせるとき「磁荷対=磁気双極子」を環状電流と同一視すると演繹的に導かれるという話を書いたに過ぎないです。

                   TOSHI