EMANの物理学 過去ログ No.4301 〜

 ● 一般相対性理論における非線形性

  投稿者:ceyonbe - 2008/06/22(Sun) 14:57  No.4301 
はじめまして。
主に哲学的関心からアインシュタインについて調べております。
一般相対性理論はとても難しく、何冊本を読んでみてもなかなか理解が進みませんが、EMANさんにはとても助けられています。「結論」や「アインシュタイン方程式」から説き始めるやりかたですので、その意味についておぼろげながら理解し、勉強の意欲がわいてきました。しかし、やはりテンソル記号に苦しめられ、前に進めずにおります。そこで、意欲を維持するために恥ずかしながら質問させていただきます。
1916年に「一般相対性理論の基礎」を発表する前に、アインシュタインは重力場方程式に一般共変性を適用することは不可能である、と一時期考えていました。自伝の中で述べているように、非線形変換を取り入れることで座標の直接的計量性が失われる、というのがその理由のようです。しかし、ここを切り抜けて一般相対性理論は完成したわけですから、彼がどのように考え方を変えたのか、具体的に知りたいわけです。
重力場方程式も形を見れば非線形であることが明瞭である、と本には書いてあるのですが、どこを見れば明瞭なのか、教えていただけないでしょうか。
重力場における空間は、物体と相互に影響しあいながらゆがんでいる、それが非線形ということなのかと私は勝手に思っているのですが、そうだとしたら、それは式の中にどのような形で現れるのでしょうか。
どうぞよろしくお願いします。

  投稿者:凡人 - 2008/06/22(Sun) 16:58  No.4304 
ceyonbeさん。間違っていたら申し訳ありませんが、以下に本件に対する私の意見について述べさせていただきたいと思います。

>しかし、ここを切り抜けて一般相対性理論は完成したわけですから、彼がどのように考え方を変えたのか、具体的に知りたいわけです。
以下に、概要が示されているのではないかと思っております。
http://www.bun.kyoto-u.ac.jp/phisci/Newsletters/newslet_56.html

>重力場方程式も形を見れば非線形であることが明瞭である、と本には書いてあるのですが、どこを見れば明瞭なのか、教えていただけないでしょうか。
『趣味で相対論』のP135の以下の式を見れば明瞭なのではないでしょうか?
Gμν=(8πG/c^4)Tμν,Gμν=Rμν-(1/2)gμνR
P135に示されている通り、重力場をリーマン多様体と見做した場合、Rμνはテンソル曲率、Rはスカラー曲率とされているので、この事が直接的に重力場の非線形性を表現している事になると思います。
(詳しい内容は、「第5章 リーマン幾何学」をご確認下さい。)

>重力場における空間は、物体と相互に影響しあいながらゆがんでいる、それが非線形ということなのかと私は勝手に思っているのですが、そうだとしたら、それは式の中にどのような形で現れるのでしょうか。
上記の式を以下の様に書き直せば、Tμνはエネルギー運動量テンソルとされているので、エネルギー運動量と重力場の曲率の等価性を表現している事が分りやすくなると思います。
(8πG/c^4)Tμν=Rμν-(1/2)gμνR
そして相対論は、エネルギーと質量の等価性を仮定していますから、結局、重力場方程式(=アインシュタイン方程式)は、物質と重力場の間に、相互規定関係がある事を表現している事になると思います。

  投稿者:ceyonbe - 2008/06/22(Sun) 20:07  No.4307 
凡人さん、回答してくださってありがとうございます。
先ほどは間違っておかしなResをつけてしまいました。
カオス&非線形力学入門というサイトhttp://brain.cc.kogakuin.ac.jp/~kanamaru/Chaos/
もあって、興味をもって勉強しています。
ばね振り子のような、でたらめの動きのようで、しかし数学的にはきちんと表すことができ、シムレートすることができるのは、素人目にはまったく不思議なことです。一般相対性理論は、宇宙自体がカオスを包み込んだコスモスであると語っているようで、深遠な感じがします。

  投稿者:凡人 - 2008/06/22(Sun) 21:55  No.4308 
ceyonbeさん
私のようなものに、お礼を言うには及びません。
ところで、量子論的に考えると、この捉え方も少し修正を迫られるのではないかと思っております。
>一般相対性理論は、宇宙自体がカオスを包み込んだコスモスであると語っているようで、深遠な感じがします。
したがいまして、相対論と量子論を、同時に勉強される事を強くお勧めします。

>決定論というものをどう考えたらいいのか、いろいろ調べているところですので、これからも質問コメントをして皆様のお考えを聞きたいと思います。
私も決定論について、興味がありますので、どうかよろしくお願いいたします。

  投稿者:T_NAKA - 2008/06/23(Mon) 00:51  No.4309  <Home>
まず重力場方程式は次式ですね。

Rμν-(1/2)gμνR=(8πG/c^4)Tμν

物理の方程式は普通微分方程式になりますが、この形だけを見るとそれがはっきりしません。
実は左辺のRμνとRは接続係数Γとその微分の組み合わせで出来ていて、接続係数Γは計量gμνの微分で構成されています。
つまり、重力場方程式は計量gμνの微分の組み合わせで出来た微分方程式なんですね。
ここら辺のイメージはEMANさんの次のページでわかると思います。
http://homepage2.nifty.com/eman/relativity/ext_g.html
それでこの方程式は微分同士が掛け算になっている項があったりして、非線形微分方程式と言えるでしょう。

さて、アインシュタインが一般相対論に向かった経緯は科学史を見ていただいた方が良いと思いますが、個人的には「回転円板問題」の解釈ということもあるのではないか?と思っています。具体的には、回転する物体は回転軸からの距離で速度が違っていますが、このローレンツ収縮はどうなるのか?という問題です。これについては私が説明するよりも、次のページを見ていただいた方が判り易いと思います。
http://echoo.yubitoma.or.jp/weblog/tttabata/eid/277200

  投稿者:ceyonbe - 2008/06/23(Mon) 10:13  No.4310 
T_NAKAさん、ありがとうございました。
重力場方程式は形は非常にすっきりして、中身は非常に複雑で、大方の見当がつけられないと分析するのが困難に思えましたので、このようなご指摘大変助かります。
回転の問題は、私もよく考えさせられます。ご紹介していただいたサイトも参考になりました。
「アインシュタインは彼の思考実験において、回転座標系中の円という数学的なものを考えていたのである。アインシュタインの円の各点は最初から回転していて、その円周のローレンツ収縮をいう比較対象がない。問題を一見複雑かつ困難にしたのは、そのような円の代わりに、現実の物質からなる円板を想像したところにあるようだ。」の箇所には、なるほどと思わされました。最初から回転していると考えれば、確かに円は円ですね。そして数学的な円だとすれば、いくら巨大であっても、そしてそのゆえに円周上の点の速度が光速度を超えても、かまわないことになるのでしょうね。

  投稿者:T_NAKA - 2008/06/23(Mon) 12:29  No.4311 
>ceyonbeさん

誤解されるような書き方をして申し訳ありません。
アインシュタインが一般相対論に向かった動機には「回転円板問題」というのがあったのではないか?という意味で関係するURLを上げました。そのページの内容が正しいとか間違っているとかいう判断は私には出来ません。
自分が判断できない内容を提示することはマナー違反だと思いますので、ここでお詫びいたします。
あくまで参考に留めていただけると幸いです。

  投稿者:hirota - 2008/06/24(Tue) 10:37  No.4325 
「回転円板の円周率」というのは、そもそもまともな問題なのか?という疑問があります。
普通、円周率を考えるときは、ユークリッド空間であろうとも曲がった空間であろうとも、円周上に同時刻が定義できるような座標系が存在することを前提としてるはずですが、回転円板には存在しません。
そのような場合、同時性を犠牲にして一様な全体座標系で考える立場と、全体座標を犠牲にして同時性のある局所座標で考える立場、さらにそれらをミックスした立場などが考えられますが、どれを自然と思うかは各人の勝手じゃないでしょうか。(座標変換図を描けば分かるように、ローレンツ短縮だって時刻の合わせ方を変えると逆になる。時間と空間は対等なのに、時間は延びて空間は縮むのは変だと思った人いませんか?時間と空間は両方とも延びると思うほうが自然だという立場もありうる)

  投稿者:明男 - 2008/06/25(Wed) 01:48  No.4332 
>hirotaさん
話についていけないので、これは質問ですが、結局回転円盤による円周率の測定という設問自体に意味が無いということでしょうか。それは答えが不定(見方による)ということなのか、それとも求める術が無いということなのでしょうか。

GPS衛星の時計の遅れ・進みは、重力による一般相対論的効果を差し引いても、特殊相対論的な円運動による遅れ分は、見方を変えると円周率の問題とも見なせると思うのですが。

ローレンツ短縮云々で、時刻の合わせ方を変えるとは、座標系の乗り換えのことでしょうか。そうならば、逆(に見えるの)も分かる気がしますが、立場が変わっても結論は同じ、というのが一般的解釈と思うのですが。時間が延びて空間が縮むというのは、同じ事の別な表現だと思っていましたが、違うのですか。つまり等速で遠ざかる物体の長さが縮むというのは、観測者がその物体の時間を観測するとゆっくり動く、つまり延びていることと同じ事であり、それが相殺するから固有時と固有長は不変である、別な言い方をすれば、時間と空間は合わせて不変であり、互いに相補的であるから、空間が縮めば時間が延びないと辻褄が合わない気がします。
勝手な質問ですが、なるべく平易な説明がいいなあ、と思います。

  投稿者:hirota - 2008/06/25(Wed) 13:21  No.4335 
特殊相対論で座標変換の時空図
http://lvttyptr.ld.infoseek.co.jp/spthrel.html#fuhen
を見れば分かるように、座標変換により時間 t の座標軸と空間 x の座標軸は同じ角度で逆方向に傾いて、どちらも伸びています。
つまり、この図を自然に解釈すれば時間も空間も伸びています。
でもアインシュタインが説明したような時間と空間の測定方法 (ローレンツに合わせた) を読むと、時間が伸びて空間が縮むという結論も自然に思えます。
というわけで、先に出したローレンツが「やったもん勝ち」で現在の解釈になってるわけです。
さて、回転円盤の場合ですが、図のような傾いた空間軸 (回転円盤上で同じ時間) を円周に沿って一周すると時間がずれてしまいます。
つまり円周全域を同じ時間にすることはできません。
普通の長さ測定は始点と終点が同じ時間でないと無意味ですから、このままでは円周の長さを定義できません。
というわけで、円周率問題は無意味という結論もありですが、なんとか長さ定義を拡張して求めようとすると、ローレンツ短縮と同様に定義次第で空間の短縮と伸長が逆になったりします。

  投稿者:明男 - 2008/06/26(Thu) 10:14  No.4352  <Home>
答レス、有り難うございます。
しかし、折角なのですが、意味がよく分かりません。
釈迦に説法はしたくないので、ずばり聞きます。
回転円盤、紛れの無いように、物理的剛体の円盤ではなく、円周上に非拘束された無限小のものさしが回転しているような数学的モデルで考えます。そして、この系は一定に回転しているとします。円周率は測定できますか。できるとすれば、その値とπの大小関係はどうなりますか。
私の今までの学習知識では、「できる」「πより大きくなる」なのですが。なお、(特殊)相対論は一応、専門科目として学習しています。

まあ、メインは上の命題ですが、言葉使いが今ひとつ分かりません。円周の長さの定義にそんな曖昧さがあるのですか。
時空図で「自然に解釈」の意味は何ですか。時空図は異なる系を同じ紙面上に重ね書きしたもので、座標軸の目盛り自体が異なり、目盛り間隔は伸びていますが、そのため、(各)座標系における座標値(間隔)は逆に縮んでいるのが約束で、それが「自然」な解釈だと思っていましたが。
最後に、「ローレンツ短縮と同様に定義次第で空間の短縮と伸長が逆になったりします」ですが、確かに短縮といっても見方を変えれば伸長する(のを観測)することもあります。しかし、それは定義次第ではなく、観測者と系の相対的な状況によるもので、長さの定義が変わった訳ではないと思うのですが。
相対論を学習し始めている人に混乱を招きませんか。