EMANの物理学 過去ログ No.3861 〜

 ● 変数qの微分

  投稿者:sym - 2008/04/25(Fri) 22:37  No.3861 
 統計力学の「リウビユの定理」を読んでいたら、基本的なところで疑問が出てきました。座標qの時間微分dq/dtをどう捉えたら良いか、という問いです。ハミルトン形式での独立変数はt,p,qであり、この文脈では、qはただの変数に過ぎないのだから、tで微分はできないんじゃないのかと思いました。
 物理の問題なのか数学の問題なのかもわかりませんが、qはどう考えたら良いのでしょうか。

 本筋とは関係ないし、私の変な(根本的な)勘違いだと思うんですが、どなたか良かったら助言をお願いします。

  投稿者:kara - 2008/04/25(Fri) 22:51  No.3862 
こんばんわ。

偏微分なら、∂q/∂t=0と思いますが、全微分なので、dq/dtは、qの時間発展を表すのだと思います。



  投稿者:TOSHI - 2008/04/26(Sat) 00:01  No.3863 
どもTOSHIです。

>ハミルトン形式での独立変数はt,p,qであり、この文脈では、qはただの変数に過ぎないのだから

 Hというのは独立変数はt,p,qの関数ですが,このHに基づいてp,qをtの関数と仮定するとこれらはハミルトンの運動方程式dq/dt=∂H/∂petc.を満たすというのが普通の話です。この解を代入するとHはtだけの関数になります。
                     TOSHI
                  

                    

  投稿者:murak - 2008/04/26(Sat) 17:31  No.3865 
T 三つの座標変数 p,q,t で張られる空間 X={(p,q,t)} を考える。また、これとは別に一つの変数τで張られる空間Τ={τ}(この2バイト文字Τはτの大文字のつもり)を考えておき、Τから X への写像φ(τ)=(p(τ),q(τ),t(τ)) を考えよう。このとき写像φのτによる微分を

     dφ/dτ = ( dp/dτ, dq/dτ, dt/dτ )

により定義する。また X 上の任意の関数 F(p,q,t) に対し、φと F の合成関数 F(φ(τ))=F(p(τ),q(τ),t(τ)) はΤ上の関数であるから、その微分 dF/dτ を考える事が出来て、明らかに

     dF/dτ = (∂F/∂p)dp/dτ + (∂F/∂q)dq/dτ + (∂F/∂t)dt/dτ

である。

問題(1) X 上の関数 F として特に F(p,q,t)=p で定義されるものを考え、これを P であらわす事にしよう。すなわち P(p,q,t)=p である。同様に Q(p,q,t)=q, T(p,q,t)=t により関数 Q, T を定義しておく(この1バイト文字 T は t の大文字のつもり)。このような関数 P,Q,T についてその偏微分 ∂Q/∂t, ∂P/∂q 等を全て求めよ。
問題(2) 関数 P,Q,T と写像φの合成 P(φ(τ)), Q(φ(τ)), T(φ(τ)) に対し dP/dτ, dQ/dτ, dT/dτ を計算せよ。


U 上のTにおいて、φとして特に φ(τ)=(p(τ),q(τ),τ) という性質を持つ写像を考える。このような写像の事を、ここでは特に「運動」と呼ぶ事にする。写像φが運動であれば、これはΤ={τ}からその像{(p(τ),q(τ),t(τ))} への一対一対応を与えるので、逆写像φ^{-1}が存在する。この逆写像のことを「時間写像」あるいは単に「時間」と呼ぶ。このときφ(τ)の t 座標とτは t=t(τ)=τ という関係式(恒等関数)で結ばれるので、これを逆に解いて τ(t)=t という関係式も得られ、明らかに dτ/dt=dt/dτ=1 が成立する[*]。これらの関係を用いると、X 上の勝手な関数 F(p,q,t) と任意の運動φに対して、(2重)合成関数 F(t)=F(φ(τ(t))) の座標変数 t による微分(すなわち時間微分) dF/dt を

     dF/dt = (d/dt) F( p(τ(t)), q(τ(t)), t(τ(t)) )
        = (∂F/∂p)(dp/dτ)dτ/dt + (∂F/∂q)(dq/dτ)dτ/dt + (∂F/∂t)(dt/dτ)dτ/dt
        = (∂F/∂p)dp/dt + (∂F/∂q)dq/dt + ∂F/∂t

により定義する事ができる。

問題(3) 問題(1)で定義した関数 P,Q,T と勝手な運動φについて時間微分 dP/dt, dQ/dt, dT/dt を計算せよ。


V X 上に一つの関数 H(p,q,t) が与えられているものとし、これを固定して考える。また、関数 P,Q,T の意味は上で定義した通りとする。X における運動 φ(τ)=φ(p(τ),q(τ),τ) として、特に、(上で定義した意味において計算した) dQ/dt, dP/dt と ∂H/∂p, ∂H/∂q にφを代入した結果との間に関係式 dQ/dt=∂H/∂p, dP/dt=-∂H/∂q が成り立つものがあったする。これはUで定義した運動の中でも更に特別なものなので、それを「ハミルトン的な運動」と呼ぶことにする。(ただし、そのようなφの存在を具体的に知るには、上の二つの関係式から定まるφ(τ)=(p(τ),q(τ),τ)に対する関係式を微分方程式とみて解かねばならない。)

問題(4) X 上の勝手な関数 F(p,q,t), G(p,q,t) に対し、

     {F,G} = (∂F/∂p)(∂G/∂q) - (∂F/∂q)(∂G/∂p)

を F と G のポアッソン括弧式と呼ぶ。運動φがハミルトン的であるなら F(t)=F(φ(τ(t))) に対し

      dF/dt = {H,F} + ∂F/∂t

が成立する。特に dQ/dt={H,Q}, dP/dt={H,P} である。

問題(5) 一般座標変換により X={(p,q,t)} を X'={(p',q',t')} に写して考える。これに際し、X 上の任意関数 F(p,q,t) は F'(p',q',t')=F(p(p',q',t'),q(p',q',t'),t'(p',q',t')) として X' 上の関数に写されることに注意しよう。このとき、X 上でみてハミルトン的な運動φが X' 上でみてもやはりハミルトン的になっているためには、座標変換にどのような制約が課せられねばならないか?


(記述に不備を見つけた場合は適宜正すこと)

  投稿者:sym - 2008/04/26(Sat) 19:37  No.3866 
 karaさん、TOSHIさん、レスありがとうございます。

 とりあえず、思いついたことを書いてみます。

>∂q/∂t
 qを運動の軌跡だと考えると、qは時間の関数、つまりq(t)だから、その時間微分は速度を意味し、dq/dtという記号に問題はないです。しかし、∂q/∂tという記号には少し問題があると思います。このqは自分自身を変数として含んでいるんでしょうか。おかしいですよね。∂q/∂t=0という式を見かけたこともあると思いますが、イメージとしては、∂q/∂t=φ(空集合)に近く、本来、破綻しているはずの論理が偶然うまくいっているだけじゃないのかと考えています。(ポアッソン括弧式でp,qを当てはめてるとことか・・・)

>このHに基づいてp,qをtの関数と仮定するとこれらはハミルトンの運動方程式dq/dt=∂H/∂petc.を満たすというのが普通の話です。
 なるほど!運動の軌跡q(t)とHの変数qをごちゃ混ぜにしていたのが、いけなかったようです。あいだにある「代入」という操作を忘れていました。違うものを同じqという記号で表しているだけなんですよね。それらの一方を他方に移す操作が代入であり、つい、これを忘れて、どうにか同一視できないかと考えていました。できるわけなかったです。

 なんだろ。
 なにか、まだすっきりしない。

 もっとイメージを豊かに幾何的に考えられれば、すっきりできるのかもしれません。「代入」がわからないんです。代入って、物理では普通だけど、数学では見ない(ありえない)ですよね。ファイバーみたいなのを考えて、その断面が1つの解を表すとかって考えるんでしょうか。ちょっと調べてみたくなりました。

 少しずつ考えがまとまってきた気がします。付き合っていただき、ありがとうございました。


追記
 見当違いなことを書いてしまったかもしれません。murakさんのレスをよく読んでから、考えをまとめなおそうと思います。

  投稿者:kara - 2008/04/26(Sat) 23:33  No.3868 
>∂q/∂tという記号には少し問題があると思います。このqは自分自身を変数として含んでいるんでしょうか。

トリビアルですが、q(t,p,q)と考えたときに、

∂q/∂t=0,
∂q/∂q=1,
∂q/∂p=0

などということです。∂/∂tは、空間(t,q,p)の中でq,pを固定しますが、d/dtは、相空間(q,p)内の解曲線上の、パラメタtによる微分を表すので、一般にq,pも動きます。

  投稿者:murak - 2008/04/27(Sun) 06:59  No.3869 
#3865への補注:

[*]の部分で出てきたτ(t)は、正確には、時間写像φ^{-1}が誘導する座標空間 X の t軸から空間Τ={τ}への写像である。つまり、つまり座標空間 X における t 軸への射影をπとするとき、 τ*π=φ^{-1} であるような写像τのことである(ただし、ここでの * は写像の合成を意味するものとする)。この写像τのこともしばしば「時間写像」と呼ぶ。物理における慣習では時間写像τと運動φの合成 φ*τ のことをむしろ「運動」と呼び、これを、φを表に出さないで t→(p(t),q(t))等と表す。あるいは問題(1)で定義した関数P,Qとφ*τの合成 P*φ*τ, Q*φ*τのことを単に p(t), q(t) と書く。解析力学等で dp/dt, dq/dt と書く場合は勿論この意味での q(t) (つまり合成関数 Q*φ*τ)を微分しているわけで、決して座標変数 q を座標変数 t で微分しているわけではない。一方、∂q/∂t のような表記をする場合は、実際には、問題(1)で導入したような関数 P,Q を(座標変数 p,q,t 等で)偏微分しているわけで、これも、座標変数 q を座標変数 t で偏微分しているわけではないのであるが、慣習としてそう書くのである。物理屋さんが力学をやっているときは、(殆ど無意識のうちに)こうした使分けを行っている。

  投稿者:murak - 2008/04/28(Mon) 07:44  No.3870 
おまけ:

更に云っておくと、物理では普通、(此処に云う)時間写像で結ばれる t とτ(これは変数としてのτ)を同一視する。つまり、t とτをわざわざ区別する必要性は無いだろうというわけである。実際、それが相対論以前における力学の常識であった。しかしながら・・・(以下省略)。

  投稿者:hirota - 2008/04/28(Mon) 15:13  No.3872 
相対論の数式をいじくってると、この t は 4次元時空での時間座標なのか特定の世界線での時間目盛りなのか混乱してしまう時がありますねー。

  投稿者:murak - 2008/04/29(Tue) 04:58  No.3875 
> 相対論の数式をいじくってると、・・・

まあ、hirotaさんなら混乱する事もないんでしょうが。。。

相対論では時間写像は恒等関数にならないので、t とτを区別するのは当然ですが、そうでなくても区別しておくと何かいいことがある(かな?)

  投稿者:sym - 2008/05/01(Thu) 03:34  No.3882 
 murakさんの解説を読んで、もやもやしていたものが何だったのか、やっとわかりました。文脈・内容がわかっているときは自然に区別しているんですが、力学の基本的な考え方を忘れ、どう捉えたら良いかわからず迷っていたようです。

 少し長くなりますが、考えをまとめてみます。

 [力学の枠組]
 力学の主役は運動である。運動はたった1つのパラメータによって記述される。ある時間に物理量を測定し、その値を得る。たとえば、ある時刻tで物体の位置qを測定する。こうして、各時刻tの測定値qを集めると、時刻tと位置qの対応関係の集まりq(t)が得られる。すなわち運動という現象から、q(t)が得られた。逆にq(t)を決めると、粒子の運動は一意に指定される。力学とは、運動という物理現象から物理量の間に働く法則を見つけ記述し、また逆に、既知の物理法則から未知の運動の特性・性質・かたちを探る学問である。

 [質問の根本原因]
 私は解析力学の形式にとらわれて、力学の主役が「運動」であることを忘れていました。解析力学をまじめに勉強したことが無いから、練習問題を解いていけば自然に身につくようなことがわかってなかったんです。

 [関数と変数を区別する記号法]
 イメージと数式の対応が取れていれば関数と変数を区別して記号を使う必要はないが、対象が抽象的になってきたと感じたら、自らの考えをきちんと記号化して明確にする必要があると、そう思いました。自分の中でなんとなくわかっているだけでは、だめですね、外に出さないと。わかっているつもりでも、それを表すのはなかなか難しいです。しかし、murakさんの丁寧な解説のおかげでなんとなくだった認識をはっきりさせることができました。murakさん、ありがとうございました。

 実は、まだはっきりしていない点もあります。
>∂q/∂t
 このqが Q(q,p,t)=q という座標空間Xからq軸への射影だというのは正直ショックです。予想外なので理解してなく見当違いかもしれませんが、こういうqは未知関数であると考えています。式を見るとき、その式が方程式なのか恒等式なのか意識してみると今まで感じていた違和感もなくなりました。では、未知関数とは何かと問われると、これが良くわかりません。方程式を解くということが、どういうことなのか良くわかってないようです。もう少し考えてみます。

 一般に、運動方程式を解くとき、解の存在ってどうなんでしょうか。HやLもしくはFに条件って付くんでしょうか。急に気になり始めました。気になりだすと、いろいろ気になります。最近、考えることが数学よりになってます。

 駄文、長文、失礼しました。
 以上、独断と偏見に満ちた文章ですが、コメントや誤りの指摘などしていただけると助かります。

  投稿者:murak - 2008/05/02(Fri) 05:18  No.3884 
言いたかった事がちゃんと伝わっているようで良かったです。(納得する、しないはまた別問題ですが。)

∂q/∂tという記法におけるqが Q(q,p,t)=q という座標空間Xからq軸への射影だという点については#3865の I の問題(1),(2)を詳細に検討して頂ければ分かる筈だと思いますが、もう少しヒントを書いておきましょう。

symさん自身が#3882に書いておられるように、力学における運動とは数学的には(時間を表すと考えられる)一次元のパラメータ空間から(その系の状態を表わす何らかの)空間への写像に他なりません。従ってqを力学的な変数と考えるなら、dq/dt にはその時間発展という明確な意味がありますが、∂q/∂t等の意味は不明です(それはsymさん自身が#3866に書いておられる)。しかしながら、そのqを射影を表す関数(つまりQ)と考えるなら∂q/∂tの意味は明確で、その結果はkaraさんが#3868に書いておられる通りになる。この点で、解析力学にける偏微分記号の使われ方は、変数の偏導関数自体に明確な物理的意味がある電磁気学や流体力学等の場を扱う理論における場合とはかなり趣きの異なったものになっている(まあ、場の解析力学というのもある訳だが)。

そこで、解析力学における偏微分記号はどのようなに現れるのかを今一度振り返って見ると、それは結局ハミルトン関数やラグランジュ関数の q や t に対する依存性を通じてのみ、理論に現れる事がわかる。そして、その現れ方の基本がまさしく#3865に書いた

    dF/dτ = (∂F/∂p)dp/dτ + (∂F/∂q)dq/dτ + (∂F/∂t)dt/dτ        (*)

です。

そこで次に、この式の「運動」依存性(つまりφ依存性)を調べる事になるのだが、今日は時間がないので、またいずれ。

(ここまで書けば、あとは自分で考えられるとも思うが・・・)

  投稿者:hirota - 2008/05/03(Sat) 13:52  No.3888 
イジワル問題
potentialが -q^2/2 の1次元空間に質量1の質点が運動してるとする。
境界条件を q = 0 で p = 0 とすると、H = p^2/2 - q^2/2 = 0 であり、p = ± q が解となる。
この場合、∂p/∂q, ∂p/∂p はどうなるか?

  投稿者:murak - 2008/05/05(Mon) 02:42  No.3889 
hirotaさんのイジワル問題が途中に入ってちょと続けにくくなりましたが、このままでは中途半端なので、説明の方針を少し変更して先を続けます。


#3884の続き

既に何度も書いているように、力学における主題は運動φを求める事です。このことをより明確にさせるために、φ(τ)を (p(τ),q(τ),t(τ)) ではなく

     φ(τ) = ( φ_p(τ), φ_q(τ), φ_t(τ) )

と書いておくことにします。このとき先の(*)式は

     (d/dτ)F(φ(τ)) = (∂F(p,q,t)/∂p)|_{p=φ_p}dφ_p/dτ + (∂F(p,q,t)/∂q)|_{q=φ_q}dφ_q/dτ + (∂F(p,q,t)/∂t)|_{t=φ_t}dφ_t/dτ

と表わされる事になります。

以下、#3869に云うようなτと t の同一視を行うことにし、φを時間を表わす空間 T から運動量相空間 {(p,q)} あるいは拡大運動量相空間 {(p,q,t)} 等への写像であると解釈する事にしておきます。このとき、

問題(6) 上の表記法式に習い、ハミルトン形式の力学における運動方程式を、それがφに対する方程式であるであることが明確になるように書き直せ。

問題(7) ラグランジュ形式の力学において問題(6)と同様の事を行え。

問題(8) (質点系の)力学(の理論や具体的問題)において、∂φ/∂p, ∂φ/∂q, ∂φ/∂t (ここでのφは、その成分である φ_q 等を代表して表したものとする)の様な量が現れることはあり得るか?

(以上で言いたいことはすべて言ったかな)

p.s.
力学における解の存在の問題は、基本的にはハミルトン関数やラグランジュ関数の具体的な形と、常微分方程式の解の存在に関する理論からそれなりのことはわかります。(それについては教科書等を参考にしてください。)

  投稿者:murak - 2008/05/05(Mon) 08:22  No.3890 
失礼、

     (d/dτ)F(φ(τ)) = (∂F(p,q,t)/∂p)|_{(p,q,t)=(φ_p,φ_q,φ_t)}dφ_p/dτ + (∂F(p,q,t)/∂q)|_{(q,q,t)=(φ_p,φ_q,φ_t)}dφ_q/dτ + (∂F(p,q,t)/∂t)|_{(p,q,t)=(φ_p,φ_q,φ_t)}dφ_t/dτ

と書くべきでした。

  投稿者:sym - 2008/05/08(Thu) 14:37  No.3895 
この場をお借りして、解答してみます。

>hirotaさん出題の問題
題意がつかめないけど、∂p/∂q, ∂p/∂pについては、karaさんが#3868に書かれていることが常に成り立ち、∂p/∂q = 0, ∂p/∂p = 1ということで良いですよね。あと、いじわるポイントをさがしてみると、
>p = ± q が解となる
という記述のあたりですか。p = q = 0で不安定ながら、止まっているという回答で……どうですか?

>murakさん出題の問題(の一部(6)と(7)への答案)

ハミルトンの運動方程式
(d/dt)P(φ(t))=(∂H(p,q,t)/∂q)|_{(p,q,t)=(φ_p,φ_q,φ_t)}
(d/dt)φ_p(t)=(∂H(p,q,t)/∂q)|_{(p,q,t)=(φ_p,φ_q,φ_t)}

(d/dt)Q(φ(t))=-(∂H(p,q,t)/∂p)|_{(p,q,t)=(φ_p,φ_q,φ_t)}
(d/dt)φ_q(t)=-(∂H(p,q,t)/∂p)|_{(p,q,t)=(φ_p,φ_q,φ_t)}

ラグランジュの運動方程式
[(d/dt)(∂L(q,`q,t)/∂`q) - (∂L(q,`q,t)/∂q)]|_{(q,`q,t)=(φ_q,φ_`q,φ_t)} = 0

>∂q/∂t
 解析力学においては、qやpが最も基本的な量でないということにはじめて気づきました。そもそも「qが Q(q,p,t)=q という座標空間Xからq軸への射影だというのは正直ショックだ」と言ったのは、物理の中に直感的なイメージを持たない項が現れたと思えたからでした。Qという存在が作為的なものに見えてたんです。qが最も基本な量であることを疑わなかったからです。しかし、ハミルトン形式での基本量は(q,p)だったんですよね。正準変換とかいうやつがあるという話ぐらいは聞いたことがあったので、すぐ気づいてもおかしくなかったはずなのに、、、やっと実感できました。
 こうやって、長い(短い)時間を使って考えてみると、作用が極値を取るための条件であるというイメージしか持てていないラグランジュの運動方程式より、qやpの時間発展を追っていくイメージを持てるハミルトンの運動方程式のほうが身近に感じるような気がしてきました。qとpが入り混じったら、何が何だかといった感じでしたが、(q(t),p(t))を描けば、これも解決しそうです。

>力学における解の存在の問題は、基本的にはハミルトン関数やラグランジュ関数の具体的な形と、常微分方程式の解の存在に関する理論からそれなりのことはわかります。
 解の存在の問題という問題があること、理論からそれなりのことはわかるということ、それらを教えて頂けただけでも、とってもありがたいです。murakさん、ありがとうございます。

長文、読んでいただき、ありがとうございました。

  投稿者:hirota - 2008/05/08(Thu) 16:10  No.3896 
イジワル問題の解は
p軸への射影が p = P(q,p,t) = ±q なので、∂P/∂q = ±1, ∂P/∂p = 0 となる。
の方が題意に沿ってると思っています。(murakさんの説明に続いてるとした上での題意ですが、異論は大いにあるでしょう)
元々、「偏微分」というものは微分対象がどの変数セットの関数か、関数形は何かが全て指定されてないと定義できない物で,それがどう指定されてるか判定するのが大変な時があります。(特に、変数セットの間に従属関係があると)

  投稿者:murak - 2008/05/09(Fri) 02:11  No.3898 
解答編というのも嫌ですが、一応出題者の責務として#3889の解答らしきものを書いておくと

問題(6)は、大体symさんが書いている通りですが、この場合φ_t=id(恒等関数)なので、その辺を意識すれば

    (d/dt)φ_p(t)=-(∂H(p,q,t)/∂q)|_{(p,q,t)=(φ_p,φ_q,t)}
    (d/dt)φ_q(t)=(∂H(p,q,t)/∂p)|_{(p,q,t)=(φ_p,φ_q,t)}

という感じでしょうか。(本当は(∂H(p,q,s)/∂q)|_{(p,q,s)=(φ_p,φ_q,t)}とでも書く方が、より紛れが無くてよい。)

問題(7)は

   (d/dt)[(∂L(q,`q,t)/∂`q)|_{(q,`q,t)=(φ,dφ/dt,t)} ] - (∂L(q,`q,t)/∂q)|_{(q,`q,t)=(φ,dφ/dt,t)} = 0

ですね。

ここでの要点は、ハミルトン方程式の右辺は(運動量相空間上の既知関数である)H(p,q,t)をp,qで編微分した結果にφ_p,φ_q等を代入したものなので、其処にはφの微分(常微分、編微分を問わず)は現れず、ハミルトン方程式はφに関する連立の一階常微分方程式になるという事です。同様にラグランジュ方程式の第一項は(速度相空間上の既知関数である)ラグランジュ関数 L(q,`q,t) を `q で編微分した結果に φ,dφ/dt を代入したものを t で微分するという事なので、そこにはφ(t)の二階微分が現れ、ラグランジュ方程式は結果としてφに対する二階常微分方程式になるが、∂φ/∂qのような量が現れる事は無い。というわけで、これらの演算を遂行した結果である運動方程式からは変数 p,q は勿論の事、∂p/∂q, ∂q/∂tといった量も(あったとしても)完全に消えてしまうし、そこに∂φ/∂q といった量(変数?)が現れることもありません。

結局、解析力学における編微分演算はハミルトン関数やラグランジュ関数から運動方程式を導出する過程で過渡的に登場するだけで、具体的問題における最終結果(である運動方程式)には現れない(残らない)類のものです。(ただし、力学の形式に対する変換理論のようなものを考える際はまた別。)

あるいは、もう少し別の言い方をすると、力学でp,qに関する偏微分演算が現れるならば、それは(拡大)相空間{(p,q,t)}上の関数に対するものであって、運動を表す未知関数(変数)φに対するものでは無い。また、常微分演算が現れるならば、それは時間を表すパラメータ空間から相空間(あるいは状態空間)への写像(=運動)に対するものなのであって、相空間上の関数に対するものでは無いという事になります。

(この文脈からすれば#3888の問題の答えは(前半部分の答えの如何に関わらず)∂p/∂q=0, ∂p/∂p=1 となるべきだと思うが。。)

  投稿者:sym - 2008/05/10(Sat) 02:47  No.3901 
>問題(7)への答案U
連立方程式にしてみました。
[(d/dt)(∂L(q,`q,t)/∂`q) - (∂L(q,`q,t)/∂q)]|_{(q,`q,t)=(φ(t),`φ(t),t)} = 0
(d/dt)q|_φ(t) - `q|_`φ(t) = 0

>問題(7)への答案V
簡略化(しすぎかもしれません)
[(d/dt)(∂L(q,`q,t)/∂`q) - (∂L(q,`q,t)/∂q)]|_{q=φ(t)} = 0

個人的には答案Vがしっくりきます。

>最初の答案
ラグランジュの形式について、よく考えていなかった、
というのはただの言い訳ですが、間違いは間違いでした。
はっきり言います。
座標空間(q,`q,t)を考えていました。
こんな大掛かりなものを考える必要はないですよね。
ハミルトンの形式に感動して流されていたようです。

良い記法を心がけることは、非常に重要なことですね。でも、記号の書き方について考えていると、記法そのものについての十分な説明の必要性も、それ以上に感じました。∂q/∂tといった記号には相変わらず慣れないですが、その前後に一言でもあればなと思います。

要するに言い訳じみた、ただのグチなわけでした。。

何はともあれ、最初の自分の発言に対して、なんとばかなことを言っているのだ、と思えるほどには理解を進めることができたと思います。

  投稿者:murak - 2008/05/10(Sat) 05:56  No.3902 
まわりくどい言い方をしたため、かえって誤解を助長する事になったかもしれません。なので、端的に言いましょう。

私の(これまでの発言で)言いたかった事は、微分を考える時は、それが(何を変数とする)何処からどのへの関数(写像)であるかを常に意識し、それを明確にするような書き方を心がけよという事です。その際、時間を表す一次元のパラメータ空間から相空間(あるいは拡大相空間)への写像である運動そのものと、相空間等の上の関数であるハミルトン関数や一般の物理量を明確に区別しておく事が(特に解析力学においては)重要です。

具体的には

(1) p,qを運動量相空間での独立変数を表す記号として使いたいなら、運動を q(t), p(t) の様に記する事は避け、φ(t)とでも書いておけ。この場合∂/∂q等の偏微分演算は必ず相空間上の関数に対する演算になるので、∂φ/∂t,∂φ/∂qのような意味不明の量が登場する事は無い。

(2) もし運動をp(t),q(t)の様に表したいなら、∂p/∂q や∂q/∂tのような書き方は(意味不明になるので出来る限り)使うな。(その場合、もしそのような量が出てきたなら、それは実は、相空間における射影を表す関数P,Q等に対する、相空間の独立変数p,qによる、偏微分演算の意味であると解釈せよ。)

という事です。(その観点からして#3901の記法がどうなのかは自分で判断して下さい。)

なお、ラグランジュ形式の力学におけるラグランジュ関数は、ハミルトン形式の力学にけるハミルトン関数が運動量相空間(=運動の配位多様体の余接バンドル)上の関数であるのと同様に、速度相空間(=配位多様体の接バンドル)上の関数なので、それを偏微分する際はq,`qを独立変数であるとして偏微分を行います。

(まあ、symさんのグチは良くわかります、私自身が物理学科の学生であった頃も同じ事を思ってましたから。)

  投稿者:sym - 2008/05/10(Sat) 14:57  No.3908 
 murakさんへの返信と自分が勝手に思ったことを混ぜてしまっていました。これらはきっちり分けなければ、、、と反省しています。
 言い訳の言い訳はくどいのでやめにして、最後のまとめとして引用?させてもらうと、
   運動φ(t)と相空間上の関数の変数(p,q)の区別を!
ということでした。