EMANの物理学 過去ログ No.3807 〜

 ● ミニ・ブラックホール

  投稿者:凡人 - 2008/04/13(Sun) 22:17  No.3807 
(本件は初め「科学界の方々へ」というスレッドに投稿されましたが、そこでの議論の流れとは全く掛け離れた内容であるため管理人により移動されました。 なおオリジナルの投稿時刻は 2008/04/13(Sun) 14:39 です。)

そういえば、「科学界」の皆様は、LHCで「ミニ・ブラックホール」が生成されると思われている方が、多数を占めていらっしゃるのでしょうか?
因みに「地上界」の私は、今の段階では、オーソドックスな超弦理論に賭けていますので、LHCでの「ミニ・ブラックホール」生成実験は、失敗に終わるのではないかと予想しております。
http://www.icepp.s.u-tokyo.ac.jp/komamiya/research/lhc/extra_lhc_bh.htm

  投稿者:EMAN - 2008/04/14(Mon) 11:23  No.3808 
> LHCで「ミニ・ブラックホール」が生成されると思われている方が、多数を占めていらっしゃるのでしょうか?

 世間ではブラックホール生成実験にばかり注目が行っているようですが、多数の科学者にとっては、これは脇役的な実験に過ぎないと思います。 (BH生成実験に携っている方、こんな言い方して済みません。)


 しかしこの実験は、予算獲得の為の看板としては、全体に対して非常に大きな貢献をしていると思います。 (携っている方、本当に済みません。 真面目に取り組んでおられる事は知っています。)


 私としては、どの理論が正しくないと困るなどという主義主張もなく、ホーキングたちのようにどの理論が正しいかをネタに賭け事を楽しむこともしていませんから、どんな結果が出ようと気楽なものです。 「こうであって欲しい」という願いはなく、ただ「本当の事が知りたい」と願っています。

 全く予想外の奇妙な事が起きてくれた方が科学は面白くなるし、今後の実験の予算が下り易くなるという期待はありますので、BH生成に期待してはいますけれど、つまり、BH生成はそれほど奇妙で、多分起こらんだろうということです。

 今回の実験でBH生成できなくても、余次元の理論が否定されるわけでもありませんし、BHの非存在証明にもならないことは理解していて欲しいと思います。

 凡人さんは「BH存在して欲しくない」派のようですので、この実験の結果を境に「トンデモ化」しそうで、最近の発言は滅茶苦茶危なっかしいです。

 これは全体の目的からすれば、「ついで」の実験なのです。(関係者の方、済みません。 私はどの実験も応援してます。)

  投稿者:hirota - 2008/04/14(Mon) 12:12  No.3809 
LHCで標準理論にない反応 (BHも含む) が山ほど出るのは当然として、やっぱり興味はヒッグス粒子。 その次に超対称粒子ですね。

  投稿者:ハーちゃんスーちゃん - 2008/04/14(Mon) 21:26  No.3812 
私としては、LHCの実験が、いわゆる、現在の「標準理論」
の限界を超えた結果になることを期待しています。

超対称性粒子の存在にしても、人工ブラックホールの可否に
しても、大統一理論や量子重力理論(超ひも理論なども含め)
などの新しい理論の、まともな構築・検証が、近未来で可能
なのか、かなり先の未来(例えば、100年以上先)まで待
つ必要があるのか、ということとも関わってくると思います
よ。

標準理論の予想どおり、たとえば、人工ブラックホールが否と
なると、そうした新しい理論の構築・検証には、プランク・
エネルギーとか、それに近い超高エネルギーでないと無理と
いうことで、そうなると、100年以上先(下手すると、200年近い先)になるようです(加速器などでのエネルギーの
増加割合から計算してという話です)。

一方、標準理論を予想を裏切って、人工ブラックホールが可
になれば、LHCくらいのエネルギーでも、新しい理論の構築
・検証が可能になるのではと思います。

1905年頃の若きアインシュタインも、当時の最先端理論
であった、マクスウェル&ローレンツ理論や、(特許庁の仕
事で繰り返してらしい)電磁気や光に関する実験結果を素直
に受け入れて、17世紀末以来の標準理論であったニュート
ン力学を超える、相対性理論や光量子理論に到達したのでし
ょう。

当時の若きアインシュタインが、現代にタイムスリップし
て、LHCの実験結果をみたら、どうなるかな?

ちょっと、冗長な話になってしまったかな?

  投稿者:凡人 - 2008/04/14(Mon) 21:33  No.3813 
EMANさん、スレッドを立てていただきまして、大変申し訳ありませんでした。
ところで、
>今回の実験でBH生成できなくても、余次元の理論が否定されるわけでもありませんし、BHの非存在証明にもならないことは理解していて欲しいと思います。
仰る内容につきましては、十分理解しているつもりです。
「余次元の理論」については、
http://www.icepp.s.u-tokyo.ac.jp/komamiya/research/lhc/extra_lhc_bh.htm
で述べられている、「プランクスケール(10^-33cm)より十分大きく広がったlarge extra dimensionの存在」というものが、私のようなものからすると想像に難いと申しているだけであって、余剰次元そのものが存在すべきではないといっている訳では御座いません。
「今の段階では、オーソドックスな超弦理論に賭けていますので、」と申しているのがその証左です。
尚、こちらが、この件について参考になるかもしれませんので、紹介させていただきます。
http://arxiv.org/PS_cache/hep-th/pdf/0205/0205205v1.pdf

また、「ブラックホール」の存在についても、例えば大質量の恒星が重力崩壊した後に、事象の地平面(球面)が形成されないと申している訳ではありません。
物質そのものや状態関数(波動関数)が事象の地平面の内部に入り込む事が出来るとすると、いわゆる「ブラックホールの情報パラドックス」が起きて面倒な事になるので、それならいっその事、物質そのものや状態関数が潰れたまま、ブラックホールが蒸発するか宇宙が終焉するまで、事象の地表面に凍り付いたままでいる理論モデルの方が理解しやすいと思ったが為に、従来の意味での「ブラックホール」は存在しないで貰いたいと申している訳です。

  投稿者:ハーちゃんスーちゃん - 2008/04/14(Mon) 22:02  No.3814 
ちょっと、つけたし。

ミニ・ブラックホールの生成が、LHCなどの加速器で可、とな
ると、一般相対論が予言する重力波の直接検証も、可能になり
そうで、その意味でも期待したいです。

重力波の件でも実験結果が否では、いままで通り、首を長くし
て天体現象に期待するしかないでしょうね。

  投稿者:ハーちゃんスーちゃん - 2008/04/15(Tue) 01:35  No.3816 
>>「プランクスケール(10^-33cm)より十分大きく広がったlarge extra dimensionの存在」というものが、私のようなものからすると想像に難いと申しているだけであって

そんなに難しいのかな?

そもそも、量子重力で問題となるプランク・スケールlpは、‘

lp = √(hbar・G/c^3) ( hbar = h/2π )
  = 1.1616 × 10^(-33) cm

一方、プランクエネルギーEpは、

Ep = √( hbar・c^5 / G ) = 1.22 × 10^19 GeV

なのですが、従来、使われている、重力定数(万有引力定数)G
の値は、約6.673×10^(-11) m^3・s^(-3)・kg^(-1) ですが、
このGの値は、今日の高次元理論では、3次元空間(あるいは
、それに時間を加えた4次元時空)での値であり、高次元空間
では、このGの値は、次元数の数とともに、もっと大きくなる
とされています。

このGの値が高次元でより大きくなるということは、プランク
・スケールの値は、高次元では、より大きくなることが予想
されます。一方、プランク・エネルギーの値は、高次元では、
より小さくなることが予想されます。

もし、LHCで、5次元以上の空間の存在が実証されれれば、
このプランクエネルギーEpが、LHCで検証可能な、1 TeV
( = 1000 GeV )くらいまで下がる可能性がある、ということ
です。

また、プランク・スケールやプランク・エネルギーの値が変わ
り、さらに超対称性粒子の存在が肯定されれば、重力以外の
3種の力(電磁力、弱い力、強い力)の強さは一致するエネル
ギー・スケール=大統一理論のスケールも従来の予想(10^15
〜10^16 GeV)より、大幅に下がる可能性があります。

そこで、LHCでの"large extra dimension'の検証が意味をもつ
、というわけです。

  投稿者:EMAN - 2008/04/15(Tue) 11:00  No.3818 
> ちょっと、冗長な話になってしまったかな?

 私もそう思いますね。
 他の書き込みに返事する気力も殺がれてしまうってもんですよ。


 蛇足ってさ、「駄・補足」くらいの意味に思っている人が多いんですよね。 あれは、蛇に足を書き足したが為に、全体が台無しになるって意味なのに。 ハーちゃん、色んなとこで損してますぜ。


> 凡人さん

 ハハ、自然は人間の理解力の都合なんかにゃ合わせてはくれませんよ。 人間の方から合わせるように努力しなきゃね。

 どんな結果が出てもそれと戦う覚悟でいる科学者たちを尊敬します。

  投稿者:hirota - 2008/04/15(Tue) 12:45  No.3820 
大きな余次元の可能性というのは、重力の逆二乗則がメートル以下の距離では確認されてない事から指摘されたんだと思います。
電磁力の逆二乗則は微小距離でも確認されてますから、膜宇宙のように電磁力は3次元空間に閉じ込められてるけど重力はメートル以下の高次元空間に伝搬してる可能性があるわけです。
そうであっても、人間の感覚は電磁力ですから、人間には3次元空間しか感じられません。
もし重力が10次元空間に伝搬しているなら、メートル以下までは逆9乗則で減衰し、それ以上の距離では逆二乗則となってることになりますから、ミクロの世界では、これまで考えられてたより重力相互作用は強いことになります。(あとはハーちゃんスーちゃんの解説に続く)

  投稿者:EMAN - 2008/04/15(Tue) 13:53  No.3821 
> 重力の逆二乗則がメートル以下の距離では確認されてない事から

 調べてみましたら、現在、センチメートルくらいまでは、逆2乗則が成り立っていることが分かってきたみたいですね。
http://www.rikkyo.ne.jp/web/jiro/research.html

 余剰次元はミリ単位まで広がっている可能性はある、と。
 加速器を使わない最先端へのアプローチもまだあるんだなぁと思いました。

  投稿者:大学生A - 2008/04/15(Tue) 16:35  No.3822 
>調べてみましたら、現在、センチメートルくらいまでは、
>逆2乗則が成り立っていることが分かってきたみたいですね。

初めて知りました。
ミクロまでずっと成り立つと思ってました。
実験方法は、無重力空間に物体を並べて、くっつくまで、
ずっと観察すると思ってました。

  投稿者:凡人 - 2008/04/16(Wed) 00:51  No.3823 
「オーソドックスな超弦理論」の解説らしきものを見つけたのですが、
http://en.wikipedia.org/wiki/Superstring_theory
によると、
>The theory states that every point in space (or whatever we considered as point) is in fact a very small 'sphere'(better say manifold) with a diameter of 10^-33m
とされていますので、「オーソドックスな超弦理論」では、余剰次元のサイズは、約10^-33mとされていると思います。
因みに、『はじめての<超ひも理論>』(川合光氏著、講談社現代新書)のP197を読むと、河合氏らのグループが提唱する理論では、余剰次元のサイズは、「プランク長さくらいの大きさ」とされているようです。
尚、プランク長は、以下の解説によれば、約1.6*10^-35mとなっています。
http://en.wikipedia.org/wiki/Planck_length

  投稿者:わたなべ - 2008/04/16(Wed) 03:53  No.3824 

>標準理論の予想どおり、たとえば、人工ブラックホールが否と
>なると、そうした新しい理論の構築・検証には、プランク・
>エネルギーとか、それに近い超高エネルギーでないと無理と
>いうことで、そうなると、100年以上先(下手すると、200年近い先)になるようです(加
>速器などでのエネルギーの
>増加割合から計算してという話です)。

かなり悲観的な意見が書かれているので、何が起こっても面白いぞ的な意見を書こうと思います。

すでに、標準模型から3σくらいずれている物理量もありますし、新しい物理がなければ、それはそれで不思議なことです。

標準模型の言うシナリオどおりならば、今まで観測してきた物理量の制限からLHCでヒッグスが見つかることは、ほぼ間違いありません。ヒッグスが見つかれば、今まで好きに振れたヒッグスの質量が固定されますし、ヒッグスの関連した反応を注意深く解析することで、新たな理論への制限は得られるのは間違いありません(ほとんど当たり前のこと書いてます。)。

もし、ヒッグスが無ければ、無い場合のシナリオをもっと真剣に考える必要があります。
(ヒッグスの役割をする、ヒッグスじゃない機構が必要ってことですから)
というわけで、ブラックホールも何も出なくても、それはそれで面白いと思います。

  投稿者:凡人 - 2008/04/17(Thu) 00:16  No.3827 
>すでに、標準模型から3σくらいずれている物理量もありますし、新しい物理がなければ、それはそれで不思議なことです。
というのは、もしかして以下の内容のことでしょうか?
http://www.kek.jp/ja/news/topics/2008/BelleBKpi.html
因みに私も今段階は、LHCでヒッグス粒子が見つかって、超対称性の破れの度合いが明らかになり、KEKでも検出されたCP非対称度の標準理論からのずれが説明できるとすれば、M理論の完成に一歩近づく事になるのではないかと期待しております。
そしていつの日かM理論が完成して、いわゆる「ブラックホールの情報パラドックス」や「量子力学における観測問題」が解消してくれれば、私はもういう事は何も御座いません。

  投稿者:わたなべ - 2008/04/17(Thu) 08:19  No.3828 
凡人さん、はじめまして。

kekのhpで言いたい事はですね、標準模型では、わたしたちのような物質が
優位になる世界は説明できないということです。

物質が優位になるためには、大きなCPの破れなどの3条件がそろえば十分だと
知られていて、その状況証拠が新たに加わったというのが新しいのではないでしょうか?

他にも、ダークマターの存在を仮定しないとこの宇宙で起こっていることは説明できないことが知られていますが、標準模型ではそのような粒子は存在しないことが知られています。

あと、補足しておきます。

3σくらいずれているような実験は、標準模型で説明できない物理が関係している可能性があるだけで、まだはっきりとはいえません。標準模型では十分説明できない可能性があるということです。

とりあえずは、重力理論を絡めなくていい話だと思ってください。超対称性とか、そこまでです。

  投稿者:hirota - 2008/04/17(Thu) 10:17  No.3829 
そういえば、暗黒エネルギーは標準模型で説明できるのかな?
Higgs potential がさらに変な形をしてて、途中で引っかかってるとか。
これも Higgs 粒子が発見されて/存在しなくて、のお楽しみ。

Higgs 粒子は KEK の CP 非対称とは関係ないだろうから、こっちのありがちなパターンは新粒子でしょうね。W, Z 以外に第三の弱 boson ?

  投稿者:わたなべ - 2008/04/19(Sat) 08:19  No.3842 
>そういえば、暗黒エネルギーは標準模型で説明できるのかな?

よく知りませんが、これって宇宙項を微視的に説明するということですよね。
もともと、素粒子標準模型には重力入っていません。

  投稿者:hirota - 2008/04/21(Mon) 10:31  No.3848 
最初に考えられたインフレーションのメカニズムは、『 Higgs potential が初めの「原点で最小になる形」から現在の「周辺で最小になる形」に変わる途中、局小だが最小でない原点にある状態が真空エネルギー>0 となってインフレーションを起こした。』だったと思います。(今では成り立たないと分かってる)
つまり、真空エネルギー>0 までは標準模型で、真空エネルギーでインフレーションを起こす方は標準模型外です。(過去の話)
そのときの「インフレーションを起こす真空エネルギー」と現在の「加速膨張を起こしてる暗黒エネルギー」が同類なら、暗黒エネルギー>0 までは標準模型で説明できる可能性も残ってるのでは?
と思ったわけです。