EMANの物理学 過去ログ No.3288 〜

 ● 量子論

  投稿者:教授願いたい - 2008/01/28(Mon) 09:31  No.3288 
教科書の最初にでてくる話。

電子は電荷を持っているので、ぐるぐる回っているので
あれば電磁波を放射して続け、やがては原子核に落ちる。
そういったことにならない理由は・・・と以下ありますが。


ぐるぐる回ると電磁波を放射するのはなぜですか。
数式で説明されているページはありますか?

  投稿者:大学生A - 2008/01/28(Mon) 09:45  No.3289 
こんにちは。
「電磁気学」の専門書に詳しい説明が載ってると思います。

  投稿者:hirota - 2008/01/28(Mon) 11:14  No.3292 
>電磁波を放射
マクスウェル方程式を見るだけでも分かると思うけど。

  投稿者:EMAN - 2008/01/28(Mon) 12:38  No.3294 
> ぐるぐる回ると電磁波を放射するのはなぜですか。

 電荷が動けば電場が変化する。 電場が変化すれば磁場が変化するというので、運動する電荷が電磁波を放射する事は数式なしでも理解できる話です。

 それならなぜ電荷が等速運動する場合には電磁波とならないのか、という点の方がむしろ不思議に思えたりするわけで、このサイトの電磁気の記事ではまずそちらを優先して説明しています。

 加速電荷の場合にどうなるかについては、残念ながら、このサイト内では、計算過程は省いてあり、式としては結果が書いてあるだけです。

 なぜなら計算が少々面倒であり、もし私が書いたとしても、教科書を丸写ししたのと変わらないものになるだろうと思うからです。

 本当に計算過程を知りたい場合には専門書を出してくれている出版社にわずかばかりの利益でも、もたらしてあげて欲しいと思うのです。


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 ただし「導出の方針」だけなら当サイトでも説明してあります。

 目的の専門書を探すために、次の3つの連続した記事がヒントになるでしょう。
http://homepage2.nifty.com/eman/electromag/retarded.html
http://homepage2.nifty.com/eman/electromag/const_vel.html
http://homepage2.nifty.com/eman/electromag/accel_radiation.html

 まず、最初の記事で、「リエナール・ヴィーヒェルト・ポテンシャル」というものが出てきます。

 そして、3番目の記事では、次のような文章があります。

「その放射される電磁波の強度分布は、リエナール・ヴィーヒェルト・ポテンシャルから苦労して電場や磁場を計算し、そこからポインティング・ベクトルを計算する事で導かれるわけだが、結果だけをここに引用するのが申し訳なく思えるほどその過程は面倒だ。 」

 計算力があればこの方針に従って自力で出来るかも知れません。

 多分、その後に出てくる式が、今回お知りになりたいことを数式で表した結果だと思います。

  投稿者:明男 - 2008/01/29(Tue) 15:12  No.3295 
質問者の方は内容からして前期量子論の段階で疑問を持たれているので、もしかすると数式以前の質問かと思います。そうであれば、もう少し易しい説明が必要でしょう。
電磁気学的には物理現象として量子論以前に(つまり古典論で)荷電粒子の制動放射が知られており、それは電子では例えば磁力線による加速度運動により電磁波を放出し、エネルギーを失っていく(速度が落ちる)現象が観測されていることに起因します。勿論それは古典的、マクロスケールでの自由電子について実験されたものであり、電磁気学的にはマクスウェル方程式で説明されます。ところが、原子内の電子は、その同じ電子が正電荷の回りを周回している、同様な加速度運動を行っていると考えられるにも関わらず、なぜか電磁波を放出し、エネルギーを失って原子核に落ち込むことはないわけです。それが量子論を生む契機の一つとなったわけですが、マクロスケールの物理法則がミクロな領域では、そのまま適用できないということは、当時は予想外であったわけです。
したがって、物理現象的には制動放射を調べればよく、数学的には電磁気学の遅延ポテンシャル付近に記述があります。
易しすぎたなら屋上屋ですが、参考意見として。

  投稿者:EMAN - 2008/01/29(Tue) 18:38  No.3296 
> もしかすると数式以前の質問かと思います。

 そうなんですよね。 「数式で」という指定が付いている意図として、幾つかの可能性が読み取れるので、どこに重点を置いたらいいか迷いました。

 (a)本当に計算過程の詳細に興味がある。
 (b)詳細は要らないがとりあえず手順を眺めてみたいだけ。
 (c)定性的には理解しているが、どこまで数式で説明できる話なのかを確認したい。
 (d)定性的な説明では分かった気になれないのであまり嬉しくない。

 気持は分からんでもないんですよ。 百聞は一見に如かずですからね。 もし簡単な話なら計算過程の詳細まで知りたいと思うわけですし、(a)〜(d) の全てかも知れない。 どんな感じなんだろう、役に立てたかなぁ? 

  投稿者:どうもです - 2008/01/29(Tue) 18:47  No.3297 
手元の本に簡単な説明しかなく、以下 量子力学と
して発展していった、云々と。
明男さん、EMANさん ことこまかくありがとうございました。
電磁気学のほう詳しく勉強してみます。

  投稿者:EMAN - 2008/01/29(Tue) 20:13  No.3298 
 とりあえず解決したようで一安心です。 良かった。
 皆さん、ありがとう。

  投稿者:せいたかのっぽ - 2008/02/02(Sat) 02:10  No.3299 
 話題がせっかく収まった頃に、恐縮ですが・・・。
 制動放射という場合、X線などのように、電圧で加速された電子がターゲットの金属に当たって、減速して失った運動エネルギー分が放射されるX線のエネルギーになるのは、初等的にも納得しやすいと思います(細かなメカニズムは別として)。
 電子が原子核の周りを回る場合は、加速度はありますが、運動方向とは常に直角(半径方向)なので、初等的には仕事をしていないのに、なぜエネルギーが失われるのか納得しにくいのだと思います。電磁気の場合は、一見、式の形が同じみたいですけど、太陽の周りを回る惑星の運動とは(実はかなり!!)違うということですね。
 私もここは疑問に思ってましたけど、量子力学か量子化学を一先ずさらっと勉強するには、ここはそんなこともあるのかと読み飛ばして、先に進んでも特に支障は無いと思います。その程度しか私は理解してないことを吐露してるようなものですが、そこはそれぞれの専門性や自分の求めるところに差があってもいいと思っています。一先ず今分からないことは分からないこととして置いておいて、もっと知識を深めてからにとっておくのも、勉強のコツかなと思ってますけど。(最近の量子化学の本では、うまいことこの話には言及してない本もあったりします。教育的には重要なことと私は思ってます)

 さて、本件については、かなり高度な内容と思います。相対論も見え隠れしてきますし・・・。このサイトでは皆様レベルの高い方が多くいらっしゃるので恐縮ですが、そこそこ分かれば自慢してもいいのでは・・・。ダメ!?(汗;)

 電子が加速運動している場合、単位時間当たりに加速度の二乗に比例して電磁波のエネルギーを放射する(ラモーアの公式)。ここから、水素原子のモデルでは電子が電磁波を放出してエネルギーを失い10^-11秒で原子核に落ち込んでしまいます。

ここら辺の事情が数式で説明されている本ということでは、EMANさんの「趣味の物理学書店」の中でも紹介されている本ですが、
・量子力学T(朝永振一郎著)みすず書房p85〜86
・量子力学T(猪木・川合著)講談社p13〜14(内容は上記とまったく同じもの)

いずれも、比較的(この部分に限っては)、理解しやすいです。問題はラモーアの公式の方ですが、これは、
・基礎の物理学(大石・丹生著)裳華房p347〜350
残念ながら途中の導出が省略されてますが、何を計算しているのか私にはイメージがつかみ易く、いい本だと思います。
・理論電磁気学(砂川重信著)紀伊国屋p273〜295
これは(汗;)、著者自身も途中で『計算はひどく複雑であったが、』とありますし、途中一部の導出は『読者の演習として残しておく』という・・・ありがたきお言葉も(笑)。かなりきついですね。
 話がそれますが、ミッフィーで世界的に有名な絵本作家のブルーナーさんはストーリーを何度も練り直して子供の集中力が抜けないページ数(=10分程度で読破できるもの)にしているとのこと。その点、この本は、読者心理にはお構いなく、読破にはかなりの努力と苦痛が伴いますね。
 数式で説明されてる本はこんな感じかなと思いますけど、参考になればと・・・。

 露骨に表面にMaxwell方程式を出さずに、同じことですけど、単位磁荷は無いこと(divB=0からベクトルポテンシャルAとの関係B=rotA=∇×Aを出して)と、ファラデーの法則(コイルに磁石を出し入れしてコイルに起電力が生じる。∇×E=-∂B/∂tから、E=-∂A/∂tへ)、高校物理でも出てくる式の形からなんとかして納得できる範囲で式をはしょって、初等的にも分かる説明でもうちょこっと簡単にラモーアの式まで導出出来ないかなーと、ここのところずーっと考えていたのですが、うーん、私には無理だぁ。難しくならざるを得ない・・・、本当に、深いですね。
もうこの話題も、とりあえず解決したとのことで、タイムアップでこんな記事ですけど、とても刺激になりました。
一緒に勉強しましょう! p(^-^)/

  投稿者:TOSHI - 2008/02/02(Sat) 03:41  No.3300 
 ども,こんにちはTOSHIです。

 >せいたかのっぽさん。。。

 制動輻射(Bremsstrahlung)ですが,これの計算はかなり複雑なのですが,順を追ってコツコツとやれば古典論でも量子論でも,できないことはないでしょう。

 また宣伝になりますが,私のブログ「TOSHIの宇宙」も長くて科学記事だけでもテーマが300くらいはあるので,ここでの主要な論題に関しての関連記事を検索してみると,バックナンバーの中に必ず当たりがあるものですね。

 今回の話も,ちょっと違う主旨ですが2006年6月28日の記事「重力波」が関連したものとなっています。

 要するに電気力について電子が電磁波を放出して核に落ち込むまでの時間の計算値が10の-11乗秒程度だとすると,重力(万有引力)について月が重力波を放出して地球に落ち込むまでの時間はオーダーだけの見積もりだと,10の60乗年以上,つまり宇宙の寿命よりはるかに長い時間がかかるので,重力波の制動輻射のせいで月が落ちてくる心配はない,という内容です。

 電子が原子核(水素なら陽子)のまわりを回る話も,惑星が太陽のまわりを回る話(月が地球のまわりを回る話)も形が同じですから,古典論としては同じはず,というせいたかのっぽさんの推論は私もそう思いますし,もちろん図星だと思います。大した計算はしていませんが,よかったら私の当該ブログ記事も参照してみてください。
                     TOSHI