EMANの物理学 過去ログ No.2231 〜

 ● 理論と応用技術の進歩

  投稿者:ワイル - 2007/08/16(Thu) 20:47  No.2231 
>>つまり、ミクロの世界では、原子核・素粒子のレベルだけでなく、分子・原子のレベルでも、現代では、精密には相対論的量子論が必要、ということです

このことは、物性科学や化学など、応用技術に比較的近い分野において、影響が出てきそうという気がする。

さらには、分子・原子などのミクロの世界でも、地球・天体・宇宙の世界でも、現実的な問題として、現代や、さらに将来は、昔にくらべ、
・測定、実験、観測など技術や機器の精度の進歩
・結果などを解析するための計算道具や計算機(コンピュータ)の性能や精度の進歩
といった違いが発生する。

これらによって、理論の面でも、昔なら、精度のあまり高くない理論(非相対論的量子力学、ニュートン理論など)で済んでいた分野でも、現在、あるいは将来においては、より精度の高い理論(相対論的量子論、一般相対論など)が必要になってくる分野も、増えてくるに違いないと思う(全部が全部、というわけではないだろうが)。

そして、さらにもっと最先端の素粒子論や宇宙論の世界では、一般相対論・重力理論と量子力学・(ゲージ)場の量子論の両方の効果を考慮しなければならない話が増えて行くように思える(佐藤勝彦先生など、最先端の研究の現場で活躍している方々の著書を読むと、それを感じる)。

まあ、こういったことも、科学や技術の進歩、ということだろう。

  投稿者:ワイル - 2007/08/16(Thu) 21:09  No.2232 
>>・測定、実験、観測など技術や機器の精度の進歩

たとえば、相対論の通俗書の話で出てくる、マイケルソン・モーリー型実験においても、現代の技術では、19世紀末のオリジナルの実験に比べ、200万倍以上の高精度で行われているとのことである(サイエンス社・SGSライブラリ50・「相対性理論」のp.6〜p.9)。

もちろん、それでも、光の伝達速度の異方性は検出されていない、とのことである。

  投稿者:ワイル - 2007/08/16(Thu) 23:19  No.2233 
>>・測定、実験、観測など技術や機器の精度の進歩
>>・結果などを解析するための計算道具や計算機(コンピュータ)の性能や精度の進歩

応用面で考えると。。。

現代において、分子・原子の構造・現象を、詳しく解析するには、QEDによる計算・シミュレーションと検証になるだろう。
原子核の構造・核反応や放射性崩壊などなら、量子色力学(QCD)やGWS電弱理論による計算・シミュレーションと検証になるだろう。

しかし、こういうQED,QCD,GWSなどの場の量子論による本格的な計算・シミュレーションと検証には、かなり膨大な計算が必要のようなので、コンピュータの高速化が必要となる。
また、測定や実験、観測などの技術や装置の高度化・高精度化も必要だろう。

一方、こうしたことによって、QED、QCD、GWSなどの、いわゆる(ゲージ)場の量子論が、単なる机上の理論などでなく、私達の日常社会における応用技術の基礎理論に変わってきてもいる、と言ってよさそうだ。

一方で、私達の日常社会の応用技術とは、直接、関係ないかもしれないが、天体や宇宙などにおける現象の観測のための道具としては、一般相対論による計算、シミュレーション、検証が必要な現象が増えているようだが、こちらも、本格的な計算は膨大なので、やはりコンピュータの高速化が必要だし、測定や観測の高度化も必要だろう。

また、こうしたことが、基礎理論の世界における次代の理論(大統一理論や量子重力理論)の構築に反映されていくとも思える。

学生などの、若い人たちの場合は、これから30年以上、実社会の研究・開発の場で活躍していくだろうが、そういう将来のことを考えると、応用面、基礎面ともに、かなりの変化があるかも知れない。

  投稿者:ワイル - 2007/08/17(Fri) 00:32  No.2235 
>>学生などの、若い人たちの場合は、これから30年以上、実社会の研究・開発の場で活躍していくだろうが、そういう将来のことを考えると、応用面、基礎面ともに、かなりの変化があるかも知れない。

「学生の物理学」や「趣味で物理学」の世界も、これから変わるかも知れない。

いままでなら、QED、QCD、GWSなどの場の量子論やら、一般相対論などの世界は、学生の物理学や趣味の物理学では、ほぼ「机上の勉強」の世界だったに違いない。

しかし、今後は、たとえば、マルチコアのCPUを搭載したPCや、そのPCの高速ネットワークによるクラスタリングやグリッド・コンピューティングが、安価に使えるようになってくる。つまり、「パーソナル・スーパー・コンピュータ」の登場だ。

これによって、学生や趣味での物理学においても、場の量子論や一般相対論によるシミュレーション、つまり、仮想的な実験や検証も、かなり可能になるだろう。

もちろん、コンピュータで、そのようなシミュレーションを行うには、それなりのプログラムやソフトウェアが必要だが、そうしたものも、今後は、フリーあるいは安価に利用できるものも出てくるだろう。

それによって、場の量子論や一般相対論であっても、理論を使いながら、「体感」しながら、理解していく、という勉強の仕方もあり得るだろう。

理論物理家になるなら、厳密な数学や理論の習得が必要なのだろうが、応用とか趣味とかの物理学なら、そういう勉強も、かなり有効だろう。

また、そのことで、場の量子論や一般相対論の新しい応用技術を考える人たちも増えてくるかもしれない。

まあ、一部では、すでにそのようなことが、実現しているかも知れないが。

「学生の物理学」や「趣味で物理学」も、今後は、変わっていきそう。