EMANの物理学 過去ログ No.2154 〜

 ● 電磁気について質問

  投稿者:エカ - 2007/08/04(Sat) 17:45  No.2154 
いつも楽しく拝見しています。

電磁気学について本質的でない質問があります。

それはオームの法則がなぜマクスウェルの方程式に組み込まれていないか?という質問です。

電流についてアンペールマクスウェルの法則のなかで
rot H - ∂D/∂t = i
で記述されていますが、電流iはなんらかの媒体を流れることが多い、またはなんらかの媒体を流れると思われます。

そのような問題はオームの法則
i = σE
を条件として加えることが一般的のように思えます。

電流が流れないことを仮定して、電磁波の問題を考える場合は4つの方程式から解いているようにおもえるんですが、
電流を考慮に入れた問題は私の知る限りはだいたいオームの法則がでてくる気がします。

つまり、空間以外のなんらかの媒質を含む一般的な電磁気学問題の現象論的な法則にオームの法則を加えてもいいんじゃないのか?と思った次第です。

積極的にマクスウェルの法則にオームの法則を取り込まない理由があるんでしょうか?
電気工学を専門としている人間の素直な疑問です;

  投稿者:TOSHI - 2007/08/05(Sun) 07:30  No.2159 
 はじめましてTOSHIと申します。

 まあ、推測でしか述べられませんが、物理屋だとマクスウェルは主に真空での電気力学を想定した基礎物理でオームの法則はむしろ連続媒質での電気力学に属するので応用物理に属するの物性理論だということなのでしょう。

 もちろん、基礎が応用より上だとか、理学が工学より上だとか、あるいはその逆だとか分類に価値判断は入っていません。

 つまり、マクスウェルは公理でこれを構成する定数は普遍的ですが、オームの法則は固体物理学で、これも公理のうちですがマクスウェルには入ってないニュートンの運動方程式の質量mの電荷が電気力と磁気力(ローレンツ力)で加速されるということと量子論の統計力学で扱った結果得られる法則で温度によっていろいろ変わる種類のパラメータを含んだものですからエカさんもお書きのように現象論です。

 だから同じマクスウェルでも誘電分極理論によって誘電率を入れたり磁化を考慮した透磁率など普遍でない定数が入った段階ではもはや現象論ですから、その段階ではオームの法則もマクスウェルに入れてもいいかもしれませんね。           TOSHI

  投稿者:ワイル - 2007/08/05(Sun) 10:18  No.2160 
TOSHIさん、こんにちは

>> その段階ではオームの法則もマクスウェルに入れてもいいかもしれませんね

実は、マクスウェルが1864年に発表した論文の中にある、オリジナルのマクスウェル方程式の中には、オームの法則が入っているのです。

オリジナルのマクスウェル方程式について、日本語で読める解説書としては、
「電磁気の単位はこうして作られた」(工学社)
http://www.kohgakusha.co.jp/books/detail/978-4-87593-431-8
くらいしかないかな?(あとは、太田浩一氏の著書もあったかな?)

  投稿者:EMAN - 2007/08/05(Sun) 15:04  No.2165 
> 電気工学を専門としている人間の素直な疑問です

 気持ちは分からなくもないです。
 私も小学生の頃には、電磁気についての普遍的真理を知った気がして、オームの法則を喜んで憶えたものです。
 ところが、大学で電磁気学を学んでからしばらくすると、その大事だと思っていたオームの法則がのけ者にされていることに徐々に気がついてきます。
 何と、基本法則としての地位が与えられていないのですね。

 実際、マクスウェルの方程式というのは電磁場について語った法則であって、電荷がどんな運動をするかという問題は、F = eE + ev×B なんて式を別に持って来ないといけないわけです。
(というより、この電荷と E, B との関係から E, B が定義されていて、マクスウェル方程式の土台となっているとも言える。)

 この F = eE + ev×B という式によれば、電荷はオームの法則には従わないことが分かります。 一定不変の電位差があれば電荷は加速を受けて、その電位差 V によって eV のエネルギーを得ることになる、というのがより基本的な結果です。
 電流がどれだけあっても・・・つまり、どれだけの数の電荷があっても、そうなりますから、電位差と電流量が比例するなんて現象は起こりません。

 では、なぜ、物質中ではオームの法則なんてものが成り立っているか・・・? 簡単に言えば、電荷は導体原子に衝突を繰り返して、電場によってある程度加速されてエネルギーを得ては、衝突によってエネルギーを奪われて停止し・・・を繰り返して進むわけです。 で、数多くの電荷の「全体的な挙動」を見ると、単位時間にその障害物を越えて抜け出て来られる電荷の量は電位差に比例するという結果が導かれるわけです。

 こんなごちゃごちゃした結果として導かれる現象は、とても自然界の「基本」の法則としては認められない、といったところです。

 参考までに、もっと詳しい解説としてこんな本がありますね。
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/462107024X/

  投稿者:エカ - 2007/08/05(Sun) 17:06  No.2166 
TOSHIさん、ワイルさん、EMANさん
回答ありがとうございます。

> この F = eE + ev×B という式によれば、電荷はオームの法則には従わないことが分かります。 一定不変の電位差があれば電荷は加速を受けて、その電位差 V によって eV のエネルギーを得ることになる、というのがより基本的な結果です。
> 電流がどれだけあっても・・・つまり、どれだけの数の電荷があっても、そうなりますから、電位差と電流量が比例するなんて現象は起こりません。

なるほど、空間における電荷の挙動を考える場合は上記の式を追加するんですね。

> では、なぜ、物質中ではオームの法則なんてものが成り立っているか・・・? 簡単に言えば、電荷は導体原子に衝突を繰り返して、電場によってある程度加速されてエネルギーを得ては、衝突によってエネルギーを奪われて停止し・・・を繰り返して進むわけです。 で、数多くの電荷の「全体的な挙動」を見ると、単位時間にその障害物を越えて抜け出て来られる電荷の量は電位差に比例するという結果が導かれるわけです。

分かりやすい説明ありがとうございます。

> こんなごちゃごちゃした結果として導かれる現象は、とても自然界の「基本」の法則としては認められない、といったところです。

TOSHIさんのおっしゃるように誘電率や透磁率といった物理量を使っている場合は導電率も使っていいと私も思います。
こと電気工学という分野に限って考えるなら、空間を飛ぶ電荷はほとんど扱わず、オームの法則は基本法則といっていいほど多用するため、
電磁気学的問題の基礎方程式はマクウェルの方程式+オームの法則なんだよと明言してあげたほうが、初学者に対して親切かも、と結論付けようともいます。

整理が少し進みました。
ありがとうございますm(_ _)m。