EMANの物理学 過去ログ No.1584 〜

 ● 線型だけじゃ、満足できない!!

  投稿者:のほほ - 2007/06/03(Sun) 23:09  No.1584 
突然の書き込み失礼します。
皆さん色々な意見を交換し合う事に対して大変好意的な方が多いと思ったので、書いてみました。

私はまだ学部生ですが、最近授業を受けていて思うところがあります。

一言でいうと、色んなことを線型近似しすぎではないか?ということです。

物事の概観を見るために、非線形な微分方程式を微小な変分をとって線型近似から線形化していくのは、確かに一つの方法としていいと思います。
しかし、それでは真に現象を記述しているのか?本質を突いているのか?ということがどうも曖昧になってしまう事もあります。

友人とも、重力に関する授業に対して話をしていたら、
「結局は線型近似しかしないから、結論がとにかく限定されていて、新しい発見が全く無い」
という話になりました。

皆さんも、そんな風に「線型近似に対する抵抗感・不信感」を感じた事はありませんか?

今は21世紀ですし、今まで避けてきた問題に対しても、難しいなどと言わずに積極的にアプローチしていくべきだと私は考えます。

例えば、例としては流体方程式はその最たるものです。
一般的に磁力線は交わらないとされていますが、それは完全流体、つまり粘性を持たない仮想的な流体方程式に沿った場合の話であって、粘性を考慮すると磁力線は確かに交わる、という話を聞いた事があります。
その場合は、有名なナヴィエ・ストークス方程式を解かなくてはならず、その部分に関してはいまだ未解決です。しかし、この方程式の「解の爆発性」と太陽フレアの原因とされている「磁気リコネクション」とが密接に関わりあっているということは、無視すべきでない大変重要な事実です。

その他にも、重要な例を挙げればキリがない「非線形」の世界。
皆さんはどのようにお考えでしょうか?
是非、率直な意見をお聞かせください。

  投稿者:nomercy - 2007/06/04(Mon) 23:49  No.1585 
確かに非線形性が本質的に重要になる現象というのはあり、そのようなもののうち幾つかは今現在、実際に研究の最先端にあると言えます。実際、私も「非線形性が本質的であろう」と思われている現象を研究しております。

しかしだからといって「線形」が重要ではない、つまらない、ということにはなりません。「非線形」に取り組む前に「線形」を十分に理解しておくことが必要です。そうでなければ得られた結果が非線形性によって現れたものなのか、線形の範囲内で得られるものなのか区別が付きませんし‥

また、非線形性が本質的になる場合だけでなく、線形の範囲で十分に記述できるものもあります。実際にはそのようなものの方が多いのではないでしょうか。

学部の講義は基本的な事柄を紹介することが趣旨ですから、「線形」だけを述べるに留めています。
勿論それらの結果は非線形性を無視したものだ、ということを念頭に置いておくことは必要です。
例えば力学で単振り子の周期を線形近似で求める、ということをやりますが、この問題の場合は(どのくらいの精度で論じたいのかということにもよりますが)線形近似の範囲でほとんど十分であると言えます。非線形性の効果は周期がわずかに長くなる程度です。これは非線形性が本質的な要素にならない例の一つです。

  投稿者:のほほ - 2007/06/05(Tue) 20:49  No.1590  <Home>
>nomercy さん
ご意見ありがとうございます。
私は言葉の使い方が下手なので要らぬ誤解を与えてしまったのかもしれませんが、私は何も線型を卑下している訳ではありません。

去年、丁度有名な数学の先生が非線形数学という授業をなさって、私はそれを受講しました。そこで言われた話ですが、微分方程式を連立微分方程式の形に表して行列表示すれば、その行列の固有値が解曲線に対して非常に重要な関係性を持っており、それだけでも安定性・不安定性といったことがわかる、という風なお話でした。
スメールの馬蹄型とか色々難しい話も最後には出たんですが、そこは難しくてよくわからなかったのですが、それでも十分非線形の魅力というものは感じ取る事ができました。

ところで、nomercy さんは名前からして「ありがとうは言わないで」という事なのかもしれませんが、そういう意味なのでしょうか?
講義を実際行っているような書き方なので、どこかの大学の方なのでしょうね。
私は関西方面にいますが、何かの因縁で会うことがあれば面白いですね。

そもそも私がこのようなスレを立てたのは今日から3日間非線形についてのセミナーがあったからなのです。
京都にいける様な感じの方は、是非どうぞ。


  投稿者:EMAN - 2007/06/05(Tue) 21:04  No.1591 
> ところで、nomercy さんは名前からして

 ありがとうは、merci でしょう。
 No Mercy は、「容赦しねぇ」みたいな感じかと。

 思わずつっこみ。

  投稿者:nomercy - 2007/06/05(Tue) 22:51  No.1592 
のほほさん

非線形物理は面白いですよね。
私は非線形性が関与していると考えられている現象を扱ってはいますが、いわゆる“本格的な”といいますか、非線形性をまず第一に扱うような分野ではないので、一般に「非線形物理」といわれる分野のことはほとんど知りません。
しかし非線形の魅力は十分に感じています。



>No Mercy は、「容赦しねぇ」みたいな感じかと。

この名前は大分前から使ってます。
大して意味を気にしないでいましたが、元々はそういう意味ですね(笑
好きなバンドの1stアルバムのタイトルからとってつけてみたのが始まりです。


>講義を実際行っているような書き方なので

TAをやっているだけですね。
固体物理を研究している修士の学生です。

  投稿者:ワイル - 2007/06/06(Wed) 01:24  No.1595 
線形と非線形。

自然現象は、本当は、非線形で、しかも、非可換だと思います。

しかし、人間が理解しやすいように、まず、線形かつ可換なモデルの法則・理論を創って、そこからスタート、という感じだろうか?

重力理論では、ニュートン理論は線形理論だが、一般相対論やブランス・ディッケ理論は非線形理論。

電磁理論やゲージ理論では、マクスウェル理論は線形理論だが、ヤンミルズ理論は非線形理論。

そして、古典理論は可換が基本だが、量子理論は非可換が基本といえるでしょう。

量子ゲージ理論や量子重力理論は、非線形で非可換。
こうした理論の計算は、最高速のスーパー・コンピュータでも、非常に困難。

もうちょっと身近な世界では、流体力学や気象、地震なども、非線形のようで、やはり、スーパー・コンピュータでも困難。

法則や理論がわかっても、実際の現象についての計算できないと、人類や科学が、実際の自然現象を理解できたとは、いえないと思います。

科学・技術が進むほど、人類や科学の限界というものが、次第に明らかになってきているのが実情だと思います。