EMANの物理学 過去ログ No.1462 〜

 ● 角運動エネルギー

  投稿者:マヒュー - 2007/05/20(Sun) 19:21  No.1462 
はじめて書き込ませていただきます。

力学の角運動量保存の法則について考えていて、分からないことがでてきました。初歩的な質問かも知れませんが、どなたか教えていただけませんでしょうか?

例えばEMANさんの例をお借りしますと、宇宙ステーションにつながったロープにつかまって回転している人がいたとして、ロープがアンテナのポールに巻きつき、回転中心に半分まで近づいた(r'=r/2)とすると、速さは2倍(v'=rv/r'=2v)になります。
この時、運動エネルギーについて考えてみると、E'=m(v'^2)/2=4m(v^2)/2=4Eと4倍になってしまいます。
このエネルギーはどこから来るのでしょうか?

  投稿者:のほほ - 2007/05/21(Mon) 00:13  No.1464 
ロープが、その回転する軸にどんどん巻きついていく、という事をイメージされているのでしょうか?
それだとすれば、巻くつくときにロープがピ〜ンと張っているという条件も込みで考えると、速さが2倍になるっていうのは単にロープの張力のお陰ですよね?
作用反作用の法則で、本当は宇宙ステーションも動くはずですけど、人間より十分質量が大きいならほとんど動いていないとみなせます。
だから、この系ではちゃんとエネルギーは保存してるんじゃないですか?

あと、角運動量は、古典的なものは、「保存すれば運動は角運動量に垂直な2次元平面上に限られる」って位の理解でいいと思いますよ。

解析力学を勉強し始めると、角運動量は、ある軸に対する系の回転不変性と結びついていたりしています。
また、量子力学だと空間回転演算子の生成子ですね。この辺の話はLie 群やLie代数を勉強するともっと見通しがよくなりますよ。とりあえず、J・Jサクライ読んでおけば間違いないと思いますが。

こんなんで答えになってますでしょうか?

  投稿者:明男 - 2007/05/21(Mon) 03:46  No.1467 
マヒューさん、初めまして、明男です。

私の考えではおそらく、次のような説明が付くと思います。
簡単に言うと、この系で保存するのは角運動量と「全エネルギー」であり、回転エネルギーの他にポテンシャルエネルギーが存在することを考慮する必要があります。
最初の半径、速度をr,v、巻きついた後をr',v'とします。
また、質量mの物体が軽い糸のようなもので棒の回りをまきつきながら回転しているイメージです。
まず、角運動量保存則から、rv=r'v'
回転エネルギーTは、T=(1/2)Iω^2(Iは慣性モーメント、ωは角速度)ですから、T=(1/2)・mr^2・(v/r)^2=(1/2)mv^2
一方、r'=r/2まで巻きつき後、T'=(1/2)mr'^2・(v'/r')^2より
T'=(1/2)mv'^2・・・(1/2)m・(2v)^2=2mv^2
となります。この差は、前記のようにポテンシャルから来ると思います。この系には遠心力mv^2/rが働いており、糸の張力が向心力としてそれと釣り合っていますが、それは中心力であるため、ポテンシャルを持ち、ポテンシャルエネルギーが存在します。ポテンシャルエネルギーは絶対的大きさではなく、その差が意味を持ちます。これを計算すると、rがr'のとき前記
遠心力F'=-mv'^2/r'=-mr^2v^2/r'^3(∵v'=rv/r')ですから、
ΔW=-∫F'・dr'=∫mr^2v^2/r'^3・dr'=mr^2v^2∫dr'/r'^3
これをr→r'=r/2まで積分すると
ΔW=-mr^2v^2・(3/2r^2)=-(3/2)mv^2
を得ます。このため、r→r'=r/2に伴い、ポテンシャルエネルギーΔWが低くなった分、全エネルギーが保存するために回転エネルギーに付加されます。
ここで糸を切れば、物体は運動エネルギーのみでv'=2vの速度で慣性飛行するわけです。このようにエネルギー保存則は常に「全エネルギー」を考えねばならないことを示しているのだと思います。

  投稿者:EMAN - 2007/05/21(Mon) 19:06  No.1470 
 これは、エネルギー保存はするけれど、角運動量は保存しない例かも知れません。

 勝手に巻きつくのですから、
必ず円の中心から離れたところからロープが引っ張られています。
 回転方向より後に引っ張られますよね。
 速度が上がらない可能性があります。

 中心軸の太さが無視できないほどロープが短くなった場合に、
何が起こるか、ちょっと考えてみます。


  投稿者:マヒュー - 2007/05/21(Mon) 23:20  No.1474 

早速の回答ありがとうございます。

最初私はEMANさんの力学の「角運動量の保存法則」のページの例にならい、まずは宇宙ステーションから遠ざかるケースから考え始めました。つまり、ロープから手を一旦離して直線運動している人が、再度ロープをつかんで回転運動を始める、というケースです。
↓の真ん中あたりの図を参照願います。
http://homepage2.nifty.com/eman/dynamics/angular2.html

この時、例えば手を離したときの初期半径rに対して、つかみなおしたときの半径r'が2倍になったときにどうなるかを考えると、速度は1/2になってますから、運動エネルギーは1/4Eになっています。残りの3/4Eはどこに行ってしまったのでしょうか?

これを私は以下のように考えました。
ロープをつかんだ反動で宇宙ステーションも運動を始めるので、これも考慮に入れます。
宇宙ステーションの質量をM、人の質量をmとします。
簡単の為に、初期の直線運動は人がv、宇宙船は反対向きにV=v*m/Mとします。こうすると、回転運動を始めたときに、固定した重心点周りの回転運動になり、計算が楽です。
初期の人の運動エネルギーは、mv^2/2、宇宙ステーションはMV^2/2です。
直進運動を続け、半径が倍になったところでロープをつかんだ時の人について考えると、vの円周方向成分v'はv*cosθです。ここでθは初期位置から直線運動している間に変化した角度です。(EMANさんの図のO点を重心と考えて見てください。)
r'が2倍になったとすれば、cosθ=r/r'=1/2ですから、v'=v/2です。これがその後の回転速度となるわけです。宇宙ステーションも同様でV'=V/2で回転運動をはじめます。
では、ロープをつかんだ瞬間、もとの速度vの半径方向の速度成分v''=v*sinθはどうなるのでしょうか?これはロープが人を受け取ったときの衝撃を吸収し、ロープの振動成分になります。ダンパーを利かせれば熱エネルギーになるでしょう。いずれにせよ系の内部エネルギーへと変換されます。内部エネルギーの大きさは、sinθ=(√3)/2ですから、宇宙ステーションの分も合わせて(mv^2+MV^2)/2*3/4となります。これが失われたエネルギーの行方だと考えられます。
ロープをゆっくりと滑らせ、何回転も回転しながら徐々にr'=2rの位置まで来たときも、エネルギーは摩擦熱エネルギーとして消費されます。
遠心力は半径外側方向にかかり、半径外側に向かって移動したので、遠心力がその分仕事をしたといっても良いかもしれません。

逆にロープを手繰り寄せて行ったときは、これとは反対に、ロープを引っ張る人の仕事が回転エネルギーに転化したと考えればよいのだろうな、と考えました。手繰り寄せる力=遠心力を半径方向に積分していった結果は明男さんの計算結果の通りで、エネルギー増分とつじつまが合います。

ただ、この時に、ロープを手繰り寄せる方向(半径方向)と物体の運動方向は垂直なのに、なぜ回転エネルギーに転化できるのだろうか、ちょっと不思議です。たぶん、ちゃんと全微分すれば出てくる項を無視しちゃってるのかもしれません。だれかわかりやすく説明できる人がいたらお願いします。

もう一つの問題は、ロープがポールに巻きついたときです。
だれも仕事をしていません。
宇宙ステーションから離れていくときも、巻きついていたロープがほどけていくといった場合は、どこにエネルギーが消えているのか良く分かりません。
これがつまり最初の質問です。

>のほほさん

宇宙ステーションも一緒に動く、というのは正しいと思います。ただ、それを小さいからといって無視してしまうのは危険だと思います。

船から投げるおもりの問題のようなことがおきないとも限らないからです。
http://homepage2.nifty.com/eman/dynamics/descrep.html

>明男さん
例えば直線運動している二つの物体がすれ違い様ロープを相手にひっかけて回転運動をはじめたとすると、そこでにわかにポテンシャルエネルギーが生じるとは私には信じられません。
また、ポテンシャルエネルギーはエネルギーが下がる方向に力がかかるものだと理解していますが、この場合、遠心力は逆に働いていますよね?ですからポテンシャルエネルギーではないと思います。遠心力を積分して求めたエネルギーは、何者かが遠心力に抗して行った仕事が回転運動に転化したものと考えられます。

>EMANさん
アンテナポールの半径が有限であることは見落としていました。私もちょっと考えて見ます。ただ、系に対し外力が働かない限り、運動量も運動エネルギーも保存されるものと信じています。

  投稿者:EMAN - 2007/05/21(Mon) 23:28  No.1475 
 先ほどは思い付きの勢いで書き込みましたので、
もう少し詳しく書いてみます。

 まず、明男さんのポテンシャル説には疑問があります。
 このポテンシャルはワイアーをつないだ瞬間に生まれ、
ワイアーをカットした瞬間に消えてなくなるように思います。

 これで加速が可能なら、何か柱を見つけるたびに
ロケットアンカーのごとく、ワイアーを射出して、
回転しながら加速したのちに、ケーブルカットをすれば、
いくらでも加速ができることになりそうです。

 さて、子どものおもちゃでも、ストローに糸を通して、
錘をつけたものを振り回してやり、ストローの下から
反対側の糸を引っ張ってやれば、回転は速くなります。
 しかし、ただ棒の周りを回してからませていった場合、
勢いが加速するような覚えがありません。

 さて、中心の棒が円柱ではなく、四角柱だった場合は
どうでしょう。 ワイヤーがある角に当たった瞬間、
回転半径はぐっと短くなりますが、速度はまったく
変化しません。 次の角に当たった瞬間も、その角を
中心とする円運動に変わりますが、やはり速度は
変わりません。

 円柱の場合も同じように、速度が変わらないのでは
ないでしょうか。
 他にも色々考察中ですが、決定打がないので、
とりあえずこの辺で・・・。

  投稿者:EMAN - 2007/05/21(Mon) 23:59  No.1476 
 今のは結構、決定打だったかも知れません。
 つまり、巻き付きながら回る場合、
中心が刻々と変わる円運動であって、速度が変化しません。
 これで運動エネルギーは保存。

 では角運動量保存は保存していないのか?

 いや、柱に巻きついて行きますから、宇宙ステーションに
トルクを与えながら回ることになります。
 つまり、宇宙ステーションの角運動量も無視できない。

 しかし宇宙ステーションが回ると複雑になるので、
2つの錘を考えて、互いに反対回しにします。
 これで宇宙ステーションのトルクは打ち消されるでしょう。
 これだけでは宇宙ステーションの柱が引っ張られて
重心がぐらぐらと移動するので、
4つの錘を考えたらどうでしょう。
 半周ずれて同じ方向に回るペアがあって、
もう一つのペアは反対周りに回るわけです。
 こうすれば、宇宙ステーションはじっとしていられますし、
回転もしません。

 このとき、全角運動量は常に0で保存します。
 めでたし、めでたし。

  投稿者:MaT - 2007/05/22(Tue) 03:07  No.1477 
私の答えは、すでに出ている答えと似ていますが、もっと話しは簡単です。
回転している人には、いわゆる遠心力がかかっています。ロープをたぐり寄せるには、この力に逆らってr/2だけ移動しなければなりません。つまり人は仕事をします。これがエネルギー源です。
はじめの半径をR、速度をV、移動中の半径をr、速度をvとすると
遠心力は、F=m*v^2/r 、また v=V*R/r ですから、F=m*V^2*R^2*r^(-3)
仕事=∫Fdr=[m*R^2*(-1/2)*r^(-2)](r=RからR/2の定積分)
=3/2*m*V^2
となって、人の仕事は増えた回転のエネルギーと一致します。

  投稿者:明男 - 2007/05/22(Tue) 12:17  No.1478 
なかなか意見が出て面白いです。正直言えばポテンシャルでの説明は大胆であるとは思って始めてましたが(笑)。

ただ、それぞれ勝手なモデルで論議しても、別な問題となってしまいます。
私の考えているモデルは、細く固定された(動かない)ポールが、土台(質量無限大)に立てられていて、軽く細い糸におもりの付いたものが、それに巻きつきながら、無重力空間で回転している理想化モデルに限定しています。ポールの半径が0の場合、巻きつくのか?という問題はありますので、回転半径に比べて極めて小さいとします。
こうしたのは、EMANさんを始め、みなさんの指摘されたように、反動(トルク)と運動量交換を考慮しなければならないからです。
先の質問のポールに巻きつく回転運動を純粋に考察するためです。

>MaTさん
私の結論は言葉は違え、同じことを言っていると思っています。

>マヒューさん
ポテンシャルは潜在的・相対的なものであり、糸をフックして回転系に乗り換えるということはそのような契機に成り得ると思います。例えば、始め没交渉な惑星2つがすれ違う場合、互いの引力圏に入ったときからポテンシャル(エネルギー)が生じ(たように見え)、運動エネルギーに影響を与えますが、引力は本来無限遠まで到達し、もともとあったとも考えられます。また、私の説明のポテンシャルの力は向心力です。なぜなら、円運動を生じさせている正体は向心力だからです。遠心力の反作用です。この向心力は糸の張力として中心方向を向き、まさに引力の代わりを果たしています。ポテンシャルも同様に外から内に向かって減少(ただし負として)し、力の向きと一致します。糸を切れば張力が無くなりポテンシャルが消えます。このポテンシャルは所謂「場」では無いですが、広義に捉えれば言えないこともない気がするわけです。

>EMANさん
もっともな疑問です。惑星によるスウィングバイと違って、一方がエネルギー供給源にならない場合、どのような機構で加速が可能になるのかと言うことです。直線運動している物体があったとし、それが「柱」のようなものに碇を打ち込み、加速できるのか。それはないでしょう。しかし、この問題は始めに円運動があり、一方を中心に回転エネルギーがあります。言い換えれば、私の定義したポテンシャルが初めから与えられているとは考えられないでしょうか。それを失った分が運動エネルギーに変換するだけで全エネルギーは増減しません。
また、上記理想化モデルで速度が一定であれば角運動量は保存せず、このようなモデルは存在しない(特に慣性無限大の土台とか)か、物理的に実現不可能であるのだと思います。
長々、失礼しました。

  投稿者:マヒュー - 2007/05/23(Wed) 00:14  No.1483 
EMANさんの説明で正解だと思います。
ありがとうございました。

ちょっと思い立ち、実験で確かめてみることにしました。
長い棒(直径16mm)を垂直に立て、その上端に長い糸を結びつけて、糸の反対側に付けた錘をぐるぐる回して糸を棒に巻きつかせ、その時の周期を測りました。
すると、意外な結果が得られました。
もし、運動エネルギーmv^2/2が一定の運動であれば、vが常に一定であるから、周期は半径が短くなるのに比例して短くなるはずです。
ところが、結果は、周期は短くなるんですが、予想よりもゆっくり減少しました。
速さを計算してみると、半径が短くなるにつれ、徐々に減っています。
一見 v=aT+b (v:速さ、T:周期、a,bは定数)の関係があるように見えます。

なぜこのような結果になったのか分かりません。せっかく解決したと思ったのに。。。
あまり精度のいい実験ではないので、再確認が必要かもしれません。

ああ、余計な実験やらなきゃよかったかな。もうちょっと考えて見ます。

  投稿者:MaT - 2007/05/23(Wed) 00:31  No.1484 
>なぜこのような結果になったのか分かりません。
このての実験をすると、たいてい、心棒がふらふらと動き、そのつどエネルギーの吸収が起きるためです。
この原理は建物の制振構造として使われることがあります。
なお、「エネルギーの吸収」というのは、制振構造を作る人たちが使う表現ですが、私はあまり正確な意味で使ってないと思っています。(ふらふら動くと運動が減るのは確かですが)

  投稿者:EMAN - 2007/05/23(Wed) 00:50  No.1485 
>なぜこのような結果になったのか分かりません。

 MaTさんの指摘に加え、
重力により錘が垂れてきてしまい、
理論よりも急速に回転半径が小さくなる効果もありますね。

 これはむしろ、周期が急速に短くなるように働く気がしますが、いやいや、色々と厄介です。
 棒への巻き付き方が斜めになるので、水平方向の速度成分と垂直方向の重力加速による成分が分離できない状況に陥るのではないでしょうか。

 何にせよ、実際に試してみるというその姿勢はすばらしいものです。

  投稿者:マヒュー - 2007/05/24(Thu) 23:56  No.1494 
実験は棒の上端を手で固定していますので、棒がエネルギーを吸収したとはちょっと考えづらいです。
また、錘の高さはほぼ水平に推移しますが正確には若干上昇します。
念の為高さ上昇によるポテンシャルエネルギー上昇分と運動エネルギー減少分を算出してみたところ、前者は後者の1/5程度でした。
実験精度が高くないのであくまで感触ですが、理由は別のところにある気がしています。
時間を見つけてそのうち追試をしてみようと思います。
お騒がせしてすみません。

  投稿者:MaT - 2007/05/26(Sat) 11:34  No.1502 
>実験は棒の上端を手で固定していますので、棒がエネルギーを吸収したとはちょっと考えづらいです。

わずかな「ぶれ」がエネルギー吸収します。手は良質の衝撃吸収体なので、エネルギーの減衰効果は抜群によいです。今度はコンクリートに埋め込まれた鉄棒をつかって実験してみてください。これで計算値に近い(まだ、空気と糸の粘性抵抗がありますが)結果になるはずです。

ところで、EMANさんのホームページの宇宙ステーションの話のようにロープは巻きつかず手でたぐり寄せて短くする場合には最初の質問のように速度は半径に反比例するわけですが、この場合のエネルギーについては、もう納得されたのでしょうか?

これについて、私も実験してみました。
鉄の玉=直径15mm、22gに木綿糸をセロテープで付け、小さな穴の開いた鉄板に通します。この鉄板を万力でしっかり机のふちに固定し、重りを机の下に垂らして円錐振り子にします。
途中で糸を引いて半径を短くし、速度の変化を計りました。
正確に円運動しない(楕円になってしまう)、回転半径は目測に近い、時間は普通の時計で測った、と、かなり雑な実験ですが、結果は

半径15cmのとき30秒で28回転 → v = 88cm/sec
半径10cmのとき15秒で29回転 → v = 120cm/sec

ほぼ半径と速度が反比例しているのが分かります。

  投稿者:EMAN - 2007/05/28(Mon) 12:59  No.1519 
> ところで、EMANさんのホームページの宇宙ステーションの話のようにロープは巻きつかず手でたぐり寄せて短くする場合には最初の質問のように速度は半径に反比例するわけですが、この場合のエネルギーについては、もう納得されたのでしょうか?

 MaTさん、おそらくマヒューさんはその点については初めからそれほど疑問ではなかったように思いますよ。
 ただ、仕事を働かせた方向と、回転速度の上がる方向が一致しないことが少々気になっておられたようですけれど、それについては私の記事で定性的には説明してあるので、私はだまってましたけれど。

 で、私について言えば、中心からひもを引っ張った場合や、おもりが自ら中心へ向った場合などは余り気にしていなくて・・、
 中心で巻きつきが起きた場合、本当に速度が変わらないのか、という実験的証拠が欲しいと思っているところです。
 現実にこれを確かめるいい方法ってないものでしょうか。

 私も実験をやろうとしたのですが、棒の先におもりを取りつけて振り回そうとした途端に息子に奪われてしまい、その後、実験をする間もなく、「気に入らない」とはがされてしまいました。

  投稿者:一読者 - 2007/05/29(Tue) 02:15  No.1528 
おもりの進行方向と力の角度を考えたらあたりまえのような気がするのですが、この考え方って何か間違っていますでしょうか?

  投稿者:EMAN - 2007/05/29(Tue) 12:29  No.1531 
> おもりの進行方向と力の角度を考えたらあたりまえのような気がするのですが、この考え方って何か間違っていますでしょうか?


 「あたりまえ」の基準は人によって違います。
 一読者さんが経験豊かな方でしたら、全てを正しく考えた上で「当たり前」なのでしょうけれど、念のため、力の角度と進行方向が、どのようであるとお考えでしょうか。

 例えば、もし
 (1)力の方向と進行方向は常に垂直である。
 (2)そのような場合、エネルギーは増えないのが当たり前。
 (3)エネルギーが増えないなら速度は一定であるのは当たり前。

というお考えで「あたりまえ」なのでしたら、(1)に疑いがはさまれる可能性があります。
 半径が刻々と変化するのだから、進行方向と垂直な方向への移動も起こっているのではないか。 力の方向と進行方向は常に垂直だろうか? という具合です。

 (1)はある人にとっては当たり前ですが、そうでない人もあります。 いかに当たり前であるかを説明しないといけないかと思います。

 上の話は「例えば」です。
 まだ一読者さんの考え方を聞かせて頂いていないので、私には判断できません。

  投稿者:EMAN - 2007/05/29(Tue) 18:04  No.1535 
> まだ一読者さんの考え方を聞かせて頂いていないので、私には判断できません。

 なんて書いてはみたものの、考えを汲み取ることは出来ていると思うので、書いておきます。 違っていたら指摘して下さい。

 巻き付きがある場合のおもりの軌跡を描くとインボリュート曲線になります。 この曲線の接線は進行方向を表しています。 その接線に垂直に線を引くと、常に中心の円柱の接線となりますが、これがワイヤーの方向を表しています。
 よって、常に進行方向と力の方向が垂直であることが言えます。

 これが一読者さんの「あたりまえ」の内容ですよね。

 それでいいと思いますよ。


 しかし、その当たり前のことを確かめられるような身近なものがありそうでないので、本当に無いのかなぁと探しています。
 この話は質問が出た時から記事として残そうと思っていまして、証拠があると面白いんですが・・・。

  投稿者:大学生A - 2007/05/29(Tue) 18:07  No.1536 
>インボリュート曲線

名前が付いているのですね。どんな数学書に載っているのだろうか?解析学かな?

  投稿者:ワイル - 2007/05/29(Tue) 18:28  No.1537 
>>インボリュート曲線

話は、それるけど。。。

いまは、パソコンなどにおける便利なソフトやツールを使って、2次元や3次元の関数グラフを手軽に描くことができますね?

一見無味乾燥な数式から、美しい、あるいは摩訶不思議な曲線や曲面が出てくるのは、どういうことだろうか?

また、一時、ちょっとしたブームになった、フラクタル・グラフィックスなんかも、数学の神秘性を実感できるかな?

日本においては、数学、物理、科学技術に対する「無味乾燥」とか「冷たい」といったイメージを払拭することが、まず必要であるよですね?

  投稿者:一読者 - 2007/05/30(Wed) 02:35  No.1543 
私の意図はEMANさんの書かれているとおりです。

(1)についても、言われてみれば、そうであることがわかっていたわけではなかったです。
これについては、これもEMANさんが上で書かれているように多角形の角なら直角になるので、無限に細かくしていけばそうなりそうだという感覚的なものでした。

角度が直角なら加速しないというのがあたりまえということについては間違っていないことがわかってよかったです。
もしかしてこの考え方どこかおかしい?と不安になっていました。
以前似た問題を悩んだときに自分の中で得た結論だったので。

  投稿者:T_NAKA - 2007/05/30(Wed) 10:09  No.1544  <Home>
「インボリュート曲線」は良く使われているので、皆さん知らず知らずの内にご覧になっていると思います。

歯車の歯の形ですね。良く見ると単純な台形でなく曲線になっていますよね。

  投稿者:マヒュー - 2007/05/30(Wed) 22:31  No.1545 
追加実験をしましたので報告します。
前回は棒がやわだったので、もっと剛性の高いものにしました。

また、棒の手の支えがエネルギーを吸収しているのではないか、との指摘がありましたが、手の支えはうまく力を同調すれば錘の運動を加速させてやることも出来ます。実験ではそこを調整して、加速でも吸収でもないような微妙な加減になるように努めました。ただ、あくまで感触でしかないので不安は残ります。そこで、手の支えの力加減を弱、中、強と変化させ、影響を調べました。
また、錘の空気抵抗の影響を見るために、速度を2段階。
さらに、巻きついていく時と、巻きついたものが解けるときの動きも調べました。

実験仕様
棒の直径:22mm
錘:剣玉の玉 直径60mm、重さ79g
糸の長さ:1m
周期:約0.5〜2秒程度
糸の鉛直との角度:約30〜50°

パターン
巻きつき側:手の支え剛性x3、速度x2
解け側:手の支え剛性x3
計9パターン

結果は、やはり前回の実験と同じく、半径rが短くなるほど運動エネルギーE=mv^2/2は小さくなりました。横軸をr、縦軸をEにとってグラフを書くと、巻きつき側ではrに比例した直線に綺麗に乗ります。つまり半径が半分になればEも半分です。

また、解け側でも同様にrが大きくなるほどに、速度は増していき、運動エネルギーEは増えていきます。解け側ではrに対し、比例直線を上にオフセットしたライン上にのりました。これは、解け側の実験は、巻きつき側の実験で巻きついた後、それがそのまま解けるのを計測したのですが、巻きつき側の最後に玉のエネルギーが少し残っていて、玉が上に跳ね上がるので、そのエネルギーの為だと思われます。初期を静止状態にして、再度実験をやり直したいと思っています。

玉の地面からの高さは、巻きつき側ではほとんど変わらず、ポテンシャルエネルギーの変化は無視しうる程度でした。解け側では若干高さが下がりましたが、それによるポテンシャルエネルギーは運動エネルギーの1〜2割程度しかありません。

速度による差は見られないため、空気抵抗の影響ではありません。
気になる手のぶれですが、弱、中、強いずれも同じ結果となりました。従って影響はなさそうです。

Eがrに比例する、という事は、遠心加速度が常に一定であるということでもあります。実際、糸の鉛直との角度は常に一定であり、シャフトには一定の間隔で巻きつきます。(中心近くでは多少間隔が短くなりますが)

追試の結果からもやはり、巻きつくときには運動エネルギーがどこかに消えてしまっていますし、解けるときにはどこかからか運動エネルギーをもらっているようです。

コンクリート固定のポールの実験もしてみたいのですが、綺麗な円運動を初期条件で与えるのが難しく、思案中です。棒を手で支える実験はその点は簡単なので、まずはこの方法でやりました。

なぜこうなるのかは以前不明。。。悩んでます。
ちょっと不思議な実験なので、暇がある人はぜひ試してみてください。周期をはかるのは面倒ですが、巻きついたときの間隔が一定なのを確認できれば実感できると思います。
EMANさんは思わぬ障害があるようですけどね。

以上、とりあえずご報告まで。

  投稿者:マヒュー - 2007/05/30(Wed) 22:39  No.1546 
> ところで、EMANさんのホームページの宇宙ステーションの話のようにロープは巻きつかず手でたぐり寄せて短くする場合には最初の質問のように速度は半径に反比例するわけですが、この場合のエネルギーについては、もう納得されたのでしょうか?

はい、この点については納得済みです。ロープを手繰り寄せるときは、運動の方向とロープの方向が直角ではなくなるということに気づいてませんでした。気づいていしまえば、たしかに当たり前のことですよね。
運動の速度、および力の方向をベクトル表示し、内積をとると、dE=uf (u:ロープ手繰り寄せ速度、f:荷重)も導かれ、定式化もできて定量的にも納得してます。

>インボリュート曲線
なるほど、これがインボリュート曲線なんですね。たしかに昔、機械製図で習いました。
運動方向とロープの方向が垂直なのは間違いなさそうです。

  投稿者:マヒュー - 2007/05/31(Thu) 22:22  No.1559 
もっと精度の良い実験方法を思いたので、試してみました。
押入れのハンガーかけなどに使う、伸縮可能なつっかえ棒がありますよね。これをドア枠に固定し、棒がぶれない実験をすることができました。

かなり精度が改善されたことで分かったことがあります。巻きついていくときの棒への巻付きの間隔は等間隔ではなく、少しずつ短くなっていました。糸の鉛直に対する角度も、巻きつくに従い少しずつ大きくなっていました。これは遠心加速度がしだいに大きくなっているように見えます。従って、前言は修正いたします。

ただし、回転周期と回転半径から算出される遠心加速度は一定であり、腕の角度から算出される値と乖離があります。原因はわかりません。腕の角度から算出した運動エネルギーは、半径に比例する線を少し上にオフセットしたものになりました。

解け側の実験も初期を静止状態にしてやり直しました。解け側では遠心加速度は、半径が大きくなるに従い、徐々に低くなっていました。運動エネルギーEは、前回と同様、半径に比例する線を少し上にオフセットした値になりました。

結局、精度は向上しましたが、巻付くに従いエネルギーが減少する、という結果は前回とほぼ同じでした。

  投稿者:重い月 - 2007/06/01(Fri) 07:30  No.1561 
物理おんちなので、ご迷惑になるかもしれませんが・・・

巻きつくということは軸に太さがあるということですよねえ。
もしロープに働く力が軸とロープの接点で、ロープの方向だとすると、接点が軸の表面に沿って動きますから、その力は錘に対して負の仕事をするんじゃないかと思ったんですが、いかがでしょうか?

  投稿者:EMAN - 2007/06/01(Fri) 12:49  No.1564 
 重い月さん、はじめまして。

 仕事の定義は物体の移動がある場合に適用されます。
 力の作用点が移動しても仕事にはなりませんよ。

  投稿者:重い月 - 2007/06/01(Fri) 19:18  No.1568 
>仕事の定義は物体の移動がある場合に適用されます。
 力の作用点が移動しても仕事にはなりませんよ。

なるほど、そのようですね。

では、例えば軸が四角だとして、ロープが角に当たると、角速度が増して錘が浮き上がる。そのとき、重力が負の仕事をする、というのはどうでしょうか?

何度もすみません。

  投稿者:マヒュー - 2007/06/02(Sat) 00:36  No.1577 
本件、解決いたしました。
結論から言うと、運動エネルギーの減少分は高さが変わったことによるポテンシャルエネルギーの差でした。

これまで、高さはほとんど変わらない、と報告してましたが、これは計測値ではなく計算値でした。
重い月さんの指摘に答えようと思い、ビデオで高さの変化をチェックしたら、計算値と少し差があり、計算式を修正しました。すると、エネルギーのつじつまがぴったりです。

その差は、新計算値15mm−旧計算値5mm=10mm、わずか10mmです。重力のポテンシャルエネルギーはとても大きいんですね。私の不注意でした。お騒がせして申し訳ありません。

そのあたりのセンスがまだまだ足りないようです。
これですべて解決できました。安心して眠れそうです。
ありがとうございました。

  投稿者:EMAN - 2007/06/02(Sat) 01:07  No.1578 
 やったぁ!!
 すごい気になってた。
 これで他の事に気が回せる。
 あ、明日は思い切り外で遊んできます。

  投稿者:重い月 - 2007/06/02(Sat) 08:39  No.1579 
 少しはお役に立てたようで、光栄です。

 マヒューさん、楽しい実験をありがとう!

 月は重いが、気分は軽い・・・って、似たようなセリフがありましたねえ、婦系図に。

  投稿者:マヒュー - 2007/06/03(Sun) 00:46  No.1581 
いや、ほんとにお粗末な実験をして煩わせてしまったようで、恐縮してます。ヘタな実験、やらぬがまし。勉強になりました。
それにしても、EMANさんの四角柱の説明は見事でした。こういうのはセンスが必要ですよね。
巻きつく場合は勢いがそれほど加速しない、というのは、実験やってみて初めて分かりました。
私はまだまだ子供の頃の遊び方が足りなかったようです。

  投稿者:EMAN - 2007/06/03(Sun) 15:26  No.1583 
> ヘタな実験、やらぬがまし。勉強になりました。

 ああ、いやいや、下手な実験も当たりをつけるのに役に立ちますし、問題提起のきっかけになったりしますからね。 下手な実験に満足してしまうと問題ですが、今回は疑い続けて改良を重ねたわけで、悪くないと思います。


> EMANさんの四角柱の説明は見事でした。こういうのはセンスが必要ですよね。

 これは、スターウォーズのお陰なんですよ。
 雪上の4足歩行の敵を倒すのに、戦闘機からワイヤを射出して、足をぐるぐる巻きにするシーンがありまして、その光景からヒントを得ました。

 しかし、何を思い浮かべるにしても、それが正しいかどうかの直感は実体験からの影響が強いですね。 子供の頃の遊びはとても役に立ってます。

  投稿者:マヒュー - 2007/06/05(Tue) 00:27  No.1587 
>雪上の4足歩行の敵を倒すのに、戦闘機からワイヤを射出して、足をぐるぐる巻きにするシーンがありまして、その光景からヒントを得ました。

あった、あった、そんなシーンありましたね!

今回私が角運動量に興味を持ったのは、台風の発生メカニズムを勉強していたのがきっかけです。台風は、地球の自転による回転を取り込んで、角運動量保存則によって、中心付近ではあんなに大きな勢力に成長するらしいです。だから、台風はコリオリ力の無い赤道上でなく、緯度10度ぐらいで発生するんだそうです。
巻付き問題は考えていてたまたまふと気になっただけです。手繰りよせと巻付きとで、似たような運動なのに結果がまったく異なるのは面白いですね。

コマの動きといい、回転が関わると面白い現象が生じますね。