EMANの物理学 過去ログ No.1352 〜

 ● お久しぶりです

  投稿者:一般大学生 - 2007/04/26(Thu) 00:33  No.1352 
久々に現れたかと思いきや即座に質問をぶつけます。

授業をきいていて、ポテンシャルエネルギーが定義出来る条件として、力が位置の関数になっている場合といった説明があったのですが、サッパリ意味がわからず、位置が時間の関数であると考えれば位置で書かれてたところで時間の関数との言い換えも効く気がするんですがどういうことですか?と質問すると、例えば磁場中の磁荷の受ける力の場合はポテンシャルエネルギーが定義出来ません、これは力が位置の関数でないからです、という少々無茶な説明が返ってきました。

で、前回も質問もそうでしたが、自分でそれなりに考えてみたことは置いといて、愚かな自分に戻って質問すると(その方が得るものが大きいと判断するからです)、ポテンシャルエネルギーって力の場が渦無しの時に定義出来るんじゃないんですか?もし力が位置の関数である場合に定義出来るというのが正しいのなら、力が位置の関数であるというのは具体的にどういうことですか?あと、磁場中の磁荷にかかる力は、そういう意味では位置に依存していると言う気がするんですが、それは違いますか?

  投稿者:K.K - 2007/04/28(Sat) 05:21  No.1361 
こんにちは。
一般大学生さんの質問に答えてみたいと思います。

一般大学生さんの文面からするとその先生の説明は怪しい気がします。。。

ポテンシャルエネルギーは力 F が F = -grad V(r) と書ける、すなわち、
保存力である場合に定義できます。保存力とは、質点がある点 A から
他の点 B へ力を受けて動くとき、その力がなす仕事が移動の経路に依らず
決まる場合のその力をいいます。ですから

> ポテンシャルエネルギーって力の場が渦無しの時に定義出来るんじゃないんですか?

は正しいと思います。

> 位置が時間の関数であると考えれば位置で書かれてたところで
> 時間の関数との言い換えも効く気がするんですが

というのはその通りだと思いますが、ここでいう「力が位置の関数」ということを
考えるときには、時刻とともに移動している質点に働く力というよりも
場の中に質点を置いた時にその質点に働く力を考えると良いと思います。
時刻 t=0 に位置 r=a に置いた質点に働く力と、時刻 t=1 に同じ位置 r=a に
置いた質点に働く力は同じ、つまり、質点に働く力はその位置(座標) r に
依ってのみ決まるということです。

また、保存力は位置の関数ですが、力が位置の関数であっても保存力であるとは
限らないので

> ポテンシャルエネルギーが定義出来る条件として、力が位置の関数になっている場合

これはあまり正しくない表現だと思います。
それから、

> 例えば磁場中の磁荷の受ける力の場合はポテンシャルエネルギーが定義出来ません、
> これは力が位置の関数でないからです

というのも良くないと思います。磁気力は保存力ですから。
ただし、磁場が時間変化する場合にはポテンシャルエネルギーは定義できません。

いかがでしょうか?

皆様突っ込みをお願いします。

  投稿者:のほほ - 2007/04/28(Sat) 11:16  No.1362 
突き詰めればどこまでも深くなりそうな質問ですね。
私も学部3回生ですが、自分の勉強の意味でも意見を書きます。

ここでポテンシャルと言っているのは、ラグランジアンに登場する、「ヤツ」の事を指しているんでしょうか?
スカラーポテンシャルとベクトルポテンシャルとかくどくど言わずに、
「位置で偏微分して(-1)かけると、運動方程式に出てくる力と一致する」
という意味でのポテンシャルでしょうか?
なら、ポテンシャルが時間のみの関数であるとすれば、いくら位置で微分してもゼロになってしまって訳わかんないですよね?
まぁ、これは今の議論の焦点ではないですよね。

えっと、スカラーポテンシャルはK.Kさんもおっしゃっている様に、力のする仕事が経路によらず始点と終点のみに依存する場合に使えますね。
例を挙げると、電磁気学の「電場の」ポテンシャルですね。

で、「磁場の」ポテンシャルもこの意味ではないですが、ベクトルポテンシャルが存在していますよね。
今のところ単磁荷が発見されていないので、divB=0 ですよね。
で、一般の3次元ベクトルAに対してdiv(rotA)=0 が恒等的に成り立つのでそれを利用すると B=rotA とベクトルポテンシャルAで磁束密度Bを表す事ができますよね?

磁場と電場が存在する中での荷電粒子のラクランジアンには立派にこのAが登場しますし(速度と内積するけど)、「磁場のポテンシャルはない」っていうその先生の発言はよくわかりません。

そういう自分でもよくわかっていない先生の言葉に今後も惑わされそうになったら、ここに聞くなり図書館でちょっと本を読むなりしていきましょ〜。
そんな先生は、すぐに追い抜いちゃいましょうよ。

お互い頑張りましょ〜。

  投稿者:ワイル - 2007/04/28(Sat) 19:23  No.1363 
こんばんは

ポテンシャルは、ニュートン力学(ニュートン重力場)や静電磁気学(静電場、静磁場)においては、3次元ユークリッド空間におけるスカラーおよびとベクトルによって表現されます。

ところで、ゲージ理論(古典論)における、マクスウェル電磁場、ヤンミルズ場のポテンシャルは、4次元ミンコフスキー時空におけるベクトル・ポテンシャルによって表現されます。

さらに、電磁場・ヤンミルズ場の量子論では、電磁場やヤンミルズ場を表す4次元ベクトル・ポテンシャルに、レプトンやクォークといった物質場を表すスピノルや、ヒッグス場などの複素スカラーが加わります。

また、一般相対論における重力場のポテンシャルは、4次元リーマン時空の計量を表す2階テンソルで表現されます。

そして、現代の超ひも理論やM理論では、電磁場、ゲージ場(弱い力の場、強い力の場)、物資場、ヒッグス場、重力場の全てを10次元、あるいは11次元の超ポテンシャルによって統一的に表そうとしています。

ポテンシャルは、ニュートン力学、静電磁気学から、ゲージ理論、一般相対論や量子論を経て、超ひも理論に至るまでの、ほとんどの物理理論で重要な存在であり、究極的に、
  ”ポテンシャルって何?”
という、非常に奥深い存在のようです。

  投稿者:一般大学生 - 2007/04/29(Sun) 01:23  No.1364 
>K.Kさん

動かない質点で考えるとわかりやすいのはわかりましたが、それって数式的に言うと依存関係はどうなるんでしょうかね?質点が動いてもいいっていう一般の場合で考えると。
あと、磁気力が保存力である、というのが反論になっているのかどうかがイマイチ飲み込めてません。というか磁気力って保存力でしたっけ?あ、そもそも保存力って、どういう範囲の話のどういう力を言うんでしょうかね?
腐ったような質問ばかりですみません。

>のほほさん

あぁ〜〜ラグランジアンとかの話を出されるとまだやりはじめなので弱い・・・(汗
教授の磁気力にポテンシャルが無いというのは多分、ニュートン力学で記述する時のあのスカラーのポテンシャルエネルギーが書けないよん、書けたら永久機関出来ちゃうしね、というようなノリだったと思います。
まぁもちろんあの程度は即抜き去ってやるつもりでいますよ。頑張りましょうね。

>ワイルさん

んと、はっきり言って全然わかりませんが、なんとなく興味深い話をありがとうございます。
しかしホントに、ポテンシャルってなんなんでしょうね。

  投稿者:Misho - 2007/04/29(Sun) 02:35  No.1365 
以下では,qをn次元(n個の)一般化座標,\dot{q}をqの時間微分(つまり一般化速度)とします。
また,xをEuclid座標とし,\dot{x}=vとします。

時期的に解析力学な感じがするので,それを中心に考えてみましょう。
多分先生は,力FがF=F(q,\dot{q},t)ではなく,F=F(q,t)と書ける場合について考えている,ということを強調したかったのでしょう。
もちろん厳密には誤りで,ポテンシャルが定義出来るのは,FがF=F(x,t)と書ける,つまり速度vに依らない,かつrot F(x)=0の時です。(普通はFの解析性も要求します。)

ただ,正直言って,その辺のことは解析力学ではあまり興味が無いんですね。
解析力学では,力から保存量(つまりポテンシャル)を導くのではなく,ポテンシャルから運動を導く,あるいは力を定義する立場なのです。
つまり,考えたいのは,あるポテンシャルU(x,t)があって,力FがF(x,t)=-grad U(x,t)と書ける場合なのです。
ぶっちゃけUが定義出来ない場合なんてあまり考えたくないのです。
で,この場合一般化力は,「えふ=−∂U/∂q」で書けるし,Lagrangianも出るし,力なんて考えなくてもLagrange方程式は書けるし,めでたしめでたしなのですね。


以下は余談です。

ところで,実は解析力学というのは強力で,一般化力えふが,
えふ=−∂U/∂q+d/dt [∂U/∂(\dot{q})]
と,あるU=U(q,\dot{q},t)を用いて書ける場合,Lagrange方程式は形を変えません。(証明は演習。)
このような関数を,一般化ポテンシャルといいます。

例えば電磁場中の荷電粒子について,U(x,v,t)=e[φ − (v/c)・A] ,L=mv^2/2 - U としてLagrange方程式を解くと,良くあるLorentz力の式になります。
つまり,一般化ポテンシャルとしてU(x,v,t)=e[φ − (v/c)・A]を考えることが出来るわけです。
もちろんφとAは例のあいつらです。

  投稿者:Misho - 2007/04/29(Sun) 02:44  No.1366 
おっと,肝心なことが抜けていた。

Fが速度に依存しない場合は,もちろんUは一般化速度に依存しませんね。
Fが速度に依存すると,Uは一般化速度に依存してしまい,それはポテンシャル『エネルギー』ではなく,一般化ポテンシャルになってしまいますよ,ということなのでしょう。

  投稿者:K.K - 2007/04/29(Sun) 05:09  No.1367 
> 時刻 t=0 に位置 r=a に置いた質点に働く力と、時刻 t=1 に同じ位置 r=a に
> 置いた質点に働く力は同じ、つまり、質点に働く力はその位置(座標) r に
> 依ってのみ決まるということです。

この行は間違っていますね ^^; ここは忘れてください。

Misho さんもおっしゃっていて、繰り返しになりますが
力 F が F(r,t) = -grad U(r,t) と書ける場合の U を
ポテンシャルエネルギーというのです。

で、私は物理的な具体的解釈はどうなのかということを説明したいわけですが。。。

質点が動く場合はどうなるか?という質問でしたが
質点が動いても、ある時刻、ある位置でその質点に働く力が
-grad U で書ければよいわけです(何も言っていないに等しいですね…)。
先に

> 考えるときには、時刻とともに移動している質点に働く力というよりも
> 場の中に質点を置いた時にその質点に働く力を考えると良いと思います。

と言った意味は、動く質点を考えるにしても
各瞬間瞬間で時間を止めて( U の時間変化を考えないで)質点に働く力が
保存力であるかを考えてみようということです。

> 保存力とは、質点がある点 A から
> 他の点 B へ力を受けて動くとき、その力がなす仕事が移動の経路に依らず
> 決まる場合のその力をいいます。

という説明の中での「質点の移動」は時間を止めて考えているということです。
この「移動」は時刻とともに力場の中を質点が運動していることとは
別として考えているわけです。

で、散々「時間を止めて」と言っておきながら何なのですが
時間を止めないで考えてもいいです。
この場合、別の経路の仕事を計算するときには同じ時間の力を
用いなくてはなりません。

先生が言う「力が位置の関数になっている」というのは
こういうことを言いたかったのだと思います。


一般大学生さん。伝わったでしょうか…?
(磁気力の話はちょっと置いておいてください。。。)
そして、皆様。私、おかしなこと言ってないでしょうか? ^^;

  投稿者:ワイル - 2007/04/29(Sun) 13:07  No.1368 
こんにちは

>> んと、はっきり言って全然わかりませんが、
>>しかしホントに、ポテンシャルってなんなんでしょうね。

ポテンシャルを見ると、ニュートン力学から超ひも理論までの近代・現代物理学の大筋が見えてきますよ。

また、ポテンシャルが見えると、ニュートン力学、電磁気学だけでなく、相対論、量子論、超ひも理論の大筋も理解できると思います(本格的、些細な数学的な話は別です)が、逆に、ポテンシャルを知らないと、相対論、量子論、超ひも理論などは、理解しずらいでしょう(「相対論は間違っている」といった人たちの大半は、そのような人たちです。また、そうでない相対論の擁護波の人たちでも、ポテンシャルを理解していない人たちの意見は、個人的に、ちょっと不可思議にみえます)。

>>授業をきいていて、ポテンシャルエネルギーが定義出来る条件として、力が位置の関数になっている場合といった説明があったのですが、サッパリ意味がわからず、位置が時間の関数であると考えれば位置で書かれてたところで時間の関数との言い換えも効く気がするんですがどういうことですか?

このイメージ、必ずしも正しくないです。

ニュートン力学や静電磁力学といった、非相対論的理論におけるポテンシャルは、

たとえば、スカラー・ポテンシャル(ニュートン重力場や静電場のポテンシャル)Φについては、
Φ=Φ(x,y,z)、ただし、x=x(t),y=y(t),z=z(t)
なので、
Φ=Φ(x,y,z)=Φ(x(t),y(t),z(t))=Φ(t)

同様に、ベクトルポテンシャル(静磁場のポテンシャル)Aは、
A=A(x,y,z)=A(x(t),y(t),z(t))=A(t)

となって、「位置が時間の関数であると考えれば位置で書かれてたところで時間の関数との言い換えも効く」となるといえるでしょう。

ただし、スカラーポテンシャルφは、
E = -grad(φ)
div(E) = k・ρ 
(ρは、ニュートン重力場なら質量密度、静電場なら電荷密度、kは定数で、ニュートン重力場ならk = 4π・G、G:重力定数、静電場なら、k = 1/ε、ε:誘電率)
rot(E) = 0
を満たし、ベクトルポテンシャルAは、
B = rot(A)
rot(B) = μ・J (J;電流密度、μ:透磁率)
div(B) = 0
を満たします。

>>あと、磁場中の磁荷にかかる力は、そういう意味では位置に依存していると言う気がするんですが、それは違いますか?

静磁場を表すポテンシャルは、上述のベクトル・ポテンシャルなので、やはり、位置に依存するとはいえます。

>>位置が時間の関数であると考えれば位置で書かれてたところで時間の関数との言い換えも効く気がするんですがどういうことですか

ここまでのニュートン力学や静電磁力学では、その推測は正しい、といえます。

--------------------------------------------------------

前述のニュートン力学、静電磁力学は、重力場や電場・磁場・といった場の状態が「時間的に変化しない」場合には有効ですが、場の状態が「時間的に変化をする」場合には有効ではなく、それぞれ一般相対論やマクスウェル理論、ヤンミルズ理論といった相対論的理論が必要になります。

マクスウェル電磁場理論、あるいは、これを拡張したヤンミルズのゲージ場理論や一般相対論などの相対論的理論でのポテンシャルは(いうまでもなく、相対論は、ニュートン力学とマクスウェル理論との整合性を取るために作られた理論です)、

たとえば、
Ar=Ar(ct,x,y,z)
のように表されます。

なお、ヤンミルズ・ゲージ場理論は、原子核や素粒子の世界で存在する「弱い核力」や「強い核力」の古典的理論です。

つまり、非相対論的理論のポテンシャルにおいて、空間位置x,y,zは時刻tの関数として表現され、時刻tは独立変数、空間位置x、y、zは従属変数、という「差別」があるのに対し、相対論的理論のポテンシャルは、ct,x,y,z の4つの「対等な」パラメータによって表現されるという違いがあります(だから、相対論的理論におけるポテンシャルの情報は4次元で表現されるというわけです)。

この相対論的理論におけるパラメータ表示は、観測者ごとの固有時τを導入して、

Ar=Ar(ct,x,y,z)=Ar(ct(τ),x(τ),y(τ),z(τ))=Ar(τ)

というなります。

また、

・マクスウェル電磁場理論でのポテンシャルは、マクスウェル電磁場方程式を満たす(4次元)ベクトル・ポテンシャル[それは、3次元=静電磁気学におけるスカラー・ポテンシャルとベクトル・ポテンシャルを統合したもの]として、

・ヤンミルズ・ゲージ場理論のポテンシャルは、ヤンミルズ・ゲージ場方程式を満たす(複数の4次元)ベクトル・ポテンシャルとして、

・一般相対論のポテンシャルは、アインシュタイン重力場方程式を満たす4次元の(2階)テンソル・ポテンシャル(=計量テンソル)として、

それぞれ表現されます。

また、相対論的かつ、古典的な重力場理論としては、アインシュタインの一般相対論が、一番、有名ですが、これを拡張したようなブランス・ディッケの重力場理論などもあります。

ここまでは「場の古典論」の話で、これらのポテンシャルは、イメージ的には「波動」として表現されます(電磁波や重力波など)。

>>位置が時間の関数であると考えれば位置で書かれてたところで時間の関数との言い換えも効く気がするんですがどういうことですか

マクスウェル電磁場理論、ヤンミルズ・ゲージ場理論、一般相対論といった相対論的理論では、その推測は正しくない、ことがわかります(私の中では、特殊相対論は、あくまでも、マクスウェル電磁場理論やヤンミルズ・ゲージ場理論、一般相対論などの基礎理論という位置づけです)。

相対論的理論における位置およびポテンシャルは、観測者ごとの固有時τの関数、というのが正確です。

-------------------------------------------------------

今までは古典力学。古典論でのポテンシャルの話しでしたが、以下は量子力学・量子論でのポテンシャルの話ということです(古典力学・古典論は、いうまでもなく、分子・原子・原子核・素粒子などのミクロの世界の理論としては有効でなく、そこでは量子力学・量子論が必要になるわけです)。

量子力学の世界では、シュレディンガー方程式やパウリ方程式(両者まとめて、非相対論的量子力学の波動方程式)の解となる波動関数φは、ニュートン力学や静電磁気学のポテンシャルと同様、

ψ=ψ(x,y,z)=ψ(x(t),y(t),z(t))=ψ(t)

と表現できます。

しかし、相対論的理論であるクライン・ゴルドン方程式やディラック方程式(両者まとめて、相対論的量子力学の波動方程式)の解となる波動関数ψ4は、マクスウェル理論、ヤンミルズ理論や一般相対論のポテンシャルの場合と同様、

ψr=ψr(ct,x,y,z)=ψr(ct(τ),x(τ),y(τ),z(τ))=ψr(τ)

のように4つのパラメータct,x,y,zによる4次元表現、あるいは観測者ごとの固有時τによる表現です。

なお、クライン・ゴルドン方程式の解はスカラーですが、ディラック方程式の解はスピノル(正確にはディラック・スピノル)です。

また、非相対論的量子力学では、シュレディンガー方程式の解がスカラー、パウリ方程式の解がスピノル(正確にはワイル・スピノル)です。

ちなみに、スピノルは、物理的には電子などのレプトンや、陽子・中性子などを構成するクォークを表現します(中間子の類も、現在ではクォークから構成されている、とのことです)。

スカラーは、粒子に質量を与えるといわれる「ヒッグス粒子」などになります(2007年4月現在では未発見ですが)。

ここまでの話でわかるように、、量子力学の波動関数は、(電磁場、ヤンミルズ場、重力場の)ポテンシャルと、数学的には「区別つかない」ものになります。
実際、それぞれ、

非相対論的理論(ニュートン力学、静電磁力学、非相対論的量子力学)では、
・波動関数; ψ=ψ(x(t),y(t),z(t))
・ポテンシャル; φ=φ(x(t),y(t),z(t))、あるいは、A=A(x(t),y(t),z(t))

相対論的理論(マクスウェル理論、ヤンミルズ理論、一般相対論、相対論的量子力学)では、
・波動関数: ψr=ψr(ct(τ),x(τ),y(τ),z(τ))
・ポテンシャル: Ar=Ar(ct(τ),x(τ),y(τ),z(τ))

の形です。

実際、量子電磁力学(QED)[=電磁場の量子論]のポテンシャルは、

・マクスウェル電磁場方程式を満たすベクトル・ポテンシャル
・相対論的量子力学の波動方程式を満たすスカラーまたはスピノル

との組合せで、量子ヤンミルズ理論の代表である量子色力学(QCD)のポテンシャルは、

・強い核力の場を表すヤンミルズ・ゲージ場方程式を満たすベクトル・ポテンシャル
・ディラック方程式を満たすスピノル群

の組合せで、表現されます。

さらに、グラショー・ワインバーグ・サラムの電弱統一理論(GWS理論)のポテンシャルは、

・弱い核力の場を表すヤンミルズ・ゲージ場方程式を満たすベクトル・ポテンシャル
・マクスウェル電磁場方程式(正確には、マクスウェル電磁場方程式型ゲージ場方程式)を満たすベクトル・ポテンシャル
・ディラック方程式をみたすスピノル群
・クライン・ゴルドン方程式を満たす複素スカラー(="ヒッグス粒子"といわれるもの)

の組合せとして表現されます。

QCDとGWS理論とを合わせて、「標準模型理論」(Standard Model Theory)といっていますが、そのポテンシャルは、

・強い核力の場を表すヤンミルズ・ゲージ場方程式を満たすベクトル・ポテンシャル
・弱い核力の場を表すヤンミルズ・ゲージ場方程式を満たすベクトル・ポテンシャル
・マクスウェル電磁場方程式(正確には、マクスウェル電磁場方程式型ゲージ場方程式)を満たすベクトル・ポテンシャル
・ディラック方程式をみたすスピノル群
・クライン・ゴルドン方程式を満たす複素スカラー(="ヒッグス粒子"といわれるもの)

の組合わせとなります。

この標準理論を構成する複数種類の場、あるいはポテンシャルを、一つのまとめた場、ポテンシャルに統合しようとするのが大統一理論(GUT)とよばれる理論です。

さて、ここまでは、「量子力学」の話で、「量子力学」における波動関数(スカラーかスピノル)は、「(波動性をもつ)粒子」のイメージで、電磁場やゲージ場などのポテンシャルは、その波動関数に作用する「場の量(の演算子)」として表現されます。

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さらに「場の量子論」では、ポテンシャルも、波動関数も、消滅演算子と生成演算子の線形結合で表されるようになります(それを「場の量子化」とか「第2量子化」といっている)。

量子力学の段階では、まだ、
・波動関数(スカラー、スピノル) −> 粒子
・ポテンシャル(ベクトル) −> その粒子に対する「場の量(の演算子)」
というような差別がありますが、「場の量子論」では、どちらも消滅演算子と生成演算子の組合せで表現される「演算子」となって

・波動関数   −> 粒子でもあり波動でもある
・ポテンシャル −> 波動でもあり粒子でもある

となって、全く「区別がつかない」存在となり、粒子と場が「混ぜこぜ」になり、「量子場」として統一されます。

逆に、その「場の量子論」からすれば、量子力学のクライン・ゴルドン方程式(あるいは、その非相対論的表現であるシュレディンガー方程式)は、スカラー場の方程式(古典論)、ディラック方程式(あるいは、パウリ方程式)はスピノル場(あるいは物資場)の方程式(古典論)と見なすこともできます。

以上のマクスウェル電磁場理論やヤンミルズ・ゲージ理論とクライン・ゴルドンやディラック方程式の相対論的量子力学の「量子化理論」は、「量子ゲージ理論」(あるいは、「ゲージ場の量子論」)とよばれます。
これは、現在標準的な「場の量子論」でもあり、特殊相対論と量子力学を基礎としているものです。
「量子ゲージ理論」は、いわゆる「標準模型理論」までは、ほぼ完成し、実験的な検証も進んでいます(大統一理論はまだです)。

一方、重力場理論である一般相対論などの「量子化理論」は、「量子重力理論」(あるいは、「重力場の量子論」)とよばれているものですが、それは、理論自体が完成していないものです(いちおう、アインシュタイン重力場方程式を正準化・量子化して出来る、ホイラー・ドゥイットの波動方程式というのが作られているらしいが、いろいろと問題もあるらしい)。

さて以上から、古典論での「ポテンシャル」は、電磁場やヤンミルズ場、重力場といった「場の量」を表す量(4次元のベクトル、テンソル)ですが、量子論ではレプトンやクォークといった物質粒子を表すスピノルや、スカラーなども加わって「拡張」されたものとなり、量子論ではレプトン、クォークなどの物質粒子も(拡張された)「ポテンシャル」の一種として扱われるようになります。

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ここまでの現在の物理理論は、幾何学的に

・3次元ガリレオ空間(ガリレオ変換について共変を満たす3次元ユークリッド空間)の理論[非相対的理論、あるいは、ガリレオ相対性原理に基づく理論]
 ・・・ ニュートン力学、静電磁力学、非相対論的量子力学

・4次元ミンコフスキー時空(大域的にローレンツ変換にたいして共変を満たす)の理論[特殊相対性原理に基づく理論]
 ・・・ マクスウェル電磁場理論、ヤンミルズ・ゲージ場理論、相対論的量子力学、電磁場・ゲージ場の量子論

・4次元リーマン時空(局所的にローレンツ共変を、大域的に一般座標変換に対する共変を満たす)の理論[一般相対性原理に基づく理論]
 ・・・ 一般相対論(あるいは、これを拡張したブランス・ディッケ理論などもある)、あるいは、これらを量子化した量子重力理論(?)

と分類できます。

ここで、4次元リーマン時空(一般相対論)と4次元ミンコフスキー時空(特殊相対論)との関係は、曲線と直線(正しくは曲線に対する接線)、あるいは、球面などの曲面と平面(正確には曲面に対する接平面)との関係に似ているものです。

そして、3次元ガリレオ空間は、4次元ミンコフスキー時空の非相対論的極限となるものです。

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そして、「量子ゲージ理論」と一般相対論、あるいは、「量子重力理論」との統合をめざしているのが「超ひも理論」となるわけです。

そこでは、
・ヒッグス場 => スカラーの場
・物資場   => スピノルの場
・ゲージ場(電磁場、弱い核力の場、強い核力の場) => ベクトルの場
・重力場   => テンソルの場
のすべてのポテンシャルの統合も行われようとしているわけですが、そのために、幾何学的には、10次元とか11次元といった高次元の理論が必要らしいです。

なお、超ひも理論では、電磁場、弱い核力の場、強い核力の場、重力場、物資場、ヒッグス場をまとめた統合の場のことを「超場」といっています。

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>>しかしホントに、ポテンシャルってなんなんでしょうね。

ポテンシャルは、現代の量子論や超ひも理論などでは、電磁場、ヤンミルズ場、重力場に、物資場、ヒッグス場などの「場の量」、あるいは、それらを統合した「超場」の量という感じでしょうか?

そして、その「場の量」やは数学的には、現代標準の量子ゲージ理論と一般相対論とによれば、スカラー(ヒッグス場)、ベクトル(電磁場、ヤンミルズ場)、スピノル(物資場)、テンソル(重力場)といったもので表されるもの、といえます(超ひも理論の「超場」では、それらを統合した「超ポテンシャル」なるもので表現されようとしている)し、物理の法則・理論を「幾何学的に」捉えるために便利なもの、ともいえます。

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最後に、まったくの余談。。。

また、以上のことから、客観的には、ニュートン力学、静電磁力学、特殊相対論、マクスウェル理論、ヤンミルズ理論、一般相対論、量子力学、電磁場・ゲージ場の量子論、さらに重力場の量子論、超ひも理論に至るまでの、すべての物理法則、物理理論は、「幾何学的、あるいは、数学的なモデル」であって、それ以下のものでも、それ以上のものでもないです(まともな物理法則・物理理論は、そういうものです)。

ただ、現在まで生き残っている物理法則・物理理論は、無数ある「幾何学的、あるいは、数学的なモデル」のなかから、現実世界における実験・観測による検証にパスしたものです(ただし、「幾何学的、あるいは、数学的なモデル」といえる、まともな物理法則・物理理論は、実験・観測による検証にパスしないものでも、数学的モデルとして、面白いものがあります)。

また、それはガリレオやニュートン以降の近代物理学における「ルール」みたいなものです。

経済学でも、ミクロ経済学とマクロ経済学とから成立している「近代経済学」の理論は、やはり、数学的・数理的なモデルということです。
しかし、「資本論」に基づくマルクス経済学は、数学的・数理的モデルでなく、論理的・文章的なものです。

物理学(自然科学)、経済学(社会科学)を含め狭い意味の科学は、幾何学的・数学的・数理的なものにものに限定されるでしょう(そして、さらには、その数学的・数理的モデルのなかで、実際の自然や社会の現象に合うもの)。

経済学の中でも、資本論に基づくマルクス経済学などは、そういう狭い意味での近代科学とはいえないでしょう。

  投稿者:一般大学生 - 2007/04/29(Sun) 13:55  No.1369 
みなさん丁寧にありがとうございます。

えと、読んでいたらちょっと書き込むための時間がなくなってしまったので、質問を一つだけぶつけておこうと思います。

結局rとtで書ける力に対してポテンシャルエネルギーが云々という話になっているようですが、速度に依存しない、というのはつまり純粋に数式的に言うとどういうことなのでしょうか?同じ問いの繰り返しになるのかもしれませんが、速度と位置微分で結ばれる以上、同じ力の式に対して、位置と時間で書ける、というのと速度と時間で書ける、ということの本質的な違いが見出せません。
もちろん実際には速度に依存する力というのはよく見るし、具体的にこういう力のことなのだろうなぁというのはわかるのですが。
質問の意図がちゃんと見えなかったらすいません。とりあえず夜またきます。

  投稿者:ワイル - 2007/04/29(Sun) 14:58  No.1370 
>>速度と位置微分で結ばれる以上、同じ力の式に対して、位置と時間で書ける、というのと速度と時間で書ける、ということの本質的な違いが見出せません。

以下は、ヒント的に。。。

数学的な些細な話はさておき、ニュートン力学や静電磁力学で不明なものは、相対論・量子論、さらに超ひも理論などの現代物理学の視野から見ると見えてくるものがあるでしょう(本格的、数学的な話まで入ると、理解が大変ですが、以下はブルーバックスくらいの話に毛が生えた程度で)。

相対論や量子論などの現代物理学では、速度より運動量(とエネルギー)の方が重要です。

相対論的理論では、3次元の位置と時刻とが統合した、4次元時空上の「時空点」=「世界点」となりますし、3次元の運動量はエネルギーと統合され、4次元の「運動量・エネルギー」となります(相対論における、運動量とエネルギーの関係は、量子論における粒子と波動の関係に似ていると思いますよ。)。

また、量子論では、不確定性原理により、時空点と運動量・エネルギーは、同時に確定できない量の関係です(数学的には、どちらも独立した演算子で表現される)。

だから、相対論的量子論では、時空点と運動量・エネルギーとは、互いに独立したパラメータ、という扱いになると思います(それ以前の古典的な解析力学でも、形上はそういう扱いになっていますし)。

まとめると、相対論と量子論に基づく現代物理では、

力 => 相互作用の場(=重力、電磁力、弱い核力、強い核力の場)
物体 => 粒子(スカラー、スピノル)
位置 => 時空点(世界点)
速さ => 運動量・エネルギー

となります。

そうすると、物理現象[正確には、量子理論的な全ポテンシャル]を表す関数(ラグランジュ関数とか、ハミルトン関数いわれるものです)は、

「相互作用の場の関数」 と、「(相互作用の場における)粒子の運動の関数」 との結合

で書けます。

そして、これらの「相互作用の場の関数」や「粒子の運動の関数」とは、時空点と運動量・エネルギーとをパラメータとした関数です。

これから、ニュートン力学の話に戻れば、実際には、力は、位置と時間で書ける、より、速度と時間でかける、という方が、まだ正確、といえるのでは。

しかし実際には、どちらも、あまり正しいとはいえず、力(相互作用)は、位置・時間と運動量・エネルギーによって表現される、となります。

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古典力学的には、「力が働くと物体が動く」というわけですが、まず、現代物理学では、全ての力は、重力、電磁力、弱い核力、強い核力の4つの力で表現されますし、もっと現代的には重力と、残り3種類の力(電磁力、弱い核力、強い核力)をまとめたゲージ力の2種類となる。

そこで、まず、古典的な重力理論(一般相対論)とゲージ理論(ヤンミルズ理論)からすれば、重力場やゲージ場(=電磁場、弱い核力の場、強い核力の場をまとめた呼び名)の存在するところでは空間や時間が歪むイメージ、となります(重力理論ではリーマン時空の歪み、ゲージ理論では抽象的な内部空間の歪みとして、表現されます)。

そして、その歪んだリーマン時空や内部空間に物体、粒子をおくと、ちょうど、ボールのような曲面に置かれた物体(ビー玉とか)のように、安定的に静止せず、動き出す、というイメージですね。

そして、場が強ければ強いほど、そのリーマン時空や内部空間の歪み具合(曲率)も大きくなりますから、そこにおかれた物体、粒子の動きも、急激になる、というイメージです。
また、同じ強さの場では、粒子が大きければ大きいほど、動きが激しい、というイメージもあります。

それで、重力場における粒子の運動を表現するのが、「測地線方程式」であり、ゲージ場における粒子の運動を表現するのが、クライン・ゴルドンやディラックの波動方程式、というのが、現在の標準的な理論の回答でしょう。

さらに、場の量子論では、「(仮想的な)量子のやりとり」となるらしいし、超紐理論では、「(高次元の)超紐の振動」とった表現になるらしい(そこまでいくと、私も詳しくないが)。

どちらにせよ、古典力学では、物体の運動と力、位置が主役ですが、現代物理学では、それらより空間・時間の性質とか、運動量・エネルギーの方が、本質的なもの、というイメージです。

  投稿者:ワイル - 2007/04/29(Sun) 17:37  No.1371 
以下、「一般大学生」さんや、もっと若い中高生の世代への希望のための話、はたまた、「逆説の物理学」の話です(「逆説の日本史」というのがありますが)。

「田原の物理」
http://tahara-phys.net/
の主催者、田原真人氏がおっしゃっているが、物理学の真の面白さとは、物体がどのように落ちようが、時間がおくれようが、そうした現象そのものではなく、その先にある「何か」だと思います。

それで、まず、しばらく、古典力学、古典論での話。

それで、まず、

・ガリレオ変換
・ニュートンの運動方程式
があって、
・ニュートンの万有引力(重力)の法則
F = G・m1・m2/r^2 (G:重力定数、m1,m2:質点の質量、r:質点間の距離)
あるいは、これを精確にした、
・ニュートン&ガウスの重力場方程式
F = -grad(u)
div(F) = 4π・G・ρ 
rot(F) = 0
がある。
これが、ニュートン力学、あるいは、ニュートン&ガウスの重力理論とよばれる理論の骨格(「ニュートン&ガウスの重力理論」というのは、私の勝手な命名です)。

また、
・ガリレオ変換
・ニュートンの運動方程式
に、
・クーロンの電力の法則
F = 1/(4π・ε)・q1・q2/r^2 (ε:誘電率、q1,q2:電荷、r:電荷間の距離)
・クーロンの磁力の法則
F = 1/(4π・μ)・p1・p2/r^2 (μ:透磁率、p1,p2:磁荷、r:磁荷間の距離)
あるいは、これらをより精確にした、
・クーロン&ガウスの静電場方程式
E = -grad(Φ)
div(E) = ρ/ε
rot(E) = 0
・クーロン&アンペールの静磁場方程式
B = rot(A)
rot(B) = μ・J
div(B) = 0
がある。
これらが静電磁力学、あるいは、クーロン&ガウス&アンペールの電磁理論の骨格(「クーロン&ガウス&アンペールの電磁理論」というのも、私の勝手な命名によるものです)。

これら、ニュートン力学と静電磁力学とで、(広い意味での)「古典力学」。
この「古典力学」を不確定性原理に対応させたのが、「(非相対論的)量子力学」。

そして、
・ローレンツ変換
・相対論的運動方程式(ニュートンの運動方程式をローレンツ共変に修正したもの)

・マクスウェル電磁場方程式
・ヤンミルズ・ゲージ場方程式(弱い核力の場、強い核力の場の古典論)
がある。
これが、古典ゲージ理論の骨格。

次いで、
・ローレンツ変換を局所変換として含む、一般座標変換
・測地線方程式
・アインシュタイン重力場方程式(あるいは、もっと正確には、ブランス・ディッケの重力場方程式かも知れない)
がある。
これが、いわゆる、古典重力理論の骨格。

古典ゲージ理論と古典重力理論とで、「場の古典論」。
また、クライン・ゴルドンおよびディラックの相対論的量子力学は、それぞれ、「スカラー場およびスピノル場(物質場)の
古典論」という見方もある。
広い意味では、古典ゲージ理論、古典重力理論、相対論的量子力学を、ひっくるめて「場の古典論」とみなしても良いでしょう。

ここで、
・ニュートン&ガウスの重力理論 <-> クーロン&ガウス&アンペールの電磁理論
・古典重力理論  <-> 古典ゲージ理論
が、それぞれ、数学的に良く似ている、という指摘はある。

だから、かつては、ファラデーやアインシュタインなどが、これらを統合した「統一場理論」を構築しようとした話は、うなずけるだろう。

さて、

・ニュートン&ガウスの重力理論 <-> クーロン&ガウス&アンペールの電磁理論
・古典重力理論  <-> 古典ゲージ理論

の次は、
・量子重力理論  <-> 量子ゲージ理論(QED,QCD,GWS理論,大統一理論)
となるはず。
しかし、量子ゲージ理論は、ほぼ完成している、といえるが、量子重力理論は、まだ未完成。

量子ゲージ理論と量子重力理論とで、(広い意味での)「場の量子論」。

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そして、以下は、「一般大学生」さんたちの世代における課題です。

・ニュートン&ガウスの重力理論 <-> クーロン&ガウス&アンペールの電磁理論
・古典重力理論  <-> 古典ゲージ理論

が、数学的に似たような形式なら、

・量子重力理論  <-> 量子ゲージ理論

も、似たような数学的形式になるのでは、と期待できるか?(その意味では、量子ゲージ理論も、量子重力理論が完成するまで、真の完成、とはいえないと思います)

そして、量子ゲージ理論と量子重力理論との統合理論としての「量子統一場理論」=(真の意味での)「超ひも理論」。

実際には、量子ゲージ理論および、量子重力理論と超ひも理論との間には、超対称性ゲージ理論および、超重力理論というのが入るらしい(超対称性ゲージ理論と超重力理論とを合わせて、「超対称性理論」、といいます)。

数学的には、

・古典力学・場の古典論 ・・・ 実数 による理論
(一部、例外があるが) 
・量子力学・場の量子論 ・・・ 複素数 による理論
・超対称性理論  ・・・ グラスマン数 による理論
(グラスマン数とは、ゼロではないのに、自乗すると、ゼロになる、という性質の数で、実体は、反交換関係 A・B = -B・A を満たす行列で表されます)

というなります。

また、「古典論としての超ひも理論」というものもあります。
「現代物理学最前線・7」(大槻義彦編・共立出版)

「超紐理論と時空」(夏目誠・p105〜p165)
の、さらに中の 
「3章・場の古典論としての超弦理論」(p115〜123)
を参考に。。。

ゲージ理論や超ひも理論も、量子論や超対称性理論に行く前に、まず古典論で考えるのが、理解しやすいでしょう。

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さて、「統一場理論」や「超ひも理論」の話は、はるか夢の話として、現代の物理学や自然科学では、

・電磁力、弱い核力、強い核力(=まとめて、「ゲージ力」) ・・・ 分子、原子、原子核、素粒子といったミクロの現象を支配する力

となっています。
一方、

・重力 ・・・ 地球、天体、宇宙の現象を支配する力

というわけです。

しかし、
・ニュートン&ガウスの重力理論 <-> クーロン&ガウス&アンペールの電磁理論
・古典重力理論 <-> 古典ゲージ理論
であり、さらに、
・量子重力理論 <-> 量子ゲージ理論
であれば、ミクロの現象と天体・宇宙の現象が、数学的に同じような形式・理論で表現できるわけです。
(そうすると、やはり、統一場理論や超ひも理論の話につながりますね)

いってみれば、
重力理論  ・・・ 宇宙の幾何学
ゲージ理論 ・・・ ミクロの幾何学
といえます。

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さらに、余談として、物理学の外に目を向けると、

統計力学 と 金融工学

が、似たような数学的形式の理論で構成されています(金融工学で有名なブラック・ショールズ理論は、アインシュタインのブラウン運動の理論に似ているといわれます)。

金融工学という人間社会の現象の理論と、統計力学という自然現象の理論とが、同じような数学的形式で構成されている、というのは、余計に面白いのでは?

私たち人間社会は、スケール的に、重力が支配する地球・天体・宇宙と、ゲージ力が支配する分子・原子・原子核・素粒子といったミクロ世界との中間的な世界です。

その人間社会の現代を支配するのは、金融や経済でしょうか?
だから、物理学とともに、近代経済学や金融工学を学ぶ価値もありそう。

そして、近代経済学・金融工学の理論と、宇宙やミクロの理論のどれもが、「数学」という共通の言葉で記述される、という事実は、とても面白いでしょう。

「物理数学」というのがありますが、「経済数学」というものもあります。
また、「物理数学」の本ほど多くないですが、「経済数学」の本も、何冊かあります(「経済数学」でも、線形代数と微分積分は重要のようです)。

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ニュートンの重力理論や、アインシュタインの一般相対論では、「重力定数G」は、その名前の通り値の変化しない「定数」というわけだが、相対論的量子力学のディラックが、この「重力定数G」も「変化するのでは?」と疑問を投げかけた。

一般相対論を、そのように「変化する」重力定数Gに対応・拡張したのが、「ブランス・ディッケの重力理論」とよばれる理論です。
http://en.wikipedia.org/wiki/Brans-Dicke_theory

この「ブランス・ディッケ理論」は、観測によって定まるスカラー場を表すパラメータをもっていて、重力定数Gが「変化しない」という場合、そのパラメータが大きくなり、その場合、ほとんど一般相対論と同じ結果を与えるように作られた理論です。

今まで、重力定数Gが「変化」するという観測結果は無いのですが、かといって、今後も、そのような観測結果が得られない、という確証もないので、一般相対論とともに、「ブランス・ディッケの重力理論」も捨てられない、というわけです。

*「一般座標変換に対する共変性を満たす古典重力理論」は、アインシュタインの一般相対論以外にも、いろいろと作れるらしいですが、その中で、もっともシンプルなのが、「一般相対論」であり、それに「変化する重力定数G」の仮定を加えた重力理論のなかで、もっともシンプルなのが「ブランス・ディッケの重力理論」ということです。

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物理学(自然科学)や経済学(社会科学)などでは、あまり厳格な数学な話は、必ずしも必要ありません。

それも全く不要ということでありませんが、それより、実際の物理現象や経済現象に対するイメージが大切だと思います。

その場合の数学は、その現象のイメージを記号的に絵図に表した存在、という感じでしょうか。

また、私の議論は厳密性より、イメージ重視なので、正確性には欠けるかも知れません。 >> 一般大学生さん

  投稿者:sym - 2007/04/29(Sun) 18:46  No.1372 
とりあえずのひとことです。

場をイメージしてみてください。具体的な重力場や静電磁場あるいは、空間のいたるところに浮いている矢印付き看板(看板には数字が書かれていて、それがその点に働く力の強さを表している)というような抽象的なものでも良いと思います。
まあともかく、座標と時刻を指定すると一意にその点に働く力が定まるのが素朴な意味の場であって、もちろん運動の軌跡ではないわけです。

これで、とりあえずのひとこと終わりです。

  投稿者:Misho - 2007/04/29(Sun) 23:08  No.1373 
あー。確かに
F(x,t)と表せるならば,なんとなくF(dx/dt,t)と表せるような気がしますね。
でも,大事なのは,F(x,t)と表せるということは,その力が速度に依存しない,ということです。『依存しない』ということが大事なのです。

速度vに依存しない,ということは,どんな速度であっても,場所と時間さえ決まってしまえば力が決まってしまう,ということ。
位置xに依存しない,というのは,どの場所でも,速度と時間さえ決まってしまえば力が決まってしまうということ。

具体例を考えましょうか。
たとえば「デコピンの力」というのは
・打つ人が誰か ・打つ人の機嫌 ・打つ人と打たれる人の関係
に強く依存しそうですし,逆に ・場所 にはあまり依存しそうにないですね。
だから,F(打つ人,機嫌,……) などと書けそうです。

無風のとき,低地で自転車に乗っている人が顔面に感じる力は
・顔の大きさ ・速度
に依存しそうですが,位置とか時間にはあまり依存しなさそうです。(さすがに宇宙とか高山とか海中だと違うけど)
ってことで F(S,v) とか書けそうです。(Sは顔面積)

「重力」(地球の引力)なんてのは,場所には依存しますが速度と時刻には依存しなさそうですね。(日本とブラジルでは向きが逆になります。)
ってことでF(r)ですかねぇ。

  投稿者:ワイル - 2007/04/29(Sun) 23:24  No.1374 
>>「重力」(地球の引力)なんてのは,場所には依存しますが速度と時刻には依存しなさそうですね。(日本とブラジルでは向きが逆になります。)

ふーん。

地球の重力場なんていうのは、時間によって変化するものではないですからね(その意味で、地球の重力場は、ニュートン重力場の典型例)。

ただ、地球自体が、完全な球体でなく、垂直方向(北極・南極極)より水平方向(赤道)の方が大きいという、「西洋なし」のような形態ですし、高度や深度があるので、その意味で、地球の重力は、緯度・経度の2次元的位置だけでなく、3次元的位置に依存します(太陽なども、垂直方向に潰れた形態です)。

なお、地球の周りの空間は、地磁気による「磁場」でもあり、その磁場は、その強さも、時間には依存せず、3次元空間上の位置に依存する「静磁場」です(地磁気の主な原因は、地球のコアを流れる、推定で数10億アンペアといわれる電流であり、他に電離層の電流などもあり、また、それらにより、雷なども発生するわけで、地球の周囲は電場でもある。また、それらは木星、土星などの他の惑星にもあてはまり、太陽や恒星などの場合も、黒点やプラズマに電磁現象がある。また、中性子星やブラックホールの周囲も、強力な重力場であるとともに、強力な電磁場にもなっているようですし、銀河系などの銀河にも、重力現象だけでなく電磁現象があるらしい)。

また、原子核の周りは、時間的に変化しない静電場といえ、そのまわりの電場ポテンシャルも、時間には依存せず、3次元上の位置に依存する、といえます。

だから、ニュートン重力場、静電場、静磁場といった場自体のポテンシャルについては、3次元空間上の位置に依存、すると言っても良さそうですね(時間には依存しない)。

ただし、そうしたニュートン重力場や静電場であっても、そこで運動する粒子や物体の軌道は、完全な「円」でなく、楕円、放物線、双曲線といった2次曲線となるので(地上で物体の運動、太陽系における天体の運動や、古典的原子モデルによる原子核のまわりの電子の軌道、ラザフォードによって検証されたα粒子の散乱実験などが、その実例だが、数学的にも証明できる)、その粒子・物体自体が受ける力というより、全エネルギーは、3次元空間上の位置だけでなく、時刻と運動量(=質量×速度)に依存する、といえます。

とはあれ、分子・原子・原子核・素粒子などのミクロ・レベルから、地球、天体、宇宙のレベルまで、この世界・宇宙は、重力、電磁力、弱い核力、強い核力などの「エネルギー」に溢れていることに気付くでしょう(強い核力や弱い核力については、ミクロのレベルだけでなく、天体レベルでも、太陽や恒星の核融合エネルギーは強い核力や弱い核力によるものだし、地球内部のエネルギーは放射性物質の崩壊という弱い核力が関連したものであるらしい)。

そして、私達、人間を含む生物の世界の生命現象も、そうした「エネルギー」によるものでしょう(いわゆる「精神活動」なるものは、どうかな?)。

  投稿者:Misho - 2007/04/29(Sun) 23:32  No.1375 
あ,「純粋に数学的に」でしたか……;;;

時間に依存しない <=> ∂F/∂t = 0
位置に依存しない <=> ∂F/∂x = 0 , ∂F/∂y = 0, ∂F/∂z = 0
速度に依存しない <=> ∂F/∂v_i = 0 (i=x,y,z)
です。

特に,最初のが dF/dt = 0 でないことに注意してください。
たとえば,固定した電荷−eの電子があって,そこから距離Rだけ離れた所に質量m,電荷+Qの物体を置いたとき,
本来二つの間に働く力FはF=k eQ/r^2 (kは定数) と書けます。
しかし物体は電子の方に動いていくので,物体にしてみれば力は時間に依存して変化したように「感じます」。
この時間変化のカンジは,dF/dtで表され,特に今回の場合は
dF/dt = (∂F/∂x) (dx/dt)
と書けます。(Chain rule)

  投稿者:一般大学生 - 2007/04/30(Mon) 03:47  No.1376 
>Mishoさん

具体例とかは全然大丈夫なんですよ。自分でもなんとなくわかるし。ん〜自分の問いを分析してみると、どうやらかなり数式的なもののようです。実際求めてたのはすぐ上のMishoさんの書き込みであって、その前の内容に関してはわかってたわけです。
それで、そう、偏微分してゼロでいいんですよねえ?なんかそれも「そりゃそうだろうなぁ」と思ってはいたんですが、なんか引っかかるんですよ。
と、いうことはさっき僕が言ったみたいに、仮に速度抜きで書かれたヤツを速度を使って無理矢理書き直したとして(もちろん関数関係があることを使ってですね)、それを偏微分したら絶対ゼロにならなきゃいけないわけですよね?そこでイメージがストップしちゃう。え、それってゼロになるかぁ?って。
なんか読んでると段々全てが腑に落ちなくなってきて・・・偏微分の公式とかもなんだかわけわかんなくなってきますね。どうも知識の整理が甘いみたいで。

  投稿者:のほほ - 2007/04/30(Mon) 18:23  No.1378 
>>1376
ちょっともう少し明確に疑問点をしぼっていただかないと、どこでつまずいているかわからないです。
どういったことを疑問に思っておられるのでしょうか?

つまり、ポテンシャルV(q,t)をV(v,t)に無理やり書き直して、
vで偏微分したら0になるってことですか?
(vはqの時間微分)

それはq=q(v,t)の形にして 元のV(q,t)へと代入すれば、vには無関係な形になっているはず〜、とかそういうことですか?

だとしたら、言ってる事が無茶苦茶じゃないかと思います。
ラグランジアンはqとvは互いに独立変数扱いしているはずですから、それ同士の行き来って出来ないんじゃないですか?
変数変換どうこうではない気がします。

私の理解の仕方が間違っていれば、遠慮なくバシバシ叩いて下さい。


  投稿者:一般大学生 - 2007/04/30(Mon) 23:15  No.1379 
>のほほさん

疑問点を絞りたいのは山々なんですが、絞ると嘘になっちゃう気がして絞れずにいます。「つまり、これがこうでこうなるのが何故なのか疑問です!」って言って返ってきた答えに対して、納得出来る気がしないんです。絶対「あれ、それじゃないなぁ聞きたいのって。」って思っちゃう気がして。絞らないままでも結果は同じ気がするけど、要は絞らない方がナマの疑問である気が、今回はしてるのです。どこでつまずいているのかと聞かれると、連鎖的にあらゆるところでつまずいてる気がします。そんでそれを詰めて考えてから質問しようとはしないもんだから頭悪そうなことばっかり書くヤツになってます。迷惑だったらすいません。

えっと、そうだとして、言ってることは無茶苦茶なんですか?よくわからないです。どうしてqとvが独立変数扱いできるんですかね?偏微分は確かにしてますけど、元々明らかに独立でないものをどうして独立に扱って、そしてどうして上手くいくんでしょうか?いつの間にそういう扱いをして、「それ同士の行き来が出来ない」状態になっちゃったんでしょうか?「変数変換どうこうではない」なら、「変数変換どうこうではなく、何?」という疑問が即座に浮かんでしまうのですがどうでしょう?

  投稿者:Misho - 2007/04/30(Mon) 23:40  No.1380 
面白い疑問だと思います。

例えば,バネ定数kのバネに取り付けられた質量mの物体が,点bを中心として1次元運動(調和振動)している場合について考えてみましょう。(空気抵抗など,どうでもいいことは無視します。)

その場合,物体の座標xは x = b + A cos(√(k/m) t) と書けます。
v = dx/dt = -A√(k/m) sin(√(k/m) t)
a = dv/dt = -A(k/m)cos(√(k/m) t)
ですので,
ma = F = -kAcos(√(k/m) t) = ±√( (A k)^2 - v^2 )
と書けます。
つまり,この場合の力はvに依存し, F = ± √( (A k)^2 - v^2 )
となります。

と解釈することも出来るのですが,これはあくまでも「この場合の力」ですね。
振幅がAからBになれば, F = ± √( (B k)^2 - v^2 ) になって,違う表式になります。
では,弾性力は振幅と速度に依存するのでしょうか?
しかし,同じバネでも,今度は天井からぶら下げて単振動させると,今度は全然違う形になるでしょう。

一方,F = - k x ,弾性力はバネの伸びに依存する,と書けば,どんな運動でもこの表式が使えます。


ところで,このように特定の運動については,xやvやaを互いに関係づけることが出来ますが,一般的な運動ではそうは行きませんね。
解析力学,特にLagrange力学では,一般的な運動に対して,xとdx/dt=vとを独立変数扱いしたうえでLagrangianを考えます。このようなご都合主義的な方法で一般の運動が説明できるわけです。
また,xとpとを独立変数扱いしてHamiltonianを考えると,何と奇妙なことか,これまた一般の運動が説明できます。これがHamilton力学です。

というわけで,のほほさんと一般大学生さんでは若干話している対象が違うようですね。

  投稿者:一般大学生 - 2007/05/01(Tue) 00:06  No.1381 
>Mishoさん

なんか話がいい感じになってきた気がして、感謝いたします。

えと、結果的にはvに依存する形でも書けたわけですよね?でもポテンシャルエネルギーは定義出来る、と。
確かにxの方で書けば、バネ定数を指定するならどんな運動でもその式は使えますね。でも、そうだと何故ポテンシャルエネルギーが定義出来るんでしょう?なんとなく頭の中でぼんやりできてきたものがあるのですが、説明出来そうにもないので他の方の返事を待とうと思います。

あと、xやvやaを互いに関係づけることが出来ないという話の、関係づけるとは具体的にどういうことでしょう?そもそも定義上、vはxの時間微分として関係づけられているということは出来ますよね?aも然り。するとこの場合、どういう意味で「関係づけられない」のでしょうか?
最後にもう一つ、上の話の中の「『特定の運動』の指し得る範囲」と「一般的な運動」はどう違いますか?それは前者三次元空間内での運動方程式に従って表される運動のことで、後者はそうでないものも含む、とかそういうことですかね?そこを具体的に示していただけるとありがたいです。

  投稿者:Misho - 2007/05/01(Tue) 01:04  No.1382 
空気抵抗の力について考えてみましょう。
空気抵抗の力は速度のみに依存する量なので,その力をF = F(v)と書きましょう。
(のみに依存する,とか書くと揚げ足を取られそうですが,近似的にはそう見なせます)

ところで,高さhから質量mの物体が自由落下する場合,その物体の運動を考えれば,vをxで表すことが出来ます。
つまりF = F(x)と書けることになりますので,もしコイツのrotationが0ならば「potential energyっぽいもの」が定義できるかもしれません。-grad V(x) = F(x)を満たすようなV(x)があるかもしれません。

さて,このようにして定義された「V(x)」は,意味のある量なのでしょうか?

物体を高さ2hから落下させた場合,V(x)は明らかに変化してしまいます。
特定の物理的状態でしかこの V(x) は意味をなさないわけです。

つまり,「空気抵抗の力は,『高さh』から『質量m』の物体を『自由落下』させた場合に,potential energyっぽいものが定義できる」としか言えないのです。

実際,potential energyは位置のみの関数です。つまり,「どんな運動」に対しても,どんな質量の物体に対しても,場所さえ指定すれば力が一通りに決まらなければなりません。
というわけで,このV(x)にはpotential energyの資格は有りません。


弾性力の場合は逆です。先ほど書いたvの式は「ある特定の運動」に対する式です。
だから,「弾性力は,ある特定の運動についてはvに依存する形でも書けた」わけですが,それは「弾性力がvに依存する形でも書けた」わけではありません。
わかりやすく言えば,窓から物体を落としたとき地面に到達するまでに5秒かかった,という事実から「この物体は,(どこから投げても)5秒で地面に到達する」という主張が出来ないのと同じです。

「弾性力の性質」がvに依存するのではなく,特定の場合だけを見たに過ぎないのです。


更に言うなら,vのみに依存する力が,xのみに依存する形で書けることはあり得ませんし,その逆も然りです。


「関連づける」というのは,例えば x=x(v) という形で書ける,という意味で使いました。(逆関数を考えればv=v(x)という形になります)
ちょっと分かりにくい言葉遣いでしたね。


一般的な運動,というのは,何でも構いません。物体の種類も質量も,初期条件も周りにある物体も電荷も,なんでも構いません。三次元でなくても構いません。(例:2体運動は6次元空間中の運動と見なせる)
解析力学の範囲では,Newton方程式に従いさえすればどんな運動でも大丈夫です。(相対論的とか量子論的は扱えません)

特定の運動,とは,その「一般の運動」の中の一部分ですね。
たとえば質量mの物体の自由落下運動,質量mの物体を高さhから落とした場合の空気抵抗を伴う自由落下運動,等……。

  投稿者:Misho - 2007/05/01(Tue) 01:11  No.1383 
ああ……。

> 「関連づける」というのは,例えば x=x(v) という形で書ける,という意味で使いました。
>
x=(v,t)ですね。ただし微分作用素は含んじゃダメです。
関係式として用いたいわけですから,微分方程式にしてはいけません。


それから,もしかしたら一般大学生さんは,物体の位置 r = (x,y,z) のxの意味と,potential energy V(r)=v(x,y,z) のxの意味を良く区別できていないのかも知れません。

  投稿者:一般大学生 - 2007/05/01(Tue) 01:40  No.1384 
うんうん。だいぶわかってきました。

微分方程式は関係式じゃないんですか?よくわかりません。

あ、その区別全然出来てないかもです。何が違いますか?

  投稿者:murak - 2007/05/01(Tue) 02:02  No.1385 
以下は、時間的に少し前に書いたもので、直近における Misho さんの議論は反映しておりませんし、一般大学生さんの質問の意図を十分汲み取ったものになっているかどうかは不明ですが思うところを少し書いてみました。

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とりあえず、具体的な問題を考えた際にある特定の質点が受ける力(仮に大文字の F で表す)と、特定の質点とは(ある意味)切り離して考えることの出来るような力の場(仮に小文字の f で表す)を区別して考えてみてはどうでしょうか?

力の場(と呼べるようなもの)があるという事は、個々の質点とは無関係に空間そのものに(時間と場所の関数として)何等かの性質 f(t,x) が備わっているという事でしょう。一方、特定の状況下で特定の質点が時々刻々に受ける力Fは何時でも時間tの関数 F(t) として書ける筈ですが、力が場の量 f(t,x) によって決まるという性質を持っているならば、質点の運動の軌跡を x(t) と表わすとき、 F(t)=f(t,x(t)) となっているということになります。

従って、力の場fを問題にする場合、∂f/∂tや∂f/∂xには意味がありますが、df/dtには本来意味がない。同様に特定の質点が受ける力 F に関しては dF/dt には意味がありますが、∂F/∂tや∂F/∂xには本来意味はない。しかし、 F が上の様に書けるとき、その時間微分 dF/dt については、合成関数の微分則にしたがって数学的関係として

   dF/dt = df(t,x(t))/dt = ∂f/∂t + (∂f/∂x)(dx/dt)

が成り立つことは正しい。

更に、場の量 f について ∂f/∂t = 0 が成り立つならば運動方程式の解として得られる x(t) に対し、初期条件 x_0=x(t_0), v_0=(dx/dt)(t_0) が同じならば、x(t) の関数形は初期時刻 t_0 の選び方に依らない、あるいは x(t) は t-t_0 のみの関数であるという著しい結果が得られます。一般に、運動方程式の解として得られる運動 x(t) は初期条件(t=t_0における位置x_0と速度v_0)に依存するわけですから、その一つ一つを特定するには解を x(t_0,x_0,v_0;t) の形に書く必要があるでしょう。このことを考慮し、考え得るあらゆる解曲線 x(t) に対する F を考えると、 F(t_0,x_0,v_0;t)=f(t,x(t_0,x_0,v_0;t)) という関数をつくることが出来ますが、場 f が時間 t に陽に依らない場合には先程述べた性質により、F(t_0,x_0,v_0;t)=F(t'_0,x_0,v_0;t) が成立することになります(時間並進対称性)。あるい少々強引(?)に

   ∂F(t_0,x_0,v_0;t)/∂t_0 = 0

と書いても良いでしょう。ただし、Fの意味をこのように定義するなら、∂F/∂tとは実質的に dF/dt のことなので、∂f/∂t=0であっても∂F/∂t=0ではありません。(F とFの文字の微妙な使い分けに注意。)

多くの人が言う力の場が時間 t に依らないとは、ここでの述べ方に従えば ∂f/∂t=0 のことであって、決して∂F/∂t=0 の意味で使っているわけではありません。(ましてや∂F/∂tなどはそもそも意味がない。) しかしながら、多くの人はこうした微妙な概念上の違いに正しく注意を払っているわけではなく、安易に(あるいは杜撰に)∂F/∂t=0 と書く傾向があります。初学者にとっては躓きの原因となるかもしれません。

(なお、力が保存力であるとかそうでないという言い方は、語感上なんとなく F についての話をしているように思えますが、実質上は f についての話をしている場合が多い。例えば rot = 0 だとポテンシャルがあるといった話は、個々の具体的な運動に際して決まる F についてではなく、個別の運動とはある程度切り離して考えられる f について、その rot を考えていることになる。)

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また、物体の受ける力 F が位置と時刻だけでなく、その速度にも依存する関数 g(t,x,v) を用いて、

   F(t) = g(t, x(t), dx(t)/dt)

と書かれることもあります。この場合、g は場の量というより、もっと抽象的な(運動に対する)状態空間で定義された量(関数)と考えるべきですが、この場合も力が速度に依存するしないという議論は、単に g の関数形が(g(t,x,v)というカタチで)v を含んでいるかどうか(あるいは∂g/∂v=0 かどうか)という問題であって、∂F/∂v がどうなるかを考えているわけではありません(そもそも∂F/∂vは意味不明の量だが)。

しかし、その場合であっても具体的な運動 x(t) に付随する時々刻々の F(t) に対し、

   dF/dt = ∂g/∂t + (∂g/∂x)(dx/dt) + (∂g/∂v)(d^2x/dt^2)

であることは正しいわけです。
(また、上と同様に F(t_0,x_0,v_0;t) を考えて ∂F/∂v_0 を議論することは出来ますが、そいれはまた別の話。)

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同様に Lagrange 力学における Lagrangean に対する議論も、それが何処(どんな抽象空間)で定義された関数であるかに十分注意を払って微分(変分)を考えれば、混乱は避けられる筈です。とりあえず何かの参考になれば。

  投稿者:のほほ - 2007/05/01(Tue) 11:33  No.1386 
イメージで話をします
厳密性なんか度外視してくので、意味不明なら流してください。

xとvが関係づけられる、っていうのは「1次関数的」な関係にないとダメですよね?

例えば、単振動ならv=-u (u>0) としたら、これは力のつりあいの位置より右にいる場合と左にいる場合と、2通りありますよね?

たまたま、どっちでもxで書いたポテンシャルの値が同じになるからいいですけど、毎回こんなに上手くいくとは限りませんよね?
この場合は絶対値が等しくて、ポテンシャルはxの2乗だから一致する〜、ってコトですよね?

で、ちょっとイジワルな場合を考えると水平面からsin(ωx)sin(ωy)のように高さがズレているような異常にくにゃくにゃした面での運動を考えましょう。
この場合、ある速度が与えられたとしても、位置はどこか?と聞かれても無限の可能性があるので、訳わかりませんね?
この場合も一応、ポテンシャルの値は異なる位置でも代わりがなさそうですが、大分しんどくなったでしょ?
一般的な場合は、もっともっとしんどくなって、しまいには、
同じ速度を持つ位置でポテンシャルの値が異なるという場合が出てくるはずです。

だから、
「xとvはセットで考えときゃ間違いはないんじゃね?」
という意味で独立変数扱いしてます。
確かに、このやり方は無意味な変数をいくつか含んでしまう事もあるでしょう。
でも、そんなのは省くとか色々な手法があるのが解析力学なんでそういう感じでこれから勉強してもらえればいいと思います。

多様体の接ベクトル空間とかやると、位置とそれに付随する速度を互いに独立したものとみなす「配位空間」の考え方も飲み込み易いと思いますけどね〜。
こういうのを、バンドルという言い方をするそうですが。

やっぱ、数学的背景から説明するのが一番楽です。

ただ、こうして物理的意味を考える事も大事ですから、サジ加減が難しいですね。
私としては、そういう感じで独立だと言わせてもらいました。

  投稿者:ワイル - 2007/05/01(Tue) 13:14  No.1387 
こんにちは

>>イメージで話をします
>>厳密性なんか度外視してくので、意味不明なら流してください。

ニュートン、マクスウェル、アインシュタイン、シュレディンガー、ハイゼンベルク、湯川秀樹。。。

そうした理論物理学者たちが法則や理論を考えるときは、物理現象を図やイメージで考えていますね。数学の式は、あくまで、その考察に基づく法則、理論をまとめて発表するため、という感じです。

だから、そうした物理学者たちの「数学」の使い方というのは、数学者からすれば、厳密性には欠ける、という批判がありますし、物理学者たちが発表した理論を、その後で数学者たちが綺麗に整形もするようです。

それで、ニュートン力学に対する解析力学(オイラー、ラグランジュ、ハミルトンら)、電磁気学、相対論に対するゲージ理論(ワイル、内山龍雄ら)、量子力学に対する関数解析(ノイマンら)などが、数学的に「綺麗な形」のものとして、作られています。

  投稿者:一般大学生 - 2007/05/05(Sat) 00:03  No.1394 
murakさんの書き込みで、だいぶわかった気になってきました。少し時間をおいてから、また考えてみようと思います。ありがとうございました。

  投稿者:murak - 2007/05/05(Sat) 10:21  No.1396 
とりあえず、お役に立てたようで、良かったです。
(的を外してたかなとちょっと不安になっていたもので。)

#1385に書いたような、ちょっとした使い分けが出来ないと、のほほさんやMishoさんが書いているような、解析力学を考える際に困ってくるんですよね。多くの人は、そのあたりを無意識のうちに使い分けているんだけれど、ひっかかる人はひっかかる。(実は、私自身がそうで、解析力学の幾何学的な定式化を知るまで、私には解析力学は理解不能の代物だった。)

その辺りでわからないことがあれば、また書いてみてください。

  投稿者:ワイル - 2007/05/05(Sat) 11:01  No.1398 
>>実は、私自身がそうで、解析力学の幾何学的な定式化を知るまで、私には解析力学は理解不能の代物だった。

日本の大学で物理数学というと、いまだ、微分積分や微分方程式などの解析学であることが多いですよね?
でも、相対論、量子論、ゲージ理論、超ひも理論などとの繋がりでは、幾何学や抽象代数学(群論など)なども大事ですね?

特に、幾何学は、古典力学の世界でも、ガリレオやニュートンなどの著作では、幾何学的な説明が多いですね。
そして、ファラデー、マクスウェル、アインシュタインらの「場」の概念は、まさに物理法則の幾何学化です。
そして、ゲージ理論、場の量子論や超ひも理論などと幾何学の繋がりは、いうまでもなく強いものです。

直感的イメージと数学的論理性を両立するためには、物理現象を幾何学的に捉えるのがよろしいでしょう。