EMANの物理学 過去ログ No.1146 〜

 ● 春だから・・・

  投稿者:明男 - 2007/03/01(Thu) 23:59  No.1146 
こんにちは。

満員電車に揺られてコトコト向かう、街の本屋。
藍よりも、青き色に輝く、その本を求めて。
見知らぬ人達が何か談笑しながら傍らを通り過ぎて行く。
誰も彼もうす色のセーターを軽く羽織っているだけだ。
暖かい、穏やかな日差し。
小さい犬を連れている人もいる。
犬は、私を見上げて、小首を傾げている。不思議そうな眼差しでまばたきもせず、私を見つめている。
私も見つめ返す。
犬は犬では無かったようだ。
森羅万象はただ、日溜まりの中や、木陰に休んでいるのではなかった。
あの、小さな犬と私の束の間の交流にも、永遠の営みが潜んでいることは、私を少し愉快にさせた。
知らず知らず足早に階段を上る。
階段の頂上は頭上に遙か遠く、月へのきざはしかと思うくらい続いている。
一歩一歩上る。
本を手に取るまでは、いや、もはや本ではあるまい。
懐かしき友人との邂逅を約束する駅の待ち人のように、その人に逢えることを信じて、足は命令を待たずして進む。
東京神田の古本屋にも、いつかその姿が見られる日が来るのだろうか。
そしてそれを学生帽の中学生が、頬を紅潮させて、むっつりとレジに差し出すのだろうか。
ああ、そんな日が来ることを夢見つつ、今は私の番だ。

そして、今はすでに胸中に抱き、その幼子を愛しく大事に抱えて帰路につく。
そうだな、今夜は少しワインを冷やして、酔いに少し朦朧としながら初心に帰って少し「物理」を考えてみるか。

というようなロマンスを予定しております。もう、春だから、許してね・・・。