EMANの物理学 過去ログ No.634 〜

 ● スピノルと複素平面の鏡映変換

  投稿者:Ken - 2006/10/06(Fri) 19:35  No.634 
こんにちは。
最近ちょっと興味がでてきて物理を勉強している素人ですが、私見と質問を書かせてください。長くなると思いますがご容赦願います。

まず、最初に質問です。EMAN様はじめ詳しい方がおられればご教授いただけるとたいへんありがたいです。

【質問】
スピノルは1回転でなく2回転しないと同じ位相に戻らない性質の物理量ですが、これは『θ/2』というのが式の中にあるからですね。

複素平面における鏡映変換も『θ/2』がありますが、これは実はスピノルと「おなじもの」または「同じ種類のもの」または「何か関係がある」または「似ているかもしれないが関係ない」のどれでしょうか?

もし同じものor関係があるのならば、複素平面または複素リーマン球面の幾何学の文脈で教えてもらえないでしょうか?

私は数学をまじめに勉強しなかったので、いまいち自力で追い切れません。どうぞご教授ください。

次に、なんでこういうことを聞くのかという私見です。

【私見】
最近、少し興味があってロジャーペンローズの本を読んでいます。
(心は量子で語れるか  
ペンローズのねじれた四次元 
ペンローズの量子脳理論)

彼は物理的世界は数学的世界から「創発」すると考えているようです。
彼は実在論者でありプラトン的世界、数学的世界があちら側に実在しており、そこから物理的世界が生み出されると考えています。

実際、物理学の歴史を振り返ると、ニュートン力学をはじめ、相対性理論、量子力学とどんどん目のまえに有ると思われた物理的要素から数学的要素に還元していくように見えます。物理学がすべて極めて精緻に数学で記述できてきた経緯を考えるとロジャーペンローズの考え方は当たり前で正しい観察の仕方だと思われます。

私は物理的要素は最後にはただの数になるのだろうと考えています。しかもそれは数から自動的に出てくるものであると思います。

同時に、これは数学自体がそうなのですが、対象は何か絶対的なものではなくて、「関係」を扱っています。相対的な見方から各要素が自動的に定義されるのであって、関係が先にあり、その結果、要素が生まれたということです。

ペンローズが量子力学と相対性理論を統一し、世界を記述するアプローチのもととなっているのは、「スピン・ネットワーク」というものであり、それから、「ループ量子重力理論」という種類のものになっているようです。

スピン幾何学定理=スピン・ネットワークから出てきた「角度」は三次元ユークリッド空間の角度と同じ性質をもつ

ということらしいです。

「時空のなかにスピンがある」のではなくて
「スピンという数学的性質が集まると自動的に時空が現れる」
という発想の転換です。

これはとりもなおさず、物理世界は数学世界から創発されるという方向ではまったく正しいので、個人的にはこのスピン・ネットワークを元としたなんらかの理論が最終的な理論になるのではないかと考えています。

相対性理論も時空よりも光が基本ですが、ペンローズは光よりも根本的なスピノールを世界の基本に据えています。

スピノールを二乗するとベクトル、光になり、光よりもスピノールのほうが基本的な単位です。

これは、EMAN氏のサイトでも
http://homepage2.nifty.com/eman/quantum/spinor2.html
>さて、まさかベクトルよりも基本的な量がこの世にあるなんて、我々は長い間気付かずにいたわけだが、スピンの議論から期せずしてその存在が明らかになった。
するとすぐに、スピノルよりもさらに基本的な量はないものか、と気をつけるようになるわけだが、それは有り得ないように思われる。
スピンを考えた時、l = 0 と l = 1/2 の間に何かが入ると考えられる理由はなかった。

>このことは理論家にとって大変興味深い。
この世にスカラーやベクトルやテンソルとして現れているものは、実は全てスピノルの組み合わせから出来ていて、何もかもが同じ形式で表せるのではないかと期待できるからである。
これを「スピノル一元論」と呼ぶ。

と書いておられるように、スピノルとは根源的な物理量のようです。

時空は光でなくスピノルを根本単位として据えており、時空構造も含め、すべての物理量はスピノルから勝手に出来てくるというのが正しそうです。

スピノルは数学から自然な形で自動的に発生するそうですが、そうであるのならば、時空、すべての物理量が数の性質そのものから勝手に組みあがっている、創発しているに他なりません。

ゆえに、私はスピノルがどのようにもっとも自然に単純な形で数学からでてくるのか、その部分を知りたいのですが、実はこの部分が質問にも書いたように全く理解できていません。

ここで、私がこの先がスピノルと簡単に繋がればいいのになと考えている基本的な数学的なことを書きます。

数の全体像とは複素数でありそれで完結しています。
複素平面は極形式で考えるほうがより本質で、それは
実数の数直線上において
+r とか -r とプラスマイナスの方向の二択であったのが、
r∠θ  と、rという大きさと角度(位相)というように
プラスマイナスの直線上の二択を
角度という数平面の全方向へ拡張したのが、
数の全体像であり、それが複素数であると思っています。
(このあたりの考察は「解説」という体裁をとって自分のmixi日記に最近書きました。
ttp://mixi.jp/view_diary.pl?id=234511523&owner_id=6115569
ttp://mixi.jp/view_diary.pl?id=234582543&owner_id=6115569



さらに、その数平面を数球面に凝縮したのが、リーマン球面です。
私はこの数の全体像を球面にまとめあげてしまった、リーマン球面というのを
ある種の数世界の基礎の完成であると考えてしまっています。
ttp://marine.sci.hyogo-u.ac.jp/~hammer/www.sci/kikasp/
(第13回)

実はペンローズは「心は量子で語れるか」でスピノールの結合を幾何学的に表現し、複素数の実在性を強調するためにリーマン球面を例示しています。

私は、スピノール自体がこのリーマン球面からどのように出てくるのか、もっとも簡潔で単純な方法で理解したいと思っているのですが、いまのところ力不足なようです。

このあたりをちゃんと勉強しようと思い、「複素幾何学の招待」という本を購入して目を通してみました。

非常に良い本でした。

複素平面での平行移動=複素数の「加減」+-
複素平面での回転拡大縮小=複素数の「乗除」x÷
に相当するのですが、
これらは「合同変換」と呼ばれています。

特に目を惹いたのが、
共役複素数と関係が有る、「鏡映変換」です。
著者は、
「特筆すべきなのは、合同変換が「分子」とすれば、鏡映変換は分子を構成する「原子」だということである。たとえば、鏡映変換2つを合成することにより、平行移動や回転移動ができているのである。」
と書いており、これはとりもなおさず複素平面の加減乗除「演算」の本質は鏡映変換であるということを示しています。

この2つ合成すると「原子」から「分子」になるというのは、
スピノル2回操作つまり2乗するとベクトル、たとえば光子の系列になるということと矛盾しないので、数列を追わなくてもそうじゃないのかなあと思いました。

鏡映変換はリーマン球面ではなおさら本質的に見えます。

このように、数の世界では鏡映変換が基本で、物理の世界ではスピノルが基本であるという考え、そして数学から物理が創発するならば、スピノルというのは、鏡映変換のことなんじゃないか?そういう風に直感的に考えたのですが、繰り返しますが、数学さぼっていたので自力でこの辺りを追えません。ということで質問となりました。

どうぞよろしくお願いいたします。

ken

  投稿者:EMAN - 2006/10/07(Sat) 18:26  No.640 
 Kenさん、はじめまして。

 私も数学はさぼっていましたので、
ちょっとお答えできるレベルではありません。
 お役に立てなくて申し訳ないです。

 私より詳しい方がたくさん見に来て下さっているので、
誰か答えて下さるかも知れません。
気長に待ってみて下さい。

  投稿者:Ken - 2006/10/08(Sun) 08:15  No.641 
EMANさん、はじめまして。

お返事どうもありがとうございます。

http://homepage2.nifty.com/eman/quantum/spinor.html
こちらのページで、
「これこそが本当に欲しかったもの、スピノルが従う変換規則だ。 なるほど確かにこれはユニタリ行列の条件を満たしている。」
というU(θ)= の行列式がありますが、

これは、もしかしたら複素平面上の「折り返し」の変換を表す一次変換式ですか?

この程度はじっくり複素平面上の一次変換を復習したらわかりそうなのですが、また途中です。
よろしければご教授くださいませ。