EMANの物理学 過去ログ No.596 〜

 ● 先進ポテンシャルの解釈

  投稿者:EMAN - 2006/09/30(Sat) 20:33  No.596 
 知恵をお借りしたいと思います。

 教科書によくある説明によれば、先進ポテンシャルの式は、代入した電荷分布、電流分布を実現するためにそれより過去において実現すべき電磁ポテンシャルを得るものだとあります。

 毎度のごとく、これくらいの説明では満足できなくてあれこれ考えていたのですが、泥沼にはまり込んでしまいました。

 このあたりの説明を見て考えると、
電荷分布 ρ、電流分布 i が決まると、それ以後の電磁ポテンシャル A の形が決まり、逆に、A の形が決まると、将来の ρ, i が決まるような気がします。

 すると一旦 ρ, i が決まると、その後の電磁場の振る舞いは決定論的に定まってしまうことになるでしょうか?

 そうは言えない理由として、次のようなことを考えました。
 つまり、A を求めるにはその時点の直前までの ρ, i が必要であり、それを決める要素は遅延ポテンシャルの式には入っていないから、不確定な要素があるだろう・・・、と。

 ・・・しかし逆に、ρ, i から先進ポテンシャルを求める式によって、電磁ポテンシャルが一旦定まってしまえば、将来の ρ, i は決まってしまうのではないかという考えが拭えません。

 どう考えたらいいでしょうか。

  投稿者:kara - 2006/10/01(Sun) 02:12  No.597 
こんばんわ。
EMANさんが疑問に思っていらっしゃることと食い違っていたら申し訳ないですが、先進ポテンシャルも遅延ポテンシャルも、ある世界点におけるAと、そこを原点とする光円錐上にあるρ
、iとの間にある関係があることを述べているだけで、ある時刻の電磁場があたえられても、過去全て、未来全てのρ、iの形を一意的に決めてしまうほど強い条件ではないと思います。

> ・・・しかし逆に、ρ, i から先進ポテンシャルを求める式によって、電磁ポテンシャルが一旦定まってしまえば、将来の ρ, i は決まってしまうのではないかという考えが拭えません。

まず将来のρ、iが未来永劫まで完全に決まっていないと、先進ポテンシャルからある時点の全空間の電磁場を求められないですよね?

  投稿者:EMAN - 2006/10/01(Sun) 09:08  No.598 
 karaさん、ありがとうございます。
 光円錐で考えるやり方は非常に助けになりました。
 今までアニメーション的にイメージして考えていたので、思考に限界があったのでした。

 何に引っかかっていたのか、整理が付きそうです。

 遠くにあるアンテナ内のρ, i 分布に限定して考えて、その範囲以外では0であるとか、そういう仮定を勝手に入れて考えてしまっていたのが悩みの原因の一端です。

 他にもいくつかのシチュエーションを考えてましたが、それらが整理されずにごっちゃになってしまったようです。
 落ち着いて考え直してみます。

  投稿者:ワイル - 2006/10/01(Sun) 14:49  No.599 
ご存知のように、マクスウェルの電磁場方程式から電磁波、
アインシュタインの重力場方程式から重力波、が出てくる
わけですが、電磁波にも重力波にも、遅延波と先進波とが
あるらしいですが、遅延ポテンシャル、先進ポテンシャル
は、それと関係ありですよね?

以下は、ちょっとトンデモな疑問です。

先進波や、陽電子などの反粒子は、時間を逆行している、
という話がありますが、どうなんでしょうか?

  投稿者:EMAN - 2006/10/02(Mon) 02:40  No.600 
 疑問を完全に晴らすために、質問を続けさせて下さい。

 まず、遠く離れたアンテナ内の ρ, i 分布を将来にわたって未来永劫まで定義するとします。 そして、電荷も電流も、そのアンテナの導体を飛び出すことはないとします。 アンテナ外では未来永劫、電荷、電流は0だと考えます。 こうすることで、先進ポテンシャルの計算は非常に簡単になります。

 まず、このような仮定をおくことは、非常に不自然なことでしょうか? 電荷が導体から飛び出しにくいのは電磁気的な力に起因しますが、それは量子力学で説明されることなので、「行うべきでない仮定」だということになるのでしょうか。

 もしこの仮定が許されるなら、ある時点での先進ポテンシャルが全宇宙について計算で求められます。 電磁ポテンシャルがそのような分布になっていれば、将来の ρ, i 分布は未来永劫まで最初に仮定したとおりに決まってしまうと考えられるでしょうか。

(問題の切り分けができていないので、まずはこんな形の変な質問になっています。 同じ疑問はアンテナがなくても成り立つ気もしますが複雑に思えるのでまずは範囲を限定しています。)

  投稿者:EMAN - 2006/10/02(Mon) 05:56  No.601 
> 先進波や、陽電子などの反粒子は、時間を逆行している、
> という話がありますが、どうなんでしょうか?

 砂川先生の「理論電磁気学」の教科書では、「先進波は古典物理ではそれほど使わないが素粒子論では良く利用する概念だ」という意味のことが書かれていますね。

 これが時間を逆行するという解釈について言っておられるのかどうかは分かりませんが、そういう解釈自体は素粒子論の啓蒙書などでも見かけることはあります。

 電磁気学の範囲について言えば、時間を逆行する波については「ばかばかしい解釈」というニュアンスになっていると思います。 もともと私は次の記事でそのばかばかしさを説明しようと言葉を工夫して何度も書き直ししていたのですが、うまく説明できずに自分自身が抜け出せなくなってしまっています。

  投稿者:Φマン - 2006/10/02(Mon) 06:51  No.602 
時間を逆行してくるというのは、一粒子の理論である量子力学に固執した見方で伝播関数について考えるとそういった見方も出来るというだけで、物理的にはおかしな話です。
反粒子が時間方向に飛ぶと考えるほうが自然ですし、因果律を考えるならそう解釈すべきだと思われます。

  投稿者:EMAN - 2006/10/02(Mon) 12:37  No.603 
 疑問点をまとめてみました。
 今、今まであまり疑ってなかった (1) を強く疑っているところです。 これが No ならば残りの疑問は解消ですが、今度は教科書でよくある説明がどういう意味だと捉えるかが問題になりそうです。



(1) 先進ポテンシャルは、電磁波によって電荷が移動する現象もあることを表しているのか?


(2) もしそうだとしたら、電荷と言っても色々な質量とともに存在するので、電磁波に対する反応の度合いは様々じゃないのか。 (1)の考えはおかしいということか。


(3) 電荷や電流から電磁ポテンシャル(遅延ポテンシャル)を求める事が出来る。 電荷の方が電磁ポテンシャルに対して主導権を持っているのか。

(4) 逆に、電磁ポテンシャルがあれば電荷はあると考えてもいいか? いや、電荷が一切ない空間を電磁波だけ飛んでゆく解もありそうだ。


(5) 電荷の動きによって電磁波が決まるなら、そもそもその電荷を動かしているのは何か? 電磁波や静電場が電荷を動かすと考えられるが、それらは電磁ポテンシャルとして表されている。 すると、電荷とポテンシャルを両方含めて、これらの動きを決めているのは何か?

(6) 電磁気以外の力が電荷に働くので、それが不確定な要素となっていると考えていいのか? もしそういうものがなければ、電荷、電磁場は決定論的に振舞うのか?


  投稿者:EMAN - 2006/10/02(Mon) 18:25  No.605 
 ウィキペディア「先進波」の項によると、

> 通常、先進波は因果律やその他の物理的経験常識から意味のない解として捨てられ遅延波のみを物理的に意味のある解として採用する。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%85%88%E9%80%B2%E6%B3%A2

という説明になっていますね。
 参考文献としてファインマン物理が挙げられています。

 砂川先生の解釈の方が適切でなかったということかな。
 今までずっと鵜呑みにしていまして、
しかもそれが最もポピュラーな説明だと思い込んでいました。

  投稿者:kara - 2006/10/02(Mon) 22:49  No.606 
どうも、こんばんは。再び書き込ませていただきます。

僕の考えでは、未来永劫にわたって決められた電荷電流は、現時点の全空間電磁ポテンシャルを決めるのに十分な情報を持っていますが、現時点の電磁ポテンシャルが全空間について与えられたとしても、その後の電磁場の時間発展は一意には決まらないと思います。もっとも、特別なセットアップ、(アンテナのような境界条件)を仮定すれば、決まってしまうこともありうるとは思いますが、一般に、電荷電流を担う物質は、電磁相互作用だけでなく、重力、強い力弱い力など他の相互作用とからむ属性も併せ持つので、現時点の電磁場だけでは情報が足りないと思います。電磁相互作用のみ考える場合でも、電荷電流を担う物質の質量がわからなければ、電磁場によるローレンツ力を受けたときにどのように振舞うか分からないので、不確定要素があるということになると思います。

僕は、個人的には、先進ポテンシャルを、射撃のようなものと考えています。つまり、将来、狙った的を打ち抜く、という条件から、現在の銃の構え方が決定されます。ただし、同じ構え方をしても、的が異なる場所にあれば、はずれてしまいます。つまり、現在の銃のかまえ方だけでは、的を射抜くかどうか分かりません。弾がこの方向に飛ぶ、くらいしか分かりません。

先ほど、電荷を担う物質の質量が分からないから、と書きましたが、その意味では、フォトンの質量は、0と分かっているので、電荷電流のほうがあたかも主導権を握っているように見えるのかもしれません。もし、電荷電流をになう物質の質量などが完全にわかれば、対等な関係になると思います。


  投稿者:Stromdorf - 2006/10/02(Mon) 23:48  No.607 
 皆様、お久しぶりです。

 遅延ポテンシャルと先進ポテンシャルを純粋に数学の偏微分方程式論の立場から解説してみます。

 一般に、ソース f を持つ波動方程式(ダランベール方程式)の解は、時刻 0 における値を φ 、時間微分の時刻 0 における値を ψ とすると、その解 u は一意的に定まって、

http://home.p07.itscom.net/strmdrf/pde03.htm

の (3-50) 式で与えられます。
 ですから、特に時刻 0 における値も時間微分の時刻 0 における値も共に 0 となるような解は、式 (3-50) の右辺第一項の遅延ポテンシャルで与えられることになります。

 ところが、この式に出てくる遅延ポテンシャルは、積分範囲が全空間ではなく、r < ct の範囲のみの積分になっています。つまり、初期条件が(時間微分も含めて) 0 であるような解は必ず(積分領域が光錐内部であるような)遅延ポテンシャルで与えられるということです。
 この場合、なぜ先進ポテンシャルではなく遅延ポテンシャルで解が与えられるかというと、時刻 t > 0 における解を求めているからです。

 従って、もし時刻 t < 0 における解を求めると、逆に(積分範囲が r < -ct の光錐内部であるような)先進ポテンシャルで与えられることになります。
 この場合、未来の時刻 t = 0 において丁度場が(時間微分も含めて) 0 になる解ということになりますから、t > 0 における解の場合と因果関係が逆になっているわけですね。
 

  投稿者:EMAN - 2006/10/03(Tue) 08:56  No.608 
 時間がないから簡単に。

 電磁波を放つと反跳がある。
 時間を逆回しした時、電荷は、電磁波が来るのを察知して、
それ以前にそちらへ移動を始めていないといけない。

 不自然に見えるのはそのせいですね。
計算通りにはいかない原因はそのあたりですかね?

  投稿者:EMAN - 2006/10/03(Tue) 12:05  No.609 
 砂川先生の説明の意図はこういうことですね、きっと。

 「予め先進ポテンシャルを用意しておけば、
遠く離れたアンテナの中に望む通りの電荷分布や電流分布を惹起できる」

というものではなく、

「φ, A とともに、相手先のアンテナの中の ρ, i 分布の初期設定をも
矛盾のないように、正しく準備しておいてやりさえすれば、
あたかも先進波に相当する形の波動が存在できて、これも解である」と。



 検索の途中で「時間反転音響学」というのを見つけました。
 センセーショナルな言い方をすれば、
「音波について、先進波に相当するものが見付かった」のだそうです。

http://www.nikkei-bookdirect.com/science/page/magazine/0003/gyaku.html

http://www.astr.tohoku.ac.jp/COLLOQUIUM/2003/col1091.html

 これって、この話と同じことをやってるんですよ、きっと。


  投稿者:EMAN - 2006/10/03(Tue) 20:27  No.610 
> ただし、同じ構え方をしても、的が異なる場所にあれば、はずれてしまいます。

 私がどうも腑に落ちなかったのは、ちゃんと将来の電荷分布を代入して計算して求めているのに、予想した時刻にその場所にその電荷が到着していないとは何事だ?! 結局、何を計算した事になるのだ?というところでした。

 しかし求められたポテンシャルは、光円錐上の全てのところにある電荷の寄与を含んでますから、幾分か情報がぼやけてしまっている、というイメージを持てばいいのですね。


 代入した将来の電荷分布を「計画」と呼ぶことにすれば・・・、

 φ, A はある場所で計画通りに電荷に会えなくても、そこを通り過ぎるだけ。 φ, A にしてみればもともと計画通りに電荷がそこにある必要もないし、期待もしていない。 といった感じですね。

 しかし、うまい具合に、計画通りに電荷が動いていてくれたら、ビンゴ!、ビンゴ!の連続で、いかにも周囲から集まった電磁波が電荷に吸収されて消えてゆくイメージになるのでしょう。


 満足の行くイメージが出来上がりました。
 karaさん、stromdorfさん、ありがとうございました。

 もし反対意見などなければ、これで終わりでもいいと思っています。

 ちなみに、これは今回の成果を含めた記事の予稿です。
http://homepage2.nifty.com/eman/electromag/retarded.html
 もし時間があれば、どなたでもいいですから読んでみて意見ください。 近いうちに正式発表します。

  投稿者:か。 - 2006/10/04(Wed) 20:50  No.613 
おひさしぶりです。議論からそれた話題になりますが、私は素粒子専門ですので、先進波・遅延波についてはくりこみ理論を学ぶ時に大変興味を持ったものです。

くりこみ理論は、電磁気学でも出てくる「電子の自己エネルギーの問題」、つまり、電子が自分自身の作った電磁場から受ける力が無限大になる問題を解決する理論です。

ここでくりこみに深く立ち入ることはできませんが、ファインマンダイアグラムや経路積分で「時間を逆行する」などと表現されるのも、先進波と深い関わりがあります。

自己エネルギーも先進波も大学で習うので、この辺のつながりがわかりやすく説明できればなぁと思うことがよくあります。ですので、先進波の記事の正式発表、楽しみにしてます(予稿は読ませて頂きましたが)。

  投稿者:EMAN - 2006/10/04(Wed) 22:18  No.614 
> 先進波の記事の正式発表、楽しみにしてます(予稿は読ませて頂きましたが)。

 ありがとうございます。
 しかし、重大ミス(かも知れない部分)を見つけてしまいました。 今、検討中です。

 どうやらリエナール・ヴィーヒェルトのポテンシャルの意味を間違えてますね。 砂川先生がこういう計算は間違いですよ、とわざわざ教えて下さっている間違いを犯している気がします。
 正式発表にしなくて良かったー!



> くりこみ理論は、電磁気学でも出てくる「電子の自己エネルギーの問題」、つまり、電子が自分自身の作った電磁場から受ける力が無限大になる問題を解決する理論です。


 最近になって、電磁気学の中にこんな面白い話があるんだと知って、興味を持っていたところです。 そこにたどりつくのを楽しみにしながら記事を書いています。


  投稿者:Stromdorf - 2006/10/05(Thu) 00:26  No.615 
>しかし、重大ミス(かも知れない部分)を見つけてしまいました。 今、検討中です。

 このくだりのことでしょうか?↓

> その後はどうだろう。 電場がどんどん強くなっていくこ
>とから球が等速運動で近付いてくる事が分かる。 それは単
>純に分かるのではなく、電場の強さから相手までの距離が分
>かり、その距離というのは、その距離を光が走ってきた時間
>だけ昔の情報だと理解した上で球の動きを推定することによ
>るのである。

 球が等速運動で観測点に近づいてくるとします。
 ここで、球から出た電場が光速で観測点に到達したとき、そ
の電場の強さから(それが静止電荷のクーロン力であると思い
込んで)電荷の位置を逆算すると、あーら不思議、その逆算し
た位置に本当にその球が到達している、というのがリエナール
・ヴィーヘルトのポテンシャルの意味です。

 もし、球が等速運動をしていない場合は、観測点に到達した
電場の情報が球から発信されたその瞬間の速度のまま、もし等
速度で球が移動していたとしたら存在するであろう位置にある
場合のクーロンポテンシャルによる電場が観測されることにな
ります。
 これは当然のことで、電場の情報が光速度で伝わる以上、観
測時点から光速で情報を遡って、球に到達した時点よりあとの
球の振る舞いは観測時点に一切影響を及ぼさないからです。

  投稿者:Stromdorf - 2006/10/05(Thu) 00:32  No.616 
訂正です。

「電場の強さ」は「静電ポテンシャル」の間違いでした。

  投稿者:EMAN - 2006/10/05(Thu) 12:43  No.620 
> このくだりのことでしょうか?↓

 そうです、そこです。 関連してそれ以下の記述は全滅ですね。 元々の解釈も正しくなかったことになるので、上の方も見直した方がいいでしょう。

 φ = ∫ρ(x', t-|x-x'|/c) / |x-x'| dx'

であることから、点電荷を代入した時には、

 φ = q / | x - z(t') |   ( t' = t - |x-z(t')| )

となるだろう、というイメージを持っていたわけです。

( 点電荷 q が z(t) にあるとして、ρ(x,t) = qδ( x - z(t) ) を代入したわけですね。)

 ところが数学的にはこの計算は間違っている。 つまり、私が持っていた物理的イメージも誤っている事になります。

 リエナールとヴィーヒェルトはこれを正しく計算しただけであって、物理的な小細工は一切入れていない。


 困ったのは、動いている電荷のポテンシャルがひしゃげることについて、直観的に説明可能な理由が見出せない事です。

 初めから数学が全て・・・これが正式な解なのだから仕方がない。 イメージは所詮こじつけだ、としか言えないのでしょうか。


  投稿者:明男 - 2006/10/05(Thu) 13:05  No.625 
こんにちは。

ポテンシャルの変形は昔のエーテルの短縮のように空間の変形をイメージしますね。
やはり、相対論抜きで説明は困難でしょう。運動する物体の電気力学という「主題」が今更のように感銘深い気がしますね。
電磁気学は相対論抜きでは説明できない、と言い切ってしまえば、やはり語弊があるのでしょうが、私個人はそう思っています。
ポテンシャルの変形もローレンツ変換による短縮だと思えば済むのではないのかなあ。

  投稿者:Φマン - 2006/10/05(Thu) 20:40  No.630 
>> φ = ∫ρ(x', t-|x-x'|/c) / |x-x'| dx'
>> であることから、点電荷を代入した時には、
>> φ = q / | x - z(t') |   ( t' = t - |x-z(t')| )
>> となるだろう、というイメージを持っていたわけです。

というのはローレンツブーストの効果を考慮していないわけですね。

>>( 点電荷 q が z(t) にあるとして、ρ(x,t) = qδ( x - z(t) ) を代入したわけですね。)
>>ところが数学的にはこの計算は間違っている。 

この計算ステップは正しいと思いますよ。計算が多少複雑になりますが、これでリエナール・ヴィーヒェルト ポテンシャルは再現できますよ。ρ(t,x)=δ(x-z(t))なので,代入した時に
ρ(x',t-|x-x'|/c)=δ[x'-z(t-|x-x'|/c)] 
とすれば正しい答えに行き着くと思いますが、どうでしょうか。

>>つまり、私が持っていた物理的イメージも誤っている事になります。
>>リエナールとヴィーヒェルトはこれを正しく計算しただけで>>あって、物理的な小細工は一切入れていない。
>>困ったのは、動いている電荷のポテンシャルがひしゃげるこ>>とについて、直観的に説明可能な理由が見出せない事です。
>>初めから数学が全て・・・これが正式な解なのだから仕方が>>ない。 イメージは所詮こじつけだ、としか言えないのでし>>ょうか。

EMANさんがどういうイメージを持っているかは分らないのでこの辺はどういったらいいのかちょっと分りませんが、数式を正しく変形していけば正しい答えに行き着く、そしてその数式から物理的なイメージを抽出していけばよいと思います。

  投稿者:EMAN - 2006/10/06(Fri) 08:01  No.631 
 私のイメージをもう少し分かり易く表現してみます。

 前に書いたのと同じ内容ですが、前はstromdorfさんに伝えようと思ったので数式の方が分かりやすいかな、と考えたのでした。 今回は言葉重視で表現してみます。

> φ = ∫ρ(x', t-|x-x'|/c) / |x-x'| dx'

を見ると、「ある点にある電荷密度は周囲に自分についての情報を送り、それは光速度で伝わる遅れが出るが、その影響の度合いは 1/ |x-x'| であり同心円状に均等である」と読み取ることができます。

 移動する点電荷の場合にも、先に言ったのと同じように、それが移動する各点各点で同心円状に均等に影響力を周りに振りまくのだ、と考えたくなります。

 ところが数学的に正しく計算してやると、そうではないことが分かります。

 なぜか、影響は同心円状に均等には伝わらず、進行方向には強く影響が伝わるというのです。

 それが起きる原因は何だろう? どこかで見落としや考え違いが入り込んだだろうか?と考え続けているわけです。

  投稿者:Φマン - 2006/10/06(Fri) 09:38  No.632 
なるほど、分りました。それは多分理解可能です。ポイントは

φ(t,x)=∫dx' ρ(x',t')/|x-x'|

で、電荷密度を評価する時刻t'はretarded time で、これがx'に依存していることから電荷分布の歪んだ形が出てきます。
イメージとしては波のドップラー効果のような図が浮かびます。止っている波源から出る波は同心円ですが、動いている波源から出る波は波源の速度方向へ歪んでいますよね。あまり深く考えてませんがそういったイメージがわいてきます。

一次元で点電荷が作るクーロン場を考えてみると分りやすいと思います。
φ(x,t)=∫dx'ρ(x',t')/|x-x'|

ここでρ(x',t')のt'は波動が放射された時刻で 

t-t'=|x-x'|/c 

の関係で定義されます。(時刻t'にx’から出て時刻tにxに届いくように)。簡単のためにt=0, x=0でのポテンシャルを求めます。すると

0-t'=|0-x'|/c → t'=-|x'|/c

です。更に点電荷の分布はρ(x',t')=eδ(x'-r(t'))で、rはクーロン場を出す電子の軌道。電子の軌道を

r(t')=r0+v*t’

と単純な等速直線運動を仮定して、先のt'を代入してρを評価すると

ρ(x',t')=eδ(x'-r(t'))=eδ(x'-r0-vt')=eδ(x'-r0+v|x'|/c)

となり整理すると

ρ(x',t')
=eδ((1±v/c)x'-r0)   符号はそれぞれx'>0とx'<0の場合
=e/(1±v/c)×δ(x'-r0/(1±v/c))

電子がt=0でx軸の負の位置r0<0にいて波を放出した位置もx'<0なら有効電荷e_eff=e/(1-v/c)は電子が原点に近づいてくる速度(v>0)なら大きな電荷、遠ざかる電子(v<0)なら有効電荷は小さい。

となってえEMANさんの悩みに少しは答えるんじゃないかと思います。あまり整理できてない文章だらだら書いてますが勘弁を。

  投稿者:EMAN - 2006/10/06(Fri) 13:00  No.633 
 Φマンさんありがとうございます。
 まず軽く読んだだけですが、とりあえず返事。

最初の式、

> φ = ∫ρ(x', t-|x-x'|/c) / |x-x'| dx'

の ρ(x', t-|x-x'|/c) が x' を含んでいますから、点電荷に考えを移したときに解釈がおかしくなるのではなく、この式についての私の解釈がすでにおかしかった、ということですね。

 そしてこの式については、それが解なのだから、これ以上文句が付けようがない、ということになります。

 Φマンさんの文を詳しく調べ直してみた上で問題がなければ、この線で次の記事を書き直してみます。

  投稿者:EMAN - 2006/10/07(Sat) 08:26  No.636 
 Φマンさんの示して下さった変形の面白さが分かりました。
 デルタ関数の δ(ax) = (1/|a|)δ(x) という性質が現れているのですね。 なぜ各点からの影響が素直に伝わらないのかという具体的イメージには相変わらずつながりませんけれど。

 すると一般のρ(x,t) についてはもっと予想のできない影響が加わる可能性があるような気がします。

 前にここで、「ビオサバールの法則は影響の遅延さえ考えればそのまま成り立つ」という話があって納得していましたが、(私の予稿にもそう書きました)実はこれは間違いであって、電流分布の変化の仕方によって予想外の効果が現れるということになるのではないでしょうか。

  投稿者:EMAN - 2006/10/07(Sat) 13:57  No.639 
 考えが二転三転しております。
 No.633の考えは撤回します。
 よって No.636 のビオ・サバールの法則が使えないのではという話も間違いで、実は問題なく使えることになります。

 問題はデルタ関数を使うことによって起きていますね。

 仮にある程度広がりのある単一粒子の電荷を考えて、それを ρ として代入して計算すると、その幅の分の時間遅れが出てきますが、その電荷の広がりを0にする極限を取っても、その影響が残ってしまうという論理のようです。

 これから検証してみます。
 妥協せずに悩んだ甲斐があった。

 Φマンさん、非常に良いヒントでした。
 他の皆さんもありがとうございます。