EMANの物理学 過去ログ No.533 〜

 ● お聞きしたいのですが

  投稿者:のほほ - 2006/09/09(Sat) 17:55  No.533 
何やら、温度に上限は無いとの噂を聞きつけたんですが、それは本当でしょうか?

下限なら、絶対零度が有名といえば有名ですが、大学の授業で「25気圧以下(確か)でなら、0K以下であってもヘリウムは液体の状態を保つことが出来る」とも言われました。これは、ボーズ・アインシュタイン凝縮が十分起こっているとは考えられる温度ではありますけど、基底状態のエネルギーが0ではないか何かでどうしても固体のような「位置を保つ」状態をキープできないのが理由だった気がします。

まだ勉強途中なので、かなり適当なことを言っているかもしれませんが、上のようなことから、温度には下限もないのか?とも思ってしまいます。

温度には、上限、下限があるのでしょうか? そして、それはどのような理由からなのでしょうか?
教えて下さい。

  投稿者:明男 - 2006/09/09(Sat) 22:41  No.534 
はじめまして、のほほさん。明男と言います。

単純な答えです。答えが単純なのではなくて、単純に考えた答えですので、単に私の憶測であることを断っておきます。難しい議論は他の人に譲るとして。

まず、下限。0K以下の温度とは何を規準としているのでしょう。温度が熱エネルギーに起源を有するなら、負の温度は負のエネルギーを持つことになり、エネルギー保存則を破る気がします。もっとも統計力学的な負の温度というのはレーザー発振の原理などでも出てきますが、意味が違いますし。ヘリウムは0K付近でも圧力をかけなければ固体化しないらしいですが、0K以下でもというのは誰かの理論でしょうか。0点振動のエネルギーが完全に0でないということは、逆に、0Kにさえ出来ないことを示唆しているように思います。つまり、下限はやはり0Kだと思います(OKではないよ)。

難しいのは上限。プラズマや恒星中心などで何億度と言っているのは電子の運動エネルギーに換算した温度だと思いますが、ご存知相対性理論により光速度の制限があります。エネルギーはいくらでも大きくなりそうですが、質量が増大するためどこかでブラックホールになり、温度はエントロピーとともに事象の地平線の彼方へと去っていくのではないでしょうか。

よって結論、上下限はある。ただし、上限はいくらか計算できない(TT)。

  投稿者:EMAN - 2006/09/10(Sun) 06:28  No.536 
 私もお気楽に答えさせてもらいます。
 ヘリウムの話はよく知らないので避けます。

 まず、絶対零度は温度の下限ですが、到達することはできないと聞きます。 温度を下げるにはそれよりも低い温度の物質に接触させるか、断熱膨張させるかくらいしか方法がなくて、これでは有限回でたどり着くことができないからです。 この説明に昔はなるほど、と納得させられ、絶対零度への気の遠くなるような距離を感じたものです。

 もし速度の速い分子だけを選んで、それを取り除けることができればいいのでしょうが、こんな考えは「マクスウェルの魔」のようなもので、無理だろうと思ったものです。

 ところがレーザー冷却というのは、そのようなことをやっているわけで、速度の速い分子を選んでビームで打ち落とす(速度を下げる)ようなものだと聞きます。 この方法でも絶対零度にたどり着けない理由は何でしょうかねぇ。 ああ・・・有限回の操作では無理という点では変わらないか。

 温度の上限については、ありません。 分子の速度には光速度という上限がありますが、温度はエネルギーで定義しているのでいくらでも上げられます。 ただし、全宇宙のエネルギーを集めたくらいが事実上の上限でしょうか。 全宇宙のエネルギーを一点に集めるなんて方法は思いつきもしませんが。

  投稿者:ワイル - 2006/09/10(Sun) 21:53  No.539 
上限についていえば。。。

現代の超ひも理論や量子重力理論では、エネルギーの上限と
して、プランク・エネルギー(10の19乗・ギガ電子ボルト
)があり、その時の温度、いわゆる、プランク温度は絶対温度
で10の32乗・度といいますが(それは、この宇宙の開始時
のエネルギーおよび温度ともいいます)、これが、この世にお
ける温度の上限なのかも知れませんね。


  投稿者:のほほ - 2006/09/10(Sun) 23:50  No.540  <Home>
みなさん、ありがとうございます。
余計な混乱を与えてしまう、0K「以下」という表現をしてしまいすみません。0K付近、が正確な言い方でしたね。

明男さんの言い方だとどうも、上限がありそうな気がしますね。
色々な条件次第でオーダーが変わることもありそうですが、かなりの知識を身につければ、何か解けそうな気もしますね。
磁場を考慮に入れるとかなり変わると思いますよ。これは私の好きな先生の持論ですが。

EMANさんのレーザー冷却は、授業で簡単に言ってました。原理は励起状態が1つしかないようなモデルで考えるとそんなに難しくないです。基底→吸収→励起→放射→基底、の繰り返しで速度があちるんだったと思います。ここで面白いのが、ご存知ドップラー効果。温度が下がるにつれて、粒子からみたレーザーの振動数は小さくなる。それにあわせて磁場をかけて、Zeeman効果で相殺させて、粒子にいつも上手い具合にエネルギー供給することで結構遅くなってくれるみたいです。

僕の説明は適当なので、良かったら講義ノートのURLの先にでも行ってみて下さい。断然わかりやすいはずですから。

  投稿者:Stromdorf - 2006/09/12(Tue) 01:27  No.542 
http://ccweb1.kek.jp/people/morita/phys-faq/3-4J.html

というサイトの「項目17」に負の絶対温度に関する記述があります。
 統計力学的には、温度は内部エネルギーのエントロピーによる微分 ∂U/∂S で定義され、エントロピー S は、状態の場合の数 W から klog W で定義されますから、考えている系(例えばスピンが上向きか下向きかしか取れない粒子有限個からなる系のスピン自由度のみを考えたような系)においては、エネルギーに上限があり、エネルギーが上限に近づくとエントロピーが減少し、この場合は上記の偏微分で定義される温度は負の値になります。
 ただし、統計力学的には β=1/kT という量の方が本質的ですから、負の絶対温度というのは絶対0度より低い温度という意味ではなく、逆にプラス無限大より高い温度と解釈すべきものです。

  投稿者:EMAN - 2006/09/12(Tue) 18:19  No.543 
> 良かったら講義ノートのURLの先にでも行ってみて下さい。断然わかりやすいはずですから。

 この機会にレーザー冷却を調べ直してみました。
 以前、私が熱力学の記事を書いている頃に調べた時よりも、
分かり易い解説があちこちに見付かるようになっていて驚きました。

 この方法にも(技術的じゃなくて)理論的限界があるんですね。
 続ければ続けるほど温度が下がるってものじゃないんだなぁ。

  投稿者:K.K - 2006/09/13(Wed) 20:31  No.545 
こんばんは。

温度の上限に関して、以下のサイトの「熱力学・統計力学編」にある記事が面白いです。
http://homepage3.nifty.com/iromono/PhysTips/index.html
それから、上記のページの中でも書かれていますが、アイザック・アシモフの科学エッセイシリーズの『空想自然科学入門』に温度の上限についての記事がありますね。

温度について学んだ時「そもそも温度の定義って意外に難しいんだな」と思ったものです。

  投稿者:EMAN - 2006/09/13(Wed) 23:43  No.546 
 K.Kさん、サイト紹介ありがとうございます。
 私の話した内容はいきなり否定されてますね。

 今忙しいので、後で詳しく読ませてもらいます。

 おっ、このサイトには
「極座標のラプラシアンの出し方いろいろ」なんていう、
今私が悩んでいたことの答えも載ってそうですね。
 私が知っているほかに、もっといい方法が絶対あるはずだ、
と探していたところでした。

  投稿者:EMAN - 2006/09/14(Thu) 19:55  No.548 
K.Kさんが紹介して下さったサイト、今読みました。
予想外のところへ向かって面白かったです。
(期待が膨らんだところで、ぶつっと終わった感じでしたけど)

これがワイルさんの話して下さったプランク温度というわけですね。