EMANの物理学 過去ログ No.294 〜

 ● エネルギーと時間の「不確定性関係」

  投稿者:T_NAKA - 2006/07/17(Mon) 14:20  No.294  <Home>
EMANさん、こんにちは。

「量子力学」の「不確定性原理」の項で [E,t]=ih\bar という記述があります。
量子力学では時間「t」はパラメータで演算子ではないため、この式は使えないと思うのですが?

  投稿者:明男 - 2006/07/18(Tue) 14:01  No.297 
T_NAKAさん、こんにちは。

EMANさんを差置いて、横からすみません。一言で言うと、
「えーーーっ!。時間は演算子では無い?ただのパラメータ?パラメータってなに?」
が感想です。
冗談は兎も角、時間は立派な演算子でしょう。例えばβ崩壊にしてもその時間とエネルギーの間には不確定性関係があり、これはとりも直さず、時間が演算子(物理量)であることを物語っていると思っていたのですが。
公式集にもこの式が不確定性の一つとして挙げられていますし、経路積分の時間積はまさに時間交換に対する順序積がおつりを生じることに基づいた計算をします(と思う)。
何より、これがないと、真空大爆発(笑)のエネルギーが手に入りません。
・・・何か、深い洞察が裏にあるのでしょうか(イヤミでなく、T_NAKAさんの学識は高そうなので)。
気になるのは、「量子力学」で、という件ですね。
何ならパラメータでなく、演算子になるのでしょうか。一般相対論でも通常時間の微分と空間微分は交換するんじゃなかったかしら??そうすると、統計力学かあ。時間は一方向だし、エントロピーで時間が定義できれば、演算子の可能性はあるな。
などと妄想が膨らむ一方ですがな。
それでは、よろしく。

  投稿者:T_NAKA - 2006/07/18(Tue) 15:05  No.298  <Home>
明男さん、RESありがとうございます。

誤解の無いように申し上げますが、エネルギーと時間の「不確定性関係」が無いということではないのです。

「エネルギーと時間の不確定性関係は演算子の交換関係からは導出されないんじゃないか?」
という疑問なんです。
確かに、相対論では、時間⇔空間の変換が可能なので、変な気がしますが、

このページ
http://homepage2.nifty.com/einstein/contents/relativity/contents/relativity312.html
の下から10行目辺りに太字で書いてある文「これに対して、量子力学では時間という力学量はなく、位置測定にそのまま対置できるような時間測定はないのである。」を読むと、tを演算子にしてtΨとしちゃ拙いようなんです。

また、このページ
http://www.h3.dion.ne.jp/~spstring/uncertainty_of_observation/uncertainty_of_observation-node1.html
でも、断定的に「Eは物理量ではあるが、tは測定対象そのものの観測量ではなく、運動を記述する際のパラメータにすぎない。」に言っているのです。

ここら辺のところを皆様のご意見をお聞きしたいと思います。

  投稿者:明男 - 2006/07/18(Tue) 18:24  No.299 
ああ、そういうことならまったく了解です。

やっぱり、そうですよね。初等的な話ではないだろうと思っていましたが、時間は「量子力学」の中では空間と違って特別扱いになっていることは間違いないでしょう。逆にそのため、相対論的量子論が巧くいかない訳ですから(端折り過ぎだけど)。
波動関数の位相の問題は、ゲージ理論として場の理論の基本課題ですし、エネルギーと時間が物理的相補性本来の意味での不確定性と同値になるためには、相対論と量子論の統一を待たねばならないのかな、と思います。
しかし、パラメータに過ぎないは、(古典)量子論の形式化の問題であって、現代物理学的な考察から出たものとは思えないけどなあ。

  投稿者:EMAN - 2006/07/18(Tue) 18:35  No.300 
 前に「不確定性原理」の記事を発表した頃にも議論になった部分ですね。
 そのときは「調べて考えておきます」と言って逃げたのでした。

 でもまだ詳しく調べておりません。
 今思うところを書いておきます。

 確かに時間は観測して得られる量ではありませんので、
Δt を測定の標準偏差だとする解釈は通用しないと思います。
 しかし位置と運動量の時と同じように、交換関係はあります。

 また、「摂動を Δt の間だけ加えた時の、
状態遷移におけるエネルギーのずれの許容度」のように、
この関係が現象として現れていることもあるようで、
これは交換関係と関連したものでしょう。


 ただ、Δt を標準偏差だと解釈できる実例がない以上、
Δt を標準偏差だと解釈して計算するのは無意味だということになります。


 実験に即する事にこだわらないで、
もっと根本のレベルでならば、
意味を見出す事はできるかも知れません。

 例えば、色んな周波数成分が混じった波があって、
その一部分だけ見せられた時、
その波にどんな波長成分が含まれているか、正確に判定できるか?
 という問いは、位置と運動量の不確定性に関係があると思います。

 同様に、ある波を短い時間だけ見せられた時、
どんな周波数成分が含まれているかを
どこまで正確に言い当てる事が出来るか、という問いは
時間とエネルギーの不確定性に相当するのではないでしょうか。

 両者は対等ですが、
たまたま時間には測定手段がないだけ・・。
 なぜ一方にだけあって、他方に無いのか、というところが
気になりますが、そこまでまだ考えてません。

  投稿者:T_NAKA - 2006/07/18(Tue) 21:01  No.304  <Home>
EMANさん、RESありがとうございます。

以前の議論を知りませんで、失礼いたしました。

ところで、私が調べた中に、次のような論法がありました。
ちょっと苦しい説明です。

=================================================================================
((凅)^2(僞)^2)≧(1/4)|<[x,H]>|^2={h\bar/(2m)}^2|<P>|^2

となり、凅僞≧{h\bar/(2m)}|<P>| です。一方、<P>=m(d<x>/dt) なので

凅僞≧(h\bar/2)|d<x>/dt| となり、 (凅/|d<x>/dt|)僞≧(h\bar/2)

となります。
(凅/|d<x>/dt|)≡冲 としましょう。
具体的に冲は、位置の期待値 <x> が標準偏差 凅 分だけ変化するのに要する時間になります。
よって、

冲僞≧(h\bar/2)

が成立します。(なお、僞 はエネルギーの標準偏差です。)

===================================================================================

  投稿者:murak - 2006/07/19(Wed) 07:54  No.306 
T_NAKAさんこんにちは。

最近ちょっと事情があってあまりこちらに顔を出している余裕がありません。

不確定関係自体の話はおいといて(というか他の人にまかせます)。明男さんも触れていた「時間演算子」のことについてちょっとだけ。

通常の非相対論的量子力学の枠組みの中では確かに「時間演算子」のことについては明確に触れられていません。これは_TNAKAさん自身や明男さんも書かれているように、関数空間とその上の作用素(演算子)の代数で量子力学を定式化するという枠組みの中では、それが存在することは自明な事じゃないからです。しかし、「時間演算子」があるんじゃないかという研究はない事はない。これはかなり単純化して言うと、q と p の生成する代数の中にハミルトニアンH(p,q)との正準交換関係を満たすT(p,q)を構築するという話になります。これがどの程度成功しているのかは残念ながら私は良く知らない(すみません不勉強で)。更に相対論的な量子論の枠組でとなると、これは私なんかが生半可に答えられないのでΦマンさんか新さんの降臨を待ちましょう。(間違い御容赦)

  投稿者:T_NAKA - 2006/07/19(Wed) 08:42  No.307  <Home>
murakさん、こんにちは。

「q と p の生成する代数の中にハミルトニアンH(p,q)との正準交換関係を満たすT(p,q)を構築するという話 」というのは、古典解析力学ですが、このページ
http://www1.doshisha.ac.jp/~bukka/Index/bukka3_4_web/pc3/pc3_a07.html
の「A-7.4 エネルギーと時間 」に書いてあるような話でしょうか?

  投稿者:murak - 2006/07/19(Wed) 09:23  No.308 
いえ、違います。ヒルベルト空間上の作用素の代数の中に構築するという話で、勿論量子力学そのものです。これは数学としては関数解析の知識を高度に要求するのでかなり難しい。古典論はその際何等かの指針を与えてくれるかもしれないという意味で、関係するだけ。

  投稿者:murak - 2006/07/19(Wed) 10:34  No.309 
補足
古典論(解析力学)はそんなものがあるはずだという推測の根拠になったり、(p,qの関数として)どんな形をしているかを考える際の指針を与えるのですが、問題はそういうものを不用意に作用素の代数として考えると、そのスペクトル(固有値)に一見矛盾する結果が現れたりする。なので、存在するとしてもそれはどういう意味で存在するのかが問題になって、そこが関数解析の話になる。ということです。

  投稿者:kara - 2006/08/22(Tue) 23:46  No.440 
こんばんは。

シュレーディンガー方程式
ih\bar∂Ψ/∂t=HΨ
の左辺から、
(エネルギー演算子)=ih\bar∂/∂t
で、
(Δt)(ΔE)=1/2|<[t,ih\bar∂Ψ/∂t]>|^(1/2)=h\bar/2
ではいいのではないでしょうか。

  投稿者:T_NAKA - 2006/08/23(Wed) 01:03  No.441  <Home>
karaさん、こんばんは。

単純に時間を演算子と見なして、交換関係を計算すれば [ih\bar∂/∂t,t]=ih\bar になることは分かっているんです。

しかし、時間(t)というのは演算子ではなくパラメータなので、交換関係を計算することに意味があるか?という問いかけなんです。

不確定関係の根拠は
=======================================================
任意の2つの物理量a、bを表す演算子A、Bを考えます。
ここである状態Ψにたいする分散(兮)^2、(冀)^2の積は

((兮)^2(冀)^2)≧(1/4)|<[A,B]>|^2
=======================================================
ということだと思います。

しかし、時間は物理量でも、演算子でもないという説明
http://homepage2.nifty.com/einstein/contents/relativity/contents/relativity312.html
があるので、 [ih\bar∂/∂t,t]=ih\bar の物理的な意味は何なのでしょう?

  投稿者:kara - 2006/08/23(Wed) 14:46  No.444 
T_NAKAさん、ご返答ありがとうございます。
交換関係を導く話ではなく、それの解釈についてみなさんは議論されていたのでしたね。脈絡から逸脱した書き込み失礼しました。

量子力学では、確かに他の交換関係と同列に扱えないように思えます。一旦、量子力学を離れてみると、短パルスレーザのパルス幅Δtと、周波数幅(エネルギー幅)Δνとの間には、類似な関係があるので、自分はそれとのアナロジーでなんとなく解釈してしまっています。

  投稿者:TOSHI - 2006/09/04(Mon) 08:10  No.516 
はじめまして、TOSHIと申します。

 座標表示((x,t)が座標です)でエネルギーE=H=i∂/∂tなので確かに、不確定性関係[E,t]=i が成立するはずです。ちなみにプランク定数は1としました。運動量表示(p,E)ではt=−i∂/∂Eですね。別にパラメータと考えても演算子の一つと考えても表示次第ですね。

ブログの宣伝「TOSHIの宇宙」
 http://maldoror-ducasse.cocolog-nifty.com/

                     TOSHI

  投稿者:T_NAKA - 2006/09/04(Mon) 10:07  No.517  <Home>
TOSHIさん、こんにちは。

ちょくちょくブログは拝見させていただいております。
さて、私としては「エネルギーと時間の不確定性関係」というのは段々分からなくなったというのが実情です。
冲僞≧(h\bar/2)が成り立つのは疑いようがないのですが、冲というのが標準偏差なのか、測定の擾乱なのか、はたまた別の何かなのか?「小澤の不等式」というので説明できるのか?等など。。

突き詰めると例の「観測の理論」になってしまうようで、素人の私などは近づかない方が良いのかも知れませんね。。

  投稿者:TOSHI - 2006/09/04(Mon) 18:24  No.518 
 T_NAKAさん、こんにちは、TOSHIです。

 思いつきですが時空を対等に扱う、「超」多時間理論で波動関数を扱うというのはどうでしょうか?古典論でも軌道=世界戦のパラメータは「固有時間」だけで、空間、時間ともその媒介変数τ、あるいはsの関数ですし、存在確率密度=波動関数の絶対値の2乗に掛ける微小体積要素を4次元体積にするのですね。

 十分には考察していないけど、場理論ではアリだと思います。

TOSHI

  投稿者:Φマン - 2006/09/05(Tue) 11:24  No.519 
エネルギーと時間の不確定性関係を運動量と位置の不確定性関係と同等に考えるとエネルギーの決まった状態というのは時間が不確定性無限大と思うんでしょうか? 
質量の決まったプロトンはほぼ寿命無限大ですね。なにか関係ありますか?何かとんでもない方向へ行きそうなのでこの辺で。



  投稿者:TOSHI - 2006/09/08(Fri) 02:51  No.526 
 こんばんは、TOSHIです。

一応、9月5日のブログに現在の未完成の私の認識を書いてみました、よろしければご覧ください。ブログは「TOSHIの宇宙」http://maldoror-ducasse.cocolog-nifty.com/ です。

                        TOSHI