EMANの物理学 過去ログ No.265 〜

 ● 中心対称ポテンシャルの解

  投稿者:光ネットsp - 2006/07/12(Wed) 08:30  No.265 
はじめまして院死前のB4です。どうしてもわからない疑問点があるので質問させてください。
このサイトの「量子力学」の「原子の構造」の「方向の依存性」のところで
Φ = A exp(imφ) + B exp(-imφ)
という解が
Φ = exp(imφ)
の形になるということですが、独立な二つの解の足し合わせを片方だけで表してしまってもよいものなのでしょうか。

いくつかの本でこの箇所を見てみましたが、当たり前のように書かれていて、理解力に乏しい私には理解できませんでした・・・

  投稿者:ZZZ - 2006/07/12(Wed) 10:45  No.266 
はじめまして。私も物理のB4の学生です。院死頑張って下さい。

>光ネットspさん
>Φ = A exp(imφ) + B exp(-imφ)という解がΦ = exp(imφ)
の形になるということですが、独立な二つの解の足し合わせを片方だけで表してしまってもよいものなのでしょうか。

ふたつで表した時は正の整数値のみで、ひとつのときは正負の整数なのでは無いでしょうか。
記事中にもこんな一文があります。

>この2つの波はそれぞれ単独でも解として成り立つ独立なものなので、一つだけ書いて、m の値で区別しておけばいい。

  投稿者:EMAN - 2006/07/12(Wed) 12:10  No.267 
 ZZZさん、ありがとうございます。
 恐らく光ネットspさんは、そういう説明は他のいろんな教科書でもご覧になられたと思うので、別の説明をしてみます。



 水素様原子の解は、(n,l,m) の量子数の組で表されますが、
これは無数にある独立な解のうちの一つに過ぎません。

 つまり最終的に、(n,l,m) の組み合わせの数だけの独立な解を得たことになるわけです。
 これがこの計算の目的なので、疑問に思われた部分のような扱いをするわけです。

 本当の解は求まったこれら全ての状態の足し合わせになります。


 普段の議論では、電子がある一つの状態に確実にいるとして、
あたかも古典的な粒子であるかのように扱われるのですが、
それは本来、観測した後でなければ確定しないことです。

 観測するまでは一つの電子がいろんなエネルギーを持つ状態が
重なっていると考えられます。

  投稿者:光ネットsp - 2006/07/12(Wed) 12:11  No.268 
ZZZさんご返答ありがとうございました。

>ふたつで表した時は正の整数値のみで、ひとつのときは正負の整数なのでは無いでしょうか。

確かにそのようですが、とはいえやはり、独立な+の解と-の解の足し合わせを、+or-の一つの解で表すのは無理な気がします。
おそらく物理的な考慮の結果そのようなことがいえるのだと思いますが・・・やっぱりわかりません・・・

  投稿者:光ネットsp - 2006/07/12(Wed) 12:37  No.269 
EMANさんありがとうございました。不注意でかぶってしまって申し訳ありません・・・

>本当の解は求まったこれら全ての状態の足し合わせになります。
>
>普段の議論では、電子がある一つの状態に確実にいるとして、
>あたかも古典的な粒子であるかのように扱われるのですが、
>それは本来、観測した後でなければ確定しないことです。

そうだったんですか!今まで、電子はある状態に確実にいると考えてました・・・
後で足し合わせて考えなくてはいけないから、現時点では一つだけ考えておくということですね。
すごいことを知ってしまった気がします。ありがとうございました。

  投稿者:EMAN - 2006/07/12(Wed) 13:00  No.270 
> 現時点では一つだけ考えておくということですね

 そういうこと!

> 今まで、電子はある状態に確実にいると考えてました

 そこについては少し補足しておいた方がいいかと思うことがあるのですが、時間がないのでまた後で。

  投稿者:EMAN - 2006/07/12(Wed) 18:40  No.271 
 お待たせしました。
「電子が特定の状態にあること」について少々補足します。



 水素様原子の計算では
「時間に依存しない」方程式」を使いました。
 これはエネルギーが一定値 E であると置いた定常解を求めています。

 「電子がずっとある準位にあって変化しない」という
理想的な状況下での解を求めようとしているわけです。

 ですから、異なる E を持つ解・・・この場合、
n が異なるものを重ね合わせたものは、
「時間に依存しない方程式」の解となりません。
 しかし縮退しているものについてだけ重ね合わせたものなら解となります。


 まぁ、この世にはエネルギー保存がありますし、
外部から撹乱がなければ勝手にエネルギー準位が変化したりはしません。
 よってこの定常解というのが現実離れした解だというつもりはありません。



 エネルギーが異なる複数の状態の重ね合わせをするときは、
「時間に依存する方程式」の解を使えばいいです。
 定常解に exp{iwt} の項をかけたものを足し合わせます。


 原子が衝突するときには定常状態でなくなりますが、
電子が励起したかも知れません。
 この場合、観測するまでは、
異なるエネルギーを持つ複数の状態の重ね合わせに
なっているのではないかと思います。

  投稿者:光ネットsp - 2006/07/13(Thu) 01:03  No.273 
EMANさん、さらなる詳しい解説をありがとうございます。

時間に依存する方程式としない方程式は、今まで違いを認識できずに
"教科書で使っているから"類似問題ではなんとなく使い分けていました。
しかし、これで考えて使い分けていくことができそうです。
EMANさんの解説のおかげで今まで勉強してきたことがだんだん繋がってきたような気がします。

院死勉強ならぬ院試勉強がはかどりそうです。本当にありがとうございました。

  投稿者:とおりすがり - 2006/07/13(Thu) 07:50  No.274 
単に便利のために、量子数毎に正規直交化された関数の組み合わせを選んで表現しただけでは?

  投稿者:EMAN - 2006/07/13(Thu) 12:44  No.276 
 補足ありがとうございます。
 そう、それだけの事です。
 もちろんこういうサバサバした考え方にも
知識がリンクしていなければいけないと思います。

 この程度のちっぽけな内容にわざわざ物理的解釈を当てはめる話を
「表立って」することについて、
下賎なことだと感じる向きもあるでしょうが、
世にはそういう必要も多くあるように思います。