EMANの物理学 過去ログ No.140 〜

 ● エニオン

  投稿者:EMAN - 2006/06/26(Mon) 12:56  No.140 
 今、ボソンとフェルミオンの記事を書いていまして、仕上げ段階に入ろうというところでちょっと困りました。

 次のように書いてみて、そう言えば「エニオン」ってのがあったなぁと思い出しました。


 「同じ状態に2個まで入るが3個は入らないとか、3個までは入るが4個は入らないとか、そういうボソンでもフェルミオンでもない粒子は(ここまでの論理からすると)ありえないことが分かる。」


 ところがエニオンを調べてみたところ、これが分数電荷であるとか、分数統計に従うとか、ボソンでもフェルミオンでもなくその中間の性質を持つとか、粒子を交換した時の位相変化が1でも-1でもなく任意の複素数値を取るとか、そういう説明ならばあちこちで見られるのですが、肝心の「分数統計」っていうのが何なのか、という説明が見つけられません。

 これは先ほど書いた、「同じ状態に2個まで入るが3個は入らないとか、3個までは入るが4個は入らないとか」いう性質を持つ粒子を仮定した統計だと考えていいものなのでしょうか?

 要するに、エニオンが、「同じ状態に2個まで入るが3個は入らないとか、3個までは入るが4個は入らないとか」いう性質を持つものなのか、それともそんな性質を論じる事は出来ない存在なのか、その辺りの保証さえ得られれば今のところ満足なのですけれど。

  投稿者:Φマン - 2006/06/26(Mon) 14:31  No.141 
エニオンは真面目に勉強したことがありませんが参考になりそうな文献はいくつか知っています。ここ2週間はミーティングやらあって勉強しているひまがないんですが、その後なら勉強してコメントをすることが出来るかもしれません。

  投稿者:EMAN - 2006/06/26(Mon) 20:44  No.142 
 助かります、心強いです。

 2週間ちょっとくらいなら待っても構わないと思っています。 発表するにはもう少し掛かりますし、他にも書く記事はありますし。 私も出来る範囲で情報収集しておきます。

  投稿者:明男 - 2006/06/26(Mon) 21:07  No.144 
こんにちは。

ご存知かも知れませんが、言葉が出てこないようなので。EMANさんの言われる、

>「同じ状態に2個まで入るが3個は入らないとか、3個までは入るが4個は入らないとか、そういうボソンでもフェルミオンでもない粒子は(ここまでの論理からすると)ありえないことが分かる。」

は、所謂「パラ統計」と呼ばれて来たものですね。分数統計も微かに聞いた覚えがありますが、同じものを指している気がします。
現代ではパラ統計に従う素粒子は無いという結論のようですが、ググッていたらマグノンがパラ統計に従うらしいという文を見ました。素粒子ではなくとも、準粒子と呼ばれるこれらの波はそういうこともあるかな、と言う気はします。
エニオンは「パラ統計」に従う素粒子があったとしたら、という仮想的な(クオーク以前)粒子だったような。そのうちクオークが見つかって、ほとんど意味なくなったような。
ような、ばかりですみません。
何かのご参考までに。

  投稿者:EMAN - 2006/06/27(Tue) 07:22  No.147 
> 所謂「パラ統計」と呼ばれて来たものですね。

 ああ、それです! すっかり忘れてました。
 それで、パラ統計は分数統計と同じかどうかが知りたいことです。

 「パラ統計 エニオン」で検索してみましたら、一つもヒットしませんでした。 「parastatistics anyon」で検索してみましたら、分数統計=エニオン統計で、パラ統計はそれとは別物のような扱いかなぁという印象を受けました。

 ヒントを頂けたので、もう少し的確な調べ方ができそうです。

  投稿者:EMAN - 2006/06/28(Wed) 01:50  No.160 
 とりあえず、パラ統計と分数統計は別物だという憶測で新作記事を発表しました。 間違っていてもすぐ直せるようにしてあります。

 軽い気持ちで書き始めたのに、またいつもと同じくらい長くなってしまいました。

 エニオンのところの説明も初めよりかなり長くなりましたが、いい感じになったと思ってます。

  投稿者:ワイル - 2006/07/02(Sun) 11:00  No.224 
「エニオン」の意味は、分かるのですが、これの、実験的・
観測的な存在については、どうなのでしょうか?

  投稿者:EMAN - 2006/07/06(Thu) 12:55  No.249 
>「エニオン」の意味は、分かるのですが、これの、実験的・
観測的な存在については、どうなのでしょうか?

 そこらの解説を軽く読んだだけでは分かった気にはなれないのですが、量子ホール効果にて、電子と磁束の合わさったものをエニオンとしてとらえると理論的に説明できるそうですね。
 実在の粒子ではなく、理論上だけの存在なんでしょうけど、実在か理論上の存在か、なんて区別は私はあまり意味がないような気がします。

  投稿者:ワイル - 2006/07/09(Sun) 13:26  No.259 
>>そこらの解説を軽く読んだだけでは分かった気にはなれないのですが

あ、
フェルミオン ・・・ 1つの量子状態に1個のみ
ボゾン    ・・・ 1つの量子状態に無数個
で、

エニオン   ・・・ 1つの量子状態に2個のみとか、3個のみ、などの1個以上の有限個

という意味だけは分かる、ということです。
悪しからず。

  投稿者:EMAN - 2006/07/10(Mon) 12:57  No.260 
> エニオン   ・・・ 1つの量子状態に2個のみとか、3個のみ、などの1個以上の有限個


 エニオンがそのような性質を持つのかどうか、私には分かりません。 私が調べた限りのサイトでは、エニオンは「分数統計」に従うと書かれており、「パラ統計」に従うとは書かれていないからです。
 「分数統計」と「パラ統計」がどう違うかが分からないままです。

 とにかく今言えるのは、エニオンは粒子の入れ替えの時の位相の変化がボソンともフェルミオンとも違うということだけです。

 そこんとこ、誤解のありませんように。

  投稿者:Φマン - 2006/07/11(Tue) 02:24  No.261 
文献ざーっと見ました。ほんとにざーっとなので正確なことが知りたい場合は是非オリジナルを読んでください。

先ず、パラ統計は面白くないので既にすたれているようです。理由は結局適当な保存電荷を考えることで通常のフェルミオンの問題になるからです。

そして、エニオンはパラ統計とはまったく別の路線から発展してきた分野で、そのスピンも統計性も任意だという意味でノーベル賞のwilzcekにanyonと名づけられたようです。統計性はパラ統計よりももっと一般で量子状態の占有数は<n>=分数(たぶん無理数も可能?)も可能だという事らしいです(分数統計はHaldanoという人のアイディアらしいです、ただしこれはエニオンとか具体的な粒子を考えず一般化された排他律を仮定して統計力学を構築するという路線)。ただしエニオンと分数統計の関係についての証明を見つけることが出来ませんでした。

エニオンを準粒子として考えるならその量子化は磁束がくっついた電子として扱える事が分っており、エニオンの多体系を理論的には扱う事が出来ます。.......が具体的なラグランジアンを書き下すと、難しすぎて解けません(涙)。という事で今のところ2体や3対問題がよく調べられていて、N問題は平均場近似を用いて調べたりしているようです。つまりエニオンの多体系を調べてどんな統計分布をするかと、調べて見るのはなかなか大変で、それでも強磁場のある系のランダウレベルの低エネルギー状態は分数統計にしたがっている事が示されたようです。

手を動かすのが面倒で計算は一つもフォローしてませんから質問は受け付けません。資料をあたってみたい方がいたら、書き込んでください。


  投稿者:EMAN - 2006/07/11(Tue) 20:04  No.262 
> 文献ざーっと見ました。

 忙しい中調べて下さり、本当にありがとうございます。 占有数が整数以外だなんていうのはどういう状況なのかさっぱり分かりませんが、分数統計がパラ統計よりはるかに複雑だということですね。

 「排他律をより一般化した統計」という程度の説明はこれまでも見たことがあるのですが、Φマンさんの説明で、より微妙なニュアンスを感じ取る事ができたように思います。

 物性理論も複雑で、難問にぶつかって戦ってるんだなぁと感心しました。